説明

尿中成分測定装置及び尿受け皿

【課題】 尿量が少ない場合でも容易に採尿ができ、かつ尿が飛散して周囲を汚すことなく、さらに、再度計測するためには洗浄という作業が不要な尿中成分測定装置を提供すること
【解決手段】 尿中の成分を計測する尿中成分測定部101と、尿中成分測定部101を手で把持するための把持部102と、尿から尿中成分をセンシングするセンサー部103と、センサー部103からの電気信号を尿中成分測定部101に伝えるための電極部104と、センサー部103及び電極部104が設けられ、尿を貯める受け皿部105と、受け皿部105を尿中成分測定部101に対して着脱自在に固定し、その際電極部104と尿中成分測定部101とを電気的に接続する固定部106とを備えた、尿中成分測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿糖等、尿中に存在する特定成分の濃度を測定する尿中成分測定に関するものである。特に、便座に一体化せず携帯して持ち出すのに適した尿中成分測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯型の尿中成分測定装置としては、シャッターを有してそこより尿を採取し尿中成分の計測を行うものがあった(例えば、特許文献1参照)。図21は、特許文献1に記載された従来の尿中成分測定装置を示すものである。
【0003】
図21において、センサー部2101は、尿中からその成分の検出を行う。シャッター部2102は、センサー部2101を計測時に開き尿を導き、保存時にはシャッターを閉じて収納していた。センサー部2101からの結果は計測器本体2103に送られ計測、表示が行われていた。
【特許文献1】特開2002−214186号公報(例えば、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、排尿時にセンサー部を尿に当たるように持って行かなければならず、尿量が少ない場合には即座に移動しなければならず計測が難しい、センサー部に当たった尿が飛散して周囲を汚す、さらに、再度計測するためには洗浄という作業が必要であるという課題を有していた。
【0005】
上記従来の課題を考慮し、本発明の目的は、採尿が簡易であり、尿の飛散が少なく清潔に保つことができ、又は洗浄の手間を省くことが出来る尿中成分測定装置及びそれに用いる尿受け皿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
尿中の成分を計測する尿中成分測定部と、
前記尿中成分測定部を手で把持するための把持部と、
尿から尿中成分をセンシングするセンサー部と、
前記センサー部からの電気信号を前記尿中成分測定部に伝えるための電極部と、
前記センサー部及び前記電極部が設けられ、尿を貯める受け皿部と、
前記受け皿部を前記尿中成分測定部に対して着脱自在に固定し、その際前記電極部と前記尿中成分測定部とを電気的に接続する固定部とを備えた、尿中成分測定装置である。
【0007】
又、第2の本発明は、
前記電極部の一部が前記センサー部を兼ねている、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0008】
又、第3の本発明は、
前記尿中成分測定部と前記固定部の間に、前記尿中成分測定部よりも細い形状を有する接続部を備えた、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0009】
又、第4の本発明は、
前記接続部は、前記尿中成分測定部と分離可能である、第3の本発明の尿中成分測定装置である。
【0010】
又、第5の本発明は、
前記センサー部は、前記受け皿部の内側の底面又は前記底面近傍の側面に設けられ、
前記受け皿部は、前記センサー部が設けられている部分が実質上最も低い位置になるように、前記底面に傾斜を有している、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0011】
又、第6の本発明は、
前記受け皿部は、
採尿時に尿を排出する排尿部と、
前記採尿時に蓄尿する蓄尿部とを有する、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0012】
又、第7の本発明は、
前記排尿部は、前記受け皿部の底面に対して所定の高さに位置している、第6の本発明の尿中成分測定装置である。
【0013】
又、第8の本発明は、
前記受け皿部は、
前記排尿部が実質上最も高い位置になるように、底面に傾斜を有している、第6の本発明の尿中成分測定装置である。
【0014】
又、第9の本発明は、
前記電極部は、前記受け皿部の外面に設けられた外面電極部及び/または内面に設けられた内面電極部を有している、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0015】
又、第10の本発明は、
前記固定部は、前記受け皿部の縁に引っかかるように形成された突起部を更に有する、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0016】
又、第11の本発明は、
前記電極部は、前記受け皿部の内面に印刷され、前記受け皿部の縁部分にて外面に向かって折り返され露出した折り返し部を有し、
