局部補強材を有するラミネートの結合構造体
ラミネートの結合構造体は、複数の金属層と、これら金属層によって挟持されている少なくとも1つの接着層とを有している。これら金属層の各々は、1対の重なりエッジを備えた複数の異なる金属層部分を有している。これら1対のエッジは、互いにオフセットされ、一緒になって結合領域を規定している。このラミネートは、標準構造のセクションと、更なる内側の補強用の金属層を含んだセクションとを有している。この補強用の金属層は、1対の重なりエッジを備えた補強用の2つの金属層部分を有している。これら1対のエッジは、結合領域の外側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金属層とこれら金属層によって挟持された少なくとも1つの接着層とを有するラミネートの構造体に関する。これら金属層の各々は、1対の重なりエッジを備えた別々の金属層部分を有し、これら1対の重なりエッジは、互いにオフセットされ、一緒になって結合領域を規定している。
【背景技術】
【0002】
このタイプの結合構造体は、既知のものであり、製造された金属層の幅より広い幅を有するパネルに見られる。説明され得るこのタイプのパネルの例には、飛行機の外板パネル、例えば飛行機の胴体に用いられるパネルが含まれる。この種の適用例において、パネルには、また、特定のサイズのアパチャが設けられなければならない。この文脈で、窓のためのアパチャに加え、関連したドアやハッチ等に用いられるような比較的大きなアパチャが、主にある。
【0003】
理論的に、これらアパチャは、パネルの支持機能を弱くする。しかし、局部補強材を与えることによって、剛性並びに強度のような、パネルの望ましい機械的な特性を維持することが可能である。これら補強材は、ガーダ並びにI形鋼の形態であり得るが、多くの場合で、アパチャの領域に使用される局部補強材は、ラミネートの更なる層の形態である。
【0004】
これら局部補強の層は、さらに、特定の最大幅を有するシート材で形成され、通常は、ラミネートの残りの金属層と同じ材料でできている。コイルの形態で通常供給されるシート材は、製造処理の結果、シート材の機械的な特性に対して方向的な影響を受けやすい。このような方向感受性(directional sensitivity)は、とりわけ、材料が受ける圧延処理の方向によってもたらされる。
【0005】
前記パネルの望ましい機械的な特性を考えると、この種の材料からパネルを製造するとき、粒子配向を考慮することが望ましい。この場合は、補強用の層が、ラミネートの金属層と同じ粒子配向を有していなければならないことを意味している。このため、結合部を含むパネルにおいて、補強用の層は、また、粒子配向が正しくない、結合構造体を横切るストリップの長手方向に与えられることができないので、結合部を有していなければならない。補強用の層のこれら結合部は、ラミネート自体の結合部に近接していることが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述された必要性に合う結合構造体を提供することである。この目的は、ラミネートが、標準構造のセクションと、更なる内側の補強用金属層を含んだセクションとを有し、この補強用の金属層が、1対の重なりエッジを備えた補強用の2つの金属層部分を有し、これら1対の重なりエッジが、結合領域の外側で互いに近接して配置されることによって、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った結合構造体で、ラミネートの標準の結合領域は維持され、しかし、結合部は、補強用の層近くにもたらされる。これら結合部は、様々な方法に設計されることができる。好ましくは、少なくとも1つの金属層の金属層部分は、金属層部分が互いにほぼ一直線上にあるように段付きエッジを有している。これは、パネルの少なくとも一面が完全に平坦な、パネルのための標準のデザインであり、これは、空気力学的な理由から非常に望ましい。
【0008】
さらに、この場合、補強用の金属層部分は、段が付けられた金属層部分の段付きエッジを覆うように段が付けられ、続いて、他方の金属層部分へと反対方向に段が付けられることができる。この種の構造では2つの可能な変形例がある。第1の変形例において、補強用の金属層部分は、他方の補強用の金属層部分を覆っている段が付けられた金属層部分の段付きエッジと同じ方向に実質的に段が付けられている。
【0009】
