説明

局所的局所麻酔薬組成物を用いる頭痛の痛みを処置するための方法

【課題】頭痛の痛みを罹患しているホストを局所麻酔薬の局所的塗布物で処置するための方法を提供すること。
【解決手段】頭痛の痛みを罹患しているホストを、該頭痛の痛みが伴う標的神経における伝達をブロックすることにより処置するための方法であって、この標的神経に近位の角質化皮膚部位において、浸透増強剤としてのオイカリプトールと組み合わせた有効量の局所麻酔薬を含む局所的局所麻酔薬組成物を塗布する工程を含み、これにより、該局所麻酔薬が、該皮膚部位において皮膚表面に迅速に浸透して、該標的神経における伝達をブロックする、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明の分野は、頭痛の痛みの処置である。
【背景技術】
【0002】
(背景)
頭痛は人口の大部分に発症している共通の問題である。緊張型および片頭痛のような頭痛は、断続的および慢性的の両方で生じ、そして種々の刺激(ストレス、傷害、環境毒などを含む)に対する応答を生じ得る。
【0003】
種々の治療薬が、頭痛の痛みを罹患している患者の処置において使用するために開発されてきた。アスピリン、アセトアミノフェン、血管収縮薬、およびNSAID(例えば、イブプロフェン、およびナプロシン(naprosyn))のような、いくつかの薬剤が全身に投与される。頭痛の痛みのための処置のこの形態の普及率にもかかわらず、いくつかの場合において、全身性投与は推奨されていない。例えば、アスピリンの経口投与は胃の不調および患者の不快感を生じ得る。その上さらに、薬剤はホスト全身性毒性を発揮し得、これは薬剤により提供される任意の治療的利益よりも重大であり得る。最後に、薬剤は全身に投与されるので、その効果もまた全身性であり、それは望まれないことがあり得る。
【0004】
全身に投与される治療薬に伴う上記の問題および不利点を考慮して、標的神経における伝達を選択的にブロックする局所麻酔薬の局所投与は、頭痛の痛みの処置のために望ましい代案である。局所麻酔薬の使用は、頭痛の痛みに伴うそれらの神経のみにおいて神経伝達が選択的にブロックされ得るため、望ましい。頭痛の痛みの処置における局所麻酔薬の使用は望ましいが、標的神経への有効量の局所麻酔薬の投与は困難であり、そして/または不便である。
【0005】
例えば、局所麻酔薬は頭痛の痛みに伴う神経部位(例えば、後頭部および眼窩上神経)において直接注射されて神経ブロックを生じ得、そしてそれにより痛みの軽減を提供する。非特許文献1を参照のこと。この方法は頭痛の痛みの軽減の提供において有効であるが、局所麻酔薬が注射されるため、それは訓練を受けた人員により投与されなければならない。その上さらに、患者は局所麻酔薬の注射に伴う不快感を耐えなければならない。
【0006】
注射による投与のこれらの不利な点のため、局所麻酔薬の局所投与は投与の様式の望ましい代案である。しかしながら、それらによる局所麻酔薬は皮膚の角質層に容易には浸透しない。非特許文献2を参照のこと。それゆえ、局所麻酔薬の鼻腔内塗布の、頭痛の痛みの処置における使用を見いだした。非特許文献3を参照のこと。
【0007】
局所麻酔薬の角質化皮膚表面への局所投与のため、局所麻酔薬の角質化皮膚表面を越える浸透を提供するようにさらなる処置をとらなければならない。局所麻酔薬のその皮膚表面を越える浸透を提供する手段の1つは、イオン泳動技術(iontophoretic techniques)を採用することであり、ここで電場が局所的局所麻酔薬組成物にかけられる。局所麻酔薬は、かけられた電場の影響下、角質化皮膚表面に浸透する。
【0008】
角質化皮膚の浸透を提供する別の手段は、局所麻酔薬の浸透を促進する処方物を採用することである。そのような処方物は入手可能であり、そして種々の塗布のために採用されてきているが、現在入手可能な局所的局所麻酔薬処方物は、頭痛の痛みの処置に対して広範な使用を見いだされていない。現在入手可能な処方物が頭痛の痛みの処置に対して広範な使用を見いだされていない1つの理由は、麻酔剤の有効量が、十分に短い時間の間に、痛みの軽減を提供するのに十分に迅速に皮膚に浸透しないということである。例えば、EMLA(リドカインおよびプリロカインの共融混合物)が、角質化皮膚表面に局所的に塗布される場合、それは閉鎖包帯下、鎮痛がホストにより体験される前に少なくとも1時間塗布されなければならない。非特許文献4を参照のこと。
【0009】
従って、頭痛の痛みの処置において使用するのに適した局所的局所麻酔薬処方物の同定において引き続き興味が持たれる。そのような局所的処方物は、局所麻酔薬の有効量の皮膚表面を通る迅速な浸透を提供し、そしてそれにより迅速な痛みの軽減を提供するべきである。
