説明

屋根の雪止め構造

【課題】傾斜屋根部の上に太陽光パネルが設置されている構成において、太陽光パネルの上に積もった雪が軒先から下方に一気に落下することを抑制し、しかも太陽光パネルによる発電環境を早期に回復させる。
【解決手段】傾斜屋根部22の上には太陽光パネル32が設置されており、傾斜屋根部22の上において太陽光パネル32よりも軒先23側には雪止め部材41が設置されている。雪止め部材41は、平板状の網状体により形成されており、傾斜屋根部22の傾斜方向に沿って延びるように配置されている。雪止め部材41の上面は、屋根面22aに対する太陽光パネル32の受光面32aの高さ位置と同じ又はそれよりも低い位置にある。屋根13に雪が積もった場合、太陽光パネル32の上を滑り落ちた雪は雪止め部材41に載り、雪止め部材41の網目により細分化されながら徐々に融け落ちることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根の雪止め構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物が切妻式や寄棟式の屋根を有している場合、その傾斜屋根部の上に雪が積もると積もった雪が塊となって傾斜屋根部から一気に落下するおそれがある。そこで、屋根面から上方に向けて突出した突出部材が雪止め部材として傾斜屋根部に設けられ、傾斜屋根部の上に積もった雪が一気に落下することを雪止め部材により阻止する技術が提案されている。例えば特許文献1においては、突出部材としてのアングル雪止め金具が傾斜屋根部の軒先側に設けられており、アングル雪止め部材により屋根の勾配が緩傾斜にされている。この場合、傾斜屋根部の上に積もった雪が滑り落ちる際にその滑り落ちる勢いがアングル部材により緩和されるため、屋根の上から雪が一気に滑り落ちることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−256293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋根の上には、太陽光発電を行う太陽光パネルが設置されることがある。太陽光パネルの受光面は傾斜屋根部の屋根面よりも平坦で雪が滑りやすいが、冬期の夜中などに受光面が凍りついてその受光面の上に雪が積もった場合、昼間になって気温の上昇することで雪は受光面との接触部分が解けて塊となって受光面の上を滑り落ちることになる。ここで、太陽光パネルの上では屋根面の上に比べて雪が一気に滑り落ちやすいと考えられる。また、降雪後において太陽光パネルの上に雪が残っていると、その雪が残る太陽光パネルでは太陽光発電が実施できない又は実施できても発電効率が低下するという不都合が生じる。
【0005】
以上のように、太陽光パネルが設置された屋根において、太陽光パネルからの雪の落下を抑制する構成に関して改善の余地がある。
【0006】
本発明は、傾斜屋根部の上に太陽光パネルが設置されている構成において、太陽光パネルの上に積もった雪が軒先から下方に一気に落下することを抑制し、しかも積雪後において太陽光パネルによる発電環境を早期に回復させることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明の屋根の雪止め構造は、傾斜した傾斜屋根部を有し、該傾斜屋根部の上に太陽光発電を行うための太陽光パネルが設置されている建物に適用され、前記太陽光パネルの受光面に積もった雪の滑り落ちを防止する雪止め部材が前記傾斜屋根部の上に設けられており、前記雪止め部材は、前記太陽光パネルよりも屋根傾斜方向の下側の位置、及び前記太陽光パネルの受光面上の所定の雪止め位置の少なくとも一方に設けられ、前記屋根傾斜方向に沿って延び全体として平板状をなす網状体により構成されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、屋根の上に雪が積もり、その後、融雪に伴って雪が太陽光パネルの上を滑り落ちると、その滑り落ちてきた雪は、屋根傾斜方向に沿って延びている網状体の雪止め部材の上でとどまる。この場合、雪止め部材が屋根傾斜方向に沿って延びているため、屋根面から上方に向けて突出している既存の構成とは異なり、太陽光パネルの上を滑り落ちてきた雪が、屋根傾斜方向に比較的広域に薄く広がった状態で屋根上にとどまることになる。この状態では、網状体の網の隙間から雪が細分化されながら徐々に融け落ちていき、しかも屋根上に残る雪が太陽光を受けやすいため、融雪を早める上で有利となる。したがって、太陽光パネルの上に積もった雪が軒先から下方に一気に落下することを抑制し、しかも太陽光パネルによる発電環境を早期に回復させることができる。
