説明

少なくとも1種の摩擦改良用化合物を含有して成る組成物およびそれの使用方法

【課題】 少なくとも1種の摩擦改良用化合物を含有して成る組成物およびそれの使用方法。
【解決手段】 少なくとも1種のアニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を含有して成っていて前記アニオン性化合物および前記カチオン性化合物の中の少なくとも一方が摩擦改良剤である潤滑油組成物を開示し、この組成物は(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アニオン性化合物とカチオン性化合物を含有して成っていて前記アニオン性化合物および前記カチオン性化合物の中の少なくとも一方が摩擦改良剤(friction modifier)である組成物に関する。本明細書では、また、この開示する組成物の使用方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
いろいろな特性を有するギアオイルがかなりの数で製造されているが、抗摩耗性の向上、熱安定性の向上、酸化安定性の向上、燃料効率の向上、温度ロールオーバー効果(temperature roll over effect)の向上、騒音低下、摩耗低下および孔食低下の中の少なくとも1つをもたらす添加剤または添加剤組み合わせの必要性が存在する。特に、そのような特性の中の少なくとも1つを機械、例えば歯車(この歯車がある期間またはある距離に渡って慣らし運転を受けていない時)などに与える能力を有する添加剤の必要性が存在する。また、前記特性の中の少なくとも1つをけん引負荷がかかる前の歯車に与える能力を有する添加剤も求められている。
【0003】
最後に、上述した特性の中の少なくとも1つを満足させる能力を有しかつ更に産業的標準、例えばASTM D−6121の高温変動(“高温L−37試験”)などに合格する添加剤の必要性も存在する。
【0004】
本開示の要約
本開示に従い、少なくとも1種のアニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を含有して成っていて前記アニオン性化合物および前記カチオン性化合物の中の少なくとも一方が摩擦改良剤である潤滑油組成物を提供し、この組成物は、(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを有する。
【0005】
1つの面において、また、(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを示す組成物を製造する方法も提供し、この方法は、アニオン性化合物およびカチオン性化合物の中の少なくとも一方が炭素原子数が約10から約30の摩擦改良用化合物である少なくとも1種のアニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を準備することを含んで成る。
【0006】
本開示の追加的目的および利点を以下の説明の中にある程度示しそして/またはそれを本開示の実施によって習得することができるであろう。本開示の目的および利点を特に添付請求項に指摘する要素および組み合わせを用いて実現および達成する。
【0007】
この上に示した一般的説明および以下に行う詳細な説明は単に典型的および説明的であり、請求する如き開示を制限するものでないと理解されるべきである。
【0008】
態様の説明
用語“ヒドロカルビル,”“ヒドロカルビル置換基”または“ヒドロカルビル基”を本明細書で用いる場合、これを本分野の技術者に良く知られている通常の意味で用いる。具体的には、それは分子の残りと直接結合する炭素原子を有していて主に炭化水素の特徴を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には下記が含まれる:
(1)炭化水素置換基、即ち脂肪(例えばアルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基および芳香−,脂肪−および脂環−置換芳香
置換基ばかりでなく環が分子の別の部分を通して完結している環式置換基(例えば2個の置換基が一緒になって脂環式基を形成している);
(2)置換炭化水素置換基、即ち本発明に関連して主に炭化水素の置換基を変えることのない基(炭化水素基以外)[例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソおよびスルホキシ]を含有する置換基;
(3)複素置換基、即ち主に炭化水素特徴を有するが本発明に関連して環もしくは鎖内に炭素以外の原子を含有していて他は炭素原子で構成されている置換基(ヘテロ原子には硫黄、酸素、窒素が含まれる)[ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルの如き置換基を包含]。
【0009】
ヒドロカルビル基内に存在する炭化水素以外の置換基の数は一般に炭素原子10個当たり2個以下、例えば1個以下であり、典型的には、炭化水素以外の置換基をヒドロカルビル基内に存在させない。
【0010】
用語“重量パーセント”を本明細書で用いる場合、特に明記しない限り、これは示す成分が組成物全体の重量を占めるパーセントを意味する。
【0011】
