説明

尿失禁のための治療剤

【課題】尿失禁に対して有効に作用し、悪影響のない尿失禁用健康食品を提供する。
【解決手段】ケンジツ、キバン、レンシ及びサンヤクから選択される1種類以上の生薬が配合された健康食品とし、悪影響なく尿失禁に対して有効に作用するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿失禁に対して改善作用のある健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁の原因は様々で、前立腺肥大や尿路結石による場合に加え、外傷、他の病気の手術等の影響で、尿の排泄を支配する神経が損傷を受け、無意識に尿が出てしまうこともある。これらの場合は、手術等を行って原因となる病気を治す必要がある。
【0003】
一方、加齢者や経産婦に多くみられる尿失禁は、咳やくしゃみをした時に失禁したり、水仕事をしている時にそそられたり、本人の自覚なしに少しずつ尿が漏れるということがある。これらの場合は、膀胱括約筋が肛門を閉じる筋肉と連結していることから、肛門を閉じる訓練をすることで、尿失禁を抑制している。
【0004】
また、尿失禁を含む症状に有効な更年期症の予防・治療薬として、エストロゲン及び熟地黄を含有するエストロゲン作用増強経口用組成物が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−155779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の経口用組成物では、エストロゲンによる副作用が問題となることがある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、尿失禁に対して有効に作用し、悪影響のない尿失禁用健康食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、ケンジツ、キバン、レンシ及びサンヤクから選択される1種類以上の生薬が配合された尿失禁用健康食品が提供される。
【0009】
上記尿失禁用健康食品において、ケンジツ、キバン、レンシ及びサンヤクから選択される2種類以上の生薬が配合されることが好ましい。
【0010】
上記尿失禁用健康食品において、少なくともケンジツ及びキバンが配合されることが好ましい。
【0011】
上記尿失禁用健康食品において、経口摂取される形態にあってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の健康食品によれば、尿失禁に対して有効に作用し、悪影響はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、各生薬と、尿失禁、老人性難聴及び疲労回復の関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
東洋医学においては、腎虚に対して、ホコウエイ(蒲公英)、チョウジ(丁字)、チンコウ(沈香)、レンシ(蓮子)、ケンジツ(?実)、トチュウ(杜仲)、カイマ(海馬)、ハンピ(反鼻)、サンヤク(山薬)、キバン(亀板)等の生薬が用いられる。ここで、腎虚とは、腎の機能不全を指す。東洋医学では腎に人間の精気のうち生殖能力に関わるものを貯めるとされているため、腎虚は広く精力減退を指す言葉として用いられている。
【0015】
上記の生薬のうち、尿失禁に対して、レンシ、ケンジツ、サンヤク、キバンの4種類が有効に作用する。ここで、レンニク(蓮肉)は、レンシの殻を除去したものであり、レンシと同様の作用を有する。従って、これらの生薬を1種類以上含有する健康食品は、尿失禁を抑制する効果を発揮する。また、これらの生薬を2種類以上含有する健康食品は、尿失禁を抑制する効果が大きくなる。さらに、これらの生薬は、老人性難聴及び疲労回復にも有効に作用する。尚、これらの生薬は、食べ過ぎることがなければ、特に体に悪影響を及ぼすことはない。
【0016】
上記4種類の生薬のうち、特にケンジツ及びキバンが、尿失禁に対して効果が大きい。また、ケンジツとキバンの両方が含まれた健康食品は、尿失禁及び疲労回復に対して顕著な効果を発揮する。尚、健康食品の形状等は特に限定されるものでないが、経口摂取される形態とすることができる。経口摂取される形態を例示すると、錠剤、粉剤、顆粒剤、ソフトカプセル、液剤等が挙げられる。
【0017】
[実施例1]