【0009】
第2の発明では、前記雪止め部材は、前記太陽光パネルよりも屋根傾斜方向の下側の位置に設けられており、前記傾斜屋根部の上面に対する高さが、前記太陽光パネルの受光面までの高さと同じ又はそれよりも低くされている。
【0010】
第2の発明によれば、太陽光パネルの積雪が滑り落ちる際にその雪が雪止め部材の上に載りやすくなる。このため、屋根傾斜方向に比較的広域に薄く広がった状態で雪を屋根上にとどめておく上で好都合である。また、太陽光パネルの上を雪が滑り落ちる際に、その雪が太陽光パネルの上から雪止め部材の上に移りやすくなるため、屋根上に積雪が残っているにしても、太陽光パネルの受光面上からは雪の除去が促されることになり、太陽光発電能力を回復させる上で有利である。
【0011】
第3の発明では、前記傾斜屋根部の上にパネル支持用の支持部材が設けられ、複数の前記太陽光パネルは並べられた状態で前記支持部材により支持されており、前記支持部材により前記雪止め部材が支持されている。
【0012】
第3の発明によれば、パネル支持用の支持部材を使って雪止め部材を固定できる。したがって、積雪が多い場合を想定すると雪止め部材を支持部材により強固に固定できることは有効である。しかも、太陽光パネルと雪止め部材とが共にパネル支持用のパネル支持部材により支持される構成によれば、その支持部材により太陽光パネルが設置可能となっている位置に、太陽光パネルに代えて雪止め部材を設置することが可能となる。したがって、雪止め部材の位置を任意に変更できることになる。
【0013】
第4の発明では、前記傾斜屋根部とその上方の前記太陽光パネルとの間には隙間空間が形成されており、該隙間空間に前記雪止め部材が収納可能とされている。
【0014】
第4の発明によれば、降雪シーズン以外において、雪止め部材をパネル下方の空間部に収納することができる。この場合、網状体よりなる雪止め部材にゴミや木葉等が引っ掛かることを抑制できる。
【0015】
第5の発明では、前記雪止め部材をスライド移動させるスライド支持部材を有し、該スライド支持部材により、前記雪止め部材が前記隙間空間に収納された位置と、収納されていない位置とで移動可能とされている。
【0016】
第5の発明によれば、雪止め部材を隙間空間に収納する作業を容易化することができる。
【0017】
第6の発明では、前記雪止め部材は、前記太陽光パネルの受光面上の前記所定の雪止め位置に設けられたパネル上雪止め部材を有しており、前記パネル上雪止め部材を、前記所定の雪止め位置から前記太陽光パネルよりも軒先側に移動可能とする移動手段が設けられている。
【0018】
第6の発明によれば、太陽光パネルの上にパネル上雪止め部材を載せた状態とされるため、屋根面上において太陽光パネルの設置スペースを極力大きくする等の目的から雪止め部材の設置スペースが確保されていなくても、太陽光パネルの受光面上に雪止め機能を付与できる。
【0019】
ただし、パネル上雪止め部材を太陽光パネルの受光面の上に載せたままにしておくと、太陽光パネルの発電能力が下がることが懸念される。この点、上記のとおりパネル上雪止め部材を、受光面上の所定の雪止め位置から太陽光パネルよりも軒先側に移動させることで、例えば降雪シーズン以外ではパネル上雪止め部材が太陽光パネルの受光面上に載らず、太陽光発電能力の低下を抑制できる。この場合、例えばパネル上雪止め部材を軒先よりも先に突出させる、又は軒先から下方に吊り下げることにより、このパネル上雪止め部材を日除けとして利用できる。
【0020】
なお、パネル上雪止め部材を、受光面上の所定の雪止め位置から太陽光パネルよりも軒先側に移動させるための構成としては、パネル上雪止め部材をヒンジ部材により回転移動させる構成や、レールに沿ってスライド移動させる構成が挙げられる。
【0021】
第7の発明では、前記雪止め部材は、互いに上下に重なった状態となる複数の網状体を有して構成され、該複数の網状体は、前記重なった状態と重なっていない状態とに移行可能である。
