屈曲アセンブリおよび触覚フィードバックのための固定具
本発明は、複数のアクチュエータにより駆動される構成要素をアシストするための屈曲アセンブリの使用を対象とする方法およびデバイスを提供し、これに限定されないが、感覚フィードバックを提供するために電場応答性高分子変換器を備えている。本発明は、これに限定されないが、タッチパッド、タッチスクリーンまたはキーパッドまたはコンピュータに関する同種のもの、電話、PDA、ビデオゲームコンソール、GPSシステム、キオスクアプリケーション等を含むあらゆるタイプのユーザインターフェースデバイスに用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2009年10月19日に出願され、出願番号No,61/253,007、発明の名称「屈曲アセンブリおよび触覚フィードバック装置のための固定具」である米国非仮出願であって、その内容のすべてを、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0002】
本願は、触覚フィードバックを提供するための(これに限定されないが)電場応答性高分子変換器を備えるアクチュエータにより駆動される要素を補助するための屈曲アセンブリの使用を対象としている。
【背景技術】
【0003】
今日用いられている極めて多くの種類の装置は、電気エネルギーを機械的(力学的)エネルギーに変換するために、何種類かのアクチュエータに依存している。逆に言えば、多くの発電アプリケーションは、機械的動作を電気エネルギーに変換することによって作動する。このように機械的エネルギーを取り入れるために用いられる場合には、同種のアクチュエータをジェネレータと呼ぶことができる。さらに、物理的刺激、例えば振動や圧力を測定目的の電気信号に変換するために上記構造が用いられる場合、センサと位置付けられ得る。さらに、「変換器(transducer)」という言葉は、一般的に、これらのあらゆる装置に言及するために用いることができる。
【0004】
変換器を製造するために、多くの設計上の判断が先進の誘電性エラストマー材料を選択し、用いることを支持している。この誘電性エラストマー材料は、「電場応答性高分子(EAP)」とも呼ばれる。上記判断は、ポテンシャル電力、電力密度、電力変換/電力消費、大きさ、重量、コスト、応答時間、デューティーサイクル、サービス要件、環境影響等を含む。そのため、多くのアプリケーションにおいて、電場応答性高分子(EAP)技術は、圧電物質、形状記憶合金(SMA)およびモータやソレノイド等の電磁気装置に対する理想の代替品を提供する。
【0005】
EAP装置およびそれらアプリケーションの例は、米国特許No.7,394,282、7,378,783、7,368,862、7,362,032、7,320,457、7,259,503、7,233,097、7,224,106、7,211,937、7,199,501、7,166,953、7,064,472、7,062,055、7,052,594、7,049,732、7,034,432、6,940,221、6,911,764、6,891,317、6,882,086、6,876,135、6,812,624、6,809,462、6,806,621、6,781,284、6,768,246、6,707,236、6,664,718、6,628,040、6,586,859、6,583,533、6,545,384、6,543,110、6,376,971、6,343,129、および、米国特許出願公開No.2009/0154053、2008/0180875、2008/0157631、2008/0116764、2008/0022517、2007/0230222、2007/0200468、2007/0200467、2007/0200466、2007/0200457、2007/0200454、2007/0200453、2007/0170822、2006/0238079、2006/0208610、2006/0208609、2005/0157893、および、2009年1月22日に出願された米国特許出願No.12/358,142、および、PCT出願No.PCT/US10/26829、PCT国際公開No,WO2009/067708、WO2010/054010、WO2010/085575に記載されており、その内容のすべてを、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0006】
EAP変換器は、変形可能な特性を有すると共に、薄膜誘電性エラストマー材料により仕切られている2つの電極を備える。これらの電極間に電圧差を印加すると、逆帯電した電極が互いに引きあって、それらの間で誘電性高分子層を圧迫する。上記電極が互いに距離を縮めるように引き合うので、誘電性高分子フィルムはより薄く(Z軸成分が縮まる)なり、(X軸およびY軸に沿って)平面方向に延びる。言い換えれば、このフィルムの変位は面内である。EAPフィルムはまた、(Z軸に沿って)フィルム構造体に対して直角方向に動くよう構成することもできる。言い換えれば、このフィルムの変位は面外である。米国特許出願公開No,2005/0157893は、面外の変位をもたらすEAPフィルムの構図を開示すると共に、表面の変形あるいは厚みモードの偏差にも言及している。
【0007】
EAPフィルムの材料および物理的特性は、変換器によって被る表面の変形をカスタマイズするために、変形し、制御することができる。より具体的に言うと、高分子フィルムと電極材料との間の相対的弾性、高分子フィルムと電極材料との間の相対的厚さ、高分子フィルムおよび/または電極材料の厚さの変化、(局部的な活性領域と非活性領域をもたらす)高分子フィルムおよび/または電極材料の物理的パターン、EAPフィルム全体に配置されている張力または予歪み、フィルムに印加される電圧量またはフィルム上に誘起されるキャパシタンス等の要因は、活性状態において、フィルムの表面の特徴をカスタマイズするために制御し、変形することができる。
【0008】
このようなEAPフィルムによりもたらされる上述の利点から利益を得るであろう、非常に多くの変換器ベースの出願が存在する。このような出願の1つは、ユーザインターフェースにおいて、触覚フィードバック(ユーザの体に加えられた力を通して、ユーザに情報を伝達すること)を作るためのEAPフィルムの使用方法を含んでいる。一般的に、ユーザにより引き起こされた力に応じて、触覚フィードバックを使用する周知のユーザインターフェースデバイスは多く存在する。触覚フィードバックを使用できるユーザインターフェースの実例は、キーボード、キーパッド、ゲームコントローラ、リモコン装置、タッチスクリーン、コンピュータマウス、トラックボール、スタイラスペン、ジョイスティック等を含んでいる。このユーザインターフェースは、デバイスからのフィードバックまたは情報について、ユーザが操る、係合する、および/または観察するどんな表面をも含むことができる。このようなインターフェース表面の実例は、これに限定されないが、キー(例えば、キーボードのキー)、ゲームパッドまたはボタン、ディスプレイスクリーン等を含んでいる。
【0009】
これらの種類のインターフェースに提供される触角フィードバックは、振動、脈動、スプリング力等の物理的感覚の形であり、ユーザは、直接的に(例えば、スクリーンをタッチすることによって)、間接的に(例えば、携帯電話がハンドバッグやかばんの中で振動するときのような振動の効果によって)、あるいは、別の感覚で(例えば、圧力変動(pressure disturbance)を作り出すが、従来の意味における音声信号を生成しない運動体のアクションによって)感知する。
【0010】
多くの場合、触覚フィードバックを持つユーザインターフェースが、ユーザにより引き起こされるアクションを「受け取る」入力装置の他に、このアクションが開始されたことを検知して触覚フィードバックを提供する出力装置にもなることができる。実際のところは、ユーザインターフェースデバイスの接触またはタッチされる一の部分または表面(例えばボタン)の位置は、ユーザにより加えられた力によって、少なくとも1つの自由度に沿って変更される。この加えられた力は、接触部分が位置を変更し、触覚フィードバックをもたらすために、ある最小閾値に届く必要がある。接触部分の位置の変更の達成またはレジストレーションは、応答力(例えば、跳ね返り、振動、脈動等)をもたらす。この応答力は、ユーザにより影響を与えられた装置の接触部分にも与えられて、触覚を通じてユーザに伝達される。
【0011】
スプリングバック、「双安定(bistable)」または「二相(biphase)」型の触覚フィードバックを用いるユーザインターフェース装置の一般的な例の1つは、マウス上のボタン、キーボード、タッチスクリーン、または他のインターフェースデバイスである。このユーザインターフェースは、加えられた力が特定の閾値に達するまで動かず、特定の閾値ポイントにおいて、相対的に軽く下方向に動き、その後止まる。このような感覚をまとめて、ボタンを「クリックすること」として定義される。あるいは、力のプロファイルを変化させる(例えば、減少)特定の閾値に至るまで、次第に増加する抵抗力を伴って表面は移動する。ユーザにより与えられた力は、大体、ボタン表面に対して垂直な軸に沿っていて、ユーザが感じる応答(相反)力も同様である。しかし、実施形態には、このボタン表面に対して横方向つまり面内でユーザにより与えられた力の使用を含んでいる。
【0012】
別の例において、ユーザがタッチスクリーン上の入力データを入力すると、このスクリーンは、一般に、聴覚的合図と共に、聴覚的合図無しで、スクリーン上のグラフィカルチェンジによって入力データを確認する。タッチスクリーンは、色彩変化や形状変化等、スクリーン上の視覚的合図方法によりグラフィカルフィードバックを提供する。タッチパッドは、スクリーン上のカーソルを用いて視覚フィードバックを提供する。上記合図はフィードバックを提供するが、指で作動する入力装置からの最も直感的で効果的なフィードバックは、キーボードキーの戻り止め又はマウスホイールの戻り止め等、触覚フィードバックである。したがって、タッチスクリーンに触覚フィードバックを組み込むことが望ましい。
【0013】
触覚フィードバック機能は、特にデータ入力との関連で、ユーザの生産性と効率性を改善することが知られている。ユーザに伝えられる触覚感覚の特性および質のさらなる改善は、このような生産性と効率性をさらに向上させることができると、本発明者は信じている。上記改善が、製造が容易かつ費用効率が高く、従来の触覚フィードバック装置が要求するスペース、サイズおよび/または質量を増加することがなく、望ましくは少なくする感覚フィードバックメカニズムにより提供されるならば、さらに有益であろう。
【0014】
EAPベースの変換器の組み込みは、上記ユーザインターフェースデバイスの触覚相互作用を改善することができるが、このユーザインターフェースデバイスのプロファイルを増加させることなく、上記EAP変換器を用いるべき必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0015】
本願発明は、感覚アプリケーションのための電場応答変換器を有する装置、システムおよび方法を含む。一の実施形態において、感覚フィードバックを有するユーザインターフェースデバイスが提供されている。本発明の利点の1つは、ソフトウェア、あるいは、ユーザインターフェースデバイスまたは関連した構成要素により生成された別の信号によってインプットが引き起こされたときはいつでも、ユーザインターフェースデバイスのユーザに触覚フィードバックを提供することである。
【0016】
この明細書に記載された方法および装置は、EAPベースの変換器システムの構造および機能を改良しようとする。本願開示は、様々なアプリケーションに用いるためのカスタマイズされた変換器の構成を説明する。本願開示はまた、EAP変換器を駆動するための非常に多くの装置および方法と、機械的作動、電力生成および/またはセンシングのためのEAP変換器ベースの装置およびシステムとを提供する。
【0017】
これらの本発明の特徴、目的および利点は、下記にさらに十分に説明するように、本発明の詳細を読んだとき当業者に明らかになる。
【0018】
これらの設計に用いられ得るEPAM(電場応答性高分子型人工筋肉(electroactive polymer artificial muscle))カートリッジは、これに限定されないが、プラナー(Planar)、ダイアフラム(Diaphragm)、厚みモード(Thickness Mode)、および受動連結装置(Passive Coupled device)(ハイブリッド(Hybrids))を含む。
【0019】
本願開示は、ユーザによる操作のための装置であって、出力信号に応えて改良された効果を生じる装置を含んでいる。一実施形態において、この装置は、ベースフレームを備えている。また、この装置は、このベースフレームに連結された少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータを備えている。この電場応答性高分子アクチュエータは、触覚フィードバックを提供するために入力中の活性化信号に応えて動くように構成された電場応答性高分子フィルムを有している。また、この装置は、上記電場応答性高分子フィルムに連結されたアクチュエーションフレームを備えていて、この電場応答性高分子フィルムの運動が、このアクチュエーションフレームの運動を引き起こすと共に、少なくとも1つの機械的屈曲部が、上記アクチュエーションフレームの一部に上記ベースフレームの一部を連結させる。この機械的屈曲部は、上記ベースフレームに対して上記アクチュエーションフレームを浮かせて、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を可能にする。この機械的屈曲部は、これらの2つの部材を、それらの間での運動を可能にする任意の様々な方法で浮かせることができる。例えば、これらの部材は、これらの部材が互いに対して移動可能である限りは、物理的に離れることもできるし、接触することもできる。
【0020】
ほとんどの場合、本願開示に従った装置は、複数の屈曲部またはサスペンションアセンブリを備える。この屈曲部またはサスペンションアセンブリは、特定のアプリケーションに応じて、分離または連結することができる。
【0021】
一実施形態において、上記装置は、ユーザインターフェース部を備え、上記アクチュエーションフレームが、このユーザインターフェース部の一部に連結されているか、あるいは、このユーザインターフェース部の一部を形成している。ユーザインターフェースの例には、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチパネル、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラが含まれている。しかし、この明細書で説明される原理は、可動部分を必要とするあらゆる装置で用いることができる。
【0022】
この明細書に記載された様々な装置は、上記ベースフレームに平行な平面における、上記機械的屈曲部が、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を制限することができるように構成することができる。例えば、上記機械的屈曲部の一部は、上記ベースフレームおよび上記アクチュエーションフレームに堅く取り付けることができ、この機械的屈曲部の第1部分と第2部分との間にある機械的屈曲部の拘束されない第3部分は、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動に応えて曲がるようになっている。更なる実施形態において、屈曲部は、連結された部材の運動を制限する、あるいはその反対に作用する構造特性を有するよう構成することができる。例えば、上記拘束されない第3部分は、取り付けられた部材の運動を制限することができ、その結果、電場応答性高分子フィルムの運動を制限して、この取り付けられた部材をこの電場応答性高分子フィルムの最大変位未満にする。一実施形態において、上記アクチュエーションフレームおよび/またはベースフレームは、それぞれのフレームの運動平面とは同一平面にない部分を設けることができ、この部分は、1以上の機械的屈曲部に各々取り付けられている。
【0023】
この明細書に記載されている様々な装置には、上記部材の必要以上の運動を妨げる停止アセンブリを設けることができる。例えば、停止アセンブリには、嵌合ポケットまたは凹部内を移動する突起部を設けることができる。この突起部とスロット/凹部との間のサイズ差は、装置の最大変位を決定することができる。停止アセンブリを有する装置の一実施形態において、この停止アセンブリは、ベースフレームまたはアクチュエーションフレーム上に突起部を備えると共に、このアクチュエーションフレームまたはベースフレームにそれぞれ嵌合スロットを設けている。このスロットは、この突起部を受け取るよう構成されると共に、上記ベースフレームの運動を制限するために上記突起部よりも大きく形成されている。
【0024】
本願開示はまた、フィードバックデバイスを製造するための方法を含んでいる。一実施形態において、この方法は、フィードバックを提供するため電圧を印加したときに変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを含む電場応答性高分子変換器を第1フレームに取り付けることを含んでいる。また、この方法は、上記電場応答性高分子フィルムを第2フレームに連結することを含んでいる。また、この方法は、上記第1フレームを機械的フレックシャ部の第1部分に取り付け、上記第2フレームをこの機械的屈曲部の第2部分に取り付けることによって、上記第2フレームに対して上記第1フレームを浮かせることを含んでおり、上記機械的屈曲部の第3部分には拘束されておらず、かつ、上記第1部分および上記第2部分の相対運動を可能にするために曲がる。この第1フレームおよび第2フレームは、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラ等のユーザインターフェース部(またはユーザインターフェース表面)を含んでいてもよく、また、これらのユーザインターフェース部の一部であってもよい。
【0025】
この方法は、上記第1フレームおよび上記第2フレームを複数の別々の機械的屈曲部に取り付けることによって上記第2フレームに対して上記第1フレームを浮かせることを含むこともできる。
【0026】
本願開示はまた、装置の可動部材間の変位を制御するための方法を含んでいる。このような方法の一例は、装置を提供することを含んでいる。この装置は、機械的屈曲部によって第2フレーム部に対して浮かされた第1フレーム部を備えている。この機械的屈曲部は、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間の相対運動を可能にする。この第1フレームおよび第2フレームは、静止位置と変位位置とを有している。また、この装置は、電圧を印加するときに変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを有する電場応答性高分子変換器を備えている。この電場応答性高分子変換器は、上記第1フレーム部に連結され、この電場応答性高分子フィルムは、上記第2フレーム部に連結されている。また、この方法は、上記電場応答性高分子フィルムの変位を引き起こすために上記電場応答性高分子変換器を活性化することを含んでいる。この電場応答性高分子フィルムの変位は、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を上記変位位置まで動かして、上記機械的屈曲部の機械的ストレスを作り出す。また、この方法は、上記電場応答性高分子への信号を弱めて、上記機械的屈曲部の上記機械的ストレスが、上記静止位置に上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を戻すアシストをすることを可能にし、一方で上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間のサスペンションを維持することを含んでいる。
【0027】
上記方法は、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を複数の別々の機械的屈曲部に取り付けることによって、この第2フレーム部に対して第1フレーム部を浮かせることを含むこともできる。上述のように、この第1フレーム部または第2フレーム部は、ユーザインターフェース部を含んでいてもよく、また、このユーザインターフェース部の一部であってもよい。このユーザインターフェース部の例は、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラを含むことができる。
【0028】
本発明は、これに限定されないが、タッチパッド、タッチスクリーンまたはキーパッドまたはコンピュータに関する同種のもの、電話、PDA(携帯情報端末(Personal Digital Assistance))、ビデオゲームコンソール、キーボード、およびゲーミングコントローラ等を含むどんなタイプのユーザインターフェースデバイスにも用いることができる。
【0029】
本発明の他の詳細に関しては、材料および代替の関連した構造は、当業者の技術水準の範囲内で用いることができる。この材料および代替の関連した構造は、一般に、または、論理的に用いられるような追加行為に関して、本発明の方法ベースの態様についても当てはまる。さらに、本発明は、任意に様々な特徴を組み込んでいる複数の例を参照して説明されているが、本発明の実施形態の各々に関して予定されているように記載され、または示されているものに限定されることはない。記載された発明に様々な変化を作り出すこともできるし、本発明の真の精神と範囲から離れることなく、均等物(この明細書に列挙されていても、一定の簡潔さのために含まれていなくても)を代用することもできる。あらゆる示されている独立した部分またはサブアセンブリが、これらの設計に一体化され得る。このような変化等は、アセンブルに対する設計の原理によって行われ、あるいは、導かれ得る。
【0030】
これらの本発明の特徴、目的および利点は、下記にさらに十分に説明するように、本発明の詳細を読んだとき当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、添付の図面と同時に読んだときに、以下に記載された説明から最も理解される。理解を助けるために、図面に共通している同じ構成要素を示すため(差し支えなければ)同じ参照番号を用いている。以下のものが図面に含まれている。
【図1A】図1Aは、電場応答性高分子(EAP)変換器が、ディスプレイスクリーン又はディスプレイセンサと装置の本体とに連結しているときに、触覚フィードバックを用いることができるユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図1B】図1Bは、EAP変換器が、ディスプレイスクリーン又はディスプレイセンサと装置の本体とに連結しているときに、触覚フィードバックを用いることができるユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図2A】図2Aは、ユーザ入力に対して触覚フィードバックを伴う反応をする表面を有するディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースを示す断面図である。
【図2B】図2Bは、ユーザ入力に対して触覚フィードバックを伴う反応をする表面を有するディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースを示す断面図である。
【図3A】図3Aは、アクティブガスケットに形成されたアクティブEAPを有する、柔軟膜により覆われているディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースの他の実施形態を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、アクティブガスケットに形成されたアクティブEAPを有する、柔軟膜により覆われているディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースの他の実施形態を示す断面図である。
【図4】図4は、ディスプレイスクリーンのエッジに配置されているバネ付勢されたEAP膜を有するユーザインターフェース装置のさらなる実施形態を示す断面図である。
【図5】図5は、ディスプレイスクリーンが複数の柔軟ガスケットを用いているフレームに連結されており、ディスプレイに対する駆動力が複数のEAPアクチュエータダイヤフラムとして存在するユーザインターフェース装置を示す断面図である。
【図6A】図6Aは、ディスプレイに連結された波形EAP膜または波形EAPフィルムを有するユーザインターフェース230を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、ディスプレイに連結された波形EAP膜または波形EAPフィルムを有するユーザインターフェース230を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態による電圧印加前の変換器を示す上面斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施形態による電圧印加後の変換器を示す上面斜視図である。
【図8A】図8Aは、ユーザインターフェースに使用する感覚フィードバック装置を示す上面分解斜視図である。
【図8B】図8Bは、ユーザインターフェースに使用する感覚フィードバック装置を示す下面分解斜視図である。
【図9A】図9Aは、本発明の組み立てられた電場応答性高分子アクチュエータの上面図を示す。
【図9B】図9Bは、図8Aのアクチュエータのフィルム部分の上面図を示し、特に、二相構造のアクチュエータを示す。
【図9C】図9Cは、図8Aのアクチュエータのフィルム部分の下面図を示し、特に、二相構造のアクチュエータを示す。
【図9D】図9Dは、装置のフレームから分離されたディスプレイスクリーンの表面全体に配置するための電場応答性高分子変換器の配置の例を示す。
【図9E】図9Eは、装置のフレームから分離されたディスプレイスクリーンの表面全体に配置するための電場応答性高分子変換器の配置の例を示す。
【図9F】図9Fは、本明細書に記載されたユーザインターフェース装置に使用するアクチュエータの配置を示す分解斜視図である。
【図9G】図9Gは、本明細書に記載されたユーザインターフェース装置に使用するアクチュエータの配置の組み立てた状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、人間の指で装置の接触表面と有効接触するユーザインターフェースを示す側面図である。
【図11A】図11Aは、グラフを使って、単相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの力−ストローク関係を示す。
【図11B】図11Bは、グラフを使って、単相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの電圧レスポンス曲線を示す。
【図11C】図12Aは、グラフを使って、二相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの力−ストローク関係を示す。
【図11D】図12Bは、グラフを使って、二相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの電圧レスポンス曲線を示す。
【図12A】図12Aは、二相変換器の他の実施形態を示す。
【図12B】図12Bは、二相変換器の他の実施形態を示す。
【図12C】図12Cは、二相変換器の他の実施形態を示す。
【図12D】図12Dは、図12A−図12Cの二相変換器に対する変位−時間グラフを示す。
【図13】図13は、感覚フィードバック装置を作動するための(電源および制御電子機器を含む)電子回路を示すブロック図である。
【図14A】図14Aは、ユーザ入力装置に連結しているEAPアクチュエータの平面配置の例を示す斜視図である。
【図14B】図14Bは、ユーザ入力装置に連結しているEAPアクチュエータの平面配置の例を示す斜視図である。
【図15A】図15Aは、変換器がアクティブであるとき、作業出力を提供するために高分子表面の特徴を利用するアクチュエータとして用いられたEAP変換器を概略的に示す。
【図15B】図15Bは、変換器がアクティブであるとき、作業出力を提供するために高分子表面の特徴を利用するアクチュエータとして用いられたEAP変換器を概略的に示す。
【図16A】図16Aは、本発明のアクチュエータの典型的な構成を示す横断面図である。
【図16B】図16Bは、本発明のアクチュエータの典型的な構成を示す横断面図である。
【図17A】図17Aは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図17B】図17Bは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図17C】図17Cは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図17D】図17Dは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図18A】図18Aは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図18B】図18Bは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図18C】図18Cは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図18D】図18Dは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図19】図19は、電気接続のピアシングタイプを持つ本発明の変換器を示す横断面図である。
【図20A】図20Aは、ボタンタイプアクチュエータでのアプリケーションに対する厚みモード変換器を示す上面図である。
【図20B】図20Bは、ボタンタイプアクチュエータでのアプリケーションに対する電極パターンを示す上面図である。
【図21】図21は、図6A,図6Bのボタンタイプアクチュエータの配置を用いているキーパッドを示す上面図である。
【図22】図22は、人間の手形状の新しいアクチュエータに用いるための厚みモード変換器の上面図である。
【図23】図23は、連続したストリップ構造の厚みモード変換器の上面図である。
【図24】図24は、ガスケットタイプアクチュエータでのアプリケーションに対する厚みモード変換器の上面図である。
【図25A】図25Aは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図25B】図25Bは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図25C】図25Cは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図25D】図25Dは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図26A】図26Aは、相対的な活性領域および非活性領域の位置が上述の実施形態から反転している、本発明の厚みモード変換器の他の実施形態を示す横断面図である。
【図26B】図26Bは、相対的な活性領域および非活性領域の位置が上述の実施形態から反転している、本発明の厚みモード変換器の他の実施形態を示す横断面図である。
【図27A】図27Aは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27B】図27Bは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27C】図27Cは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27D】図27Dは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27E】図27Eは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図28A】図28Aは、電場応答性高分子アクチュエータに対する最適な触覚周波数内で正常に作動するための音声信号に合わせるための回路の一実施形態を示す。
【図28B】図28Bは、図28Aの回路によりフィルタにかけられた修正触覚信号の一実施形態を示す。
【図28C】図28Cは、単相電場応答性変換器に対して信号を作り出すための追加回路を示す。
【図28D】図28Dは、二相電場応答性変換器に対して信号を作り出すための追加回路を示す。
【図28E】図28Eは、本体の中に1以上の電場応答性アクチュエータを有し、慣性マスに連結された装置の一実施形態を示す。
【図28F】図28Fは本体の中に1以上の電場応答性アクチュエータを有し、慣性マスに連結された装置の一実施形態を示す。
【図29A】図29Aは、ユーザインターフェースデバイスに使用するときの電場応答性高分子変換器の一実施形態を示しており、この電場応答性高分子変換器では、この変換器の一部および/またはユーザインターフェースが、この変換器に電力を供給するためのスイッチを完成させている。
【図29B】図29Bは、ユーザインターフェースデバイスに使用するときの電場応答性高分子変換器の一実施形態を示しており、この電場応答性高分子変換器では、この変換器の一部および/またはユーザインターフェースが、この変換器に電力を供給するためのスイッチを完成させている。
【図29C】図29Cは、ユーザインターフェースデバイスに使用するときの電場応答性高分子変換器の一実施形態を示しており、この電場応答性高分子変換器では、この変換器の一部および/またはユーザインターフェースが、この変換器に電力を供給するためのスイッチを完成させている。
【図30A】図30Aは、電力供給のための2つのスイッチを形成するよう構成された電場応答性高分子変換器の別の実施形態を示す。
【図30B】図30Bは、電力供給のための2つのスイッチを形成するよう構成された電場応答性高分子変換器の別の実施形態を示す。
【図31A】図31Aは、機械的スイッチ効果を再現する触覚効果を作り出すための電場応答性高分子変換器の遅延活性化のグラフを示す。
【図31B】図31Bは、機械的スイッチ効果を再現する触覚効果を作り出すための電場応答性高分子変換器の様々な遅延活性化のグラフを示す。
【図32】図32は、電場応答性高分子変換器を駆動するための回路の一例を示しており、この電場応答性高分子変換器では、望ましい触覚効果を作り出すための保存された波形を搬送するための誘起信号(音声信号等)を用いている。
【図33A】図33Aは、シングル駆動回路での二相活性化を提供することによって電場応答性高分子変換器を駆動するための他の実施形態を示す。
【図33B】図33Bは、シングル駆動回路での二相活性化を提供することによって電場応答性高分子変換器を駆動するための他の実施形態を示す。
【図34A】図34Aは、図34Bの信号によって引き起こされる触覚効果後の残留運動を示している変位曲線の一例を示す。
【図34C】図34Cは、図34Dに示されている残留運動効果を弱めるために電子打ち消しを用いている変位曲線の一例を示す。
【図34D】図34Dは、触覚効果信号および打ち消し信号を示す。
【図35】図35は、電場応答性高分子変換器の電力供給のための環境発電回路の一例を示す。
【図36A】図36Aは、音声信号からのゼロ交差形状を用いている触覚信号の駆動の一例を示す。
【図36B】図36Bは、音声信号からのゼロ交差形状を用いている触覚信号の駆動の一例を示す。
【図36C】図36Cは、データが触覚効果から識別することができる情報信号に基づく触覚信号の駆動の一例を示す。
【図37A】図37Aは、ユーザによる操作のための、そして、出力信号に応じて改良された触覚信号を有する、様々なユーザインターフェースデバイスの一実施形態を示す。
【図37B】図37Bは、ユーザによる操作のための、そして、出力信号に応じて改良された触覚信号を有する、様々なユーザインターフェースデバイスの一実施形態を示す。
【図37C】図37Cは、ユーザによる操作のための、そして、出力信号に応じて改良された触覚信号を有する、様々なユーザインターフェースデバイスの一実施形態を示す。
【図38A】図38Aは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38B】図38Bは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38C】図38Cは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38D】図38Dは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38E】図38Eは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図39A】図39Aは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図39B】図39Bは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図39C】図39Cは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図39D】図39Dは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図40A】図40Aは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図40B】図40Bは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図40C】図40Cは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図40D】図40Dは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図41】図41は、本明細書に記載された様々な実施形態と共に用いるための停止アセンブリの一例を示す。
【図42A】図42Aは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42B】図42Bは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42C】図42Cは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42D】図42Dは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42E】図42Eは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42F】図42Fは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図43A】図43Aは、写真撮影用フラッシュコントローラのための電力供給の一例を示す。
【図43B】図43Bは、閉ループフィードバックを伴うプッシュプルMOSFET(push-pull metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)アレイを設けている回路の2番目の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願発明の装置,システムおよび方法を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
上述したように、ユーザインターフェースを必要とする装置は、この装置のユーザスクリーン上の触覚フィードバックを用いることにより改良することが可能である。図1Aおよび図1Bは、このような装置190の簡単な例を示している。それぞれの装置は、ユーザがデータを入力する、あるいは、ユーザがデータを見るためのディスプレイスクリーン232を有する。このディスプレイスクリーンは、装置の本体またはフレーム234に連結されている。可搬性の構造体のもの(例えば、携帯電話、コンピュータ、製造装置等)、あるいは、他の可搬性のない構造体に加えられたもの(情報ディスプレイパネルのスクリーン、現金自動入出金機のスクリーン等)を問わず、明らかに、様々な装置がこの開示の範囲内に含まれる。この開示の目的のために、ディスプレイスクリーンはまた、タッチパッドタイプの装置を含めることができる。タッチパッドタイプの装置は、ユーザ入力または相互作用が、モニター上で、あるいは、現実のタッチパッド(例えば、ラップトップコンピュータのタッチパッド)から離れた位置で行われる。
【0034】
多くの設計上の判断が、電場応答性高分子(EAP)とも呼ばれる、先進の誘電性エラストマー材料の選択と使用を支持している。これは、特に、ディスプレイスクリーン232の触覚フィードバックを要求する場合の変換器の製造のためである。これらの判断は、ポテンシャル電力、電力密度、電力変換/電力消費、大きさ、重量、コスト、応答時間、デューティーサイクル、サービス要件、環境影響等を含む。そのため、多くのアプリケーションにおいて、EAP技術は、圧電物質、形状記憶合金(SMA)およびモータやソレノイド等の電磁気装置に対する理想の代替品を提供する。
【0035】
EAP変換器は、2つの薄膜電極を備え、これらの薄膜電極は、弾性特性を有すると共に、薄膜誘電性エラストマー材料により仕切られている。一実施形態において、このEAP変換器は、非弾性誘電性材料を含むこともできる。どのような場合でも、この電極に電圧差がある場合、逆帯電した電極は互いに引きあって、それらの間で誘電性高分子層を圧迫する。上記電極が互いに距離を縮めるように引き合うので、誘電性高分子フィルムはより薄く(Z軸成分が縮まる)なり、(X軸およびY軸成分が延びる)平面方向に延びる。
【0036】
図2A−図2Bは、ディスプレイスクリーン232を備えるユーザインターフェース装置230の一部分を示している。このディスプレイスクリーン232は、ディスプレイスクリーン上の情報、制御、刺激に反応して、ユーザが物理的に触れる表面を有する。ディスプレイスクリーン234は、どのタイプのタッチパッドまたはスクリーンパネル、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)等でもよい。さらに、インターフェース装置230のバリエーションでは、スクリーン上に画像が転置される「ダミー」スクリーン(例えば、プロジェクタやグラフィカルカバーリング)等のディスプレイスクリーン232を含むことができる。このスクリーンは、一般的なサインまたはディスプレイ等の固定された情報を表示する従来のモニターやスクリーンを含むことができる。
【0037】
どの場合においても、ディスプレイスクリーン232は、フレーム234(またはハウジングまたはその他の構造体。直接連結部または1以上の接地要素を介して、装置にスクリーンを機械的に連結するもの)と、スクリーン232をフレームまたはハウジング234に連結する電場応答性高分子(EAP)変換器236とを有する。本明細書で述べたように、EAP変換器は、スクリーン232のエッジに沿うことができる。または、EAP変換器のアレイを、フレームまたはハウジング234から距離をあけて配置されているスクリーン232の一部と接触させることができる。
【0038】
図2Aおよび図2Bは、包含されたEAP変換器236がアクティブガスケットを形成する基本的なユーザインターフェース装置を示す。タッチスクリーン232とフレーム234との間に、いくつものアクティブガスケットEAP236を連結することができる。一般的に、十分なアクティブガスケットEAP236が、要求される触角感覚を作り出すために提供される。しかし、その数は、特定のアプリケーションに依存しているため、しばしば変化する。この装置の一実施形態において、タッチスクリーン232は、ディスプレイスクリーンかセンサプレート(ディスプレイスクリーンは、センサプレートの後ろ側に位置する)を備えている。
【0039】
図2Aおよび図2Bは、非活性状態と活性状態との間でタッチスクリーン232を循環させるユーザインターフェース装置230を示している。図2Aは、タッチスクリーン232が非活性状態であるユーザインターフェース装置230を示している。この状態において、変換器を停止状態にさせているEAP変換器236には、フィールド(磁場、電場)が印加されない。図2Bは、あるユーザ入力がEAP変換器236を活性状態にして、このEAP変換器236がディスプレイスクリーン232を矢印238に示す方向に動かした後のユーザインターフェース230を示している。また、1以上のEAP変換器236の変位は、ディスプレイスクリーン232の方向性を有する動きを作り出すために変動することができる(例えば、スクリーン232全体よりもスクリーン232の一の領域を一様に動かすことが、別の領域よりもより大きな度合いで変位することを可能にする。)。明らかに、ユーザインターフェース装置230に連結された制御装置は、必要な周波数を持つEAPs236を循環させ、および/または、EAP236の偏向量を変化させるよう構成することができる。
【0040】
図3Aおよび図3Bは、ディスプレイスクリーン232を備えるユーザインターフェース装置230の他の実施形態を示している。この実施形態におけるディスプレイスクリーン232は、ディスプレイスクリーン232を防護するよう機能する柔軟膜240により覆われている。この場合もやはり、上記装置は、ベースまたはフレーム234にディスプレイスクリーン232を連結している複数のアクティブガスケットEAPs236を備えている。ユーザ入力に反応して、EAPs236に電場が加えられ、装置230が活性状態になるように変位がもたらされると、柔軟膜240と共にスクリーン232が変位する。
