説明

局所フレグランスを経口フレグランスと組み合わせる付香方法、付香キット

要約
本発明は、以下の工程:
(1)ヒトケラチン質または衣類へ付香組成物(A)を直接適用する工程であって、付香組成物(A)が、化粧的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の付香物質を含み、前記組成物が、ヘッドノートおよび/またはハートノートおよび/またはベースノートを有するフレグランスを生じる、工程、
(2)少なくとも1種の組成物(B)を摂食するまたは口内に配置する工程であって、組成物(B)が、身体内部からヒトケラチン質の外に匂いを発することが可能な少なくとも1種の食用付香物質を含み、前記食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じるフレグランスのノートの少なくとも1種と共通する少なくとも1種のノートを有するフレグランスを生じるように選択される、工程
を含み、工程の順序は肝要でなく、組成物(A)および組成物(B)の適用は場合によって同時または別時である、付香方法に関する。
組成物(B)は、
a)経口適用に適した支持体中に、少なくとも1種の食用付香物質(1)を含む、少なくとも1種の組成物(B1)であって、食用付香物質(1)が、摂食後または口内に配置した後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分未満でその拡散が最大に達する香りを生じることができる、組成物(B1)、および
b)経口適用に適した支持体中に、少なくとも1種の食用付香物質(2)を含む、少なくとも1種の組成物(B2)であって、食用付香物質(2)が、摂食後または口内に配置した後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分以上でその拡散が最大に達する香りを生じることができる、組成物(B2)
を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の工程:
(1)ヒトケラチン質または衣類へ付香組成物(A)を直接適用する工程であって、付香組成物(A)が、化粧的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の付香物質を含み、前記組成物が、ヘッドノートおよび/またはハートノートおよび/またはベースノートを有するフレグランスを生じる、工程、
(2)少なくとも1種の組成物(B)を摂食する工程であって、組成物(B)が、経口適用に適した媒体中に、身体内部からヒトケラチン質の外に匂いを生じさせることが可能な少なくとも1種の食用付香物質を含み、前記食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じるフレグランスのノートの少なくとも1種と共通する少なくとも1種のノートを有するフレグランスを生じるように選択される、工程
を含み、工程の順序は肝要でなく、組成物(A)および組成物(B)の適用は場合によって同時または別時である、付香方法に関する。
【0002】
また本発明は、
-上記で定義される組成物(A)を含む第1のコンディショニング、
-上記で定義される組成物(B)を含む第2のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種の区画を備える付香キットまたは器具に関する。
【背景技術】
【0003】
人類は、太古の昔から、強いおよび/または不快な匂いを隠すためにも、良い匂いを放つためにも、自分自身を付香し、身の回りの物体またはその環境に付香することを求めてきた。
【0004】
香りが、異なる期間で気化する異なる芳香性物質の組合せであることは知られている。香りは、その嗅覚的系統に従って分類することが可能であり、またその使用中に現れるノートに応じて説明することが可能である。これらの嗅覚的ノートは、ヘッドノート(最初の嗅覚的印象に関連し、最も揮発性が高いノート)、ハートノート(香りの主体を構成し、2〜3時間残存するノート)、および最後にベースノート(香りが気化後、長時間持続し、衣類に数カ月間残存し得るノート)に区別される。しかし、ある特定の香りは、嗅覚的構成が異なる場合がある、即ち、これらのノートの1つまたは2つを有する場合がある。
【0005】
香りを、局所的経路を介してケラチン質、特に皮膚へ直接適用される一定種類数の製品または組成物、特に、化粧組成物および皮膚科学的組成物に組み入れることは、慣行である。これらの製品は、一般に、オーフレッシュ(eau fraiche)、香水もしくはオードトワレ(eau de toilette)、オーデパルファン(eau de parfum)、パルファンのエリキシルもしくは抽出物、アフターシェーブローション、およびオードソワン(eau de soin)の形態である。しかし、これらの配合物におけるフレグランスの残留性(remanence)および強度は、経時的に依然として制限されている。これらは実質的に2〜3時間後に減少する。さらにフレグランスは主に適用部位で拡散する。
【0006】
特定の食用付香物質を摂食した後に身体の匂いを改善または修正させる製品が、近年、市場に現れている。これらの製品は、身体の不快な匂いを制限するか(デオドラントタイプ)または皮膚をわずかに付香するか(付香タイプ)のいずれかの役割を有している。
【0007】
最初に市場に出された製品の1つは、コリアンダーエッセンスをベースとする、2004年以来のブラジル製品(Fiber Sense)である。この製品は、抗コレステロール医薬として提供されたが、その副次的作用の1つが、内部から皮膚に心地よい付香をすることであった。
【0008】
また身体の脱臭を目的とする多くの製品が、経口化粧品市場に現れており、これらはクロロフィリンなどのクロロフィル誘導体を含有する。これらの製品は、身体の不快な匂いの制限用に販売されている。そのような製品は、特に特開平10-245343(Taisho Pharmaceutical Co.)、WO2004/10574(Mitchell Kurk Lawrence、NY)および特開2002-224203の文献に記載されている。
【0009】
また、身体内部から匂いをヒトケラチン質、特に皮膚上に拡散することが可能な食用付香物質を含有する食用製品の摂食を介して、ヒトケラチン質の「付香」を主張する製品もアジアの経口化粧品市場でみられるようになっている。これらの製品は、菓子類、飲料、チューイングガムまたはゲルカプセルの形態で販売されている。それらは、ミント、バニリン、ゲラニオール、およびビタミンをベースとし、ヒト体液を付香するための製品を開示している中国特許第1217889号(Liu)に特に記載されている。
【0010】
