説明

少なくとも1つの電子構成部品をプリント回路基板に組み込むための方法、およびプリント回路基板

少なくとも1つの電子構成部品をプリント回路基板に組み込むための方法で、次の各ステップが提供されており、それは電子構成部品(1、2、3)を支持するためのプリント回路基板の層(4)を備えるステップと、接着剤(5)を層(4)の表面に塗布し、接着剤(5)によって層(4)上に電子構成部品(1、2、3)を固定するステップと、接着剤(5)から離れた側面または表面で、少なくとも1つの電気的導体層(8)を構成部品(1、2、3)上または構成部品(1、2、3)に付着する、または配置するステップと、電子構成部品(1、2、3)の接点(7)および/またはプリント回路基板で形成される導体トラックに従って電気的導体層(8)をパターン形成するステップとである。この方法に従って製造されるプリント回路基板もさらに提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電子構成部品をプリント回路基板に組み込むための方法ならびに、組み込まれた少なくとも1つの電子構成部品を含むプリント回路基板にも関する。
【背景技術】
【0002】
電子構成部品で提供される装置の製品機能の増大、そのような電子構成部品で進む小型化ならびに、プリント回路基板に装着される電子構成部品の増大という状況で、いくつかの電子構成部品を含む、効率的なフィールドのように、もしくはアレイのように構成された構成部品またはパッケージがますます使用され、それらは複数の接点および接続を備え、ますます前記接点間の距離が短縮されている。そのような構成部品を固定または接触するために、強力な解決策となるプリント回路基板の使用がますます必要とされており、製品サイズのほか、使用される構成部品およびプリント回路基板の同時縮小化を伴うことが期待されており、厚さとそのような素子の表面の両方に関して、プリント回路基板に必要な複数の接触パッド介してのそのような電子構成部品の装着または配置が課題となり、そのような接触パッドの使用可能なパターン定義が限界に達することが予期される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第03/065778号
【特許文献2】国際公開第03/065779号
【特許文献3】国際公開第2004/077902号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの課題を解決するために、今までのところ、電子構成部品を少なくとも部分的にプリント回路基板に組み込むことが提案されており、例えば、国際公開第03/065778号、国際公開第03/065779号、または国際公開第2004/077902号について参照されている。しかしながら、電子構成部品またはプリント回路基板に組み込まれた構成部品のそれら知られている方法および実施形態には、そのような電子構成部品または構成部品の受け側のプリント回路基板の基部に備えられるそれぞれに、くぼみや穴があるという欠点が伴い、そのような穴に構成部品を配置する前にさらに導体トラックが形成される。構成部品を接触させるには、はんだ付け工程および接着技術が使用され、通常、導体トラックの素子と電子構成部品の接触部位または接合部間で異なるタイプの材料間での接触部位または接触パッドという結果になる。詳細には、温度の大幅な違いにより影響される環境や温度の変りやすい領域でそのようなシステムを使用する場合、異なる熱膨張係数を考慮に入れると、接触部位または接合部の領域に異なる材料を使用するため、機械的および熱的に引き起こされる張力が生成され、その応力により少なくともの1つの接触部位または接合部が亀裂し、そのために、構成部品が破損する場合がある。その上、接触表面の製造にさらに必要な穴あけ、詳細にはレーザーによる穴あけも構成部品に応力をかけることが予測される。それに加えて、導体トラックおよび接触表面上で、生成されるくぼみまたはへこみに埋め込まれる構成部品の、はんだペーストまたはボンディングワイヤーによる接触またはボンディングは複雑で、特に、変化する熱応力の下で使用される場合には確実な達成ができないという欠点がある。さらに、プリント回路基板製造工程で、必要に応じて加えられる高圧および高温が、埋め込まれ接触される構成部品に応力をかけるという欠点もある。その上、より強力に応力のかかる可能性のある電子部品からの熱の除去または散逸で生じる問題もある。
【0005】
したがって、本発明はプリント回路基板に少なくとも1つの電子構成部品を組み込むことに関係する上述の問題の解消、または少なくとも大幅に減らすことを意図しており、詳細には、最初に定義した種類の方法ならびに、プリント回路基板も提供することを意図しており、それでは、単純化した工程コースで、配置および固定ならびにプリント回路基板への少なくとも1つの電子構成部品の接触の信頼性の強化が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的を解決するため、プリント回路基板へ少なくとも1つの電子構成部品を組み込むための方法は、実質上、次のステップから構成される:
