説明

小物収納部付き容器

【課題】小物収納部付き容器において、見栄え性に優れ、容器本体側の内容物に対してもキャップ体内で収納している小物先端に対しても、衛生面で清潔さを保持できるようにする。
【解決手段】容器本体2とこの容器本体2の口部3に外嵌装着されるキャップ体5とを有し、キャップ体5の天井部は、中仕切り板24とこれを覆う覆い板26とによって上下二重に形成されていると共に、中仕切り板24と覆い板26との上下間に小物7を収納可能な小物収納部6が形成されており、中仕切り板24にはその外周部を取り囲む環状壁23が設けられていると共に、環状壁23の略全周を介して覆い板26が連結されており、環状壁23に小物収納部6に対して小物7を水平方向に出し入れ自在にする収納口部30が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物収納部付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の容器のなかには、容器本体の口部に外嵌装着されるキャップ体に対し、内容物(化粧品や食品など)の取り出しや取り出し後の塗布等に使用するヘラ、スプーン、ブラシ等の小物を、着脱自在な状態で具備させたものがある(例えば、特許文献1等参照)。
把持部とヘラ状部分とを有する小物を採用した一例(特許文献1の図15参照)を概説すると、キャップ体には、その天板部の片側を凹ますように形成した階段部分が設けられ、小物の把持部は、この階段部分の凹みを満たす(埋める)ことのできる形状に形成されている。そしてキャップ体の階段部分に対し、凹みの奥方に、小物のヘラ状部分を収納する横穴が形成されたものとなっている。
【0003】
なお、キャップ体の裏側には厚紙で形成された横壁が圧入状態で嵌め込まれており、この横壁により、容器本体内に収納された内容物がキャップ体の裏側(すなわち、小物のヘラ状部分が収納されるスペース)へ流出することがないように遮断してあった。
【特許文献1】特開2007−21229号公報(図15及び図16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小物を具備した従来公知の容器にあっては、キャップ体に小物を保持させたときに、小物の把持部を露出させている場合が殆どである。すなわち、小物においてキャップ体の内部へ収納される(隠される)のは、先端部分(ヘラ状部分等)だけである。
従って、キャップ体をはじめ容器全体として、見栄え的なスッキリ感が得られない欠点があった。また、小物の把持部が露出していると、このまわりに塵埃が付着し易く、また手垢が目立つようになることから、これらの点も見栄えを低下させる一因となっていた。
更に、上記したようにキャップ体の裏側に厚紙製の横壁を設けただけの構造を採用したものでは、厚紙製の横壁に内容物が付着することに伴い、内容物が徐々に横壁に浸透するようになり、いずれはこの横壁が層間剥離や変質を起こし、場合によってはカビの発生等に至ることがあった。
【0005】
そのため、内容物を遮断する機能が失われることになり、容器本体側の内容物に対しても、またキャップ体内で収納している小物先端(ヘラ状部分など)に対しても、不衛生となっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、見栄え性に優れ、また、容器本体側の内容物に対してもキャップ体内で収納している小物先端に対しても、衛生面で清潔さを保持できるようにした小物収納部付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る小物収納部付き容器は、容器本体とこの容器本体の口部に外嵌装着されるキャップ体とを有したものであって、容器本体の底部又はキャップ体の天井部は、内容物の収納スペースに面する中仕切り板と、この中仕切り板の外側を覆う覆い板とによって上下二重に形成されている。また、これら中仕切り板と覆い板との上下間に小物を収納可能な小物収納部が形成されている。
そして中仕切り板には、その外周部を取り囲む環状壁が設けられていると共に、この環状壁の略全周を介して覆い板が連結されている。また環状壁に、小物収納部に対して小物を水平方向に出し入れ自在にする収納口部が形成されている。
【0007】
このような構成であると、キャップ体又は容器本体自体に、環状壁(キャップ体又は容器本体としての周壁自体である場合を含む)を伴って中仕切り板が設けられるようになっている。このような構造の中仕切り板は、厚紙製の横壁などとは異なり「小物収納部内に収納される小物を容器本体内の内容物から遮断する機能」が失われることがないものである。
そのため、この中仕切り板により、小物収納部内に収納される小物と容器本体内の内容物とが遮断される状態は確実に維持され、容器本体側の内容物も、また小物収納部内で収納している小物も、衛生面での清潔さが保持される。