Kanebo Foods Ltdの特許出願WO2006/129876も、摂食可能な化粧製品、好ましくは、砂糖菓子またはチューイングガムを開示しており、この製品は、食用付香分子を用いて摂食後に身体を付香する少なくとも1種の極性化合物および/またはテルペン、例えば、ゲラニオール、リナロール、およびシトロネロールを含む。Kanebo社は、2006年以来、商標名「ふわりんか」として、皮膚を内部から付香することを意図したチューイングガム(ゲラニオールと、ローズおよびレモンのエッセンスをベースとする)を販売している。Wakasa社は、ブランド名「ソフィア(Sofia)」の下でローズエッセンスをベースとするゲルカプセルを販売している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10-245343
【特許文献2】WO2004/10574
【特許文献3】特開2002-224203
【特許文献4】中国特許第1217889号
【特許文献5】WO2006/129876
【特許文献6】米国特許第4077441号
【特許文献7】米国特許第4850517号
【特許文献8】WO03/045166
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】S. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals(Edition 2003)、および「Flavor and Fragrance Materials - 1991」、Allured Publishing Co. Wheaton、Ill
【非特許文献2】Substances aromatisantes et sources naturelles de matieres aromatisantes [Aromatizing substances and natural sources of aromatizing materials]、vol.1、4th edition、1992、Maisonneuve
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、局所付香配合物によって生じる嗅覚的収率、特に強度および/または残留性を実質的に改善し、身体を全体的および均一に付香するための新規な付香方法を見出すことが、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願人は、驚くべきことに、以下の工程:
(1)ヒトケラチン質または衣類へ付香組成物(A)を直接適用する工程であって、付香組成物(A)が、化粧的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の付香物質を含み、前記組成物は、ヘッドノートおよび/またはハートノートおよび/またはベースノートを有するフレグランスを生じる、工程、
(2)少なくとも1種の組成物(B)を摂食するまたは口内に配置する工程であって、組成物(B)が、経口適用に適した媒体中に、身体内部からヒトケラチン質の外に匂いを生じさせることが可能な少なくとも1種の食用付香物質を含み、前記食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じるフレグランスのノートの少なくとも1種と共通する少なくとも1種のノートを有するフレグランスを生じるように選択される、工程
を含み、工程の順序は肝要でなく、組成物(A)および組成物(B)の適用は場合によって同時または別時である、付香方法によって、この目的が達成し得ることを発見した。
【0015】
この発見は、本発明の基礎を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、以下の工程:
(1)ヒトケラチン質または衣類へ付香組成物(A)を直接適用する工程であって、付香組成物(A)が、化粧的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の付香物質を含み、同組成物は、ヘッドノートおよび/またはハートノートおよび/またはベースノートを有するフレグランスを生じる、工程、
(2)少なくとも1種の組成物(B)を摂食するまたは口内に配置する工程であって、組成物(B)が、経口適用に適した媒体中に、身体内部からヒトケラチン質の外に匂いを生じさせることが可能な少なくとも1種の食用付香物質を含み、前記食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じるフレグランスのノートの少なくとも1種と共通する少なくとも1種のノートを有するフレグランスを生じるように選択される、工程
を含み、工程の順序は肝要でなく、組成物(A)および組成物(B)の適用は場合によって同時または別時である、付香方法に関する。
【0017】
また本発明は、少なくとも、
-上記で定義される組成物(A)を含む第1のコンディショニング、
-上記で定義される組成物(B)を含む第2のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種のコンディショニングを備える付香キットまたは器具に関する。
【0018】
用語「ヒトケラチン質」は、(顔または身体の)皮膚、唇、頭皮、毛髪、まつ毛、眉毛、爪、または粘膜を意味する。
【0019】
用語「付香物質」は、心地よい匂いを放つことが可能な任意のフレグランスまたは香気(aroma)を意味する。
【0020】
用語「食用物質」は、口腔中および唇上で非毒性の、経口適用に適した任意の物質を意味する。
【0021】
用語「化粧的に許容可能な媒体」は、皮膚(顔、身体および唇)、頭皮、毛髪、まつ毛、眉毛、爪および粘膜へ直接適用し得る、非毒性媒体を意味する。
【0022】
用語「別時」は、組成物(A)の適用と組成物(B)の適用との間にある時間間隔を意味する。したがって、使用者は、組成物(A)と組成物(B)とを、順序に関係なく、同じ日に2〜3秒後または数時間後に、特に30秒〜12時間の範囲の間隔内で、連続的に適用することができる。
【0023】
本発明による付香組成物(A)は、水性形態もしくは無水形態であるか、または液体、ペースト状もしくは固体形態である。
【0024】
本発明による付香組成物(A)は、ケラチン質の付香、手入れ、もしくは処置のための組成物を構成することができ、特に、フレグランス、オーデパルファンもしくはオードトワレ、オーフレッシュ、アフターシェーブローション、オードソワン、またはシリコーン系もしくはヒドロシリコーン系手入れ用オイルの形態である。また、該組成物は香り付き二相ローション(例えば、親水性相/炭化水素系オイル相および/またはシリコーンオイル相)の形態であってもよい。また、該組成物はゲル、香油、もしくは凝集体の形態であってもよい。
【0025】
また、該組成物は香り付き乳液もしくはクリーム(水中油型乳剤、油中水型乳剤、または水中油中水型もしくは油中水中油型の多層乳剤)の形態であってもよい。
【0026】
また、該組成物は粉末、例えば香り付きタルクの形態であってもよい。また、該組成物はロールオン式(ボール式)もしくはスティック式の形態であってもよい。
【0027】
付香組成物(A)は、スプレー、エアロゾルまたは圧電器具などの種々のシステムから拡散し得る。
【0028】