電子構成部品を支持するためのプリント回路基板の層を備えるステップと、
接着剤を層の表面に塗布するステップと、
接着剤により層上に電子構成部品を固定するステップと、
接着剤から離れた側面もしくは表面で、少なくとも1つの電気的導体層を、構成部品上または構成部品に付着、または配置するステップと、
電子構成部品の接点および/またはプリント回路基板上に形成される導体トラックに従い電気的導体層をパターン形成するステップとである。
【0007】
本発明によると、電子構成部品を支持するためにプリント回路基板の層上に少なくとも1つの電子構成部品を装着または固定することが提供されており、それによって、最初に言及した従来技術とは対照的に、電子構成部品を受けるためのへこみ、またはくぼみの事前形成、および受けられる電子構成部品の接点に従って配置される接触部位または導体トラックの事前形成が不要とされることが可能である。したがって本発明によると、プリント回路基板へ組み込まれる少なくとも1つの電子構成部品の配置および位置決めの状況で大幅な簡素化が、電子構成部品の受け側開口部の生成の面倒な位置決めステップまたは準備ステップが省かれることが可能なようして提供される。電子構成部品を支持するための層上に電子構成部品の配置および固定の後、少なくとも1つの電気的導体層の付着または配置が接着剤から離れた側面もしくは表面上の、構成部品上または構成部品で行われ、組み込まれる電子構成部品の接点または接合部を備え、その上で、この電気的導体層のパターン形成が電子構成部品の接点やそれに伴う接続に従い、および/またはプリント回路基板上に形成される導体トラックに従って行われる。構成部品の配置および固定後の電気導体層のそのような形成またはパターン形成あるいは構築は、適切な接触に必要な精密な方法ステップを容易化する。その理由は、必要な接着および/または導体トラックが既に固定された電子構成部品と調整される方法で実現または形成されることが可能だからである。電子構成部品の接触パッドとの接触にも関係する、構成部品上または構成部品での電気的導体層の本発明による付着または配置により、入念で、電子構成部品のそのような接点または接合部のますます縮小する距離を考慮すると、例えば、はんだ付けまたはガルバニックあるいは接着工程を使用するますます複雑化する接触または接着方法が、さらに大部分省かれることが可能であるか、またはそのような工程が電気的伝導もしくは導体層の付着もしくは固定およびパターン形成後に簡素化された方法で行われることが可能である。本発明では、電気的導体層に生成される電子構成部品および/または導体トラックの接点または接合部に従ってプリント回路基板の電気的導体層のパターン形成または構築が少なくとも1つの電子構成部品の固定および電気的伝導または導体層の配置後にのみ行われることを提供しているので、プリント回路基板の既に形成された接触表面または導体トラックに対して電子構成部品の精密な位置決めを考慮した高度な要求は、知られている方法および構成とは対照的に省かれることが可能である。接着剤により層上に電子構成部品を固定した後に、電子構成部品の位置を決めることは簡単方法で可能であり、そこで、プリント回路基板の導体層の配置およびパターン形成が簡単かつ精密に位置決め可能な方法で実行されることが可能である。
【0008】
電子構成部品を固定した後に付着、または配置される少なくとも1つの電気的導体層の略平坦な位置決め表面を提供するため、さらにプリント回路基板の内部に少なくとも1つの電子構成部品を適切、安全、および保護された状態での埋め込みを確実にするため、電子構成部品が層に固定された後に、絶縁体、詳細にはプリプレグフィルムおよび/または樹脂で囲まれることが一好適な実施形態により提案されている。
【0009】
プリント回路基板に組み込まれる少なくとも1つの電子構成部品と接続され、組み込まれる構成部品の隣接部または支持表面を形成するプリント回路基板層は、必要に応じて厚さが非常に薄いので、接着剤を塗布する前に、電子構成部品を支持するための層がキャリア層またはコアに付着されることがさらに一好適な実施形態により提案されている。そのようなキャリア層により、接着剤の塗布の際、それに続く少なくとも1つの電子構成部品の固定の際に十分安定した土台が提供され、必要に応じて電気的導体層のパターン形成手順の前に、再び直ぐに除去されることが可能で、このことは、本発明による方法のさらに一好適な実施形態と一致して、電子構成部品の固定後に必要とされる。
【0010】
