説明

居眠り防止装置

【課題】 簡素な構成で覚醒状態を感知することができ、且つ、車両運転者が煩わしさを感じる虞が少ない居眠り防止装置を提供する。
【解決手段】 居眠り防止装置1は、車両運転者に警告音を発する警告部4と、車両運転者が警告部4からの警告に応えるための操作部3と、警告部4にて警告を出力させる制御部2と、を備える。制御部2は、警告部4が車両運転者に対して警告を出力してから車両運転者が操作部3を操作するまでの時間T2に応じて、次回の警告を出力するまでの間隔時間T1を変更する。制御部2は、定期的に前記警告を発生させる手動モードと、前記車両運転者による前記操作部3の操作に応じて作動する自動モードと、の切替えが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転者が居眠りすることを防止する居眠り防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両運転者の眠気を感知すると共に覚醒を促す居眠り防止装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かる居眠り防止装置は、車両運転者の音声での応答をもって睡眠状態か否かを判断し、睡眠状態にあると判断されたときは警告音を発して覚醒を促している。居眠り防止装置は、例えば、長時間の運転を行うような車両(タクシーや長距離トラック)に搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−306462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両運転者の音声と周囲の雑音とが干渉し、車両運転者の音声が認識されないという問題を有していた。また、居眠り防止装置から頻繁に警告されると、車両運転者が煩わしく感じる虞があった。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、簡素な構成で覚醒状態を感知することができ、且つ、車両運転者が煩わしさを感じる虞が少ない居眠り防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載したように、車両運転者に警告を発する警告部4と、前記車両運転者が前記警告部4からの前記警告に応えるための操作部3と、前記警告部4に前記警告を出力させる制御部2と、を備えた居眠り防止装置1であって、前記制御部2は、前記警告部4が前記車両運転者に対して前記警告を出力してから前記車両運転者が前記操作部3を操作するまでの時間T2に応じて、次回の前記警告を出力するまでの間隔時間T1を変更するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記制御部2は、前記警告部4が前記車両運転者に対して前記警告を出力してから前記操作部3を操作するまでの時間T2が、所定時間T3以下であったときは、前記間隔時間T1を変更しないものである。
【0007】
また、本発明は、請求項3に記載したように、前記制御部2は、定期的に前記警告を発生させる手動モードと、前記車両運転者による前記操作部3の操作に応じて作動する自動モードと、の切替えが可能であるものである。
【発明の効果】
【0008】
車両運転者が警告に応えるための操作部を設けることにより、簡素な構成で覚醒状態を感知することができ、且つ、警告を出力する間隔時間を変更することにより、車両運転者が煩わしさを感じる虞が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図。
【図2】同上実施形態を示す状態遷移図。
【図3】同上実施形態を示す手動モードのフロー図。
【図4】同上実施形態を示す手動モードのフロー図。
【図5】同上実施形態を示す自動モードのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態を説明する。居眠り防止装置1は、制御部2と、操作部3と、警告部4と、ドライブレコーダ5とから構成されている。制御部2は、CPU,RAM及びROMを備えたマイクロコントローラからなるものである。操作部3は、押しボタンスイッチ3a,3b,3c,3d,スライドスイッチ3eを有している。
【0011】
図2は居眠り防止装置1の状態遷移図である。車両運転者が押しボタンスイッチ3aを押下すると、居眠り防止装置1が自動モードにて起動する。自動モードにおいて、押しボタンスイッチ3dを押下すると、手動モードに遷移する。手動モードにおいて、押しボタンスイッチ3b,3c,3dの何れか1つを押下すると、自動モードに遷移する。居眠り防止装置1が起動している状態で押しボタンスイッチ3aを押下すると、機能がオフされる。
【0012】
図3及び図4は、自動モードのフロー図である。車両運転者が押しボタンスイッチ3aを押下すると、居眠り防止装置1が起動状態となる(ステップS1)。制御部2は、初期動作として、起動状態になってから時間T0だけ待機する(ステップS2)。制御部2は、前記初期動作後、警告部4より警告音M1を1回吹鳴させる(ステップS3)。車両運転者は、警告音M1を確認後、押しボタンスイッチ3bを1回押下することにより、警告音M1に対して応答する(ステップS4)。