組成物(A)で使用されるフレグランスは、特に、S. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals (Edition 2003)、および「Flavor and Fragrance Materials-1991」、Allured Publishing Co. Wheaton、Illに記載されている出発材料を含有する組成物である。
【0029】
それらは、天然生成物(精油、アブソリュート(absolute)、樹脂状物質、樹脂、もしくは凝集体)であってもよく、および/または合成生成物(テルペンもしくはセスキテルペン炭化水素、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、エステル、ニトリル、および過酸化物であり、これらは飽和もしくは不飽和、および脂肪族もしくは環式である)であってもよい。
【0030】
国際標準ISO9235で規定され、薬局方欧州委員会(Commission of the European Pharmacopoeia)で採用されている定義によると、精油は、一般に複合組成の発香生成物であり、この生成物は、植物学的に定義される植物原材料から、水水蒸気同伴(steam entrainment)もしくは乾留(dry distillation)によって、または加熱を伴わない適切な機械的方法(冷圧搾(cold pressing))を介して得られる。精油は、大抵は、組成に何ら顕著な変化をもたらさない物理的方法を介して、水相から分離される。
【0031】
精油の取得方式
どの技術を選択するかは、主に、出発材料(元の状態、および特性、実際の性質)に依存する。「精油/植物出発材料」の収率は、植物に応じて、非常に変動しやすく、15ppm〜20%超であり得る。この選択は、精油の特性、特に粘度、色、溶解性、揮発性、特定の構成要素の豊富度もしくは希少度を条件付ける。
【0032】
水蒸気同伴
水蒸気同伴は、水蒸気の存在下で、わずかに水混和性の物質を気化することに相当する。出発材料は、蒸留器(alambic)中で、沸騰水または水蒸気と接触して配置される。水蒸気は精油蒸気を同伴し、精油蒸気は凝縮器で凝縮され、精油を沈降によって水から分離する花瓶(Florentine vase)(もしくはエッセンス瓶)中で液相として回収される。精油の分離が一度行われた際の水蒸気同伴後に残る水性蒸留物は、「アロマティックウォーター」、「ハイドロレート」または「蒸留フローラルウォーター(distilled floral water)」として知られている。
【0033】
乾留
木質、樹皮または根を、水または水蒸気を加えずに、液体が底部で回収されるように設計された閉じたチャンバー中で蒸留することによって、精油を取得する。カデ油は、このようにして得られる生成物の最もよく知られた例である。
【0034】
冷圧搾
この製法は、柑橘果物(シトラス種)のみに適用され、機械的方法を介して室温で行われる。この方法の原理は次の通りである。薄皮を小片に切り裂き、破れた分泌嚢の中身を物理的方法によって回収する。標準的方法では、水流の下で、果物の表面全体に摩耗作用をかけることで構成される。固形屑の除去後、遠心分離によって、水相から精油を分離する。産業施設の大半で、果汁と精油を同時または連続的に回収することが可能となっている。
【0035】
物理化学的特性
精油は、一般に、室温で揮発性で液体であり、これによって「固定(set)」油と区別される。精油には、多かれ少なかれ色があり、その密度は一般に水よりも低い。精油は、高い屈折率を有しており、そのほとんどが偏光の向きを変える。精油は脂溶性であり、通常の有機溶媒に可溶で、水蒸気で同伴可能であり、水には非常にわずかしか溶けない。
【0036】
本発明に従って使用し得る精油として、以下の植物学的系統に属する植物から得られる精油を挙げることができる:
マツ科(AbietaceaeもしくはPinaceae):コニファー
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
ウルシ科(Anacardiaceae)
バンレイシ科(Anonaceae):イランイラン
セリ科(Apiaceae、例えば、umbelliferae):ディル、アンゼリカ、コリアンダー、シーフェンネル、ニンジン、パセリ
サトイモ科(Araceae)
ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)
キク科(Asteraceae):ノコギリソウ、アルテミシア、カモミール、ヘリフリサム
カバノキ科(Betulaceae)
アブラナ科(Brassicaceae)
カンラン科(Burseraceae):乳香
ナデシコ科(Caryophyllaceae)
カネラ科(Canellaceae)
ジャケツイバラ科(Cesalpiniaceae):コパイフェラ(コパイババルサム)
アカザ科(Chenopodaceae)
ハンニチバナ科(Cistaceae):ロックローズ
カヤツリグサ科(Cyperaceae)
フタバガキ科(Dipterocarpaceae)
ツツジ科(Ericaceae):シラタマノキ(ウィンターグリーン)
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)
マメ科(Fabaceae)
フウロソウ科(Geraniaceae):ゼラニウム
テリハボク科(Guttiferae)
マンサク科(Hamamelidaceae)
ハスノハギリ科(Hernandiaceae)
オトギリソウ科(Hypericaceae)セイヨウオトギリソウ(St-John's wort)
アヤメ科(Iridaceae)
クルミ科(Juglandacea)
シソ科(Lamiaceae):タイム、オレガノ、モナルダ、セイボリー、バジル、マジョラム、ミント、パチョリ、ラベンダー、セージ、イヌハッカ、ローズマリー、ヒソップ、バルム
クスノキ科(Lauraceae):ラベンサラ、ゲッケイジュ、ローズウッド、シナモン、ハマビワ
ユリ科(Liliaceae):ガーリック
モクレン科(Magnoliaceae):マグノリア
アオイ科(Malvaceae)
センダン科(Meliaceae)
モニミア科(Monimiaceae)
クワ科(Moraceae):アサ、ホップ
ヤマモモ科(Myricaceae)
ニクズク科(Myristicaceae):ナツメグ
フトモモ科(Myrtaceae):ユーカリ、ティーツリー、ペーパーバークツリー、カユプテ、レモンマートル、クローブ、ギンバイカ
モクセイ科(Oleaceae)
コショウ科(Piperaceae):コショウ
トベラ科(Pittosporaceae)
イネ科(Poaceae):レモンバーム、レモングラス、ベチバー
タデ科(Polygonaceae)
キンポウゲ科(Renonculaceae)
バラ(Rosaceae)科:バラ
アカネ科(Rubiaceae)
ミカン科(Rutaceae):全ての柑橘植物
ヤナギ科(Salicaceae)
ビャクダン科(Santalaceae):サンダルウッド
ユキノシタ科(Saxifragaceae)