組み込まれる少なくとも1つの電子構成部品を適切に固定する場合、接着剤が固定される電子構成部品の配置と一致したパターンで層の表面に塗布されることがさらに一好適な実施形態により提案されている。それによって、特にプリント回路基板をさらに組み立てる場合、必要に応じてそれに続き、接着剤が少なくとも1つの電子構成部品の固定に影響されないそれらの領域で面倒な手順により再度除去される必要が回避される。接着剤はそれ自体知られている塗布方法で、例えば、スクリーン印刷、ロール塗布、拡散などにより塗布されることが可能である。組み込まれる少なくとも1つの電子構成部品の配置または装着後、接着剤は必要に応じて、硬化処理、例えば、加熱および/または指定波長の電磁放射による照射により硬化されることが可能である。あるいは、硬化可能で、詳細には、光学的に活性な接着フィルムが、例えば、組み込まれる電子構成部品の固定用に提供されることが可能であり、その接着フィルムには電子構成部品の配置後に、例えば、適切な硬化処理、詳細には感光処理が施される。
【0011】
既に上述のとおり、本発明による方法では、組み込まれる少なくとも1つの電子構成部品の固定および接触の後に、少なくとも1つの電気的導体層のパターン形成を提供しており、この接続において、導体層のパターン形成がレーザーパターン形成、フォトパターン形成などで行われることが一好適な実施形態により提案されている。そのようなパターン形成手順はそれ自体知られており、接触領域ならびに、接続される、または少なくとも1つの電子構成部品と接続される電気的導体または伝導層の領域で隣接する導体トラックを精密に形成することが可能である。
【0012】
プリント回路基板に少なくとも1つの電子構成部品を組み込むための知られている構成および方法では、既に上述のとおり、プリント回路基板、および特に、導体トラック定義層が最大限に可能な範囲まで完成されることが期待されており、そこで、少なくとも1つの電子構成部品が適切なへこみ、またはくぼみに配置され、それに続いて面倒なプロセスで接触される。それとは対照的に、本発明によると、プリント回路基板のさらなる構成または最終加工は少なくとも1つの電子構成部品の固定後に行われ、少なくとも1つの電子構成部品の固定に続く電気的導体層のパターン形成の後に、本発明による方法のさらに一好適な実施形態では、導体層のパターン形成後に、少なくとも1つの絶縁層が電子構成部品から離れたパターン形成された導体層の表面に付着されることが意図されている。
【0013】
本発明による方法により組み込まれた少なくとも1つの電子構成部品を備えるプリント回路基板が完成した状況で、さらに、少なくとも1つの伝導および/または非伝導層、例えばRCC箔が、本発明による方法のさらに一好適な実施形態と一致して追加付着、または配置されることが提案されている。そのようなRCC(樹脂付銅)箔は、それ自体知られており、電気的導体層と少なくとも1つの電子構成部品の適切な接触の後に、プリント回路基板のさらなる完成のために使用されることが可能であるか、または電子構成部品の固定に続く電気的導体層の配置および固定に関連して直接使用される。
【0014】
強力に応力のかかる可能性のある電子部品から生成された熱の除去または散逸については、電気的導体層から離れた電子構成部品側、詳細には、電子構成部品の固定領域で、少なくとも1つの開口部が熱の除去および/または構成部品の接触のために形成されることがさらに一好適な実施形態により提供されている。
【0015】
熱の散逸のさらなる改善、または電子構成部品内でスポット的に生成される可能性のある熱の拡散については、電子構成部品を支持する層が金属、詳細には、電気導体層で形成されることがさらに一好適な実施形態により提案されている。
【0016】
熱の散逸の支援、または高い熱負荷の状況下、特に、埋め込まれたり、組み込まれたりする電子構成部品の小領域で見込まれるスポットの拡散の支援との関連で、熱的に伝導または伝熱性のある接着剤が使用されることがさらに一好適な実施形態により提案されている。
【0017】
組み込まれる電子構成部品の接点または接合部の数をさらに増やすために、反対側の主表面で、そのそれぞれに、電気的導体層と接触される複数の接点が備えらた電子構成部品が使用されることが本発明による方法のさらに一好適な実施形態により提案されている。反対側の主表面に複数の接点がそれぞれ備えられた電子構成部品を使用することによって、接点または接合部の数は増大されることが可能であり、改善された熱の散逸または拡散に関連して既に上記で提案されているように、さらに電子構成部品を固定するための接着剤とともに提供される構成部品支持層が、電気的導体または伝導層により形成されることがこの状況では好適である。
【0018】