【0010】
(関連文献)
特許文献1は、増強剤としてオイカリプトールを含む局所的塗布を記載している。他の目的の特許は以下を含む:特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;および特許文献7。
【0011】
非特許文献5は、硝酸塩誘導性群発性頭痛の痛みを処置するため、4%リドカイン溶液の蝶口蓋窩(sphenopalantine fossa)への塗布を報告している。
【特許文献1】米国特許第4,440,777号明細書
【特許文献2】米国特許第4,588,580号明細書
【特許文献3】米国特許第4,911,707号明細書
【特許文献4】米国特許第5,069,909号明細書
【特許文献5】米国特許第5,070,084号明細書
【特許文献6】米国特許第5,330,452号明細書
【特許文献7】米国特許第5,368,860号明細書
【非特許文献1】Garron、「Relieving Pain with Nerve Blocks」、Geriatrics(1978年) 33:p.49〜57
【非特許文献2】Review of Medical Pharmacology(Meyersら編、1978年)p.217〜226
【非特許文献3】Brandtら、「Cluster headache and chronic paroxysmal hemicrania:current therapy」、Nervenarzt (1991年) 62:p.329〜339
【非特許文献4】Physician’s Desk Reference、1994年、p.544
【非特許文献5】Kittrelleら、「Cluster Headache.Local Anesthetic Abortive Agents」、Arch. Neurol. (1985年) 42:p.496〜498
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
頭痛の痛みを罹患しているホストの、局所的局所麻酔薬組成物を用いる処置のための方法を提供する。本発明の方法において採用される局所的局所麻酔薬組成物は、浸透増強剤としてのオイカリプトールとの組合せで、有効量の局所麻酔薬を含む。局所麻酔薬組成物は、頭痛の痛みが伴う標的神経に近位の角質化皮膚部位に塗布される。塗布において、局所麻酔薬は迅速に皮膚表面に浸透して標的神経に到達し、そして標的神経における伝達をブロックし、そして迅速な痛みの軽減を提供する。
【0013】
本発明により、以下が提供される。
(項目1)
頭痛の痛みを罹患しているホストを、該頭痛の痛みが伴う標的神経における伝達をブロックすることにより処置するための方法であって、該方法は以下:
該標的神経に近位の角質化皮膚部位において、以下を含む局所的局所麻酔薬組成物を塗布する工程:浸透増強剤としてのオイカリプトールと組み合わせた有効量の局所麻酔薬;を含み、
これにより、該局所麻酔薬が、該皮膚部位において皮膚表面に迅速に浸透して、該標的神経における伝達をブロックする、方法。
(項目2)
前記局所的局所麻酔薬組成物がさらに、付加的な浸透増強剤を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記標的神経が、後頭部および眼窩上神経からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
頭痛の痛みを罹患しているホストを、該頭痛の痛みが伴う標的神経における伝達をブロックすることにより処置するための方法であって、該方法は以下:
該標的神経に近位の角質化皮膚部位において、以下を含む局所的局所麻酔薬組成物を塗布する工程:(a)有効量の局所麻酔薬、ここで該局所麻酔薬は接続基を介して芳香族基と連結したアミンである;(b)浸透増強剤としてのオイカリプトール;および(c)付加的な浸透増強剤、ここで該標的神経は後頭部および眼窩上神経からなる群より選択される;を含み、
これにより、該局所麻酔薬が、該皮膚部位において皮膚に迅速に浸透して、該標的神経における伝達をブロックする、方法。
(項目5)
前記局所麻酔薬がブピバカインである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記付加的な浸透増強剤がN,N-ジエチル-m-トルアミドである、項目4に記載の方法。
(項目7)
頭痛の痛みを罹患しているホストを、後頭部および眼窩上神経からなる群より選択される標的神経における伝達をブロックすることにより処置するための方法であって、該方法は以下:
該標的神経に近位の角質化皮膚部位において、以下を含む局所的局所麻酔薬組成物を塗布する工程:(a)有効量のベンゾカイン、(b)オイカリプトール、および(c) N,N-ジエチル-m-トルアミド;を含み、
これにより、該ブピバカインが、該皮膚部位において皮膚に迅速に浸透して、該標的神経における伝達をブロックする、方法。
(項目8)
前記ベンゾカインが20〜40重量%の範囲の量で前記組成物中に存在する、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記組成物中の前記オイカリプトール対N,N-ジエチル-m-トルアミドの比が1:2である、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記組成物がゲルとして処方される、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記ゲルが包帯(dressing)で被覆される、項目7に記載の方法。
(項目12)
前記組成物が硬膏の接着剤中に処方される、項目7に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(特定の実施態様の説明)
頭痛の痛みを罹患しているホストの、局所的局所麻酔薬組成物の塗布を介した処置のための方法を提供する。本発明の方法において採用される局所麻酔薬組成物は、浸透増強剤としてのオイカリプトールとの組合せで、有効量の局所麻酔薬を含み、そして局所麻酔薬剤の角質化皮膚表面を通過する迅速な浸透を提供する。本発明の方法において、局所麻酔薬組成物は、頭痛の痛みに伴う標的神経に近位の皮膚部位に局所的に塗布される。塗布において、局所麻酔薬剤は皮膚に浸透して標的神経における伝達をブロックし、そしてホストの痛みの軽減を提供する。
【0015】
本発明の方法において採用される局所的組成物は、活性薬剤として局所麻酔薬を含む。2つ以上の局所麻酔薬剤が本発明の組成物に存在し得るが、一般に本発明の組成物は単一の局所麻酔薬剤を含む。本発明の方法において採用される局所麻酔薬は、麻酔性であり、それは、局所的処方物において投与された場合、迅速に角質化皮膚表面に浸透して、皮膚表面化にある神経における伝達をブロックする。局所麻酔薬は、角質化皮膚表面を横切る輸送と適合する分子量および融点を有する。一般に、局所麻酔薬の分子量は約300 dalを越えず、そしてより通常には約250 dalを越えない。局所麻酔薬の融点は、約100℃未満である。一般に、局所麻酔薬は接続基を介して芳香族基と連結した第二級または第三級アミンからなる化合物である。局所麻酔薬は、約9個〜20個の炭素原子からなるアルカニル化合物である。組成物が局所的に塗布されるため、局所麻酔薬は一般に、皮膚表面を通過する薬剤の浸透を促進するために遊離塩基として組成物中に存在する。多数の局所麻酔薬が当該分野において公知であり、その多くは局所的塗布物に適している。適した局所麻酔薬は以下を含む:リドカイン、ブタムベン(butamben)、ブタニリカイン、アミノ安息香酸エチル、フォモカイン、ヒドロキシプロカイン、p-アミノ安息香酸イソブチル、ネパイン(naepaine)、オクタカイン、パレトキシカイン、ピリドカイン、プリロカイン、プロカイン、リソカイン、トリカイン、トリメカイン、特にアミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)。本発明の組成物中に存在する局所麻酔薬の量は、本発明の方法により局所的に投与された場合、効果的な量の薬剤を提供するのに十分である。局所的処方物中に存在する麻酔薬の正確な量は、採用された特定の薬剤に依存するが、一般に5〜50重量%、通常約10〜40重量%の範囲である。
【0016】
本発明の方法において採用される局所的塗布物に対して重大であるのはオイカリプトールであり、これは局所麻酔薬のための浸透増強剤として作用する。オイカリプトール(1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2,2,2]-オクタン)は、ユーカリの油の主成分であり、シネオールおよびカジェプトール(cajeputol)としてもまた知られる。オイカリプトールは当該分野で公知であり、昆虫駆散薬として、および香味剤としての使用が見いだされている。組成物中に存在するオイカリプトールの量は、組成物の約10〜80%、通常約10〜50重量%、そしてより通常には約20〜40重量%の範囲である。
【0017】