本明細書に開示する組成物は温度ロールオーバー効果および合格高温L−37スコアの両方を示し得る。“温度ロールオーバー効果”を本明細書で用いる場合、これは流体が風洞手順で示す高流体温度(TMAX)と試験終了時温度(TEOT)の間の差(Troll over)が約27°F以上である時の効果を指す。“合格高温L−37スコア”を本明細書で用いる場合、これは高温L−37試験における試験条件下で試験機械が達成する結果を指す。この試験の結果を0から10のスケールで測定し、数値が小さいことは歯車装置内の摩耗および疲労がひどいか或は苛酷であることを示しそして数値が高いことは摩耗も疲労もほとんどか或は全くないことを指す。
【0012】
本組成物は機械、例えば軽量車軸(light duty axles)および固定式変速機などで用いるに適した潤滑油組成物であり得る。この開示する組成物は当該機械が低および高温および/または可変負荷条件にさらされる時に上述した特性の中の少なくとも1つを与え得ると考えている。1つの面において、この開示する組成物は例えばけん引負荷(towing)がかかる前にある期間または距離に渡って慣らし運転を受けていない車軸などに適用可能であり得る。別の面における軽量車軸はハイポイド歯車軸(hypoid gear axle)である。更に別の面において、この開示する組成物は、少なくとも歯車を摩耗から保護する度合を向上させる目的で、普通乗用車、トラックおよび差別的経験で限定滑り機構(limited slip mechanisms in the differential experience)を示すか或は示さないスポーツ用多目的車に適用可能である。本潤滑油組成物は如何なる摩耗材料、例えば紙、鋼または炭素繊維などにも適切に使用可能である。更に別の面における本組成物はトップトリート(top treat)濃縮液であり得、これを基油と混合/ブレンド/組み合わせることで機械で用いるに適した潤滑油組成物を調合する。
【0013】
この開示する組成物はアニオン性化合物およびカチオン性化合物を含有して成っていてもよく、前記アニオン性化合物および前記カチオン性化合物の中の少なくとも一方が摩擦改良剤である。摩擦改良剤は炭素原子数が約10から約30の化合物を意味すると理解する。1つの面では、本組成物に摩擦改良用のアニオン性化合物およびカチオン性化合物を含有させてもよい。別の面では、本組成物にアニオン性化合物および摩擦改良用のカチオン性化合物を含有させてもよい。さらなる面では、本組成物に摩擦改良用アニオン性化合物および摩擦改良用カチオン性化合物を含有させてもよい。
【0014】
この開示する組成物に用いるに適したアニオン性化合物は、有機カルボン酸、有機燐酸、有機スルホン酸、無機燐酸およびこれらの混合物の共役塩基の中の少なくとも1種であってもよい。“共役塩基”を本明細書で用いる場合、これはブレンステッド−ラウリ酸がプロトンを失った時に生じる負に帯電したイオンを意味すると理解する。1つの面における有機カルボン酸は直鎖もしくは分枝の飽和もしくは不飽和酸であってもよく、これの炭素原子数は約5から約40、例えば炭素原子数は約10から約30であってもよい。そのような有機カルボン酸は脂肪酸であってもよい。有機カルボン酸の非限定例にはオクテン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸およびこれらの混合物が含まれる。
【0015】
1つの面におけるアニオン性化合物は、有機燐酸、例えばジアルキル燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキルジチオ燐酸、モノアルキルジチオ燐酸、ジアルキルチオ燐酸、モノアルキルチオ燐酸およびこれらの混合物などの共役塩基であり得る。そのような有機燐酸の他の非限定例には、アミルアシッドホスフェート、ジアミルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジアルキルジチオ燐酸およびこれらの混合物が含まれる。
【0016】
前記ジアルキルチオ燐酸の非限定例には、以下に示す式(II)および(IV)で表される化合物の中の少なくとも1種が含まれる:
【0017】
【化1】

【0018】
ここで、nは約1から約5の整数であり、そして
,R,R,R,R,R,R10およびR11は、独立して、水素,シアノおよび炭素原子数が約1から約30、例えば炭素原子数が約1から約20、さらなる例として炭素原子数が約1から約10のヒドロカルビル基から成る群から選択可能である。
【0019】
1つの態様では、前記アニオン性化合物を潤滑用組成物にこの組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%、例えば約0.2重量%から約0.6重量%の範囲の量で存在させてもよい。別の態様では、前記アニオン性化合物をトップトリート組成物に上述した濃度に一致する完成配合物がもたらされるに充分な量で存在させてもよい。典型的には、トップトリートに含有させる添加剤の濃度の方が完成配合物のそれよりもずっと高い。
【0020】
この開示する組成物で用いるに適したカチオン性化合物は、基油を含有して成る潤滑用組成物に可溶である限り如何なるカチオン性化合物であってもよい。そのようなカチオン性化合物の非限定例には、アミド、アミンおよび塩基性窒素含有複素環式化合物、例えばピリジンなどの共役酸が含まれる。“共役酸”を本明細書で用いる場合、これはブレンステッド−ラウリ塩基がプロトンを取得した時に生じる正に帯電したイオンを意味すると理解する。1つの面におけるカチオン性化合物は、アミン(これは第一級,第二級または第三級であってもよい)の共役酸である。
【0021】
そのようなアミンは一般式R’NH[式中、R’は炭素原子数が約15以下のヒドロカルビル基であってもよく、これは炭素原子数が約4から約30の脂肪ヒドロカルビル基であってもよい]で表される得る。
【0022】
