説明

屈折計

【課題】蓋ユニットが速やかに、容易に洗浄されることが可能な、改良された蓋ユニットを有する屈折計を提供する。
【解決手段】ハウジング(1)と、ハウジング(1)の中に配置される測定セル(8)と、屈折計の測定セルへの出入りを可能にする開口(7)を有する底板(3)を形成する蓋ユニット(2)と、測定セルを覆うための蓋(4)とを有し、蓋(4)が丁番を介して底板(3)に接続される、屈折計であって、蓋ユニット(2)が、蓋(4)の中に取り替え可能に配置される蓋挿入体(11)をさらに有し、蓋ユニット(2)が、底板(3)に接続される接続要素を介して、ハウジング(1)に取り外し可能に接続されることを特徴とする、屈折計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屈折計に関し、詳細には取り外し可能に接続され、取り替え可能な蓋挿入体を有する、屈折計用の蓋ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
屈折計は、屈折度、すなわち屈折率を決定するために使用され、屈折率測定法は、化学分析の標準的方法として認められている。屈折率は、任意の所与の物質に特有の値であり、従って、この分野の分析における適用可能な標準に準じて、試料と接触する屈折計のすべての部分を、容易に完全に洗浄することができなければならない。
【0003】
Mettler−Toledoにより生産されるRE40屈折計など、市販の装置は通常、測定用光学機器と、測定用の試料を供給される測定セルとを備えるハウジングを含む。測定用光学機器は、放射源から伝播されて測定セルに入り、そこから出る光ビームが結合されうるように、装置の中に配置される。試料物質と相互に作用した後、測定セルから来た、結合された出力光が、適切な検出装置を使用して検出される。この文脈において、光という言葉は、放射と同じ意味で使用される。通常、屈折率nは、ナトリウムD線、すなわち589.3nmの波長で測定されるが、他の温度または波長もまた、使用されうる。屈折率は温度の影響を受け、通常は25℃で測定され、すなわちこの温度は、屈折率の基準温度として使用される。従って、多くの屈折計は、試料を暖めるためのヒータを備える。
【0004】
測定セルは、通常は、取り外せないように装置に取り付けられ、表面だけがたいした手間をかけずに洗浄されうる蓋で、外部から遮断される。特に、同じ屈折計が異なる試料物質のために使用される場合は、試料物質が古い試料の残留物で汚染されることを避けるために、蓋を容易に完全に洗浄することが可能であれば有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、蓋ユニットが速やかに、容易に洗浄されることが可能な、改良された蓋ユニットを有する屈折計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、ハウジングと、ハウジングの中に配置される測定セルと、蓋ユニットとを有する屈折計であって、蓋ユニットが、屈折計の測定セルへの出入りを可能にする開口(cutout)を有する底板と、底板に丁番で接続される蓋と、測定セルを覆うための蓋挿入体とを有し、この蓋挿入体が、取り替え可能であるように蓋の中に配置される、屈折計によって解決される。蓋ユニットはまた、底板に接続される接続要素を介して、ハウジングに、取り外し可能に接続される。
【0007】
接続要素は、蓋ユニットが屈折計から容易に取り外され、単独で洗浄されることを可能にする。従って、蓋ユニットは、好ましくは工具を使用することなく、非常に容易に取り外し可能であり、それゆえ、例えば、比較的強力な洗浄液が、洗浄中に、測定セルを直接取り巻く領域を侵す可能性を、避けることができる。蓋ユニットのモジュール構造は、蓋ユニットが容易に洗浄されることを可能にし、同時に、蓋ユニットのモジュール構造は、測定セルおよび/またはハウジングが、洗浄作業中に損傷されることを防ぐのを助ける。
【0008】
取り替え可能な蓋挿入体はまた、試料が測定セルの中にある間に、試料が調整されることを可能にする。このようにして、試料は、大きく異なる条件のもとでの分析が可能になり、単に蓋挿入体を取り替えるだけで、大きく異なる試料が、同じ屈折計を使用して分析されうる。
【0009】
他の実施形態において、蓋挿入体および/または蓋ユニットは、無菌状態で実施されるべき測定に対して特に有利である1回限りの使用のために、すなわち消耗材料として、設計されうる。
【0010】
蓋ユニットの底板は、測定セルへの出入りを可能にするために開口を備え、それにより、測定セルは、蓋ユニットが取り付けられている間でさえも、測定装置の中で充填されうる。開口は、蓋により、とりわけ蓋挿入体により、閉じられうる。
【0011】
