説明

屋上用雨樋

【課題】 本発明は台風等での大きな風圧が加わらないようにして、取付部がゆるんだり、損傷するのを効率よく阻止することができるとともに、地震での揺れ動きも吸収し、下部位置の渡り通路へ雨水が入り込むのを防止することができる屋上用雨樋を得るにある。
【解決手段】 左右の建物の床躯体を接続する渡り通路を設けた部位の、上部の一方の建物のパラペットの目地部側壁面にほぼ水平状態で固定されたベースレールと、このベースレールに水平方向にスライド移動可能に取付けられた、前記渡り通路の幅寸法と同じ、あるいは大きな幅寸法のスライドレールと、このスライドレールの下部寄りの部位に後端部が固定され、先端部が他方の建物のパラペットの下部空間へ位置する雨水を受ける受けカバーと、前記スライドレールの上部寄りの部位に設けられた、前記一方の建物のパラペットの上部を覆う水切り板とで屋上用雨樋を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の渡り通路が設けられた部位の上部に雨水の浸入を防止できるように設けられた屋上用雨樋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目地部を介して設けられた左右の建物の屋上には、目地部を覆う笠木装置が設けられている。
しかし、最近の免震ビルでは大きな揺れ動きを吸収できるように、左右の建物間の寸法を1000ミリから1200ミリと大きく設定されている。
このため、笠木装置の笠木カバーが大きくなり、台風等での風圧で大きな力が加わり、取付部がゆるんだり、破損してしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−328888
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、台風等での大きな風圧が加わらないようにして、取付部がゆるんだり、損傷するのを効率よく阻止することができるとともに、地震での揺れ動きも吸収し、下部位置の渡り通路へ雨水が入り込むのを防止することができる屋上用雨樋を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0006】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は左右の建物の床躯体を接続する渡り通路を設けた部位の、上部の一方の建物のパラペットの目地部側壁面にほぼ水平状態で固定されたベースレールと、このベースレールに水平方向にスライド移動可能に取付けられた、前記渡り通路の幅寸法と同じ、あるいは大きな幅寸法のスライドレールと、このスライドレールの下部寄りの部位に後端部が固定され、先端部が他方の建物のパラペットの下部空間へ位置する雨水を受ける受けカバーと、前記スライドレールの上部寄りの部位に設けられた、前記一方の建物のパラペットの上部を覆う水切り板とで屋上用雨樋を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)左右の建物の床躯体を接続する渡り通路を設けた部位の、上部の一方の建物のパラペットの目地部側壁面にほぼ水平状態で固定されたベースレールと、このベースレールに水平方向にスライド移動可能に取付けられた、前記渡り通路の幅寸法と同じ、あるいは大きな幅寸法のスライドレールと、このスライドレールの下部寄りの部位に後端部が固定され、先端部が他方の建物のパラペットの下部空間へ位置する雨水を受ける受けカバーと、前記スライドレールの上部寄りの部位に設けられた、前記一方の建物のパラペットの上部を覆う水切り板とで構成されているので、従来のように左右の建物の屋上部のパラペットの上部に突出した状態にならず、台風等での大きな風圧を受けるのを効率よく阻止することができる。
したがって、取付部が大きな振動でゆるんだり、損傷したりするのを防止することができる。
(2)前記(1)によって、受けカバーで雨水を受けることができる。
したがって、下部に設置されている渡り通路への雨水の落下を阻止することができる。
(3)前記(1)により、従来のような大きな笠木カバーを用いないので、設置作業が容易で、安価に設置することができる。
(4)請求項2、3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、さらに容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図
【図4】本発明を実施するための第1の形態のベースレールの説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態のスライドレールの説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の受けカバーの説明図。
【図7】左右の建物が異なる前後方向に揺れ動いた状態の説明図。
【図8】左右の建物が異なる左右方向に揺れ動いた状態の説明図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図10】図9の10−10線に沿う断面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態のスライドレールと受けカバーの説明図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図13】図12の13−13線に沿う断面図。