1つの面におけるカチオン性化合物は、炭素原子を約12から30個含有する長鎖の第一級,第二級および第三級アルキルアミンの共役酸であってもよく、それには、それらのヒドロキシアルキルおよびアミノアルキル誘導体が含まれる。その長鎖アルキル基は場合によりエーテル基を1個以上含有していてもよい。適切なカチオン性化合物の非限定例にはオレイルアミン、N−オレイルトリメチレンジアミン、N−獣脂ジエタノールアミン、N,N−ジメチルオレイルアミンおよびミリスチルオキサプロピルアミンの共役酸が含まれる。
【0023】
1つの面におけるアミンは、ヒドロカルビル基中の炭素原子数が約4から約30、例えばヒドロカルビル基中の炭素原子数が約8から約20の第一級ヒドロカルビルアミンであり得る。そのヒドロカルビル基は飽和または不飽和であってもよい。第一級飽和アミンの代表例は脂肪族第一級脂肪アミンとして知られるアミンである。典型的な脂肪アミンには、アルキルアミン、例えばn−ヘキシルアミン,n−オクチルアミン,n−デシルアミン,n−ドデシルアミン,n−テトラデシルアミン,n−ペンタデシルアミン,n−ヘキサデシルアミン,n−オクタデシルアミン(ステアリルアミン)などが含まれる。そのような第一級アミンは蒸留品および工業品の両方で入手可能である。蒸留品を用いると純度が高い反応生成物を生じさせることができる一方、工業品のアミンを用いると反応中にアミドおよびイミドが生じる可能性がある。また、混合脂肪アミンも適切である。
【0024】
1つの面におけるカチオン性化合物は、アルキル基中の炭素原子数が少なくとも約4の第三脂肪第一級アミンの共役酸であり得る。たいてい、それらはアルキル基中の炭素原子総数が約35未満のアルキルアミンに由来し得る。
【0025】
第三脂肪第一級アミンは一般に式
【0026】
【化2】

【0027】
[式中、R,RおよびRは、同一または異なってもよく、炭素原子数が約1から約30のヒドロカルビル基であり得る]
で表されるモノアミンである。そのようなアミンの例は第三ブチルアミン、第三ヘキシル第一級アミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、第三オクチル第一級アミン、第三デシル第一級アミン、第三ドデシル第一級アミン、第三テトラデシル第一級アミン、
第三ヘキサデシル第一級アミン、第三オクタデシル第一級アミン、第三テトラコサニル第一級アミン、第三オクタコサニル第一級アミンである。
【0028】
また、アミン混合物の共役酸も本開示の目的で用いるに有用である。そのような種類のアミン混合物の非限定例は、C−C14第三アルキル第一級アミンの混合物およびC16−C24第三アルキル第一級アミンの同様な混合物であり得る。第三アルキル第一級アミンおよびそれらの製造方法は本分野の通常の技術者に良く知られており、従って、さらなる考察は必要ないであろう。
【0029】
また、炭化水素鎖がオレフィン不飽和を含有する第一級アミンの共役酸も極めて有用である。このように、R基は、鎖長に応じてオレフィン不飽和を少なくとも1個含有していてもよいが、二重結合の数は一般に炭素原子10個当たり1以下である。本開示の目的で用いるに有用な代表的化合物には、ドデセニルアミン、ミリストレイルアミン、パルミトレイルアミン、オレイルアミンおよびリノレイルアミンの共役酸が含まれる。
【0030】
また、第二級アミンの共役酸も有用であり得る。第二級アミンの例には、この上に示したアルキル基を2個有するジアルキルアミンが含まれ、それには脂肪第二級アミンおよびまた混合ジアルキルアミンも含まれ、この場合、R’は脂肪アミンであってもよくそしてR”は低級アルキル基(炭素原子数が1−9)、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチルなどであってもよいか、或はR”は他の非反応性もしくは極性置換基(CN,アルキル,カルバルコキシ,アミド,エーテル,チオエーテル,ハロ,スルホキサイド,スルホン)を持つアルキル基であってもよい。そのような脂肪ポリアミンジアミンには、モノ−もしくはジアルキル、対称もしくは非対称エチレンジアミン、プロパンジアミン(1,2,または1,3)および前記のポリアミン類似物が含まれ得る。適切な脂肪ポリアミンには、N−ココ−1,3−ジアミノプロパン、N−大豆アルキルトリメチレンジアミン、N−獣脂−1,3−ジアミノプロパンおよびN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンが含まれる。
【0031】
1つの態様では、前記カチオン性化合物を潤滑用組成物にこの組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%、例えば約0.2重量%から約0.6重量%の範囲の量で存在させてもよい。別の態様では、前記カチオン性化合物をトップトリート組成物に上述した濃度に一致した完成配合物がもたらされるに充分な量で存在させてもよい。
【0032】
前記アニオン性化合物と前記カチオン性化合物を反応、混合、ブレンドおよび/または一緒にすることで塩を生じさせてもよい。このような塩の調製は前記アニオン性化合物と前記カチオン性化合物を室温(23℃)以上の温度で約1時間以内の時間反応、混合または一緒にすることで実施可能である。本開示の塩を生じさせる目的で前記アニオン性化合物と反応させる前記カチオン性化合物の量は、アニオン性化合物1当量当たり少なくとも約1当量のカチオン性化合物の量である。
【0033】
1つの態様では、本塩を潤滑用組成物にこの組成物の総重量を基準にして約0.1重量%から約1.5重量%の範囲の量で存在させてもよい。別の態様では、本塩をトップトリート組成物に上述した濃度と一致した完成配合物がもたらされるに充分な量で存在させてもよい。