この場合、更なる金属層の金属層部分が、この金属層部分のエッジと、前記補強用の金属層部分の、反対方向に段が付けられた部分との間にスペースを形成するように、補強用の金属層部分の反対方向に段が付けられた部分を覆うように延びていえる。また、前記更なる金属層の他方の金属層部分のエッジが、前記スペースが存在している領域まで延びている。他方の金属層の部分は、同じ方向に段が付けられた補強用の金属層部分のエッジを覆うように、前記スペースが存在している領域から段が付けられ、続いて、反対方向に段が形成されている。
【0010】
上記の構造の第2の変形例において、段が付けられた補強用の金属層部分の、段が付けられていない部分は、所定のエッジを有しており、このエッジを覆うように、更なる補強用の金属層部分が延びている。
【0011】
補強用の金属層は、ラミネートの中央の金属層の重なりエッジに、比較的太い厚みを有している。このような場合に生じ得る問題は、金属層のカバーが、補強用の金属層の重なりエッジの厚さと同じ程度の厚さの段付き部分を与えてしまうことである。しかし、これ程の厚さの段付き部分は、アパチャの形成、歪みの集中、並びに局部的な剥離を引き起こし得るために、いくぶん望ましくない。本発明に従って、エッジがオーバーラップしている方向に対して横方向で、補強用の金属層部分のエッジが、補強用の金属層部分を覆っている金属層の階段状の配置を与えるように異なるサイズを有していれば、上記の問題を回避することができる。
【0012】
本発明は、図に示された複数の例示的な実施形態を参照して、より詳細に以下に説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、結合構造体(joining structure)2を有するパネル1を平面図で示している。図2の断面図に示されているように、このパネルは、4つの金属層3,4,5,6を有するラミネートで構成されており、各金属層は、複数の金属層部分7,8でできている。これら金属層部分7,8は、夫々、接着層11によって互いに固定されている重なりエッジ9,10を有している。
【0014】
繊維強化プラスチックの1つの接着層12が、前記金属層3ないし6のうちの2つの層間に各々配置されている。これら繊維補強プラスチックの接着層12は、前記重なりエッジ9,10の位置で盛り上がるように連続している。残りのスペースは、接着剤13で充填されている。
【0015】
図1の平面図に見られ得るように、このラミネートは、標準のデザインのセクション14と、更なる補強用の金属層16を備えたセクション15とを有している。この更なる補強用の金属層16は、接着層21によって一緒に接着されている夫々の重なりエッジ19,20を備えた2つの補強用の金属層部分17,18を有している。
【0016】
図2に見られ得るように、一緒に固定されている補強用の金属層部分17,18の前記重なりエッジ19,20は、全ての金属層部分7,8の重なりエッジ9,10が一緒に固定されているエリアの外にある。
【0017】
さらに、前記金属層部分7は、セクション22が、他方の金属層部分8に関連付けられたエッジ10に対してオフセットされるように、段付きエッジ(joggled edge)9を有していることが重要である。これは、ラミネートの一面30が平坦であり、このことが、パネルの空力的適用(aerodynamic application)において特に重要であることを意味している。全ての金属層3,4,5,並びに6は、セクション22を有している。
【0018】
図2に示されているように、前記補強用の金属層16、特に、この金属層の補強用の金属層部分17は、対応した段付きセクション26を有している。かくして、補強用の金属層部分17は、前記金属層5の段付きエッジ9を覆い、次に、逆方向へと段が付けられたセクションに続いている。このセクションは、金属層部分17が、セクション27に沿った夫々の繊維補強プラスチックの接着層12によって、金属層部分17の下で、金属層5の金属層部分8に接着されるように段が付けられている。そして、この金属層部分17は、補強用の金属層部分17の段付きエッジ19に続いている。
【0019】
補強用の金属層部分17のフランジ24,25があることにより、上側の金属層6と補強用の金属層部分17との間にスペースが形成される。かくして形成されたスペースは、金属層6の補強用の金属層部分8のエッジ10を収容している。
【0020】