【0022】
第7の発明によれば、雪止め部材において、複数の網状体が重なった状態から重なっていない状態に移行することにより、屋根面上における雪止め領域を拡張できる。したがって、屋根上の積雪が一気に落下すること及び太陽光パネルによる発電環境を早期に回復させることの両方において好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態における建物の外観を示す斜視図。
【図2】屋根の構成を示す断面図。
【図3】第2の実施形態における傾斜屋根部の構成を示す断面図。
【図4】雪止め部材の移動可能な位置について説明するための図。
【図5】第3の実施形態における傾斜屋根部の構成を示す断面図。
【図6】雪止め部材の移動可能な位置について説明するための図。
【図7】別の雪止め部材の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の二階建て建物として具体化している。図1は、建物10の外観を示す斜視図、図2は傾斜屋根部22の構成を示す断面図である。なお、図1においては、(a)に建物10を正面側から見た図を示し、(b)に反対側から見た図を示す。
【0025】
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設置された建物本体12と、建物本体12の上に設置された屋根13とを有している。建物本体12は、下階部としての一階部分12aと、一階部分12aの上に設置された上階部としての二階部分12bとを有している。
【0026】
建物本体12の一側面(例えば南面)においては、建物10内への出入りが可能な玄関15が一階部分12aに設けられており、屋外側へ張り出した張出部としてのバルコニー16が二階部分12bに設けられている。玄関15はバルコニー16の斜め下方に配置されている。この場合、玄関15とバルコニー16とは建物本体12の一側面において左右にずれて配置されている。
【0027】
建物10は敷地Sにて構築されており、建物本体12における玄関15及びバルコニー16とは反対側の側面が敷地境界線Lと平行に延びるように配置されている。建物10は敷地Sにおいて敷地境界線L側に配置されており、建物10と敷地境界線Lとの離間距離は例えば1mとなっている。
【0028】
屋根13は、切妻式の屋根とされており、棟21を挟んで配置された一対の傾斜屋根部22を有している。一対の傾斜屋根部22は、それぞれ棟21を上端として軒先23に向けて斜め下方に傾斜している。一対の傾斜屋根部22の各軒先23はそれぞれ建物本体12よりも側方へ突出しており、一方の傾斜屋根部22の軒先23は玄関15の上方に配置され、他方の傾斜屋根部22の軒先23は建物本体12よりも敷地境界線L側に突出した状態となっている。
【0029】
図2に示すように、傾斜屋根部22は、棟21から軒先23に向けて斜め下方に延びる垂木25と、垂木25の上に載置された屋根下地材としての野地板26と、野地板26の上に載置された屋根仕上材としての瓦27とを有している。垂木25は、傾斜屋根部22の傾斜方向(流れ方向)に沿って延びる長尺材であり、棟21が延びる方向(棟方向)に複数並べて配置され、それぞれの上端が棟木に固定されている。
【0030】
野地板26は合板により形成されており、複数の垂木25に跨った状態で設置されている。瓦27は、金属板材やスレート材により板状に形成された屋根葺き材であり、ビス等の固定具により垂木25に対して固定されている。瓦27は、傾斜屋根部22の流れ方向及び棟方向のそれぞれにおいて並べて複数配置されている。瓦27と野地板26との間には木製の桟木28が設けられており、桟木28により瓦27の位置決めがなされている。
【0031】
傾斜屋根部22の流れ方向においては、隣り合う瓦27が互いの一部を上下に重ねた状態で設置されており、瓦27の上面の傾斜角度は野地板26の傾斜角度(傾斜屋根部22の傾斜角度)よりも大きくなっている。この場合、傾斜屋根部22において、複数の瓦27の上面により形成される屋根面22aは、全体として傾斜方向に延びる断面波形状となっている。
【0032】