必要に応じて、本発明の組成物はさらに1つ以上の付加的な浸透増強剤を含み得、これはオイカリプトールとの組合せでききめがあり局所麻酔薬の迅速な浸透を提供する。付加的な浸透増強剤は、皮膚に迅速に浸透し得、そして薬学的に受容可能である、すなわちそれらが組成物中に存在するレベルにおいてホストに対して非毒性である。本発明の組成物において使用が見いだされ得る付加的な浸透増強剤の例は以下を含む:プロピレングリコールおよびN-メチル-2-ピロリドン。本発明の組成物においてオイカリプトールとの組合せで特に使用が見いだされる付加的な浸透増強剤は、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)である。存在する場合、本発明の組成物中のこの付加的な浸透増強剤の量は、特定の薬剤、ならびに組成物中に存在する局所麻酔薬に依存して変化する。本発明の組成物中の付加的な浸透増強剤(単数または複数)の量は、10〜80重量%、通常約30〜60重量%の範囲である。一般に、本発明の組成物中のオイカリプトールと付加的な浸透増強剤との比は、0.25:1〜2:1であり、通常約1:2〜1:1である。
【0018】
本発明の方法において採用される局所麻酔薬、オイカリプトール、および任意の付加的な浸透増強剤を含む組成物は、局所的塗布物に便利な様式で処方される。従って、本発明の組成物は局所麻酔薬の安定なオイカリプトール溶液または懸濁液として処方され得る。あるいは、局所麻酔薬およびオイカリプトールは1つ以上のキャリア物質と組み合わされて、当該分野で公知であるように、溶液、懸濁液、ゲル、ローション、クリーム、軟膏、エアロゾルスプレーなどを形成し得る。
【0019】
本発明の局所麻酔薬およびオイカリプトールが本発明の方法において有用な局所的塗布物を作るように処方され得るゲルビヒクルは、生理学的に受容可能であり、そして一般に濃厚化剤と組み合わせた溶媒を含む。一般に、溶媒は、アルコールまたはポリオールのようなアルカノールであり、以下を含む:エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロールなど。これらのアルコールおよびポリオールは、別個に、または組み合わせて使用され得る。ゲルビヒクルにおいて、一般に、溶媒は局所的組成物の約1〜80重量%、より普通には10〜40重量%で存在する。
【0020】
従来のゲル化剤または濃厚化剤が、皮膚に簡便に塗布され得る処方物を提供するために採用され得る。効果的であることが見いだされており、そして皮膚塗布のために通常使用されるゲル化剤の例示となるゲル化剤は、Carbomer 940(ジイソプロパノールアミンで中和されている)、中和ポリアクリル酸などを含む。ゲル化剤は、適切な粘性を提供するのに十分な量で使用され、一般に処方物の約0.1〜5重量%の範囲である。
【0021】
非イオン性界面活性剤が組成物中に含まれ得、ここで非イオン性界面活性剤は、上記のオイカリプトールおよび任意の付加的な浸透増強剤に加えて、共溶媒および表皮性浸透増強剤として作用し得る。従来の界面活性剤(例えば、ソルビタンエステルなど)が採用され得、これらは生理学的に受容可能である。存在する場合、一般に、非イオン性界面活性剤は処方物の約2〜20重量%の量で存在する。
【0022】
局所的組成物はまた、他の生理学的に受容可能な賦形剤または他の少量の添加物、特に感覚受容特性に関連する添加物、例えば香料、染料、乳化剤、緩衝液、冷却剤(例えば、メントール)、抗生物質、安定剤などを含み得る。賦形剤および少量の添加物は、約0.001〜5重量%の範囲の通常量で、より一般的には0.001〜2重量%で存在し、通常合計で10重量%を越えない。
【0023】
簡便には、例えばゲル処方物を用いて、処置の期間中機械的除去からゲルを保護するように、局所的塗布物は閉鎖包帯(これは多孔質または非多孔質であり得る)で覆われ得る。種々の不活性被覆物が採用され得、これは、以下で記載される硬膏における使用を見いだし得る種々の材料を含む。あるいは、熱または蒸気の移送を許容する、不織布または織布の被覆物、特にエラストマー性被覆物が採用され得る。これらの被覆物は、痛む部位の冷却を許容し、ゲルを機械的除去から保護しながら、より大きな快適さを提供する。
【0024】