【0008】
一つの具体例としては、キャップ体は内殻体と外殻体とを有したものとすることができる。内殻体は、容器本体の口部まわりを包囲する環状壁と、この環状壁の上部を閉鎖する中仕切り板とによって形成されたものとする。また外殻体は、この内殻体の環状壁を包囲する外部環状壁と、内殻体の中仕切り板上を覆うと共に外部環状壁の上部を閉鎖する覆い板とによって形成されたものとする。
この場合は、内殻体の中仕切り板と外殻体の覆い板との上下間に、小物を収納可能な小物収納部を形成し、内殻体の環状壁及び外殻体の外部環状壁における互いに合致する位置に、小物収納部に対して小物を水平方向に出し入れ自在にする収納口部を形成すればよい。
【0009】
また他の具体例としては、キャップ体は殻体と覆い板とを有したものとすることも可能である。殻体は、容器本体の口部まわりを包囲する環状壁と、この環状壁の上部を閉鎖する中仕切り板とによって形成されたものとする。また覆い板は、この殻体の中仕切り板上を覆うものとする。
この場合は、殻体の中仕切り板と覆い板との上下間に、小物を収納可能な小物収納部を形成し、殻体の環状壁に、小物収納部に対して小物を水平方向に出し入れ自在にする収納口部を形成すればよい。
【0010】
なお、小物収納部には、収納口部の片隅に揺動軸が立設されていると共に、この揺動軸まわりで水平揺動することで小物収納部から出たり入ったりする小物が連結されたものとすることができる。
また別の小物収納部としては、伸縮又は屈曲を伴って使用形体と収納形体とに変形可能に形成された小物が収納口部内へ挿入されたときに、当該小物に当接して水平面内での伸縮変形又は屈曲変形を誘発させる変形誘導部が形成されているものとすることができる。
小物収納部は、小物の先端から当該先端とは反対側となる後端までの長さを略収納可能な奥行きで形成されており、且つ、覆い板は、小物収納部に収納された小物の後端だけを一部露出させる程度に、中仕切り板を覆う大きさで形成されたものとするのが好適である。
【0011】
このようにすると、小物を目立たないように小物収納部に対して収納することができ、キャップ体としても、また容器全体としてもすっきりとした外観が得られる。また、小物に対して塵埃が付着するのを防止できると共に、手垢も目立たなくなる利点もある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る小物収納部付き容器は、見栄え性に優れ、また、容器本体側の内容物に対してもキャップ体内で収納している小物先端に対しても、衛生面で清潔さを保持できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図3は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第1実施形態を示している。この小物収納部付き容器1は、容器本体2と、この容器本体2の口部3に外嵌装着されるキャップ体5とを有したものであって、キャップ体5の天井部に小物収納部6が設けられ、この小物収納部6に対して小物7を出し入れできるようになっている。
なお、本第1実施形態において容器本体2は背の低い(底の浅い)有底円筒状に形成され、その周壁10の上周部に一回り径小となる段差部を形成させることで、ここに口部3を形成させたものとしてある。
【0014】
これに対してキャップ体5は、容器本体2の口部3に外嵌した状態で容器本体2の周壁10と略面一で連なる周壁11(即ち、容器本体2とキャップ体5とは略同径である)を有した円盤形とされ、これら容器本体2とキャップ体5とは雄ねじ12aと雌ねじ12bとによるネジ構造部12により繰り返して着脱できるようになっている。
また小物7は、その先端側が扁平に形成されたヘラ状部分15とされ、これの反対側を把持部16として使用するものとしてある。この把持部16の後端には、部分円弧状で上下両方へリブ状に突出した爪掛け片17が形成されている。
【0015】
この爪掛け片17は、キャップ体5の周壁11と同じ曲率半径で形成されたもので、小物収納部6に小物7が収納されたとき、キャップ体5の周壁11と連続した円弧環状面が表現されるようになっている。
キャップ体5は、内殻体20と、この内殻体20に対してガタツキのない状態で全体的に外嵌されるようになった外殻体21とを有している。これら内殻体20と外殻体21とは、小物収納部付き容器1としての使用状況下において互いに離反することのないように、接着、圧入嵌合などの適宜方法によって一体的な結合関係を保持している。
【0016】
内殻体20は、容器本体2の口部3まわりを包囲する環状壁23と、この環状壁23の上部を閉鎖する中仕切り板24とによって形成されている。中仕切り板24は、容器本体2における内容物の収納スペース(容器内部)2aに面するように設けられていることになる。また、この中仕切り板24の外周部を取り囲むように、環状壁23が設けられていることになる。