【0041】
図4は、ユーザインターフェース230のさらなる実施形態を示している。このユーザインターフェース230は、ディスプレイスクリーン232のエッジに配置されているバネ付勢されたEAP膜244を有している。このEAP膜244は、スクリーンの周囲、または、スクリーンがユーザに触覚フィードバックを作り出すことを可能にする位置のみに設置することができる。この実施形態において、不動態柔軟ガスケットまたは不動態柔軟バネ244は、スクリーン232に対する力を供給し、EAP膜242を緊張状態に置く。このEAP膜に電場を設けると(再びユーザ入力により信号を生成したとき)、EAP膜242は、スクリーン232の変位を引き起こすよう緩む。矢印246で示すように、ユーザ入力装置230は、上記ガスケット244によりもたらされる付バイアスに関連して、どんな方向のスクリーン232の動きでも作り出せるよう構成することができる。さらに、一部の(全てではない)EAP膜242の作動が、スクリーン232の一様でない動きを作り出す。
【0042】
図5は、ユーザインターフェース装置230のさらに別の実施形態を示す。この実施形態において、ディスプレイスクリーン232は、複数の柔軟ガスケット244を用いてフレーム234に連結されており、ディスプレイ234に対する駆動力が、複数のEAPアクチュエータダイヤフラム248として存在している。EAPアクチュエータダイヤフラム248はバネ付勢され、電場を加えたとき、ディスプレイスクリーンを駆動することができる。図に示すように、このEAPアクチュエータダイヤフラム248は、対向するEAP膜をバネの左右に有する。この構成において、EAPアクチュエータダイヤフラム248の両側を活性化することによって、アセンブリが中立点に固定される。EAPアクチュエータダイヤフラム248は、人間の腕の動きを制御する対向している二頭筋および三頭筋のように作動する。図示していないが、米国特許出願No,11/085,798およびNo,11/085,804に説明されているように、アクチュエータダイヤフラム248は、二相出力アクションを提供するために、および/または、より丈夫なアプリケーションでの使用に対して出力を増幅するために、積み重ねることができる。
【0043】
図6Aおよび図6Bは、ユーザインターフェース230の別の実施形態を示している。このユーザインターフェース230は、複数のポイントまたは複数の接地要素252に、ディスプレイ232とフレーム234との間に連結されたEAP膜またはフィルム242を設けて、EAPフィルム242にコルゲーションまたは折り目を提供する。図6Bに示すように、EAPフィルム242への電場の印加は、コルゲーションの方向への変位を引き起こし、フレーム234に対してディスプレイスクリーン232を偏向させる。ユーザインターフェース230には、任意に、ディスプレイ232とフレーム234との間に連結された付勢バネ250、および/または、ディスプレイスクリーン232の一部分(あるいは全部)を覆う柔軟保護膜240を設けることができる。
【0044】
上述の概略的に説明された図は、EAPフィルムまたは変換器を用いる触知性フィードバック装置の典型的な構造を説明している。多くの実施形態がこの開示の範囲内にあり、例えば、この装置の実施形態において、スクリーンアセンブリまたはパッドアセンブリ全体ではなく、センサプレートまたはセンサ要素(例えば、ユーザ入力で作動して、信号をEAP変換器に提供するもの)だけが動くようにEAP変換器を実施することができる。
【0045】
どんなアプリケーションにおいても、EAP膜によるディスプレイスクリーンまたはセンサプレートのフィードバック変位は、側方運動として感知される面内のみに、または、(垂直方向の変位として感知される)面外に存在することができる。また、プレート要素の角度変位または他のタイプの変位の組み合わせをもたらすために、EAP変換器材料は、単独で指定可能なセクション/動かせるセクションを提供するための部分に分けることもできる。さらに、(上記リストの出願および特許に開示されているような)多くのEAP変換器またはフィルムは、本願明細書に記載されているユーザインターフェースデバイスに組み込むことができる。
【0046】
本願明細書に記載されている装置の実施形態は、この装置のセンサプレート(またはディスプレイスクリーン)全体が触知性フィードバック要素として作動することを可能にする。これは、広範囲な多用途性を可能にさせる。例えば、事実上、スクロールホイールの機械的戻り止めをシミュレートするために、仮想キーストロークに反応して、もう1度スクリーンが弾む、あるいは、スクリーン上のスライドバー等のスクロール要素に反応して、スクリーンが連続した弾みを出力することができる。制御システムを使用することで、スクリーン上のユーザの指の正確な位置を読みとることにより3次元アウトラインを統合し、それに応じて、スクリーンパネルが3次元構造をシミュレートするよう動くことができる。十分なスクリーン変位およびスクリーンの有効質量が得られると、スクリーンの繰り返される振動が、携帯電話のバイブレーション機能に取って代わることもできる。このような機能は、テキストのブラウジングに適用することもできる。テキストの一行を(垂直に)スクロールすることは、触知性「バンプ」により表現され、戻り止めをシミュレートしている。ビデオゲームをするという状況では、本発明は、従来のビデオゲームシステムに用いられている振動モータを振動させることに対して、増大した双方向性とより細かいモーション制御を提供する。タッチパッドの場合では、特に、視覚障害者に対して、物理的合図によって、ユーザの双方向性およびアクセス可能性を改良できる。
【0047】
EAP変換器は、印加電圧に対して変位するよう構成することもでき、本発明の触知性フィードバック装置とともに用いられる制御システムのプログラミングを容易にする。例えば、ソフトウェアアルゴリズムは、ピクセルグレイスケールをEAP変換器変位に変形することができる。そのため、スクリーンカーソルの先端の下のピクセルグレイスケール値が連続して測定され、EAP変換器によって比例する変位に移動される。手をタッチパッド上で滑らせることによって、大まかな3Dテクスチャを感じる、または、感知することができる。同様のアルゴリズムをウェブページ上に適用することもできる。指がアイコン上を動いたとき、ページテクスチャにおけるバンプ、あるいは、ブザーボタンとして、アイコンの境界がユーザにフィードバックされる。これは、通常のユーザに対して、ネットサーフィンをしている間ずっと、全く新しい感覚経験を提供するであろうし、視覚的障害者に対して、欠くことのできないフィードバックをもたらすであろう。
【0048】
EAP変換器は、多くの理由により上記アプリケーションに最適である。例えば、重量が軽く、構成要素が最低限であるので、EAP変換器は非常に薄いプロファイル(外形)を提供し、それ故、感覚/触覚フィードバックのアプリケーションにおける使用に適している。
【0049】
図7Aおよび図7Bは、EAPフィルム構造体またはEAP膜10構造体の一例を示している。薄膜誘電性エラストマーフィルムまたは層12は、柔軟電極プレートまたは柔軟電極層14,16、あるいは、伸縮性電極プレートまたは伸縮性電極層14,16の間に挟まれており、容量性構造体または容量性フィルムを形成している。この誘電性層の長さ「l」と幅「w」(および合成構造体の誘電性層の長さ「l」と幅「w」)は、その厚さ「t」よりもはるかに大きい。一般に、上記誘電性層は、約10μmから約100μmの範囲内の厚さを有し、構造体の厚さ合計は、約15μmから約10cmの範囲内にある。加えて、電極14,16の弾性係数、厚さ、および/または微小形状を以下のように選択することが望ましい。すなわち、それらがアクチュエータにもたらす付加剛性が、ほとんどの場合、誘電性層12の剛性未満であり、比較的低い弾性係数(つまり、約100MPa以下であり、より一般的には、約10MPa以下である)を有するが、誘電性層12が各々の電極よりもおそらく厚くなるように選択する。これらの柔軟容量性構造体と共に用いるのに適している電極は、機械的疲労による破損を除いて、約1%以上の繰り返し使用による歪みに耐えることができるものである。
【0050】
図7Bに示すように、電圧を電極に印加すると、2つの電極14,16の異なる電荷が互いに引きつけられて、これらの静電引力が誘電性フィルム12を(Z軸に沿って)圧迫する。その結果、誘電性フィルム12は、電場の変化と共に偏向させられる。電極14,16は柔軟性であるので、誘電性層12と共に形状を変える。一般的に言えば、偏向は、誘電性層12の一部分の変位、膨張、収縮、ねじれ、線形歪みまたは領域歪み、あるいは他の変形を言う。例えば、容量性構造体10が使用されているフレーム(正確には「変換器」と呼ばれる)の構造に応じて、この偏向は、力学的仕事を作り出すよう用いられ得る。種々の異なる変換器構造体が、上記に開示され記載されている。
【0051】
電圧を印加すると同時に、機械的力が偏向を推し進める静電力と釣合うまで、変換器フィルム10は偏向し続ける。この機械的力は、誘電性層12の弾性的復元力、電極14,16の柔軟性または伸縮、装置により提供された外部抵抗、および/または変換器10に連結された荷重を含む。印加された電圧の結果として起こる変換器10の歪みはまた、エラストマー材料の誘電率、サイズ、剛性等、多くの他の要素に依存することもできる。電圧差および誘導された電荷の除去は、反対の効果をもたらす。
【0052】
一実施形態において、電極14,16は、誘電性フィルム12の全エリアに対して限定された一部分を覆うことができる。これは、誘電性層のエッジ周りの電気絶縁破壊を防ぐため、あるいは、ある一部におけるカスタマイズされた偏向を実現するために成される。活性領域外部の誘電性材料(後者は、誘電性材料の一部であり、この誘電性材料は、この一部の偏向を可能にするのに十分な静電力を有している)は、偏向中に活性領域の外部バネ力として機能することができる。すなわち、活性領域外部の誘電性材料は、その膨張または収縮による活性エリアの偏向に耐える、あるいは、この偏向を強めることができる。
【0053】
上記誘電性フィルム12は、予め歪ませることができる。この予歪みは、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの間の変換を改善する。すなわち、上記予歪みによって、誘電性フィルム12がより偏向して、より大きな機械的エネルギーを提供できるようにする。フィルムの予歪みは、予歪みする前の一方向の寸法と比較した、予歪みした後の一方向の寸法変化として説明することができる。予歪みは、誘電性フィルムの弾性偏向を含むことができ、例えば、フィルムをピンと伸ばすことによって、そして、伸ばしている間に1以上のエッジを固定することによって形成され得る。予歪みは、フィルムの境界において、あるいは、フィルムの一部分に対して与えることができ、そして、剛性フレームを用いることによって、あるいは、フィルムの一部分を補強することによって実施することができる。
【0054】
図7Aおよび図7Bの変換器構造体、他の類似の柔軟構造体、およびこれらの構造体の詳細は、本願明細書に開示された多くの参照特許および刊行物にさらに十分に記載されている。
【0055】
上述のEAPフィルムに加えて、感覚または触覚フィードバックユーザインターフェース装置は、側方運動を作り出すよう設計されたEAP変換器を備えることができる。例えば、個々の部品には、図8Aおよび図8Bに示されるように上から下に、アクチュエータ30が含まれている。このアクチュエータ30には、弾性フィルム形状の電場応答性高分子(EAP)変換器10を設けており、(上述のように)電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する。もたらされる機械的エネルギーは、出力部材の物理的「変位」、ここではディスク28の物理的変位の形で存在する。
【0056】
図9A−図9Cに関して、EAP変換器フィルム10は、2つのワーキングペアとしての薄膜弾性電極32a,32b,34a,34bを備え、各々のワーキングペアは、エラストマー誘電性高分子の薄層26(例えば、アクリレート、シリコーン、ウレタン、熱可塑性エラストマー、炭化水素ゴム、フルオロエラストマー等で作られている)により仕切られている。各々のワーキングペアの逆帯電した電極に(すなわち、電極32aと電極32bに、そして、電極34aと電極34bに)電圧差を与えると、対向する電極は互いに引きつけ合い、その結果、それらの間で誘電性高分子26を圧迫する。これらの電極が互いにより接近するよう引き合うので、平面方向に広がる(すなわち、x軸とy軸成分が大きくなる)ように、誘電性高分子26はより薄くなる(すなわち、z軸成分が収縮する)(軸については、図9Bと図9C参照)。さらに、各々の電極に与えられた同種の電荷は、この電極内に組み込まれた導電性素粒子を互いに反発させ、その結果、弾性電極および誘電性フィルムの伸長の一因となる。そのため、誘電性層26は、電場の変化と共に偏向される。電極材料もまた柔軟であるので、電極層は誘電性層26と共に形状を変える。一般的に言えば、偏向は、誘電性層26の一部のあらゆる変位、膨張、収縮、ねじれ、線形歪みまたは領域歪み、あるいは他の変形を言う。この偏向は、機械的仕事を作り出すために用いることができる。
【0057】
組立変換器20において、弾性フィルムは、2以上の対向している剛性フレーム面8a,8bによって予め歪ませられた状態で引き伸ばされ、保持されている。四辺を持つフレームを用いている実施形態の場合、フィルムは二軸方向に引き伸ばされる。予歪みは、高分子層26の誘電力を改善することが報告されているので、電気エネルギーと機械的エネルギーとの間の変換を改善する。すなわち、予歪みは、上記フィルムがより偏向して、より大きな機械的エネルギーをもたらすことを可能にする。一般的に、電極材料は、高分子層を予歪みさせた後に取り付けられるが、事前に取り付けることもできる。高分子層26の同じ側に設けられている2つの電極(ここでは同じ側の電極ペア、すなわち、誘電性層26の上側26aの電極32aおよび電極34a(図9B参照)と、誘電性層26の下側26bの電極32bおよび電極34b(図9C参照)のことを言う)は、不活性領域または不活性ギャップ25によって互いに電気的に絶縁されている。上記高分子層の反対側に設けられている対向電極は、2セットのワーキング電極ペア(つまり、一方のワーキング電極ペアとしての電極32aおよび電極32bと、他方のワーキング電極ペアとしての電極34aおよび電極34b)から構成されている。各々同じ側の電極ペアが同じ極性であると同時に、それぞれのワーキング電極ペアの電極の極性が互いに反対であるのが好ましい。つまり、電極32aおよび電極32bと、電極34aおよび電極34bとがそれぞれ逆に帯電されているのが好ましい。各々の電極は、電源(図示せず)に電気的に接続するために構成される電気的接触部35を有する。
【0058】
図示された実施形態において、各々の電極は半円形状を有し、誘電性層26のそれぞれの側に固定した出力ディスク20a,20bを中央に配置するため、同じ側の電極ペアが略円状を画定する。ディスク20a,20b(機能は、以下で述べる)は、高分子層26の中央に配置された外部表面26a,26bに固定され、その間に高分子層26を挟む。上記ディスクと上記フィルムとの間の連結(カップリング)は、機械的に、または、接着ボンドにより提供することができる。一般的に、ディスク20a,20bは、変換器フレーム22a,22bに関連した大きさにすることができる。より具体的に言うと、上記ディスク直径のフレーム内環径に対する比は、変換器フィルム10に加えられたストレスを適切に与えるために、上述のようにできる。ディスク直径のフレーム内環径に対する比が大きくなればなるほど、フィードバック信号およびフィードバック動作の力がより大きくなるが、ディスクの直線変位はより小さくなる。また、ディスク直径のフレーム内環径に対する比が小さくなればなるほど、出力がより小さくなるが、ディスクの直線変位はより大きくなる。
【0059】
電極構造に応じて、変換器10は、単相モードまたは二相モードのいずれも機能可能にすることができる。この構成された方法において、上述の本発明の感覚フィードバック装置の出力部(すなわち、2つの連結されたディスク20a,20b)の機械的変位は、垂直方向というよりはむしろ横方向である。言い換えれば、上記感覚フィードバック信号は、ユーザインターフェースのディスプレイ表面232に垂直方向の力であると共に、ユーザの指38により加えられた入力する力(図10の矢印60aにより示されている)に平行方向(であるが反対方向すなわち上方向)の力である。本発明の感覚/触覚フィードバック装置の感知されたフィードバック力または出力する力(図10の両矢印60bにより示されている)は、ディスプレイ表面232に平行、かつ、入力する力60aに垂直な方向である。変換器10の面に対して垂直な軸についての電極ペアの回転に関する配置に応じて、そして、変換器を作動するディスプレイ表面232モード(すなわち、単相または二相)の位置に対して、上記横方向の動作は、360度内のどんな(複数の)方向でも可能である。例えば、横方向のフィードバックモーションは、ユーザの指(または掌またはグリップ等)の順方向に対して、左から右または上から下(両方とも二相作動である)にすることができる。触覚フィードバック装置の接触表面に対して横方向または垂直方向のフィードバック変位をもたらす特定のアクチュエータ構造であると、当業者が認識すると同時に、このように構成された装置の外形全体は、上述の設計よりも大きくすることもできる。
【0060】
図9D−図9Gは、電場応答性高分子のアレイ(array)の一例を示している。この電場応答性高分子アレイは、装置のディスプレイスクリーンの至る所に配置することができる。この例において、EAPフィルムアレイ200(図9F参照)の電圧側200aおよび地面側200bは、それぞれ、本発明の触知性フィードバック装置で使用するためのEAPアクチュエータアレイに使用されている。フィルムアレイ200は、スペースと出力効率と簡単な制御回路とを増加させるためのマトリクス構造で提供される電極アレイを有している。EAPフィルムアレイの高電圧側200aには、電極パターン202を設けている。この電極パターン202は、誘電性フィルム208材料上で(図9Dに示されている視点によれば)縦に走っている。各々のパターン202には、高電圧線のペア202a,202bを設けている。このEAPフィルムアレイの向かい側つまり地面側200bには、高電圧電極に対して横方向に、つまり、水平に走っている電極パターン206を設けている。
【0061】
それぞれの電極パターン206は、アースラインのペア206a,206bを有している。対向する高電圧線およびアースラインの各々のペア(高電圧線202aおよびアースライン206aと、高電圧線202bおよびアースライン206b)は、個別に活性化可能な電極ペアを設け、対向する電極ペアの活性化が、矢印212に示されている方向に二相出力モーションをもたらすようにする。組み立てられたEAPフィルムアレイ200(誘電性フィルム208の上側と下側で交差している電極パターンを示している)を図9FにおけるEAP変換器222のアレイ204の分解図内に示し、図9Gにその組み立てられた形状を示している。EAPフィルムアレイ200は、対向しているフレームアレイ214a、214bの間に挟まれていて、オープン領域内の中央に配置された出力ディスク218によって定められた2つのアレイそれぞれの中に、各々独立したフレームセグメント216を設けている。フレーム/ディスクセグメント216と電極構造のそれぞれの組み合わせが、EAP変換器222を形成する。このアプリケーションと望ましいアクチュエータのタイプ次第で、要素の追加の層を変換器アレイ204に加えることができる。変換器アレイ220は、例えば、ディスプレイスクリーン、センサ表面、またはタッチパッド等のユーザインターフェースアレイに全て組み込むことができる。
【0062】
単相モードにおいて感覚/触覚フィードバック装置2を作動する場合、アクチュエータ30の電極の一のワーキングペアだけがどの時点においても作動する。アクチュエータ30の単相作動は、単独の高電圧電源を用いて制御される。選択された一のワーキング電極ペアに印加された電圧が増加するので、変換器フィルムの活性部分(半分)が拡大し、その結果、変換器フィルムの非活性部分の方向の面内に出力ディスク20を動かす。図11Aは、単相モードにおいて2つのワーキング電極ペアを交互に作動する場合の、ニュートラルポジションに対するアクチュエータ30の感覚フィードバック信号(すなわち、出力ディスク変位)の力およびストロークの関係を示す。図に示すように、出力ディスクのそれぞれの力と変位は、互いに等しいが、反対方向である。図11Bは、単相モードにおいて作動する場合の、印加電圧とアクチュエータの出力変位の現れた非直線関係とを示している。共通の誘電性フィルムを経由する2つの電極ペアの「機械的」カップリングは、出力ディスクを反対方向に動かすこと等をすることができる。したがって、両方の電極ペアが作動されたとき、互いに独立しているが、第1ワーキング電極ペア(相1)への電圧の印加は、ある一方向に出力ディスク20を動かし、第2ワーキング電極ペア(相2)への電圧の印加は、上記ある一方向とは反対の方向に出力ディスク20を動かす。図11Bの種々のプロットは反射し、電圧は直線的に変化するので、アクチュエータの変位は非直線である。変位中の出力ディスクの加速度はまた、触覚フィードバック効果を強化するための2つの相の同期稼動を通して制御できる。上記アクチュエータはまた、2以上の相に区切ることができる。この2以上の相は、出力ディスクのより複雑な動きを可能にするために独立して作動することができる。
【0063】
出力部材または出力要素のより大きな変位をもたらすために、そして、ユーザにより大きな感覚フィードバック信号を提供するために、アクチュエータ30は、二相モード、つまり、アクチュエータの両部分を同時に活性化して作動される。図11Cは、アクチュエータが二相モードで稼動する場合の、出力ディスクの感覚フィードバック信号の力およびストロークの関係を示している。図に示すように、このモードにおけるアクチュエータの2つの部分32,34の力およびストロークの両方ともが同じ方向で、単相モードで稼動する場合のアクチュエータの力およびストロークと比べて、2倍の大きさを持つ。図11Dは、二相モードで作動したときに、印加電圧とアクチュエータの出力変位のもたらされる直線関係を示している。アクチュエータの機械的に連結された部分32,34を電気的に連続して接続し、かつ、例えば図13のブロック図に示されている方法等の共同ノード55を制御することによって、共同ノード55の電圧と(いかなる構造であれ)出力部材の変位(またはブロックされた力)との間の関係は、直線的相関関係に近づく。この動作モードにおいて、アクチュエータ30の2つの部分32,34の非直線電圧レスポンスは、事実上、直線電圧レスポンスを作り出すために互いに打ち消し合う。制御回路44とスイッチアセンブリ46a,46bとを、アクチュエータの各々の部分に対して1つ使用するので、この直線的関係は、制御回路によりスイッチアセンブリに供給される可変型の波形を用いることによって、アクチュエータの性能を向上させ、かつ、変調させることを可能にする。回路40を用いる他の利点は、感覚フィードバック装置を稼動するために必要とされるスイッチ回路と電源の多くを減らすことができることである。回路40を使用しなければ、2つの独立電源と4つのスイッチアセンブリが必要となるであろう。したがって、制御電圧とアクチュエータ変位との間の上記関係が改善される、つまり、より直線状になると同時に、上記回路の複雑性とコストを減らす。他の利点は、二相モードで作動中に、アクチュエータが、性能を低下させる可能性がある遅延を取り除く共時性を得ることである。
【0064】
図12A−図12Cは、二相電場応答性高分子変換器の異なる実施形態を示している。この実施形態において、変換器10は、誘電性フィルム96に関する第1電極ペア90と、誘電性フィルム96に関する第2電極ペア92とを備えている。この2つの電極ペア90,92は、運動を移すために他の構造体へ連結することを容易にするバーまたは機械的部材94を間にして向かい合っている。図12Aに示されるように、両電極90,92は、同じ電圧である(例えば、両方ともゼロ電圧である)。第1段階において、図12Bに示されるように、一方の電極ペア92が誘電性フィルムを広げるよう電圧を加えられ、距離Dまでバー94を動かす。もう1つの電極ペア90は、誘電性フィルムに接続されているという性質により圧迫されるが、ゼロ電圧である。図12Cは、電圧がもう1つの電極ペア90に印加されている間、最初の電極ペア92の電圧が低減または止められる第2段階を示している。この第2段階は、変位がDの2倍であるように第1段階と同期する。図12Dは、径時的な図12A−図12Cの変換器の変位を示している。図示のように、最初の電極92が第1段階で電圧を印加されたときに、バー94がDまで変位するように、第1段階が発生する。T1において、第2段階が始まり、対向電極90には、最初の電極92の電圧の減少と同期して電圧が印加される。これら2つの段階を通じたバー94の正味変位は、2×Dである。
【0065】
要求される感覚フィードバック60b(図10参照)をもたらすため、ユーザが提供している入力される力60aを伝達するために、様々な種類のメカニズムを使用することができる。例えば、容量センサまたは抵抗センサ50(図13参照)は、ユーザインターフェースパッド4内に収納することができ、ユーザにより入力されたユーザ接触表面上で働く機械的力を感知する。センサ50からの電気的出力は、順にスイッチアセンブリ46a,46bを順に動作させる制御回路44に供給され、この制御回路44により提供されたモードと波形に従って、電源42から感覚フィードバック装置のそれぞれの変換器部分32,34に電圧を印加する。
【0066】
本発明の他の実施形態は、EAPアクチュエータの気密シーリングを含み、EAPフィルム上で起こる湿気または結露のいかなる影響をも最小化する。上述の種々の実施形態に関して、EAPアクチュエータは、触知性フィードバック装置の他の要素から独立して、防護フィルムで実質的にシールされている。防護フィルムまたは防護ケーシングは、ホイル等から作ることができ、シールされたフィルム内への水分の漏出を最小化するため、熱密封等されるのが好ましい。防護フィルムまたは防護ケーシングの一部は、柔軟材料から作ることができ、ケーシング内部のアクチュエータをケーシング外部のポイントに改良された機械的な連結をすることを可能にする。これら装置の実施形態の各々は、アクチュエータの出力部材のフィードバックモーションを、ユーザ入力表面、例えば、キーパッドの接触表面に連結することを可能にすると同時に、密封してシールされたアクチュエータパッケージが危険にさらされることを最小限にする。
【0067】
アクチュエータのモーションをユーザインターフェース接触表面にカップリングするための様々な一般的な手段がまた、提供される。手順に関して、本発明の方法は、記載されている装置の使用と関連があるメカニカルおよび/またはアクティビティのそれぞれを含むことができる。というわけで、記載された装置の使用についての黙示的な手順は、発明の一部を形成する。その他の方法は、上記装置の製造に注目する。
【0068】
図14Aは、ユーザ入力装置190と連結したEAPアクチュエータ204の平面アレイ(array)の一例を示している。図に示されるように、EAPアクチュエータ204のアレイは、スクリーン232の一部に覆われ、支持棒256を介して装置190のフレーム234と連結している。この実施形態において、支持棒256は、アクチュエータ204およびスクリーン232の動作に対するクリアランスを可能にする。装置190の一実施形態において、アクチュエータ204のアレイは、要求されるアプリケーションに応じて、ユーザインターフェースまたはスクリーン232に隠れる複数の別々のアクチュエータまたはアクチュエータのアレイにすることができる。図14Bは、図14Aの装置190の下方から見た斜視図を示している。矢印254により図に示されるように、EAPアクチュエータ204は、スクリーン232に垂直な方向への動きの代用として、あるいは、スクリーン232に垂直な方向への動きと組み合わせて、軸に沿ったスクリーン232の動きを可能にする。
【0069】
ここまで説明した変換器/アクチュエータの実施形態は、EAP変換器フィルムの活性領域(つまり、重なった電極を含んでいる領域)と非活性領域の両方に連結された不動態層を有する。この変換器/アクチュエータが、また、剛性出力構造体を用いている場合、この構造体は、活性領域の上に存在する不動態層領域の表面に配置されている。また、これらの実施形態の活性領域/活性可能領域は、非活性領域に対して中央に配置されている。本発明はまた、他の変換器/アクチュエータ構造を有することができる。例えば、不動態層が、活性領域のみ、あるいは、非活性領域のみを覆うこともできる。さらに、EAPフィルムの非活性領域が、活性領域に対して中央に配置することもできる。
【0070】
図15Aおよび図15Bを参照すると、本発明の一実施形態に従って電気エネルギーを機械的エネルギーに変換するための、表面が変形したEAPアクチュエータの略図が提供される。アクチュエータ10は、EAP変換器12を備え、このEAP変換器12は、薄膜エラストマー誘電性高分子層14と、上部電極16aおよび下部電極16bとを有している。この上部電極16aおよび下部電極16bは、誘電性高分子層14の上面および下面の一部にそれぞれ取り付けられている。この誘電性高分子層と少なくとも2つの電極を有している変換器12の一部は、活性領域として本明細書に言及されている。本発明のいかなる変換器も1以上の活性領域を設けることができる。
【0071】
重なり、逆帯電した電極16a,16bに、電圧差を与えると(活性領域)、対向する電極は互いに引き付けあい、それらの間で誘電性高分子層14の一部を圧迫する。電極16a,16bが互いにより近づくように(z軸に沿って)引き寄せられるので、電極の間の誘電性層14の一部は、平面方向に伸びるように(x軸とy軸に沿って)より薄くなる。非圧縮性高分子(つまり、圧迫下で略一定ボリュームを有している高分子)、あるいは、フレームにおけるその他の圧縮性高分子等に対して、このアクションは、活動領域(つまり、電極で覆われている領域)の外側(特に、この活性領域のエッジについての周辺部(すなわち活性領域のエッジのすぐ近くの周囲))の柔軟誘電性材料を厚さ方向(変換器フィルムにより定められた面に直交する)の面外に変位あるいは膨れ上がらせる。この膨らみが、誘電性表面特性24a,24b,24c,24dを作り出す。面外の表面特性24は、活性領域に対して比較的ローカルに示されている一方で、図示されているように常にローカライズされているわけではない。ある場合において、高分子が予歪みする場合、この表面特性24a,24bは、誘電性材料の非活性部分の表面領域を超えて与えられる。
【0072】
本発明の変換器の表面特性の鉛直プロファイルおよび/または鉛直視程を増幅するために、変換器フィルム構造の片側または両側に加えることができ、不動態層がEAPフィルム構造体の全てまたは一部を覆う。図15Aおよび図15Bのアクチュエータの実施形態において、上部不動態層18aおよび下部不動態層18bは、それぞれ、EAPフィルム12の上側および下側に取り付けられている。アクチュエータの活性化およびもたらされる誘電性層12の表面特性17a,17b,17c,17dは、図15Bの参照番号26a,26b,26c,26dに示されているように、追加された不動態層18a,18bの厚さにより増幅される。
【0073】
隆起した高分子/不動態層の表面特性26a,26b,26c,26dに加えて、EAPフィルム12は、一方または両方の電極16a,16bが誘電性層の厚さよりも下に押し下げられるように構成することができる。そのため、押圧された電極またはその部分が、EAPフィルム12の作動およびもたらされる誘電性材料14の撓みに関する電極の表面特性をもたらす。電極16a,16bは、カスタマイズされた変換器フィルムの表面特性を作り出すために形成され、あるいは、設計される。この表面特性は、高分子の表面特性、電極の表面特性および/または不動態層の表面特性を含むことができる。
【0074】
図15Aおよび図15Bのアクチュエータの実施形態において、1以上の構造体20a,20bは、柔軟不動態スラブと剛性機械的構造体との間の仕事の結合を容易にし、アクチュエータの仕事出力に向かわせ易くするために設けられる。この実施形態では、上部構造体20a(プラットホーム、バー、レバー、ロッド等の形状にできる)が、出力部材としての機能を果たすと同時に、下部構造体20bが、アクチュエータ10を地面等の固定構造体または剛性構造体22に連結する働きをする。これらの出力構造体は、個々の要素である必要はないが、むしろ、アクチュエータを駆動することを目的としている構造体と統合あるいは一体化することができる。構造体20a,20bはまた、不動態層18a,18bによって形成された表面特性26a,26b,26c,26dの周辺の長さまたは形状を定める働きをする。図示されている実施形態において、集合アクチュエータの積み重ねが、アクチュエータの非活性部分の厚さの増加を作り出す間、図15Bに示すように、作動状態のアクチュエータによって受ける高さΔhの正味変化は、マイナスである。
【0075】
本発明のEAP変換器は、望ましい厚みモードでの作動を提供するためのどんな適切な構造体でも備えることができる。例えば、より複雑なアプリケーションで用いる変換器を製造するために、1以上のEAPフィルム層を用いることができる。上記アプリケーションは、例えば、統合された感知機能を有するキーボードキー等で、追加のEAPフィルム層を容量性センサとして用いることができる。
【0076】
図16Aは、本発明に従った2重のEAPフィルム層34を有する積層変換器32を用いているアクチュエータ30を示している。この2重の層は、2つの誘電性エラストマーフィルムを有し、これらの誘電性エラストマーフィルムは、上部電極34bと下部電極34cとの間にそれぞれ挟まれた上部フィルム34aと、上部電極36bと下部電極36cとの間にそれぞれ挟まれた下部フィルム36aとから成る。導電性トレースまたは導電性層(一般的には、「バスバー」と呼ばれる)のペアは、電源の高電圧側または地面側に電極を連結するために設けられる(後者は図示せず)。上記バスバーは、それぞれのEAPフィルムの「非活性」部分(つまり、上部電極と下部電極が重ならない部分)に配置されている。上部バスバー42aおよび下部バスバー42bは、誘電性層34aの上側と下側にそれぞれ配置されていて、上部バスバー44bおよび下部バスバー44aは、誘電性層36aの上側と下側にそれぞれ配置されている。誘電性層34aの上部電極34bおよび誘電性層36aの下部電極36c(すなわち、2つの外側対向電極)は、一般的に、導電性エラストマービア68b(図16B参照)を通って、バスバー42a、44aの相互カップリングによって分極化する。この導電性エラストマービア68bの形成は、図17A−図17Dに関して、以下により詳細に記載されている。誘電性層34aの下部電極34cおよび誘電性層36aの上部電極36b(すなわち、2つの内側対向電極)もまた、一般に導電性エラストマービア68a(図16B参照)を通って、バスバー42b、44bの相互カップリングによって分極化する。封止材料66a,66bは、ビア68a,68bをシールするために用いられる。アクチュエータを作動する場合、それぞれの電極ペアの対向する電極は、電圧が印加されたときに共に引き付けられる。安全目的のため、接地電極は積層の外側に配置され、高電圧電極に至る前に、どんなピアーシングオブジェクトも接地するようにして、感電を廃絶する。2つのEAPフィルム層は、フィルム間接着剤40bにより合わせて接着することができる。この接着剤層は、任意に、性能を強化するために不動態層またはスラブ層を含むことができる。上部不動態層またはスラブ層50aおよび下部不動態層52bは、接着剤層40aおよび接着剤層40cにより変換器構造体に接着される。出力バー46a,46bは、接着剤層48a,48bによって、丁寧に、上部不動態層および下部不動態層にそれぞれ連結することができる。
【0077】
本発明のアクチュエータは、どんな適した数の変換器層をも用いることができる。この変換器層の数は、偶数でも奇数でもよい。後者の構造体において、1以上の一般的な接地電極およびバスバーを用いることができる。さらに、安全がそれほど問題とはならない場所では、特定のアプリケーションにより望ましい対応するために、高電圧電極を変換器積層の外側に配置することもできる。
【0078】
使用可能にするために、アクチュエータ30は、電気的に電源に連結され、電子機器を制御する(どちらも図示せず)必要がある。これは、アクチュエータの電気配線またはワイヤ、あるいは、PCB(プリント基板)の電気配線またはワイヤ、あるいは、フレックスコネクタ62を介して達成され、高電圧ビアおよび接地ビア68a,68bを電源または中間連結部に連結する。アクチュエータ30は、保護バリア材料にパッケージすることができ、湿気や環境汚染物質からアクチュエータ30を遮断する。ここでは、保護バリアには、上部カバー60と下部カバー64とを設けていて、PCB/フレックスコネクタ62についてシールされるが好ましく、外力、損傷および/または環境汚染からアクチュエータを保護する。一実施形態において、保護バリアは、気密シールを提供するために不浸透性にすることができる。上記カバーは、物理的ダメージに対してアクチュエータ30を保護するため多少剛性形状にしてもいいし、また、アクチュエータ30の作動変位に対して空間的な余裕を持たせるために柔軟にしてもよい。一実施形態において、上部カバー60は、フォームドフォイル(formed foil)からできていて、下部カバー64は、コンプライアントフォイル(compliant foil)からできている。また、反対に、上部カバー60をコンプライアントフォイルに、下部カバー64をフォームドフォイルにすることもできる。このとき、これらの2つのカバーは、ボード/コネクタ62に熱融着している。マテリアライズド高分子フィルム、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、アクリル、スチレン、オレフィン、共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン等の多くの他のパッケージ材料を用いることもできる。アクチュエータ出力を変換する出力構造または構造体(ここでは、バー46b)を覆うために柔軟材料が用いられる。
【0079】
本発明の積層アクチュエータ/変換器構造体の導電性要素/層(例えば、今説明したアクチュエータ30)は、一般的に、積層構造の中を通って形成される電気ビア(図16Bにおける68a、68b)によって連結される。図17a−図19は、上記ビアを形成するための本発明の様々な方法を示す。
【0080】
図16Bのアクチュエータに用いられているタイプの導電性ビアの形成は、図17A−図17Dを参照して記載されている。アクチュエータ70(ここでは、誘電性層74の非活性領域の向かい側に配置された、正反対に位置しているバスバー76a,76bを有するシングルフィルム変換器から構成されており、まとめて不動態層78a,78bの間に挟まれている。)が、PCB/フレックスコネクタ72に積層される前あるいは積層された後に、積層変換器/アクチュエータ構造体70は、図17Bに示されるように、ビアホール82a,82bを形成するため、PCBに向かって、その厚さ全体を貫いてレーザードリルで穴を開けられる(80)。機械的ドリリング、パンチング、モールディング、ピアーシング、コアリング等、ビアホールを作り出す他の方法を用いることもできる。ビアホールは、図17Cに示すように、例えば、シリコーンのカーボン粒子等の導電性材料と共に注入する等、適切な施工方法によって満たされる。次に、図17Dに示すように、導電的に満たされたビア84a,84bは、ビアの露出端を電気的に絶縁するため、任意に、シリコーン等のあらゆる適合する非導電性材料でポット(pot)される(86a,86b)。代わりに、非導電性テープを露出されたビア上に配置してもよい。
【0081】
アクチュエータを電源および電気機器に連結するためのPCBコネクタまたはフレックスコネクタの代わりに、標準電気配線を用いることができる。上記実施形態が有する電源への電気的ビアおよび電気的連結を形成する種々のステップは、図17A−図17Dと同じ構成要素およびステップを有し、同じ参照番号を有している図18A−図18Dに示されている。図18Aに示すように、バスバー84a,84bが届く範囲で、アクチュエータ厚さの範囲内の深度にのみ、ビアホール82a,82bにドリルで穴を開ける必要がある。このビアホールは、図18Bに示すように、次に導電性材料で満たされ、その後、リード線88a,88bが、図18Cに示すように、蓄積された導電性材料内に挿入される。導電的に満たされたビアとリード線は、その後、図18Dに示すように、覆ってポットすることもできる。
【0082】
図19は、本発明の変換器内の導電性ビアを提供する別のマナーを示す。変換器100は、電極106aと電極106bとの間に挟まれた部分を持つ誘電性層104を有する誘電性フィルムを備え、この誘電性フィルムは、同様に、不動態高分子層110aと不動態高分子層110bとの間に挟まれている。導電性バスバー108は、EAPフィルムの非活性領域上に設けられている。ピアーシング構造を持つ導電性コンタクト114は、手動でもその他方法でも、バスバー材料108を貫く深度まで変換器の一方の面に打ち込まれる。導電性トレース116は、ピアーシングコンタクト114の露出端からPCB/フレックスコネクタ112に沿って広がる。ビアを形成するこの方法は、ビアホールにドリルで穴を開けるステップ、ビアホールを満たすステップ、ビアホールに導電性ワイヤを配置するステップ、ビアホールをポットするステップを排除するので、特に効率的である。
【0083】
本発明の厚みモードのEAP変換器は、適切な構造体および表面特性のプレゼンテーションを有する様々なアクチュエータのアプリケーションの使用に適している。図20A−図24は、典型的な厚みモード変換器/アクチュエータのアプリケーションを示している。
【0084】
図20Aは、厚みモード変換器120を示している。この変換器120は、円形の構造体を備え、キーボード、タッチスクリーン、電話等の装置にユーザが物理的に接触する、触知性または触覚フィードバックのアプリケーションに用いるためのボタンアクチュエータに適している。変換器120は、薄膜エラストマー誘電性高分子層122と、上部電極124aと、下部電極124b(下部電極パターンは、透視で示す)とから形成され、図20Bの単独図に最もよく示されている。電極パターン124の各々には、柄部125に、同心円状に形成されている複数の反対方向に広がる指状部127を設けている。これらの2つの電極の柄部は、円形の誘電性層122の反対側に、互いに正反対に配置され、これらのそれぞれの指状部は、図20Aに示すパターンを作り出すため、互いに並んで配置されている。本実施形態の対向電極パターンは、互いに同一かつ対称であるが、他の実施形態では、形状および/または占有する表面領域の量において、対向電極パターンは非対称の場合が考えられる。2つの電極材料が重ならない変換器材料の一部分が、変換器の非活性領域128a,128bを定める。電気コンタクト126a,126bは、変換器を電源および制御電子機器に電気的に連結するために(どちらも図示せず)、2つの電極のそれぞれの柄部の基礎に設けられる。変換器を活性化すると、対向電極の指状部は共に引き付けられて、その結果、それらの間で誘電性材料122を圧迫すると同時に、ボタンの周辺部について表面特性を形成するために、および/または、希望のボタンに対して内部に表面特性を形成するために膨らんでいる変換器の非活性領域128a,128bを圧迫する。
【0085】
このボタンアクチュエータは、シングル入力または接触表面の形式にすることができる、あるいは、複数の接触表面を有するアレイ形式で設けることができる。アレイの形式で構成されたとき、図20Aのボタン変換器は、図21に示されているように、例えば、コンピュータ、キーボード、電話、計算機等の様々なユーザインターフェース装置に対するキーパッドアクチュエータ130の使用に適している。変換器アレイ132は、相互接続した電極パターンの上部アレイ136aと、電極パターンの下部アレイ136b(透視で示す)とを含み、これらの2つのアレイは、説明されているような活性部分と非活性部分とを有する図20Aの同心変換器パターンを作り出すために、互いに対向している。キーボード構造は、変換器アレイ132の上に不動態層134を形成することができる。不動態層134は、キーボーダー138のような、それ自身の表面特性を有することができる。この表面特徴は、ユーザが、触知的にユーザ自身の指を個別のキーパッドに合わせることができるようにするために、および/または、活性時にそれぞれのボタンの周囲の膨隆をさらに増幅するために、不動態状態で隆起させることができる。キーが押されたとき、このキーが置かれた個々の変換器は、触知性感覚バックをユーザに提供するよう活性化され、上述の厚みモードの膨らみをもたらす。様々な変換器をこの方法で提供することができる。これらの変換器は、使用されているキーパッド134のタイプとサイズに適応させるために間隔を空けることもできる。上記変換器アレイに関する製造技術の例は、2008年6月27日に出願された米国特許出願No,12/163,553、発明の名称「感覚フィードバックアプリケーションに関する電場応答高分子変換器」に記載されていて、その内容のすべてを、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0086】