【0034】
1つの面における本塩には、燐酸のアミン塩、チオ燐酸のアミン塩およびジチオ燐酸のアミン塩の中の少なくとも1つが含まれ得る。例えば、チオ燐酸を少なくとも1種のカチオン性化合物と反応、混合、ブレンドおよび/または一緒にすることで塩、例えば式(III)および(VI):
【0035】
【化3】

【0036】
[式中、
nは1から5の整数であり、そして
,R,R,R,R,R,R,R,R,R10およびR11は、独立して、水素、シアノおよび炭素原子数が約1から約30、例えば炭素原子数が約1から約20、さらなる例として、炭素原子数が約1から約10のヒドロカルビル基から成る群から選択可能である]
で表される化合物の中の少なくとも一方を生じさせることができる。1つの面において、式(VI)中のRおよびRはメチルであってもよく、R,R,R,R,RおよびRは水素であってもよく、Rは第三C12−14アルキル基であってもよく、そしてR10およびR11は、炭素原子数が約1から約6のアルキル基であってもよい。1つの面において、式(III)中のR,R,R,R,RおよびRは水素であってもよく、RおよびRはメチルであってもよく、そしてRは第三C12−14アルキル基であってもよい。
【0037】
そのような塩を生じさせる方法は良く知られていて文献に報告されている。例えば米国特許第2,063,629;2,224,695;2,447,288;2,616,905;3,984,448;4,431,552;5,354,484;Pesin他,Zhurnal Obshchei Khimii,31(8):2508−2515(1961);およびPCT国際出願公開番号WO87/07638(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0038】
この開示する方法は溶媒の使用を包含し得る。そのような溶媒は、少なくとも1種の反応体が溶解するか或は生成物が溶解する不活性な流動性物質のいずれであってもよい。非限定例にはベンゼン,トルエン,キシレン,n−ヘキサン,シクロヘキサン,ナフサ,ジエチルエーテルカルビトール,ジブチルエーテルジオキサン,クロロベンゼン,ニトロベンゼン,四塩化炭素,クロロホルム,基油,例えばガスツーリキッド(gas−to−liquid)およびポリアルファオレフィンなど、および加工油が含まれる。
【0039】
本発明に従う組成物の配合で用いるに適した基油は、合成もしくは鉱油またはこれらの混合物のいずれからも選択可能である。天然油には動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油)ばかりでなく潤滑用鉱油、例えば液状石油および溶媒による処理または酸に
よる処理を受けたパラフィン系、ナフテン系またはパラフィン系−ナフテン系混合型の潤滑用鉱油が含まれる。また、石炭または頁岩から誘導された油も適切である。更に、またガスツーリキッド方法で得られる油も適切である。
【0040】
そのような基油を主要量で存在させてもよく、ここで、主要量は、当該潤滑用組成物の50重量%に等しいか或はそれ以上、例えば約80から約98重量パーセントを意味すると理解する。
【0041】
そのような基油が100℃で示す粘度は典型的に例えば約2から約15cSt、さらなる例として、約2から約10cStである。従って、基油の粘度は一般に約SAE50から約SAE250の範囲、より一般的には約SAE70Wから約SAE140の範囲であり得る。適切な自動車用油にはまたクロスグレード(cross−grades)、例えば75W−140,80W−90,85W−140,85W−90なども含まれる。
【0042】
合成油の非限定例には、炭化水素油、例えばオレフィンの重合体および共重合体(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンとイソブチレンの共重合体など);ポリアルファオレフィン、例えばポリ(1−ヘキセン)、ポリ−(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)などおよびこれらの混合物;アルキルベンゼン[例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ−ノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど];ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル置換ポリフェニルなど);アルキル置換ジフェニルエーテルおよびアルキル置換ジフェニルスルフィド、そしてそれらの誘導体、類似物および同族体などが含まれる。
【0043】
アルキレンオキサイド重合体および共重合体、そしてそれらの末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などによる修飾を受けている誘導体が使用可能な別の種類の公知合成油を構成している。そのような油の例は、エチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの重合で作られた油、そのようなポリオキシアルキレン重合体のアルキルおよびアリールエーテル(例えば平均分子量が約1000のメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量が約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量が約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)またはそれらのモノ−およびポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3−8脂肪酸エステルまたはC13オキソ酸ジエステルなどである。