図3に示されているように、図1並びに2の断面III-IIIは、補強用の金属層部分17,18が、夫々、前記エッジ9,10並びに19,20に沿った方向に異なる長さで夫々続いていることを示している。補強用の金属層部分17は、他方の部分18を覆うように延び、下方へと金属層5のところまで段が付けられている。これによって、上側の金属層6の金属層部分8が、2段階28,29で徐々に下げられる効果があり、この結果、金属層部分8は、比較的大きな程度の急な段部分の影響を受けることはなく、かくして、剥離や穴の形成を防止する。
【0021】
本発明に従った結合構造体は、多くの異なる変形例で構成されることができ、これら変形例の幾つかが、図4ないし26に示され、以下に説明されている。
【0022】
図1ないし3のものに対応した図並びに断面を示している図4ないし6の変形例は、断面V−Vにおいて、補強用の金属層18が段付きエッジ20を有し、この段付きエッジの下に、補強用の金属層部分17の平坦な重なりエッジが延びている、変形例である。補強用の金属層部分17が、図4に示されているように、補強用の金属層部分18よりも長く延びているので、これら金属層部分の重なり部分の階段状のシーケンスが、断面VI−VIで果たされている。
【0023】
図7ないし9の変形例は、補強用の金属層部分18が、図7に見られ得るように、補強用の金属層部分17よりも長く延びていることを除いて、図1並びに2のものに非常に一致している。補強用の金属層部分17は、再び、図4ないし6の変形例のように平坦なエッジ19を有しており、一方、補強用の金属層部分18は、段付きエッジ20を有している。この結果、断面IX−IXにおいて、補強用の金属層部分18は、金属層12まで下方へと段が付けられている。
【0024】
図7ないし9の変形例に非常に一致している図10ないし12の変形例は、平坦なエッジ20を備えた補強用の金属層部分18を有し、一方、補強用の金属層部分17が、この場合、段付きエッジ19を有している。この結果、断面XII−XIIにおいて、補強用の金属層部分17,18の階段状構造がもたらされている。
【0025】
図13ないし15の変形例は、補強用の金属層部分17が平坦なエッジ19を有し、一方、補強用の金属層部分18が比較的長い段付きエッジ20を有するという意味で、以上の変形例とは異なっている。従って、これらエッジ19,20は、(図2,5,8,11,並びに14に夫々示されているように)図1ないし12に従った結合領域2の右側ではなく、結合領域2の左側でオーバーラップしている。
【0026】
図16ないし18の変形例において、補強用の金属層部分18は、23のところで金属層5の段付きエッジ9を覆うように段が付けられ、続いて段付き部分26が、金属層6、特にこれの金属層部分7に接着されている。次に、補強用の金属層部分18は、24のところで反対方向へと段が付けられている。他方の補強用の金属層部分17の段つきエッジ19は、補強用の金属層部分18のエッジ20上に配置され、さらに、重なりエッジ19,20は、結合領域2の左側に配置されている。
【0027】
図19ないし21の変形例は、補強用の金属層部分17が、この場合、図19の平面図に示されているように、補強用の金属層部分18よりも長く延びていることを除いて、図13ないし15の変形例に非常に一致している。
【0028】
上記のように、図22ないし24の変形例は、図16ないし18の変形例に一致しているが、この場合、補強用の金属層部分18は、また、補強用の金属層部分17ほど延びていない。
【0029】
図25並びに26は、補強用の金属層部分17,18が、金属層3,4,5,並びに6間の厚さ方向での中へ、いずれの位置にも配置されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従った結合構造体を有するパネルの平面図を示している。
【図2】II−II線に沿った結合構造体の断面図を示している。
【図3】結合構造体の図1並びに図2のIII−III線に沿った断面を示している。
【図4】図1ないし3に従った結合構造体の別の実施形態を示している。
【図5】図1ないし3に従った結合構造体の別の実施形態を示している。
【図6】図1ないし3に従った結合構造体の別の実施形態を示している。
【図7】更なる他の実施形態を示している。
【図8】更なる他の実施形態を示している。
【図9】更なる他の実施形態を示している。
【図10】更なる他の実施形態を示している。
【図11】更なる他の実施形態を示している。