本発明の厚みモード変換器は、左右対称である必要がなく、どの構造体や形状にも取り入れることができるということを、当業者は十分理解するであろう。本発明の変換器は、あらゆる想像可能な新規アプリケーション(例えば、図22に示される新規なハンド装置140等)に用いることができる。人の手の形状の誘電性材料142には、同じ手の形状の上部電極パターン146aと下部電極パターン146b(下部電極パターンは、透視で示す)とを設けている。電極パターンの各々が、バスバー146a,146bにそれぞれ電気的に連結され、次に、電源および制御電子機器(どちらも図示せず)に電気的に連結される。ここでは、これらの対向電極パターンは、挟まれるというよりはむしろ、互いと一直線になっている、あるいは、互いの上にあり、活性領域と非活性領域を交互に作り出している。そのため、全体として対向電極パターンの内部エッジおよび外部エッジのみに隆起した表面特徴を作り出す代わりに、隆起した表面特徴が、ハンドプロファイル全体にわたって(つまり非活性領域上に)提供される。この例となるアプリケーションの表面特性は、触知性フィードバックというよりはむしろ視覚フィードバックを提供することができるということを示している。この視覚フィードバックは、カラーリング、反射材料等により強化できると考えられる。
【0087】
本発明の変換器フィルムは、一般にウェブベースの製造技術を用いることにより(特に、変換器電極パターンが同一または繰り返しである)効率よく製造されたマスであってもよい。図23に示されるように、変換器フィルム150は、連続ストリップフォーマットに設けることができる。この連続ストリップフォーマットは、連続上部電気バス15aと連続下部電気バス15bとを有し、これら連続上部電気バス15aおよび連続下部電気バス15bは、誘電性材料のストリップ152に正確に置かれている、あるいは、誘電性材料のストリップ152に形成されている。最も一般的には、厚みモードの特性は、別々である(つまり連続的ではない)が反復している活性領域158により定められ、この活性領域158は、それぞれのバスバー156a,156bに電気的に接続されている上部電極パターン154aと下部電極パターン154bとにより形成されている。このバスバー156a,156bのサイズ、長さ、形状およびパターンは、特定のアプリケーションについてカスタマイズすることができる。一方、(複数の)活性領域を連続パターンで設けるということも考えられる。電極パターンとバスパターンは、周知のウェブベースの製造技術によって形成可能で、そのとき個々の変換器は分離されている。また、電極パターンとバスパターンは、選択された分離線155に沿ってストリップ150をカットする等の周知技術によって形成することもできる。活性領域がストリップに沿って連続して設けられている場合には、このストリップは、電極がショートするのを避けるために、高度な精密さでカットされる必要があることが知られている。これらの電極のカット端は、ポッティング(potting)を必要とする可能性があり、または別の方法で、トラッキング問題を回避するため、後にエッチングされる可能性がある。このとき、バス156a,156bのカット終端は、もたらされるアクチュエータの作動を可能にするため、電源/制御源に連結される。
【0088】
分離中も分離後も、ストリップも分離されたストリップ部分も、複数層構造体を提供するために、他の変換器フィルムのストリップ部分をいくらでも積み上げることができる。このとき、積み上げられた構造体はラミネート加工することでき、望むなら、アクチュエータの剛性機械的要素(例えば出力バー等)に機械的に連結することもできる。
【0089】
図24は、本発明の変換器の別の実施形態を示している。この実施形態では、変換器160が、誘電性材料162のストリップで形成されており、このストリップに関して異なる側にある上部電極164aと下部電極164bとを有している。このストリップは、矩形パターンに配置され、オーペンエリア165を囲んでいる。これらの電極の各々は、電気的バス166a,166bでそれぞれ終端処理され、これらの電気的バスには、電源と制御電子機器(どちらも図示せず)に連結するための電気的接点168a,168bが設けられている。囲い込んだ領域165にわたって広がる不動態層(図示せず)は、環境保護および出力バー(図示せず)の機械的カップリングの両方に関して、変換器フィルムのどちらのサイドでも使用可能であるため、ガスケット構造を形成している。構成されているように、変換器の活性化は、変換器ストリップの内部周辺部および外部周辺部169に沿って表面特性を作り出し、活性領域164a,164bの厚さを減少させる。ガスケットアクチュエータは、連続する単一のアクチュエータである必要がないということに気が付くべきである。また、任意に、非活性柔軟ガスケット材料でシール可能な領域の周囲に線を引くために、1以上の個別のアクチュエータを用いることもできる。
【0090】
他のガスケットタイプアクチュエータは、上記の米国特許出願No,12/163,554に記載されている。これらのタイプのアクチュエータは、感覚(例えば、触覚または振動性)フィードバックアプリケーションに適している。この感覚フィードバックアプリケーションには、例えば、携帯用マルチメディア装置、医療器具類、キオスク、自動車計器パネル、玩具、その他新規な製品等のアプリケーションに対するタッチセンサプレート、タッチパッド、タッチセンサ等がある。
【0091】
図25A−図25Dは、本発明の厚みモードアクチュエータの一実施形態を用いているタッチスクリーンの断面図を示しており、4つの図面の間の同じ構成要素には、同じ参照番号を付与している。図25Aを参照すると、タッチスクリーン装置170は、一般的に、ガラス、プラスチック材料から作られているタッチセンサプレート174を備え、任意に、液晶ディスプレイ(LCD)172を有している。このタッチセンサプレート174および液晶ディスプレイ172は、共に積み重ねられていると共に、EAP厚みモードアクチュエータ180により間隔を空けられ、それらの間でオープンスペース176を画定している。この集合的積層構造体は、フレーム178により1つにまとめられている。アクチュエータ180は、誘電性フィルム層182により形成された変換器フィルムを有している。この誘電性フィルム層182は、電極ペア184a,184bによってアクチュエータ180の中心に挟まれている。そして、上記変換器フィルムは、上部不動態層186aと下部不動態層186bとの間に挟まれ、さらに、出力部材188a,188bのペアの間に挟まれている。これらの出力部材188a,188bのペアは、それぞれ、タッチプレート174およびLCD172に機械的に連結されている。図25Aの右側は、アクチュエータが非活性状態であるときのLCDおよびタッチプレートの相対的な位置を示している。一方、図25Aの左側は、アクチュエータが活性状態であるとき、すなわち、ユーザが矢印175の方向にタッチプレート174を押し下げるときのLCDおよびタッチプレートの相対的な位置を示している。図25Aの左側から明らかなように、アクチュエータ180を作動する場合、電極184a,184bは共に引き付けられ、その結果、誘電性フィルム182の一部をそれらの間で圧迫すると同時に、誘電性材料および活性領域外側の不動態層186a,186bの表面特性を作り出す。これらの表面特性は、出力ブロック188a,188bによりもたらされる圧縮力によりさらに強化される。そのため、上記表面特性は、矢印175の反対方向にタッチプレート174上のわずかな力を提供し、タッチプレートを押圧することに反応してユーザに触知性感覚を与える。
【0092】
図25Bのタッチスクリーン190は、図25Aのタッチスクリーンに類似の構造体であり、その違いは、矩形(または正方形等)形状の厚みモードアクチュエータ180で囲まれた内部領域内に、LCD172全てが存在する点である。そのため、装置が非活性状態であるときのLCD172とタッチプレート174との間のスペース176は(図の右側に示されているように)、図25Aの実施形態における間隔よりもはるかに小さく、その結果、より薄型の設計をもたらす。さらに、アクチュエータの下部出力構造体188bが、フレーム178の後壁178’に直接置かれている。これら2つの実施形態間の構造的差異に関係なく、装置190は、アクチュエータの表面特性がタッチプレートを押圧することに反応して矢印185の反対方向にわずかな触知性の力をもたらす、装置170と同様に機能する。
【0093】
今述べた2つのタッチスクリーン装置は、単一の方向に機能する単相装置である。2つ(あるいはそれ以上)の本発明のガスケットタイプアクチュエータは、図25Cにおけるような二相(二方向性の)タッチスクリーンを作り出すために縦に並べて用いることができる。装置200の構造体は、図25Bの装置の構造体と同様であるが、タッチプレート174上に置かれている第2厚みモードアクチュエータ180’をさらに備えている。これらの2つのアクチュエータおよびタッチプレート174は、内側に追加された拡張上部ショルダ178”を有するフレーム178によって、積み上げられた関連で保持されている。そのため、タッチプレート174が、アクチュエータ180,180’の最内部の出力ブロック188a、188b’のそれぞれの間に直接挟まれる一方、アクチュエータ180’の最外部の出力ブロック188b,188a’のそれぞれが、フレーム部材178’,178”のそれぞれを強化する。この囲い込まれたガスケットの配置は、ダストとデブリをスペース176内の光パスから遠ざける。ここでは、図25Cの左側は、活性状態の下部アクチュエータ180と非活性状態の上部アクチュエータ180’とを示していて、この図の左側では、センサプレート174は、矢印195の方向のLCD172に向かわせられている。反対に、図25Cの右側は、非活性状態の下部アクチュエータ180と活性状態の上部アクチュエータ180’とを示していて、この図の右側において、センサプレート174は、矢印195’の方向のLCD172から遠ざけられている。
【0094】
図25Dは、違った二相タッチセンサ装置210を示している。この二相タッチセンサ装置210は、タッチセンサプレートに対して直角に電極を配置している厚みモードストリップアクチュエータ180のペアを備えている。ここでは、タッチプレート174の二相または二方向動作は、矢印205で示されるように、面内にある。この面内動作を可能とするために、アクチュエータ180は、そのEAPフィルムの面がLCD172およびタッチプレート174の面に対して直角であるように配置される。このような位置を維持するために、アクチュエータ180は、フレーム178の側壁202と、タッチプレート174を置く内部フレーム部材206との間に保持されている。内部フレーム部材206が、アクチュエータ180の出力ブロック188aに取り付けられている間、この内部フレーム部材206とタッチプレート174とは、平面または水平な動作を可能にするために、外部フレーム178に対して「浮いて」いる。この構造体は、相対的にコンパクトかつ薄型の設計を提供する。なぜなら、この構造体は、タッチプレート174による二相面外動作に別の方法で必要と思われる追加の間隔を排除するからである。上記2つのアクチュエータは、二相動作に対して反対に働く。プレート174およびブラケット206の複合アセンブリは、アクチュエータストリップ180を、フレーム178の側壁202に対して軽度に圧縮した状態に維持する。一方のアクチュエータが活性状態であるとき、他方のアクチュエータが蓄積された圧縮力に起因して広がると同時に、一方のアクチュエータはさらに縮む(薄くなる)。これは、プレートアセンブリを活性状態のアクチュエータの方に動かす。このプレートは、第1アクチュエータの活性化を停止して、第2アクチュエータを活性化することにより反対方向に動く。
【0095】
図26Aおよび図26Bは、変換器の非活性領域が(複数の)活性領域に対して内部または中央に配置されている(つまり、EAPフィルムの中心部分は、重なる電極を持っていない)実施形態を示している。厚みモードアクチュエータ360は、電極層364a,364bの間に挟まれている誘電性層362を有するEAPフィルムを備えている。この厚みモードアクチュエータ360において、EAPフィルムの中央部分365は不動態であり、かつ、電極材料を有していない。このEAPフィルムは、上部フレーム部材366aおよび下部フレーム部材366bの少なくとも1つによりピンと張った、または、伸ばされた状態で保持され、全体として、カートリッジ構造を提供している。このEAPフィルムの不動態部分365の上側および下側の少なくとも一方のカバーは、不動態層368a,368bであり、任意の剛性制約、すなわち、その表面にそれぞれ取り付けられた出力部材370a,370bを設けている。活性時に(図26B参照)、カートリッジフレーム366によりEAPフィルムがその周囲で拘束されるので、EAPフィルムの圧縮によって、上述のアクチュエータの実施形態のように外側というよりはむしろ、矢印367a,367bにより示されるように、内側に向けてフィルム材料が後退する。圧縮されたEAPフィルムは、不動態材料368a,368bに影響を与え、その直径を縮小すると共に、その高さを増加させる。この構造の変化は、出力部材370a,370bにそれぞれ外向きの力を加える。先に説明したアクチュエータの実施形態と同様に、不動態的に連結されたフィルムアクチュエータは、複数相の作動を提供するために、および/または、アクチュエータの出力および/またはストロークを増加させるために、積層または平面的な関係で複数設けることができる。
【0096】
誘電性フィルムおよび/または不動態層材料を予歪みさせることによって、性能を強化できる。アクチュエータは、キーまたはボタン装置として用いることもでき、膜スイッチ等のセンサ装置を積み重ねる、あるいは、センサ装置と一体にすることもできる。下部出力部材または下部電極は、回路を完成させるため膜スイッチへの十分な圧力を提供するために用いることができ、また、下部出力部材が導電性層を有する場合、直接回路を完成させることもできる。キーパッドやキーボード等のアプリケーションに対するアレイに、複数のアクチュエータを用いることができる。
【0097】
米国特許出願No,2005/0157893に開示されている様々な誘電性エラストマーおよび電極材料は、本発明の厚みモード変換器の使用に適している。一般的に、誘電性エラストマーは、シリコーンゴムやアクリル等のあらゆる略絶縁性、柔軟性高分子を含んでおり、この高分子は、静電力に反応して変形する、あるいは、電場の変化により変形がもたらされる。適切な高分子を設計または選択することによって、最善の物質的、物理的、化学的特性を想定することができる。このような特性は、モノマー(どんなサイドチェインをも含む)、添加物、架橋結合度、結晶化度、分子質量等の賢明な選択により調整することができる。
【0098】
本明細書に記載した電極および使用に適した電極は、金属トレースおよび電荷分布層、テクスチャード加工電極、カーボングリースまたはシルバーグリース等の導電性グリース、コロイド懸濁液、導電性カーボンブラックまたはカーボン繊維またはカーボンナノチューブまたはグラフェンおよび金属ナノワイヤ等の高アスペクト比導電性材料、イオン結合した導電性材料の混合物を有する構造化された電極を含む。上記電極は、炭素を含んでいるエラストマーマトリクス等の柔軟な材料から作ることもできる。本発明はまた、金属電極および半剛直電極を用いることができる。
【0099】
本発明の変換器に使用するための例となる不動態層材料は、これに限定されないが、例えば、シリコーン、スチレンまたはオレフィン共重合体、ポリウレタン、アクリル、ゴム、ソフト高分子、ソフトエラストマー(ゲル)、ソフト高分子発泡体、または高分子/ゲルハイブリッドを含む。不動態層および誘電性層の相対的な弾性および厚さは、望ましい出力(例えば、所望の表面特性の正味厚さまたは薄さ)を達成するために選択され、この出力の応答が、直線的(例えば、不動態層厚さが、活性時に誘電性層の厚みに対して比例的に増幅する)、あるいは、非直線的(例えば、不動態層および誘電性層が、変動料率で薄くなる、または、厚みを増す)であるように設計できる。
【0100】
手順に関して、本発明の方法は、説明された装置の使用に関連付けられる機械および/または活動の各々を含むことができる。そのため、説明された装置の使用に対する間接的な手順は、本発明の一部を形成する。その他の方法は、このような装置の製造に焦点を当てることもできる。
【0101】
本発明の他の詳細に関しては、構造に関係のある材料および代替物は、この分野における当業者のレベルの範囲内で用いることができる。一般的にまたは必然的に用いられるような付加的な作用に関する本発明の方法ベースの態様に対して、同じことが当てはまり得る。さらに、本発明はいくつかの例や、任意に組み込む様々な特性に関して説明しているが、本発明のそれぞれの実施形態に関して記載され、あるいは、示されているものに限定されない。説明された本発明に対して、様々な変更をすることができ、等価物(本明細書に列挙されていようと、簡潔さのために含まれていなかろうと)は、本発明の真の目的および範囲から離れること無しに、置換することができる。示されたどんな数の個別の部品またはサブアセンブリも、それらの設計において一体にすることができる。このような変更その他は、アセンブリに対する設計の原則によって行われ、あるいは、導かれる。
【0102】
他の実施形態において、カートリッジアセンブリまたはアクチュエータ360は、振動するボタン、キー、タッチパッド、マウス、あるいは他のインターフェースにおける触覚反応の提供に使用するために適合させることができる。この実施形態において、アクチュエータ360の連結には、非圧縮性の出力形状を用いている。この実施形態では、出力形状にモールドされた非圧縮性材料を用いることによって、電場応答性高分子ダイアフラムカートリッジの接合中央拘束に対する代替手段を設けている。
【0103】
中央ディスクを持たない電場応答性高分子アクチュエータにおいて、作動は、電極形状の中心における受動フィルムの状態を変えて、圧力と歪み(力と変位)の両方を低減させる。この低減は、単一の方向だけでなく、フィルム面の全ての方向に発生する。電場応答性高分子を放電すると、この受動フィルムは、原初の圧力エネルギーおよび歪みエネルギーの状態に戻る。電場応答性高分子アクチュエータは、非圧縮性材料(圧力下で略一定のボリュームを有する)で構成することができる。上記アクチュエータ360は、非活性領域365のアクチュエータ360の中央で受動フィルムエリアに接着されている非圧縮性出力パッド368a,368bで組み立てられ、中心ディスクが置き換えられている。この構造は、そのインターフェースの出力パッドを不動態部365で圧縮することによってエネルギーを移動するために用いることができる。これは、出力パッド368a,368bを膨張させ、フラットなフィルムに対して垂直方向の作動を作り出す。上記非圧縮性形状は、作動中にその変化方向を制御するため、様々な表面への拘束を付加することによりさらに強化できる。上述の例として、出力パッドの上部表面を拘束するために非柔軟補強材を加えることは、この表面がその寸法を変化させることを防ぎ、その形状変化を出力パッドの望ましい大きさに集中させる。
【0104】
上述の実施形態は、作動時の電場応答性高分子である誘電性エラストマーの2軸圧力状態および2軸緊張状態の変化のカップリング、作動方向に直角の移動動作、性能を最適化するための非圧縮性形状の設計を可能にすることもできる。上記実施形態は、様々な変換器プラットホームを含むことができ、どんな触覚フィードバック(マウス、コントローラ、スクリーン、パッド、ボタン、キーボード等)に対しても、ダイアフラム、プラナー、慣性ドライブ、厚みモード、ハイブリッド(添付の開示に記載されているプラナーおよび厚みモードの組み合わせ)、およびイーブンロールを含んでいる。これらの実施形態は、ユーザ接触表面の特定の部分、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、ボタンまたはキーキャップを移動してもいいし、あるいは、装置全体を移動してもよい。
【0105】
異なる装置の実装は、異なるEAPプラットホームを必要とする。例えば、一例において、厚みモードアクチュエータのストリップは、タッチスクリーンに対する面外動作、キーボード上のボタンに対するキークリック感覚をもたらすためのハイブリッドまたはプラナーアクチュエータ、あるいは、マウスおよびコントローラのランブラーフィードバックをもたらすための慣性駆動設計を提供することもできる。
【0106】
図27Aは、様々なユーザインターフェースデバイスを有する触覚フィードバックを提供するための変換器の他の実施形態を示している。この実施形態では、マスまたは重り262が、電場応答性高分子アクチュエータ30に連結されている。図示の高分子アクチュエータは、フィルムカートリッジアクチュエータを有しているが、この装置の代替となる実施形態では、上述のEAP特許およびEAP出願に説明されているようなバネベースのアクチュエータを用いることができる。
【0107】
図27Bは、図27Aの変換器アセンブリの分解図を示している。図に示されているように、慣性変換器アセンブリ260は、2つのアクチュエータ30の間に挟まれたマス262を備えている。また一方で、この装置の実施形態は、マスの両側の目的とするアプリケーションに応じて、1以上のアクチュエータを備えている。図に示されているように、この(複数の)アクチュエータは慣性マス262に連結され、ベースプレートまたはフランジを介して固定されている。アクチュエータ30の作動は、このアクチュエータに対してx−y方向にマスを移動させる。更なる実施形態において、マス262が垂直移動またはz軸移動するように、アクチュエータを構成することができる。
【0108】
図27Cは、図27Aの慣性変換器アセンブリ260の側面図を示している。この図において、アセンブリは、アクチュエータ30および慣性マス262を囲う中央ハウジング266および上部ハウジング268と共に示されている。また、このアセンブリ260は、ハウジングおよびアクチュエータ内の開口またはビア24まで伸びている固定手段またはファスナ270と共に示されている。このビア24は、複数の機能を供給することができる。例えば、ビアは、取り付け目的のためだけに存在することもできる。その代わりに、または、組み合わせて、このビアは、回路基盤、フレックス回路、または機械的アース端子にアクチュエータを電気的に接続することができる。図27Dは、図27Cの慣性変換器アセンブリ260の斜視図を示しており、この慣性変換器アセンブリ260には、慣性マス(図示せず)が、ハウジングアセンブリ264,266,268の内部に配置されている。これらハウジングアセンブリの各部は、複数の機能を供給することできる。例えば、機械的支持および取り付けおよび付着特性を提供することに加えて、これらハウジングアセンブリの各部は、アクチュエータカートリッジを傷つける可能性がある、x、yおよび/またはz方向の慣性マスの必要以上の動きを防止するための機械的ハードストップとして機能する特性を組み込むことができる。例えば、上記ハウジングは、慣性マスの必要以上の動きを制限するための隆起表面を設けることができる。図示されている実施形態において、この隆起表面は、ビア24を含むハウジングの一部分を構成することができる。また、ビア24を選択的に取り付けて、そのために設置されたどんなファスナ270をも慣性マスの動きを制限するための効果的な止め具として機能することができるようにする。
【0109】
ハウジングアセンブリ264,266はまた、取り扱いに関する電気ショックを防ぐために、アクチュエータのエッジを覆う一体化されたリップまたは拡張を想定して設計することもできる。あらゆる、そして全てのこれらの部分はまた、家庭用電子装置のハウジング等の、より大きなアセンブリのハウジングの一部として一体化することもできる。例えば、図示されているハウジングは、ユーザインターフェース内に固定できる独立した構成要素として示されているが、この変換器の別の実施形態は、実際のユーザインターフェース装置のハウジングの全体または一部であるハウジングアセンブリを備えている。例として、コンピュータマウスの本体は、慣性変換器アセンブリのハウジングとして機能するよう構成することができる。
【0110】
上記慣性マス262はまた、複数の機能を供給することができる。図27Aおよび図27Bに円形状として示されているが、慣性マスの実施形態は、より複雑な形状を有するよう製造することができ、x、yおよび/またはz方向のその動作を制限する機械的ハードストップとして機能する総合的な特性を有するようになる。例えば、図27Eは、慣性マス262を備えている慣性変換器アセンブリの一実施形態を示している。この慣性マス262には、ハウジング264の止め具の特徴(または他の特徴)をかみ合わせる成形面263を設けている。図示の実施形態において、慣性マス262の成形面263は、ファスナ270をかみ合わせる。したがって、慣性マス262の変位は、成形面263とファスナ270の止め具との間の隙間に制限される。重量マスは、アセンブリ全体の共振周波数を調整するために選択することができ、この構造体の材料は、どんな高密度物質でも可能だが、必要なボリュームやコストを最小化するよう選択されるのが好ましい。適切な材料は、鉄、タングステン、アルミニウム、ニッケル、クロムおよび真鍮、高分子/金属合成材料、樹脂、流体、ゲルあるいは他の材料等の金属および金属合金を含み、また、他の材料を用いることもできる。
【0111】
(電場応答性高分子触覚のためのフィルタサウンドドライブ波形)
本明細書に記載された本発明の方法および装置の他の実施形態は、フィードバックを改良するための方法でアクチュエータを駆動することを含む。一実施形態において、触覚アクチュエータは、サウンド信号により駆動される。この構造は、セパレートプロセッサの必要性を除外して、異なるタイプの触覚感覚を作り出すための波形を生成する。その代わりに、現在の音声信号を修正触覚信号に修正する(例えば、周波数スペクトルの異なる部分をフィルタにかける、あるいは、増幅する)ために、触覚装置は1以上の回路を用いることができる。従って、修正触覚信号は、その後アクチュエータを駆動させる。一実施形態において、修正触覚信号は、異なる感覚効果を得るためのアクチュエータを始動させるために電源を駆動させる。このアプローチは、どんな音声信号も自動的に関連付け、同期させるという有利な点を有し、ゲームコントローラや携帯ゲームコンソール等の触覚装置における音楽やサウンドエフェクトのフィードバックを強化することができる。
【0112】
図28Aは、電場応答性高分子アクチュエータに対する最適な触角周波数内で作動するための音声信号を調整する回路の一例を示している。図示されている回路は、図28Bに示されているものと同じ信号を作り出すために、振幅カットオフ、直流電流オフセット調整、および交流電流波形最大振幅マグニチュード調整によって音声信号を修正する。一実施形態において、電場応答性高分子は、二相の電場応答性高分子アクチュエータを備え、上記音声信号を変化させることには、この電場応答性高分子変換器の第1相を駆動させるため、上記音声信号の音声波形(オーディオ波形)の正の部分をフィルタにかけることと、この電場応答性高分子変換器の第2相を駆動させるために、上記音声信号の音声波形の負の部分を反転させることとを含み、この電場応答性高分子変換器の性能を向上させる。例えば、正弦波形の音源信号は、矩形波形(例えば、クリッピングを介して)に変換することができ、触覚信号が、最大アクチュエータ出力を作り出す矩形波形になることができるようにする。
【0113】
他の実施形態において、上記回路は、触覚効果を起こさせるための音声信号の音声波形の全部または一部を用いるため、この音声信号の周波数をフィルタにかけるための1以上の整流器を備えることができる。図28Cは、音声信号の音声波形の正の部分をフィルタにかけるために設計された回路の一実施形態を示している。他の実施形態において、この回路は、二相を有するアクチュエータのために図28Dに示される回路と結合することができる。図に示されているように、図28Cの回路は、アクチュエータの一方の相を駆動するための音声波形の正の部分をフィルタにかけることができる。一方、図28Dに示す回路は、二相触覚アクチュエータの他方の相を駆動するための音声波形の負の部分を反転させることができる。その結果、この二相アクチュエータは、より高いアクチュエータ性能を有する。
【0114】
他の実施形態において、音声信号の閾値は、アクチュエータを駆動する2次回路を始動させるために用いることができる。この閾値は、音声信号の振幅、周波数、または特定のパターンにより定めることができる。この2次回路は、例えば特定の周波数を出力するために取り付けられたオシレータ回路のような固定的応答を有する、あるいは、複数定められているトリガーに基づく複数の応答を有することができる。一実施形態において、これらの応答は、特定のトリガーに基づいて、予め決めることができる。この場合、保存された応答信号を特定のトリガーについて提供することができる。この方法において、音源信号の修正に代えて、上記回路は、1以上の音源信号特性によって決まる既定の応答を始動させる。上記2次回路はまた、限られた持続時間の応答を出力するためのタイマーを有することもできる。
【0115】
多くのシステムが、サウンド機能を伴う触覚の実装から利益を得る可能性がある(例えば、コンピュータ、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)の電子ゲーム)。この実施形態において、フィルタをかけられたサウンドは、電場応答性高分子触覚の駆動波形として機能する。通常、これらのシステムに用いられるサウンドファイルは、触覚フィードバックアクチュエータ設計の最適な周波数範囲のみを含むようにフィルタをかけることができる。図28Eおよび図28Fは、装置400のその一例を示していて、この場合、コンピュータマウスには、マウス本体400の内部に、慣性マス404に連結された1以上の電場応答性高分子アクチュエータ402を設けている。
【0116】
現在のシステムは、200Hz未満の最適周波数で作動する。例えば、ショットガンの爆音や、ドアを閉める音のようなサウンド波形は、使用される200Hz未満であるこれらサウンドから上記最適周波数のみを許可するようローパスフィルタをかけることができる。このフィルタをかけられた波形は、その後触覚フィードバックアクチュエータを駆動するEPAM電源への入力波形として供給される。これらの実施形態がゲームコントローラに用いられた場合、ショットガンの爆音およびドアを閉める音は、触覚フィードバックアクチュエータと同時に作動して、ゲームプレイヤーに高質の経験を提供する。
【0117】
一実施形態において、現在のサウンド信号の使用は、独立して生成された音声信号によって生成されたサウンドと同時に、ユーザインターフェースデバイスの触覚効果を作り出す方法を可能にする。例えば、この方法は、上記音声信号をフィルタリング回路に案内し、既定の周波数よりも下の周波数の範囲をフィルタにかけることにより触覚ドライブ信号を作るために、上記音声信号を変化させ、上記触覚ドライブ信号を電場応答性高分子変換器に連結された電力源に提供し、上記電力源が上記電場応答性高分子変換器を作動させ、上記音声信号により生成される上記サウンドと同時に上記触覚効果を起こさせることを含むことができる。
【0118】
上記方法は、サウンドエフェクトおよび触覚応答の両方を同時に生成するために、電場応答性高分子変換器を駆動することをさらに含むことができる。
【0119】
図29A−図30は、1以上の変換器の駆動に関する他の実施形態を示しており、この変換器の構造を変換器に電力を供給するために用いて、ノーマル(活性前)状態において、この変換器に電力が供給されていない状態であり続けることができるようにする。以下説明は、この明細書に記載されたあらゆる設計に組み込むことができる。この変換器を駆動するための装置および方法は、ユーザインターフェースデバイスの本体または筺体のプロファイルを小さくしようと試みるときに、特に有益である。
【0120】
最初の例(図29A)において、ユーザインターフェースデバイス400は、1以上の電場応答性高分子変換器またはアクチュエータ360を備え、この電場応答性高分子変換器またはアクチュエータ360は、複雑なスイッチングメカニズムを必要とすることなく、ユーザインターフェース表面402で触覚効果を作り出すよう駆動することができる。その代わりに、複数の変換器360が1以上の電源380により電力を供給される。図に示された例おいて、これらの変換器360は、上述の厚みモード変換器、および言及によりすでに組み込まれたアプリケーションにおける厚みモード変換器である。しかし、この実施形態が提示するコンセプトは、複数の異なる変換器設計に適用可能である。
【0121】
図に示されるように、変換器360は、高圧電源380を有するオープン回路を含んでいる層に積み重ねられている。この高圧電源380には、各変換器360への接続としての機能を果たす1以上の接地母線(ground bus line)382を設けている。しかし、このデバイス400は、スタンバイ状態において、電源380を形成している回路が開放されたままであるため、各々のアクチュエータ360が、電力が供給されていない状態であり続けることができるように構成されている。
【0122】
図29Bは、図29Aに示されているような変換器360を備えるシングルユーザインターフェース表面420を示している。母線382と電源380との間の完全な接続を完成させるために、ユーザインターフェース表面402には、1以上の導電性表面404を設けている。この実施形態において、この導電性表面404は、ユーザインターフェース402の下部表面を構成している。上記変換器はまた、出力部材370または変換器360の他の部分に電気的伝導性のある表面を設けている。
【0123】
上記変換器360を作動させるため、図29Cに示されているように、ユーザインターフェース表面402が変換器360内に曲がったとき、2つの導電性部分は、回路を閉鎖するよう電気的に連結される。このアクションは、電源380の回路を完成させる。さらに、ユーザインターフェース表面402を押し下げることは、変換器360との間隙を閉じるだけでなく、それをデバイス400のスイッチを入れることにも用いることができて、デバイス400が表面402の作動を認識することができるようにする。
【0124】
この構造の利益の1つは、全ての変換器360に電力が供給されないことである。その代わりに、それぞれのユーザインターフェース表面が回路を完成させたこれらの変換器のみに電力が供給される。この構造は、電力消費を最小化すると共に、アレイにおけるアクチュエータ360間のクロストークを取り除く。この構造体は、一般にこのようなデバイスに用いられる金属ドーム型スイッチまたは弾性ドーム型スイッチの必要性を排除するので、極めて薄いキーパッドまたはキーボードを可能にする。
【0125】
図30Aおよび図30Bは、ユーザインターフェースデバイス400の他の実施形態を示している。このユーザインターフェースデバイス400は、埋め込みスイッチとして構成されている電場応答性高分子変換器360を備えている。図30Aに示されている実施形態には、変換器360とユーザインターフェース表面402との間の第1間隙406と、変換器360と筺体との間の第2間隙408とが存在している。この実施形態において、図30Bに示されるように、ユーザインターフェース360を押し下げることは、第1スイッチを入れる、あるいは、ユーザインターフェース402と変換器360との間に閉回路を設定する。この回路を閉鎖することは、高圧電源(図30Aには図示せず)から電場応答性高分子変換器360への電源系経路を可能にする。ユーザインターフェース表面402の連続した押し下げは、変換器360をこのデバイス400の筺体404に配置された追加スイッチと接触させる。後者の接続は、ユーザインターフェース402に触覚感覚または触知性フィードバックを作り出すために、高圧電源が変換器360を作動させることができるようにしているデバイス400への入力を可能にする。変換器360と筺体404との間の接続は、解放時に広がる(設定間隙408)。このアクションは、高圧電源を効果的に停止させる装置400への信号を削除すると共に、アクチュエータがあらゆる触覚効果を作り出すことができないようにする。ユーザインターフェース402の連続解放は、間隙406を設定するために、ユーザインターフェース表面402を変換器360から切り離す。この後者のスイッチを開放することは、電源から変換器360を効果的に切り離す。
【0126】
上述の実施形態において、ユーザインターフェース表面は、1以上のキーボードのキー(例えば、QWERTYキーボード(標準型キーボード)、あるいは他のタイプのキーボードまたはパッド)で構成することもできる。EPAMの作動は、ボタンクリックに触知性フィードバックをもたらし、現在のドーム型キーのキー操作(key depression)に取って代わる。また一方で、この構造は、どんなユーザインターフェースデバイス(これに限定されないが、キーボード、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、トラックボール、スタイラスペン、コントロールパネル、または、触覚フィードバック感覚から利益を得るであろうあらゆる他のデバイスを含む)にも用いることができる。
【0127】
上述の構造の他の実施形態において、1以上の間隙を閉鎖することによって、低電圧開回路が閉鎖されることもあり得る。この低電圧回路は、その後、電力を高電圧回路に提供するためのスイッチを入れるだろう。このようにして、高電圧電力は、高電圧回路から提供され、変換器が回路を完成させるために用いるときだけ変換器に提供される。低電圧回路が開き続けている間は、高電圧電源は連結されないままであり、変換器には電力が供給されないままである。
【0128】
カートリッジの使用は、電気的スイッチをユーザインターフェースの設計全体に組み込むことを可能にし、インターフェースデバイスに対する入力信号をアクティブにする(すなわち、デバイスがキー入力を認識する)、そして、キーに対する触覚信号をアクティブにする(すなわち、キーの選択と関連する触覚感覚を生成する)ための従来のドーム型スイッチを使用する必要性を排除することができる。各キー操作であらゆるスイッチを入れることができ、このような構造は、設計制限の範囲内でカスタマイズすることができる。
【0129】
この組み込まれたアクチュエータスイッチは、各キー操作がアクチュエータに電力を供給する電源を伴う回路を完成させることが出来るようにキーを設定することによって、各触覚イベントを送ることができる。この構造は、キーボードに対する電子技術的要件を簡単にする。各キーに対する触覚を駆動するために要求される高電圧電力は、シングル高電圧電源によって、キーボード全体に供給することができる。また一方で、どんな数の電源でもこの設計に組み込むことができる。
【0130】
これらの設計に用いることができるEPAMカートリッジは、プラナー、ダイアフラム、厚みモード、および受動連結装置(ハイブリッド)を含んでいる。
【0131】
他の実施形態において、組み込まれたスイッチ設計はまた、従来のドーム型スイッチ(例えば、ゴム製ドーム型スイッチまたは金属製湾曲型スイッチ)等の双安定スイッチの模倣を可能にする。一実施形態において、ユーザインターフェース表面は、上述のように、電場応答性高分子変換器を曲げる。また一方で、この電場応答性高分子変換器の活性化が遅延する。その結果、この電場応答性高分子変換器の連続屈曲は、ユーザインターフェース表面においてユーザが感じる抵抗力を増加させる。この抵抗は、変換器内の電場応答性高分子フィルムの変形に起因する。その後、既定の屈曲後であっても変換器が曲げられた後の継続時間であっても、電場応答性高分子変換器は、ユーザインターフェース表面においてユーザが感じる抵抗力が変化する(一般には弱まる)ように活性化される。その一方で、ユーザインターフェース表面の変位は継続する。電場応答性高分子変換器の活性化におけるこのような遅延は、双安定性能の従来のドーム型または湾曲型スイッチを模倣する。
【0132】
図31Aは、双安定効果を作り出すための電場応答性高分子変換器の活性化遅延のグラフを示している。図に示されているように、ライン101は、電場応答性高分子変換器の受動硬直度曲線(passive stiffness curve)を示している。このライン101は、曲げられているが変換器の活性化が遅延している。ライン102は、一度活性化された電場応答性高分子変換器の能動硬直度曲線を示している。ライン103は、電場応答性高分子変換器の力のプロファイルを示している。このライン103は、受動硬直度曲線に沿って移動し、その後活性化したときに、硬直度が能動硬直度曲線102まで低下する。一実施形態において、電場応答性高分子変換器は、ストロークの中間のどこかで活性化される。
【0133】
ライン103のプロファイルは、ゴム製ドーム型または金属製湾曲型の双安定性メカニズムの類似のプロファイルトラッキング硬直度に非常に近い。図に示されているように、EAPアクチュエータは、ゴム製ドーム型の力のプロファイルをシュミレーションするのに適している。能動曲線と受動曲線との間の差は、フィーリングの主な原因となり、ギャップが大きくなればなるほどチャンスがより大きくなり、より強い感覚になるであろうということを意味している。
【0134】
望ましい曲線または反応を得るための上記曲線およびメカニズムの形状は、アクチュエータのタイプから独立している。さらに、アクチュエータのあらゆるタイプ(例えば、ダイアフラムアクチュエータ、厚みモード、ハイブリッド等)の活性化反応は、望ましい触覚効果をもたらすために遅延することができる。このような場合には、電場応答性高分子変換器は、電圧を印加することによって出力反力を変える可変バネとして機能する。図31Bは、電場応答性高分子変換器を活性化することにおける遅延を用いる上述のアクチュエータの実施形態に基づいた更なるグラフを示している。
【0135】
電場応答性高分子変換器を駆動するための他の実施形態は、閾入力信号が与えられる保存された波形の使用を含んでいる。入力信号は、音声または他のトリガー信号を含むことができる。例えば、図32に示されている回路は、保存された信号に対するトリガーとしての役割を果たす音声信号を示している。さらに、このシステムは、音声信号の代わりにトリガー信号または他の信号を用いることができる。この方法は、音声信号から直接アクチュエータを簡単に駆動することを用いるというよりはむしろ、電場応答性高分子変換器を1以上の既定の波形で駆動する。アクチュエータを駆動するこのモードの利益の1つは、保存された波形の使用が、最小限のメモリおよび複雑性で、複雑な波形およびアクチュエータ性能の生成を可能にすることである。アクチュエータ性能は、アナログ音声信号を用いるよりはむしろ、アクチュエータ(例えば、好ましい電圧またはパルス幅で、または、共鳴(共振)時に駆動する)のために最適された駆動パルスを用いることによって強化することができる。このアクチュエータ反応は、入力信号と同期する、または、遅延することができる。一実施形態において、0.25Vの切換え限界値(trigger threshold)をトリガーとして用いることができる。この低レベル信号は、その後、1以上のパルス波形を生成することができる。他の実施形態において、この駆動技術は、潜在的に、同じ入力信号またはトリガー信号の使用が、あらゆる数の条件(例えば、ユーザインターフェースデバイスの位置、ユーザインターフェースデバイスの状態、デバイスで走っているプログラム等)に基づいて異なる出力信号を持つことを可能にすることができる。
【0136】
図33Aおよび図33Bは、単一の駆動回路を用いた二相の活性化を提供することによって電場応答性高分子変換器を駆動するための更なる他の実施形態を示している。図に示されているように、二相変換器の3つのパワーリード(電源ケーブル)のうち、一方の相の一のパワーリードは、高電圧で一定の状態のままであり、他方の相の一のパワーリードは、接地されており、そして、両方の相に共通の第3リードは、地面(ゼロ)から高電圧までの電圧に変化するよう駆動される。これは、一の相の活性化がもう一つの相の不活性化と同時に発生することを可能にし、二相アクチュエータのスナップスルー性能を強化する。
【0137】
他の実施形態において、この明細書に記載されたようなユーザインターフェースの触覚効果は、ユーザインターフェース表面の機械的ビヘイビアを調整することにより改良することができる。例えば、電場応答性高分子変換器がタッチスクリーンを駆動する実施形態において、触覚信号は、触覚効果後のユーザインターフェース表面の好ましくない運動を取り除くことができる。デバイスがタッチスクリーンを備えるとき、このスクリーン(すなわち、ユーザインターフェース表面)の動きは、通常、このタッチスクリーンの面内または面外(例えばz軸方向)で発生する。どちらの場合も、電場応答性高分子変換器は、インパルス502により駆動され、図34Bに概略的に示されているような触覚反応を作り出す。その一方で、もたらされる運動の後に、ユーザインターフェース表面(例えばタッチスクリーン)の変位を示している図34Aのグラフに示されているような遅れた機械的リンギングまたは振動500が続く可能性がある。触覚効果を改良するために、この触覚効果を駆動する方法は、複合波形の使用を含むことができ、現実的な触覚効果を作りだすために電子的に打ち消す(electronic dampening)。このような波形は、触覚駆動部分502と打ち消し部分504とを含んでいる。触覚効果が上述のような「キークリック」を含む場合、電子的打ち消し波形は、より現実的な感覚を作り出すために遅延効果を排除する、または、低減することができる。例えば、図34Aおよび図34Cの変位曲線は、キークリックを模倣しようとするときの変位曲線を示している。その一方で、あらゆる触覚感覚は、この感覚の電子的打ち消しを使用することで改良することができる。
【0138】