ゲルの代わりに、硬膏が採用され得、ここで局所麻酔薬およびオイカリプトール、ならびに任意の付加的な浸透増強剤を含む組成物は、硬膏の接着剤中に処方され得る。硬膏の場合、被覆物は以下を含む:ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、(SARAN(R))、ポリエチレン、合成ゴム、織布または不織布ポリエステル織物など。局所麻酔薬およびオイカリプトールは、共溶媒(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコールなど)の助けを用いて、または共溶媒との組合せで接着剤と合わせられ得る。接着剤の特定の選択は重要ではなく、広範な生理学的に受容可能な接着剤が存在し、これらは皮膚との接触において、局所麻酔薬、オイカリプトール、および任意の付加的な浸透増強剤を維持し得る。
【0025】
特に目的となるのは、米国特許第4,440,777号において記載される局所的局所麻酔薬組成物である(この開示は、本明細書中で参考として援用される)。
【0026】
本発明の方法において、局所麻酔薬を含む局所的組成物は、頭痛の痛みが伴う標的神経に近位の、ホストの角質化皮膚部位に塗布される。通常頭痛の痛みが伴う神経は、後頭部および眼窩上神経である。組成物が塗布される皮膚部位は、組成物の皮膚表面との接触に際して、局所麻酔薬が標的神経に容易に到達し得、そして抗伝達活性を発揮し得るように、標的神経に十分に近い(例えば、皮膚部位は標的神経によって支配されている領域を覆っている)。局所的塗布の皮膚部位として特に目的となるのは、眼窩上および後頭部領域である。
【0027】
本発明の組成物は、0.25〜6時間の範囲の期間、通常は約0.5〜5時間、皮膚部位に塗布され、その時間の間、ホストは標的神経に対する局所麻酔薬の活性による痛みの軽減を経験する。頭痛の痛みが、局所的組成物の除去に続いて再発した場合、新たな局所的組成物が塗布され得る。プロセスは、痛みの軽減を達成するために必要および望ましいように、繰り返され得る。本発明の方法において採用される局所的局所麻酔薬組成物の性質のため、局所麻酔薬の浸透は迅速である。それゆえ、患者は塗布後短時間の内に痛みの軽減を経験する。通常、患者は局所的組成物の塗布に続いて約0.25〜30分で、通常局所的組成物の塗布に続いて約0.5〜30分で、頭痛の痛みの少なくともいくらかの軽減を経験する。
【0028】
通常、塗布された組成物の量は、ホストが痛みの軽減を経験するように、標的神経の十分な割合で伝達がブロックされることを確実にするために、標的神経を覆う皮膚の大部分を十分被覆する。塗布される局所的組成物の正確な量は、経験的に決定され得る。例えば、局所的塗布物が頭の眼窩上領域に塗布される場合、塗布された組成物の量は少なくとも約50%、より通常は少なくとも約75%の領域を被覆するのに十分である。溶液、分散体、ゲル、ローション、クリームなどについては、組成物は領域一面に広げられ、そして必要に応じて被覆物がそれに対してあてがわれる。パッチについては、適切な大きさのパッチが皮膚部位を含む領域一面に貼られる。
【0029】
都合の良いことには、組成物は単位投薬形態ので提供され得、その形態は当該分野で公知である。
【0030】
局所的組成物の塗布において、局所麻酔薬は皮膚の表面に迅速に浸透し、そして皮膚部位に近位の標的神経の伝達をブロックする。結果として、患者は頭痛の痛みの強さにおいて少なくとも部分的な鎮静を経験し、そしていくつかの場合において痛みの完全な停止を経験し得る。従って、本発明の方法による局所的局所麻酔薬組成物の塗布は、頭痛の痛みを罹患しているホストの処置をもたらす。
【0031】
以下の実施例は、例示として、そして限定としてではなく提示される。
【実施例】
【0032】
(実験)
DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)およびオイカリプトール(1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2,2,2]-オクタン)の混合物を2:1の比で調製した。十分な量のベンゾカイン遊離塩基(約30重量%)を混合物に溶解して、局所麻酔薬の飽和溶液を生成した。
【0033】
溶液を、前兆無しに急性片頭痛を被った女性の患者に局所的に塗布した。溶液を、眼窩上および後頭部神経が皮膚にもっとも接近している患者の頭部領域(これらの神経に対する局所麻酔を行うために針を刺すのと同じ領域)に、直接塗布した。溶液の塗布の前、患者は、彼女の頭痛の痛みを、「中程度」の吐き気および「中程度」の光感受性(light sensitivity)を伴う「中程度」として評価した。
【0034】
15分後、頭痛の痛みは患者により「非常に穏やか」として記述されるレベルまで鎮静した。その上さらに、患者は吐き気または光感受性を報告しなかった。さらに、患者は、従来、先の片頭痛の発作の間典型的に重くなる騒音感受性(noise sensitivity)を少しも起こさなかった。
【0035】