前記折り返し部と前記固定部が電気的に接触する、第1の本発明の尿中成分測定置である。
【0017】
又、第12の本発明は、
前記固定部は、前記電極部と電気的に接続するための固定部側電極を有し、
前記固定部側電極の前記電極部と接触する面が鋸状に形成されている、第1の本発明の尿中成分測定装置である。
【0018】
又、第13の本発明は、
尿から尿中成分をセンシングするセンサー部と、
前記センサー部からの電気信号を尿中成分測定部に伝えるための電極部とを備え、
固定部によって、前記尿中成分測定部に対して着脱自在に固定され、前記電極部と前記尿中成分測定部が電気的に接続される尿受け皿である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、採尿が簡易であり、尿の飛散が少なく清潔に保つことができ、又は洗浄の手間を省くことが出来る尿中成分測定装置及びそれに用いる尿受け皿を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の外観図である。
【0022】
図1において、尿中成分測定部101は、尿中に含まれる成分を検出する測定装置であり、把持部102をその一部に設置し手に持ちやすい形状となっている。センサー部103は、尿中の成分(例えば、塩分、尿糖度、蛋白、脂質等)をセンシングし、尿中成分測定部101に流す電気信号を発生する。また、センサー部103からの電気信号を伝達する電極104と接続されている。電極104は、尿を受け止めるための本発明の尿受け皿の一例である受け皿部105の内面もしくは外面に印刷等の手法により配置されており、金属などの材料を用いる事により通電可能な構成である。
【0023】
又、固定部106は、電極104によって伝達されるセンサー部103からの情報を電極104と接触する事により、尿中成分測定部101に伝達し、かつ、受け皿部105を挟み込むことにより固定することができる。受け皿部105は、固定部106により固定され、落下しないためにも、軽量な紙等の材料で構成され、採尿を容易にするのに十分広い開口部を持ち合わせている。
【0024】
また、図2は、固定部の制御方法の説明図であり、固定部106は、内側固定部201と外側固定部203からなり、それらを金属バネ202で接続することにより、バネの力で受け皿部105を掴むことができる。
【0025】
また、外側固定部203は、尿中成分測定部101と接着等の手法により外れないように接続されており、内側固定部201は、尿中成分測定部101に設置されたスライドスイッチ部208とワイヤ205で接続されており、スライドスイッチ部208を固定部106と逆の方向に引っ張ることにより内側固定部201を外側固定部203から離し、受け皿部105を解放することができる。
【0026】
また、図3は、受け皿部105の断面図であり、受け皿部の内面と外面に電極を配置した図面である。図4は、受け皿部の外観図である。
【0027】
図3、図4において、受け皿部105は、尿を受け取りやすくするための大きな開口部をもち、また、受け皿部105自身の重量を軽く、かつ絶縁をとるために紙等の材質から構成されている。電極104は、内面電極303と外面電極304とから構成され、受け皿部の内面、もしくは、外面の一部もしくは全面に配置される。
【0028】
図3に示す様に、103は、センサー部であり、受け皿部内部に溜まった尿より尿成分を検出する機能を有している。また、そのセンサーの表面・裏面より出力端子305、306が出ており、一方を内面電極303、もう一方を外面電極304と接続することにより、センサーからの出力を受け皿部105の内面、外面に分離することが可能となる。
【0029】
尚、例えば、塩分を測定する場合には、尿の導電率を測定するためセンサー部103として内面用電極板及び外面用電極板を設けてもよい。この場合、内面用電極板から内面電極303へ、外面用電極板から外面電極304へと出力が出ており、電極板間の尿の導電率を測定することが出来る。
【0030】
又、尿糖度を測定する場合には、センサー部103として糖分を測定する酵素膜を備え、この酵素膜を保存液に浸しておく必要がある。そのため、図5に示す様に、尿中成分測定部101若しくは把持部102内に保存液タンクと、保存液タンクからセンサー部103へと保存液を供給する配管501とが設置されている。
【0031】
図6は、尿中成分測定装置の固定部106と受け皿部105の電気接続を説明するための断面図である。
【0032】
図6において、固定部106は、金属バネ202により一定の力で、受け皿部105を挟み込んで固定し、かつ、計測終了後は、簡便に受け皿部105を固定部106から外すことができる構造である。
【0033】
電極104は、内面電極303と外面電極304から構成され、それぞれ、固定部に設置された内側固定部電極603と外側固定部電極605と接触することにより電気的信号を通信することができる。
【0034】
かかる構成によれば、受け皿部105に入ってきた尿からセンサーにより計測されたデータを内面電極303より内側固定部電極603へ、外面電極304より外側固定部電極605へそれぞれ通電することにより、信号を伝達することができると同時に、受け皿部105を固定することが可能となる。