【図12】更なる他の実施形態を示している。
【図13】更なる他の実施形態を示している。
【図14】更なる他の実施形態を示している。
【図15】更なる他の実施形態を示している。
【図16】更なる他の実施形態を示している。
【図17】更なる他の実施形態を示している。
【図18】更なる他の実施形態を示している。
【図19】更なる他の実施形態を示している。
【図20】更なる他の実施形態を示している。
【図21】更なる他の実施形態を示している。
【図22】更なる他の実施形態を示している。
【図23】更なる他の実施形態を示している。
【図24】更なる他の実施形態を示している。
【図25】補強用の金属層部分の配置のための変形例を示している。
【図26】補強用の金属層部分の配置のための変形例を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金属層とこれら金属層によって挟持された少なくとも1つの接着層とを有するラミネートの構造体に関する。これら金属層の各々は、1対の重なりエッジを備えた別々の金属層部分を有し、これら1対の重なりエッジは、互いにオフセットされ、一緒になって結合領域を規定している。
【背景技術】
【0002】
このタイプの結合構造体は、既知のものであり、製造された金属層の幅より広い幅を有するパネルに見られる。説明され得るこのタイプのパネルの例には、飛行機の外板パネル、例えば飛行機の胴体に用いられるパネルが含まれる。この種の適用例において、パネルには、また、特定のサイズのアパチャが設けられなければならない。この文脈で、窓のためのアパチャに加え、関連したドアやハッチ等に用いられるような比較的大きなアパチャが、主にある。
【0003】
理論的に、これらアパチャは、パネルの支持機能を弱くする。しかし、局部補強材を与えることによって、剛性並びに強度のような、パネルの望ましい機械的な特性を維持することが可能である。これら補強材は、ガーダ並びにI形鋼の形態であり得るが、多くの場合で、アパチャの領域に使用される局部補強材は、ラミネートの更なる層の形態である。
【0004】
これら局部補強の層は、さらに、特定の最大幅を有するシート材で形成され、通常は、ラミネートの残りの金属層と同じ材料でできている。コイルの形態で通常供給されるシート材は、製造処理の結果、シート材の機械的な特性に対して方向的な影響を受けやすい。このような方向感受性(directional sensitivity)は、とりわけ、材料が受ける圧延処理の方向によってもたらされる。
【0005】
前記パネルの望ましい機械的な特性を考えると、この種の材料からパネルを製造するとき、粒子配向を考慮することが望ましい。この場合は、補強用の層が、ラミネートの金属層と同じ粒子配向を有していなければならないことを意味している。このため、結合部を含むパネルにおいて、補強用の層は、また、粒子配向が正しくない、結合構造体を横切るストリップの長手方向に与えられることができないので、結合部を有していなければならない。補強用の層のこれら結合部は、ラミネート自体の結合部に近接していることが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述された必要性に合う結合構造体を提供することである。この目的は、ラミネートが、標準構造のセクションと、更なる内側の補強用金属層を含んだセクションとを有し、この補強用の金属層が、1対の重なりエッジを備えた補強用の2つの金属層部分を有し、これら1対の重なりエッジが、結合領域の外側で互いに近接して配置されることによって、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った結合構造体で、ラミネートの標準の結合領域は維持され、しかし、結合部は、補強用の層近くにもたらされる。これら結合部は、様々な方法に設計されることができる。好ましくは、少なくとも1つの金属層の金属層部分は、金属層部分が互いにほぼ一直線上にあるように段付きエッジを有している。これは、パネルの少なくとも一面が完全に平坦な、パネルのための標準のデザインであり、これは、空気力学的な理由から非常に望ましい。
【0008】
さらに、この場合、補強用の金属層部分は、段が付けられた金属層部分の段付きエッジを覆うように段が付けられ、続いて、他方の金属層部分へと反対方向に段が付けられることができる。この種の構造では2つの可能な変形例がある。第1の変形例において、補強用の金属層部分は、他方の補強用の金属層部分を覆っている段が付けられた金属層部分の段付きエッジと同じ方向に実質的に段が付けられている。