【0044】
使用可能な別の種類の合成油には、ジカルボン酸(例えばフタル酸、こはく酸、アルキルこはく酸、アルケニルこはく酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)といろいろなアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)のエステルが含まれる。そのようなエステルの具体例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールと2モルのオクチル酸を反応させることで生じさせた複合エステルなどが含まれる。
【0045】
また、合成油として用いるに有用なエステルには、C5−12モノカルボン酸とポリオールとポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどから作
られたエステルも含まれる。
【0046】
従って、本明細書に記述する如き組成物を製造する時に用いる使用可能な基油は、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesが指定する如きグループI−Vに入る基油のいずれからも選択可能である。そのような基油グループは下記の通りである:
グループIは飽和物含有量が90%未満でありそして/または硫黄含有量が0.03%より高くそして粘度指数が80に等しいか或はそれ以上から120未満であり、グループIIは飽和物含有量が90%に等しいか或はそれ以上でありかつ硫黄含有量が0.03%に等しいか或はそれ以下でありそして粘度指数が80に等しいか或はそれ以上から120未満であり、グループIIIは飽和物含有量が90%に等しいか或はそれ以上でありかつ硫黄含有量が0.03%に等しいか或はそれ以下でありそして粘度指数が120に等しいか或はそれ以上であり、グループIVはポリアルファオレフィン(PAO)であり、そしてグループVにグループIにもIIにもIIIにもIVにも入らない他のベースストック(base stocks)の全部が含まれる。
【0047】
前記グループの限定で用いられる試験方法は、飽和物の場合のASTM D2007、粘度指数の場合のASTM D2270、そして硫黄の場合にはASTM D2622、4294、4927および3120の中の1つである。
【0048】
グループIVのベースストック、即ちポリアルファオレフィン(PAO)には、アルファ−オレフィンのオリゴマーの水添品が含まれ、オリゴマー化の最も重要な方法はフリーラジカル方法、チーグラー触媒反応、およびカチオン性、フリーデルクラフツ触媒反応である。
【0049】
そのようなポリアルファオレフィンが100℃で示す粘度は典型的に2から100cSt、例えば100℃で4から8cStである。それらは、例えば炭素原子数が約2から約30の分枝もしくは直鎖アルファ−オレフィンのオリゴマーであってもよく、非限定例には、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテンおよびポリ−1−デセンが含まれる。ホモ重合体、共重合体および混合物が含まれる。
【0050】
この上に示したベースストックのバランスに関して、「グループIのベースストック」には、また、他の1つ以上のグループのベースストック1種または2種以上が混ざっていてもよいグループIのベースストックも含まれるが、但しその結果としてもたらされる混合物がこの上にグループIのベースストックに関して指定した特性の範囲内の特性を有することを条件とする。
【0051】
典型的なベースストックにはグループIのベースストックおよびグループIIのベースとグループIのブライトストック(bright stock)の混合物が含まれる。
【0052】
本明細書で用いるに適したベースストックは多種多様な方法を用いて製造可能であり、そのような方法には、これらに限定するものでないが、蒸留、溶媒による精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化および再精製が含まれる。
【0053】
そのような基油はフィッシャー・トロプシュ合成炭化水素から誘導された油であってもよい。フィッシャー・トロプシュ合成炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を用いてHとCOを含有する合成ガスから製造可能である。そのような炭化水素は、典型的に、これが基油として有用であるようにする目的で、さらなる処理を必要とする。例えば、
そのような炭化水素に米国特許第6,103,099号または6,180,575号に開示されている方法を用いた水素化異性化を受けさせ(hydroisomerized)てもよいか、米国特許第4,943,672号または6,096,940号に開示されている方法を用いた水素化分解および水素化異性化を受けさせてもよいか、米国特許第5,882,505号に開示されている方法を用いた脱蝋を受けさせてもよいか、或は米国特許第6,013,171号、6,080,301号または6,165,949号に開示されている方法を用いた水素化異性化および脱蝋を受けさせてもよい。
【0054】