本発明の方法によると、電子構成部品は、電気的導体層のパターン形成直後にその機能性がテストされることが好適な方法でさらに提案されている。電気的導体層との電子構成部品の接合部または接触パッドの接続に続く電気的導体層のパターン形成直後の電子構成部品の機能性のそのような確認で、実現した接触の妥当性または完全性に関する確認またはテストも直ちに可能になり、その結果、知られている方法制御とは対照的に、少なくとも1つの電子構成部品の機能性または適切な接触が早期に既に検証されていることが可能となり、不良素子はプロセスコースの早期で既に廃棄されることが可能なので、その結果、誤った接触の結果の不良品およびコストが大幅に削減される。
【0019】
最初に言及した目的を解決するために、組み込まれた少なくとも1つの電子構成部品を含むプリント回路基板が実質的に電子構成部品を支持するための層を備え、それに対して、少なくとも1つの電子構成部品が接着剤により固定され、電子構成部品の固定後、少なくとも1つの電気的導体層が構成部品上または構成部品に配置され、電子構成部品の接点および/またはプリント回路基板の導体トラックに従ってパターン形成されることが可能である。既に上述のとおり、このようにしてプリント回路基板の電気的導体層と少なくとも1つの電子構成部品の接触部位または接合部との簡単で信頼できる接触を達成することが可能であり、それによって、精密に配置される穴または経路の事前形成を含む追加の高価な接触方法は不要とされることが可能である。プリント回路基板への少なくとも1つの電子構成部品の固定後、既に固定された電子構成部品を基準にして簡単で信頼できるパターン形成をさらに提供または達成することが可能である。
【0020】
信頼できる絶縁体および機械的安定性を提供し、ならびに組み込まれる構成部品を保護するために、電子構成部品が絶縁材料、詳細にはプリプレグフィルムおよび/または絶縁樹脂で囲まれるようにされることがさらに好適である。
【0021】
本発明によるプリント回路基板をさらに完成するために、本発明によるプリント回路基板のさらに一好適な実施形態に一致して、構成部品を埋め込み、絶縁および/または導体材料でできている複数の層が提供されることがさらに意図されている。
【0022】
より強い応力のかかる可能性のある電子構成部品からの熱を取り除くために、熱を除去するための少なくとも1つの開口部が、特に電子構成部品の周囲および/または支持の絶縁材料、詳細には、電子構成部品の固定の領域に備えられるようにすることがさらに好適である。
【0023】
続く部分で、本発明は、本発明による方法を使用した本発明によるプリント回路基板の、図面で略示される例示的実施形態によってさらに詳細が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】複数の電子構成部品が支持層に装着されている、本発明によるプリント回路基板を製造するための本発明による方法の最初の方法ステップの図である。
【図2】少なくとも1つの電気的導体層を付着、または配置するさらなる方法ステップの図である。
【図3】電子構成部品上への付着、または配置後に電気的導体層をパターン形成するステップの図である。
【図4】本発明によるプリント回路基板のさらなる層を配置するさらなる方法ステップの図である。
【図5】追加のパターン形成を実行し、熱放出開口部を形成した後の本発明によるプリント回路基板の図である。
【図6】主表面の両側に接点または接合部が備えられた、組み込まれる電子構成部品を使用した図5と類似した部分図である。
【図7】図2と類似した図で、組み込まれる複数の配置された構成部品上に電気的導体層を配置するための変更された方法ステップの図である。
【図8】固定または組み込まれた電子構成部品の領域で層をパターン形成するための、変更された実施形態によるさらなる方法ステップの図である。
【図9】接触パッドを形成する際の、変更された実施形態によるさらなる方法ステップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
プリント回路基板に少なくとも1つの電子構成部品を組み込むのに使用するプリント回路基板を製造するための最初のプロセス制御は、図1から図5により詳細に説明される。
【0026】
図1から明らかなように、プリント回路基板に組み込まれる複数の電子構成部品1、2、および3を支持する層4が提供されており、その層4は接着部位5を介して電子構成部品1、2、および3を固定する間、比較的厚い厚さのあるキャリア層6により支持される。
【0027】
電子構成部品1、2、および3を固定するのに使用される接着層5は、固定され、その後に組み込まれる構成部品1、2、および3の配置に従って、例えば、スクリーン印刷、ロール塗布などにより層4上に塗布される。少なくとも1つの電子構成部品1、2、もしくは3、または図1から図5で例示されている構成部品1、2、および3の配置と一致したパターンでそのような接着層を塗布する代わりに、接着フィルム5の配置または付着も想定されることが可能で、それは、固定される電子構成部品1、2、および3の配置に続くその後に、例えばフォト硬化により活性化される。