マツブサ科(Schisandraceae)
エゴノキ科(Styracaceae):安息香(benjoin)
ジンチョウゲ科(Thymelaceae):沈香
シナノキ科(Tilliaceae)
オミナエシ科(Valerianaceae):カノコソウ、カンショウ
クマツヅラ科(Verbenaceae):ランタナ、バーベナ
スミレ科(Violaceae)
ショウガ科(Zingiberaceae):ゲットウ、ターメリック、カルダモン、ジンジャー
ハマビシ科(Zygophyllaceae)。
【0037】
花から抽出される精油(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、イランイラン、ネロリ)、茎および葉から抽出される精油(パチョリ、ゼラニウム、プチグレイン)、果物から抽出される精油(コリアンダー、アニス、クミン、セイヨウネズ)、果物の皮から抽出される精油(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根から抽出される精油(アンゼリカ、セロリ、カルダモン、アイリス、ショウブ、ショウガ)、木質から抽出される精油(パインウッド、サンダルウッド、グアヤックウッド、ピンクシダー、カンファー)、草の葉や茎およびイネ科から抽出される精油(タラゴン、ローズマリー、バジル、レモングラス、セージ、タイム)、針および枝から抽出される精油(トウヒ、モミ、マツ、ドワーフパイン)、ならびに樹脂および樹皮から抽出される精油(ガルバヌム、エレミ、安息香、ミルラ、オリバナム、オポパナクス)を特に挙げることができる。
【0038】
付香物質の例は、特に、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ファルネソル、ボルネオール、酢酸ボルニル、リナロール(linolool)、酢酸リナリル、プロピオン酸リナリル、ブチル酸リナリル、テトラヒドロリナロール(tetrahydrolinolool)、シトロネロール、酢酸シトロネリル、ギ酸シトロネリル、プロピオン酸シトロネリル、ジヒドロミルセノール、酢酸ジヒドロミルセニル、テトラヒドロミルセノール、テルピネオール、酢酸テルピニル、ノポール、酢酸ノピル、ネロール、酢酸ネリル、2-フェニルエタノール、酢酸2-フェニルエチル、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、酢酸スチラリル、安息香酸ベンジル、サリチル酸アミル、ジメチルベンジルカルビノール、酢酸トリクロロメチルフェニルカルビニル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸イソノニル、酢酸ベチベリル、ベチベロール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-メチル-3-(p-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)プロパナール、3-(p-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニルカルボキシアルデヒド、酢酸トリシクロデセニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、4-アセトキシ-3-ペンチルテトラヒドロピラン、3-カルボキシメチル-2-ペンチルシクロペンタン、2-n-4-ヘプチルシクロペンタノン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンタノン、メントン、カルボン、タゲトン、ゲラニルアセトン、n-デカナール、n-ドデカナール、9-デセナ-1-オール、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラノニトリル、シトロネロニトリル、酢酸セドリル、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、メチルセドリルエーテル(cedryl methyl ether)、イソロンギホラノン、オーベピノニトリル、オーベピン、ヘリオトロピン、クマリン、オイゲノール、バニリン、ジフェニルエーテル、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ダマスコン、イオノン、メチルイオノン、イソメチルイオノン、ソラノン、イロン、シス-3-ヘキサノールおよびそのエステル、ムスク-インダン、ムスク-テトラリン、ムスク-イソクロマン、マクロ環状ケトン、ムスク-マクロラクトン、エチレンブラシレート、およびそれらの混合物である。
【0039】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、使用者に心地よいノートを共通して生み出す異なる付香物質の混合物が使用される。
【0040】
付香物質は、好ましくは、以下の嗅覚的系統のノート(ヘッド、ハートおよびベース)を生じるように選択されよう。
-シトリン、
-アンバーリー(ambery)、
-フローラル、
-スパイシー、
-ウッディ、
-オリエンタル、
-グルマン(gourmand)、
-シプレ、
-フゼア(fougere)、
-レザリー。
【0041】
本発明による組成物(A)の化粧的に許容可能な媒体は、好ましくは、少なくとも1種の揮発性アルコールおよび/または1種の揮発性シリコーンオイルおよび/または水を、液体組成物用に含有する。優先的には、組成物の媒体は、組成物の全重量に対して好ましくは0.01重量%〜50重量%、より優先的には0.5重量%〜25重量%の範囲の量の水を含有する。
【0042】
本発明のために、用語「揮発性アルコール」は、室温および大気圧下で皮膚またはケラチン繊維に接触すると1時間未満で気化し得る、少なくとも1個のアルコール官能基を含有する任意の化合物を意味する。揮発性アルコールは、化粧用揮発性化合物(volatile cosmetic compound)であり、この化合物は、室温で液体であり、殊に室温および大気圧下でゼロでない蒸気圧を有し、殊に蒸気圧が0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、より特に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲を有する。
【0043】
本発明のために、用語「オイル」は、室温および大気圧下で液体である、水不溶性の脂肪性物質を意味する。
【0044】
本発明のために、用語「揮発性シリコーンオイル」は、室温および大気圧下で皮膚またはケラチン繊維に接触すると1時間未満で気化し得る、任意のシリコーン化合物を意味する。この揮発性化合物は、化粧用揮発性化合物であり、この化合物は、室温で液体であり、殊に室温および大気圧下でゼロでない蒸気圧を有し、殊に蒸気圧が0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、より特に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲を有する。