他の実施形態において、蓋ユニットはまた、底板を測定セルから隔離する、少なくとも1つの封止要素を装備される。この封止要素は、開口の周囲周りに配置されてよく、例えば、Oリングであってよい。封止要素は、可能性のある隙間を封じることにより、物質が、測定装置と蓋ユニットの底板との間に入るのを防ぐように働くことができる。
【0012】
底板はまた、開口を取り巻くリップを備えてよく、リップの寸法および位置合わせは、測定セルの設計に適合されるべきである。例えば、このリップは、測定セルの中の方に突出するか、または測定セルから離れる方向に向けられることができ、それにより、充填後に底板の上に残っている物質の残留物が、測定セルまで通り抜けることが、不可能となる。
【0013】
蓋と底板が互いに分離されうるように、丁番はまた、2つの連結された部分を含むことができる。このようにして、例えば、蓋の上または丁番の中に蓄積している物質の残留物が、容易に完全に取り除かれうる。さらに、蓋ユニットの少なくともいくつかの構成部分、例えば底板は、手によるばかりでなく機械によっても、例えば食器洗浄機の中でも、洗浄されうる。例えば、丁番は、手で取り外せるピンを介して接続される2つの部分、またはスナップ式またはラッチ式接続を介して接合される2つの部分を含むことができる。
【0014】
他の実施形態において、例えば、取手の近くに磁石などの閉止要素、および丁番の中にバネなどの復元要素を備えることにより、蓋が開いているときまたは閉じているときに、蓋がそのそれぞれの位置に保持されるように、蓋が設計される。閉止要素の力は、復元要素の力に合わせて調節され、それにより、蓋は、付加的な力を加えるだけで、いずれかの位置から他方の位置に移動されうる。
【0015】
蓋挿入体が工具を使用することなく取り替えできるように、蓋挿入体は、例えば、スナップ式接続を介して、蓋に取り外し可能に接続されることが好ましい。取り替え可能な蓋挿入体は、広範な設計において、提供されうる。
【0016】
蓋挿入体は、測定セルの中で試料を均一に広げる手段として、押圧挿入体として構成されうる。押圧挿入体は、押し型(stamp)を含むことができ、その押し型を用いて、圧力が測定セルの中の試料に加えられ、それにより、例えば、機能する測定面の上に試料を平らに分配することにより、試料と、ハウジングの中に配置される測定ユニットとの間の接触が、改善される。このことは、特に、測定ユニットが、測定セルの底または壁の中の窓を介して測定セルの中に位置する試料と相互に作用する、光測定ユニットである場合、粘着性が高い物質の場合に特に有利である。押圧挿入体は、蓋が閉じられるときに押圧挿入体が試料に圧力をかけ、試料が測定セルの中に均一に広がるように、蓋の中に配置される。そうすることで、押圧挿入体は、試料を部分的に押しのけることができる。
【0017】
蓋挿入体はまた、測定セルを外光から遮蔽する、光遮蔽体として構成されうる。例えば、蓋が閉じられるときに開口を覆う、暗色の表面を有する板またはパネルが、光遮蔽体として使用されるのに適する。この実施形態は、光測定ユニットが使用されるときに有利である。というのは、この実施形態は、周囲または外部の光により引き起こされる、測定結果の誤差を防ぐように働くからである。
【0018】
蓋挿入体はまた、封止挿入体として設計可能であり、測定セルを外部から隔離することができる。そのような封止挿入体は、蓋が閉じられるときに封止挿入体が測定セルを封止し、揮発性物質が揮発するのを防ぐように働くように、設計されうる。
【0019】
蓋挿入体はまた、試料が冷却または加熱されうるように、試料の温度を制御するための、温度制御手段として設計されうる。温度制御手段は、蓋挿入体の中に配置されるか、または蓋挿入体に接続されることが可能であり、蓋挿入体は、熱を伝える材料から作製されるべきである。蓋挿入体の中に一体化される温度制御手段の一例は、1つまたは複数の、加熱および冷却に使用されうるペルチェ素子、または抵抗ヒータであろう。蓋挿入体はまた、適切な配線またはコネクタを介して、サーモスタットまたはクライオスタットなど、外部温度制御装置に接続されうる。このようにして、多くの場合屈折計の中に配置される温度制御ユニットは、測定セルの温度を制御するために必要な時間を短縮するために、支援されてよく、温度制御ユニットはまた、粘着性の高い試料または固体試料を直接測定セルの中で液状化することにより、試料準備を簡単にするのを助けることができ、そのことは、測定、およびそれに続く洗浄の両方に有利である。
【0020】
蓋挿入体はまた、測定セルの中の圧力を調整するための媒体として、設計されてよく、それにより、例えば、適切なポンプが、適切な供給口を介して、測定セルの中、および測定セルの中に準備される試料への圧力を高めるために、あるいは、測定セルの中に真空を生み出すために、使用されうる。真空を用いて、例えば、気泡が、試料から取り除かれうる、すなわち、放出されうる。圧力を変化させることは、例えば、試料をより固体状に、またはより液状にすることにより、試料の流動性に影響を与える手段として働くことができる。