本明細書の上に開示した種類の天然油もしくは合成油の未精製、精製および再精製油(ばかりでなくこれらのいずれか2種以上の混合物)を基油として用いることができる。未精製油は、天然油もしくは合成源からさらなる精製処理なしに直接得られる油である。例えば、レトルト採収操作で直接得られるシェール油、一次蒸留で直接得られる石油、またはエステル化工程で直接得られるエステル油(さらなる処理なしに使用)が未精製油であろう。精製油は、1つ以上の特性を向上させる目的でさらなる処理を1段階以上の精製段階で受けさせた以外は未精製油と同様である。そのような精製技術は本分野の技術者に数多く知られており、例えば溶媒による抽出、二次蒸留、酸または塩基による抽出、濾過、パーコレーションなどが知られる。再精製油は、精製油を得る目的で用いられる処理と同様な処理を既に実用で使用されていた精製油に適用することで得られる油である。そのような再精製油はまた再生もしくは再処理油としても知られ、しばしば、それらは使用済み添加剤、汚染物および油分解生成物を除去することに向けた技術を用いた追加的処理を受けている。
【0055】
本潤滑油組成物または添加剤組成物に場合により他の成分を存在させることも可能である。他の成分の非限定例には、抗摩耗剤、極圧剤、希釈剤、消泡剤、乳化剤、乳化破壊剤、防錆剤、摩擦改良剤、分散剤、腐食抑制剤、抗酸化剤、流動点降下剤、粘度指数改良剤、錆抑制剤、染料および溶媒が含まれる。そのような成分を最終製品の必要性に応じていろいろな量で存在させてもよい。
【0056】
本明細書では、また、この開示する潤滑用組成物を潤滑油として用いて機械、例えば自動車用歯車、固定式変速機(産業用歯車を包含)および/または車軸などに潤滑油を差す方法も開示する。また、(i)風洞手順において約27°F以上の温度ロールオーバー差を示しかつ(ii)合格高温L−37スコアを示す組成物を製造する方法も開示し、この方法は、アニオン性化合物およびカチオン性化合物の中の少なくとも一方が炭素原子数が約10から約30の摩擦改良用化合物である少なくとも1種のアニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を準備することを含んで成る。
【実施例】
【0057】
いくつかの試験用流体を調製(表1に示す如く)しそしてそれらに風洞手順を受けさせた。この風洞手順では、けん引負荷条件下の新しい駆動軸内で流体が低い作動温度で機能する能力を基準流体と比較して測定するものである。
【0058】
【表1】

【0059】
この風洞手順では、潤滑油が差されている新しいプロダクションハイポイド車軸(production hypoid axle)に熱電対を装備して、それに試験リグを取り付けた。この試験リグ用の動力源を試験条件を維持する能力を有するガソリン動力V−8エンジンで構成させた。2個の車軸動力計は、車軸のトルクおよび速度条件を維持するに充分なトルク吸収能力を示した。シャフトで前記動力計と車軸を連結させた。前記エンジンをクラッチおよびマニュアルトランスミッションで試験装置につなげた。自在継手が備わっているシャフトで前記マニュアルトランスミッションと前記車軸を連結させた。前記試験リグに空気流源を準備した。
【0060】
前記車軸に試験流体を車軸仕様および適用に従って充填した。試験を1500フィート/分の空気流、2835rpmのピニオン速度および204ポンド・フィートのピニオントルクを用いて90分間実施した。ピニオン速度、ピニオントルク、流体温度、空気温度および空気流を試験期間全体に渡って監視した。試験流体が試験期間全体に渡って示すTMAXばかりでなく試験流体が示すTEOTも記録した。次に、図1に示すように、Troll overをTMAXとTEOTの間の差として計算した。Troll overが約15℃未満の場合、そのような流体は温度ロールオーバー効果を示さないと見なす。
【0061】
また、試験流体を歯車装置でも用いて、それらを高温L−37試験条件下で評価した。その高温L−37試験は、ASTM D 3121下の低速/高トルク車軸試験変法である。標準的ASTM D 3121を下記の条件下で実施する:80rpmの車速度および1742フィート・ポンドの車トルク、275°Fで24時間。高温L−37試験変法を下記の条件下で実施する:80rpmの車速度および1742フィート・ポンドの車トルク、325°Fで16時間。
【0062】
この高温L−37試験では、車軸装置内の摩耗を測定するばかりでなく運転後の車軸装置内の表面疲労[これの例はリッジング(ridging)および孔食である]の度合も測定し、これは、試験流体が歯車装置の摩耗および疲労を抑制する性能を評価する苛酷な試験であると解釈する。この試験の結果を0から10のスケールで測定し、数値が小さければ小さいほど歯車装置内の摩耗および疲労が重度またはひどいことを示し、そして数値が高ければ高いほど摩耗も疲労もほとんどないか或は全くないことを示す。
【0063】
前記表1に要約した風洞手順および高温L−37試験の結果は、本発明が望ましい特徴を有することを実証している。例えば、オレイルアミンカチオンとアシッドホスフェートアニオンを用いて調製した実施例AおよびBは温度ロールオーバー効果を示すと見なす。実施例Aが示したTroll overは106°Fでありそして実施例Bが示したそれは37°Fであり、これらは両方ともが27°Fよりも充分に高い。また、実施例AおよびBは合格高温L−37スコアも示した。
【0064】
しかしながら、実施例C(オレイルアミンカチオン/ジチオホスフェートアニオン)お