【0009】
この場合、更なる金属層の金属層部分が、この金属層部分のエッジと、前記補強用の金属層部分の、反対方向に段が付けられた部分との間にスペースを形成するように、補強用の金属層部分の反対方向に段が付けられた部分を覆うように延びていえる。また、前記更なる金属層の他方の金属層部分のエッジが、前記スペースが存在している領域まで延びている。他方の金属層の部分は、同じ方向に段が付けられた補強用の金属層部分のエッジを覆うように、前記スペースが存在している領域から段が付けられ、続いて、反対方向に段が形成されている。
【0010】
上記の構造の第2の変形例において、段が付けられた補強用の金属層部分の、段が付けられていない部分は、所定のエッジを有しており、このエッジを覆うように、更なる補強用の金属層部分が延びている。
【0011】
補強用の金属層は、ラミネートの中央の金属層の重なりエッジに、比較的太い厚みを有している。このような場合に生じ得る問題は、金属層のカバーが、補強用の金属層の重なりエッジの厚さと同じ程度の厚さの段付き部分を与えてしまうことである。しかし、これ程の厚さの段付き部分は、アパチャの形成、歪みの集中、並びに局部的な剥離を引き起こし得るために、いくぶん望ましくない。本発明に従って、エッジがオーバーラップしている方向に対して横方向で、補強用の金属層部分のエッジが、補強用の金属層部分を覆っている金属層の階段状の配置を与えるように異なるサイズを有していれば、上記の問題を回避することができる。
【0012】
本発明は、図に示された複数の例示的な実施形態を参照して、より詳細に以下に説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、結合構造体(joining structure)2を有するパネル1を平面図で示している。図2の断面図に示されているように、このパネルは、4つの金属層3,4,5,6を有するラミネートで構成されており、各金属層は、複数の金属層部分7,8でできている。これら金属層部分7,8は、夫々、接着層11によって互いに固定されている重なりエッジ9,10を有している。
【0014】
繊維強化プラスチックの1つの接着層12が、前記金属層3ないし6のうちの2つの層間に各々配置されている。これら繊維補強プラスチックの接着層12は、前記重なりエッジ9,10の位置で盛り上がるように連続している。残りのスペースは、接着剤13で充填されている。
【0015】
図1の平面図に見られ得るように、このラミネートは、標準のデザインのセクション14と、更なる補強用の金属層16を備えたセクション15とを有している。この更なる補強用の金属層16は、接着層21によって一緒に接着されている夫々の重なりエッジ19,20を備えた2つの補強用の金属層部分17,18を有している。
【0016】
図2に見られ得るように、一緒に固定されている補強用の金属層部分17,18の前記重なりエッジ19,20は、全ての金属層部分7,8の重なりエッジ9,10が一緒に固定されているエリアの外にある。
【0017】
さらに、前記金属層部分7は、セクション22が、他方の金属層部分8に関連付けられたエッジ10に対してオフセットされるように、段付きエッジ(joggled edge)9を有していることが重要である。これは、ラミネートの一面30が平坦であり、このことが、パネルの空力的適用(aerodynamic application)において特に重要であることを意味している。全ての金属層3,4,5,並びに6は、セクション22を有している。
【0018】
図2に示されているように、前記補強用の金属層16、特に、この金属層の補強用の金属層部分17は、対応した段付きセクション26を有している。かくして、補強用の金属層部分17は、前記金属層5の段付きエッジ9を覆い、次に、逆方向へと段が付けられたセクションに続いている。このセクションは、金属層部分17が、セクション27に沿った夫々の繊維補強プラスチックの接着層12によって、金属層部分17の下で、金属層5の金属層部分8に接着されるように段が付けられている。そして、この金属層部分17は、補強用の金属層部分17の段付きエッジ19に続いている。
【0019】
補強用の金属層部分17のフランジ24,25があることにより、上側の金属層6と補強用の金属層部分17との間にスペースが形成される。かくして形成されたスペースは、金属層6の補強用の金属層部分8のエッジ10を収容している。