【0021】
蓋挿入体はまた、測定セルをガスで充填する手段として設計されうる。使用されるガスは、ヘリウム、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスか、または、試料と反応することが可能な気相の試薬かのいずれかであってよい。このようにして、試料と雰囲気の間の、酸化または還元などの反応が、防止されうるか、または意図的に開始されうる。ガスは、蓋挿入体の中の適切な供給口を通して導入されうる。
【0022】
蓋ユニットはまた、試料の物理的および/または化学的特性を記録するためのセンサ、例えば、内容物を捕捉し、またはさらに、スペクトルを記録することができる光透過率ユニット、あるいは、pHセンサ、伝導度センサ、または他のセンサなどの同様な分析センサ、を含むことができる。このようにして、屈折計は、その屈折率だけでなく、試料の他の特性を決定するために使用されうる。センサは、蓋挿入体の一部分であることが好ましい。
【0023】
底板は、底板の周囲を取り巻くリップを備えてよく、そのリップが、液体の流出を防ぐのに役立ち、それにより、物質が測定装置自体の上に載ること、または測定装置の外面にこぼれ落ちることが防止される。
【0024】
このリップはまた、例えば、リップ内の切り欠き(cutout)または溝の形をした、少なくとも1つの排液口を備えてよく、それにより、余剰の試料材料が測定セルから搬出され、定められた場所に排出されうる。
【0025】
蓋ユニットの底板はまた、可能な限り滑らかな、または上塗りまで施された表面を有することができ、それにより、物質の残留物が、その面上に蓄積することはできない。
【0026】
様々なポリマー、金属、または金属化合物が、蓋ユニットの底板用の材料として使用するのに、特に適している。材料は、使用される物質および洗浄剤に耐性を持つべきであり、材料はまた、使用中に、くぼみまたは溝が底板の中に発生しないように、耐久性と耐傷性を有するべきである。適切な材料は、ステンレススチール、耐酸鋼、他の高級鋼、ならびにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および他の化学的に耐性を有する樹脂またはポリマー、ならびに他の材料を含む。
【0027】
他の実施形態において、底板はまた、機能的な表面塗装、例えば、PTFE塗装、高級鋼塗装またはナノコーティングを含む。塗装は、材料に対して定められた仕様に対応するかまたは仕様を向上させるように選択される。このようにして、底板は洗浄が特に容易になり、それにより、底板の試料の堆積が最小に、さらには完全に防止されうるように、設計されうる。
【0028】
底板をハウジングと接続するための接続要素は、磁気式接続、スナップ式接続、または差し込み式接続の一部であってよく、当然のことながら、工具なしで分離される他の接続もまた、使用されうる。例えば、磁気式接続は、2つの引き合う磁石から、または1つの磁石と、鉄などの磁化可能な金属から作られる要素とから、構成されうる。この文脈において、第1の接続要素がハウジングに付着され、第2の接続要素が底板に付着される。2つの接続要素の間の接続の強さは、蓋ユニットが、容易には動かないが、手でハウジングから分離されうるように、設計されることが好ましい。
【0029】
蓋ユニットの、特にそのサイズおよび重さの設計に従って、底板は、1つまたは複数の第1の接続要素を含んでよく、第1の接続要素は、蓋ユニットを固定するために、ハウジング上の同数の第2の接続要素と協働する。また、底板および/または測定装置表面は、平らな接続要素を備えてよく、あるいは、平らな接続要素は、そのように設計されてよく、測定装置上または底板上の1つまたは複数の適合する部分と協働することができる。
【0030】
当然ながら、前述の手段または設計を2つ以上有する蓋挿入体を装備される蓋ユニットを、使用することも可能である。
【0031】
本発明による屈折計用の蓋ユニットの様々な設計が、図面の参照と共に、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】閉じられた蓋ユニットを有する屈折計の3次元部分図である。
【図2】互いに分離した屈折計と蓋ユニットの3次元部分図である。
