説明

小型電子機器用横押し型プッシュスイッチとメイン基板との接続構造

【課題】横押し型プッシュスイッチとその背面のメイン基板との相対高さ位置関係に自由度をもたせ、同一設計の横押し型スイッチを、メイン基板に対する相対高さ位置違えて組み付けることができる小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの提供。
【解決手段】携帯電話機等の携帯用小型電子機器の外部ケース30内にその表面と平行にメイン基板31が固定されているとともに、外部ケース30の側面に、表面にスイッチ部11が設けられている横押し型プッシュスイッチAを固定し、横押し型プッシュスイッチAの背面に、スイッチ部11のスイッチ端子に電気接続されたコンタクト片17a,18aを縦向き配置に露出させるとともに、メイン基板30に、その表面に横向きに出入自在な弾性接触具36を実装し、メイン基板30及び横押し型プッシュスイッチAをそれぞれ外部ケース30に固定することによって、コンタクト片に弾性接触具が弾性接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として携帯電話機等の小型の携帯電子機器において、薄型箱状をした機器外部ケースの側面に取り付ける小型電子機器用横押し型プッシュスイッチとメイン基板との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の小型携帯電子機器には、薄型箱状をした機器外部ケースの表面にテンキーや文字入力用及び各種操作用のプッシュスイッチが備えられている他、機器外部ケースの側面即ち厚さ方向の面にも、各種のプッシュスイッチが使用されている。この機器外部ケース側面のプッシュスイッチは、機器外部ケース内に収容したプリント配線メイン基板(以下「メイン基板」と記す)に対し、その表面と直交する方向に操作する横押し型となっている。
【0003】
従来のこの種の横押し型プッシュスイッチにおけるメイン基板との接続は、例えば、図7に示すように、メイン基板1の表面にスイッチ2を実装し、その操作部4を機器外部ケース3の側面の窓孔から露出させるようにする方式(例えば特許文献1)や、図8に示すようにスイッチ2を機器外部ケース3の側面枠に対し、操作部4を露出させた状態で固定し、スイッチケースの背面に突出させた弾性接触バネからなる接続端子5を、メイン基板表面にプリント配線した接続パッド6の表面に接触させる方式(例えば特許文献2図4)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−79220号公報
【特許文献2】特開2007−149491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の従来の小型電子機器用に使用されている横押し型プッシュスイッチにおいては、電子機器内のメイン基板に接続させる場合において、図7に示すようにメイン基板表面に実装する場合は、スイッチ全体がメイン基板の表面側に固定されるため、メイン基板上面側の空間が、該スイッチの高さ分だけ必要となり、このため機器外部ケースの薄型化に限界があった。
【0006】
一方、図8に示すように弾性接触バネからなる接続端子をスイッチケースの背面に突出させ、これをメイン基板の表面のパッドに圧接させるものにあっても、接続端子の突設位置が、スイッチケースの上下何れかの面から突出させているため、メイン基板に対する相対位置が上下の何れか側に偏ったものとなっていた。このため、横押し型プッシュスイッチの上下方向の中央部分にメイン基板を位置させることができないという問題があった。
【0007】
更に、上記何れの場合においても、メイン基板と横押し型スイッチとの相対高さ位置関係は、これを使用する小型電子機器毎の設計によって決定されるものであり、自由度がなく、横押し型スイッチ毎に、メイン基板との相対位置関係が定まっており、同一製品をメイン基盤に対する異なった相対高さ位置において接続させることができず、このため、小型電子機器毎に、これに対応させた横押し型スイッチを使用する必要があり、コスト削減の限界となるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、横押し型プッシュスイッチの中央高さ位置にメイン基板を位置させた状態で接続させることができるとともに、該スイッチとその背面のメイン基板との相対高さ位置関係に自由度をもたせ、同一設計の横押し型スイッチを、メイン基板に対する相対高さ位置違えて組み付けることができる小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、携帯電話機等の携帯用小型電子機器の外部ケース内にその表面と平行にメイン基板が固定されているとともに、該外部ケースの側面に、表面にスイッチ部が設けられている横押し型プッシュスイッチを固定し、該横押し型プッシュスイッチと前記メイン基板表面のプリント配線とを電気接続する携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造において、前記横押し型プッシュスイッチの背面に、前記スイッチ部のスイッチ端子に電気接続されたコンタクト片を縦向き配置に露出させるとともに、前記メイン基板に、その表面に横向きに出入自在な弾性接触具を実装し、該メイン基板及び横押し型プッシュスイッチをそれぞれ前記外部ケースに固定することによって、前記コンタクト片に弾性接触具が弾性接触されるようにしたことにある。
【0010】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記弾性接触具が、メイン基板表面に横向きに実装されたポゴピンであることにある。
【0011】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記弾性接触具が、メイン基板表面に横向きに実装された弾性接触バネであることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造においては、横押し型プッシュスイッチの背面に、そのスイッチ部のスイッチ端子に電気接続されたコンタクト片を縦向き配置に露出させるとともに、携帯用小型電子機器内のメイン基板に、その表面に横向きに出入自在な弾性接触具を実装し、該メイン基板及び横押し型プッシュスイッチをそれぞれ前記外部ケースに固定することによって、前記コンタクト片に弾性接触具が弾性接触されるようにしたことにより、横押し型プッシュスイッチに対するメイン基板の相対高さは、コンタクト片の長さ方向に任意に選定することができ、横押し型プッシュスイッチの汎用性が高くなり、携帯用小型電子機器の小型化に寄与すると同時に、コスト削減が可能となる
【0013】
本発明において、前記弾性接触具として、メイン基板表面に横向きに実装されたポゴピンを用いることにより、メイン基板と横押し型プッシュスイッチとの安定した接続が得られる。
【0014】