図35は、電場応答性高分子変換器に電力を供給するためのエネルギー生成回路の一例を示している。多くの電場応答性高分子変換器は、電力を作り出すために高電圧エレクトロニクスを必要とする。簡単なことに、機能性および保護を提供する高電圧エレクトロニクスが必要とされる。基本的な変換器回路は、低電圧プライミングサプライ、コネクションダイオード、電場応答性高分子変換器、第2コネクションダイオードおよび高電圧コレクターサプライから成っている。その一方で、このような回路は、望ましい1サイクル当たりのエネルギーを取得するときに効果的ではない可能性があり、相対的により高い電圧プライミングサプライを必要とする。
【0139】
図35は、シンプルな電力生成回路設計を示している。この回路の利点の1つは、設計の簡単さにある。(機械的力が加えられていると仮定すれば)低い始動電圧(およそ9ボルト)のみが、ジェネレータを動かすのに必要である。制御レベルエレクトロニクスは、電場応答性高分子変換器内への高電圧伝達、または、電場応答性高分子から外への高電圧伝達を制御する必要がない。受動電圧調節は、この回路出力のツェナーダイオード(zener diode)により達成される。この回路は、高電圧DC電力を作り出す能力があり、約0.04−0.06ジュール/グラムのエネルギー強度レベルで、電場応答性高分子変換器を作動させることができる。この回路は、少量の電力を生成するのに適しており、電場応答性高分子変換器の実現可能性を証明するのに適している。この図示されている回路は、電場応答性高分子変換器の機械的サイクル当たりのエネルギー伝達を最大化するための電荷移動技術を用いる一方で、さらに簡単さを維持している。更なる利益は、極端に低い電圧(例えば9ボルト)で自己プライミングを可能にすること、周波数オペレーションおよびストロークオペレーションの両方が可変であること、簡易化されたエレクトロニクス(例えば、制御シーケンスを必要としないエレクトロニクス)で1サイクル当たりのエネルギー伝達を最大化すること、可変周波数および可変ストロークアプリケーションの両方で作動すること、および過電圧保護を変換器に提供することを含む。
【0140】
(駆動スキーム)
一実施形態において、触覚反応または触覚効果は、駆動スキーム(例えば、アナログ(音声信号を伴う)またはデジタルバーストまたはこれらの結合)の選択によって調整することができる。
【0141】
多くの場合、上記システムは、電流引き込みが高すぎるとき(例えば、高周波時)に電圧を遮断または低減する回路を用いて電力消費を制限することができる。第1の例において、変換器の入力ステージが印加電圧を越えない限り、第2ステージは動くことが出来ない。第2ステージがイニシャライズされたとき、この回路は、第1ステージの電圧を下降させて、その後、入力電力が制限された場合に第2ステージを途中で止める。低周波時、触覚反応は入力信号の後に続く。その一方で、高周波はより電力を必要とするため、入力電力に応じて、反応が短縮されるようになる。電力消費は、サブアセンブリおよび駆動設計を最適化するのに必要なメトリクス(基準)の1つである。この方法で反応を短縮することは、電力を節約する。
【0142】
他の実施形態において、駆動スキームは、振幅変調を用いることができる。例えば、アクチュエータ電圧は、入力信号振幅に基づいて信号振幅が調整される共鳴周波数で分配することができる。このレベルは、入力信号で決定され、この周波数は、アクチュエータ設計で決定される。
【0143】
フィルタまたは増幅器は、アクチュエータの最高性能をもたらす入力駆動信号の周波数を強化するために用いることができる。これは、ユーザによる触覚応答の感度強化を可能にする、および/または、ユーザが望む効果を強めることを可能にする。例えば、サブアセンブリ/サブシステムの周波数反応は、駆動入力信号として用いられるサウンド効果に対して成される高速フーリエ変換を速く合致/重複させるよう設計することができる。
【0144】
触覚効果を作り出すための他の実施形態は、ロールオフフィルタの使用を含んでいる。このフィルタは、高い消費電力(power draw)を必要とする高周波の減衰を可能にする。この減衰を補正するために、サブアセンブリは、高周波時に共鳴するよう設計することができる。このサブアセンブリの共鳴周波数は、例えば、アクチュエータの剛性を変えることによって(例えば、誘電性材料を変えることによって、誘電性フィルムの剛性を変えることによって、アクチュエータの寸法を変えることによって)、アクチュエータの積み重ねにおけるカートリッジの数を変えることによって、アクチュエータの負荷マスまたは慣性マスを変えることによって調整することができる。より薄いフィルムまたはより柔らかい材料にすることによって、高周波に対する電流/電力制限を満たすために必要なカットオフ周波数を変えることができる。明らかなことに、共鳴周波数の調整は、あらゆる方法で発生する可能性がある。この周波数反応はまた、アクチュエータタイプの混合を用いて調整することができる。
【0145】
シンプルなフォロワ回路を用いるというよりは、閾値を入力駆動信号に用いることができ、より少ない電力を必要とする任意の波形を伴うバーストを引き起こす。この波形は、低周波時に存在する可能性があり、および/または、反応を強化するためにシステム(サブアセンブリおよびハウジング)の共鳴周波数について最適化され得る。さらに、トリガー間の遅延時間の使用はまた、電力負荷を制御するために用いられ得る。
【0146】
(ゼロ交差電力制御)
他の実施形態において、制御回路は、入力音声波形をモニターして、高電圧回路のための制御を提供することができる。このような場合には、図36Aに示されているように、音声波形510は、ゼロ電圧値512を通る各遷移に対して測定される。これらのゼロ交差512について、制御回路は、交差時間値および電圧状態を示す。
【0147】
この制御回路は、ゼロ交差時間および電圧スイング方向に基づいて高電圧を変化させる。図36Bに示されているように、正のスイングのゼロ交差では、高電圧ドライブは、514においてゼロボルトから1kV(高電圧レール値(High Voltage Rail Value))まで変化する。負のスイングのゼロ交差では、高電圧ドライブは、516において1kvからゼロボルト(低電圧レール値(Low Voltage Rail Value))まで変化する。
【0148】
この制御回路は、アクチュエーションイベントが音声信号510の周波数と一致できるようにする。さらに、この制御回路は、40−200Hzのアクチュエータ反応範囲を維持するため、高周波アクチュエータイベントを取り除くためのフィルタリングを可能にする。この矩形波は、慣性駆動設計に対する最高の作動反応を提供し、電力供給要素の制限により定められ得る。電力供給要求を制限するために、充電時間を調整することができる。作動力を標準化するために、機械的共鳴周波数を三角波によりチャージすることができ、さらに、オフ共鳴周波数作動を矩形波により活性化することができる。
【0149】
図36Cは、触覚信号の駆動の他の実施形態を示している。この実施形態において、触覚フィードバックを、音声信号から触覚作動に変換することができる。例えば、触覚信号610は、自動的に触知性着信音606を生成することによりもたらされ得る。この着信音606は、発信者番号600(CID)または他の識別データに基づいて、独自に電話発信者を特定する。更なる実施形態においては、学習を殆んどまたは全く必要としないように、スピーチ602に基づいてプロセスが着信音606を生成する。例えば、電話が「ジョン・スミス」を「表示する」とき、(ジョンの発信番号に基づいて)触覚周波数「ジョン・スミス」でブザーを鳴らすことによって、ユーザは、この触覚着信音に基づいて電話発信者を特定することができる。
【0150】
一実施形態において、触覚フィードバックは、次のように変換される。
(発信番号)600→(テキストを音声に変換)602→(音声を触覚に変換)604,606→(触覚アクチュエータに出力)608
例えば、デバイスが電話であるとき、この電話は、電話発信者名または他の標識を特定する触覚振動を提供することによって、鳴るまたは振動することができる。低周波キャリア(例えば100Hz)は、このデバイスが、2音節名の電話発信者を複数音節名と区別することを可能にさせる。
【0151】
シンプルな音声テキスト変換は、ラウドネスエンベロープL=F(t)を得るために、10Hzまでの音声信号を整流し、ローパスフィルタにかけることを含んでいる。このラウドネス信号は、触覚周波数(例えば約100Hz)時に存在するキャリア振動の振幅を調節するのに用いることができる。これは、基本的な振幅調節であると共に、電話発信者名の音節数を区別するのに十分であり、音節が強調される。よりリッチな符号化は、周波数および振幅の両方を調節し、誘電性高分子アクチュエータの忠実性をより十分に引き出す。無数の音声テキスト変換が可能である。多くのものが適するであろう(例えば、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、ウエーブレット、ボコーダ)。実際には、音声情報を保存するよう設計された音声テキスト変換は、聴覚障害者の読唇を助ける触覚補聴器(例えば、Tactaid and Tactilator)として、すでに開発されている。
【0152】
(ハウジング)
本発明の開示はまた、改良された、または、強化された触覚フィードバックのためのデバイスを構成することを含んでいる。図37Aに示されているように、ユーザが加えた力518がデバイス構造体の剛体を通して移動したとき、この力は、このデバイス520と地面522(または他の支持表面)との間の摩擦効果を増加させる。図37A−図37Cに示されているデバイス520は、コンピュータ周辺機器(マウス)であるが、ここで適用される原理は、フィードバックを必要とする様々なデバイスに組み込むことができる。例えば、このデバイスは、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラを含んでいる。
【0153】
図37Aに戻ると、加えられた力518は、支持表面522に対してデバイスを押すことによって、このデバイスを接地させる。これは、あらゆる触覚フィードバック力(矢印526に示されているような)を筺体528またはハウジング530に対して働かせる。言い換えると、この触覚力526は、デバイス520の仕事面532に加えられた力518によって抑えられる。その結果、アクチュエータ524は、慣性効果を生成するためここに連結されたあらゆるマスのみを作動させる。
【0154】
改良された触覚効果を有するデバイス520を提供するために、1以上のハウジング530の表面532または仕事面532が、アクチュエータ524により生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成され得る。例えば、ユーザインターフェース表面532に隣接するセクション534は、要望通りに触覚力を移動するために製造され得る。例えば、これらのセクションには、ハウジングを介した反応の感覚を改良するために軟性連結ポイントまたは少数の取り付けポイントを設けることができる。更なる実施形態において、サブアセンブリの共鳴は、ハウジングの共鳴と一致することができ、あるいは、ハウジングの共鳴を用いて最適化され得る。他の実施形態において、ハウジングの形状は、特定の反応を強化するために調整することができる。例えば、1以上のセクション534は、感覚を改良するため、または、その共鳴を変えるため、より薄くしてもいいし、柔軟にしてもいいし、あるいは、折り畳めるように構成してもよい。
【0155】
例えば、デバイス520の触覚フィードバックの改良は、異なる位置で別に共鳴するためのケーシングを設計することによって調整することができる。例えば、高周波は、ある領域((例えば図37Bに示されているように)指先534の近く)で有利に働くことが可能である。一方、低周波は、掌536の下等の他の領域で有利に働くことが可能である。駆動信号の選択を介して、ユーザは、局部的な反応を感じる。
【0156】
他の実施形態において、図37Cに示されているように、デバイス534は、1以上の柔軟なマウント534を備え、このマウント534は、支持表面522を捉えるフレーム、ベースまたはケース528に、ハウジング530を連結させる。柔軟ベースマウント534の使用は、アクチュエータ524の作動エネルギーが、触覚力でハウジング530を動かすことを可能にすると同時に、このデバイス520のベース528は接地されたままである。このような柔軟ベースマウント534は、デバイス520のどこにでも配置することができ、アクチュエータ524からユーザインターフェース532の関連部分まで触覚力の移動を可能にする。例えば、1以上の柔軟マウント538は、上部ハウジング530をデバイス520の周囲のベース528に取り付けることができる。図37Cはまた、任意に、不具合を防ぐための1以上の機械的止め具536を含んでいるような、または、環境に対してデバイス520の内部構造の露出を低減するためのパッケージングを備えるデバイス520を示している。
【0157】
更なる実施形態において、触覚反応は、変換器のサブアセンブリの設計を介して調整することができる。少数のカートリッジ(または結合された変換器)の使用は、低周波時に駆動可能な剛性の低いシステムを作り出す。
【0158】
追加のカートリッジの使用は、より広範の周波数を有する高周波に対する反応をプッシュする。慣性マスは、共鳴反応を異なる周波数レンジに変えるよう選択可能である。サブアセンブリは、駆動周波数が共鳴周波数に近い場合、低電圧時により強い反応を伴って駆動する可能性がある。低い共鳴周波数のために、高駆動周波数時の動作において、よりシャープなカットオフが存在する。
【0159】
より高い共鳴周波数に関して、共鳴ピークは広範であり、そして、より広範な周波数レンジに亘ってより高い忠実性が存在する。
【0160】
一実施形態において、慣性マスは、アクチュエータモジュールおよび駆動回路に関する全てのボリュームを低減するために、変圧器回路に置き換えることができる。例えば、図37Bに示されているように、1以上のバッテリーまたは容量性記憶装置は、ピーク負荷時に充電を提供することができる(これらのバッテリーまたは容量記憶装置は要素540として示されている)。この構造体540は、ユーザインターフェースデバイスの重り、電力供給装置、バッテリー、回路基板、およびコンデンサを備えている。このデバイス520内に存在している(複数の)構造体の使用は、アクチュエータサブアセンブリの全てのフォームファクターおよび空間利用を改良する。
【0161】
その他の実施形態では、慣性マスとしてのインダクタの使用を含んでいる。空間節約の利点に加えて、これは、微小サイズ分離電子回路を使って実行可能なものよりも、より大きいインダクタを使った、より効率的な電力変換を介して、電力効率(および低電流引き込み)を改良することができる。これは、とりわけ共鳴駆動(共振型駆動)について言えることだが、オーディオフォロワー(audio follower)設計についてもまた言える。
【0162】
上述の柔軟ガスケットに加えて、または、柔軟ガスケットに代わる手段として、このシステムは、あらゆる駆動出力マスおよびベースマスを含むことができる。この駆動出力マスは、デバイスの本体を構成しており、このベースマスは、本体のベースを構成している。変換器を駆動することによって、両方のマスの振動が作り出され、一方のマスがフィードバックをユーザに供給するために用いられる。
【0163】
触覚フィードバックを大きくするために、変換器とベースとの間の摩擦を低減するあらゆる部材または構造を用いることができる。例えば、層(レイヤー)を機能させるために、表面を最小化し、材料から作られる突起またはポイントのようなモールドされた特徴を備えることによって、合わせ面(例えば、ディスプレイ、タッチスクリーン、またはブラックライトデフューザの底面)の摩擦係数が低くなる。この摩擦低減材料は、低い摩擦係数と可動表面を有する材料を備えることができる。
【0164】
図38A−図38Eは、デバイス542(この実施形態においては、携帯電話ユニット)の他の実施形態を示している。このデバイス542は、ハウジングを備え、このハウジングは、ここに配置されたアクチュエータ524により生成される触覚フィードバック力を強化するよう構成されている。図38Aは、このデバイスのユーザインターフェースを示している。図38Bは、ユーザインターフェース532の側面図を示している。この例において、ユーザインターフェースの背面には、停止表面536を設けていて、このユニット542の筺体、本体またはベース528に対するユーザインターフェースの過度な動きを制限する。図38Cは、アクチュエータ524とこのユニットの他の要素548を設けているユニット542のベース528を示している。上述のように、この要素548は、任意に、アクチュエータが慣性力を生成することを可能にするマスとしての役割を果たすことができる。図38Dは、ベース528に連結されたユーザインターフェース532を示している。
【0165】
図38Eは、デバイス542の他の実施形態を示しており、このデバイス542は、ベース528とユーザインターフェース532との間に配置された1以上のベアリング544を備えている。図に示されているように、このベアリングは、任意に、レール550に設けることができる。図示の実施形態のデバイス542には、デバイス542の長さに沿って2つのレール550を設けているが、他の実施形態は、レール550が摩擦を低減して、アクチュエータ524により生成される強化された触覚力が可能となる間、このデバイス内の任意の場所に配置された1以上のレール550を設けている。
【0166】
図39Aは、この明細書に記載されたデバイスおよびアセンブリに用いるためのサスペンションアセンブリの特徴を示している。この図は、平面タイプアクチュエータ524を露出するために開けられているユーザインターフェース532を備えている、分解された触覚デバイス520を示している。サスペンションアセンブリは、このデバイスの構成要素を示すため図39Aから省略されている。
【0167】
図に示されているように、平面タイプアクチュエータ524は、デバイス520本体の他の部分に関連するユーザインターフェース532の動きを作り出す。図示されている実施形態において、ユーザインターフェース532および底部フレーム528は、互いに関連して動く。その一方で、デバイスの任意の2つの要素が互いに動きあう実施形態は、いくらでも考えられる(ユーザインターフェースは常に移動する要素の1つである必要はない)。さらに、この例となるデバイス520は、x次元(x-dimension)および/またはy次元(y-dimension)の動きを可能にする平面タイプアクチュエータ524と共に示されている。その一方で、様々なアクチュエータのタイプを用いることができる(例えば、z/面外方向に動くアクチュエータ、および、x−y−z方向に動くアクチュエータ)。サスペンションアセンブルに関してこの明細書に記載されている原理は、電場応答性高分子変換器または他のタイプの変換器を用いている触覚フィードバックデバイスおよび他のデバイスに適用可能である。例えば、サスペンション設計は、センサ、スピーカおよび光学デバイスにおいて、そして、触覚デバイスにおいて用いることができる。
【0168】
図39Bは、複数のサスペンションアセンブリ550を備えるデバイス520を示している。これらのサスペンションアセンブリ550は、デバイス520の様々な構成要素を連結させる。以下に記載されているように、これらのサスペンションアセンブリ550は、相対運動を可能にするために構成要素を分ける働きをすることができ、また、構成要素の動きを無効にする復元力(spring force)または抵抗力をもたらす働きをすることができる。例えば、図39Bは、アクチュエーションフレーム529の一部分554と、ベースフレーム528の一部分556との間に連結された屈曲部552を備えるサスペンションアセンブリを示している。このアクチュエーションフレーム529は、デバイス520のあらゆる部分になることができる。図示の実施形態において、アクチュエーションフレーム529は、ユーザインターフェース部532のための支持構造を備えている。更なる実施形態において、アクチュエーションフレーム529は、ユーザインターフェース部532の一部である、または、実質的にユーザインターフェース部それ自身532を構成することができる。
【0169】
図に示されているように、アクチュエーションフレーム529は、電場応答性高分子アクチュエータ524(この場合は、電場応答性高分子フィルム525)の可動部分に連結されている。その一方で、上記フレームは、屈曲可能な電場応答性高分子フィルム525により駆動されるあらゆるコネクタまたは接続構造に連結することができる。図示の例はまた、電場応答性アクチュエータアセンブリ524に連結されているベースフレーム528を示している。一般に、このフレームは、電場応答性高分子アクチュエータ524のハウジング527に取り付けることができる。明らかに、他の方法で特別に主張されない限り、デバイスおよび方法の実施形態は、電場応答性高分子アクチュエータの可動部分に連結された電場応答性高分子アクチュエータおよびベースフレームのハウジング528に連結されるアクチュエーションフレーム529を備えることができる。
【0170】
図39Cにおいて、このデバイスのユーザインターフェース部および電場応答性高分子アクチュエータおよび他の構成要素は、複数のサスペンションアセンブル550を用いているベースフレーム528に連結されているアクチュエーションフレーム529の表示の明確さのために省略している。図示の例は、4つのアセンブリを示しているが、いくつのアセンブリでも特定のアプリケーションに応じて用いることができる。
【0171】
図39Dは、一のサスペンションアセンブリ550の拡大図を示している。図に示されているように、この実施形態におけるアセンブリ550は、それぞれアクチュエーションフレーム529およびベースフレーム528の部分またはタブ554,556を備え、これらの部分またはタブ554,556は、このフレームの移動平面の範囲外にある。これらのタブ554,556を屈曲部552に溶接する、あるいは、その他の方法で取り付けることができる。この屈曲部552は、制御された動きを可能にするためにフレームを連結する機械的屈曲としての機能を果たす。この屈曲部552は、金属合金(例えばステンレス鋼)、高分子材料、あるいは合成材料等、どんな材料からでも製造することができる。任意に、屈曲部552は矩形状から成り、この屈曲部552が単一平面に曲がることができるようにする。その一方で、特に限定されない限り、サスペンションアセンブリは、様々な形状を有する屈曲部を備えることができる。例えば、図に示されている屈曲部552は、平面バー形状から成っている。この形状は、屈曲部が屈曲し、平面方向(図40C参照)の取り付けられた構成要素が動くことを可能にする。
【0172】
この明細書に記載されたサスペンションアセンブリは、可動構成要素を分離するまたは浮かせるという2つの機能を果たす、および/または、構成要素間の相対運動を無効にするための復元力または抵抗力を提供することができる。図40A−図40Dは、サスペンションアセンブリの一例の概略上面図を示している。図40Aは、安静位(rest position)(すなわち、アクチュエーションフレーム529および/またはベースフレーム528が変位する前)のサスペンションアセンブリを示している。図40Bは、図40Aに示されているサスペンションアセンブリの概念的側面図を示している。図に示されているように、屈曲部552は、ベースフレーム528とアクチュエーションフレーム529との間で垂直分離を維持している。この間隔は、これらのフレーム間の改良された動きを可能にし、これらのフレーム間に軸受表面を追加する必要がない。その一方で、このデバイスの実施形態には、1以上の軸受表面の使用を含むこともできる。上記アクチュエーションフレーム528およびベースフレーム529はまた、相対運動を容易にするための特徴をいくらでも含むことができる。例えば、図に示されているように、フレーム528,529には、ネスティングタイプの突起およびスロット558を設けることができ、互いに動きあうフレーム528,529を可能にする。
【0173】
図40Cは、フレーム528,529が互いに動きあうときの図40Aのアセンブリを示している。示されている変位の程度は、説明目的のためであると気が付くべきである。変位時に、屈曲部552は、機械的に圧力を加えられた状態または変形した状態に入り、タブ554,556の対抗する力をもたらす。図40Dは、図40Cのサスペンションアセンブリの側面図を示している。さらに、このサスペンションアセンブリは、変位形状にあるとき、フレーム528,529間の分離を維持することができる。
【0174】
一実施形態において、上記屈曲部552は、フレーム528,529の動きを、電場応答性高分子アクチュエータの最大変位未満に打ち消しまたは制限するよう構成または選択することができる。このオプションは、アクチュエータの変位を好ましい範囲内に制限することによってアクチュエータの寿命を延ばすことができる。
【0175】
図41は、ベースフレーム528の部分的底面図を示している。このベースフレーム528は、この明細書に記載されているデバイスの実施形態のモーションを制御するための更なる態様を備えている。この実施形態において、ベースフレーム528およびアクチュエーションフレーム529は、嵌め合わせ停止アセンブリ560を備えている。図に示されているように、この停止アセンブリ560は、突起部562とスロット564とを備えている。これらの突起部562およびスロット564は、これらの構造体間で滑り運動を可能にするために、共にネスト化されている。この例において、停止アセンブリ560の突起部562は、アクチュエーションフレームに連結されている、または、アクチュエーションフレームの一部である。一方スロット564は、ベースフレーム528内に形成され得る。このシステムの実施形態は、スロットがアクチュエーショントレイにあり、突起部がベーストレイにある反対の構造を含んでいる。どのような場合でも、この停止アセンブリ560は、突起部562とスロット564との間の間隙を用いてトレイの動きを制限する。結果として、トレイの動きは、アクチュエーションの最大変位未満になるように構成され得る。この停止メカニズムは、アクチュエータが、その変位の最大範囲を超えて動くことができないようにすることによって、アクチュエータへの損害を防ぐことができる。
【0176】
この停止アセンブリの更なる実施形態は、図41に示されている停止アセンブリからの様々な変更を含んでいる。例えば、代わりの実施形態において、突起部は、スロットまたは他のキー溝内にネスト化することができ、ベースフレーム全体を通ってスロットを作り出す必要性が無いようにする。図41はまた、ノッチ566を設けているボトムフレーム529を示している。このノッチ566は、あらゆるケーブルに適合する、または、アクチュエーションフレームのタブ部分554の動きを可能にすることができる。
【0177】
図42A−図42Fは、最終配置のための可動構成要素を有するサスペンションアセンブリをデバイスに取り付けている一例を示している。図42Aは、固定具600上に配置された屈曲部552として用いられる材料のストリップを示している。この屈曲部は、様々な形状およびサイズおよび材料から構成することができるが、屈曲部の一実施形態では、ステンレス鋼材料から成っている。次に、図42Bに示されているように、このプロセスは、固定具600上にベースフレーム528を配置することと、ベースフレーム528を位置合わせすることとを含み、一部分556が屈曲部552を嵌め込む(または嵌め込む可能性がある)ことができるようにする。図示の実施形態において、ベースフレーム528は、屈曲部552上に予め形成され(予め曲げられ)、配置されたタブ556を有している。また、このタブ556は、ベースフレーム528の位置決め後に、屈曲部552について曲げるまたは固定することができる。代わりの実施形態において、ベースフレーム528の一部分556は、少しも曲げられること無く屈曲部552に簡単に取り付けることができる(例えば、図41に示されている)。ベースフレーム528に屈曲部552を取り付けるために、様々なプロセスを用いることができる。例えば、タブ556は、屈曲部552に溶接することもできる。このような場合には、タブ556と屈曲部552との間に電極を配置することもできる。
【0178】
図42Cは、フレームベース528上の電場応答性高分子アクチュエータ524の位置決め後のプロセスを示している。説明するために、電場応答性高分子アクチュエータ524は、電力供給または他の電気回路無しで示されている。次に図42Dに示されているように、アクチュエータフレーム529は、電場応答性高分子アクチュエータ(図42Dに示さず)上に配置され、アクチュエーションフレームの一部分(この場合タブ554)が、屈曲部552を嵌め込むことができるように位置合わせされる。このタブ554は、この明細書で説明されたあらゆる方法で屈曲部に固定され得る。
【0179】
図42Eは、屈曲部552が取り除かれた後のアセンブリプロセスの状態を示している。示されている例において、屈曲部552を取り除くことは、ベースフレームおよびアクチュエーションフレームを連結させるための4つの別々のサスペンションアセンブリ550を作り出す。図42Fは、アクチュエーションフレーム上にユーザインターフェース532を連結するステップを示している。このアセンブリは、ハウジングまたは他のカバーに取り付けることができる。図示していないが、このアセンブリは、(この明細書で説明されたような)様々な軸受表面を設けることができ、構成要素の動きの助けとなる。
【0180】
触覚エレクトロニクスを駆動するために用いられる回路技術は、回路の設置面積を最適化し(すなわち、回路のサイズを低減する)、触覚アクチュエータの効率を高め、そしてコストを潜在的に低減するよう選択することができる。次の図面は、このような回路ダイアグラムの例を特定する。図43Aは、フォトフラッシュコントローラのための電力供給装置を備えている一例を示している。図43Bは、閉ループフィードバックを伴うプッシュプルMOSFET(push-pull Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を備えている第2例の回路を示している。
【0181】
本発明の他の詳細に関しては、材料および構造に関連した代替物は、当業者の技術水準の範囲内で用いることができる。この材料および代替の関連した構造は、一般的に、あるいは、論理的に使用されるような追加行為に関して、本発明の方法ベースの態様についても同じことが当てはまる。さらに、本発明は、いくつかの実施形態、任意に様々な特性の組み合わせに関して記載されているが、本発明の実施形態の各々に関して予定されているように記載され、または示されているものに限定されることはない。記載された発明に対して様々な変化を作り出すこともできるし、本発明の真の精神および範囲から離れることなく、均等物(ここに列挙されたものであれ、簡潔化のために含まれないものであれ)を代用することもできる。示されているあらゆる独立した部分またはサブアセンブリが、その設計において一体化され得る。このような変更等は、アセンブリに対する設計の原則によって行われ、あるいは、導かれ得る。
【0182】
記載された本発明の実施形態のどんな任意の特性でも、単独で、あるいは、本明細書に記載されている1以上のどんな特性とでも組み合わせて、説明し、主張することができる。単数の事項への言及は、複数の同じ事項が存在する可能性を含む。より具体的に言うと、本明細書および添付の請求項では、単数形「a」、「an」、「said」、「the」は、複数でないことが明確に記載されていない限り、複数のものを含む。言い換えれば、上記説明および後述の請求項において、上記冠詞の使用は、当該事項の「少なくとも1つ」という文言を考慮に入れる。いかなる任意の構成要素をも排除するように、請求項を起草できる。そのため、請求項の構成要素の列挙に関連して、「ただ(solely)」、「のみ(only)」等のような排他的用語を使用することによって、あるいは、「否定的な(negative)」限定を使用することによって、請求項からいかなる任意の構成要素をも排除することを意味している。上記排他的用語を使用せずに、請求項における「備える、含む、有する(comprising)」を用いる場合は、構成要素に与えられている番号が請求項に列挙されているかどうかに関係なく、どんな追加構成要素の包含も可能にするものとする。あるいは、特性の追加が、請求項に説明されている構成要素の本質を変形するものとしてみなされ得る。その他定められたものとして、本明細書において特別に定められたものでない限り、本明細書で使用されている技術的および科学的用語は、請求項の効力を維持している間、可能な限り、一般に広義に理解される意味が与えられ得る。
【0183】
本発明は、説明のため上述において詳細に記載されているが、当然のことながら、このような詳細は単に説明目的のために存在しており、様々な実施形態が、特許請求の範囲により限定されている場合を除き、本発明の精神と範囲から離れることなく当業者により作り出され得る。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2009年10月19日に出願され、出願番号No,61/253,007、発明の名称「屈曲アセンブリおよび触覚フィードバック装置のための固定具」である米国非仮出願であって、その内容のすべてを、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0002】
本願は、触覚フィードバックを提供するための(これに限定されないが)電場応答性高分子変換器を備えるアクチュエータにより駆動される要素を補助するための屈曲アセンブリの使用を対象としている。
【背景技術】
【0003】
今日用いられている極めて多くの種類の装置は、電気エネルギーを機械的(力学的)エネルギーに変換するために、何種類かのアクチュエータに依存している。逆に言えば、多くの発電アプリケーションは、機械的動作を電気エネルギーに変換することによって作動する。このように機械的エネルギーを取り入れるために用いられる場合には、同種のアクチュエータをジェネレータと呼ぶことができる。さらに、物理的刺激、例えば振動や圧力を測定目的の電気信号に変換するために上記構造が用いられる場合、センサと位置付けられ得る。さらに、「変換器(transducer)」という言葉は、一般的に、これらのあらゆる装置に言及するために用いることができる。
【0004】
変換器を製造するために、多くの設計上の判断が先進の誘電性エラストマー材料を選択し、用いることを支持している。この誘電性エラストマー材料は、「電場応答性高分子(EAP)」とも呼ばれる。上記判断は、ポテンシャル電力、電力密度、電力変換/電力消費、大きさ、重量、コスト、応答時間、デューティーサイクル、サービス要件、環境影響等を含む。そのため、多くのアプリケーションにおいて、電場応答性高分子(EAP)技術は、圧電物質、形状記憶合金(SMA)およびモータやソレノイド等の電磁気装置に対する理想の代替品を提供する。
【0005】
EAP装置およびそれらアプリケーションの例は、米国特許No.7,394,282、7,378,783、7,368,862、7,362,032、7,320,457、7,259,503、7,233,097、7,224,106、7,211,937、7,199,501、7,166,953、7,064,472、7,062,055、7,052,594、7,049,732、7,034,432、6,940,221、6,911,764、6,891,317、6,882,086、6,876,135、6,812,624、6,809,462、6,806,621、6,781,284、6,768,246、6,707,236、6,664,718、6,628,040、6,586,859、6,583,533、6,545,384、6,543,110、6,376,971、6,343,129、および、米国特許出願公開No.2009/0154053、2008/0180875、2008/0157631、2008/0116764、2008/0022517、2007/0230222、2007/0200468、2007/0200467、2007/0200466、2007/0200457、2007/0200454、2007/0200453、2007/0170822、2006/0238079、2006/0208610、2006/0208609、2005/0157893、および、2009年1月22日に出願された米国特許出願No.12/358,142、および、PCT出願No.PCT/US10/26829、PCT国際公開No,WO2009/067708、WO2010/054010、WO2010/085575に記載されており、その内容のすべてを、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0006】
EAP変換器は、変形可能な特性を有すると共に、薄膜誘電性エラストマー材料により仕切られている2つの電極を備える。これらの電極間に電圧差を印加すると、逆帯電した電極が互いに引きあって、それらの間で誘電性高分子層を圧迫する。上記電極が互いに距離を縮めるように引き合うので、誘電性高分子フィルムはより薄く(Z軸成分が縮まる)なり、(X軸およびY軸に沿って)平面方向に延びる。言い換えれば、このフィルムの変位は面内である。EAPフィルムはまた、(Z軸に沿って)フィルム構造体に対して直角方向に動くよう構成することもできる。言い換えれば、このフィルムの変位は面外である。米国特許出願公開No,2005/0157893は、面外の変位をもたらすEAPフィルムの構図を開示すると共に、表面の変形あるいは厚みモードの偏差にも言及している。
【0007】
EAPフィルムの材料および物理的特性は、変換器によって被る表面の変形をカスタマイズするために、変形し、制御することができる。より具体的に言うと、高分子フィルムと電極材料との間の相対的弾性、高分子フィルムと電極材料との間の相対的厚さ、高分子フィルムおよび/または電極材料の厚さの変化、(局部的な活性領域と非活性領域をもたらす)高分子フィルムおよび/または電極材料の物理的パターン、EAPフィルム全体に配置されている張力または予歪み、フィルムに印加される電圧量またはフィルム上に誘起されるキャパシタンス等の要因は、活性状態において、フィルムの表面の特徴をカスタマイズするために制御し、変形することができる。
【0008】
このようなEAPフィルムによりもたらされる上述の利点から利益を得るであろう、非常に多くの変換器ベースの出願が存在する。このような出願の1つは、ユーザインターフェースにおいて、触覚フィードバック(ユーザの体に加えられた力を通して、ユーザに情報を伝達すること)を作るためのEAPフィルムの使用方法を含んでいる。一般的に、ユーザにより引き起こされた力に応じて、触覚フィードバックを使用する周知のユーザインターフェースデバイスは多く存在する。触覚フィードバックを使用できるユーザインターフェースの実例は、キーボード、キーパッド、ゲームコントローラ、リモコン装置、タッチスクリーン、コンピュータマウス、トラックボール、スタイラスペン、ジョイスティック等を含んでいる。このユーザインターフェースは、デバイスからのフィードバックまたは情報について、ユーザが操る、係合する、および/または観察するどんな表面をも含むことができる。このようなインターフェース表面の実例は、これに限定されないが、キー(例えば、キーボードのキー)、ゲームパッドまたはボタン、ディスプレイスクリーン等を含んでいる。
【0009】
これらの種類のインターフェースに提供される触角フィードバックは、振動、脈動、スプリング力等の物理的感覚の形であり、ユーザは、直接的に(例えば、スクリーンをタッチすることによって)、間接的に(例えば、携帯電話がハンドバッグやかばんの中で振動するときのような振動の効果によって)、あるいは、別の感覚で(例えば、圧力変動(pressure disturbance)を作り出すが、従来の意味における音声信号を生成しない運動体のアクションによって)感知する。
【0010】
多くの場合、触覚フィードバックを持つユーザインターフェースが、ユーザにより引き起こされるアクションを「受け取る」入力装置の他に、このアクションが開始されたことを検知して触覚フィードバックを提供する出力装置にもなることができる。実際のところは、ユーザインターフェースデバイスの接触またはタッチされる一の部分または表面(例えばボタン)の位置は、ユーザにより加えられた力によって、少なくとも1つの自由度に沿って変更される。この加えられた力は、接触部分が位置を変更し、触覚フィードバックをもたらすために、ある最小閾値に届く必要がある。接触部分の位置の変更の達成またはレジストレーションは、応答力(例えば、跳ね返り、振動、脈動等)をもたらす。この応答力は、ユーザにより影響を与えられた装置の接触部分にも与えられて、触覚を通じてユーザに伝達される。
【0011】
スプリングバック、「双安定(bistable)」または「二相(biphase)」型の触覚フィードバックを用いるユーザインターフェース装置の一般的な例の1つは、マウス上のボタン、キーボード、タッチスクリーン、または他のインターフェースデバイスである。このユーザインターフェースは、加えられた力が特定の閾値に達するまで動かず、特定の閾値ポイントにおいて、相対的に軽く下方向に動き、その後止まる。このような感覚をまとめて、ボタンを「クリックすること」として定義される。あるいは、力のプロファイルを変化させる(例えば、減少)特定の閾値に至るまで、次第に増加する抵抗力を伴って表面は移動する。ユーザにより与えられた力は、大体、ボタン表面に対して垂直な軸に沿っていて、ユーザが感じる応答(相反)力も同様である。しかし、実施形態には、このボタン表面に対して横方向つまり面内でユーザにより与えられた力の使用を含んでいる。
【0012】
別の例において、ユーザがタッチスクリーン上の入力データを入力すると、このスクリーンは、一般に、聴覚的合図と共に、聴覚的合図無しで、スクリーン上のグラフィカルチェンジによって入力データを確認する。タッチスクリーンは、色彩変化や形状変化等、スクリーン上の視覚的合図方法によりグラフィカルフィードバックを提供する。タッチパッドは、スクリーン上のカーソルを用いて視覚フィードバックを提供する。上記合図はフィードバックを提供するが、指で作動する入力装置からの最も直感的で効果的なフィードバックは、キーボードキーの戻り止め又はマウスホイールの戻り止め等、触覚フィードバックである。したがって、タッチスクリーンに触覚フィードバックを組み込むことが望ましい。
【0013】
触覚フィードバック機能は、特にデータ入力との関連で、ユーザの生産性と効率性を改善することが知られている。ユーザに伝えられる触覚感覚の特性および質のさらなる改善は、このような生産性と効率性をさらに向上させることができると、本発明者は信じている。上記改善が、製造が容易かつ費用効率が高く、従来の触覚フィードバック装置が要求するスペース、サイズおよび/または質量を増加することがなく、望ましくは少なくする感覚フィードバックメカニズムにより提供されるならば、さらに有益であろう。
【0014】
EAPベースの変換器の組み込みは、上記ユーザインターフェースデバイスの触覚相互作用を改善することができるが、このユーザインターフェースデバイスのプロファイルを増加させることなく、上記EAP変換器を用いるべき必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0015】
本願発明は、感覚アプリケーションのための電場応答変換器を有する装置、システムおよび方法を含む。一の実施形態において、感覚フィードバックを有するユーザインターフェースデバイスが提供されている。本発明の利点の1つは、ソフトウェア、あるいは、ユーザインターフェースデバイスまたは関連した構成要素により生成された別の信号によってインプットが引き起こされたときはいつでも、ユーザインターフェースデバイスのユーザに触覚フィードバックを提供することである。
【0016】
この明細書に記載された方法および装置は、EAPベースの変換器システムの構造および機能を改良しようとする。本願開示は、様々なアプリケーションに用いるためのカスタマイズされた変換器の構成を説明する。本願開示はまた、EAP変換器を駆動するための非常に多くの装置および方法と、機械的作動、電力生成および/またはセンシングのためのEAP変換器ベースの装置およびシステムとを提供する。
【0017】
これらの本発明の特徴、目的および利点は、下記にさらに十分に説明するように、本発明の詳細を読んだとき当業者に明らかになる。
【0018】
これらの設計に用いられ得るEPAM(電場応答性高分子型人工筋肉(electroactive polymer artificial muscle))カートリッジは、これに限定されないが、プラナー(Planar)、ダイアフラム(Diaphragm)、厚みモード(Thickness Mode)、および受動連結装置(Passive Coupled device)(ハイブリッド(Hybrids))を含む。
【0019】
本願開示は、ユーザによる操作のための装置であって、出力信号に応えて改良された効果を生じる装置を含んでいる。一実施形態において、この装置は、ベースフレームを備えている。また、この装置は、このベースフレームに連結された少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータを備えている。この電場応答性高分子アクチュエータは、触覚フィードバックを提供するために入力中の活性化信号に応えて動くように構成された電場応答性高分子フィルムを有している。また、この装置は、上記電場応答性高分子フィルムに連結されたアクチュエーションフレームを備えていて、この電場応答性高分子フィルムの運動が、このアクチュエーションフレームの運動を引き起こすと共に、少なくとも1つの機械的屈曲部が、上記アクチュエーションフレームの一部に上記ベースフレームの一部を連結させる。この機械的屈曲部は、上記ベースフレームに対して上記アクチュエーションフレームを浮かせて、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を可能にする。この機械的屈曲部は、これらの2つの部材を、それらの間での運動を可能にする任意の様々な方法で浮かせることができる。例えば、これらの部材は、これらの部材が互いに対して移動可能である限りは、物理的に離れることもできるし、接触することもできる。