【0045】
本発明による揮発性アルコールは、好ましくは、C1〜C5低級モノアルコールから選択され、このモノアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、およびt-ブタノールから選択することができ、特にエタノールである。
【0046】
存在する揮発性アルコールの量は、好ましくは、組成物の全重量に対して、40重量%〜80重量%の範囲の量、より優先的には、55重量%〜80重量%の範囲の量である。
【0047】
揮発性シリコーンオイルの例として挙げられ得るものは、揮発性の直鎖状または環式のシリコーンオイル、特に粘度が≦6センチストークス(6×10-6m2/s)のものであり、殊に2〜10個のケイ素原子を含有するものを含み、これらのシリコーンは1〜22個の炭素原子を含有するアルキル基またアルコキシ基を任意選択的に含む。本発明で使用し得る揮発性シリコーンオイルとしては、殊に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、およびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
揮発性シリコーンオイルは、好ましくは、組成物の全重量に対して、40重量%〜98.5重量%、好ましくは10重量%〜80重量%の範囲の濃度で存在する。
【0049】
本発明による局所付香組成物(A)は、香り付きローションの分野で一般に使用されている公知の方法を介して製造し得る。
【0050】
また本発明の組成物(A)は、フレグランスの分野で通常使用される任意の添加剤、殊に、酸化防止剤、紫外線遮断剤、媒体に可溶な染料、乳化剤、化粧的または皮膚科学的に活性な薬剤、例えば皮膚軟化剤もしくは柔軟剤(例えば甘扁桃油、杏仁油)、保湿剤(グリセロールなど)、鎮静剤(α-ビサボロールなど)、アラントインもしくはアロエベラ、ビタミン、必須脂肪酸、噴射剤、解膠剤、充填剤、真珠層、光沢薄片、およびそれらの混合物から選択される添加剤を含み得る。これらが本発明の組成物に存在する場合、これらの添加剤は、組成物の全重量に対して、0.001重量%〜10重量%、さらにより良くは0.01重量%〜5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0051】
ローション形態の本発明による局所付香組成物(A)は、瓶の形態中にコンディショニングし得る。またこれは加圧器具を用いて微粒子の形態で適用してもよい。本発明による器具は、当業者にとって周知であり、ノンエアロゾル型ポンプまたは「アトマイザー」、噴射剤を含むエアロゾル容器、および噴射剤として圧縮空気を使用するエアロゾルポンプを含む。これらの器具は、米国特許第4077441号および米国特許第4850517号に記載されている(それらは本明細書の内容に組み込まれている)。
【0052】
本発明によるエアロゾルとしてコンディショニングされる組成物(A)は、一般に、従来の噴射剤、例えば、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタンまたはプロパンを含有する。
【0053】
本発明の組成物(B)に存在する食用付香物質は、以下から選択され得る:
(i)刊行物「Substances aromatisantes et sources naturelles de matieres aromatisantes [Aromatizing substances and natural sources of aromatizing materials]、vol. 1、4th edition、1992、Maisonneuve」中の、欧州議会によって制定されたオフィシャルリストに示されているもの、
(ii)食品医薬品局(FDA)によって発行されたFEMA/GRASオフィシャルリストに示されているもの。
【0054】
以下の系統のノートを生じる食用付香物質が好ましくは選択されよう。
-シトリン:レモンエッセンス、シトロネロール、シトラール、マンダリンエッセンス、グレープフルーツエッセンス、
-アンバーリー:テルピネオール、メントール、酢酸リナリル、
-フローラル、
(i)ピンクフラワー:ゲラニオール、ローズエッセンス、リナロール、
(ii)ホワイトフラワー:ヘリオトロピン、
-スパイシー:コリアンダーエッセンス、コショウ、シナモン、シンナムアルデヒド、オイゲノール、
-ウッディ:シダーウッド、サンダルウッド、
-オリエンタル、
-グルマン:バニリン、エチルバニリン、エチルマルトール、
-シプレ、
-フゼア、
-レザリー。
【0055】
本発明によれば、食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生ずるフレグランスのノートの少なくとも1種と共通するノートを有するフレグランスを生じるように選択される。
【0056】
本発明の1つの特定の形態によれば、少なくとも1種のヘッドノートおよび/または1種のハートノートを有するフレグランスを生じる組成物(A)が使用され、食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じるフレグランスと少なくとも同じヘッドノートおよび/または同じハートノートを有するフレグランスを生じるように選択されよう。
【0057】
本発明の食用付香分子の1日用量は、その物質およびその物質を含有する生薬(galenical)形態の性質に応じて、好ましくは、10-5〜200mgの範囲、より優先的には、0.05〜85mgの範囲となろう。この用量は、1日を通して1回で摂取してもよく、複数回で摂取してもよい。
【0058】
種々の食用付香物質を含有する本発明の組成物(B)は、互いに独立して、液体形態または固体形態であり得る。それらは、経口または舌下経路(舌および口の粘膜を通じた吸収によって完全に溶解するまで舌下に適用される)を介して直接適用され得る。それらは、カプセル、特に舌下で溶けるカプセル、錠剤、ゲルカプセル、顆粒、棒、ペースト、吸込用ペレット、ハード、ソフトもしくはゼリー状の砂糖菓子、または砂糖でコーティングされた砂糖菓子、チューイングガム、飲料、ペストリー(例えば、マカロン)に組み入れることを意図した溶液、菓子類、風味付け砂糖、使用時に水で希釈される粉末、舌下的に適用され得る製品の形態であり得る。
【0059】
様々な提供形態または投与形態を、通常の方法に従って、経口投与に適合し得る標準的な賦形剤と共に、調製し得る。
【0060】
また本発明の組成物(B)には、経口適用に適した1種もしくはそれ以上の添加剤、例えば、食品着色料、保存剤、酸化防止剤、増粘剤もしくはゲル化剤などの食感作用剤(texture agent)、風味増強剤(flavour enhancer)、甘味料、乳化剤、酸性化剤および安定剤から選択される添加剤を含めることができる。
【0061】