患者の、痛みおよび他の片頭痛症状の軽減は、2時間を超えて続いた。患者は局所的局所麻酔薬溶液の塗布に続いて仕事し続けることが可能であった。このことは、患者が以前採用していた他の形態の処置(処置にも関わらず、患者は仕事を停止しなければならなかった)と比較して好ましい結果であった。
【0036】
ホストの頭痛の痛みを処置する新規かつ効果的な方法が提供されることが、上記の結果および議論から明らかである。採用された局所的塗布物の性質は、局所麻酔薬の皮膚表面への迅速な浸透を提供する。結果として、患者は組成物の塗布後すぐに痛みの軽減を経験する。その上さらに、局所麻酔薬組成物が局所的であるため、この方法は患者にとって簡便であり、そして十分に耐えられるものである。
【0037】
本明細書に引用される全ての文献および特許出願は、個々の文献または特許出願のそれぞれが詳細にかつ別個に参考として援用されると示されるように、本明細書中で参考として援用される。
【0038】
前述の発明は、明快な理解の目的で例示および例としていくらか詳細に記載されてきたが、特定の変更および改変が添付の請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなくそれに対して行われ得る事が、本発明の教示を考慮して当業者に容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後頭部領域および眼窩上領域において、後頭部神経および眼窩上神経に近位の角質化皮膚部位において塗布するための、頭痛の痛みを、該頭痛の痛みが伴う該後頭部神経および眼窩上神経における伝達をブロックすることにより処置するための局所的局所麻酔薬組成物であって、浸透増強剤としてのオイカリプトールと組み合わせた有効量の局所麻酔薬を含み、ここで該局所麻酔薬は接続基を介して芳香族基と連結したアミンである、局所的局所麻酔薬組成物。
【請求項2】
さらに付加的な浸透増強剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
後頭部神経および眼窩上神経に近位の角質化皮膚部位において塗布するための、頭痛の痛みを、該頭痛の痛みが伴う該後頭部神経および眼窩上神経における伝達をブロックすることにより処置するための局所的局所麻酔薬組成物であって、(a)有効量の局所麻酔薬、ここで該局所麻酔薬は接続基を介して芳香族基と連結したアミンである;(b)浸透増強剤としてのオイカリプトール;および(c)付加的な浸透増強剤を含む、局所的局所麻酔薬組成物。
【請求項4】
前記局所麻酔薬がブピバカインである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記付加的な浸透増強剤がN,N-ジエチル-m-トルアミドである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
標的神経に近位の角質化皮膚部位において塗布するための、頭痛の痛みを、後頭部神経および眼窩上神経からなる群より選択される標的神経における伝達をブロックすることにより処置するための局所的局所麻酔薬組成物であって、(a)有効量のベンゾカイン、(b)オイカリプトール、および(c) N,N-ジエチル-m-トルアミドを含む、局所的局所麻酔薬組成物。
【請求項7】
前記ベンゾカインが20〜40重量%の範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中の前記オイカリプトール対N,N-ジエチル-m-トルアミドの比が1:2である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
ゲルとして処方される、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記ゲルが包帯(dressing)で被覆される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
硬膏の接着剤中に処方される、請求項6に記載の組成物。

【公開番号】特開2006−298934(P2006−298934A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175946(P2006−175946)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願平9−527981の分割
【原出願日】平成9年5月20日(1997.5.20)
【出願人】(506179435)
【出願人】(506179446)
【Fターム(参考)】