【0020】
ほとんどの場合、本願開示に従った装置は、複数の屈曲部またはサスペンションアセンブリを備える。この屈曲部またはサスペンションアセンブリは、特定のアプリケーションに応じて、分離または連結することができる。
【0021】
一実施形態において、上記装置は、ユーザインターフェース部を備え、上記アクチュエーションフレームが、このユーザインターフェース部の一部に連結されているか、あるいは、このユーザインターフェース部の一部を形成している。ユーザインターフェースの例には、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチパネル、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラが含まれている。しかし、この明細書で説明される原理は、可動部分を必要とするあらゆる装置で用いることができる。
【0022】
この明細書に記載された様々な装置は、上記ベースフレームに平行な平面における、上記機械的屈曲部が、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を制限することができるように構成することができる。例えば、上記機械的屈曲部の一部は、上記ベースフレームおよび上記アクチュエーションフレームに堅く取り付けることができ、この機械的屈曲部の第1部分と第2部分との間にある機械的屈曲部の拘束されない第3部分は、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動に応えて曲がるようになっている。更なる実施形態において、屈曲部は、連結された部材の運動を制限する、あるいはその反対に作用する構造特性を有するよう構成することができる。例えば、上記拘束されない第3部分は、取り付けられた部材の運動を制限することができ、その結果、電場応答性高分子フィルムの運動を制限して、この取り付けられた部材をこの電場応答性高分子フィルムの最大変位未満にする。一実施形態において、上記アクチュエーションフレームおよび/またはベースフレームは、それぞれのフレームの運動平面とは同一平面にない部分を設けることができ、この部分は、1以上の機械的屈曲部に各々取り付けられている。
【0023】
この明細書に記載されている様々な装置には、上記部材の必要以上の運動を妨げる停止アセンブリを設けることができる。例えば、停止アセンブリには、嵌合ポケットまたは凹部内を移動する突起部を設けることができる。この突起部とスロット/凹部との間のサイズ差は、装置の最大変位を決定することができる。停止アセンブリを有する装置の一実施形態において、この停止アセンブリは、ベースフレームまたはアクチュエーションフレーム上に突起部を備えると共に、このアクチュエーションフレームまたはベースフレームにそれぞれ嵌合スロットを設けている。このスロットは、この突起部を受け取るよう構成されると共に、上記ベースフレームの運動を制限するために上記突起部よりも大きく形成されている。
【0024】
本願開示はまた、フィードバックデバイスを製造するための方法を含んでいる。一実施形態において、この方法は、フィードバックを提供するため電圧を印加したときに変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを含む電場応答性高分子変換器を第1フレームに取り付けることを含んでいる。また、この方法は、上記電場応答性高分子フィルムを第2フレームに連結することを含んでいる。また、この方法は、上記第1フレームを機械的フレックシャ部の第1部分に取り付け、上記第2フレームをこの機械的屈曲部の第2部分に取り付けることによって、上記第2フレームに対して上記第1フレームを浮かせることを含んでおり、上記機械的屈曲部の第3部分には拘束されておらず、かつ、上記第1部分および上記第2部分の相対運動を可能にするために曲がる。この第1フレームおよび第2フレームは、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラ等のユーザインターフェース部(またはユーザインターフェース表面)を含んでいてもよく、また、これらのユーザインターフェース部の一部であってもよい。
【0025】
この方法は、上記第1フレームおよび上記第2フレームを複数の別々の機械的屈曲部に取り付けることによって上記第2フレームに対して上記第1フレームを浮かせることを含むこともできる。
【0026】
本願開示はまた、装置の可動部材間の変位を制御するための方法を含んでいる。このような方法の一例は、装置を提供することを含んでいる。この装置は、機械的屈曲部によって第2フレーム部に対して浮かされた第1フレーム部を備えている。この機械的屈曲部は、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間の相対運動を可能にする。この第1フレームおよび第2フレームは、静止位置と変位位置とを有している。また、この装置は、電圧を印加するときに変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを有する電場応答性高分子変換器を備えている。この電場応答性高分子変換器は、上記第1フレーム部に連結され、この電場応答性高分子フィルムは、上記第2フレーム部に連結されている。また、この方法は、上記電場応答性高分子フィルムの変位を引き起こすために上記電場応答性高分子変換器を活性化することを含んでいる。この電場応答性高分子フィルムの変位は、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を上記変位位置まで動かして、上記機械的屈曲部の機械的ストレスを作り出す。また、この方法は、上記電場応答性高分子への信号を弱めて、上記機械的屈曲部の上記機械的ストレスが、上記静止位置に上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を戻すアシストをすることを可能にし、一方で上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間のサスペンションを維持することを含んでいる。
【0027】
上記方法は、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を複数の別々の機械的屈曲部に取り付けることによって、この第2フレーム部に対して第1フレーム部を浮かせることを含むこともできる。上述のように、この第1フレーム部または第2フレーム部は、ユーザインターフェース部を含んでいてもよく、また、このユーザインターフェース部の一部であってもよい。このユーザインターフェース部の例は、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラを含むことができる。
【0028】
本発明は、これに限定されないが、タッチパッド、タッチスクリーンまたはキーパッドまたはコンピュータに関する同種のもの、電話、PDA(携帯情報端末(Personal Digital Assistance))、ビデオゲームコンソール、キーボード、およびゲーミングコントローラ等を含むどんなタイプのユーザインターフェースデバイスにも用いることができる。
【0029】
本発明の他の詳細に関しては、材料および代替の関連した構造は、当業者の技術水準の範囲内で用いることができる。この材料および代替の関連した構造は、一般に、または、論理的に用いられるような追加行為に関して、本発明の方法ベースの態様についても当てはまる。さらに、本発明は、任意に様々な特徴を組み込んでいる複数の例を参照して説明されているが、本発明の実施形態の各々に関して予定されているように記載され、または示されているものに限定されることはない。記載された発明に様々な変化を作り出すこともできるし、本発明の真の精神と範囲から離れることなく、均等物(この明細書に列挙されていても、一定の簡潔さのために含まれていなくても)を代用することもできる。あらゆる示されている独立した部分またはサブアセンブリが、これらの設計に一体化され得る。このような変化等は、アセンブルに対する設計の原理によって行われ、あるいは、導かれ得る。
【0030】
これらの本発明の特徴、目的および利点は、下記にさらに十分に説明するように、本発明の詳細を読んだとき当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、添付の図面と同時に読んだときに、以下に記載された説明から最も理解される。理解を助けるために、図面に共通している同じ構成要素を示すため(差し支えなければ)同じ参照番号を用いている。以下のものが図面に含まれている。
【図1A】図1Aは、電場応答性高分子(EAP)変換器が、ディスプレイスクリーン又はディスプレイセンサと装置の本体とに連結しているときに、触覚フィードバックを用いることができるユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図1B】図1Bは、EAP変換器が、ディスプレイスクリーン又はディスプレイセンサと装置の本体とに連結しているときに、触覚フィードバックを用いることができるユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図2A】図2Aは、ユーザ入力に対して触覚フィードバックを伴う反応をする表面を有するディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースを示す断面図である。
【図2B】図2Bは、ユーザ入力に対して触覚フィードバックを伴う反応をする表面を有するディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースを示す断面図である。
【図3A】図3Aは、アクティブガスケットに形成されたアクティブEAPを有する、柔軟膜により覆われているディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースの他の実施形態を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、アクティブガスケットに形成されたアクティブEAPを有する、柔軟膜により覆われているディスプレイスクリーンを備えるユーザインターフェースの他の実施形態を示す断面図である。
【図4】図4は、ディスプレイスクリーンのエッジに配置されているバネ付勢されたEAP膜を有するユーザインターフェース装置のさらなる実施形態を示す断面図である。
【図5】図5は、ディスプレイスクリーンが複数の柔軟ガスケットを用いているフレームに連結されており、ディスプレイに対する駆動力が複数のEAPアクチュエータダイヤフラムとして存在するユーザインターフェース装置を示す断面図である。
【図6A】図6Aは、ディスプレイに連結された波形EAP膜または波形EAPフィルムを有するユーザインターフェース230を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、ディスプレイに連結された波形EAP膜または波形EAPフィルムを有するユーザインターフェース230を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態による電圧印加前の変換器を示す上面斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施形態による電圧印加後の変換器を示す上面斜視図である。
【図8A】図8Aは、ユーザインターフェースに使用する感覚フィードバック装置を示す上面分解斜視図である。
【図8B】図8Bは、ユーザインターフェースに使用する感覚フィードバック装置を示す下面分解斜視図である。
【図9A】図9Aは、本発明の組み立てられた電場応答性高分子アクチュエータの上面図を示す。
【図9B】図9Bは、図8Aのアクチュエータのフィルム部分の上面図を示し、特に、二相構造のアクチュエータを示す。
【図9C】図9Cは、図8Aのアクチュエータのフィルム部分の下面図を示し、特に、二相構造のアクチュエータを示す。
【図9D】図9Dは、装置のフレームから分離されたディスプレイスクリーンの表面全体に配置するための電場応答性高分子変換器の配置の例を示す。
【図9E】図9Eは、装置のフレームから分離されたディスプレイスクリーンの表面全体に配置するための電場応答性高分子変換器の配置の例を示す。
【図9F】図9Fは、本明細書に記載されたユーザインターフェース装置に使用するアクチュエータの配置を示す分解斜視図である。
【図9G】図9Gは、本明細書に記載されたユーザインターフェース装置に使用するアクチュエータの配置の組み立てた状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、人間の指で装置の接触表面と有効接触するユーザインターフェースを示す側面図である。
【図11A】図11Aは、グラフを使って、単相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの力−ストローク関係を示す。
【図11B】図11Bは、グラフを使って、単相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの電圧レスポンス曲線を示す。
【図11C】図12Aは、グラフを使って、二相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの力−ストローク関係を示す。
【図11D】図12Bは、グラフを使って、二相モードで作動する図9A−図9Cのアクチュエータの電圧レスポンス曲線を示す。
【図12A】図12Aは、二相変換器の他の実施形態を示す。
【図12B】図12Bは、二相変換器の他の実施形態を示す。
【図12C】図12Cは、二相変換器の他の実施形態を示す。
【図12D】図12Dは、図12A−図12Cの二相変換器に対する変位−時間グラフを示す。
【図13】図13は、感覚フィードバック装置を作動するための(電源および制御電子機器を含む)電子回路を示すブロック図である。
【図14A】図14Aは、ユーザ入力装置に連結しているEAPアクチュエータの平面配置の例を示す斜視図である。
【図14B】図14Bは、ユーザ入力装置に連結しているEAPアクチュエータの平面配置の例を示す斜視図である。
【図15A】図15Aは、変換器がアクティブであるとき、作業出力を提供するために高分子表面の特徴を利用するアクチュエータとして用いられたEAP変換器を概略的に示す。
【図15B】図15Bは、変換器がアクティブであるとき、作業出力を提供するために高分子表面の特徴を利用するアクチュエータとして用いられたEAP変換器を概略的に示す。
【図16A】図16Aは、本発明のアクチュエータの典型的な構成を示す横断面図である。
【図16B】図16Bは、本発明のアクチュエータの典型的な構成を示す横断面図である。
【図17A】図17Aは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図17B】図17Bは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図17C】図17Cは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図17D】図17Dは、本発明の変換器内部で、プリント基板(PCB)またはフレックスコネクタに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一のステップを示す。
【図18A】図18Aは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図18B】図18Bは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図18C】図18Cは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図18D】図18Dは、本発明の変換器内部で、電気ワイヤに連結するための電気接続を行うためのプロセスの一ステップを示す。
【図19】図19は、電気接続のピアシングタイプを持つ本発明の変換器を示す横断面図である。
【図20A】図20Aは、ボタンタイプアクチュエータでのアプリケーションに対する厚みモード変換器を示す上面図である。
【図20B】図20Bは、ボタンタイプアクチュエータでのアプリケーションに対する電極パターンを示す上面図である。
【図21】図21は、図6A,図6Bのボタンタイプアクチュエータの配置を用いているキーパッドを示す上面図である。
【図22】図22は、人間の手形状の新しいアクチュエータに用いるための厚みモード変換器の上面図である。
【図23】図23は、連続したストリップ構造の厚みモード変換器の上面図である。
【図24】図24は、ガスケットタイプアクチュエータでのアプリケーションに対する厚みモード変換器の上面図である。
【図25A】図25Aは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図25B】図25Bは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図25C】図25Cは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図25D】図25Dは、各種ガスケットタイプアクチュエータの1つを用いているタッチスクリーンを示す横断面図である。
【図26A】図26Aは、相対的な活性領域および非活性領域の位置が上述の実施形態から反転している、本発明の厚みモード変換器の他の実施形態を示す横断面図である。
【図26B】図26Bは、相対的な活性領域および非活性領域の位置が上述の実施形態から反転している、本発明の厚みモード変換器の他の実施形態を示す横断面図である。
【図27A】図27Aは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27B】図27Bは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27C】図27Cは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27D】図27Dは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図27E】図27Eは、電場応答性慣性変換器の一実施形態を示す。
【図28A】図28Aは、電場応答性高分子アクチュエータに対する最適な触覚周波数内で正常に作動するための音声信号に合わせるための回路の一実施形態を示す。
【図28B】図28Bは、図28Aの回路によりフィルタにかけられた修正触覚信号の一実施形態を示す。
【図28C】図28Cは、単相電場応答性変換器に対して信号を作り出すための追加回路を示す。
【図28D】図28Dは、二相電場応答性変換器に対して信号を作り出すための追加回路を示す。
【図28E】図28Eは、本体の中に1以上の電場応答性アクチュエータを有し、慣性マスに連結された装置の一実施形態を示す。
【図28F】図28Fは本体の中に1以上の電場応答性アクチュエータを有し、慣性マスに連結された装置の一実施形態を示す。
【図29A】図29Aは、ユーザインターフェースデバイスに使用するときの電場応答性高分子変換器の一実施形態を示しており、この電場応答性高分子変換器では、この変換器の一部および/またはユーザインターフェースが、この変換器に電力を供給するためのスイッチを完成させている。
【図29B】図29Bは、ユーザインターフェースデバイスに使用するときの電場応答性高分子変換器の一実施形態を示しており、この電場応答性高分子変換器では、この変換器の一部および/またはユーザインターフェースが、この変換器に電力を供給するためのスイッチを完成させている。
【図29C】図29Cは、ユーザインターフェースデバイスに使用するときの電場応答性高分子変換器の一実施形態を示しており、この電場応答性高分子変換器では、この変換器の一部および/またはユーザインターフェースが、この変換器に電力を供給するためのスイッチを完成させている。
【図30A】図30Aは、電力供給のための2つのスイッチを形成するよう構成された電場応答性高分子変換器の別の実施形態を示す。
【図30B】図30Bは、電力供給のための2つのスイッチを形成するよう構成された電場応答性高分子変換器の別の実施形態を示す。
【図31A】図31Aは、機械的スイッチ効果を再現する触覚効果を作り出すための電場応答性高分子変換器の遅延活性化のグラフを示す。
【図31B】図31Bは、機械的スイッチ効果を再現する触覚効果を作り出すための電場応答性高分子変換器の様々な遅延活性化のグラフを示す。
【図32】図32は、電場応答性高分子変換器を駆動するための回路の一例を示しており、この電場応答性高分子変換器では、望ましい触覚効果を作り出すための保存された波形を搬送するための誘起信号(音声信号等)を用いている。
【図33A】図33Aは、シングル駆動回路での二相活性化を提供することによって電場応答性高分子変換器を駆動するための他の実施形態を示す。
【図33B】図33Bは、シングル駆動回路での二相活性化を提供することによって電場応答性高分子変換器を駆動するための他の実施形態を示す。
【図34A】図34Aは、図34Bの信号によって引き起こされる触覚効果後の残留運動を示している変位曲線の一例を示す。
【図34C】図34Cは、図34Dに示されている残留運動効果を弱めるために電子打ち消しを用いている変位曲線の一例を示す。
【図34D】図34Dは、触覚効果信号および打ち消し信号を示す。
【図35】図35は、電場応答性高分子変換器の電力供給のための環境発電回路の一例を示す。
【図36A】図36Aは、音声信号からのゼロ交差形状を用いている触覚信号の駆動の一例を示す。
【図36B】図36Bは、音声信号からのゼロ交差形状を用いている触覚信号の駆動の一例を示す。
【図36C】図36Cは、データが触覚効果から識別することができる情報信号に基づく触覚信号の駆動の一例を示す。
【図37A】図37Aは、ユーザによる操作のための、そして、出力信号に応じて改良された触覚信号を有する、様々なユーザインターフェースデバイスの一実施形態を示す。
【図37B】図37Bは、ユーザによる操作のための、そして、出力信号に応じて改良された触覚信号を有する、様々なユーザインターフェースデバイスの一実施形態を示す。
【図37C】図37Cは、ユーザによる操作のための、そして、出力信号に応じて改良された触覚信号を有する、様々なユーザインターフェースデバイスの一実施形態を示す。
【図38A】図38Aは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38B】図38Bは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38C】図38Cは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38D】図38Dは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図38E】図38Eは、アクチュエータにより生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成されたハウジングの一実施形態を示す。
【図39A】図39Aは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図39B】図39Bは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図39C】図39Cは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図39D】図39Dは、電場応答性高分子アクチュエータにより駆動する装置の、可動部を連結したサスペンションアセンブリを示す。
【図40A】図40Aは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図40B】図40Bは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図40C】図40Cは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図40D】図40Dは、フィードバックデバイスの可動部により変位する屈曲部を有するサスペンションアセンブリの略図を示す。
【図41】図41は、本明細書に記載された様々な実施形態と共に用いるための停止アセンブリの一例を示す。
【図42A】図42Aは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42B】図42Bは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42C】図42Cは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42D】図42Dは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42E】図42Eは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図42F】図42Fは、装置内の最終配列のための、可動部を有するサスペンションアセンブリの組み立ての一例を示す。
【図43A】図43Aは、写真撮影用フラッシュコントローラのための電力供給の一例を示す。
【図43B】図43Bは、閉ループフィードバックを伴うプッシュプルMOSFET(push-pull metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)アレイを設けている回路の2番目の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願発明の装置,システムおよび方法を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
上述したように、ユーザインターフェースを必要とする装置は、この装置のユーザスクリーン上の触覚フィードバックを用いることにより改良することが可能である。図1Aおよび図1Bは、このような装置190の簡単な例を示している。それぞれの装置は、ユーザがデータを入力する、あるいは、ユーザがデータを見るためのディスプレイスクリーン232を有する。このディスプレイスクリーンは、装置の本体またはフレーム234に連結されている。可搬性の構造体のもの(例えば、携帯電話、コンピュータ、製造装置等)、あるいは、他の可搬性のない構造体に加えられたもの(情報ディスプレイパネルのスクリーン、現金自動入出金機のスクリーン等)を問わず、明らかに、様々な装置がこの開示の範囲内に含まれる。この開示の目的のために、ディスプレイスクリーンはまた、タッチパッドタイプの装置を含めることができる。タッチパッドタイプの装置は、ユーザ入力または相互作用が、モニター上で、あるいは、現実のタッチパッド(例えば、ラップトップコンピュータのタッチパッド)から離れた位置で行われる。
【0034】
多くの設計上の判断が、電場応答性高分子(EAP)とも呼ばれる、先進の誘電性エラストマー材料の選択と使用を支持している。これは、特に、ディスプレイスクリーン232の触覚フィードバックを要求する場合の変換器の製造のためである。これらの判断は、ポテンシャル電力、電力密度、電力変換/電力消費、大きさ、重量、コスト、応答時間、デューティーサイクル、サービス要件、環境影響等を含む。そのため、多くのアプリケーションにおいて、EAP技術は、圧電物質、形状記憶合金(SMA)およびモータやソレノイド等の電磁気装置に対する理想の代替品を提供する。
【0035】
EAP変換器は、2つの薄膜電極を備え、これらの薄膜電極は、弾性特性を有すると共に、薄膜誘電性エラストマー材料により仕切られている。一実施形態において、このEAP変換器は、非弾性誘電性材料を含むこともできる。どのような場合でも、この電極に電圧差がある場合、逆帯電した電極は互いに引きあって、それらの間で誘電性高分子層を圧迫する。上記電極が互いに距離を縮めるように引き合うので、誘電性高分子フィルムはより薄く(Z軸成分が縮まる)なり、(X軸およびY軸成分が延びる)平面方向に延びる。
【0036】
図2A−図2Bは、ディスプレイスクリーン232を備えるユーザインターフェース装置230の一部分を示している。このディスプレイスクリーン232は、ディスプレイスクリーン上の情報、制御、刺激に反応して、ユーザが物理的に触れる表面を有する。ディスプレイスクリーン234は、どのタイプのタッチパッドまたはスクリーンパネル、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)等でもよい。さらに、インターフェース装置230のバリエーションでは、スクリーン上に画像が転置される「ダミー」スクリーン(例えば、プロジェクタやグラフィカルカバーリング)等のディスプレイスクリーン232を含むことができる。このスクリーンは、一般的なサインまたはディスプレイ等の固定された情報を表示する従来のモニターやスクリーンを含むことができる。
【0037】
どの場合においても、ディスプレイスクリーン232は、フレーム234(またはハウジングまたはその他の構造体。直接連結部または1以上の接地要素を介して、装置にスクリーンを機械的に連結するもの)と、スクリーン232をフレームまたはハウジング234に連結する電場応答性高分子(EAP)変換器236とを有する。本明細書で述べたように、EAP変換器は、スクリーン232のエッジに沿うことができる。または、EAP変換器のアレイを、フレームまたはハウジング234から距離をあけて配置されているスクリーン232の一部と接触させることができる。
【0038】
図2Aおよび図2Bは、包含されたEAP変換器236がアクティブガスケットを形成する基本的なユーザインターフェース装置を示す。タッチスクリーン232とフレーム234との間に、いくつものアクティブガスケットEAP236を連結することができる。一般的に、十分なアクティブガスケットEAP236が、要求される触角感覚を作り出すために提供される。しかし、その数は、特定のアプリケーションに依存しているため、しばしば変化する。この装置の一実施形態において、タッチスクリーン232は、ディスプレイスクリーンかセンサプレート(ディスプレイスクリーンは、センサプレートの後ろ側に位置する)を備えている。
【0039】
図2Aおよび図2Bは、非活性状態と活性状態との間でタッチスクリーン232を循環させるユーザインターフェース装置230を示している。図2Aは、タッチスクリーン232が非活性状態であるユーザインターフェース装置230を示している。この状態において、変換器を停止状態にさせているEAP変換器236には、フィールド(磁場、電場)が印加されない。図2Bは、あるユーザ入力がEAP変換器236を活性状態にして、このEAP変換器236がディスプレイスクリーン232を矢印238に示す方向に動かした後のユーザインターフェース230を示している。また、1以上のEAP変換器236の変位は、ディスプレイスクリーン232の方向性を有する動きを作り出すために変動することができる(例えば、スクリーン232全体よりもスクリーン232の一の領域を一様に動かすことが、別の領域よりもより大きな度合いで変位することを可能にする。)。明らかに、ユーザインターフェース装置230に連結された制御装置は、必要な周波数を持つEAPs236を循環させ、および/または、EAP236の偏向量を変化させるよう構成することができる。
【0040】
図3Aおよび図3Bは、ディスプレイスクリーン232を備えるユーザインターフェース装置230の他の実施形態を示している。この実施形態におけるディスプレイスクリーン232は、ディスプレイスクリーン232を防護するよう機能する柔軟膜240により覆われている。この場合もやはり、上記装置は、ベースまたはフレーム234にディスプレイスクリーン232を連結している複数のアクティブガスケットEAPs236を備えている。ユーザ入力に反応して、EAPs236に電場が加えられ、装置230が活性状態になるように変位がもたらされると、柔軟膜240と共にスクリーン232が変位する。
【0041】
図4は、ユーザインターフェース230のさらなる実施形態を示している。このユーザインターフェース230は、ディスプレイスクリーン232のエッジに配置されているバネ付勢されたEAP膜244を有している。このEAP膜244は、スクリーンの周囲、または、スクリーンがユーザに触覚フィードバックを作り出すことを可能にする位置のみに設置することができる。この実施形態において、不動態柔軟ガスケットまたは不動態柔軟バネ244は、スクリーン232に対する力を供給し、EAP膜242を緊張状態に置く。このEAP膜に電場を設けると(再びユーザ入力により信号を生成したとき)、EAP膜242は、スクリーン232の変位を引き起こすよう緩む。矢印246で示すように、ユーザ入力装置230は、上記ガスケット244によりもたらされる付バイアスに関連して、どんな方向のスクリーン232の動きでも作り出せるよう構成することができる。さらに、一部の(全てではない)EAP膜242の作動が、スクリーン232の一様でない動きを作り出す。
【0042】
図5は、ユーザインターフェース装置230のさらに別の実施形態を示す。この実施形態において、ディスプレイスクリーン232は、複数の柔軟ガスケット244を用いてフレーム234に連結されており、ディスプレイ234に対する駆動力が、複数のEAPアクチュエータダイヤフラム248として存在している。EAPアクチュエータダイヤフラム248はバネ付勢され、電場を加えたとき、ディスプレイスクリーンを駆動することができる。図に示すように、このEAPアクチュエータダイヤフラム248は、対向するEAP膜をバネの左右に有する。この構成において、EAPアクチュエータダイヤフラム248の両側を活性化することによって、アセンブリが中立点に固定される。EAPアクチュエータダイヤフラム248は、人間の腕の動きを制御する対向している二頭筋および三頭筋のように作動する。図示していないが、米国特許出願No,11/085,798およびNo,11/085,804に説明されているように、アクチュエータダイヤフラム248は、二相出力アクションを提供するために、および/または、より丈夫なアプリケーションでの使用に対して出力を増幅するために、積み重ねることができる。
【0043】
図6Aおよび図6Bは、ユーザインターフェース230の別の実施形態を示している。このユーザインターフェース230は、複数のポイントまたは複数の接地要素252に、ディスプレイ232とフレーム234との間に連結されたEAP膜またはフィルム242を設けて、EAPフィルム242にコルゲーションまたは折り目を提供する。図6Bに示すように、EAPフィルム242への電場の印加は、コルゲーションの方向への変位を引き起こし、フレーム234に対してディスプレイスクリーン232を偏向させる。ユーザインターフェース230には、任意に、ディスプレイ232とフレーム234との間に連結された付勢バネ250、および/または、ディスプレイスクリーン232の一部分(あるいは全部)を覆う柔軟保護膜240を設けることができる。
【0044】
上述の概略的に説明された図は、EAPフィルムまたは変換器を用いる触知性フィードバック装置の典型的な構造を説明している。多くの実施形態がこの開示の範囲内にあり、例えば、この装置の実施形態において、スクリーンアセンブリまたはパッドアセンブリ全体ではなく、センサプレートまたはセンサ要素(例えば、ユーザ入力で作動して、信号をEAP変換器に提供するもの)だけが動くようにEAP変換器を実施することができる。
【0045】
どんなアプリケーションにおいても、EAP膜によるディスプレイスクリーンまたはセンサプレートのフィードバック変位は、側方運動として感知される面内のみに、または、(垂直方向の変位として感知される)面外に存在することができる。また、プレート要素の角度変位または他のタイプの変位の組み合わせをもたらすために、EAP変換器材料は、単独で指定可能なセクション/動かせるセクションを提供するための部分に分けることもできる。さらに、(上記リストの出願および特許に開示されているような)多くのEAP変換器またはフィルムは、本願明細書に記載されているユーザインターフェースデバイスに組み込むことができる。
【0046】
本願明細書に記載されている装置の実施形態は、この装置のセンサプレート(またはディスプレイスクリーン)全体が触知性フィードバック要素として作動することを可能にする。これは、広範囲な多用途性を可能にさせる。例えば、事実上、スクロールホイールの機械的戻り止めをシミュレートするために、仮想キーストロークに反応して、もう1度スクリーンが弾む、あるいは、スクリーン上のスライドバー等のスクロール要素に反応して、スクリーンが連続した弾みを出力することができる。制御システムを使用することで、スクリーン上のユーザの指の正確な位置を読みとることにより3次元アウトラインを統合し、それに応じて、スクリーンパネルが3次元構造をシミュレートするよう動くことができる。十分なスクリーン変位およびスクリーンの有効質量が得られると、スクリーンの繰り返される振動が、携帯電話のバイブレーション機能に取って代わることもできる。このような機能は、テキストのブラウジングに適用することもできる。テキストの一行を(垂直に)スクロールすることは、触知性「バンプ」により表現され、戻り止めをシミュレートしている。ビデオゲームをするという状況では、本発明は、従来のビデオゲームシステムに用いられている振動モータを振動させることに対して、増大した双方向性とより細かいモーション制御を提供する。タッチパッドの場合では、特に、視覚障害者に対して、物理的合図によって、ユーザの双方向性およびアクセス可能性を改良できる。
【0047】
EAP変換器は、印加電圧に対して変位するよう構成することもでき、本発明の触知性フィードバック装置とともに用いられる制御システムのプログラミングを容易にする。例えば、ソフトウェアアルゴリズムは、ピクセルグレイスケールをEAP変換器変位に変形することができる。そのため、スクリーンカーソルの先端の下のピクセルグレイスケール値が連続して測定され、EAP変換器によって比例する変位に移動される。手をタッチパッド上で滑らせることによって、大まかな3Dテクスチャを感じる、または、感知することができる。同様のアルゴリズムをウェブページ上に適用することもできる。指がアイコン上を動いたとき、ページテクスチャにおけるバンプ、あるいは、ブザーボタンとして、アイコンの境界がユーザにフィードバックされる。これは、通常のユーザに対して、ネットサーフィンをしている間ずっと、全く新しい感覚経験を提供するであろうし、視覚的障害者に対して、欠くことのできないフィードバックをもたらすであろう。
【0048】
EAP変換器は、多くの理由により上記アプリケーションに最適である。例えば、重量が軽く、構成要素が最低限であるので、EAP変換器は非常に薄いプロファイル(外形)を提供し、それ故、感覚/触覚フィードバックのアプリケーションにおける使用に適している。
【0049】
図7Aおよび図7Bは、EAPフィルム構造体またはEAP膜10構造体の一例を示している。薄膜誘電性エラストマーフィルムまたは層12は、柔軟電極プレートまたは柔軟電極層14,16、あるいは、伸縮性電極プレートまたは伸縮性電極層14,16の間に挟まれており、容量性構造体または容量性フィルムを形成している。この誘電性層の長さ「l」と幅「w」(および合成構造体の誘電性層の長さ「l」と幅「w」)は、その厚さ「t」よりもはるかに大きい。一般に、上記誘電性層は、約10μmから約100μmの範囲内の厚さを有し、構造体の厚さ合計は、約15μmから約10cmの範囲内にある。加えて、電極14,16の弾性係数、厚さ、および/または微小形状を以下のように選択することが望ましい。すなわち、それらがアクチュエータにもたらす付加剛性が、ほとんどの場合、誘電性層12の剛性未満であり、比較的低い弾性係数(つまり、約100MPa以下であり、より一般的には、約10MPa以下である)を有するが、誘電性層12が各々の電極よりもおそらく厚くなるように選択する。これらの柔軟容量性構造体と共に用いるのに適している電極は、機械的疲労による破損を除いて、約1%以上の繰り返し使用による歪みに耐えることができるものである。
【0050】
図7Bに示すように、電圧を電極に印加すると、2つの電極14,16の異なる電荷が互いに引きつけられて、これらの静電引力が誘電性フィルム12を(Z軸に沿って)圧迫する。その結果、誘電性フィルム12は、電場の変化と共に偏向させられる。電極14,16は柔軟性であるので、誘電性層12と共に形状を変える。一般的に言えば、偏向は、誘電性層12の一部分の変位、膨張、収縮、ねじれ、線形歪みまたは領域歪み、あるいは他の変形を言う。例えば、容量性構造体10が使用されているフレーム(正確には「変換器」と呼ばれる)の構造に応じて、この偏向は、力学的仕事を作り出すよう用いられ得る。種々の異なる変換器構造体が、上記に開示され記載されている。
【0051】
電圧を印加すると同時に、機械的力が偏向を推し進める静電力と釣合うまで、変換器フィルム10は偏向し続ける。この機械的力は、誘電性層12の弾性的復元力、電極14,16の柔軟性または伸縮、装置により提供された外部抵抗、および/または変換器10に連結された荷重を含む。印加された電圧の結果として起こる変換器10の歪みはまた、エラストマー材料の誘電率、サイズ、剛性等、多くの他の要素に依存することもできる。電圧差および誘導された電荷の除去は、反対の効果をもたらす。
【0052】
一実施形態において、電極14,16は、誘電性フィルム12の全エリアに対して限定された一部分を覆うことができる。これは、誘電性層のエッジ周りの電気絶縁破壊を防ぐため、あるいは、ある一部におけるカスタマイズされた偏向を実現するために成される。活性領域外部の誘電性材料(後者は、誘電性材料の一部であり、この誘電性材料は、この一部の偏向を可能にするのに十分な静電力を有している)は、偏向中に活性領域の外部バネ力として機能することができる。すなわち、活性領域外部の誘電性材料は、その膨張または収縮による活性エリアの偏向に耐える、あるいは、この偏向を強めることができる。
【0053】
上記誘電性フィルム12は、予め歪ませることができる。この予歪みは、電気的エネルギーと機械的エネルギーとの間の変換を改善する。すなわち、上記予歪みによって、誘電性フィルム12がより偏向して、より大きな機械的エネルギーを提供できるようにする。フィルムの予歪みは、予歪みする前の一方向の寸法と比較した、予歪みした後の一方向の寸法変化として説明することができる。予歪みは、誘電性フィルムの弾性偏向を含むことができ、例えば、フィルムをピンと伸ばすことによって、そして、伸ばしている間に1以上のエッジを固定することによって形成され得る。予歪みは、フィルムの境界において、あるいは、フィルムの一部分に対して与えることができ、そして、剛性フレームを用いることによって、あるいは、フィルムの一部分を補強することによって実施することができる。
【0054】
図7Aおよび図7Bの変換器構造体、他の類似の柔軟構造体、およびこれらの構造体の詳細は、本願明細書に開示された多くの参照特許および刊行物にさらに十分に記載されている。
【0055】
上述のEAPフィルムに加えて、感覚または触覚フィードバックユーザインターフェース装置は、側方運動を作り出すよう設計されたEAP変換器を備えることができる。例えば、個々の部品には、図8Aおよび図8Bに示されるように上から下に、アクチュエータ30が含まれている。このアクチュエータ30には、弾性フィルム形状の電場応答性高分子(EAP)変換器10を設けており、(上述のように)電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する。もたらされる機械的エネルギーは、出力部材の物理的「変位」、ここではディスク28の物理的変位の形で存在する。
【0056】
図9A−図9Cに関して、EAP変換器フィルム10は、2つのワーキングペアとしての薄膜弾性電極32a,32b,34a,34bを備え、各々のワーキングペアは、エラストマー誘電性高分子の薄層26(例えば、アクリレート、シリコーン、ウレタン、熱可塑性エラストマー、炭化水素ゴム、フルオロエラストマー等で作られている)により仕切られている。各々のワーキングペアの逆帯電した電極に(すなわち、電極32aと電極32bに、そして、電極34aと電極34bに)電圧差を与えると、対向する電極は互いに引きつけ合い、その結果、それらの間で誘電性高分子26を圧迫する。これらの電極が互いにより接近するよう引き合うので、平面方向に広がる(すなわち、x軸とy軸成分が大きくなる)ように、誘電性高分子26はより薄くなる(すなわち、z軸成分が収縮する)(軸については、図9Bと図9C参照)。さらに、各々の電極に与えられた同種の電荷は、この電極内に組み込まれた導電性素粒子を互いに反発させ、その結果、弾性電極および誘電性フィルムの伸長の一因となる。そのため、誘電性層26は、電場の変化と共に偏向される。電極材料もまた柔軟であるので、電極層は誘電性層26と共に形状を変える。一般的に言えば、偏向は、誘電性層26の一部のあらゆる変位、膨張、収縮、ねじれ、線形歪みまたは領域歪み、あるいは他の変形を言う。この偏向は、機械的仕事を作り出すために用いることができる。
【0057】