【0035】
なお、電極部分は受け皿部105の対面(外側及び内側)に配置したが、同一平面上でも構わない。
【0036】
なお、受け皿部105の固定には、金属バネ202を用いたが、受け皿部105を固定できる方式であれば、その材質は問わない。
【0037】
また、内側固定部電極603と外側固定部電極605は、電気的コンタクトを十分にとるために、内面電極303と外面電極304に比べて十分広いことが望ましい。
【0038】
また、採尿後、計測が済んだ後は、受け皿部105に残っている尿は、トイレなどの上で逆さにする事により廃棄し、次に、スライドスイッチ部208をスライドさせる事により、内側固定部201と外側固定部203の隙間を広げて、受け皿部105を外すことができ、尿に触ることなく受け皿部105を廃棄する事ができる。
【0039】
かかる構成によれば、受け皿部105は、採尿に十分な開口部をもつため容易に採尿が可能となり、そして、把持部102と受け皿部105との距離を十分にとることにより、尿が手にかかる等の衛生的な問題をクリアすることができる。
【0040】
なお、本実施の形態1において、固定部106と尿中成分測定部101を直接接続しているが、尿中成分測定部101に尿がかからないために、その間に、接続部107を介しても構わない。この場合の尿中成分測定装置の構成図を図7に示す。
【0041】
さらに、接続部107は、図8に示されるような仕組みを組み込み、分離可能な構造とすることにより、接続部107自身を素手で触ることなく、取り外すことができ、接続部の洗浄を簡易に行うことができる事が望ましい。
【0042】
ここで、図8は、尿中成分測定部101と接続部107との接続関係の一例を説明する断面図である。尿中成分測定部101は、接続部107を差し込み入れることが可能な凹部分を持っている。その凹部分には、例えばバネのような弾性体803が内蔵されており、弾性体803の反発力を接続部107全面に伝えるための伝搬部804が接続されている。接続部107は、その途中に凹部を有し、そこに固定ピン805を入れることにより尿中成分測定部101と接続部107を固定させることができる。
【0043】
又、接続部107を取り付ける時は、尿中成分測定部101の凹部に接続部を差し入れ、弾性体を縮めた状態で固定ピン805を接続部107の凹部に差し入れて固定する。取り外す時は、固定ピン805を抜く事により、弾性体803の反発力を用いて、接続部107に触れることなく取り外すことが可能となる。
【0044】
上記構成の場合は、電極303、304からの信号を測定部に送るために、接続部107内又は外に配線を備える必要がある。そして、接続部107と尿中成分測定部101間の電気接続は、例えば図8に示す様に、接続部107が尿中成分測定部101に挿入された際に、電気的に接続されるような電気接続部806を介して行えばよい。
【0045】
また、図9は、尿中成分測定部101と接続部107の立体図である。接続部107には、尿がかかる可能性が高く、その尿等が、接続部107を伝わって、尿中成分測定部101に届かないように返し部903が取り付けられている。
【0046】
また、接続部107は、男性の採尿時には、利き腕と逆方向の手を使って尿中成分測定部101を把持するので、重さを減らすために、その形状は、尿中成分測定部101よりも細い事が望ましい。
【0047】
尚、本発明の電極部の一例は、本実施の形態1では内面電極303、外面電極304、出力端子305、306に相当する。又、本発明の内面電極部の一例は、本実施の形態1では内面電極303及び出力端子305に相当し、本発明の外面電極部の一例は、外面電極304及び出力端子306に相当する。しかしながら、本構成に限る必要はなく、要するに、センサー部103の信号を固定部106の電極へと伝えることが出来さえすればよい。
【0048】
又、本実施の形態1では、図4に示す様に内面電極303及び外面電極304は受け皿部105の内周及び外周を一周するように設けられているが、内側固定部電極603及び外側固定部電極605と電気的に接続するための大きさがあれば一部分に設けられていても良い。
【0049】
又、図10の受け皿部105の側面図に示す様に、底面に向かって実質上垂直方向に外面電極1004及び内面電極1003をセンサー部103方向へ伸ばして、出力端子1005、1006を短くしても良い。尚、内面電極1003及び出力端子1005は絶縁するために被覆を施しておいた方が好ましい。又、出力端子1005、1006を設けずに、電極上に直接センサー部を設けても良い。
【0050】
又、本実施の形態1では受け皿部105は、円柱形状であるが、図11に示す様に、その底面に傾斜部1102を設け、更に、その最下部近傍(側面又は底面)にセンサー部103を設けることによって、尿量が少ない場合にも適用することが可能となる。なお、このような構成が、本発明のセンサー部が設けられている部分が実質上最も低い位置になるように底面に傾斜を有している受け皿部の一例に相当する。又、受け皿部は円錐形状であってもよい。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における尿中成分測定装置の受け皿部の外観図である。
【0051】