【0013】
警告音M1の吹鳴から押しボタンスイッチ3bを押下するまでの応答時間T2が所定時間T3よりも長かった場合、後述するステップS6に移行する(ステップS5)。警告音M1の吹鳴から押しボタンスイッチ3bを押下するまでの応答時間T2が、所定時間T3以下であった場合、補正時間t1=0とし、後述するステップS11に移行する。応答時間T2が所定時間T4以下であった場合、後述するステップS11に移行する(ステップS6)。応答時間T2が所定時間T4を超えていた場合、制御部2は、ドライブレコーダ5に対して、車両情報を記録するように命令し、ドライブレコーダ部5は前記命令を受けて、車両情報の記録を開始する(ステップS7)。
【0014】
次に、制御部2は警告部4より警告音M2を一定間隔で、車両運転者が押しボタンスイッチ3bを押下するまで発生させる(ステップS8,S9)。車両運転者が押しボタンスイッチ3bを押下した場合、制御部2はドライブレコーダ5に対して、車両情報の記録を停止するように命令する。ドライブレコーダ部5は前記命令を受け、車両情報の記録を停止する(ステップS10)。
【0015】
次に、制御部2は、間隔時間T1を補正時間t1に応じて再設定する(ステップS11)。補正時間t1は、所定時間T3が経過してから、車両運転者が押しボタンスイッチ3bを押下するまでの時間である。このとき、T1=T1−t1、T1>t1である。車両運転者の確認動作終了から間隔時間T1経過後、ステップS13に移行する(ステップS12)。間隔時間T1が2回同じであった場合は、警告音M1を3回吹鳴し、ステップS4に移行する(ステップS14)。それ以外の場合は、ステップS3に移行し、警告音M1を1回吹鳴する。
【0016】
図5は手動モードのフロー図である。制御部2は、押しボタンスイッチ3dが押下されてから、設定時間T5経過毎に警告音M2を吹鳴させる(ステップS21,S22,S23)。設定時間T5はスライドスイッチ3eのポジションによって3パターンの中から選択される。
【0017】
本実施形態によれば、車両運転者が警告音に応えるための操作部3を設けることにより、簡素な構成で車両運転者の覚醒状態を感知することができる。且つ、補正時間t1に応じて警告音M1を出力する間隔時間T1を変更することにより、車両運転者が煩わしさを感じる虞が少なくなる。
【0018】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態は、押しボタンスイッチ3aにて居眠り防止装置1を起動させるものであったが、イグニッションスイッチに連動して起動させても良い。また、本実施形態の警告部4は警告音M1,M2を出力するものであったが、例えば発光装置による発光にて警告を行っても良い。
【0019】
また、居眠り防止装置1は、制御部2,操作部3,警告部4,ドライブレコーダ5を同一ケース内に収容する構成としても良いし、例えば警告部4を分離してケース外に設置しても良い。また、居眠り防止装置1の操作部3と制御部2とは有線接続としても良いし、例えば赤外線を使用する無線通信であっても良い。
【符号の説明】
【0020】
1 居眠り防止装置
2 制御部
3 操作部
4 警告部
T1 間隔時間
T2 応答時間
T3 所定時間
T4 所定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転者に警告を発する警告部と、前記車両運転者が前記警告部からの前記警告に応えるための操作部と、前記警告部に前記警告を出力させる制御部と、を備えた居眠り防止装置であって、
前記制御部は、前記警告部が前記車両運転者に対して前記警告を出力してから前記車両運転者が前記操作部を操作するまでの時間に応じて、次回の前記警告を出力するまでの間隔時間を変更することを特徴とする居眠り防止装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記警告部が前記車両運転者に対して前記警告を出力してから前記操作部を操作するまでの時間が、所定時間以下であったときは、前記間隔時間を変更しないことを特徴とする請求項1に記載の居眠り防止装置。
【請求項3】
前記制御部は、定期的に前記警告を発生させる手動モードと、前記車両運転者による前記操作部の操作に応じて作動する自動モードと、の切替えが可能であることを特徴とする請求項1に記載の居眠り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−22975(P2011−22975A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170031(P2009−170031)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】