【0028】
固定され、組み込まれる電子構成部品1、2、および3のそれぞれでは、複数の接点7をさらに備えている。
【0029】
接着剤5による層4上への電子構成部品1、2、および3の固定に続いて、電気的導体層8がその後に、接着剤5から離れて面する側上の電子構成部品1、2、および3に付着、または配置され、図2で図示されている実施形態では、電気的導体層8はいわゆるRCC箔の一部で、それにより、電気的導体層8の配置後、個々の電子構成部品1、2、および3の間および/または接触部位7の領域の隙間はそれに応じて埋められるプラスチック、すなわち一般には絶縁材料により追加提供されている小領域9によって確保されており、絶縁材料の追加突起部が、固定される個々の電子構成部品1、2、および3の間の間隔または隙間に10で示されている。
【0030】
電気的導体層8で構成され、例えば、銅からできており図2で示されているRCC箔、および絶縁材料9を使用する代わりに、適切にエンボス加工された、または未エンボス加工のプリプレグ、および必要に応じて別個の銅フィルムも、固定および組み込まれる構成部品1、2、および3ならびに接点7の配置に従って、電気的導体層8として使用されることが可能である。
【0031】
組み込まれる電子構成部品1、2、および3接点または接合部7の領域に電気的導体層8を付着、または配置した直後に、キャリア層6が除去され、その上で、それに続き層4および電気的伝導層8のパターン形成または構成が、組み込まれる構成部品1、2、および3の接触部位7に従って行われ、伝導性接続が、図3で図示され、27で示されているように接触部位7とパターン形成された電気的導体層8のそれぞれの小領域8との間で、例えばレーザードリル加工および接点材料の充填により行われる。電気的導体層8のパターン形成の状況で、その後に製造されるプリント回路基板の適切な導体トラックも形成または備えられる。
【0032】
図4による例示では、図3で例示されているように、組み込まれる構成部品1、2、および3と接触した後、製造されるプリント回路基板のさらなる構築は、例えば、組み込まれる構成部品1、2、および3を支持する層4と電気的導体層8の両方に連続的に、追加層を付着する、または備えることから構成されることが示されている。プリント回路基板のさらなる構築は、例えば、一例として厚さ40マイクロメートルを介挿されたプリプレグ11を介しての銅フィルムまたは銅層12および13の配置または固定から構成され、例えば製造されるプリント回路基板の下側の領域で、25マイクロメートル未満、例えば約18マイクロメートルの厚さを有する銅フィルム12が配置され、一方、電気的導体層8およびプリプレグ11に連続的に、下側と類似した厚さを有する銅フィルム、または50マイクロメートルを超える、詳細には一例として、80マイクロメートルを有する厚い銅フィルム13も同様に配置される。
【0033】
図5による例示から、図4の例示に従い追加して付着された層11、12、および13にはさらなるパターン形成または構成が行われることも明らかであり、レーザー穴が、一例として図5の14で表示される、例えば、製造される接触部分の領域に再度備えられる。
【0034】
組み込まれる構成部品1、2、および3からの熱を除き去るために、熱放出開口部15がさらに備えられ、構成部品1および2については図5で示されている。
【0035】
熱の散逸を支援または改善するために、組み込まれる構成部品1、2、および3を支援するために使用される層4がさらに、例えば銅のような金属からできているようにされることが可能で、その結果、層4は、この金属材料の優れた熱伝導性により、熱放出開口部15を介して、特に、構成部品1および2の領域で見込まれる熱の不均一な形成のそれに応じた信頼でき、強化された放出をその後に確保することができる。
【0036】
熱の移動、または特に、電子構成部品1および2により生成される熱のより均一な拡散をさらに支援するために、固定用に使用される接着剤5がさらに熱的に伝導性のある接着剤から形成されるようにされることが可能である。
【0037】
図6による例示から、複数の構成部品1、2、および3が組み込まれ、接着剤5によって備えられた接着部位から離れて面する側にそれぞれ接点または接合部7が備えられた図1から図5に従って形成されるプリント回路基板を変更するものとして、接着剤5により層4に再度固定される電子構成部品16が接着剤5から離れて面する側に提供され、それは再度7で表示される接点を備え、第2の主表面には、例えば、銅からできている下部側17を備えており、その結果、接点7およびその下側17の両方を介して構成部品16の接触が可能となっていることは明らかである。
【0038】