図12において、受け皿部1201は、尿を受け取りやすくするための大きな開口部をもち、また、受け皿部1201自身の重量を軽くするために紙等の材質から構成されている。排尿部1202は、受け皿部1201の底面に配置され、尿が受け皿部1201に全て溜まらず、尿の一部が受け皿部1201の外に流れ出すような構造をしている。排尿部1202は、底面から所定の高さに配置されているため排尿部1202の周囲には蓄尿部1203が形成され、尿を全て受け皿部1101から流れ出すことを防ぐ構造をしている。
【0052】
かかる構成によれば、受け皿部1201に入ってきた尿は、量の多少に関わらず一定量以下となり、その結果、受け皿部1201ならびに尿の総重量がある一定値を超えることなく、重すぎたために誤って落下することを防ぐことができる。
【0053】
また、排尿部1202をある一定の高さを保持することにより、尿全体を流し出さず尿計測に必要な量・時間の間、蓄尿を行うことが可能となる。
【0054】
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3における尿中成分測定装置の受け皿部の外観図である。
【0055】
図13において、受け皿部1301は、尿を受け取りやすくするための大きな開口部をもち、また、受け皿部1301自身の重量を軽くするために紙等の材質から構成されている。
【0056】
又、排尿部1302は、受け皿部1301の底面から一定の高さの位置に配置され、尿が受け皿部1301に全て溜まらず、尿の一部が受け皿部1301の外に流れ出すような構造をしている。傾斜部1303は、排尿部1302の開口部と受け皿部1301の底面に設けられた傾斜である。排尿部1302は、一定の高さにすることにより、傾斜部1303と受け皿部1301の側面の間に蓄尿部1304を形成し、尿を全て受け皿部1301から流れ出すことを防ぐ構造をしている。
【0057】
かかる構成によれば、受け皿部1301に入ってきた尿は、量の大小に関わらず一定量以下となり、その結果、受け皿部1301ならびに尿の総重量がある一定値を超えることなく、重すぎたために誤って落下することを防ぐことができる。更に、傾斜部1303があることにより、尿量が十分に確保できなかった場合でも、受け皿部1301の底面の周辺部分に尿を集めることが可能となり、底面全体に尿が広がらずセンサーの設置されている場所に適切な量を接触させることが可能となる。
【0058】
なお、本実施の形態3において、排尿部1302以外の受け皿部1301の底面を全て傾斜部1303で構成しているが、底面の周辺部分では一部平面状であっても構わない。
【0059】
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4における尿中成分測定装置の固定部の断面図である。
【0060】
図14において、固定部1401は、金属バネ1402により一定の力で、受け皿部1407を挟み込んで固定し、かつ、計測終了後は、簡便に受け皿部1407を固定部1401から外すことができる構造である。
【0061】
電極部は、内面電極1404と外面電極1406とから構成され、それぞれ、固定部に設置された内側固定部電極1403と外側固定部電極1405と接触することにより電気的信号を通信することができる。
【0062】
カール部1408は、受け皿部1407の端を処理したもので、カール状に巻かれている。突起部1409は、固定部1401に接続され、カール部1408に、引っかかるように構成されている。
【0063】
かかる構成によれば、受け皿部1407に入ってきた尿からセンサーにより計測されたデータを内面電極1404より内側固定部電極1403へ、外面電極1406より外側固定部電極1405へそれぞれ通電することにより、信号を伝達することができると同時に、受け皿部1407は、そのカール部1408に突起部1409が引っかかることにより、強固に固定される。
【0064】
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5における尿中成分測定装置の固定部の一部拡大断面図である。
【0065】
図15において、固定部1501は、受け皿部1507上に配置された受け皿部電極1506と電気的結合を行うと同時に滑り落ちないように表面を鋸状にした固定部電極1505をもつ構造である。
【0066】
かかる構成によれば、受け皿部1507に入ってきた尿からセンサーにより計測されたデータを、受け皿部電極1506を通じ固定部電極1505へ通電する際、金属部分が滑り易いことから、表面を鋸状にしていることにより、信号を伝達することができると同時に、受け皿部1507が滑り落ちないように強固に固定することが可能となる。
【0067】
(実施の形態6)
図16は、本発明の実施の形態6における尿中成分測定装置の固定部の断面図である。
【0068】
図16において、固定部1601は、受け皿部1605上の内面に配置された受け皿部電極1603と電気的結合を行う固定部電極1604を有している。又、受け皿部1605の端を処理した本発明の折り返し部の一例であるカール部1602に下側から引っかかるようになった突起部1606と、固定部電極1604の上部から受け皿部1605の内側面に沿うようにかぎ状に形成されているかぎ状部1607とを有している。
【0069】
図17は受け皿部1605の展開図を示した図である。