組立変換器20において、弾性フィルムは、2以上の対向している剛性フレーム面8a,8bによって予め歪ませられた状態で引き伸ばされ、保持されている。四辺を持つフレームを用いている実施形態の場合、フィルムは二軸方向に引き伸ばされる。予歪みは、高分子層26の誘電力を改善することが報告されているので、電気エネルギーと機械的エネルギーとの間の変換を改善する。すなわち、予歪みは、上記フィルムがより偏向して、より大きな機械的エネルギーをもたらすことを可能にする。一般的に、電極材料は、高分子層を予歪みさせた後に取り付けられるが、事前に取り付けることもできる。高分子層26の同じ側に設けられている2つの電極(ここでは同じ側の電極ペア、すなわち、誘電性層26の上側26aの電極32aおよび電極34a(図9B参照)と、誘電性層26の下側26bの電極32bおよび電極34b(図9C参照)のことを言う)は、不活性領域または不活性ギャップ25によって互いに電気的に絶縁されている。上記高分子層の反対側に設けられている対向電極は、2セットのワーキング電極ペア(つまり、一方のワーキング電極ペアとしての電極32aおよび電極32bと、他方のワーキング電極ペアとしての電極34aおよび電極34b)から構成されている。各々同じ側の電極ペアが同じ極性であると同時に、それぞれのワーキング電極ペアの電極の極性が互いに反対であるのが好ましい。つまり、電極32aおよび電極32bと、電極34aおよび電極34bとがそれぞれ逆に帯電されているのが好ましい。各々の電極は、電源(図示せず)に電気的に接続するために構成される電気的接触部35を有する。
【0058】
図示された実施形態において、各々の電極は半円形状を有し、誘電性層26のそれぞれの側に固定した出力ディスク20a,20bを中央に配置するため、同じ側の電極ペアが略円状を画定する。ディスク20a,20b(機能は、以下で述べる)は、高分子層26の中央に配置された外部表面26a,26bに固定され、その間に高分子層26を挟む。上記ディスクと上記フィルムとの間の連結(カップリング)は、機械的に、または、接着ボンドにより提供することができる。一般的に、ディスク20a,20bは、変換器フレーム22a,22bに関連した大きさにすることができる。より具体的に言うと、上記ディスク直径のフレーム内環径に対する比は、変換器フィルム10に加えられたストレスを適切に与えるために、上述のようにできる。ディスク直径のフレーム内環径に対する比が大きくなればなるほど、フィードバック信号およびフィードバック動作の力がより大きくなるが、ディスクの直線変位はより小さくなる。また、ディスク直径のフレーム内環径に対する比が小さくなればなるほど、出力がより小さくなるが、ディスクの直線変位はより大きくなる。
【0059】
電極構造に応じて、変換器10は、単相モードまたは二相モードのいずれも機能可能にすることができる。この構成された方法において、上述の本発明の感覚フィードバック装置の出力部(すなわち、2つの連結されたディスク20a,20b)の機械的変位は、垂直方向というよりはむしろ横方向である。言い換えれば、上記感覚フィードバック信号は、ユーザインターフェースのディスプレイ表面232に垂直方向の力であると共に、ユーザの指38により加えられた入力する力(図10の矢印60aにより示されている)に平行方向(であるが反対方向すなわち上方向)の力である。本発明の感覚/触覚フィードバック装置の感知されたフィードバック力または出力する力(図10の両矢印60bにより示されている)は、ディスプレイ表面232に平行、かつ、入力する力60aに垂直な方向である。変換器10の面に対して垂直な軸についての電極ペアの回転に関する配置に応じて、そして、変換器を作動するディスプレイ表面232モード(すなわち、単相または二相)の位置に対して、上記横方向の動作は、360度内のどんな(複数の)方向でも可能である。例えば、横方向のフィードバックモーションは、ユーザの指(または掌またはグリップ等)の順方向に対して、左から右または上から下(両方とも二相作動である)にすることができる。触覚フィードバック装置の接触表面に対して横方向または垂直方向のフィードバック変位をもたらす特定のアクチュエータ構造であると、当業者が認識すると同時に、このように構成された装置の外形全体は、上述の設計よりも大きくすることもできる。
【0060】
図9D−図9Gは、電場応答性高分子のアレイ(array)の一例を示している。この電場応答性高分子アレイは、装置のディスプレイスクリーンの至る所に配置することができる。この例において、EAPフィルムアレイ200(図9F参照)の電圧側200aおよび地面側200bは、それぞれ、本発明の触知性フィードバック装置で使用するためのEAPアクチュエータアレイに使用されている。フィルムアレイ200は、スペースと出力効率と簡単な制御回路とを増加させるためのマトリクス構造で提供される電極アレイを有している。EAPフィルムアレイの高電圧側200aには、電極パターン202を設けている。この電極パターン202は、誘電性フィルム208材料上で(図9Dに示されている視点によれば)縦に走っている。各々のパターン202には、高電圧線のペア202a,202bを設けている。このEAPフィルムアレイの向かい側つまり地面側200bには、高電圧電極に対して横方向に、つまり、水平に走っている電極パターン206を設けている。
【0061】
それぞれの電極パターン206は、アースラインのペア206a,206bを有している。対向する高電圧線およびアースラインの各々のペア(高電圧線202aおよびアースライン206aと、高電圧線202bおよびアースライン206b)は、個別に活性化可能な電極ペアを設け、対向する電極ペアの活性化が、矢印212に示されている方向に二相出力モーションをもたらすようにする。組み立てられたEAPフィルムアレイ200(誘電性フィルム208の上側と下側で交差している電極パターンを示している)を図9FにおけるEAP変換器222のアレイ204の分解図内に示し、図9Gにその組み立てられた形状を示している。EAPフィルムアレイ200は、対向しているフレームアレイ214a、214bの間に挟まれていて、オープン領域内の中央に配置された出力ディスク218によって定められた2つのアレイそれぞれの中に、各々独立したフレームセグメント216を設けている。フレーム/ディスクセグメント216と電極構造のそれぞれの組み合わせが、EAP変換器222を形成する。このアプリケーションと望ましいアクチュエータのタイプ次第で、要素の追加の層を変換器アレイ204に加えることができる。変換器アレイ220は、例えば、ディスプレイスクリーン、センサ表面、またはタッチパッド等のユーザインターフェースアレイに全て組み込むことができる。
【0062】
単相モードにおいて感覚/触覚フィードバック装置2を作動する場合、アクチュエータ30の電極の一のワーキングペアだけがどの時点においても作動する。アクチュエータ30の単相作動は、単独の高電圧電源を用いて制御される。選択された一のワーキング電極ペアに印加された電圧が増加するので、変換器フィルムの活性部分(半分)が拡大し、その結果、変換器フィルムの非活性部分の方向の面内に出力ディスク20を動かす。図11Aは、単相モードにおいて2つのワーキング電極ペアを交互に作動する場合の、ニュートラルポジションに対するアクチュエータ30の感覚フィードバック信号(すなわち、出力ディスク変位)の力およびストロークの関係を示す。図に示すように、出力ディスクのそれぞれの力と変位は、互いに等しいが、反対方向である。図11Bは、単相モードにおいて作動する場合の、印加電圧とアクチュエータの出力変位の現れた非直線関係とを示している。共通の誘電性フィルムを経由する2つの電極ペアの「機械的」カップリングは、出力ディスクを反対方向に動かすこと等をすることができる。したがって、両方の電極ペアが作動されたとき、互いに独立しているが、第1ワーキング電極ペア(相1)への電圧の印加は、ある一方向に出力ディスク20を動かし、第2ワーキング電極ペア(相2)への電圧の印加は、上記ある一方向とは反対の方向に出力ディスク20を動かす。図11Bの種々のプロットは反射し、電圧は直線的に変化するので、アクチュエータの変位は非直線である。変位中の出力ディスクの加速度はまた、触覚フィードバック効果を強化するための2つの相の同期稼動を通して制御できる。上記アクチュエータはまた、2以上の相に区切ることができる。この2以上の相は、出力ディスクのより複雑な動きを可能にするために独立して作動することができる。
【0063】
出力部材または出力要素のより大きな変位をもたらすために、そして、ユーザにより大きな感覚フィードバック信号を提供するために、アクチュエータ30は、二相モード、つまり、アクチュエータの両部分を同時に活性化して作動される。図11Cは、アクチュエータが二相モードで稼動する場合の、出力ディスクの感覚フィードバック信号の力およびストロークの関係を示している。図に示すように、このモードにおけるアクチュエータの2つの部分32,34の力およびストロークの両方ともが同じ方向で、単相モードで稼動する場合のアクチュエータの力およびストロークと比べて、2倍の大きさを持つ。図11Dは、二相モードで作動したときに、印加電圧とアクチュエータの出力変位のもたらされる直線関係を示している。アクチュエータの機械的に連結された部分32,34を電気的に連続して接続し、かつ、例えば図13のブロック図に示されている方法等の共同ノード55を制御することによって、共同ノード55の電圧と(いかなる構造であれ)出力部材の変位(またはブロックされた力)との間の関係は、直線的相関関係に近づく。この動作モードにおいて、アクチュエータ30の2つの部分32,34の非直線電圧レスポンスは、事実上、直線電圧レスポンスを作り出すために互いに打ち消し合う。制御回路44とスイッチアセンブリ46a,46bとを、アクチュエータの各々の部分に対して1つ使用するので、この直線的関係は、制御回路によりスイッチアセンブリに供給される可変型の波形を用いることによって、アクチュエータの性能を向上させ、かつ、変調させることを可能にする。回路40を用いる他の利点は、感覚フィードバック装置を稼動するために必要とされるスイッチ回路と電源の多くを減らすことができることである。回路40を使用しなければ、2つの独立電源と4つのスイッチアセンブリが必要となるであろう。したがって、制御電圧とアクチュエータ変位との間の上記関係が改善される、つまり、より直線状になると同時に、上記回路の複雑性とコストを減らす。他の利点は、二相モードで作動中に、アクチュエータが、性能を低下させる可能性がある遅延を取り除く共時性を得ることである。
【0064】
図12A−図12Cは、二相電場応答性高分子変換器の異なる実施形態を示している。この実施形態において、変換器10は、誘電性フィルム96に関する第1電極ペア90と、誘電性フィルム96に関する第2電極ペア92とを備えている。この2つの電極ペア90,92は、運動を移すために他の構造体へ連結することを容易にするバーまたは機械的部材94を間にして向かい合っている。図12Aに示されるように、両電極90,92は、同じ電圧である(例えば、両方ともゼロ電圧である)。第1段階において、図12Bに示されるように、一方の電極ペア92が誘電性フィルムを広げるよう電圧を加えられ、距離Dまでバー94を動かす。もう1つの電極ペア90は、誘電性フィルムに接続されているという性質により圧迫されるが、ゼロ電圧である。図12Cは、電圧がもう1つの電極ペア90に印加されている間、最初の電極ペア92の電圧が低減または止められる第2段階を示している。この第2段階は、変位がDの2倍であるように第1段階と同期する。図12Dは、径時的な図12A−図12Cの変換器の変位を示している。図示のように、最初の電極92が第1段階で電圧を印加されたときに、バー94がDまで変位するように、第1段階が発生する。T1において、第2段階が始まり、対向電極90には、最初の電極92の電圧の減少と同期して電圧が印加される。これら2つの段階を通じたバー94の正味変位は、2×Dである。
【0065】
要求される感覚フィードバック60b(図10参照)をもたらすため、ユーザが提供している入力される力60aを伝達するために、様々な種類のメカニズムを使用することができる。例えば、容量センサまたは抵抗センサ50(図13参照)は、ユーザインターフェースパッド4内に収納することができ、ユーザにより入力されたユーザ接触表面上で働く機械的力を感知する。センサ50からの電気的出力は、順にスイッチアセンブリ46a,46bを順に動作させる制御回路44に供給され、この制御回路44により提供されたモードと波形に従って、電源42から感覚フィードバック装置のそれぞれの変換器部分32,34に電圧を印加する。
【0066】
本発明の他の実施形態は、EAPアクチュエータの気密シーリングを含み、EAPフィルム上で起こる湿気または結露のいかなる影響をも最小化する。上述の種々の実施形態に関して、EAPアクチュエータは、触知性フィードバック装置の他の要素から独立して、防護フィルムで実質的にシールされている。防護フィルムまたは防護ケーシングは、ホイル等から作ることができ、シールされたフィルム内への水分の漏出を最小化するため、熱密封等されるのが好ましい。防護フィルムまたは防護ケーシングの一部は、柔軟材料から作ることができ、ケーシング内部のアクチュエータをケーシング外部のポイントに改良された機械的な連結をすることを可能にする。これら装置の実施形態の各々は、アクチュエータの出力部材のフィードバックモーションを、ユーザ入力表面、例えば、キーパッドの接触表面に連結することを可能にすると同時に、密封してシールされたアクチュエータパッケージが危険にさらされることを最小限にする。
【0067】
アクチュエータのモーションをユーザインターフェース接触表面にカップリングするための様々な一般的な手段がまた、提供される。手順に関して、本発明の方法は、記載されている装置の使用と関連があるメカニカルおよび/またはアクティビティのそれぞれを含むことができる。というわけで、記載された装置の使用についての黙示的な手順は、発明の一部を形成する。その他の方法は、上記装置の製造に注目する。
【0068】
図14Aは、ユーザ入力装置190と連結したEAPアクチュエータ204の平面アレイ(array)の一例を示している。図に示されるように、EAPアクチュエータ204のアレイは、スクリーン232の一部に覆われ、支持棒256を介して装置190のフレーム234と連結している。この実施形態において、支持棒256は、アクチュエータ204およびスクリーン232の動作に対するクリアランスを可能にする。装置190の一実施形態において、アクチュエータ204のアレイは、要求されるアプリケーションに応じて、ユーザインターフェースまたはスクリーン232に隠れる複数の別々のアクチュエータまたはアクチュエータのアレイにすることができる。図14Bは、図14Aの装置190の下方から見た斜視図を示している。矢印254により図に示されるように、EAPアクチュエータ204は、スクリーン232に垂直な方向への動きの代用として、あるいは、スクリーン232に垂直な方向への動きと組み合わせて、軸に沿ったスクリーン232の動きを可能にする。
【0069】
ここまで説明した変換器/アクチュエータの実施形態は、EAP変換器フィルムの活性領域(つまり、重なった電極を含んでいる領域)と非活性領域の両方に連結された不動態層を有する。この変換器/アクチュエータが、また、剛性出力構造体を用いている場合、この構造体は、活性領域の上に存在する不動態層領域の表面に配置されている。また、これらの実施形態の活性領域/活性可能領域は、非活性領域に対して中央に配置されている。本発明はまた、他の変換器/アクチュエータ構造を有することができる。例えば、不動態層が、活性領域のみ、あるいは、非活性領域のみを覆うこともできる。さらに、EAPフィルムの非活性領域が、活性領域に対して中央に配置することもできる。
【0070】
図15Aおよび図15Bを参照すると、本発明の一実施形態に従って電気エネルギーを機械的エネルギーに変換するための、表面が変形したEAPアクチュエータの略図が提供される。アクチュエータ10は、EAP変換器12を備え、このEAP変換器12は、薄膜エラストマー誘電性高分子層14と、上部電極16aおよび下部電極16bとを有している。この上部電極16aおよび下部電極16bは、誘電性高分子層14の上面および下面の一部にそれぞれ取り付けられている。この誘電性高分子層と少なくとも2つの電極を有している変換器12の一部は、活性領域として本明細書に言及されている。本発明のいかなる変換器も1以上の活性領域を設けることができる。
【0071】
重なり、逆帯電した電極16a,16bに、電圧差を与えると(活性領域)、対向する電極は互いに引き付けあい、それらの間で誘電性高分子層14の一部を圧迫する。電極16a,16bが互いにより近づくように(z軸に沿って)引き寄せられるので、電極の間の誘電性層14の一部は、平面方向に伸びるように(x軸とy軸に沿って)より薄くなる。非圧縮性高分子(つまり、圧迫下で略一定ボリュームを有している高分子)、あるいは、フレームにおけるその他の圧縮性高分子等に対して、このアクションは、活動領域(つまり、電極で覆われている領域)の外側(特に、この活性領域のエッジについての周辺部(すなわち活性領域のエッジのすぐ近くの周囲))の柔軟誘電性材料を厚さ方向(変換器フィルムにより定められた面に直交する)の面外に変位あるいは膨れ上がらせる。この膨らみが、誘電性表面特性24a,24b,24c,24dを作り出す。面外の表面特性24は、活性領域に対して比較的ローカルに示されている一方で、図示されているように常にローカライズされているわけではない。ある場合において、高分子が予歪みする場合、この表面特性24a,24bは、誘電性材料の非活性部分の表面領域を超えて与えられる。
【0072】
本発明の変換器の表面特性の鉛直プロファイルおよび/または鉛直視程を増幅するために、変換器フィルム構造の片側または両側に加えることができ、不動態層がEAPフィルム構造体の全てまたは一部を覆う。図15Aおよび図15Bのアクチュエータの実施形態において、上部不動態層18aおよび下部不動態層18bは、それぞれ、EAPフィルム12の上側および下側に取り付けられている。アクチュエータの活性化およびもたらされる誘電性層12の表面特性17a,17b,17c,17dは、図15Bの参照番号26a,26b,26c,26dに示されているように、追加された不動態層18a,18bの厚さにより増幅される。
【0073】
隆起した高分子/不動態層の表面特性26a,26b,26c,26dに加えて、EAPフィルム12は、一方または両方の電極16a,16bが誘電性層の厚さよりも下に押し下げられるように構成することができる。そのため、押圧された電極またはその部分が、EAPフィルム12の作動およびもたらされる誘電性材料14の撓みに関する電極の表面特性をもたらす。電極16a,16bは、カスタマイズされた変換器フィルムの表面特性を作り出すために形成され、あるいは、設計される。この表面特性は、高分子の表面特性、電極の表面特性および/または不動態層の表面特性を含むことができる。
【0074】
図15Aおよび図15Bのアクチュエータの実施形態において、1以上の構造体20a,20bは、柔軟不動態スラブと剛性機械的構造体との間の仕事の結合を容易にし、アクチュエータの仕事出力に向かわせ易くするために設けられる。この実施形態では、上部構造体20a(プラットホーム、バー、レバー、ロッド等の形状にできる)が、出力部材としての機能を果たすと同時に、下部構造体20bが、アクチュエータ10を地面等の固定構造体または剛性構造体22に連結する働きをする。これらの出力構造体は、個々の要素である必要はないが、むしろ、アクチュエータを駆動することを目的としている構造体と統合あるいは一体化することができる。構造体20a,20bはまた、不動態層18a,18bによって形成された表面特性26a,26b,26c,26dの周辺の長さまたは形状を定める働きをする。図示されている実施形態において、集合アクチュエータの積み重ねが、アクチュエータの非活性部分の厚さの増加を作り出す間、図15Bに示すように、作動状態のアクチュエータによって受ける高さΔhの正味変化は、マイナスである。
【0075】
本発明のEAP変換器は、望ましい厚みモードでの作動を提供するためのどんな適切な構造体でも備えることができる。例えば、より複雑なアプリケーションで用いる変換器を製造するために、1以上のEAPフィルム層を用いることができる。上記アプリケーションは、例えば、統合された感知機能を有するキーボードキー等で、追加のEAPフィルム層を容量性センサとして用いることができる。
【0076】
図16Aは、本発明に従った2重のEAPフィルム層34を有する積層変換器32を用いているアクチュエータ30を示している。この2重の層は、2つの誘電性エラストマーフィルムを有し、これらの誘電性エラストマーフィルムは、上部電極34bと下部電極34cとの間にそれぞれ挟まれた上部フィルム34aと、上部電極36bと下部電極36cとの間にそれぞれ挟まれた下部フィルム36aとから成る。導電性トレースまたは導電性層(一般的には、「バスバー」と呼ばれる)のペアは、電源の高電圧側または地面側に電極を連結するために設けられる(後者は図示せず)。上記バスバーは、それぞれのEAPフィルムの「非活性」部分(つまり、上部電極と下部電極が重ならない部分)に配置されている。上部バスバー42aおよび下部バスバー42bは、誘電性層34aの上側と下側にそれぞれ配置されていて、上部バスバー44bおよび下部バスバー44aは、誘電性層36aの上側と下側にそれぞれ配置されている。誘電性層34aの上部電極34bおよび誘電性層36aの下部電極36c(すなわち、2つの外側対向電極)は、一般的に、導電性エラストマービア68b(図16B参照)を通って、バスバー42a、44aの相互カップリングによって分極化する。この導電性エラストマービア68bの形成は、図17A−図17Dに関して、以下により詳細に記載されている。誘電性層34aの下部電極34cおよび誘電性層36aの上部電極36b(すなわち、2つの内側対向電極)もまた、一般に導電性エラストマービア68a(図16B参照)を通って、バスバー42b、44bの相互カップリングによって分極化する。封止材料66a,66bは、ビア68a,68bをシールするために用いられる。アクチュエータを作動する場合、それぞれの電極ペアの対向する電極は、電圧が印加されたときに共に引き付けられる。安全目的のため、接地電極は積層の外側に配置され、高電圧電極に至る前に、どんなピアーシングオブジェクトも接地するようにして、感電を廃絶する。2つのEAPフィルム層は、フィルム間接着剤40bにより合わせて接着することができる。この接着剤層は、任意に、性能を強化するために不動態層またはスラブ層を含むことができる。上部不動態層またはスラブ層50aおよび下部不動態層52bは、接着剤層40aおよび接着剤層40cにより変換器構造体に接着される。出力バー46a,46bは、接着剤層48a,48bによって、丁寧に、上部不動態層および下部不動態層にそれぞれ連結することができる。
【0077】
本発明のアクチュエータは、どんな適した数の変換器層をも用いることができる。この変換器層の数は、偶数でも奇数でもよい。後者の構造体において、1以上の一般的な接地電極およびバスバーを用いることができる。さらに、安全がそれほど問題とはならない場所では、特定のアプリケーションにより望ましい対応するために、高電圧電極を変換器積層の外側に配置することもできる。
【0078】
使用可能にするために、アクチュエータ30は、電気的に電源に連結され、電子機器を制御する(どちらも図示せず)必要がある。これは、アクチュエータの電気配線またはワイヤ、あるいは、PCB(プリント基板)の電気配線またはワイヤ、あるいは、フレックスコネクタ62を介して達成され、高電圧ビアおよび接地ビア68a,68bを電源または中間連結部に連結する。アクチュエータ30は、保護バリア材料にパッケージすることができ、湿気や環境汚染物質からアクチュエータ30を遮断する。ここでは、保護バリアには、上部カバー60と下部カバー64とを設けていて、PCB/フレックスコネクタ62についてシールされるが好ましく、外力、損傷および/または環境汚染からアクチュエータを保護する。一実施形態において、保護バリアは、気密シールを提供するために不浸透性にすることができる。上記カバーは、物理的ダメージに対してアクチュエータ30を保護するため多少剛性形状にしてもいいし、また、アクチュエータ30の作動変位に対して空間的な余裕を持たせるために柔軟にしてもよい。一実施形態において、上部カバー60は、フォームドフォイル(formed foil)からできていて、下部カバー64は、コンプライアントフォイル(compliant foil)からできている。また、反対に、上部カバー60をコンプライアントフォイルに、下部カバー64をフォームドフォイルにすることもできる。このとき、これらの2つのカバーは、ボード/コネクタ62に熱融着している。マテリアライズド高分子フィルム、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、アクリル、スチレン、オレフィン、共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン等の多くの他のパッケージ材料を用いることもできる。アクチュエータ出力を変換する出力構造または構造体(ここでは、バー46b)を覆うために柔軟材料が用いられる。
【0079】
本発明の積層アクチュエータ/変換器構造体の導電性要素/層(例えば、今説明したアクチュエータ30)は、一般的に、積層構造の中を通って形成される電気ビア(図16Bにおける68a、68b)によって連結される。図17a−図19は、上記ビアを形成するための本発明の様々な方法を示す。
【0080】
図16Bのアクチュエータに用いられているタイプの導電性ビアの形成は、図17A−図17Dを参照して記載されている。アクチュエータ70(ここでは、誘電性層74の非活性領域の向かい側に配置された、正反対に位置しているバスバー76a,76bを有するシングルフィルム変換器から構成されており、まとめて不動態層78a,78bの間に挟まれている。)が、PCB/フレックスコネクタ72に積層される前あるいは積層された後に、積層変換器/アクチュエータ構造体70は、図17Bに示されるように、ビアホール82a,82bを形成するため、PCBに向かって、その厚さ全体を貫いてレーザードリルで穴を開けられる(80)。機械的ドリリング、パンチング、モールディング、ピアーシング、コアリング等、ビアホールを作り出す他の方法を用いることもできる。ビアホールは、図17Cに示すように、例えば、シリコーンのカーボン粒子等の導電性材料と共に注入する等、適切な施工方法によって満たされる。次に、図17Dに示すように、導電的に満たされたビア84a,84bは、ビアの露出端を電気的に絶縁するため、任意に、シリコーン等のあらゆる適合する非導電性材料でポット(pot)される(86a,86b)。代わりに、非導電性テープを露出されたビア上に配置してもよい。
【0081】
アクチュエータを電源および電気機器に連結するためのPCBコネクタまたはフレックスコネクタの代わりに、標準電気配線を用いることができる。上記実施形態が有する電源への電気的ビアおよび電気的連結を形成する種々のステップは、図17A−図17Dと同じ構成要素およびステップを有し、同じ参照番号を有している図18A−図18Dに示されている。図18Aに示すように、バスバー84a,84bが届く範囲で、アクチュエータ厚さの範囲内の深度にのみ、ビアホール82a,82bにドリルで穴を開ける必要がある。このビアホールは、図18Bに示すように、次に導電性材料で満たされ、その後、リード線88a,88bが、図18Cに示すように、蓄積された導電性材料内に挿入される。導電的に満たされたビアとリード線は、その後、図18Dに示すように、覆ってポットすることもできる。
【0082】
図19は、本発明の変換器内の導電性ビアを提供する別のマナーを示す。変換器100は、電極106aと電極106bとの間に挟まれた部分を持つ誘電性層104を有する誘電性フィルムを備え、この誘電性フィルムは、同様に、不動態高分子層110aと不動態高分子層110bとの間に挟まれている。導電性バスバー108は、EAPフィルムの非活性領域上に設けられている。ピアーシング構造を持つ導電性コンタクト114は、手動でもその他方法でも、バスバー材料108を貫く深度まで変換器の一方の面に打ち込まれる。導電性トレース116は、ピアーシングコンタクト114の露出端からPCB/フレックスコネクタ112に沿って広がる。ビアを形成するこの方法は、ビアホールにドリルで穴を開けるステップ、ビアホールを満たすステップ、ビアホールに導電性ワイヤを配置するステップ、ビアホールをポットするステップを排除するので、特に効率的である。
【0083】
本発明の厚みモードのEAP変換器は、適切な構造体および表面特性のプレゼンテーションを有する様々なアクチュエータのアプリケーションの使用に適している。図20A−図24は、典型的な厚みモード変換器/アクチュエータのアプリケーションを示している。
【0084】
図20Aは、厚みモード変換器120を示している。この変換器120は、円形の構造体を備え、キーボード、タッチスクリーン、電話等の装置にユーザが物理的に接触する、触知性または触覚フィードバックのアプリケーションに用いるためのボタンアクチュエータに適している。変換器120は、薄膜エラストマー誘電性高分子層122と、上部電極124aと、下部電極124b(下部電極パターンは、透視で示す)とから形成され、図20Bの単独図に最もよく示されている。電極パターン124の各々には、柄部125に、同心円状に形成されている複数の反対方向に広がる指状部127を設けている。これらの2つの電極の柄部は、円形の誘電性層122の反対側に、互いに正反対に配置され、これらのそれぞれの指状部は、図20Aに示すパターンを作り出すため、互いに並んで配置されている。本実施形態の対向電極パターンは、互いに同一かつ対称であるが、他の実施形態では、形状および/または占有する表面領域の量において、対向電極パターンは非対称の場合が考えられる。2つの電極材料が重ならない変換器材料の一部分が、変換器の非活性領域128a,128bを定める。電気コンタクト126a,126bは、変換器を電源および制御電子機器に電気的に連結するために(どちらも図示せず)、2つの電極のそれぞれの柄部の基礎に設けられる。変換器を活性化すると、対向電極の指状部は共に引き付けられて、その結果、それらの間で誘電性材料122を圧迫すると同時に、ボタンの周辺部について表面特性を形成するために、および/または、希望のボタンに対して内部に表面特性を形成するために膨らんでいる変換器の非活性領域128a,128bを圧迫する。
【0085】
このボタンアクチュエータは、シングル入力または接触表面の形式にすることができる、あるいは、複数の接触表面を有するアレイ形式で設けることができる。アレイの形式で構成されたとき、図20Aのボタン変換器は、図21に示されているように、例えば、コンピュータ、キーボード、電話、計算機等の様々なユーザインターフェース装置に対するキーパッドアクチュエータ130の使用に適している。変換器アレイ132は、相互接続した電極パターンの上部アレイ136aと、電極パターンの下部アレイ136b(透視で示す)とを含み、これらの2つのアレイは、説明されているような活性部分と非活性部分とを有する図20Aの同心変換器パターンを作り出すために、互いに対向している。キーボード構造は、変換器アレイ132の上に不動態層134を形成することができる。不動態層134は、キーボーダー138のような、それ自身の表面特性を有することができる。この表面特徴は、ユーザが、触知的にユーザ自身の指を個別のキーパッドに合わせることができるようにするために、および/または、活性時にそれぞれのボタンの周囲の膨隆をさらに増幅するために、不動態状態で隆起させることができる。キーが押されたとき、このキーが置かれた個々の変換器は、触知性感覚バックをユーザに提供するよう活性化され、上述の厚みモードの膨らみをもたらす。様々な変換器をこの方法で提供することができる。これらの変換器は、使用されているキーパッド134のタイプとサイズに適応させるために間隔を空けることもできる。上記変換器アレイに関する製造技術の例は、2008年6月27日に出願された米国特許出願No,12/163,553、発明の名称「感覚フィードバックアプリケーションに関する電場応答高分子変換器」に記載されていて、その内容のすべてを、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0086】
本発明の厚みモード変換器は、左右対称である必要がなく、どの構造体や形状にも取り入れることができるということを、当業者は十分理解するであろう。本発明の変換器は、あらゆる想像可能な新規アプリケーション(例えば、図22に示される新規なハンド装置140等)に用いることができる。人の手の形状の誘電性材料142には、同じ手の形状の上部電極パターン146aと下部電極パターン146b(下部電極パターンは、透視で示す)とを設けている。電極パターンの各々が、バスバー146a,146bにそれぞれ電気的に連結され、次に、電源および制御電子機器(どちらも図示せず)に電気的に連結される。ここでは、これらの対向電極パターンは、挟まれるというよりはむしろ、互いと一直線になっている、あるいは、互いの上にあり、活性領域と非活性領域を交互に作り出している。そのため、全体として対向電極パターンの内部エッジおよび外部エッジのみに隆起した表面特徴を作り出す代わりに、隆起した表面特徴が、ハンドプロファイル全体にわたって(つまり非活性領域上に)提供される。この例となるアプリケーションの表面特性は、触知性フィードバックというよりはむしろ視覚フィードバックを提供することができるということを示している。この視覚フィードバックは、カラーリング、反射材料等により強化できると考えられる。
【0087】
本発明の変換器フィルムは、一般にウェブベースの製造技術を用いることにより(特に、変換器電極パターンが同一または繰り返しである)効率よく製造されたマスであってもよい。図23に示されるように、変換器フィルム150は、連続ストリップフォーマットに設けることができる。この連続ストリップフォーマットは、連続上部電気バス15aと連続下部電気バス15bとを有し、これら連続上部電気バス15aおよび連続下部電気バス15bは、誘電性材料のストリップ152に正確に置かれている、あるいは、誘電性材料のストリップ152に形成されている。最も一般的には、厚みモードの特性は、別々である(つまり連続的ではない)が反復している活性領域158により定められ、この活性領域158は、それぞれのバスバー156a,156bに電気的に接続されている上部電極パターン154aと下部電極パターン154bとにより形成されている。このバスバー156a,156bのサイズ、長さ、形状およびパターンは、特定のアプリケーションについてカスタマイズすることができる。一方、(複数の)活性領域を連続パターンで設けるということも考えられる。電極パターンとバスパターンは、周知のウェブベースの製造技術によって形成可能で、そのとき個々の変換器は分離されている。また、電極パターンとバスパターンは、選択された分離線155に沿ってストリップ150をカットする等の周知技術によって形成することもできる。活性領域がストリップに沿って連続して設けられている場合には、このストリップは、電極がショートするのを避けるために、高度な精密さでカットされる必要があることが知られている。これらの電極のカット端は、ポッティング(potting)を必要とする可能性があり、または別の方法で、トラッキング問題を回避するため、後にエッチングされる可能性がある。このとき、バス156a,156bのカット終端は、もたらされるアクチュエータの作動を可能にするため、電源/制御源に連結される。
【0088】
分離中も分離後も、ストリップも分離されたストリップ部分も、複数層構造体を提供するために、他の変換器フィルムのストリップ部分をいくらでも積み上げることができる。このとき、積み上げられた構造体はラミネート加工することでき、望むなら、アクチュエータの剛性機械的要素(例えば出力バー等)に機械的に連結することもできる。
【0089】
図24は、本発明の変換器の別の実施形態を示している。この実施形態では、変換器160が、誘電性材料162のストリップで形成されており、このストリップに関して異なる側にある上部電極164aと下部電極164bとを有している。このストリップは、矩形パターンに配置され、オーペンエリア165を囲んでいる。これらの電極の各々は、電気的バス166a,166bでそれぞれ終端処理され、これらの電気的バスには、電源と制御電子機器(どちらも図示せず)に連結するための電気的接点168a,168bが設けられている。囲い込んだ領域165にわたって広がる不動態層(図示せず)は、環境保護および出力バー(図示せず)の機械的カップリングの両方に関して、変換器フィルムのどちらのサイドでも使用可能であるため、ガスケット構造を形成している。構成されているように、変換器の活性化は、変換器ストリップの内部周辺部および外部周辺部169に沿って表面特性を作り出し、活性領域164a,164bの厚さを減少させる。ガスケットアクチュエータは、連続する単一のアクチュエータである必要がないということに気が付くべきである。また、任意に、非活性柔軟ガスケット材料でシール可能な領域の周囲に線を引くために、1以上の個別のアクチュエータを用いることもできる。
【0090】
他のガスケットタイプアクチュエータは、上記の米国特許出願No,12/163,554に記載されている。これらのタイプのアクチュエータは、感覚(例えば、触覚または振動性)フィードバックアプリケーションに適している。この感覚フィードバックアプリケーションには、例えば、携帯用マルチメディア装置、医療器具類、キオスク、自動車計器パネル、玩具、その他新規な製品等のアプリケーションに対するタッチセンサプレート、タッチパッド、タッチセンサ等がある。
【0091】
図25A−図25Dは、本発明の厚みモードアクチュエータの一実施形態を用いているタッチスクリーンの断面図を示しており、4つの図面の間の同じ構成要素には、同じ参照番号を付与している。図25Aを参照すると、タッチスクリーン装置170は、一般的に、ガラス、プラスチック材料から作られているタッチセンサプレート174を備え、任意に、液晶ディスプレイ(LCD)172を有している。このタッチセンサプレート174および液晶ディスプレイ172は、共に積み重ねられていると共に、EAP厚みモードアクチュエータ180により間隔を空けられ、それらの間でオープンスペース176を画定している。この集合的積層構造体は、フレーム178により1つにまとめられている。アクチュエータ180は、誘電性フィルム層182により形成された変換器フィルムを有している。この誘電性フィルム層182は、電極ペア184a,184bによってアクチュエータ180の中心に挟まれている。そして、上記変換器フィルムは、上部不動態層186aと下部不動態層186bとの間に挟まれ、さらに、出力部材188a,188bのペアの間に挟まれている。これらの出力部材188a,188bのペアは、それぞれ、タッチプレート174およびLCD172に機械的に連結されている。図25Aの右側は、アクチュエータが非活性状態であるときのLCDおよびタッチプレートの相対的な位置を示している。一方、図25Aの左側は、アクチュエータが活性状態であるとき、すなわち、ユーザが矢印175の方向にタッチプレート174を押し下げるときのLCDおよびタッチプレートの相対的な位置を示している。図25Aの左側から明らかなように、アクチュエータ180を作動する場合、電極184a,184bは共に引き付けられ、その結果、誘電性フィルム182の一部をそれらの間で圧迫すると同時に、誘電性材料および活性領域外側の不動態層186a,186bの表面特性を作り出す。これらの表面特性は、出力ブロック188a,188bによりもたらされる圧縮力によりさらに強化される。そのため、上記表面特性は、矢印175の反対方向にタッチプレート174上のわずかな力を提供し、タッチプレートを押圧することに反応してユーザに触知性感覚を与える。
【0092】
図25Bのタッチスクリーン190は、図25Aのタッチスクリーンに類似の構造体であり、その違いは、矩形(または正方形等)形状の厚みモードアクチュエータ180で囲まれた内部領域内に、LCD172全てが存在する点である。そのため、装置が非活性状態であるときのLCD172とタッチプレート174との間のスペース176は(図の右側に示されているように)、図25Aの実施形態における間隔よりもはるかに小さく、その結果、より薄型の設計をもたらす。さらに、アクチュエータの下部出力構造体188bが、フレーム178の後壁178’に直接置かれている。これら2つの実施形態間の構造的差異に関係なく、装置190は、アクチュエータの表面特性がタッチプレートを押圧することに反応して矢印185の反対方向にわずかな触知性の力をもたらす、装置170と同様に機能する。
【0093】
今述べた2つのタッチスクリーン装置は、単一の方向に機能する単相装置である。2つ(あるいはそれ以上)の本発明のガスケットタイプアクチュエータは、図25Cにおけるような二相(二方向性の)タッチスクリーンを作り出すために縦に並べて用いることができる。装置200の構造体は、図25Bの装置の構造体と同様であるが、タッチプレート174上に置かれている第2厚みモードアクチュエータ180’をさらに備えている。これらの2つのアクチュエータおよびタッチプレート174は、内側に追加された拡張上部ショルダ178”を有するフレーム178によって、積み上げられた関連で保持されている。そのため、タッチプレート174が、アクチュエータ180,180’の最内部の出力ブロック188a、188b’のそれぞれの間に直接挟まれる一方、アクチュエータ180’の最外部の出力ブロック188b,188a’のそれぞれが、フレーム部材178’,178”のそれぞれを強化する。この囲い込まれたガスケットの配置は、ダストとデブリをスペース176内の光パスから遠ざける。ここでは、図25Cの左側は、活性状態の下部アクチュエータ180と非活性状態の上部アクチュエータ180’とを示していて、この図の左側では、センサプレート174は、矢印195の方向のLCD172に向かわせられている。反対に、図25Cの右側は、非活性状態の下部アクチュエータ180と活性状態の上部アクチュエータ180’とを示していて、この図の右側において、センサプレート174は、矢印195’の方向のLCD172から遠ざけられている。
【0094】
図25Dは、違った二相タッチセンサ装置210を示している。この二相タッチセンサ装置210は、タッチセンサプレートに対して直角に電極を配置している厚みモードストリップアクチュエータ180のペアを備えている。ここでは、タッチプレート174の二相または二方向動作は、矢印205で示されるように、面内にある。この面内動作を可能とするために、アクチュエータ180は、そのEAPフィルムの面がLCD172およびタッチプレート174の面に対して直角であるように配置される。このような位置を維持するために、アクチュエータ180は、フレーム178の側壁202と、タッチプレート174を置く内部フレーム部材206との間に保持されている。内部フレーム部材206が、アクチュエータ180の出力ブロック188aに取り付けられている間、この内部フレーム部材206とタッチプレート174とは、平面または水平な動作を可能にするために、外部フレーム178に対して「浮いて」いる。この構造体は、相対的にコンパクトかつ薄型の設計を提供する。なぜなら、この構造体は、タッチプレート174による二相面外動作に別の方法で必要と思われる追加の間隔を排除するからである。上記2つのアクチュエータは、二相動作に対して反対に働く。プレート174およびブラケット206の複合アセンブリは、アクチュエータストリップ180を、フレーム178の側壁202に対して軽度に圧縮した状態に維持する。一方のアクチュエータが活性状態であるとき、他方のアクチュエータが蓄積された圧縮力に起因して広がると同時に、一方のアクチュエータはさらに縮む(薄くなる)。これは、プレートアセンブリを活性状態のアクチュエータの方に動かす。このプレートは、第1アクチュエータの活性化を停止して、第2アクチュエータを活性化することにより反対方向に動く。
【0095】
図26Aおよび図26Bは、変換器の非活性領域が(複数の)活性領域に対して内部または中央に配置されている(つまり、EAPフィルムの中心部分は、重なる電極を持っていない)実施形態を示している。厚みモードアクチュエータ360は、電極層364a,364bの間に挟まれている誘電性層362を有するEAPフィルムを備えている。この厚みモードアクチュエータ360において、EAPフィルムの中央部分365は不動態であり、かつ、電極材料を有していない。このEAPフィルムは、上部フレーム部材366aおよび下部フレーム部材366bの少なくとも1つによりピンと張った、または、伸ばされた状態で保持され、全体として、カートリッジ構造を提供している。このEAPフィルムの不動態部分365の上側および下側の少なくとも一方のカバーは、不動態層368a,368bであり、任意の剛性制約、すなわち、その表面にそれぞれ取り付けられた出力部材370a,370bを設けている。活性時に(図26B参照)、カートリッジフレーム366によりEAPフィルムがその周囲で拘束されるので、EAPフィルムの圧縮によって、上述のアクチュエータの実施形態のように外側というよりはむしろ、矢印367a,367bにより示されるように、内側に向けてフィルム材料が後退する。圧縮されたEAPフィルムは、不動態材料368a,368bに影響を与え、その直径を縮小すると共に、その高さを増加させる。この構造の変化は、出力部材370a,370bにそれぞれ外向きの力を加える。先に説明したアクチュエータの実施形態と同様に、不動態的に連結されたフィルムアクチュエータは、複数相の作動を提供するために、および/または、アクチュエータの出力および/またはストロークを増加させるために、積層または平面的な関係で複数設けることができる。
【0096】
誘電性フィルムおよび/または不動態層材料を予歪みさせることによって、性能を強化できる。アクチュエータは、キーまたはボタン装置として用いることもでき、膜スイッチ等のセンサ装置を積み重ねる、あるいは、センサ装置と一体にすることもできる。下部出力部材または下部電極は、回路を完成させるため膜スイッチへの十分な圧力を提供するために用いることができ、また、下部出力部材が導電性層を有する場合、直接回路を完成させることもできる。キーパッドやキーボード等のアプリケーションに対するアレイに、複数のアクチュエータを用いることができる。