【図3】封止挿入体を備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【図4】光カバーを備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【図5】押圧挿入体を備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【図6】温度制御手段を備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【図7】測定セル内の圧力を変更する手段を備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【図8】光センサユニットを備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【図9】分析センサを備える蓋ユニットを有する屈折計の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、以下では測定装置とも呼ぶ屈折計の3次元表示であり、屈折計は、ハウジング1と、蓋ユニット2とを有し、蓋ユニット2は、底板3と、この表示では閉じられている蓋4とを含む。蓋4は、蓋4の開閉のための取手5を備える。
【0034】
図2において、蓋ユニット2および測定装置は互いに分離されており、分解図で示される。底板3は、周辺リップ6および開口7を有し、開口7を通して、測定装置の中、またはより詳細にはハウジング1の中、に位置する測定セル8は、蓋ユニット2が搭載され、蓋4が開いているときに、試料で充填されうる。2つの排液溝27が、余分な試料材料が底板3から流出できるように、リップ6の中に配置される。屈折計は、漏斗形の測定セル8を備える。測定装置の中の測定セル8の下に、測定セル8の中に置かれた試料の屈折率を測定するために使用されうる、光測定ユニットが存在する。測定セル8の底は、光窓として構成され、光測定ユニットが、光窓のすぐ隣に配置される。代替として、少なくとも1つの光窓が、測定セル8の壁に配置されうる。
【0035】
さらに、第1の丁番部9が、底板3に取り付けられ、蓋4の上に配置された第2の丁番部10と共に、第1の丁番部9は可動丁番を形成する。丁番部9、10は、それらが、手で容易に、互いに取り付け取り外しされうるように、構築される。
【0036】
丁番の中に配置された捻りバネ25と、取手5の中に配置され、底板の方に向けられた磁石26との組合せは、特に、利用者にとって使いやすく、蓋4が、開いている位置にあるときに、その自重によって閉まりえないことを、確実にする。磁石26はまた、蓋が、閉止状態に留まることを、確実にする。捻りバネ25のバネ力と磁石26の磁力が同時に作用し、それにより、蓋4は、追加の力を加えられないと、選択された位置−開または閉−に留まる。
【0037】
暗色の表面を有する光カバー11が、測定セル8に面する蓋4の面上に示される。蓋4が閉じられるときに、このカバー11は開口7の上に位置付けられ、それにより、蓋4が底板3上に完全に平らには置かれていないとしても、外部から通り抜ける可能性のある外部光から、測定セル8を遮蔽する。
【0038】
図3から図9は、様々な蓋挿入体を有する閉じられた蓋2の、複数の実施形態の断面図を示し、測定装置および蓋2の部分だけが、それぞれの場合において示される。
【0039】
蓋ユニット2が測定装置に接続されるとき、底板3は、測定装置の上部にじかに接触して置かれている。底板3の周囲に延びるリップ6は、わずかに上に湾曲し、それにより、底板3は、測定セルからしたたり落ちる物質、または誤った充填により漏れる物質のための収集皿を形成する。この場合、底板3は、磁性材料を含み、それにより、底板3は、ハウジング1の表面の上または近くに配置された板状または円盤状の磁石12により引きつけられ、そのことが、蓋ユニット2を屈折計のハウジング1の上に静止させておく。蓋4は、本質的に中空であり、さらに、取手5および第2の丁番部10は、周辺リップ14で取り囲まれる端板(end−plate)またはかぶせ板(covering plate)13を備える。
【0040】
第1の土台(mounting)15が蓋4の内側に備えられ、蓋4の中に突出し、土台15の自由端は第1の接続要素16を備えられ、接続要素16は、この場合、円盤の形状である。図3から図9のすべてに示すように、蓋挿入体17、18、28、31、35、39は、この第1の接続要素16に、工具なしで取り付けられうる。
【0041】
この目的のために、接続要素16は、樹脂の円盤として構築され、様々な蓋挿入体18、28、31、35、39が、接続要素16の上に置かれうる。ある量の遊び(play)が、蓋挿入体17、18、28、31、35、39と接続要素16との間の接続の中に作られ、それにより、蓋挿入体17、18、28、31、35、39が測定セル8の中に突出する深さが、蓋挿入体17、18、28、31、35、39の自重によるだけでなく、試料の、例えばその粘着性または体積によっても影響を受け、従って、蓋挿入体17、18、28、31、35、39が測定セル8を損傷することを防止できるようにする。
【0042】