外殻体21は、内殻体20の環状壁23を包囲する外部環状壁25と、この外部環状壁25の上部を閉鎖する覆い板26とによって形成されている。上記のように、この外殻体21は、内殻体20を外嵌状態にあるため、外殻体21の覆い板26は、内殻体20の中仕切り板24を覆うように設けられ、且つこの覆い板26は、内殻体20の環状壁23に対して、その上周部の略全周を介して連結(本第1実施形態では接着や圧入嵌合などによって離反しない状態を言う)されていることになる。
【0017】
これらの説明から明かなように、キャップ体5の天井部は、内殻体20の中仕切り板24を外殻体21の覆い板26が覆う上下二重構造とされ、これら中仕切り板24と覆い板26との上下間に小物収納部6が形成されている。
小物収納部6は、収納状態とさせた小物7に過度のガタツキが生じない程度に、当該小物7におけるヘラ状部分15の断面形状と相似的関係となる扁平な開口形状を有して形成されている。また小物収納部6の内部には対向状に突出する係止突起27(図3参照)が設けられており、これらの係止突起27で小物7に適度に当接して、収納状態とさせた小物7が意に反して脱出してしまうのを防止するようになっている。
【0018】
一方、キャップ体5の周壁11は、内殻体20の環状壁23と外殻体21の外部環状壁25とで内外二重構造とされ、これら環状壁23と外部環状壁25との間で位置的に合致する状態で、小物収納部6に対して小物を水平方向に出し入れ自在にする収納口部30が形成されている。
収納口部30は、小物収納部6に小物7を差し込んだとき、小物7の把持部16に設けられた爪掛け片17が収納口部30に丁度嵌り込んで閉鎖するように、爪掛け片17と同形同大で形成されている。
【0019】
外殻体21の覆い板26には、収納口部30へ向かうように面取り31が施されており、収納口部30が爪掛け片17で閉鎖された後も、爪掛け片17に対して使用者が容易に爪を引っ掛けられるようになっている。
このような構成を具備して成る小物収納部付き容器1では、キャップ体5自体に、環状壁23を伴って中仕切り板24が設けられているので、小物収納部6内に収納される小物7を容器本体2内の内容物から遮断する機能が失われることがない。そのため、容器本体2側の内容物も、また小物収納部6内で収納している小物7も、衛生面で清潔さが保持されることになる。
【0020】
また本第1実施形態にあって、小物収納部6に小物7を収納させたとき、小物7の把持部16後端(爪掛け片17の円弧状後面)だけが一部露出する状態とされているので、小物7の収納状態が目立たず、キャップ体5としても、また容器1全体としてもすっきりとした外観が得られる。また、小物7に対して塵埃が付着するのを防止できると共に、手垢も目立たなくなるといった利点があるので、見栄えは一層良好なものとなっている。
なお、小物収納部6を形成させるにあたり、キャップ体5を内殻体20と外殻体21との二部材で構成させるようにしているので、これら内殻体20や外殻体21には、それぞれ複雑な形状、構造を採用することができる。従って、デザインや機能性を重視した製品設計が可能である。しかも、このような複雑な形状、構造を採用したとしても、コスト高が招来することを抑制乃至防止できる点で、優れた利点がある。
【0021】
図4は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第2実施形態を示している。本第2実施形態は、小物7を、その先端側が細い丸棒状のペン状部分34としたものである。その他の構成及び作用効果は上記第1実施形態と略同様である。
本第2実施形態において、小物7の先端側がペン状部分34とされていることに関して、把持部16も円柱状とされ、キャップ体5の小物収納部6や収納口部30も円形孔として形成されている。また小物7には把持部16寄りにネジ部35が形成されていると共に、小物収納部6内に雌ねじ部36が形成されて、これらの螺合によって小物7が小物収納部6に収納された状態が保持されるようになっている。
【0022】
図5は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第3実施形態を示している。本第3実施形態では、小物7の把持部16寄りに板バネ状に形成された弾性ストッパ37が設けられ、キャップ体5の小物収納部6内にはこの弾性ストッパ37と係合可能な係合孔38が設けられたものである。また、小物収納部6の最も奥方に、小物7が差し込まれたときにその先端部によって圧縮される飛び出しバネ39が組み込まれている。