【0070】
図17にあるように、受け皿部1605は、例えば、円柱構造の場合、その側面部1701と底面部1702から構成されているが、上端から下端にかけて側面部1701の片側のみに印刷により、2つの受け皿部電極1703及び1704を作成し、受け皿部電極1603を形成させることができる。印刷後、側面部1701を巻いて、底面部1702を固定することにより円柱構造の受け皿部を廉価で作成することができる。又、底面部1702と反対側に位置する側面部1701の端部分がカール部1602に相当する。
【0071】
また、図18に加工後の受け皿部の断面図を示す。図18に示す様に底面部1702の反対側に位置する側面部1701の端面を外側に折り曲げてカール上に加工することによりカール部1602が形成される。その時に、受け皿部電極1603は、内側から曲げられるため、受け皿部1605の外側に受け皿部電極1603の端部分が位置する。この受け皿部電極1603の端部分1603aが、固定部電極1604と接する部分となる。
【0072】
かかる構成によれば、受け皿部1605に入ってきた尿からセンサーにより計測されたデータを、受け皿部電極1603を通じ固定部電極1604へ伝送する際、受け皿部1605は、内面のみに印刷された受け皿部電極1603がカール部1602により外側にむき出しとなることにより、受け皿部1605を固定すると同時に電気的コンタクトもとることが可能となる。
【0073】
又、突起部1606とかぎ状部1607との間に、カール部1602を嵌め込むことによって、受け皿部1605を固定出来、又カール部1602を抜くことによって取り外すことが出来る。
【0074】
尚、尿糖度、蛋白、脂質等を測定する際には、実施の形態1と同様にセンサー部を底面近傍に備える必要がある。この場合、図15のカール部1602以外の受け皿部電極1603は絶縁処理をする必要が有る。
【0075】
又、尿中の塩分を測定する場合、すなわち尿の電導度を測定する場合には、受け皿部電極1603の、電極1703、1704の底面側の端部分1705(図17の点線部分)を実施の形態1で説明した電極板として用いる。そのため、電極1703、1704の底面側の端部分1705と端部分1603a以外の部分を絶縁処理する必要がある。尚、本発明のセンサー部と兼ねている電極部の一部は、例えば本実施の形態6では端部分1705に相当する。
【0076】
また、電極部分を紙等の材料の上に印刷する場合、片面のみの印刷で行うことが可能となり安価に受け皿部1605を作成することができる。
【0077】
尚、受け皿部1605の固定をより強固にするためには、図19に示す様に、受け皿部1905の底面に向かって長くしたかぎ状部1901を用いればよい。この場合、受け皿部1905の取り外しが行いにくいため、図20に示す様に切り欠き部2000を設け、受け皿部1905の固定及び取り外しの際には、かぎ状部1901を切り欠き部2000に通した後に、横にスライドさせることによってスムーズな受け皿部1905の固定及び取り外しが可能となる。
【0078】
以上述べたように、本発明の尿成分測定装置は、受け皿部とセンサー部を一体化した尿中成分装置において、受け皿部を尿中成分測定部に固定し、採尿を行う。また、尿計測後は、固定部から受け皿部を分離し受け皿部のみ捨てることができる。
【0079】
又、受け皿で尿を簡単に捉えることができ、かつ、測定部には尿がかからず清潔に保ち、再測定時にも洗浄の手間をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の尿受け皿によれば、採尿が簡易であり、尿の飛散が少なく清潔に保つことができ、又は洗浄の手間を省くことが出来る効果を有し、尿中成分測定装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の外観図
【図2】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の固定部の制御方法を説明するための要部断面図
【図3】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の受け皿部の断面図
【図4】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の受け皿部の外観図
【図5】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の受け皿部の変形例の断面図
【図6】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の受け皿部及び固定部の断面図
【図7】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の変形例の外観図
【図8】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の変形例の接続部と尿中成分測定部との接続関係を説明する断面図
【図9】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の変形例の尿中成分測定部と接続部の立体図
【図10】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の受け皿部の変形例の断面図