よび実施例D(オレイルアミンカチオン/オレイン酸アニオン)の各々が示したTroll overは27°F以上(例えばそれぞれ60°Fおよび29°F)でありはしたが、実施例CおよびDは両方とも合格高温L−37スコアを達成することができなかった。同様に、基準流体は合格高温L−37スコアを達成しはしたが、温度ロールオーバー効果を示さなかった。このように、温度ロールオーバー効果と合格高温L−37スコアの両方を示した試験流体は本開示に従って調製した流体のみであった。
【0065】
本明細書および添付請求項の目的で、特に明記しない限り、量、パーセントまたは比率を表す数値および本明細書および請求項で用いた他の数値は全てのケースで用語「約」の修飾を受けていると理解されるべきである。従って、反対であると示さない限り、本明細書および添付請求項に示す数値パラメーターは、本開示で得ることを探求する所望特性に応じて変わり得る近似値である。最低限でも、本請求項の範囲に適用する相当物の原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも報告する有効数字の数に照らして通常の四捨五入技術を適用することで解釈されるべきである。
【0066】
本明細書および添付請求項で用いる如き単数形「a」、「an」および「the」は明瞭かつ明らかに1つの指示対象に限定しない限り複数の指示対象を包含することを特記する。このように、例えば「ある抗酸化剤」の言及は2種以上の異なる抗酸化剤を包含する。本明細書で用いる如き用語「包含」およびこれの文法的変形は限定を意図するものでなく、リストの中の項目を列挙することはその挙げた項目の代わりにか或はそれに加えて用いることができる他の同様な項目を排除するものでない。
【0067】
個々の態様を記述してきたが、現在予期しないか或は予期することができない代替物、修飾形、変形、改良物および実質的な相当物が本出願者または本分野の他の技術者に思い浮かぶ可能性がある。従って、出願したままおよび補正を行うことが可能な如き添付請求項にそのような代替物、修飾形、変形、改良物および実質的な相当物の全部を包含させることを意図する。
【0068】
本発明の特徴および態様は以下の通りである。
1.少なくとも1種のアニオン性化合物;および
少なくとも1種のカチオン性化合物;
を含有して成っていて前記アニオン性化合物および前記カチオン性化合物の中の少なくとも一方が摩擦改良剤である潤滑油組成物であって、(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを有する組成物。
2.炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用アニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を含有して成る第1項記載の組成物。
3.少なくとも1種のアニオン性化合物および炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用カチオン性化合物を含有して成る第1項記載の組成物。
4.炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用アニオン性化合物および炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用カチオン性化合物を含有して成る第1項記載の組成物。
5.前記アニオン性化合物が組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%の範囲の量で組成物中に存在する第1項記載の組成物。
6.前記カチオン性化合物が組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%の範囲の量で組成物中に存在する第1項記載の組成物。
7.前記アニオン性化合物が有機カルボン酸,有機燐酸,有機スルホン酸,無機燐酸およびこれらの混合物の共役塩基から成る群から選択される第1項記載の組成物。
8.前記有機カルボン酸が炭素原子数が約10から約30の直鎖もしくは分枝飽和もしくは不飽和酸である第7項記載の組成物。
9.前記有機カルボン酸が脂肪酸である第7項記載の組成物。
10.前記有機燐酸がジアルキル燐酸,モノアルキル燐酸,ジアルキルジチオ燐酸,ジアルキルチオ燐酸およびこれらの混合物から成る群から選択される第7項記載の組成物。
11.前記有機燐酸がアミルアシッドホスフェート,ジアミルホスフェート,2−エチルヘキシルアシッドホスフェート,ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート,ジアルキルジチオ燐酸およびこれらの混合物から成る群から選択される第7項記載の組成物。
12.前記アニオン性化合物がオクテン酸,オレイン酸,イソステアリン酸,ステアリン酸およびこれらの混合物から成る群から選択される第1項記載の組成物。
13.前記カチオン性化合物が第一級,第二級および第三級アミンの共役酸から成る群から選択される第1項記載の組成物。
14.前記アミンが炭素原子数が約10から約30の直鎖もしくは分枝飽和もしくは不飽和アミンである第13項記載の組成物。
15.前記アミンが炭素原子数が約8から約24の第三アルキル第一級アミンである第13項記載の組成物。
16.前記アミンがオレフィン不飽和を含有する第一級アミンである第13項記載の組成物。
17.トップトリートである第1項記載の組成物。
18.更に基油も含有して成る第1項記載の組成物。
19.潤滑油組成物である第18項記載の組成物。
20.前記基油が鉱油、合成油およびこれらの混合物である第18項記載の組成物。
21.前記基油がポリアルファオレフィンである第18項記載の組成物。