そのため、小物収納部6に対して小物7を差し込むと、その先端部で飛び出しバネ39を圧縮するようになり、飛び出しバネ39にバネ力が蓄えられた状態で弾性ストッパ37が係合孔38に係合するようになる。これにより小物7が小物収納部6に収納された状態が保持される。
【0023】
小物7の取り出しは、係合孔38内の弾性ストッパ37を押しこむように操作するだけで、飛び出しバネ39のバネ力を受けた小物7が、把持部16を摘み易い程度まで飛び出させるようになるので、使用者はこの把持部16を摘んで引き出せばよいことになる。このことから、キャップ体5において収納口部30へ向けた面取り31は不要となっており、外観的なスッキリ感が更に増している。
その他の構成及び作用効果は第1実施形態(図1乃至図3参照)と略同様である。なお、小物7の形状は、第1実施形態のようなヘラ状部分15を有したものでも、第2実施形態のようなペン状部分34を有したものでもよい。
【0024】
図6は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第4実施形態を示している。本第4実施形態は、キャップ体5が、殻体50と覆い板51とを有したものとなっている。
殻体50は、容器本体2の口部3まわりを包囲する環状壁52と、この環状壁52の上部を閉鎖する中仕切り板53とによって形成されている。また覆い板51は、この殻体50の中仕切り板53上を覆うものとなっている。
要するに、本第4実施形態において、キャップ体5の天井部は、殻体50の中仕切り板53を覆い板51が覆う上下二重構造とされているが、キャップ体5の周壁11は殻体50の環状壁52自体で形成されていることになる。
【0025】
そして、殻体50の中仕切り板53と覆い板51との上下間に、小物7を収納可能な小物収納部6が形成され、殻体50の環状壁52に、小物収納部6に対して小物7を水平方向に出し入れ自在にする収納口部30が形成されている。
本第4実施形態において、その他の構成及び作用効果は第1実施形態(図1乃至図3参照)と略同様である。
図7は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第5実施形態を示している。本第5実施形態は、容器本体2の底部に対して小物収納部6が設けられたものである。
【0026】
すなわち、容器本体2は、内容物の収納スペース2aに面する中仕切り板55と、この中仕切り板55の外側(下側)を覆う覆い板56とによって上下二重に形成されている。そして、これら中仕切り板55と覆い板56との上下間に小物収納部6が形成されている。
中仕切り板55の外周部を取り囲むようにして環状壁57が設けられ、この環状壁57自体が容器本体2の周壁10を形成するものとなっている。この環状壁57に、収納口部30が形成されている。
【0027】
また、この環状壁57の略全周を介して覆い板56が連結されるものとなっている。
本第5実施形態において、その他の構成及び作用効果は第1実施形態(図1乃至図3参照)と略同様である。
図8乃至図10は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第6実施形態を示している。本第6実施形態は、基本的な構成及び作用効果は第1実施形態と略同様であるが、小物収納部6に対し、収納口部30の片隅に揺動軸60が立設され、この揺動軸60まわりで小物7が水平揺動自在に連結されている点で、第1実施形態と異なっている。
【0028】
小物7は、揺動軸60まわりの水平揺動によって小物収納部6から出たり入ったりする。
なお、このように小物7がキャップ体5に連結されたまま、水平揺動する構造であることから、この小物7は皿状のものをはじめ、パレットや鏡などとして形成するのが好適となっている(図例では鏡としている)。小物7を皿状とする場合、ここに容器本体2の内容物とは別種の内容物を詰めることができるのは言うまでもない。
図11は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第7実施形態を示している。本第7実施形態は、上記した第6実施形態をベースとして、揺動軸60に対して小物7を飛び出し方向へ付勢する飛び出しバネ65を付加したものであり、その他の構成及び作用効果は第6実施形態と略同様である。
【0029】
図12は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第8実施形態を示している。本第8実施形態において、基本的な構成及び作用効果は第1実施形態(図1乃至図3参照)と略同様であるが、小物7として、伸縮を伴って使用形体と収納形体とに変形可能に形成されたものを採用できるようにしている点が第1実施形態と異なり、この点に関して小物収納部6内に工夫がされている。