【図11】本発明の実施の形態1における尿中成分測定装置の受け皿部の変形例の断面図
【図12】本発明の実施の形態2における尿中成分測定装置の受け皿部の外観図
【図13】本発明の実施の形態3における尿中成分測定装置の受け皿部の外観図
【図14】本発明の実施の形態4における尿中成分測定装置の固定部の断面図
【図15】本発明の実施の形態5における尿中成分測定装置の固定部の一部拡大断面図
【図16】本発明の実施の形態6における尿中成分測定装置の固定部及び受け皿部の断面図
【図17】本発明の実施の形態6における尿中成分測定装置の加工前の受け皿部の展開図
【図18】本発明の実施の形態6における尿中成分測定装置の加工後の受け皿部の断面図
【図19】本発明の実施の形態6における尿中成分測定装置の固定部及び受け皿部の変形例の断面図
【図20】本発明の実施の形態6における尿中成分測定装置の受け皿部の変形例の断面図
【図21】従来の携帯型尿中成分測定装置の外観説明図
【符号の説明】
【0082】
101 尿中成分測定部
102 把持部
103 センサー部
104 電極部
105 受け皿部
106 固定部
107 接続部
201 内側固定部
202 金属バネ
203 外側固定部
208 スライドスイッチ部
303 内面電極
304 外面電極
305、306出力端子
603 内側固定部電極
605 外側固定部電極
803 弾性体
804 伝搬部
805 固定ピン
806 電気接続部
903 返し部
1003 内面電極
1004 外面電極
1005、1006出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿中の成分を計測する尿中成分測定部と、
前記尿中成分測定部を手で把持するための把持部と、
尿から尿中成分をセンシングするセンサー部と、
前記センサー部からの電気信号を前記尿中成分測定部に伝えるための電極部と、
前記センサー部及び前記電極部が設けられ、尿を貯める受け皿部と、
前記受け皿部を前記尿中成分測定部に対して着脱自在に固定し、その際前記電極部と前記尿中成分測定部とを電気的に接続する固定部とを備えた、尿中成分測定装置。
【請求項2】
前記電極部の一部が前記センサー部を兼ねている、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項3】
前記尿中成分測定部と前記固定部の間に、前記尿中成分測定部よりも細い形状を有する接続部を備えた、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項4】
前記接続部は、前記尿中成分測定部と分離可能である、請求項3記載の尿中成分測定装置。
【請求項5】
前記センサー部は、前記受け皿部の内側の底面又は前記底面近傍の側面に設けられ、
前記受け皿部は、前記センサー部が設けられている部分が実質上最も低い位置になるように、前記底面に傾斜を有している、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項6】
前記受け皿部は、
採尿時に尿を排出する排尿部と、
前記採尿時に蓄尿する蓄尿部とを有する、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項7】
前記排尿部は、前記受け皿部の底面に対して所定の高さに位置している、請求項6記載の尿中成分測定装置。
【請求項8】
前記受け皿部は、
前記排尿部が実質上最も高い位置になるように、底面に傾斜を有している、請求項6記載の尿中成分測定装置。
【請求項9】
前記電極部は、前記受け皿部の外面に設けられた外面電極部及び/または内面に設けられた内面電極部を有している、請求項1記載の尿中成分測定装置
【請求項10】
前記固定部は、前記受け皿部の縁に引っかかるように形成された突起部を更に有する、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項11】
前記電極部は、前記受け皿部の内面に印刷され、前記受け皿部の縁部分にて外面に向かって折り返され露出した折り返し部を有し、
前記折り返し部と前記固定部が電気的に接触する、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項12】
前記固定部は、前記電極部と電気的に接続するための固定部電極を有し、
前記固定部電極の前記電極部と接触する面が鋸状に形成されている、請求項1記載の尿中成分測定装置。
【請求項13】
尿から尿中成分をセンシングするセンサー部と、
前記センサー部からの電気信号を尿中成分測定部に伝えるための電極部とを備え、
固定部によって、前記尿中成分測定部に対して着脱自在に固定され、前記電極部と前記尿中成分測定部が電気的に接続される尿受け皿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−64396(P2006−64396A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243794(P2004−243794)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】