【0097】
米国特許出願No,2005/0157893に開示されている様々な誘電性エラストマーおよび電極材料は、本発明の厚みモード変換器の使用に適している。一般的に、誘電性エラストマーは、シリコーンゴムやアクリル等のあらゆる略絶縁性、柔軟性高分子を含んでおり、この高分子は、静電力に反応して変形する、あるいは、電場の変化により変形がもたらされる。適切な高分子を設計または選択することによって、最善の物質的、物理的、化学的特性を想定することができる。このような特性は、モノマー(どんなサイドチェインをも含む)、添加物、架橋結合度、結晶化度、分子質量等の賢明な選択により調整することができる。
【0098】
本明細書に記載した電極および使用に適した電極は、金属トレースおよび電荷分布層、テクスチャード加工電極、カーボングリースまたはシルバーグリース等の導電性グリース、コロイド懸濁液、導電性カーボンブラックまたはカーボン繊維またはカーボンナノチューブまたはグラフェンおよび金属ナノワイヤ等の高アスペクト比導電性材料、イオン結合した導電性材料の混合物を有する構造化された電極を含む。上記電極は、炭素を含んでいるエラストマーマトリクス等の柔軟な材料から作ることもできる。本発明はまた、金属電極および半剛直電極を用いることができる。
【0099】
本発明の変換器に使用するための例となる不動態層材料は、これに限定されないが、例えば、シリコーン、スチレンまたはオレフィン共重合体、ポリウレタン、アクリル、ゴム、ソフト高分子、ソフトエラストマー(ゲル)、ソフト高分子発泡体、または高分子/ゲルハイブリッドを含む。不動態層および誘電性層の相対的な弾性および厚さは、望ましい出力(例えば、所望の表面特性の正味厚さまたは薄さ)を達成するために選択され、この出力の応答が、直線的(例えば、不動態層厚さが、活性時に誘電性層の厚みに対して比例的に増幅する)、あるいは、非直線的(例えば、不動態層および誘電性層が、変動料率で薄くなる、または、厚みを増す)であるように設計できる。
【0100】
手順に関して、本発明の方法は、説明された装置の使用に関連付けられる機械および/または活動の各々を含むことができる。そのため、説明された装置の使用に対する間接的な手順は、本発明の一部を形成する。その他の方法は、このような装置の製造に焦点を当てることもできる。
【0101】
本発明の他の詳細に関しては、構造に関係のある材料および代替物は、この分野における当業者のレベルの範囲内で用いることができる。一般的にまたは必然的に用いられるような付加的な作用に関する本発明の方法ベースの態様に対して、同じことが当てはまり得る。さらに、本発明はいくつかの例や、任意に組み込む様々な特性に関して説明しているが、本発明のそれぞれの実施形態に関して記載され、あるいは、示されているものに限定されない。説明された本発明に対して、様々な変更をすることができ、等価物(本明細書に列挙されていようと、簡潔さのために含まれていなかろうと)は、本発明の真の目的および範囲から離れること無しに、置換することができる。示されたどんな数の個別の部品またはサブアセンブリも、それらの設計において一体にすることができる。このような変更その他は、アセンブリに対する設計の原則によって行われ、あるいは、導かれる。
【0102】
他の実施形態において、カートリッジアセンブリまたはアクチュエータ360は、振動するボタン、キー、タッチパッド、マウス、あるいは他のインターフェースにおける触覚反応の提供に使用するために適合させることができる。この実施形態において、アクチュエータ360の連結には、非圧縮性の出力形状を用いている。この実施形態では、出力形状にモールドされた非圧縮性材料を用いることによって、電場応答性高分子ダイアフラムカートリッジの接合中央拘束に対する代替手段を設けている。
【0103】
中央ディスクを持たない電場応答性高分子アクチュエータにおいて、作動は、電極形状の中心における受動フィルムの状態を変えて、圧力と歪み(力と変位)の両方を低減させる。この低減は、単一の方向だけでなく、フィルム面の全ての方向に発生する。電場応答性高分子を放電すると、この受動フィルムは、原初の圧力エネルギーおよび歪みエネルギーの状態に戻る。電場応答性高分子アクチュエータは、非圧縮性材料(圧力下で略一定のボリュームを有する)で構成することができる。上記アクチュエータ360は、非活性領域365のアクチュエータ360の中央で受動フィルムエリアに接着されている非圧縮性出力パッド368a,368bで組み立てられ、中心ディスクが置き換えられている。この構造は、そのインターフェースの出力パッドを不動態部365で圧縮することによってエネルギーを移動するために用いることができる。これは、出力パッド368a,368bを膨張させ、フラットなフィルムに対して垂直方向の作動を作り出す。上記非圧縮性形状は、作動中にその変化方向を制御するため、様々な表面への拘束を付加することによりさらに強化できる。上述の例として、出力パッドの上部表面を拘束するために非柔軟補強材を加えることは、この表面がその寸法を変化させることを防ぎ、その形状変化を出力パッドの望ましい大きさに集中させる。
【0104】
上述の実施形態は、作動時の電場応答性高分子である誘電性エラストマーの2軸圧力状態および2軸緊張状態の変化のカップリング、作動方向に直角の移動動作、性能を最適化するための非圧縮性形状の設計を可能にすることもできる。上記実施形態は、様々な変換器プラットホームを含むことができ、どんな触覚フィードバック(マウス、コントローラ、スクリーン、パッド、ボタン、キーボード等)に対しても、ダイアフラム、プラナー、慣性ドライブ、厚みモード、ハイブリッド(添付の開示に記載されているプラナーおよび厚みモードの組み合わせ)、およびイーブンロールを含んでいる。これらの実施形態は、ユーザ接触表面の特定の部分、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、ボタンまたはキーキャップを移動してもいいし、あるいは、装置全体を移動してもよい。
【0105】
異なる装置の実装は、異なるEAPプラットホームを必要とする。例えば、一例において、厚みモードアクチュエータのストリップは、タッチスクリーンに対する面外動作、キーボード上のボタンに対するキークリック感覚をもたらすためのハイブリッドまたはプラナーアクチュエータ、あるいは、マウスおよびコントローラのランブラーフィードバックをもたらすための慣性駆動設計を提供することもできる。
【0106】
図27Aは、様々なユーザインターフェースデバイスを有する触覚フィードバックを提供するための変換器の他の実施形態を示している。この実施形態では、マスまたは重り262が、電場応答性高分子アクチュエータ30に連結されている。図示の高分子アクチュエータは、フィルムカートリッジアクチュエータを有しているが、この装置の代替となる実施形態では、上述のEAP特許およびEAP出願に説明されているようなバネベースのアクチュエータを用いることができる。
【0107】
図27Bは、図27Aの変換器アセンブリの分解図を示している。図に示されているように、慣性変換器アセンブリ260は、2つのアクチュエータ30の間に挟まれたマス262を備えている。また一方で、この装置の実施形態は、マスの両側の目的とするアプリケーションに応じて、1以上のアクチュエータを備えている。図に示されているように、この(複数の)アクチュエータは慣性マス262に連結され、ベースプレートまたはフランジを介して固定されている。アクチュエータ30の作動は、このアクチュエータに対してx−y方向にマスを移動させる。更なる実施形態において、マス262が垂直移動またはz軸移動するように、アクチュエータを構成することができる。
【0108】
図27Cは、図27Aの慣性変換器アセンブリ260の側面図を示している。この図において、アセンブリは、アクチュエータ30および慣性マス262を囲う中央ハウジング266および上部ハウジング268と共に示されている。また、このアセンブリ260は、ハウジングおよびアクチュエータ内の開口またはビア24まで伸びている固定手段またはファスナ270と共に示されている。このビア24は、複数の機能を供給することができる。例えば、ビアは、取り付け目的のためだけに存在することもできる。その代わりに、または、組み合わせて、このビアは、回路基盤、フレックス回路、または機械的アース端子にアクチュエータを電気的に接続することができる。図27Dは、図27Cの慣性変換器アセンブリ260の斜視図を示しており、この慣性変換器アセンブリ260には、慣性マス(図示せず)が、ハウジングアセンブリ264,266,268の内部に配置されている。これらハウジングアセンブリの各部は、複数の機能を供給することできる。例えば、機械的支持および取り付けおよび付着特性を提供することに加えて、これらハウジングアセンブリの各部は、アクチュエータカートリッジを傷つける可能性がある、x、yおよび/またはz方向の慣性マスの必要以上の動きを防止するための機械的ハードストップとして機能する特性を組み込むことができる。例えば、上記ハウジングは、慣性マスの必要以上の動きを制限するための隆起表面を設けることができる。図示されている実施形態において、この隆起表面は、ビア24を含むハウジングの一部分を構成することができる。また、ビア24を選択的に取り付けて、そのために設置されたどんなファスナ270をも慣性マスの動きを制限するための効果的な止め具として機能することができるようにする。
【0109】
ハウジングアセンブリ264,266はまた、取り扱いに関する電気ショックを防ぐために、アクチュエータのエッジを覆う一体化されたリップまたは拡張を想定して設計することもできる。あらゆる、そして全てのこれらの部分はまた、家庭用電子装置のハウジング等の、より大きなアセンブリのハウジングの一部として一体化することもできる。例えば、図示されているハウジングは、ユーザインターフェース内に固定できる独立した構成要素として示されているが、この変換器の別の実施形態は、実際のユーザインターフェース装置のハウジングの全体または一部であるハウジングアセンブリを備えている。例として、コンピュータマウスの本体は、慣性変換器アセンブリのハウジングとして機能するよう構成することができる。
【0110】
上記慣性マス262はまた、複数の機能を供給することができる。図27Aおよび図27Bに円形状として示されているが、慣性マスの実施形態は、より複雑な形状を有するよう製造することができ、x、yおよび/またはz方向のその動作を制限する機械的ハードストップとして機能する総合的な特性を有するようになる。例えば、図27Eは、慣性マス262を備えている慣性変換器アセンブリの一実施形態を示している。この慣性マス262には、ハウジング264の止め具の特徴(または他の特徴)をかみ合わせる成形面263を設けている。図示の実施形態において、慣性マス262の成形面263は、ファスナ270をかみ合わせる。したがって、慣性マス262の変位は、成形面263とファスナ270の止め具との間の隙間に制限される。重量マスは、アセンブリ全体の共振周波数を調整するために選択することができ、この構造体の材料は、どんな高密度物質でも可能だが、必要なボリュームやコストを最小化するよう選択されるのが好ましい。適切な材料は、鉄、タングステン、アルミニウム、ニッケル、クロムおよび真鍮、高分子/金属合成材料、樹脂、流体、ゲルあるいは他の材料等の金属および金属合金を含み、また、他の材料を用いることもできる。
【0111】
(電場応答性高分子触覚のためのフィルタサウンドドライブ波形)
本明細書に記載された本発明の方法および装置の他の実施形態は、フィードバックを改良するための方法でアクチュエータを駆動することを含む。一実施形態において、触覚アクチュエータは、サウンド信号により駆動される。この構造は、セパレートプロセッサの必要性を除外して、異なるタイプの触覚感覚を作り出すための波形を生成する。その代わりに、現在の音声信号を修正触覚信号に修正する(例えば、周波数スペクトルの異なる部分をフィルタにかける、あるいは、増幅する)ために、触覚装置は1以上の回路を用いることができる。従って、修正触覚信号は、その後アクチュエータを駆動させる。一実施形態において、修正触覚信号は、異なる感覚効果を得るためのアクチュエータを始動させるために電源を駆動させる。このアプローチは、どんな音声信号も自動的に関連付け、同期させるという有利な点を有し、ゲームコントローラや携帯ゲームコンソール等の触覚装置における音楽やサウンドエフェクトのフィードバックを強化することができる。
【0112】
図28Aは、電場応答性高分子アクチュエータに対する最適な触角周波数内で作動するための音声信号を調整する回路の一例を示している。図示されている回路は、図28Bに示されているものと同じ信号を作り出すために、振幅カットオフ、直流電流オフセット調整、および交流電流波形最大振幅マグニチュード調整によって音声信号を修正する。一実施形態において、電場応答性高分子は、二相の電場応答性高分子アクチュエータを備え、上記音声信号を変化させることには、この電場応答性高分子変換器の第1相を駆動させるため、上記音声信号の音声波形(オーディオ波形)の正の部分をフィルタにかけることと、この電場応答性高分子変換器の第2相を駆動させるために、上記音声信号の音声波形の負の部分を反転させることとを含み、この電場応答性高分子変換器の性能を向上させる。例えば、正弦波形の音源信号は、矩形波形(例えば、クリッピングを介して)に変換することができ、触覚信号が、最大アクチュエータ出力を作り出す矩形波形になることができるようにする。
【0113】
他の実施形態において、上記回路は、触覚効果を起こさせるための音声信号の音声波形の全部または一部を用いるため、この音声信号の周波数をフィルタにかけるための1以上の整流器を備えることができる。図28Cは、音声信号の音声波形の正の部分をフィルタにかけるために設計された回路の一実施形態を示している。他の実施形態において、この回路は、二相を有するアクチュエータのために図28Dに示される回路と結合することができる。図に示されているように、図28Cの回路は、アクチュエータの一方の相を駆動するための音声波形の正の部分をフィルタにかけることができる。一方、図28Dに示す回路は、二相触覚アクチュエータの他方の相を駆動するための音声波形の負の部分を反転させることができる。その結果、この二相アクチュエータは、より高いアクチュエータ性能を有する。
【0114】
他の実施形態において、音声信号の閾値は、アクチュエータを駆動する2次回路を始動させるために用いることができる。この閾値は、音声信号の振幅、周波数、または特定のパターンにより定めることができる。この2次回路は、例えば特定の周波数を出力するために取り付けられたオシレータ回路のような固定的応答を有する、あるいは、複数定められているトリガーに基づく複数の応答を有することができる。一実施形態において、これらの応答は、特定のトリガーに基づいて、予め決めることができる。この場合、保存された応答信号を特定のトリガーについて提供することができる。この方法において、音源信号の修正に代えて、上記回路は、1以上の音源信号特性によって決まる既定の応答を始動させる。上記2次回路はまた、限られた持続時間の応答を出力するためのタイマーを有することもできる。
【0115】
多くのシステムが、サウンド機能を伴う触覚の実装から利益を得る可能性がある(例えば、コンピュータ、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)の電子ゲーム)。この実施形態において、フィルタをかけられたサウンドは、電場応答性高分子触覚の駆動波形として機能する。通常、これらのシステムに用いられるサウンドファイルは、触覚フィードバックアクチュエータ設計の最適な周波数範囲のみを含むようにフィルタをかけることができる。図28Eおよび図28Fは、装置400のその一例を示していて、この場合、コンピュータマウスには、マウス本体400の内部に、慣性マス404に連結された1以上の電場応答性高分子アクチュエータ402を設けている。
【0116】
現在のシステムは、200Hz未満の最適周波数で作動する。例えば、ショットガンの爆音や、ドアを閉める音のようなサウンド波形は、使用される200Hz未満であるこれらサウンドから上記最適周波数のみを許可するようローパスフィルタをかけることができる。このフィルタをかけられた波形は、その後触覚フィードバックアクチュエータを駆動するEPAM電源への入力波形として供給される。これらの実施形態がゲームコントローラに用いられた場合、ショットガンの爆音およびドアを閉める音は、触覚フィードバックアクチュエータと同時に作動して、ゲームプレイヤーに高質の経験を提供する。
【0117】
一実施形態において、現在のサウンド信号の使用は、独立して生成された音声信号によって生成されたサウンドと同時に、ユーザインターフェースデバイスの触覚効果を作り出す方法を可能にする。例えば、この方法は、上記音声信号をフィルタリング回路に案内し、既定の周波数よりも下の周波数の範囲をフィルタにかけることにより触覚ドライブ信号を作るために、上記音声信号を変化させ、上記触覚ドライブ信号を電場応答性高分子変換器に連結された電力源に提供し、上記電力源が上記電場応答性高分子変換器を作動させ、上記音声信号により生成される上記サウンドと同時に上記触覚効果を起こさせることを含むことができる。
【0118】
上記方法は、サウンドエフェクトおよび触覚応答の両方を同時に生成するために、電場応答性高分子変換器を駆動することをさらに含むことができる。
【0119】
図29A−図30は、1以上の変換器の駆動に関する他の実施形態を示しており、この変換器の構造を変換器に電力を供給するために用いて、ノーマル(活性前)状態において、この変換器に電力が供給されていない状態であり続けることができるようにする。以下説明は、この明細書に記載されたあらゆる設計に組み込むことができる。この変換器を駆動するための装置および方法は、ユーザインターフェースデバイスの本体または筺体のプロファイルを小さくしようと試みるときに、特に有益である。
【0120】
最初の例(図29A)において、ユーザインターフェースデバイス400は、1以上の電場応答性高分子変換器またはアクチュエータ360を備え、この電場応答性高分子変換器またはアクチュエータ360は、複雑なスイッチングメカニズムを必要とすることなく、ユーザインターフェース表面402で触覚効果を作り出すよう駆動することができる。その代わりに、複数の変換器360が1以上の電源380により電力を供給される。図に示された例おいて、これらの変換器360は、上述の厚みモード変換器、および言及によりすでに組み込まれたアプリケーションにおける厚みモード変換器である。しかし、この実施形態が提示するコンセプトは、複数の異なる変換器設計に適用可能である。
【0121】
図に示されるように、変換器360は、高圧電源380を有するオープン回路を含んでいる層に積み重ねられている。この高圧電源380には、各変換器360への接続としての機能を果たす1以上の接地母線(ground bus line)382を設けている。しかし、このデバイス400は、スタンバイ状態において、電源380を形成している回路が開放されたままであるため、各々のアクチュエータ360が、電力が供給されていない状態であり続けることができるように構成されている。
【0122】
図29Bは、図29Aに示されているような変換器360を備えるシングルユーザインターフェース表面420を示している。母線382と電源380との間の完全な接続を完成させるために、ユーザインターフェース表面402には、1以上の導電性表面404を設けている。この実施形態において、この導電性表面404は、ユーザインターフェース402の下部表面を構成している。上記変換器はまた、出力部材370または変換器360の他の部分に電気的伝導性のある表面を設けている。
【0123】
上記変換器360を作動させるため、図29Cに示されているように、ユーザインターフェース表面402が変換器360内に曲がったとき、2つの導電性部分は、回路を閉鎖するよう電気的に連結される。このアクションは、電源380の回路を完成させる。さらに、ユーザインターフェース表面402を押し下げることは、変換器360との間隙を閉じるだけでなく、それをデバイス400のスイッチを入れることにも用いることができて、デバイス400が表面402の作動を認識することができるようにする。
【0124】
この構造の利益の1つは、全ての変換器360に電力が供給されないことである。その代わりに、それぞれのユーザインターフェース表面が回路を完成させたこれらの変換器のみに電力が供給される。この構造は、電力消費を最小化すると共に、アレイにおけるアクチュエータ360間のクロストークを取り除く。この構造体は、一般にこのようなデバイスに用いられる金属ドーム型スイッチまたは弾性ドーム型スイッチの必要性を排除するので、極めて薄いキーパッドまたはキーボードを可能にする。
【0125】
図30Aおよび図30Bは、ユーザインターフェースデバイス400の他の実施形態を示している。このユーザインターフェースデバイス400は、埋め込みスイッチとして構成されている電場応答性高分子変換器360を備えている。図30Aに示されている実施形態には、変換器360とユーザインターフェース表面402との間の第1間隙406と、変換器360と筺体との間の第2間隙408とが存在している。この実施形態において、図30Bに示されるように、ユーザインターフェース360を押し下げることは、第1スイッチを入れる、あるいは、ユーザインターフェース402と変換器360との間に閉回路を設定する。この回路を閉鎖することは、高圧電源(図30Aには図示せず)から電場応答性高分子変換器360への電源系経路を可能にする。ユーザインターフェース表面402の連続した押し下げは、変換器360をこのデバイス400の筺体404に配置された追加スイッチと接触させる。後者の接続は、ユーザインターフェース402に触覚感覚または触知性フィードバックを作り出すために、高圧電源が変換器360を作動させることができるようにしているデバイス400への入力を可能にする。変換器360と筺体404との間の接続は、解放時に広がる(設定間隙408)。このアクションは、高圧電源を効果的に停止させる装置400への信号を削除すると共に、アクチュエータがあらゆる触覚効果を作り出すことができないようにする。ユーザインターフェース402の連続解放は、間隙406を設定するために、ユーザインターフェース表面402を変換器360から切り離す。この後者のスイッチを開放することは、電源から変換器360を効果的に切り離す。
【0126】
上述の実施形態において、ユーザインターフェース表面は、1以上のキーボードのキー(例えば、QWERTYキーボード(標準型キーボード)、あるいは他のタイプのキーボードまたはパッド)で構成することもできる。EPAMの作動は、ボタンクリックに触知性フィードバックをもたらし、現在のドーム型キーのキー操作(key depression)に取って代わる。また一方で、この構造は、どんなユーザインターフェースデバイス(これに限定されないが、キーボード、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、トラックボール、スタイラスペン、コントロールパネル、または、触覚フィードバック感覚から利益を得るであろうあらゆる他のデバイスを含む)にも用いることができる。
【0127】
上述の構造の他の実施形態において、1以上の間隙を閉鎖することによって、低電圧開回路が閉鎖されることもあり得る。この低電圧回路は、その後、電力を高電圧回路に提供するためのスイッチを入れるだろう。このようにして、高電圧電力は、高電圧回路から提供され、変換器が回路を完成させるために用いるときだけ変換器に提供される。低電圧回路が開き続けている間は、高電圧電源は連結されないままであり、変換器には電力が供給されないままである。
【0128】
カートリッジの使用は、電気的スイッチをユーザインターフェースの設計全体に組み込むことを可能にし、インターフェースデバイスに対する入力信号をアクティブにする(すなわち、デバイスがキー入力を認識する)、そして、キーに対する触覚信号をアクティブにする(すなわち、キーの選択と関連する触覚感覚を生成する)ための従来のドーム型スイッチを使用する必要性を排除することができる。各キー操作であらゆるスイッチを入れることができ、このような構造は、設計制限の範囲内でカスタマイズすることができる。
【0129】
この組み込まれたアクチュエータスイッチは、各キー操作がアクチュエータに電力を供給する電源を伴う回路を完成させることが出来るようにキーを設定することによって、各触覚イベントを送ることができる。この構造は、キーボードに対する電子技術的要件を簡単にする。各キーに対する触覚を駆動するために要求される高電圧電力は、シングル高電圧電源によって、キーボード全体に供給することができる。また一方で、どんな数の電源でもこの設計に組み込むことができる。
【0130】
これらの設計に用いることができるEPAMカートリッジは、プラナー、ダイアフラム、厚みモード、および受動連結装置(ハイブリッド)を含んでいる。
【0131】
他の実施形態において、組み込まれたスイッチ設計はまた、従来のドーム型スイッチ(例えば、ゴム製ドーム型スイッチまたは金属製湾曲型スイッチ)等の双安定スイッチの模倣を可能にする。一実施形態において、ユーザインターフェース表面は、上述のように、電場応答性高分子変換器を曲げる。また一方で、この電場応答性高分子変換器の活性化が遅延する。その結果、この電場応答性高分子変換器の連続屈曲は、ユーザインターフェース表面においてユーザが感じる抵抗力を増加させる。この抵抗は、変換器内の電場応答性高分子フィルムの変形に起因する。その後、既定の屈曲後であっても変換器が曲げられた後の継続時間であっても、電場応答性高分子変換器は、ユーザインターフェース表面においてユーザが感じる抵抗力が変化する(一般には弱まる)ように活性化される。その一方で、ユーザインターフェース表面の変位は継続する。電場応答性高分子変換器の活性化におけるこのような遅延は、双安定性能の従来のドーム型または湾曲型スイッチを模倣する。
【0132】
図31Aは、双安定効果を作り出すための電場応答性高分子変換器の活性化遅延のグラフを示している。図に示されているように、ライン101は、電場応答性高分子変換器の受動硬直度曲線(passive stiffness curve)を示している。このライン101は、曲げられているが変換器の活性化が遅延している。ライン102は、一度活性化された電場応答性高分子変換器の能動硬直度曲線を示している。ライン103は、電場応答性高分子変換器の力のプロファイルを示している。このライン103は、受動硬直度曲線に沿って移動し、その後活性化したときに、硬直度が能動硬直度曲線102まで低下する。一実施形態において、電場応答性高分子変換器は、ストロークの中間のどこかで活性化される。
【0133】
ライン103のプロファイルは、ゴム製ドーム型または金属製湾曲型の双安定性メカニズムの類似のプロファイルトラッキング硬直度に非常に近い。図に示されているように、EAPアクチュエータは、ゴム製ドーム型の力のプロファイルをシュミレーションするのに適している。能動曲線と受動曲線との間の差は、フィーリングの主な原因となり、ギャップが大きくなればなるほどチャンスがより大きくなり、より強い感覚になるであろうということを意味している。
【0134】
望ましい曲線または反応を得るための上記曲線およびメカニズムの形状は、アクチュエータのタイプから独立している。さらに、アクチュエータのあらゆるタイプ(例えば、ダイアフラムアクチュエータ、厚みモード、ハイブリッド等)の活性化反応は、望ましい触覚効果をもたらすために遅延することができる。このような場合には、電場応答性高分子変換器は、電圧を印加することによって出力反力を変える可変バネとして機能する。図31Bは、電場応答性高分子変換器を活性化することにおける遅延を用いる上述のアクチュエータの実施形態に基づいた更なるグラフを示している。
【0135】
電場応答性高分子変換器を駆動するための他の実施形態は、閾入力信号が与えられる保存された波形の使用を含んでいる。入力信号は、音声または他のトリガー信号を含むことができる。例えば、図32に示されている回路は、保存された信号に対するトリガーとしての役割を果たす音声信号を示している。さらに、このシステムは、音声信号の代わりにトリガー信号または他の信号を用いることができる。この方法は、音声信号から直接アクチュエータを簡単に駆動することを用いるというよりはむしろ、電場応答性高分子変換器を1以上の既定の波形で駆動する。アクチュエータを駆動するこのモードの利益の1つは、保存された波形の使用が、最小限のメモリおよび複雑性で、複雑な波形およびアクチュエータ性能の生成を可能にすることである。アクチュエータ性能は、アナログ音声信号を用いるよりはむしろ、アクチュエータ(例えば、好ましい電圧またはパルス幅で、または、共鳴(共振)時に駆動する)のために最適された駆動パルスを用いることによって強化することができる。このアクチュエータ反応は、入力信号と同期する、または、遅延することができる。一実施形態において、0.25Vの切換え限界値(trigger threshold)をトリガーとして用いることができる。この低レベル信号は、その後、1以上のパルス波形を生成することができる。他の実施形態において、この駆動技術は、潜在的に、同じ入力信号またはトリガー信号の使用が、あらゆる数の条件(例えば、ユーザインターフェースデバイスの位置、ユーザインターフェースデバイスの状態、デバイスで走っているプログラム等)に基づいて異なる出力信号を持つことを可能にすることができる。
【0136】
図33Aおよび図33Bは、単一の駆動回路を用いた二相の活性化を提供することによって電場応答性高分子変換器を駆動するための更なる他の実施形態を示している。図に示されているように、二相変換器の3つのパワーリード(電源ケーブル)のうち、一方の相の一のパワーリードは、高電圧で一定の状態のままであり、他方の相の一のパワーリードは、接地されており、そして、両方の相に共通の第3リードは、地面(ゼロ)から高電圧までの電圧に変化するよう駆動される。これは、一の相の活性化がもう一つの相の不活性化と同時に発生することを可能にし、二相アクチュエータのスナップスルー性能を強化する。
【0137】
他の実施形態において、この明細書に記載されたようなユーザインターフェースの触覚効果は、ユーザインターフェース表面の機械的ビヘイビアを調整することにより改良することができる。例えば、電場応答性高分子変換器がタッチスクリーンを駆動する実施形態において、触覚信号は、触覚効果後のユーザインターフェース表面の好ましくない運動を取り除くことができる。デバイスがタッチスクリーンを備えるとき、このスクリーン(すなわち、ユーザインターフェース表面)の動きは、通常、このタッチスクリーンの面内または面外(例えばz軸方向)で発生する。どちらの場合も、電場応答性高分子変換器は、インパルス502により駆動され、図34Bに概略的に示されているような触覚反応を作り出す。その一方で、もたらされる運動の後に、ユーザインターフェース表面(例えばタッチスクリーン)の変位を示している図34Aのグラフに示されているような遅れた機械的リンギングまたは振動500が続く可能性がある。触覚効果を改良するために、この触覚効果を駆動する方法は、複合波形の使用を含むことができ、現実的な触覚効果を作りだすために電子的に打ち消す(electronic dampening)。このような波形は、触覚駆動部分502と打ち消し部分504とを含んでいる。触覚効果が上述のような「キークリック」を含む場合、電子的打ち消し波形は、より現実的な感覚を作り出すために遅延効果を排除する、または、低減することができる。例えば、図34Aおよび図34Cの変位曲線は、キークリックを模倣しようとするときの変位曲線を示している。その一方で、あらゆる触覚感覚は、この感覚の電子的打ち消しを使用することで改良することができる。
【0138】
図35は、電場応答性高分子変換器に電力を供給するためのエネルギー生成回路の一例を示している。多くの電場応答性高分子変換器は、電力を作り出すために高電圧エレクトロニクスを必要とする。簡単なことに、機能性および保護を提供する高電圧エレクトロニクスが必要とされる。基本的な変換器回路は、低電圧プライミングサプライ、コネクションダイオード、電場応答性高分子変換器、第2コネクションダイオードおよび高電圧コレクターサプライから成っている。その一方で、このような回路は、望ましい1サイクル当たりのエネルギーを取得するときに効果的ではない可能性があり、相対的により高い電圧プライミングサプライを必要とする。
【0139】
図35は、シンプルな電力生成回路設計を示している。この回路の利点の1つは、設計の簡単さにある。(機械的力が加えられていると仮定すれば)低い始動電圧(およそ9ボルト)のみが、ジェネレータを動かすのに必要である。制御レベルエレクトロニクスは、電場応答性高分子変換器内への高電圧伝達、または、電場応答性高分子から外への高電圧伝達を制御する必要がない。受動電圧調節は、この回路出力のツェナーダイオード(zener diode)により達成される。この回路は、高電圧DC電力を作り出す能力があり、約0.04−0.06ジュール/グラムのエネルギー強度レベルで、電場応答性高分子変換器を作動させることができる。この回路は、少量の電力を生成するのに適しており、電場応答性高分子変換器の実現可能性を証明するのに適している。この図示されている回路は、電場応答性高分子変換器の機械的サイクル当たりのエネルギー伝達を最大化するための電荷移動技術を用いる一方で、さらに簡単さを維持している。更なる利益は、極端に低い電圧(例えば9ボルト)で自己プライミングを可能にすること、周波数オペレーションおよびストロークオペレーションの両方が可変であること、簡易化されたエレクトロニクス(例えば、制御シーケンスを必要としないエレクトロニクス)で1サイクル当たりのエネルギー伝達を最大化すること、可変周波数および可変ストロークアプリケーションの両方で作動すること、および過電圧保護を変換器に提供することを含む。
【0140】
(駆動スキーム)
一実施形態において、触覚反応または触覚効果は、駆動スキーム(例えば、アナログ(音声信号を伴う)またはデジタルバーストまたはこれらの結合)の選択によって調整することができる。
【0141】
多くの場合、上記システムは、電流引き込みが高すぎるとき(例えば、高周波時)に電圧を遮断または低減する回路を用いて電力消費を制限することができる。第1の例において、変換器の入力ステージが印加電圧を越えない限り、第2ステージは動くことが出来ない。第2ステージがイニシャライズされたとき、この回路は、第1ステージの電圧を下降させて、その後、入力電力が制限された場合に第2ステージを途中で止める。低周波時、触覚反応は入力信号の後に続く。その一方で、高周波はより電力を必要とするため、入力電力に応じて、反応が短縮されるようになる。電力消費は、サブアセンブリおよび駆動設計を最適化するのに必要なメトリクス(基準)の1つである。この方法で反応を短縮することは、電力を節約する。
【0142】
他の実施形態において、駆動スキームは、振幅変調を用いることができる。例えば、アクチュエータ電圧は、入力信号振幅に基づいて信号振幅が調整される共鳴周波数で分配することができる。このレベルは、入力信号で決定され、この周波数は、アクチュエータ設計で決定される。
【0143】
フィルタまたは増幅器は、アクチュエータの最高性能をもたらす入力駆動信号の周波数を強化するために用いることができる。これは、ユーザによる触覚応答の感度強化を可能にする、および/または、ユーザが望む効果を強めることを可能にする。例えば、サブアセンブリ/サブシステムの周波数反応は、駆動入力信号として用いられるサウンド効果に対して成される高速フーリエ変換を速く合致/重複させるよう設計することができる。
【0144】
触覚効果を作り出すための他の実施形態は、ロールオフフィルタの使用を含んでいる。このフィルタは、高い消費電力(power draw)を必要とする高周波の減衰を可能にする。この減衰を補正するために、サブアセンブリは、高周波時に共鳴するよう設計することができる。このサブアセンブリの共鳴周波数は、例えば、アクチュエータの剛性を変えることによって(例えば、誘電性材料を変えることによって、誘電性フィルムの剛性を変えることによって、アクチュエータの寸法を変えることによって)、アクチュエータの積み重ねにおけるカートリッジの数を変えることによって、アクチュエータの負荷マスまたは慣性マスを変えることによって調整することができる。より薄いフィルムまたはより柔らかい材料にすることによって、高周波に対する電流/電力制限を満たすために必要なカットオフ周波数を変えることができる。明らかなことに、共鳴周波数の調整は、あらゆる方法で発生する可能性がある。この周波数反応はまた、アクチュエータタイプの混合を用いて調整することができる。
【0145】
シンプルなフォロワ回路を用いるというよりは、閾値を入力駆動信号に用いることができ、より少ない電力を必要とする任意の波形を伴うバーストを引き起こす。この波形は、低周波時に存在する可能性があり、および/または、反応を強化するためにシステム(サブアセンブリおよびハウジング)の共鳴周波数について最適化され得る。さらに、トリガー間の遅延時間の使用はまた、電力負荷を制御するために用いられ得る。
【0146】
(ゼロ交差電力制御)
他の実施形態において、制御回路は、入力音声波形をモニターして、高電圧回路のための制御を提供することができる。このような場合には、図36Aに示されているように、音声波形510は、ゼロ電圧値512を通る各遷移に対して測定される。これらのゼロ交差512について、制御回路は、交差時間値および電圧状態を示す。
【0147】
この制御回路は、ゼロ交差時間および電圧スイング方向に基づいて高電圧を変化させる。図36Bに示されているように、正のスイングのゼロ交差では、高電圧ドライブは、514においてゼロボルトから1kV(高電圧レール値(High Voltage Rail Value))まで変化する。負のスイングのゼロ交差では、高電圧ドライブは、516において1kvからゼロボルト(低電圧レール値(Low Voltage Rail Value))まで変化する。
【0148】
この制御回路は、アクチュエーションイベントが音声信号510の周波数と一致できるようにする。さらに、この制御回路は、40−200Hzのアクチュエータ反応範囲を維持するため、高周波アクチュエータイベントを取り除くためのフィルタリングを可能にする。この矩形波は、慣性駆動設計に対する最高の作動反応を提供し、電力供給要素の制限により定められ得る。電力供給要求を制限するために、充電時間を調整することができる。作動力を標準化するために、機械的共鳴周波数を三角波によりチャージすることができ、さらに、オフ共鳴周波数作動を矩形波により活性化することができる。
【0149】
図36Cは、触覚信号の駆動の他の実施形態を示している。この実施形態において、触覚フィードバックを、音声信号から触覚作動に変換することができる。例えば、触覚信号610は、自動的に触知性着信音606を生成することによりもたらされ得る。この着信音606は、発信者番号600(CID)または他の識別データに基づいて、独自に電話発信者を特定する。更なる実施形態においては、学習を殆んどまたは全く必要としないように、スピーチ602に基づいてプロセスが着信音606を生成する。例えば、電話が「ジョン・スミス」を「表示する」とき、(ジョンの発信番号に基づいて)触覚周波数「ジョン・スミス」でブザーを鳴らすことによって、ユーザは、この触覚着信音に基づいて電話発信者を特定することができる。
【0150】
一実施形態において、触覚フィードバックは、次のように変換される。
(発信番号)600→(テキストを音声に変換)602→(音声を触覚に変換)604,606→(触覚アクチュエータに出力)608
例えば、デバイスが電話であるとき、この電話は、電話発信者名または他の標識を特定する触覚振動を提供することによって、鳴るまたは振動することができる。低周波キャリア(例えば100Hz)は、このデバイスが、2音節名の電話発信者を複数音節名と区別することを可能にさせる。
【0151】
シンプルな音声テキスト変換は、ラウドネスエンベロープL=F(t)を得るために、10Hzまでの音声信号を整流し、ローパスフィルタにかけることを含んでいる。このラウドネス信号は、触覚周波数(例えば約100Hz)時に存在するキャリア振動の振幅を調節するのに用いることができる。これは、基本的な振幅調節であると共に、電話発信者名の音節数を区別するのに十分であり、音節が強調される。よりリッチな符号化は、周波数および振幅の両方を調節し、誘電性高分子アクチュエータの忠実性をより十分に引き出す。無数の音声テキスト変換が可能である。多くのものが適するであろう(例えば、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、ウエーブレット、ボコーダ)。実際には、音声情報を保存するよう設計された音声テキスト変換は、聴覚障害者の読唇を助ける触覚補聴器(例えば、Tactaid and Tactilator)として、すでに開発されている。
【0152】
(ハウジング)
本発明の開示はまた、改良された、または、強化された触覚フィードバックのためのデバイスを構成することを含んでいる。図37Aに示されているように、ユーザが加えた力518がデバイス構造体の剛体を通して移動したとき、この力は、このデバイス520と地面522(または他の支持表面)との間の摩擦効果を増加させる。図37A−図37Cに示されているデバイス520は、コンピュータ周辺機器(マウス)であるが、ここで適用される原理は、フィードバックを必要とする様々なデバイスに組み込むことができる。例えば、このデバイスは、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラを含んでいる。
【0153】
図37Aに戻ると、加えられた力518は、支持表面522に対してデバイスを押すことによって、このデバイスを接地させる。これは、あらゆる触覚フィードバック力(矢印526に示されているような)を筺体528またはハウジング530に対して働かせる。言い換えると、この触覚力526は、デバイス520の仕事面532に加えられた力518によって抑えられる。その結果、アクチュエータ524は、慣性効果を生成するためここに連結されたあらゆるマスのみを作動させる。
【0154】
改良された触覚効果を有するデバイス520を提供するために、1以上のハウジング530の表面532または仕事面532が、アクチュエータ524により生成された触覚フィードバック力を強化するよう構成され得る。例えば、ユーザインターフェース表面532に隣接するセクション534は、要望通りに触覚力を移動するために製造され得る。例えば、これらのセクションには、ハウジングを介した反応の感覚を改良するために軟性連結ポイントまたは少数の取り付けポイントを設けることができる。更なる実施形態において、サブアセンブリの共鳴は、ハウジングの共鳴と一致することができ、あるいは、ハウジングの共鳴を用いて最適化され得る。他の実施形態において、ハウジングの形状は、特定の反応を強化するために調整することができる。例えば、1以上のセクション534は、感覚を改良するため、または、その共鳴を変えるため、より薄くしてもいいし、柔軟にしてもいいし、あるいは、折り畳めるように構成してもよい。
【0155】
例えば、デバイス520の触覚フィードバックの改良は、異なる位置で別に共鳴するためのケーシングを設計することによって調整することができる。例えば、高周波は、ある領域((例えば図37Bに示されているように)指先534の近く)で有利に働くことが可能である。一方、低周波は、掌536の下等の他の領域で有利に働くことが可能である。駆動信号の選択を介して、ユーザは、局部的な反応を感じる。
【0156】
他の実施形態において、図37Cに示されているように、デバイス534は、1以上の柔軟なマウント534を備え、このマウント534は、支持表面522を捉えるフレーム、ベースまたはケース528に、ハウジング530を連結させる。柔軟ベースマウント534の使用は、アクチュエータ524の作動エネルギーが、触覚力でハウジング530を動かすことを可能にすると同時に、このデバイス520のベース528は接地されたままである。このような柔軟ベースマウント534は、デバイス520のどこにでも配置することができ、アクチュエータ524からユーザインターフェース532の関連部分まで触覚力の移動を可能にする。例えば、1以上の柔軟マウント538は、上部ハウジング530をデバイス520の周囲のベース528に取り付けることができる。図37Cはまた、任意に、不具合を防ぐための1以上の機械的止め具536を含んでいるような、または、環境に対してデバイス520の内部構造の露出を低減するためのパッケージングを備えるデバイス520を示している。
【0157】
更なる実施形態において、触覚反応は、変換器のサブアセンブリの設計を介して調整することができる。少数のカートリッジ(または結合された変換器)の使用は、低周波時に駆動可能な剛性の低いシステムを作り出す。
【0158】
追加のカートリッジの使用は、より広範の周波数を有する高周波に対する反応をプッシュする。慣性マスは、共鳴反応を異なる周波数レンジに変えるよう選択可能である。サブアセンブリは、駆動周波数が共鳴周波数に近い場合、低電圧時により強い反応を伴って駆動する可能性がある。低い共鳴周波数のために、高駆動周波数時の動作において、よりシャープなカットオフが存在する。
【0159】
より高い共鳴周波数に関して、共鳴ピークは広範であり、そして、より広範な周波数レンジに亘ってより高い忠実性が存在する。
【0160】
一実施形態において、慣性マスは、アクチュエータモジュールおよび駆動回路に関する全てのボリュームを低減するために、変圧器回路に置き換えることができる。例えば、図37Bに示されているように、1以上のバッテリーまたは容量性記憶装置は、ピーク負荷時に充電を提供することができる(これらのバッテリーまたは容量記憶装置は要素540として示されている)。この構造体540は、ユーザインターフェースデバイスの重り、電力供給装置、バッテリー、回路基板、およびコンデンサを備えている。このデバイス520内に存在している(複数の)構造体の使用は、アクチュエータサブアセンブリの全てのフォームファクターおよび空間利用を改良する。