言うまでもなく、当業者は、予定される添加によって本発明による組成物の有利な特性が有害な影響を受けないもしくは実質的に受けないように、任意選択の追加の添加剤および/またはその量の選択に対して注意を払うであろう。
【0062】
また本発明は、少なくとも
-上記で定義される組成物(A)を含む第1のコンディショニング、
-上記で定義される組成物(B)を含む第2のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種のコンディショニングを有する付香キットまたは器具に関する。
【0063】
局所的にまたは衣類へ適用される付香組成物(A)は、瓶、加圧器具(ポンプ-ディスペンサー瓶もしくはエアロゾルなど)、香り付きタルクに適した器具(例えば格子もしくは適切なアプリケーターを備えるもの)、香り付き乳液もしくはクリームの場合はチューブ、またはワイプ中でコンディショニングし得る。
【0064】
経口的に適用される付香組成物(B)は、箱または薬瓶、フラスコまたは瓶(飲料または洗口剤の場合)、ゲルカプセルに適したコンディショニング、チューイングガムもしくは錠剤、ブリスターパック、香袋または飲用可能なバイアル中でコンディショニングし得る。
【0065】
本発明の1つの特定の形態によれば、経口的に適用される組成物(B)は、
a)経口適用に適した支持体中に、少なくとも1種の食用付香物質(1)を含む、少なくとも1種の成分(B1)であって、食用付香物質(1)が、摂食後または口内に配置した後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分未満でその拡散が最大に達するフレグランスを生じることができる、成分(B1)、および
b)経口適用に適した支持体中に、少なくとも1種の食用付香物質(2)を含む、少なくとも1種の組成物(B2)であって、食用付香物質(2)が、摂食後または口内に配置した後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分以上でその拡散が最大に達するフレグランスを生じることができる、組成物(B2)
を含み、
組成物(B1)および(B2)の摂食の順序は関係なく、組成物(B1)および(B2)は場合によって別個にまたは同じ生薬形態中で一緒にコンディショニングされる
ことを特徴とする、少なくとも2種の成分を含有する経口付香剤であり得る。
【0066】
また本発明は、少なくとも
-上記で定義される組成物(A)を含む第1のコンディショニング、
-上記で定義される組成物(B1)を含む第2のコンディショニング、
-上記で定義される組成物(B2)を含む第3のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種のコンディショニングを有する付香キットまたは器具に関する。
【0067】
本出願人は、驚くべきことに、広範な研究の過程において、この2成分型の付香剤が、摂食後に、身体内部からヒトケラチン質、特に皮膚上にフレグランスを拡散することができ、その強度が、少なくとも1時間30分から6時間まで均一、有効かつ一定であり続けることを発見した。
【0068】
本発明による食用付香物質(1)および(2)は、以下の嗅覚的系統のノート(ヘッド、ハート、およびベース)を有するフレグランスを生じるものから選択される:
-シトリン、
-アンバーリー、
-フローラル、
-スパイシー、
-ウッディ、
-オリエンタル、
-グルマン、
-シプレ、
-フゼア、
-レザリー。
【0069】
摂食後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分未満でその拡散が最大に達するフレグランスを生じることができる食用付香物質(1)の中で、優先的には、ローズエッセンス、シトロネロール、エチルバニリン、リナロール、メントール、コショウエッセンスを挙げることができる。
【0070】
摂食後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分以上でその拡散が最大に達するフレグランスを生じることができる食用付香物質(2)の中で、例としては、ゲラニオール、酢酸リナリル、シトラール、コリアンダーエッセンス、エチルマルトール、γ-ウンデカラクトン、テルピネオール、ヘリオトロピンを挙げることができる。
【0071】
本発明のもう1つの特定の主題は、同時にまたは別個に、
a)経口適用に適した支持体中に、ロースエッセンス、シトロネロール、メントール、およびコショウエッセンスから選択される、少なくとも1種の食用付香物質(1)を含む、少なくとも1種の組成物(B1)、および
b)経口適用に適した支持体中に、ゲラニオール、酢酸リナリル、シトラール、コリアンダーエッセンス、エチルマルトール、γ-ウンデカラクトン、テルピネオール、およびヘリオトロピンから選択される、少なくとも1種の食用付香物質(2)を含む、少なくとも1種の組成物(B2)
を摂食することにあり、組成物(B1)および(B2)の摂食の順序は関係なく、組成物(B1)および(B2)は場合によって別個にまたは同じ生薬形態中で一緒にコンディショニングされる、ヒトケラチン質を付香する方法からなる。
【0072】
また本発明は、少なくとも
-上記で定義される組成物(B1)を含む第1のコンディショニング、
-上記で定義される組成物(B2)を含む第2のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種のコンディショニングを備える、ヒトケラチン質用の付香キットまたは器具に関する。
【0073】
本発明の食用付香分子の1日用量は、その物質およびその物質を含有する生薬形態の性質に応じて、好ましくは、10-5〜200mgの範囲、より優先的には、0.05〜85mgの範囲となろう。この用量は、1日を通して1回で摂取されてもよく、複数回で摂取されてもよい。
【0074】
種々の食用付香物質を含有する本発明の組成物(B1)および(B2)は、互いに独立して、カプセル、特に舌下で溶けるカプセル、錠剤、ゲルカプセル、顆粒、棒、ペースト、吸込用ペレット、ハード、ソフトもしくはゼリー状の砂糖菓子、または砂糖でコーティングされた砂糖菓子、チューイングガム、飲料、ペストリー(例えば、マカロン)に組み入れることを意図した溶液、菓子類、風味付け砂糖、使用時に水で希釈される粉末、舌下的に適用され得る製品(舌および口の粘膜を介した吸収によって完全に溶解するまで舌下に適用される)の形態であり得る。それらは、例えば、箱または薬瓶、フラスコまたは瓶(飲料の場合)、ゲルカプセルまたは錠剤に適したコンディショニング、ブリスターパック、香袋または飲用可能なバイアル、チューイングガムに適したコンディショニング中でコンディショニングし得る。
【0075】
様々な提供形態または投与形態を、通常の方法に従って、経口投与に適合し得る標準的な賦形剤と共に、調製し得る。
【0076】
また、本発明の組成物もしくは成分(B1)および(B2)には、経口投与に適した1種もしくはそれ以上の添加剤、例えば、食品着色料、保存剤、酸化防止剤、食感作用剤、増粘剤もしくはゲル化剤、風味増強剤、甘味料、乳化剤、酸性化剤および安定剤から選択される添加剤を含めることができる。