建物10には、太陽光発電を行う太陽光発電装置31が設けられている。太陽光発電装置31は、太陽光が照射されることにより太陽光発電を行う太陽光パネル32を有しており、太陽光パネル32は屋根13の上に設置されている。太陽光パネル32は、一対の傾斜屋根部22のそれぞれにおいて屋根面22aに沿って複数並べられている。太陽光パネル32の受光面32aは平坦面とされており、太陽光パネル32はその受光面32aが野地板26と平行に延びるように配置されている。この場合、受光面32aは傾斜屋根部22の傾斜方向に沿って延びている。
【0033】
傾斜屋根部22においては、太陽光パネル32が支持部材としてのパネル支持台35により下方から支持されている。具体的には、太陽光パネル32の下側には、傾斜屋根部22の棟方向において隣り合う太陽光パネル32を連結するパネル連結フレーム36が設けられている。パネル連結フレーム36は、金属材料により形成された長尺材であり、各太陽光パネル32の上端及び下端のそれぞれにおいて棟方向に延びるように配置されている。パネル支持台35は、溝形鋼等の金属材料により形成された短尺材であり、パネル連結フレーム36はパネル支持台35の上に載置された状態でビス等の固定具によりパネル支持台35に対して固定されている。パネル支持台35は、傾斜屋根部22の傾斜方向において隣り合う太陽光パネル32の境界部のそれぞれに配置されているとともに、棟方向において所定間隔で複数並べて配置されている。
【0034】
パネル支持台35の設置部分には瓦27として支持瓦27aが載置されており、パネル支持台35は支持瓦27aの上に載置されている。支持瓦27aには上方に向けて突出した突出部37が形成されており、その突出部37の上面は野地板26と平行に延びている。つまり、突出部37の上面は傾斜屋根部22と同じ傾斜角度とされている。パネル支持台35は、支持瓦27aの突出部37の上面に載置された状態でビス等の固定具により支持瓦27a及び垂木25に対して固定されている。
【0035】
ここで、冬期において雪が降った場合、屋根13に積もった雪が塊となって傾斜屋根部22の傾斜に沿って滑り落ちることが想定される。特に、傾斜屋根部22の上に太陽光パネル32が設置されていると、雪の塊が滑り落ちやすい。これは、太陽光パネル32の受光面32aが平坦面であるのに対して、本実施形態においては屋根面22aが複数の瓦27により断面波形状とされているためである。
【0036】
そこで、本実施形態では、傾斜屋根部22において太陽光パネル32よりも軒先側に雪止め部材41を設け、太陽光パネル32の受光面32aから雪の塊が一気に落ちることを雪止め部材41により抑制している。ここでは、雪止め部材41の構成について説明する。
【0037】
図1において、雪止め部材41は、アルミニウム等の金属材料により形成された平板状の網状体であり、太陽光パネル32とほぼ同じ大きさ及び形状とされている。網状体としては、針金等の金属製の線材が編み込まれることで形成されたものや、合成樹脂製の板材に複数の貫通孔が設けられることで形成されたものが挙げられる。いずれの場合でも、網状体は全体として扁平形状とされた薄型の板材となっている。
【0038】
雪止め部材41は、屋根面22aに沿って延びた状態で太陽光パネル32の軒先側に配置されており、特に傾斜屋根部22の傾斜方向に沿って延びている。雪止め部材41は、傾斜屋根部22の傾斜方向において太陽光パネル32と横並びとされており、屋根面22a対する雪止め部材41の上面は、屋根面22aに対する太陽光パネル32の受光面32aの高さ位置とほぼ同じ又はそれよりも低い位置にある。また、雪止め部材41は傾斜屋根部22から上方に離間している。
【0039】
雪止め部材41は、太陽光パネル32とほぼ同じ又はそれより小さい厚み寸法を有している。なお、雪止め部材41は、その上面が屋根面22aに対する太陽光パネル32の受光面32aの高さ位置とほぼ同じ又はそれよりも低い位置にあれば、太陽光パネル32よりも大きい厚み寸法を有していてもよい。
【0040】
雪止め部材41は、一対の傾斜屋根部22のそれぞれにおいて軒先23に沿って複数並べられている。具体的には、玄関15及びバルコニー16側に配置された傾斜屋根部22において、雪止め部材41は玄関15の上方に配置されている一方で、バルコニー16の上方には配置されていない。また、敷地境界線L側に配置された傾斜屋根部22において、雪止め部材41は軒先23の全体に沿って延びるように配置されている。