すなわち、小物7は、ヘラ状部分15が設けられた部材と把持部16が設けられた部材とが別体とされており、これらが伸縮自在に連結されている。縮めた全長Nはキャップ体5の外径Mより短く(当然に小物収納部6に収納可能な長さ)、伸ばした全長Lは、キャップ体5の外径Mよりも長くなるように形成されており(N<M<L)、この伸長状態は、互いの部材に設けられたフック部67,68が係合することで脱出不能に保持されるようになっている。
【0030】
これに対して小物収納部6内には、小物7が収納口部30内へ挿入されたときに、この小物7の先端(ヘラ状部分15)に当接してそれ以上の差し込みを困難にさせる変形誘導部69が形成されている。そのため、小物収納部6に小物7を差し込むだけで、小物7は伸びた使用状態から縮んだ収納状態へと伸縮変形を生じるようになる。
この変形誘導部69は、具体的には小物収納部6の内部の対向位置で平面視半円形に突出して、小物7の両側縁部に適度に当接するようになっている。
なお、小物7の先端寄りとなる部分に、側縁部がくびれるような形状を採用し、小物収納部6から小物7を引き出すときにこのくびれ部分が変形誘導部69に軽く引っ掛かり、その結果、小物7の引き出しと同時に伸長変形が生じるように工夫してある。
【0031】
図13は、本発明に係る小物収納部付き容器1の第9実施形態を示している。本第9実施形態も上記第8実施形態と同様に、基本的な構成及び作用効果は第1実施形態(図1乃至図3参照)と略同様である。
ただ、第8実施形態では伸縮変形する小物7を採用していたのに対し、本第9実施形態では、小物7として、屈曲を伴って使用形体と収納形体とに変形可能に形成されたものを採用できるようにしている。
すなわち、小物7は、ヘラ状部分15が設けられた部材と把持部16が設けられた部材とが別体とされており、これらが折曲軸72を介して揺動自在に連結されている。従って、「く」字状に折曲させることでキャップ体5の平面内に収納できる大きさとなり、折曲前の真っ直ぐな形状に展開させることでキャップ体5の外径Mよりも長くなるように形成されている。
【0032】
これに対して小物収納部6内には、小物7が収納口部30内へ挿入されたときに、この小物7の先端(ヘラ状部分15)に当接しながら挿入方向を横へ振らせるようにガイドする変形誘導部73が形成されている。そのため、小物収納部6に小物7を差し込むだけで、小物7は真っ直ぐな使用状態から「く」字状に折曲した収納状態へと屈曲変形を生じるようになる。
この変形誘導部73は、具体的には小物収納部6の奥方の壁をカムのように凹カーブさせたものとなっている。
【0033】
なお、小物収納部6内において、変形誘導部73と対向する側の壁面が凸カーブに形成されているため、小物収納部6から小物7を引き出すときに小物7の先端部がこの凸カーブで押し戻されるような作用を受けることになり、その結果、小物7の引き出しと同時に屈曲変形が戻されるように工夫してある。
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、容器本体2やキャップ体5において、それらの形成素材や細部の形状などは何ら限定されるものではない。また容器本体2に収納する内容物についても、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図3に対応する正面断面図である。
【図2】本発明に係る小物収納部付き容器の第1実施形態を示した斜視図である。
【図3】図2に対応する平面図である。
【図4】本発明に係る小物収納部付き容器の第2実施形態を示した正面断面図である。
【図5】本発明に係る小物収納部付き容器の第3実施形態を示した正面断面図である。
【図6】本発明に係る小物収納部付き容器の第4実施形態を示した正面断面図である。
【図7】本発明に係る小物収納部付き容器の第5実施形態を示した正面断面図である。
【図8】第6実施形態(図10)の小物収納部付き容器を示した正面断面図である。
【図9】本発明に係る小物収納部付き容器の第6実施形態を示した斜視図である。
【図10】図9に対応する平面図である。
【図11】本発明に係る小物収納部付き容器の第7実施形態を示した平面図である。
【図12】本発明に係る小物収納部付き容器の第8実施形態について小物収納部内が現れるように示した平面断面図であって(A)は小物の収納状態であり(B)小物の引き出しの途中であり(C)は小物の引き出し後である。
【図13】本発明に係る小物収納部付き容器の第9実施形態について小物収納部内が現れるように示した平面断面図であって(A)は小物の収納状態であり(B)小物の引き出しの途中であり(C)は小物の引き出し後である。
【符号の説明】
【0035】
1 小物収納部付き容器
2 容器本体
2a 収納スペース
3 口部
5 キャップ体
6 小物収納部
7 小物
20 内殻体
21 外殻体
23,52,57 環状壁
24,53,55 中仕切り板
25 外部環状壁
26,51,56 覆い板