【0077】
次に、本発明を以下の実施例を参照しながら説明するが、これらは、非限定的な例示として提供される。
【実施例】
【0078】
効力試験のプロトコルおよび結果
効力試験は、中性油および甘味料のみで構成される「中性」もしくはプラセボカプセルの摂食と比較して、実施される。
【0079】
「摂食者(ingester)」の皮膚の評価を、「嗅ぎ手(sniffer)」の専門家からなる委員会により、種々の時間(1時間30分、3時間、4時間30分、および6時間)に行った。
【0080】
各分子に対して、10人の摂食者の匂いを、10人の嗅ぎ手が嗅いだ。結果として、各分子につき、100回、匂いを嗅いだ。
【0081】
評価は、肘の湾曲部で、非常に厳密な試験条件に従って行った。即ち、試験期間中、喫煙者の排除、香り付き洗浄製品、シャワーゲルもしくは柔軟剤の非存在。試験期間中の香水もしくは香り付き化粧品の非存在。試験の前日および試験期間中を通して、スパイスまたはアルコールを除去した食事。
【0082】
そのようにして、スケール0〜5の「強度」のノートを種々の評価時間で評価した。
【0083】
分子は、プラセボと比較して、各時間の平均強度の評価スコアが3/5より大きいとき、「効力がある」とされる。
【0084】
(実施例1)
Lancome製のトレゾア(Tresor)オードトワレ(ヘッドノートにフルーティ-ピーチ、ハートノートにフローラル-ローズ、およびベースノートにアンバーリー-バニラを有する香りを生じる)を、T0で皮膚へ適用する。
【0085】
次いで、以下の各付香物質1カプセルを摂食し、舌下にできるだけ長く置いて溶かす:
2.75mgのエチルマルトールを含有するカプセル、
0.0055mgのローズエッセンスを含有するカプセル、
1.65mgのγ-ウンデカラクトンを含有するカプセル、
1.5mgのエチルバニリンを含有するカプセル。
【0086】
魚ゼラチンをベースとする同一の支持体カプセルは、特許出願WO03/045166に記載されている方法に従って調製する。
【0087】
1時間30分後に、局所的にのみ適用したトレゾアオードトワレのハートノートおよびベースノートに対応する、非常に心地よいフローラルローズフラワーおよびグルマンの匂いが、皮膚上で得られる。
【0088】
6時間後、この同じフローラルグルマンの匂いが、上記評価試験に従った3/5を超える強度で、依然として皮膚上で得られる。
【0089】
(実施例2)
マスキュリンオードトワレ(メントール、シンナムアルデヒド、コショウエッセンス、およびテルピネン-4-オールをベースとする)を、T0で皮膚へ適用する。このオードトワレは、ヘッドノートにスパイシー、ハートノートにフレッシュ-アンバーリー、およびベースノートにウッディを有する香りを生じる。
【0090】
次いで、以下の各付香物質1カプセルを摂食し、舌下にできるだけ長く置いて溶かす:
5.5mgのメントールを含有するカプセル、
0.33mgのシンナムアルデヒドを含有するカプセル、
5.5mgのコショウエッセンスを含有するカプセル、
0.0385mgのテルピネン-4-オールを含有するカプセル。
【0091】
魚ゼラチンをベースとする同一の支持体カプセルは、特許出願WO03/045166に記載されている方法に従って調製する。
【0092】
1時間30分後に、局所的にのみ適用したオードトワレのヘッドノート、ハートノート、およびベースノートに対応する、非常に心地よいスパイシー、フレッシュおよびウッディな匂いが、皮膚上で得られる。
【0093】
6時間後、この同じスパイシー、フレッシュおよびウッディな匂いが、3/5を超える強度で、依然として皮膚上で得られる。
【0094】
(実施例3)
オードトワレ(シンナムアルデヒドとゲラニオールをベースとし、フローラルでフレッシュな香りを生じる)を、T0で皮膚へ適用する。
【0095】
次いで、以下の各付香物質1カプセルを摂食し、舌下にできるだけ長く置いて溶かす。
0.33mgのシンナムアルデヒドを含有するカプセル、
0.055mgのゲラニオールを含有するカプセル。
【0096】
魚ゼラチンをベースとする同一の支持体カプセルは、特許出願WO03/045166に記載されている方法に従って調製する。
【0097】
1時間30分後に、非常に心地よいフローラルでフレッシュな匂いが、皮膚上で得られる。
【0098】
6時間後、同じフローラルでフレッシュな匂いが、3/5を超える強度で、皮膚上で得られる。
【0099】
(実施例4)
多成分系経口付香剤(B)
以下を摂食し、舌下にできるだけ長く置いて溶かす:
-それぞれ0.055mgのゲラニオールを含有するカプセル3個(4時間30分で最大拡散)、
-それぞれ2.75mgのエチルマルトールを含有するカプセル3個(4時間30分で最大拡散)、
-それぞれ0.55mgの酢酸リナリルを含有するカプセル3個(4時間30分で最大拡散)
-それぞれ0.55mgのシトロネロールを含有するカプセル3個(3時間で最大拡散)。
【0100】
全てのカプセルは魚ゼラチンをベースとし、特許出願WO03/045166に記載されている方法に従って調製される。
【0101】
効力試験のプロトコルおよび結果
効力試験は、中性油および甘味料のみで構成される「中性」もしくはプラセボカプセルの摂食と比較して、実施される。
【0102】
「摂食者」の皮膚の評価を、「嗅ぎ手」の専門家からなる委員会により、種々の時間(1時間30分、3時間、4時間30分、および6時間)に行った。
【0103】
各分子に対して、10人の摂食者の匂いを、10人の嗅ぎ手が嗅いだ。結果として、各分子につき、100回、匂いを嗅いだ。
【0104】
評価は、肘の湾曲部で、非常に厳密な試験条件に従って行った。即ち、試験期間中、喫煙者の排除、洗浄製品、香り付きシャワーゲルもしくは香り付き柔軟剤の非存在。試験期間中の香水もしくは香り付き化粧製品の非存在。試験の前日および試験期間中を通して、スパイスまたはアルコールを除去した食事。
【0105】
そのようにして、スケール0〜5の「強度」のノートを種々の評価時間で評価した。
【0106】
分子は、プラセボと比較して、各時間の平均強度の評価スコアが3/5より大きいとき、「効力がある」とされる。
【0107】
結果
フローラル-フレッシュでわずかにグルマンの特徴を有する、3/5を超える一定強度の心地よい香りが、1時間30分から6時間まで得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(1)ヒトケラチン質または衣類へ付香組成物(A)を直接適用する工程であって、付香組成物(A)が、化粧的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の付香物質を含み、前記組成物が、以下の系統:
シトリン、
アンバーリー、
フローラル、
スパイシー、
ウッディ、
グルマン、
シプレ、
フゼア、
レザリー
のヘッドノートおよび/またはハートノートおよび/またはベースノートを有する香りを生じる、工程、