そのような構成では、一方で接触表面または部位の数が増大し、他方では、組み込まれた電子構成部品16の下側に銅層17が備えられているので、接触パッド18を介して熱の改善された散逸を確保でき、その接触パッドはこのようにして、接触を可能にするためだけではなく、必要に応じて、熱の改善された散逸を確保するためにも使用されることが可能である。
【0039】
製造されるプリント回路基板の、図7から図9で例示された変更された実施形態から、組み込まれる複数の素子または構成部品は、図1から図5による実施形態と同様に、再度1、2、および3で表示され、それぞれが接着剤または接着部位5により層4に再度固定されていることは明らかである。
【0040】
図7で例示されている実施形態では、除去後の図1によるキャリア層6が、図4による例示で既に類似したものがあったように、製造されるプリント回路基板のさらなる層に置き換えられ、前記さらなる層は、例えばRCC箔から再度形成されており、その結果、介挿された絶縁層19を介して、さらなる導体または伝導層20、詳細には銅層を提供する。
【0041】
組み込まれる電子構成部品1、2、および3の、再度7で表示される接点またはパッドを接触するために、絶縁中間層22に加えて、そのパターン形成が埋め込まれる電子構成部品1、2、および3の個々の接合部または接点7の位置決めにより調整され、それぞれ、どちらの側にも電気的導体層または素子23または24を備える、前処理済みの両側コアを使用した、多重層構造21が図7による実施形態で採用されている。
【0042】
組み込まれる個々の構成部品1、2、および3間の隙間または空間ならびに、接点または接合部7の領域を埋めるため、図2で示されているような絶縁材料が再度使用される。
【0043】
両側コア21および追加の層19と20の両方を固定した後、図3による例示のような、例えばレーザードリル加工を使用した、パターン形成が再度行われ、最終的に図9で例示されているように、組み込まれる構成部品1、2、および3の接点7がその後に接触され、同時に、それぞれの接触パッド25が形成される。
【0044】
図1から図5による実施形態と同様の方法で、構成部品1および2には熱放出開口部26が再度備えられ、必要に応じて、その開口部は熱の散逸を支援する適切な材料で充填されることが可能である。
【0045】
例えば、P−MOSFET、D−MOSFET、またはICすなわち集積回路で構成される、図面に提示された電子構成部品1、2、および3の代わりに、他の様々な構成部品が組み込まれたり、配置されたりすることができ、そのような構成部品はアクティブもしくはパッシブな構成部品および/またはロジック構成部品で構成されることが可能である。
【0046】
図で例示している、さらなる層11、12、13、または19から24までの配置に加え、要求に応じて、特に多重層プリント回路基板の製造で、さらに追加の層を提供することも可能であり、その場合、製造される接続に応じてパターン形成され、相互に結合されることが可能である。
【0047】
例えば、図で示した構成部品1、2、および3が組み込まれ、基本的に部分的にしか完成していない図5、図6、または図9で図示された多重層プリント回路基板とは別に、そのようなプリント回路基板のさらなる処理または仕上げ加工が知られている処理ステップまたは方法を使用して行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子構成部品をプリント回路基板に組み込むための方法であって、
電子構成部品(1、2、3、16)を支持するためのプリント回路基板の層(4)を備えるステップと、
接着剤(5)を層(4)の表面に塗布するステップと、
接着剤(5)によって層(4)上に電子構成部品(1、2、3、16)を固定するステップと、
接着剤(5)から離れた側面または表面で、少なくとも1つの電気的導体層(8、23、24)を構成部品(1、2、3、16)上または構成部品(1、2、3、16)に付着する、または配置するステップと、
電子構成部品の接点および/またはプリント回路基板で形成される導体トラックに従って電気的導体層(8、23、24)をパターン形成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
電子構成部品(1、2、3、16)が層に固定された後に、絶縁材料(9、10)、詳細にはプリプレグフィルムおよび/または樹脂によって囲まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電子構成部品(1、2、3、16)を支持するための層(4)が、接着剤(5)の塗布の前にキャリア層(6)またはコアに付着されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
キャリア層(6)が電子構成部品(1、2、3、16)の固定後に除去されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