【0161】
その他の実施形態では、慣性マスとしてのインダクタの使用を含んでいる。空間節約の利点に加えて、これは、微小サイズ分離電子回路を使って実行可能なものよりも、より大きいインダクタを使った、より効率的な電力変換を介して、電力効率(および低電流引き込み)を改良することができる。これは、とりわけ共鳴駆動(共振型駆動)について言えることだが、オーディオフォロワー(audio follower)設計についてもまた言える。
【0162】
上述の柔軟ガスケットに加えて、または、柔軟ガスケットに代わる手段として、このシステムは、あらゆる駆動出力マスおよびベースマスを含むことができる。この駆動出力マスは、デバイスの本体を構成しており、このベースマスは、本体のベースを構成している。変換器を駆動することによって、両方のマスの振動が作り出され、一方のマスがフィードバックをユーザに供給するために用いられる。
【0163】
触覚フィードバックを大きくするために、変換器とベースとの間の摩擦を低減するあらゆる部材または構造を用いることができる。例えば、層(レイヤー)を機能させるために、表面を最小化し、材料から作られる突起またはポイントのようなモールドされた特徴を備えることによって、合わせ面(例えば、ディスプレイ、タッチスクリーン、またはブラックライトデフューザの底面)の摩擦係数が低くなる。この摩擦低減材料は、低い摩擦係数と可動表面を有する材料を備えることができる。
【0164】
図38A−図38Eは、デバイス542(この実施形態においては、携帯電話ユニット)の他の実施形態を示している。このデバイス542は、ハウジングを備え、このハウジングは、ここに配置されたアクチュエータ524により生成される触覚フィードバック力を強化するよう構成されている。図38Aは、このデバイスのユーザインターフェースを示している。図38Bは、ユーザインターフェース532の側面図を示している。この例において、ユーザインターフェースの背面には、停止表面536を設けていて、このユニット542の筺体、本体またはベース528に対するユーザインターフェースの過度な動きを制限する。図38Cは、アクチュエータ524とこのユニットの他の要素548を設けているユニット542のベース528を示している。上述のように、この要素548は、任意に、アクチュエータが慣性力を生成することを可能にするマスとしての役割を果たすことができる。図38Dは、ベース528に連結されたユーザインターフェース532を示している。
【0165】
図38Eは、デバイス542の他の実施形態を示しており、このデバイス542は、ベース528とユーザインターフェース532との間に配置された1以上のベアリング544を備えている。図に示されているように、このベアリングは、任意に、レール550に設けることができる。図示の実施形態のデバイス542には、デバイス542の長さに沿って2つのレール550を設けているが、他の実施形態は、レール550が摩擦を低減して、アクチュエータ524により生成される強化された触覚力が可能となる間、このデバイス内の任意の場所に配置された1以上のレール550を設けている。
【0166】
図39Aは、この明細書に記載されたデバイスおよびアセンブリに用いるためのサスペンションアセンブリの特徴を示している。この図は、平面タイプアクチュエータ524を露出するために開けられているユーザインターフェース532を備えている、分解された触覚デバイス520を示している。サスペンションアセンブリは、このデバイスの構成要素を示すため図39Aから省略されている。
【0167】
図に示されているように、平面タイプアクチュエータ524は、デバイス520本体の他の部分に関連するユーザインターフェース532の動きを作り出す。図示されている実施形態において、ユーザインターフェース532および底部フレーム528は、互いに関連して動く。その一方で、デバイスの任意の2つの要素が互いに動きあう実施形態は、いくらでも考えられる(ユーザインターフェースは常に移動する要素の1つである必要はない)。さらに、この例となるデバイス520は、x次元(x-dimension)および/またはy次元(y-dimension)の動きを可能にする平面タイプアクチュエータ524と共に示されている。その一方で、様々なアクチュエータのタイプを用いることができる(例えば、z/面外方向に動くアクチュエータ、および、x−y−z方向に動くアクチュエータ)。サスペンションアセンブルに関してこの明細書に記載されている原理は、電場応答性高分子変換器または他のタイプの変換器を用いている触覚フィードバックデバイスおよび他のデバイスに適用可能である。例えば、サスペンション設計は、センサ、スピーカおよび光学デバイスにおいて、そして、触覚デバイスにおいて用いることができる。
【0168】
図39Bは、複数のサスペンションアセンブリ550を備えるデバイス520を示している。これらのサスペンションアセンブリ550は、デバイス520の様々な構成要素を連結させる。以下に記載されているように、これらのサスペンションアセンブリ550は、相対運動を可能にするために構成要素を分ける働きをすることができ、また、構成要素の動きを無効にする復元力(spring force)または抵抗力をもたらす働きをすることができる。例えば、図39Bは、アクチュエーションフレーム529の一部分554と、ベースフレーム528の一部分556との間に連結された屈曲部552を備えるサスペンションアセンブリを示している。このアクチュエーションフレーム529は、デバイス520のあらゆる部分になることができる。図示の実施形態において、アクチュエーションフレーム529は、ユーザインターフェース部532のための支持構造を備えている。更なる実施形態において、アクチュエーションフレーム529は、ユーザインターフェース部532の一部である、または、実質的にユーザインターフェース部それ自身532を構成することができる。
【0169】
図に示されているように、アクチュエーションフレーム529は、電場応答性高分子アクチュエータ524(この場合は、電場応答性高分子フィルム525)の可動部分に連結されている。その一方で、上記フレームは、屈曲可能な電場応答性高分子フィルム525により駆動されるあらゆるコネクタまたは接続構造に連結することができる。図示の例はまた、電場応答性アクチュエータアセンブリ524に連結されているベースフレーム528を示している。一般に、このフレームは、電場応答性高分子アクチュエータ524のハウジング527に取り付けることができる。明らかに、他の方法で特別に主張されない限り、デバイスおよび方法の実施形態は、電場応答性高分子アクチュエータの可動部分に連結された電場応答性高分子アクチュエータおよびベースフレームのハウジング528に連結されるアクチュエーションフレーム529を備えることができる。
【0170】
図39Cにおいて、このデバイスのユーザインターフェース部および電場応答性高分子アクチュエータおよび他の構成要素は、複数のサスペンションアセンブル550を用いているベースフレーム528に連結されているアクチュエーションフレーム529の表示の明確さのために省略している。図示の例は、4つのアセンブリを示しているが、いくつのアセンブリでも特定のアプリケーションに応じて用いることができる。
【0171】
図39Dは、一のサスペンションアセンブリ550の拡大図を示している。図に示されているように、この実施形態におけるアセンブリ550は、それぞれアクチュエーションフレーム529およびベースフレーム528の部分またはタブ554,556を備え、これらの部分またはタブ554,556は、このフレームの移動平面の範囲外にある。これらのタブ554,556を屈曲部552に溶接する、あるいは、その他の方法で取り付けることができる。この屈曲部552は、制御された動きを可能にするためにフレームを連結する機械的屈曲としての機能を果たす。この屈曲部552は、金属合金(例えばステンレス鋼)、高分子材料、あるいは合成材料等、どんな材料からでも製造することができる。任意に、屈曲部552は矩形状から成り、この屈曲部552が単一平面に曲がることができるようにする。その一方で、特に限定されない限り、サスペンションアセンブリは、様々な形状を有する屈曲部を備えることができる。例えば、図に示されている屈曲部552は、平面バー形状から成っている。この形状は、屈曲部が屈曲し、平面方向(図40C参照)の取り付けられた構成要素が動くことを可能にする。
【0172】
この明細書に記載されたサスペンションアセンブリは、可動構成要素を分離するまたは浮かせるという2つの機能を果たす、および/または、構成要素間の相対運動を無効にするための復元力または抵抗力を提供することができる。図40A−図40Dは、サスペンションアセンブリの一例の概略上面図を示している。図40Aは、安静位(rest position)(すなわち、アクチュエーションフレーム529および/またはベースフレーム528が変位する前)のサスペンションアセンブリを示している。図40Bは、図40Aに示されているサスペンションアセンブリの概念的側面図を示している。図に示されているように、屈曲部552は、ベースフレーム528とアクチュエーションフレーム529との間で垂直分離を維持している。この間隔は、これらのフレーム間の改良された動きを可能にし、これらのフレーム間に軸受表面を追加する必要がない。その一方で、このデバイスの実施形態には、1以上の軸受表面の使用を含むこともできる。上記アクチュエーションフレーム528およびベースフレーム529はまた、相対運動を容易にするための特徴をいくらでも含むことができる。例えば、図に示されているように、フレーム528,529には、ネスティングタイプの突起およびスロット558を設けることができ、互いに動きあうフレーム528,529を可能にする。
【0173】
図40Cは、フレーム528,529が互いに動きあうときの図40Aのアセンブリを示している。示されている変位の程度は、説明目的のためであると気が付くべきである。変位時に、屈曲部552は、機械的に圧力を加えられた状態または変形した状態に入り、タブ554,556の対抗する力をもたらす。図40Dは、図40Cのサスペンションアセンブリの側面図を示している。さらに、このサスペンションアセンブリは、変位形状にあるとき、フレーム528,529間の分離を維持することができる。
【0174】
一実施形態において、上記屈曲部552は、フレーム528,529の動きを、電場応答性高分子アクチュエータの最大変位未満に打ち消しまたは制限するよう構成または選択することができる。このオプションは、アクチュエータの変位を好ましい範囲内に制限することによってアクチュエータの寿命を延ばすことができる。
【0175】
図41は、ベースフレーム528の部分的底面図を示している。このベースフレーム528は、この明細書に記載されているデバイスの実施形態のモーションを制御するための更なる態様を備えている。この実施形態において、ベースフレーム528およびアクチュエーションフレーム529は、嵌め合わせ停止アセンブリ560を備えている。図に示されているように、この停止アセンブリ560は、突起部562とスロット564とを備えている。これらの突起部562およびスロット564は、これらの構造体間で滑り運動を可能にするために、共にネスト化されている。この例において、停止アセンブリ560の突起部562は、アクチュエーションフレームに連結されている、または、アクチュエーションフレームの一部である。一方スロット564は、ベースフレーム528内に形成され得る。このシステムの実施形態は、スロットがアクチュエーショントレイにあり、突起部がベーストレイにある反対の構造を含んでいる。どのような場合でも、この停止アセンブリ560は、突起部562とスロット564との間の間隙を用いてトレイの動きを制限する。結果として、トレイの動きは、アクチュエーションの最大変位未満になるように構成され得る。この停止メカニズムは、アクチュエータが、その変位の最大範囲を超えて動くことができないようにすることによって、アクチュエータへの損害を防ぐことができる。
【0176】
この停止アセンブリの更なる実施形態は、図41に示されている停止アセンブリからの様々な変更を含んでいる。例えば、代わりの実施形態において、突起部は、スロットまたは他のキー溝内にネスト化することができ、ベースフレーム全体を通ってスロットを作り出す必要性が無いようにする。図41はまた、ノッチ566を設けているボトムフレーム529を示している。このノッチ566は、あらゆるケーブルに適合する、または、アクチュエーションフレームのタブ部分554の動きを可能にすることができる。
【0177】
図42A−図42Fは、最終配置のための可動構成要素を有するサスペンションアセンブリをデバイスに取り付けている一例を示している。図42Aは、固定具600上に配置された屈曲部552として用いられる材料のストリップを示している。この屈曲部は、様々な形状およびサイズおよび材料から構成することができるが、屈曲部の一実施形態では、ステンレス鋼材料から成っている。次に、図42Bに示されているように、このプロセスは、固定具600上にベースフレーム528を配置することと、ベースフレーム528を位置合わせすることとを含み、一部分556が屈曲部552を嵌め込む(または嵌め込む可能性がある)ことができるようにする。図示の実施形態において、ベースフレーム528は、屈曲部552上に予め形成され(予め曲げられ)、配置されたタブ556を有している。また、このタブ556は、ベースフレーム528の位置決め後に、屈曲部552について曲げるまたは固定することができる。代わりの実施形態において、ベースフレーム528の一部分556は、少しも曲げられること無く屈曲部552に簡単に取り付けることができる(例えば、図41に示されている)。ベースフレーム528に屈曲部552を取り付けるために、様々なプロセスを用いることができる。例えば、タブ556は、屈曲部552に溶接することもできる。このような場合には、タブ556と屈曲部552との間に電極を配置することもできる。
【0178】
図42Cは、フレームベース528上の電場応答性高分子アクチュエータ524の位置決め後のプロセスを示している。説明するために、電場応答性高分子アクチュエータ524は、電力供給または他の電気回路無しで示されている。次に図42Dに示されているように、アクチュエータフレーム529は、電場応答性高分子アクチュエータ(図42Dに示さず)上に配置され、アクチュエーションフレームの一部分(この場合タブ554)が、屈曲部552を嵌め込むことができるように位置合わせされる。このタブ554は、この明細書で説明されたあらゆる方法で屈曲部に固定され得る。
【0179】
図42Eは、屈曲部552が取り除かれた後のアセンブリプロセスの状態を示している。示されている例において、屈曲部552を取り除くことは、ベースフレームおよびアクチュエーションフレームを連結させるための4つの別々のサスペンションアセンブリ550を作り出す。図42Fは、アクチュエーションフレーム上にユーザインターフェース532を連結するステップを示している。このアセンブリは、ハウジングまたは他のカバーに取り付けることができる。図示していないが、このアセンブリは、(この明細書で説明されたような)様々な軸受表面を設けることができ、構成要素の動きの助けとなる。
【0180】
触覚エレクトロニクスを駆動するために用いられる回路技術は、回路の設置面積を最適化し(すなわち、回路のサイズを低減する)、触覚アクチュエータの効率を高め、そしてコストを潜在的に低減するよう選択することができる。次の図面は、このような回路ダイアグラムの例を特定する。図43Aは、フォトフラッシュコントローラのための電力供給装置を備えている一例を示している。図43Bは、閉ループフィードバックを伴うプッシュプルMOSFET(push-pull Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を備えている第2例の回路を示している。
【0181】
本発明の他の詳細に関しては、材料および構造に関連した代替物は、当業者の技術水準の範囲内で用いることができる。この材料および代替の関連した構造は、一般的に、あるいは、論理的に使用されるような追加行為に関して、本発明の方法ベースの態様についても同じことが当てはまる。さらに、本発明は、いくつかの実施形態、任意に様々な特性の組み合わせに関して記載されているが、本発明の実施形態の各々に関して予定されているように記載され、または示されているものに限定されることはない。記載された発明に対して様々な変化を作り出すこともできるし、本発明の真の精神および範囲から離れることなく、均等物(ここに列挙されたものであれ、簡潔化のために含まれないものであれ)を代用することもできる。示されているあらゆる独立した部分またはサブアセンブリが、その設計において一体化され得る。このような変更等は、アセンブリに対する設計の原則によって行われ、あるいは、導かれ得る。
【0182】
記載された本発明の実施形態のどんな任意の特性でも、単独で、あるいは、本明細書に記載されている1以上のどんな特性とでも組み合わせて、説明し、主張することができる。単数の事項への言及は、複数の同じ事項が存在する可能性を含む。より具体的に言うと、本明細書および添付の請求項では、単数形「a」、「an」、「said」、「the」は、複数でないことが明確に記載されていない限り、複数のものを含む。言い換えれば、上記説明および後述の請求項において、上記冠詞の使用は、当該事項の「少なくとも1つ」という文言を考慮に入れる。いかなる任意の構成要素をも排除するように、請求項を起草できる。そのため、請求項の構成要素の列挙に関連して、「ただ(solely)」、「のみ(only)」等のような排他的用語を使用することによって、あるいは、「否定的な(negative)」限定を使用することによって、請求項からいかなる任意の構成要素をも排除することを意味している。上記排他的用語を使用せずに、請求項における「備える、含む、有する(comprising)」を用いる場合は、構成要素に与えられている番号が請求項に列挙されているかどうかに関係なく、どんな追加構成要素の包含も可能にするものとする。あるいは、特性の追加が、請求項に説明されている構成要素の本質を変形するものとしてみなされ得る。その他定められたものとして、本明細書において特別に定められたものでない限り、本明細書で使用されている技術的および科学的用語は、請求項の効力を維持している間、可能な限り、一般に広義に理解される意味が与えられ得る。
【0183】
本発明は、説明のため上述において詳細に記載されているが、当然のことながら、このような詳細は単に説明目的のために存在しており、様々な実施形態が、特許請求の範囲により限定されている場合を除き、本発明の精神と範囲から離れることなく当業者により作り出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに触覚フィードバックを提供するための装置であって、
ベースフレームを備え、
また、上記ベースフレームに連結された少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータを備え、この電場応答性高分子アクチュエータは、触覚フィードバックを提供するために入力中の活性化信号に応えて動くよう構成された電場応答性高分子フィルムを有し、
また、上記電場応答性高分子フィルムに連結されたアクチュエーションフレームを備え、上記電場応答性高分子フィルムの運動が、このアクチュエーションフレームの運動を引き起こし、
また、このアクチュエーションフレームの一部分に上記ベースフレームの一部分を連結する少なくとも1つの機械的屈曲部を備え、この機械的屈曲部が、上記ベースフレームに対して上記アクチュエーションフレームを浮かせて、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を可能にすること
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
上記機械的屈曲部は、複数の別々の機械的屈曲部を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
ユーザインターフェース部をさらに備え、上記アクチュエーションフレームが、このユーザインターフェース部の一部に連結されているか、または、このユーザインターフェース部の一部を形成することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
上記ユーザインターフェース部が、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボードおよびゲーミングコントローラから成るグループから選択されたインターフェースデバイスを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、上記機械的屈曲部は、平面バーを有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、上記機械的屈曲部は、上記ベースフレームに平行な平面における、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を制限するよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
上記機械的屈曲部の第1部分は、上記ベースフレームに堅く取り付けられており、上記機械的屈曲部の第2部分は、上記アクチュエーションフレームに堅く取り付けられており、上記第1部分と上記第2部分との間にある上記機械的屈曲部の拘束されない第3部分は、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動に応えて屈曲することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
上記機械的屈曲部の拘束されない第3部分は、上記電場応答性高分子フィルムの運動を、この電場応答性高分子フィルムの最大変位未満に制限することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
上記アクチュエーションフレームは、少なくとも1つのアクチュエーションタブを含み、上記ベースフレームは、少なくとも1つのベースタブを含み、上記アクチュエーションタブおよび上記ベースタブは、上記アクチュエーションフレームおよび上記ベースフレームとは同一平面になく、少なくとも1つの機械的屈曲部が、上記アクチュエーションタブと上記ベースタブとの間に固定されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
停止アセンブリをさらに備え、この停止アセンブリは、上記ベースフレームに突起部を有すると共に上記アクチュエーションフレームにスロットを有しており、このスロットは、上記突起部を受け取るよう構成され、かつ、上記ベースフレームの運動を制限するために上記突起部よりも大きく形成されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、
停止アセンブリをさらに備え、この停止アセンブリは、上記アクチュエーションフレームに突起部を有すると共に上記ベースフレームにスロットを有しており、このスロットは、上記突起部を受け取るよう構成され、かつ、上記ベースフレームの運動を制限するために上記突起部よりも大きく形成されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
上記活性化信号は、出力信号に関連する上記電場応答性高分子から触覚フィードバック力を作り出すことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、
上記少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータは、上記触覚フィードバック力を作り出すために慣性マスを有していることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、
上記少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータは、上記装置の構造体に連結されており、変位時に、上記電場応答性高分子アクチュエータが、慣性力を生成するために上記構造体を動かすことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置において、
上記構造体は、上記装置の重り、電力供給部、バッテリー、回路基板、およびコンデンサから選択された構造体を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、
上記アクチュエーションフレームと上記ベースフレームとの間に少なくとも1つのベアリングを備え、このベアリングは、上記アクチュエーションフレームと上記ベースフレームとの間の摩擦を低減することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、
上記少なくとも1つのベアリングは、ガイドレールに取り付けられた複数のベアリングを備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置において、
少なくとも2つの上記ガイドレールが、ユーザインターフェース部の第1側面および第2側面に沿って、それぞれ配置されていることを特徴とする装置。
【請求項19】
フィードバック装置を製造するための方法であって、
フィードバックを提供するために電圧を印加したときに変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを含む電場応答性高分子変換器を第1フレームに取り付け、
上記電場応答性高分子フィルムを第2フレームに連結し、
上記第1フレームを機械的屈曲部の第1部分に取り付け、上記第2フレームを上記機械的屈曲部の第2部分に取り付けることによって、上記第2フレームに対して上記第1フレームを浮かせ、上記機械的屈曲部の第3部分は拘束されておらず、かつ、上記第1部分および上記第2部分の相対運動を可能にするために屈曲する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
上記第1フレームを上記第2フレームに対して浮かせることは、複数の別々の機械的屈曲部に上記第1フレームおよび上記第2フレームを取り付けることを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
上記第1フレームまたは上記第2フレームが、ユーザインターフェース部を有していることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
上記ユーザインターフェース部が、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラから成るグループから選択されたインターフェースデバイスを含んでいる特徴とする方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法において、
上記第1フレームを上記第2フレームに対して浮かせることは、平面バーの第1部分を上記第1フレームに取り付けることと、平面バーの第2部分を上記第2フレームに取り付けることとを含み、上記平面バーが上記第1フレームおよび上記第2フレームの平行運動を容易にすることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法において、
上記機械的屈曲部の上記第3部分は、上記電場応答性高分子フィルムが最大変位に達するのを妨げる量で屈曲するよう選択されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法において、
上記第1フレームに第1停止面を作ることと、第2フレーム上に第2停止面を作ることとを更に備え、上記第1停止面および上記第2停止面が、上記第2フレームに対する上記第1フレームの運動を制限するよう干渉して、上記電場応答性高分子フィルムが最大変位に達するのを妨げることを特徴とする方法。
【請求項26】
装置の可動部材間の変位を制御するための方法であって、
装置を提供し、この装置は、
機械的屈曲部により第2フレーム部に対して浮かされた第1フレーム部を備え、この機械的屈曲部は、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間の相対運動を可能にし、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部は、静止位置と変位位置とを有しており、
電圧の印加時に変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを有する電場応答性高分子変換器を備え、この電場応答性高分子変換器は、上記第1フレーム部に連結され、この電場応答性高分子フィルムは、上記第2フレーム部に連結されており、
上記電場応答性高分子フィルムの変位を引き起こすために上記電場応答性高分子変換器を活性化し、この電場応答性高分子フィルムの変位は、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を上記変位位置まで動かして、上記機械的屈曲部に機械的ストレスを作り出し、
上記電場応答性高分子変換器への信号を弱めて、上記機械的屈曲部における上記機械的ストレスが、上記静止位置に上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を戻すアシストをすることを可能にし、一方で上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間のサスペンションを維持する
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
上記第2フレーム部に対して上記第1フレーム部を浮かせることは、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部とを複数の別々の機械的屈曲部に取り付けることを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、
上記第1フレーム部および上記第2フレーム部は、ユーザインターフェース部を有している、または、ユーザインターフェース部の一部であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
上記ユーザインターフェース部は、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラから成るグループから選択されたインターフェースデバイスを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項1】
ユーザに触覚フィードバックを提供するための装置であって、
ベースフレームを備え、
また、上記ベースフレームに連結された少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータを備え、この電場応答性高分子アクチュエータは、触覚フィードバックを提供するために入力中の活性化信号に応えて動くよう構成された電場応答性高分子フィルムを有し、
また、上記電場応答性高分子フィルムに連結されたアクチュエーションフレームを備え、上記電場応答性高分子フィルムの運動が、このアクチュエーションフレームの運動を引き起こし、
また、このアクチュエーションフレームの一部分に上記ベースフレームの一部分を連結する少なくとも1つの機械的屈曲部を備え、この機械的屈曲部が、上記ベースフレームに対して上記アクチュエーションフレームを浮かせて、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を可能にすること
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
上記機械的屈曲部は、複数の別々の機械的屈曲部を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
ユーザインターフェース部をさらに備え、上記アクチュエーションフレームが、このユーザインターフェース部の一部に連結されているか、または、このユーザインターフェース部の一部を形成することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
上記ユーザインターフェース部が、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボードおよびゲーミングコントローラから成るグループから選択されたインターフェースデバイスを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、上記機械的屈曲部は、平面バーを有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、上記機械的屈曲部は、上記ベースフレームに平行な平面における、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動を制限するよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
上記機械的屈曲部の第1部分は、上記ベースフレームに堅く取り付けられており、上記機械的屈曲部の第2部分は、上記アクチュエーションフレームに堅く取り付けられており、上記第1部分と上記第2部分との間にある上記機械的屈曲部の拘束されない第3部分は、上記ベースフレームと上記アクチュエーションフレームとの間の相対運動に応えて屈曲することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
上記機械的屈曲部の拘束されない第3部分は、上記電場応答性高分子フィルムの運動を、この電場応答性高分子フィルムの最大変位未満に制限することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
上記アクチュエーションフレームは、少なくとも1つのアクチュエーションタブを含み、上記ベースフレームは、少なくとも1つのベースタブを含み、上記アクチュエーションタブおよび上記ベースタブは、上記アクチュエーションフレームおよび上記ベースフレームとは同一平面になく、少なくとも1つの機械的屈曲部が、上記アクチュエーションタブと上記ベースタブとの間に固定されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
停止アセンブリをさらに備え、この停止アセンブリは、上記ベースフレームに突起部を有すると共に上記アクチュエーションフレームにスロットを有しており、このスロットは、上記突起部を受け取るよう構成され、かつ、上記ベースフレームの運動を制限するために上記突起部よりも大きく形成されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、
停止アセンブリをさらに備え、この停止アセンブリは、上記アクチュエーションフレームに突起部を有すると共に上記ベースフレームにスロットを有しており、このスロットは、上記突起部を受け取るよう構成され、かつ、上記ベースフレームの運動を制限するために上記突起部よりも大きく形成されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
上記活性化信号は、出力信号に関連する上記電場応答性高分子から触覚フィードバック力を作り出すことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、
上記少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータは、上記触覚フィードバック力を作り出すために慣性マスを有していることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、
上記少なくとも1つの電場応答性高分子アクチュエータは、上記装置の構造体に連結されており、変位時に、上記電場応答性高分子アクチュエータが、慣性力を生成するために上記構造体を動かすことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置において、
上記構造体は、上記装置の重り、電力供給部、バッテリー、回路基板、およびコンデンサから選択された構造体を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、
上記アクチュエーションフレームと上記ベースフレームとの間に少なくとも1つのベアリングを備え、このベアリングは、上記アクチュエーションフレームと上記ベースフレームとの間の摩擦を低減することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、
上記少なくとも1つのベアリングは、ガイドレールに取り付けられた複数のベアリングを備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置において、
少なくとも2つの上記ガイドレールが、ユーザインターフェース部の第1側面および第2側面に沿って、それぞれ配置されていることを特徴とする装置。
【請求項19】
フィードバック装置を製造するための方法であって、
フィードバックを提供するために電圧を印加したときに変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを含む電場応答性高分子変換器を第1フレームに取り付け、
上記電場応答性高分子フィルムを第2フレームに連結し、
上記第1フレームを機械的屈曲部の第1部分に取り付け、上記第2フレームを上記機械的屈曲部の第2部分に取り付けることによって、上記第2フレームに対して上記第1フレームを浮かせ、上記機械的屈曲部の第3部分は拘束されておらず、かつ、上記第1部分および上記第2部分の相対運動を可能にするために屈曲する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
上記第1フレームを上記第2フレームに対して浮かせることは、複数の別々の機械的屈曲部に上記第1フレームおよび上記第2フレームを取り付けることを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
上記第1フレームまたは上記第2フレームが、ユーザインターフェース部を有していることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
上記ユーザインターフェース部が、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラから成るグループから選択されたインターフェースデバイスを含んでいる特徴とする方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法において、
上記第1フレームを上記第2フレームに対して浮かせることは、平面バーの第1部分を上記第1フレームに取り付けることと、平面バーの第2部分を上記第2フレームに取り付けることとを含み、上記平面バーが上記第1フレームおよび上記第2フレームの平行運動を容易にすることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法において、
上記機械的屈曲部の上記第3部分は、上記電場応答性高分子フィルムが最大変位に達するのを妨げる量で屈曲するよう選択されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法において、
上記第1フレームに第1停止面を作ることと、第2フレーム上に第2停止面を作ることとを更に備え、上記第1停止面および上記第2停止面が、上記第2フレームに対する上記第1フレームの運動を制限するよう干渉して、上記電場応答性高分子フィルムが最大変位に達するのを妨げることを特徴とする方法。
【請求項26】
装置の可動部材間の変位を制御するための方法であって、
装置を提供し、この装置は、
機械的屈曲部により第2フレーム部に対して浮かされた第1フレーム部を備え、この機械的屈曲部は、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間の相対運動を可能にし、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部は、静止位置と変位位置とを有しており、
電圧の印加時に変位するよう構成された電場応答性高分子フィルムを有する電場応答性高分子変換器を備え、この電場応答性高分子変換器は、上記第1フレーム部に連結され、この電場応答性高分子フィルムは、上記第2フレーム部に連結されており、
上記電場応答性高分子フィルムの変位を引き起こすために上記電場応答性高分子変換器を活性化し、この電場応答性高分子フィルムの変位は、上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を上記変位位置まで動かして、上記機械的屈曲部に機械的ストレスを作り出し、
上記電場応答性高分子変換器への信号を弱めて、上記機械的屈曲部における上記機械的ストレスが、上記静止位置に上記第1フレーム部および上記第2フレーム部を戻すアシストをすることを可能にし、一方で上記第1フレーム部と上記第2フレーム部との間のサスペンションを維持する
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
上記第2フレーム部に対して上記第1フレーム部を浮かせることは、上記第1フレーム部と上記第2フレーム部とを複数の別々の機械的屈曲部に取り付けることを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、
上記第1フレーム部および上記第2フレーム部は、ユーザインターフェース部を有している、または、ユーザインターフェース部の一部であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
上記ユーザインターフェース部は、ボタン、キー、ゲームパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、コンピュータのマウス、キーボード、およびゲーミングコントローラから成るグループから選択されたインターフェースデバイスを含んでいることを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A−12C】
【図12D】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A−15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26A−26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図34D】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図38】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図38D】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図39D】
【図40A】
【図40B】
【図40C】
【図40D】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図42C】
【図42D】
【図42E】
【図42F】
【図43A】
【図43B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A−12C】
【図12D】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A−15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26A−26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図34D】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図38】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図38D】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図39D】
【図40A】
【図40B】
【図40C】
【図40D】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図42C】
【図42D】
【図42E】
【図42F】
【図43A】
【図43B】
【公表番号】特表2013−508913(P2013−508913A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535186(P2012−535186)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/002773
【国際公開番号】WO2011/049609
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/002773
【国際公開番号】WO2011/049609
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】
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