(2)少なくとも1種の組成物(B)を摂食するまたは口内に配置する工程であって、組成物(B)が、身体内部からヒトケラチン質の外に匂いを発することが可能な少なくとも1種の食用付香物質を含み、前記食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じる、以下の系統:
シトリン、
アンバーリー、
フローラル、
スパイシー、
ウッディ、
グルマン、
シプレ、
フゼア、
レザリー
の香りのノートと共通する少なくとも1種のノートを有する香りを生じるように選択される、工程を含み、
工程の順序は関係なく、組成物(A)および組成物(B)の適用は場合によって同時または別時である
ことを特徴とする付香方法。
【請求項2】
組成物(A)が、少なくとも1種のヘッドノートおよび/または1種のハートノートを有する香りを生じ、食用付香物質は、組成物(B)が、組成物(A)によって生じる香りのノートと少なくとも同じヘッドノートおよび/または同じハートノートを有するフレグランスを生じるように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
付香組成物(A)が、オードトワレ、オードパルファン、オーフレッシュ、アフターシェーブローション、オードソワン、シリコーン系またはヒドロシリコーン系手入れ用オイル、香り付き二相ローション、香り付き乳液もしくはクリーム、香り付き粉末、ゲル、香油、凝集体、ロールオン式(ボール式)、スティック式の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物(A)が加圧器具中にコンディショニングされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
組成物(B)が、カプセル、特に舌下で溶けるカプセル、錠剤、ゲルカプセル、顆粒、棒、ペースト、吸込用ペレット、ハード、ソフトもしくはゼリー状の砂糖菓子、または砂糖でコーティングされた砂糖菓子、チューイングガム、飲料、ペストリー(マカロン)に組み入れることを意図した溶液、菓子類、風味付け砂糖、使用時に水で希釈される粉末、舌下に適用し得る製品の形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
経口的に適用される付香組成物(B)が、
a)経口適用に適した支持体中に、少なくとも1種の食用付香物質(1)を含む、少なくとも1種の成分(B1)であって、食用付香物質(1)が、摂食後または口内に配置した後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分未満でその拡散が最大に達するフレグランスを生じることができる、成分(B1)、および
b)経口適用に適した支持体中に、少なくとも1種の食用付香物質(2)を含む、少なくとも1種の組成物(B2)であって、食用付香物質(2)が、摂食後または口内に配置した後に、身体内部からヒトケラチン質の外に、4時間30分以上でその拡散が最大に達するフレグランスを生じることができる、組成物(B2)
を含み、組成物(B1)および(B2)の摂食の順序は関係なく、組成物(B1)および(B2)は場合によって別個にまたは同じ生薬形態中に一緒にコンディショニングされ、前記食用付香物質(1)および(2)が、以下の嗅覚的系統:
シトリン、
アンバーリー、
フローラル、
スパイシー、
ウッディ、
オリエンタル、
グルマン、
シプレ、
フゼア、
レザリー
のノート(ヘッド、ハートおよびベース)を有する香りを生じる物質から選択されることを特徴とする、少なくとも2種の成分を含有する経口付香剤である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
4時間30分未満でその拡散が最大に達する香りを生じることができる食用付香物質(1)が、ローズエッセンス、シトロネロール、エチルバニリン、リナロール、メントールおよびコショウエッセンス、またはそれらの混合物から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
4時間30分以上でその拡散が最大に達する香りを生じることができる食用付香物質(2)が、酢酸リナリル、シトラール、コリアンダーエッセンス、エチルマルトール、γ-ウンデカラクトン、テルピネオールおよびヘリオトロピン、またはそれらの混合物から選択される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
食用付香分子の1日用量が10-5〜200mg、好ましくは1〜50mgの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも
請求項1から9のいずれか一項で定義される組成物(A)を含む第1のコンディショニング、および
請求項1から9のいずれか一項で定義される組成物(B)を含む第2のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種のコンディショニングを備える、付香キットまたは器具。
【請求項11】
少なくとも
請求項6から9のいずれか一項で定義される組成物(B1)を含む第2のコンディショニング、および
請求項6から9のいずれか一項で定義される組成物(B2)を含む第3のコンディショニング
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の付香キットまたは器具。
【請求項12】
同時にまたは別個に、
a)経口適用に適した支持体中に、ローズエッセンス、シトロネロール、メントールおよびコショウエッセンスから選択される少なくとも1種の食用付香物質(1)を含む、少なくとも1種の組成物(B1)、および
b)経口適用に適した支持体中に、ゲラニオール、酢酸リナリル、シトラール、コリアンダーエッセンス、エチルマルトール、γ-ウンデカラクトン、テルピネオールおよびヘリオトロピンから選択される少なくとも1種の食用付香物質(2)を含む、少なくとも1種の組成物(B2)
を摂食することを含み、
組成物(B1)および(B2)の摂食の順序は関係なく、組成物(B1)および(B2)は場合によって別個にまたは同じ生薬形態中で一緒にコンディショニングされる、ヒトケラチン質の付香方法。
【請求項13】
少なくとも
請求項12で定義される組成物(B1)を含む第1のコンディショニング、
請求項12で定義される組成物(B2)を含む第2のコンディショニング
を含むことを特徴とする、少なくとも2種のコンディショニングを備える、ヒトケラチン質用の付香キットまたは器具。

【公表番号】特表2013−512867(P2013−512867A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541394(P2012−541394)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067560
【国際公開番号】WO2011/067105
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】