【0020】
図3に示されているように、図1並びに2の断面III-IIIは、補強用の金属層部分17,18が、夫々、前記エッジ9,10並びに19,20に沿った方向に異なる長さで夫々続いていることを示している。補強用の金属層部分17は、他方の部分18を覆うように延び、下方へと金属層5のところまで段が付けられている。これによって、上側の金属層6の金属層部分8が、2段階28,29で徐々に下げられる効果があり、この結果、金属層部分8は、比較的大きな程度の急な段部分の影響を受けることはなく、かくして、剥離や穴の形成を防止する。
【0021】
本発明に従った結合構造体は、多くの異なる変形例で構成されることができ、これら変形例の幾つかが、図4ないし26に示され、以下に説明されている。
【0022】
図1ないし3のものに対応した図並びに断面を示している図4ないし6の変形例は、断面V−Vにおいて、補強用の金属層18が段付きエッジ20を有し、この段付きエッジの下に、補強用の金属層部分17の平坦な重なりエッジが延びている、変形例である。補強用の金属層部分17が、図4に示されているように、補強用の金属層部分18よりも長く延びているので、これら金属層部分の重なり部分の階段状のシーケンスが、断面VI−VIで果たされている。
【0023】
図7ないし9の変形例は、補強用の金属層部分18が、図7に見られ得るように、補強用の金属層部分17よりも長く延びていることを除いて、図1並びに2のものに非常に一致している。補強用の金属層部分17は、再び、図4ないし6の変形例のように平坦なエッジ19を有しており、一方、補強用の金属層部分18は、段付きエッジ20を有している。この結果、断面IX−IXにおいて、補強用の金属層部分18は、金属層12まで下方へと段が付けられている。
【0024】
図7ないし9の変形例に非常に一致している図10ないし12の変形例は、平坦なエッジ20を備えた補強用の金属層部分18を有し、一方、補強用の金属層部分17が、この場合、段付きエッジ19を有している。この結果、断面XII−XIIにおいて、補強用の金属層部分17,18の階段状構造がもたらされている。
【0025】
図13ないし15の変形例は、補強用の金属層部分17が平坦なエッジ19を有し、一方、補強用の金属層部分18が比較的長い段付きエッジ20を有するという意味で、以上の変形例とは異なっている。従って、これらエッジ19,20は、(図2,5,8,11,並びに14に夫々示されているように)図1ないし12に従った結合領域2の右側ではなく、結合領域2の左側でオーバーラップしている。
【0026】
図16ないし18の変形例において、補強用の金属層部分18は、23のところで金属層5の段付きエッジ9を覆うように段が付けられ、続いて段付き部分26が、金属層6、特にこれの金属層部分7に接着されている。次に、補強用の金属層部分18は、24のところで反対方向へと段が付けられている。他方の補強用の金属層部分17の段つきエッジ19は、補強用の金属層部分18のエッジ20上に配置され、さらに、重なりエッジ19,20は、結合領域2の左側に配置されている。
【0027】
図19ないし21の変形例は、補強用の金属層部分17が、この場合、図19の平面図に示されているように、補強用の金属層部分18よりも長く延びていることを除いて、図13ないし15の変形例に非常に一致している。
【0028】
上記のように、図22ないし24の変形例は、図16ないし18の変形例に一致しているが、この場合、補強用の金属層部分18は、また、補強用の金属層部分17ほど延びていない。
【0029】
図25並びに26は、補強用の金属層部分17,18が、金属層3,4,5,並びに6間の厚さ方向での中へ、いずれの位置にも配置されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従った結合構造体を有するパネルの平面図を示している。
【図2】II−II線に沿った結合構造体の断面図を示している。
【図3】結合構造体の図1並びに図2のIII−III線に沿った断面を示している。
【図4】図1ないし3に従った結合構造体の別の実施形態を示している。
【図5】図1ないし3に従った結合構造体の別の実施形態を示している。
【図6】図1ないし3に従った結合構造体の別の実施形態を示している。
【図7】更なる他の実施形態を示している。