底板2の中の開口(同じく図2参照)は、この場合は漏斗の形状である測定セル8に出入りする手段として機能する。窓19が測定セル8の底に備えられ、測定セル8を、その下に配置される測定ユニット20と分離する。
【0043】
封止挿入体17はキノコ形に構築され、図3に示すように、蓋4が閉じられるときに測定セル8の中に突出して、セルを外部から封止する。というのは、封止挿入体17は、それ自体の自重で測定セル8の側壁とじかに接触して置かれているからである。封止挿入体17はまた、測定セルを外部光から遮蔽する。
【0044】
図4は、蓋挿入体として、光カバー11を有する蓋ユニット2を示す。光カバー11は、蓋4が閉じられるときに、外部光から測定セル8を遮蔽する、暗色の表面を有する本質的に平らな円盤(図2参照)である。この平らな円盤の、暗色の表面の反対側の面は、少なくとも2つの留め具21を備え、留め具21は、蓋4上の、対応して形成された第2の接続要素22と係合することができ、それにより、光カバー11は、取り外し可能なスナップ式接続を介して、蓋4に取り付けられうる。スナップ式接続は、光カバー4が、工具を使用せずに、蓋4に挿入されうるように、設計される。
【0045】
図5は、第1の接続要素16を介して蓋4に取り付け可能な、押圧挿入体18として構成される蓋挿入体の、他の実施形態を示す。蓋4が閉じられるときに押圧挿入体18が測定セル8の中に突出し、試料を窓8に押しつけるように、押圧挿入体18が構築される。押圧挿入体18のサイズは、蓋4が閉じられるときに、測定セル8の中の試料に圧力を加えるために、押圧挿入体18の一端が蓋4に押しつけられ、他端が測定セル8の側壁に押しつけられるほどのものである。
【0046】
蓋挿入体11、17、18、28、31、35、39は、蓋4が閉じられるときに、蓋挿入体が測定セル8の上または中に押しつけられうるように、少量の遊びを有して蓋に取り付けら、それにより測定セル8を、より詳細には測定セル8の中に位置する試料を、より正確に閉じこめる。
【0047】
図5はまた、底板3と測定装置のハウジング1の間のスナップ式接続を、例示の目的で示す。この接続は、ハウジング1の面内の少なくとも1つの凹部23と、底板3の中の少なくとも1つの整合する突起24により、あるいは同様に、ハウジング1上の盛り上がり領域と、底板3上の整合する係合手段により、生み出される。
【0048】
追加の蓋挿入体が、極めて簡単な形で、接続要素16なしに、図6から図9に示される。
【0049】
図6は、内部または外部の温度制御手段42、43を備える蓋挿入体28を有する、蓋4を示す。蓋挿入体28はまた、測定セル8を光学的に遮蔽するカバー29を備える。図6において、外部温度制御手段43と内部温度制御手段42の両者が示されているが、蓋ユニットは、一度に、これらのうちの1つしか収容できない。
【0050】
内部温度制御手段42は、例えば、抵抗ヒータおよびペルチェ素子であってよい。ペルチェ素子は、加熱および冷却の両方に使用されうる。蓋挿入体28はまた、線の経路指定が変更されうることを示す線30で示されるように、サーモスタットまたはクライオスタットなど、外部温度制御手段43に接続されうる。温度制御手段42、43の設計に従って、線30はまた、例えば、内部温度制御手段42にエネルギーを供給する電線であってよい。
【0051】
図7は、少なくとも1つの封止要素32を介して測定セル8から封止されうる、他の蓋挿入体31を示す。蓋挿入体31はまた、入り口線33および出口線34を有し、入り口線33または出口線34を介して、ポンプおよび/またはガス容器を含むユニット44で示されるように、ガスが測定セル8に供給されうるか、または真空が生み出されうる。
【0052】
図8による蓋挿入体35は、外部光から測定セルを遮蔽し、さらに、少なくとも1つの光源36、37およびセンサ38を装備される。試料の同質性が、この配置における入射光または伝播された光の中で試験されてよく、また、スペクトルを記録することなど、他の光測定が、試料に対して実施されてよい。さらに、試料の、伝播された光または入射光の像を捕捉し、気泡、懸濁粒子、または含有物に対する像を検査することが可能である。この試験は、像および/または記録されたスペクトルに基づいて、ユーザによって目視で、あるいは、適切な評価ルーチンを使用して装置のソフトウエアによって、実行されうる。
【0053】
図9は、センサ40の感応素子41が、測定セル8の中の試料と接触することができるように配置されるセンサ40を有する、蓋挿入体39を示す。適切なセンサは、電気化学的センサまたは電気物理的センサなど、あらゆる種類の分析センサであってよい。これらには、例えば、pHセンサ、酸素センサまたは伝導度センサなど、イオン感応性センサ、電流測定センサまたは電位差センサが含まれる。
【0054】