接着剤(5)が、固定される電子構成部品(1、2、3、16)の配置と一致したパターンで層(4)の表面に塗布されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
電気的導体層(8、23、24)のパターン形成が、レーザーパターン形成、フォトパターン形成などで行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
電気的導体層(8、23、24)のパターン形成後に、少なくとも1つの絶縁層(11、22)が、電子構成部品(1、2、3、16)から離れたパターン形成された電気的導体層(8、23、24)の表面に付着されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
例えば、RCC箔などの、少なくとも1つ伝導および/または非伝導層(9、11、19、21)が追加して付着、または配置されことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電気的導体層から離れた電子構成部品(1、2、3、16)側、詳細には電子構成部品の固定領域で、少なくとも1つの開口部(15、18、26)が熱の除去および/または構成部品への接触のために形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
電子構成部品(1、2、3、16)を支持するための層(4)が金属、および詳細には、電気的導体層により形成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
熱的に伝導または伝熱性のある接着剤(5)が使用されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
反対側の主表面で、そのそれぞれに、電気的導体層(4、8)と接触される複数の接点(7、17)が備えられた電子構成部品(16)が使用されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電子構成部品(1、2、3、16)は、電気的導体層(8、23、24)のパターン形成直後にその機能性がテストされることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
電子構成部品(1、2、3、16)を支持するための層(4)を備え、少なくとも1つの電子構成部品(1、2、3、16)が接着剤(5)により固定される、少なくとも組み込まれた1つの電子構成部品を含むプリント回路基板であって、電子構成部品(1、2、3、16)の固定後に、少なくとも1つの電気的導体層(8、23、24)が構成部品(1、2、3、16)上または構成部品(1、2、3、16)に配置され、電子構成部品(1、2、3、16)の接点(7)および/または導体トラックまたはプリント回路基板に従ってパターン形成されることが可能なプリント回路基板。
【請求項15】
電子構成部品(1、2、3、16)が絶縁材料(9、10)、詳細にはプリプレグフィルムおよび/または絶縁樹脂で囲まれることを特徴とする、請求項14に記載のプリント回路基板。
【請求項16】
構成部品(1、2、3、16)を埋め込み、絶縁および/または導体材料でできている複数の層(9、11、19、21)が提供されることを特徴とする、請求項14または15に記載のプリント回路基板。
【請求項17】
熱を除去するための少なくとも1つの開口部(15、18、26)が、特に電子構成部品(1、2、3、16)の周囲および/または支持の絶縁材料、詳細には電子構成部品の固定の領域に備えられるようにすることを特徴とする、請求項14、15、または16に記載のプリント回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−522403(P2011−522403A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510779(P2011−510779)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000224
【国際公開番号】WO2009/143550
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(505420013)アーテー・ウント・エス・オーストリア・テヒノロギー・ウント・ジュステームテッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト (19)
【氏名又は名称原語表記】AT & S AUSTRIA TECHNOLOGIE & SYSTEMTECHNIK AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】