【図8】更なる他の実施形態を示している。
【図9】更なる他の実施形態を示している。
【図10】更なる他の実施形態を示している。
【図11】更なる他の実施形態を示している。
【図12】更なる他の実施形態を示している。
【図13】更なる他の実施形態を示している。
【図14】更なる他の実施形態を示している。
【図15】更なる他の実施形態を示している。
【図16】更なる他の実施形態を示している。
【図17】更なる他の実施形態を示している。
【図18】更なる他の実施形態を示している。
【図19】更なる他の実施形態を示している。
【図20】更なる他の実施形態を示している。
【図21】更なる他の実施形態を示している。
【図22】更なる他の実施形態を示している。
【図23】更なる他の実施形態を示している。
【図24】更なる他の実施形態を示している。
【図25】補強用の金属層部分の配置のための変形例を示している。
【図26】補強用の金属層部分の配置のための変形例を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属層(3−6)と、これら金属層(3−6)によって挟持されている少なくとも1つの接着層(12)とを有するラミネート(1)の結合構造体であって、前記金属層(3−6)の各々は、1対の重なりエッジ(9,10)を備えた複数の分離した金属層部分(7,8)を有し、これら1対のエッジ(9,10)は、互いにオフセットされ、一緒になって結合領域(2)を規定している結合構造体において、このラミネート(1)は、標準構造のセクション(4)と、更なる内側の補強用の金属層(16)を含んだセクション(15)とを有し、前記補強用の金属層(16)は、1対の重なりエッジ(19,20)を備えた補強用の2つの金属層部分(17,18)を有し、前記1対の重なりエッジ(19,20)は、前記結合領域の外側に位置されていることを特徴とする結合構造体。
【請求項2】
前記金属層(3−6)の各々は、前記金属層部分(7,8)が互いにほぼ一直線上にあるように、段付きエッジ(9)を備えた金属層部分(7)を有している請求項1の結合構造体。
【請求項3】
前記補強用の金属層部分(17,18)は、段付き部分(26)を形成するように、段が付けられた金属層部分(7)の前記段付きエッジ(9)を覆うように段(23)が付けられている請求項2の結合構造体。
【請求項4】
前記補強用の金属層部分(17,18)の前記段付き部分(26)は、続いて、第2の段付き部分(27)を形成するように、他方の金属層部分(8)へと反対方向に段(24)が付けられている請求項3の結合構造体。
【請求項5】
前記補強用の金属層部分(17)は、第3の段付き部分、即ち段付きエッジ(19)を形成するように、他方の補強用の金属層部分(18)を覆っている段が付けられた金属層部分(7)の前記段付きエッジ(9)と同じ方向に、実質的に段(25)が付けられている請求項4の結合構造体。
【請求項6】
更なる金属層(6)の金属層部分(7)が、この金属層部分(7)のエッジ(9)と、前記補強用の金属層部分(17)の、反対方向に段(24)が付けられた部分(27)との間にスペースを形成するように、補強用の金属層部分(17)の反対方向に段(24)が付けられた部分(27)を覆うように延び、前記更なる金属層(6)の他方の金属層部分(8)のエッジ(10)が、前記スペースが存在している領域まで延びている請求項5の結合構造体。
【請求項7】
前記他方の金属層部分(8)は、同じ方向に段が付けられた補強用の金属層部分(17)の前記段付きエッジ(19)を覆うように、前記スペースが存在している領域から段が形成され、続いて、反対方向に段が形成されている請求項6の結合構造体。
【請求項8】
前記エッジ(9,10,19,20)がオーバーラップしている方向に対して横方向で補強用金属層部分の前記エッジ(9,10,11,12)は、前記補強用の金属層部分(17,18)をカバーするように前記金属層(6)の階段状の配列(28,29)を与えるために、異なるサイズを有している前記全ての請求項のいずれか1の結合構造体。
【請求項9】
前記接着層(12)は、前記重なりエッジ(9,10,19,20)を連続して覆うように盛り上がっている前記全ての請求項のいずれか1の結合構造体。
【請求項1】