本発明は、具体的な実施形態の表示を参照しながら説明されてきたが、多くの他の設計の改変が、本発明の教示に基づいて、例えば、個々の実施形態の特徴を互いに組み合わせることにより、および/または、実施形態の個々の機能的ユニットを代用することにより、生み出されうることは、明白である。
【符号の説明】
【0055】
1 ハウジング
2 蓋ユニット
3 底板
4 蓋
5 取手
6 リップ
7 開口
8 測定セル
9 第1の丁番部
10 第2の丁番部
11 蓋挿入体/カバー
12 磁石
13 端板
14 リップ
15 第1の土台
16 第1の接続要素
17 封止挿入体/蓋挿入体
18 押圧挿入体/蓋挿入体
19 窓
20 測定ユニット
21 留め具
22 第2の接続要素
23 凹部
24 突起
25 バネ
26 磁石
27 排液溝
28 蓋挿入体
29 カバー
30 線
31 蓋挿入体
32 封止要素
33 入り口線
34 出口線
35 蓋挿入体
36 光源
37 光源
38 センサ
39 蓋挿入体
40 センサ
41 感応素子
42 温度制御手段
43 温度制御手段
44 ポンプ/ガス容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)と、前記ハウジング(1)に配置される測定セル(8)と、蓋ユニット(2)とを含み、前記蓋ユニット(2)は、屈折計の前記測定セルへの出入りを可能にする開口(7)を有する底板(3)と、前記測定セルを覆うための蓋(4)とを備え、前記蓋(4)が丁番を介して前記底板(3)に接続される、屈折計であって、前記蓋ユニット(2)が、前記蓋(4)に取り替え可能に配置される蓋挿入体(11、17、18、28、31、35、39)をさらに備え、前記蓋ユニット(2)が、前記底板(3)に接続される接続要素を介して、前記ハウジング(1)に取り外し可能に接続されることを特徴とする、屈折計。
【請求項2】
前記丁番が、互いに結合されうる2つの部分(9、10)を備え、それにより、前記蓋(4)が前記底板(3)から分離可能であることを特徴とする、請求項1に記載の屈折計。
【請求項3】
外光が前記測定セル(8)を通り抜けるのを防ぐために、前記蓋挿入体が光遮蔽体(11)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の屈折計。
【請求項4】
前記蓋挿入体が、試料を前記測定セル(8)の中に広げるための押圧挿入体(18)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項5】
前記蓋挿入体が、前記測定セル(8)を外部環境から隔離するための封止挿入体(17)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項6】
前記蓋挿入体(28)が温度制御手段(42、43)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項7】
前記蓋挿入体(18、31)が、前記測定セル(8)の中の圧力を変えるための手段を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項8】
前記蓋挿入体(31)が、前記測定セル(8)にガスを充填するための手段を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項9】
前記試料の物理的および/または化学的特性を記録するために、少なくとも1つのセンサ(38、40)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項10】
前記底板(3)が周辺に延びるリップ(6)を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項11】
前記周辺リップ(6)が少なくとも1つの排液溝(27)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の屈折計。
【請求項12】
前記底板(3)が、化学的に耐性を有する材料から成り、および/または表面被膜を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の屈折計。
【請求項13】
前記接続要素が、磁気式接続、スナップ式接続、または差し込み式締結を備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の屈折計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−7787(P2011−7787A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−134868(P2010−134868)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】