30 収納口部
50 殻体
52 環状壁
60 揺動軸
69,73 変形誘導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(2)とこの容器本体(2)の口部(3)に外嵌装着されるキャップ体(5)とを有し、
容器本体(2)の底部又はキャップ体(5)の天井部は、
内容物の収納スペース(2a)に面する中仕切り板(24)(53)(55)とこの中仕切り板(24)(53)(55)の外側を覆う覆い板(26)(51)(56)とによって上下二重に形成されていると共にこれら中仕切り板(24)(53)(55)と覆い板(26)(51)(56)との上下間に小物(7)を収納可能な小物収納部(6)が形成されており、
上記中仕切り板(24)(53)(55)にはその外周部を取り囲む環状壁(23)(52)(57)が設けられていると共にこの環状壁(23)(52)(57)の略全周を介して上記覆い板(26)(51)(56)が連結されており、
上記環状壁(23)(52)(57)に上記小物収納部(6)に対して小物(7)を水平方向に出し入れ自在にする収納口部(30)が形成されている
ことを特徴とする小物収納部付き容器。
【請求項2】
容器本体(2)とこの容器本体(2)の口部(3)に外嵌装着されるキャップ体(5)とを有し、
キャップ体(5)は、
容器本体(2)の口部(3)まわりを包囲する環状壁(23)とこの環状壁(23)の上部を閉鎖する中仕切り板(24)とによって形成された内殻体(20)と、
この内殻体(20)の環状壁(23)を包囲する外部環状壁(25)と内殻体(20)の中仕切り板(24)上を覆うと共に上記外部環状壁(25)の上部を閉鎖する覆い板(26)とによって形成された外殻体(21)とを有し、
内殻体(20)の中仕切り板(24)と外殻体(21)の覆い板(26)との上下間には小物(7)を収納可能な小物収納部(6)が形成されていると共に、
内殻体(20)の環状壁(23)及び外殻体(21)の外部環状壁(25)における互いに合致する位置に上記小物収納部(6)に対して小物(7)を水平方向に出し入れ自在にする収納口部(30)が形成されている
ことを特徴とする小物収納部付き容器。
【請求項3】
容器本体(2)とこの容器本体(2)の口部(3)に外嵌装着されるキャップ体(5)とを有し、
キャップ体(5)は、
容器本体(2)の口部(3)まわりを包囲する環状壁(52)とこの環状壁(52)の上部を閉鎖する中仕切り板(53)とによって形成された殻体(50)と、
この殻体(50)の中仕切り板(53)上を覆う覆い板(51)とを有し、
殻体(50)の中仕切り板(53)と覆い板(51)との上下間には小物(7)を収納可能な小物収納部(6)が形成されていると共に、
殻体(50)の環状壁(52)に上記小物収納部(6)に対して小物(7)を水平方向に出し入れ自在にする収納口部(30)が形成されている
ことを特徴とする小物収納部付き容器。
【請求項4】
前記小物収納部(6)には、収納口部(30)の片隅に揺動軸(60)が立設されていると共に、この揺動軸(60)まわりで水平揺動することで小物収納部(6)から出たり入ったりする小物(7)が連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の小物収納部付き容器。
【請求項5】
前記小物収納部(6)には、伸縮又は屈曲を伴って使用形体と収納形体とに変形可能に形成された小物(7)が収納口部(30)内へ挿入されたときに当該小物(7)に当接して水平面内での伸縮変形又は屈曲変形を誘発させる変形誘導部(69)(73)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の小物収納部付き容器。
【請求項6】
前記小物収納部(6)は、小物(7)の先端から当該先端とは反対側となる後端までの長さを略収納可能な奥行きで形成されており、前記覆い板(26)(51)(56)は、小物収納部(6)に収納された小物(7)の後端だけを一部露出させる程度に前記中仕切り板(24)(53)(55)を覆う大きさで形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の小物収納部付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−67411(P2009−67411A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235534(P2007−235534)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000241625)エム・エフ・ヴィ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】