【図14】図12の14−14線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1ないし図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3Aの渡り通路4が設けられた部位の屋上部分に設置された本発明の屋上用雨樋で、この屋上用雨樋1は前記左右の建物3、3Aの大きい幅寸法の一方の建物3の目地部側パラペット5の外壁面5aに複数本のタッピングビス6でほぼ水平状態で固定されたベースレール本体7、このベースレール本体7の上下部がクランク状となるように折り曲げられた上・下レール部8、9、この上レール部8の内側部に所定間隔で複数個設けられた横方向支持ローラ10、上方からの荷重を支持する上方向支持ローラ11、前記下レール部9の外側部に所定間隔で複数個設けられた支持ローラ12とからなるベースレール13と、このベースレール13にスライド方向にスライド移動可能に取付けられた前記左右の建物3、3Aの小さな幅寸法の他方の建物3Aのベランダ14の両側壁15、15との間の寸法とほぼ同じ寸法に形成されたスライドレール本体16、このスライドレール本体16の上下部をほぼコ字状に折り曲げて形成した前記ベースレール13の上・下レール部8、9と係合する係合レール部17、17とからなるスライドレール18と、前記一方の建物3のパラペット5の上面に複数本のタッピングビス19で固定されたクランク状に曲げられ、かつ前記ベースレール13と前記スライドレール18の上部を覆う取付け金具20と、前記スライドレール18の下部寄りの部位に所定間隔で固定された先端部が前記他方の建物3Aのベランダ14の天井壁21寄りの部位に位置する複数個の支持アーム22、この支持アーム22に支持された状態で固定される雨水を受けることができる皿状で、両側部が前記ベランダ14の両側壁15、15と当接する雨受け皿23、この雨受け皿23の前記スライドレール18側と一体形成された、前記取付け金具20を覆うように取付けられた水切り板24とからなる受けカバー25と、この受けカバー25の雨受け皿23内の雨水を排水する他方の建物3Aのベランダ14部分に設けられた縦樋26に接続された蛇管27とで構成されている。
【0011】
上記構成の屋上用雨樋1は、通常時には図1および図2に示すように渡り通路4の上部の左右の建物3、3Aのパラペット5、5A間を覆うように設置されているため、雨水は雨受け皿23で受けられ、蛇管27を介して縦樋26へ排水されるため、下部位置の渡り通路4へ落下するのを防止できる。
【0012】
地震で左右の建物3、3Aが異なる前後方向に揺れ動いた場合、図7に示すように他方の建物3Aのベランダ14の両側壁15、15に受けカバー25の雨受け皿23の両側面が当接しているため、該他方の建物3Aと一体になって動くため、ベースレール13に対して受けカバー25に固定されているスライドレール18が前後方向に移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0013】
また、地震によって左右の建物3、3Aが異なる左右方向に揺れ動くと、図8に示すように受けカバー25の先端部が他方の建物3Aのベランダ14内を左右方向に移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0014】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
図9ないし11図に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、スライドレール18の上部に水切り板24を固定するとともに、スライドレール18の下部に受けカバー本体形状の受けカバー25Aを固定した点で、このように構成した屋上用雨樋1Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0016】
なお、受けカバー25Aに人が入り込む危険性のある場合には左右の建物3、3Aのパラペット5、5Aに両端部を取付けた伸縮自在なリンク機構を用いたカバー体を設置しておくとよい。
【0017】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の建物3Aの外側通路28のほぼ中央部まで位置するように受けカバー25Bを設けるとともに、該受けカバー25Bの先端部側の両側面と当接するストッパー片29、29を前記外側通路28の天井躯体28aに固定した点で、このように構成した屋上用雨樋1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は左右の建物間の屋上部分に設置される屋上用雨樋を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0019】
1、1A、1B:屋上用雨樋、 2:目地部、
3、3A:建物、 4:渡り通路、
5:パラペット、 6:タッピングビス、
7:ベースレール本体、 8:上レール部、
9:下レール部、 10:横方向支持ローラ、
11:上方向支持ローラ、 12:支持ローラ、
13:ベースレール、 14:ベランダ、
15:側壁、 16:スライドレール本体、
17:係合レール部、 18:スライドレール、
19:タッピングビス、 20:取付け金具、
21:天井壁、 22:支持アーム、
23:雨受け皿、 24:水切り板、
25、25A、25B:受けカバー、
26:縦樋、 27:蛇管、
28:外側通路、 29:ストッパー片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の建物の床躯体を接続する渡り通路を設けた部位の、上部の一方の建物のパラペットの目地部側壁面にほぼ水平状態で固定されたベースレールと、このベースレールに水平方向にスライド移動可能に取付けられた、前記渡り通路の幅寸法と同じ、あるいは大きな幅寸法のスライドレールと、このスライドレールの下部寄りの部位に後端部が固定され、先端部が他方の建物のパラペットの下部空間へ位置する雨水を受ける受けカバーと、前記スライドレールの上部寄りの部位に設けられた、前記一方の建物のパラペットの上部を覆う水切り板とからなることを特徴とする屋上用雨樋。
【請求項2】
受けカバーはスライドレールの下端部寄りの部位に後端部が所定間隔で固定された複数個の支持アームと、この支持アームに支持された状態で固定された雨水を受ける受けカバー本体とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の屋上用雨樋。
【請求項3】
受けカバーと水切り板とは一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の屋上用雨樋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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