22.前記基油が部分的鉱油である第18項記載の組成物。
23.前記基油がガスツーリキッド油である第18項記載の組成物。
24.前記アニオン性化合物と前記カチオン性化合物が塩を形成していてそれが潤滑油組成物の総重量を基準にして約0.1重量%から約1.5重量%の範囲の量で潤滑油組成物中に存在する第19項記載の組成物。
25.(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを示す組成物を製造する方法であって、アニオン性化合物およびカチオン性化合物の中の少なくとも一方が炭素原子数が約10から約30の摩擦改良用化合物である少なくとも1種のアニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を準備することを含んで成る方法。
26.前記カチオン性化合物を前記組成物に前記組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%の範囲の量で存在させる第25項記載の方法。
27.前記アニオン性化合物を前記組成物に前記組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%の範囲の量で存在させる第25項記載の方法。
28.第1項記載の組成物が潤滑油として用いられている運搬手段であって、約2.5:1から約6:1の範囲の最終的歯車駆動比を示す運搬手段。
29.普通乗用車、トラック、差別的経験で限定滑り機構を示すスポーツ用多目的車および差別的経験で限定滑り機構を示さないスポーツ用多目的車の中の1つである第28項記載の運搬手段。
30.第1項記載の組成物が潤滑油として用いられている機械。
31.自動車用歯車である第30項記載の機械。
32.ハイポイドギアである第31項記載の機械。
33.かさ歯車である第31項記載の機械。
34.第1項記載の組成物が潤滑油として用いられている軽量車軸を含有して成る運搬手段。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本教示のいろいろな態様を添付図に例示する。本教示をその示した態様に限定するものでなく、これはこの上で行った説明に示しかつ本分野の通常の技術者に公知の如き相当する構造物および方法を包含する。
【図1】図1は、高流体温度(TMAX)と試験終了時の温度(TEOT)の間の関係および前記高温と試験終了時温度の間の差(Troll over)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアニオン性化合物;および
少なくとも1種のカチオン性化合物;
を含有して成っていて前記アニオン性化合物および前記カチオン性化合物の中の少なくとも一方が摩擦改良剤である潤滑油組成物であって、(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを有する組成物。
【請求項2】
炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用アニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項3】
炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用アニオン性化合物および炭素原子数が約10から約30の少なくとも1種の摩擦改良用カチオン性化合物を含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記アニオン性化合物が有機カルボン酸,有機燐酸,有機スルホン酸,無機燐酸およびこれらの混合物の共役塩基から成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオン性化合物が第一級,第二級および第三級アミンの共役酸から成る群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記アミンが炭素原子数が約8から約24の第三アルキル第一級アミンである請求項5記載の組成物。
【請求項7】
更に基油も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項8】
(i)約27°F以上の温度ロールオーバー差および(ii)合格高温L−37スコアを示す組成物を製造する方法であって、アニオン性化合物およびカチオン性化合物の中の少なくとも一方が炭素原子数が約10から約30の摩擦改良用化合物である少なくとも1種のアニオン性化合物および少なくとも1種のカチオン性化合物を準備することを含んで成る方法。
【請求項9】
前記カチオン性化合物を前記組成物に前記組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%の範囲の量で存在させる請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記アニオン性化合物を前記組成物に前記組成物の総重量を基準にして約0.05重量%から約1.0重量%の範囲の量で存在させる請求項8記載の方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−280536(P2008−280536A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107723(P2008−107723)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】