尿失禁、老人性難聴、疲労等の症状がみられる複数の被験者に対し、ホコウエイ、チョウジ、チンコウ、レンシ、ケンジツ、トチュウ、カイマ、ハンピ、サンヤク、キバン、レンニクの生薬を経口摂取させ、経過を観察した。具体的に、各生薬は、粉剤の形態として、1回の摂取量を0.5以上1.5g以下とし、1日1回、連続的に30日間摂取させた。その結果を図1の表に示す。図1中、「×」は改善がみられずに変化がなかったこと、「△」はわずかに改善がみられたこと、「○」は改善がみられたこと、「◎」は大幅な改善がみられたこと、「☆」はほぼ自覚がなくなったことを示す。
【0018】
図1に示すように、尿失禁に対して、レンシ、ケンジツ、サンヤク、キバンが有効に作用した。特に、ケンジツとキバンで大幅な改善がみられた。また、レンシ、ケンジツ、サンヤク、キバンは、老人性難聴及び疲労回復にも有効に作用した。
【0019】
さらに、図1に示すように、ケンジツ及びキバンの両方を摂取すると、尿失禁がほぼ完治し、さらに疲労回復にも大幅な改善がみられた。ここで、ケンジツ及びキバンの1回あたりの摂取量はそれぞれ0.5g以上1.5g以下とした。尚、各生薬の摂取量は、被験者の体重、体質、症状の程度等により異なるが、少なくとも0.2g以上は摂取する必要がある。
【0020】
[実施例2]
次に、ケンジツ及びキバンの両方を摂取した複数の被験者の症状改善の例について説明する。
【0021】
第1の被験者は、50歳代から尿失禁の症状を抱えていた72歳の女性である。健康食品の摂取前は、ナプキンなしで生活できない状態であり、交換のたびにナプキンに大量の尿が吸収されていた。この被験者に対し、ケンジツ及びキバンの両方を2ヶ月服用したところ、尿失禁についてはほぼ治まった。外出時に念のためにナプキンを着用しているが、帰宅時にナプキンに吸収された尿を調べても、尿漏れはほとんどみられなかった。
【0022】
第2の被験者は、切迫性尿失禁の56歳の女性である。健康食品の摂取前は、走ったり、くしゃみをする等により、毎日数回、尿失禁の症状がみられていた。この被験者に対し、ケンジツ及びキバンの両方を1ヶ月服用したところ、尿失禁は2週間に1回程度にまで減少した。さらに、1ヶ月後には、尿失禁の症状をみられなくなった。
【0023】
第3の被験者は、尿失禁の症状がある85歳の女性である。健康食品の摂取前は、本人の自覚症状のないまま、毎日、尿失禁の症状がみられていた。この被験者に対し、ケンジツ及びキバンの両方を半年服用したところ、尿失禁の症状はほとんど治まり、尿が近いことを自覚するようになった。
【0024】
第4の被験者は、前立腺肥大がある74歳の男性である。健康食品の摂取前は、用を足すたびに残尿感があり、尿が近く、失禁もある状態だった。そこでまず、龍胆瀉肝湯合六味丸を14日間服用したところ、7日経過時点で残尿感について改善がみられたが、尿の近さ及び失禁に変化はなかった。後半7日間は、各症状が変化しなかった。
その後、ケンジツ及びキバンを加えてさらに14日服用したところ、残尿感についても若干改善し、尿の近さ及び失禁についても改善がみられたので、現在も服用を続けている。
【0025】
第5の被験者は、腰が冷えて鈍痛があり、尿が近くてトイレに間に合わないことが多い81歳の男性である。まず、苓姜朮甘湯を10日服用したところ、腰の症状に改善がみられたが、尿に関しては変化がなかった。その後、ケンジツ及びキバンを加えたところ、3日後には尿の症状に関して変化がみられ、10日後には尿の症状に改善がみられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケンジツ、キバン、レンシ及びサンヤクから選択される1種類以上の生薬が配合された尿失禁用健康食品。
【請求項2】
ケンジツ、キバン、レンシ及びサンヤクから選択される2種類以上の生薬が配合された請求項1に記載の尿失禁用健康食品。
【請求項3】
少なくともケンジツ及びキバンが配合された請求項2に記載の尿失禁用健康食品。
【請求項4】
経口摂取される形態にある請求項3に記載の尿失禁用健康食品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−12342(P2012−12342A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150969(P2010−150969)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【特許番号】特許第4651747号(P4651747)
【特許公報発行日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(503038775)
【Fターム(参考)】