複数の金属層(3−6)と、これら金属層(3−6)によって挟持されている少なくとも1つの接着層(12)とを有するラミネート(1)の結合構造体であって、前記金属層(3−6)の各々は、1対の重なりエッジ(9,10)を備えた複数の分離した金属層部分(7,8)を有し、これら1対のエッジ(9,10)は、互いにオフセットされ、一緒になって結合領域(2)を規定している結合構造体において、このラミネート(1)は、標準構造のセクション(4)と、更なる内側の補強用の金属層(16)を含んだセクション(15)とを有し、前記補強用の金属層(16)は、1対の重なりエッジ(19,20)を備えた補強用の2つの金属層部分(17,18)を有し、前記1対の重なりエッジ(19,20)は、前記結合領域の外側に位置されていることを特徴とする結合構造体。
【請求項2】
前記金属層(3−6)の各々は、前記金属層部分(7,8)が互いにほぼ一直線上にあるように、段付きエッジ(9)を備えた金属層部分(7)を有している請求項1の結合構造体。
【請求項3】
前記補強用の金属層部分(17,18)は、段付き部分(26)を形成するように、段が付けられた金属層部分(7)の前記段付きエッジ(9)を覆うように段(23)が付けられている請求項2の結合構造体。
【請求項4】
前記補強用の金属層部分(17,18)の前記段付き部分(26)は、続いて、第2の段付き部分(27)を形成するように、他方の金属層部分(8)へと反対方向に段(24)が付けられている請求項3の結合構造体。
【請求項5】
前記補強用の金属層部分(17)は、第3の段付き部分、即ち段付きエッジ(19)を形成するように、他方の補強用の金属層部分(18)を覆っている段が付けられた金属層部分(7)の前記段付きエッジ(9)と同じ方向に、実質的に段(25)が付けられている請求項4の結合構造体。
【請求項6】
更なる金属層(6)の金属層部分(7)が、この金属層部分(7)のエッジ(9)と、前記補強用の金属層部分(17)の、反対方向に段(24)が付けられた部分(27)との間にスペースを形成するように、補強用の金属層部分(17)の反対方向に段(24)が付けられた部分(27)を覆うように延び、前記更なる金属層(6)の他方の金属層部分(8)のエッジ(10)が、前記スペースが存在している領域まで延びている請求項5の結合構造体。
【請求項7】
前記他方の金属層部分(8)は、同じ方向に段が付けられた補強用の金属層部分(17)の前記段付きエッジ(19)を覆うように、前記スペースが存在している領域から段が形成され、続いて、反対方向に段が形成されている請求項6の結合構造体。
【請求項8】
前記エッジ(9,10,19,20)がオーバーラップしている方向に対して横方向で補強用金属層部分の前記エッジ(9,10,11,12)は、前記補強用の金属層部分(17,18)をカバーするように前記金属層(6)の階段状の配列(28,29)を与えるために、異なるサイズを有している前記全ての請求項のいずれか1の結合構造体。
【請求項9】
前記接着層(12)は、前記重なりエッジ(9,10,19,20)を連続して覆うように盛り上がっている前記全ての請求項のいずれか1の結合構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2007−507373(P2007−507373A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532145(P2006−532145)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000700
【国際公開番号】WO2005/032805
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(503269634)ストーク・フォッカー・エーイーエスピー・ビー・ブイ (6)
【出願人】(504467484)エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000700
【国際公開番号】WO2005/032805
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(503269634)ストーク・フォッカー・エーイーエスピー・ビー・ブイ (6)
【出願人】(504467484)エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (268)
【Fターム(参考)】
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