また、本発明において、前記弾性接触具として、メイン基板表面に横向きに実装された弾性接触バネを使用することにより、コスト減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における横押し型プッシュスイッチの一例の正面図である。
【図2】同、背面図である。
【図3】同、平面図である。
【図4】図1中のA−A線断面図である。
【図5】図1に示す横押し型プッシュスイッチを使用した携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造の一例を示す縦断面図である。
【図6】同、他の例を示す縦断面図である。
【図7】従来の携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造の一例を示す縦断面図である。
【図8】同、他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の態様を、図1〜図6に示した実施例に基づいて説明する。
【0017】
図において符合Aは横押し型プッシュスイッチであり、10は横押し型プッシュスイッチAを構成する矩形形状をした平板状のモールドケースである。このモールドケース10の前面が平らなスイッチ操作面となっている。モールドケース10には、その前面側にスイッチ部11が組み込まれている。
【0018】
スイッチ部10は、所謂メタルタクトスイッチを構成しているものであり、モールドケース10の前面を窪ませた形状に形成したハウジング部12、該ハウジング部12の底面の中心部分に露出させた第一スイッチ端子13、該底面の周縁部に露出させた第二スイッチ端子14、ハウジング部12内に嵌め込んだドーム状接触片15によって構成され、ドーム状接触片15には、その中央部前面に操作用突起15aが一体に備えられている。ハウジング部12の開口部は、板状のカバー16によって閉鎖され、該カバー16の中心の貫通開口から前記操作用突起15aが突出されている。
【0019】
このスイッチ部11は、ドーム状接触片15の常態時には、該接触片15の周縁部は第二スイッチ端子14に接触しているが、該接触片15の中央部分が第一スイッチ端子13から離れた状態にある。そして、操作用突起16を押圧操作することによってドーム状接触片15が反転し、該接触片15の周縁部は第二スイッチ端子14に接触した状態で該接触片15の中央部分が第一スイッチ端子13に接触するようになっている。
【0020】
各スイッチ端子部11,12は、モールドケース10にインサート成型によってその内部に埋設したリード片17,18に一体に突設されており、各リード片17,18には縦長の平板状をしたコンタクト片17a,18aが一体に備えられている。
【0021】
コンタクト片17a,18aは、モールドケース10の背面に、縦向きに形成された凹溝20,20の溝底部に縦向きに露出されている。
【0022】
このように構成される横押し型プッシュスイッチAの使用に際しては、図5に示すように、外部ケース30内に、該ケースの表面と平行にメイン基板31が固定されている携帯電話機等の携帯用小型電子機器に対し、外部ケース30の側面にモールドケース10の表面側を露出させ、該モールドケース10の高さ方向を外部ケース30の厚さ方向に向けて固定する。
【0023】
一方、メイン基板31には、その表面に横向きに出入自在な弾性接触具を実装しておく。この弾性接触具としては、図5に示すように絶縁ケース35から横向きに突出され、バネによって突出方向に付勢させたポゴピン36を使用することができる。また、この他、図6に示すように、メイン基板31の表面に半田付けによって直接的に実装した弾性接触バネ37を弾性接触具として用いることができる。
【0024】
そして、メイン基板31と横押し型プッシュスイッチAとをそれぞれ外部ケース30に固定することによって、メイン基板31の側面に突出している弾性接触具(36又は37)を横押し型プッシュスイッチAの背面に露出しているコンタクト片17a,18aに弾性接触させる。尚、この時の接触圧は、各弾性接触具の突出方向の不勢力によって得られるようにしておく。
【0025】
このように、横押し型プッシュスイッチAの背面に縦向きにコンタクト片17a,18aを露出させておき、これにメイン基板31の表面に実装されてその側面側に突出した弾性接触具を弾性接触させるようにしたことにより、横押し型プッシュスイッチAに対するメイン基板31の相対高さは、コンタクト片17a,18aの長さ方向に任意に選定することができ、横押し型プッシュスイッチAの汎用性が高くなり、携帯用小型電子機器の小型化に寄与すると同時に、コスト削減が可能となる。
【符号の説明】
【0026】
A 横押し型プッシュスイッチ
10 モールドケース
10a 凹部
11 スイッチ部
12 ハウジング部
13 第一スイッチ端子
14 第二スイッチ端子
15 ドーム状接触片
15a 操作用突起
16 カバー
17,18 リード片
17a,18a コンタクト片
20 凹溝
30 外部ケース
31 メイン基板
35 絶縁ケース
36 ポゴピン
37 弾性接触バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機等の携帯用小型電子機器の外部ケース内にその表面と平行にメイン基板が固定されているとともに、該外部ケースの側面に、表面にスイッチ部が設けられている横押し型プッシュスイッチを固定し、該横押し型プッシュスイッチと前記メイン基板表面のプリント配線とを電気接続する携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造において、
前記横押し型プッシュスイッチの背面に、前記スイッチ部のスイッチ端子に電気接続されたコンタクト片を縦向き配置に露出させるとともに、前記メイン基板に、その表面に横向きに出入自在な弾性接触具を実装し、
該メイン基板及び横押し型プッシュスイッチをそれぞれ前記外部ケースに固定することによって、前記コンタクト片に弾性接触具が弾性接触されるようにしたことを特徴としてなる携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造。
【請求項2】
前記弾性接触具が、メイン基板表面に横向きに実装されたポゴピンである請求項1に記載の携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造。
【請求項3】
前記弾性接触具が、メイン基板表面に横向きに実装された弾性接触バネである請求項1に記載の携帯用小型電子機器におけるメイン基板と横押し型プッシュスイッチとの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−253720(P2011−253720A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126782(P2010−126782)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】