【0041】
一対の傾斜屋根部22のそれぞれにおいては、太陽光パネル32の設置が可能な設置可能位置が複数設定されており、雪止め部材41は設置可能位置において太陽光パネル32に代えて設置されている。設置可能位置は、略矩形状であってその四隅にパネル支持台35が配置されたスペースとされている。
【0042】
図2において、雪止め部材41は雪止め枠体42により支持されており、その支持された状態で太陽光パネル32の設置可能位置においてパネル支持台35に対して固定されている。雪止め枠体42は、雪止め部材41の周縁部に沿って延びる矩形枠状とされており、雪止め部材41は雪止め枠体42の内側に嵌め込まれている。雪止め枠体42は、傾斜屋根部22の傾斜方向において上端及び下端のそれぞれの少なくとも一部がパネル支持台35の上に載置され、その状態でビス等の固定具によりパネル支持台35に固定されている。この場合、雪止め部材41は、瓦27の上方を覆った状態とされているとともに、その上面は太陽光パネル32の受光面32aと略同一平面を形成している。また、雪止め部材41及び雪止め枠体42は、屋根面22a(瓦27の上面)から上方に離間している。
【0043】
屋根13に積もった雪が塊となって太陽光パネル32の受光面32aを軒先側に向けて滑り落ちた場合、その雪の塊は雪止め部材41の上に載ることになる。この場合、雪の塊は雪止め部材41の網目に引っ掛かって止まり、網目により細分化された状態又は融けて水になった状態で雪止め部材41の下側の屋根面22aに徐々に落下する。そして、屋根面22aに落下した雪や水は雪止め部材41と屋根面22aとの間を通って、軒先23から下方に順に落下する。これにより、太陽光パネル32の受光面32aに載っている雪の塊が軒先23から下方に落下することを抑制できる。
【0044】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0045】
傾斜屋根部22においては、雪止め部材41が太陽光パネル32よりも軒先側にて屋根傾斜方向に沿って延びているため、太陽光パネル32の上を滑り落ちた雪は雪止め部材41に載って雪止め部材41の網目に引っ掛かった状態でとどまることになる。この場合、雪は雪止め部材41の上面に沿って屋根傾斜方向に比較的広域に薄く広がった状態となり、雪止め部材41の上において雪の表面積が大きくなって太陽光による融雪が促進されるとともに、仮に雪が塊になっていたとしても雪止め部材41の網目により細分化されながら徐々に融け落ちることで融雪が促進される。しかも、雪止め部材41は傾斜屋根部22から上方に離間しているため、雪止め部材41の上に載った雪が網目を介して空気に触れることにより融雪がより一層促進される。
【0046】
以上により、傾斜屋根部22の上に太陽光パネル32が設置されている構成において、太陽光パネル32の上に積もった雪が軒先23から下方に一気に落下することを抑制でき、しかも太陽光パネル32による発電環境を早期に回復させることができる。
【0047】
雪止め部材41の上面は、太陽光パネル32の受光面32aに比べて屋根面22aに対する高さ位置と同じ又はそれより低い位置にある。このため、太陽光パネル32の上を滑り落ちた雪が、その太陽光パネル32よりも軒先23側にある雪止め部材41の上に移動しやすくなる。したがって、屋根13の上に積雪が残っていても、太陽光パネル32の受光面32a上からは雪の除去が促されることになり、太陽光発電能力を早期に回復させることが可能となる。
【0048】
パネル支持台35が太陽光パネル32及び雪止め部材41の両方を支持しているため、積雪が多い場合を想定しても雪止め部材41を傾斜屋根部22に対して強固に固定することができる。しかも、パネル支持台35により太陽光パネル32の設置が可能とされている位置に、太陽光パネル32に代えて雪止め部材41を設置することが可能となる。したがって、雪止め部材41及び太陽光パネル32の位置を任意に変更することができる。また、この場合、傾斜屋根部22において雪止め部材41を設置するための専用のスペースを確保する必要がないため、既存の建物10を対象として傾斜屋根部22に雪止め部材41を設置することが可能となる。
【0049】
一対の傾斜屋根部22のうち玄関15側の傾斜屋根部22において、玄関15の上方に雪止め部材41が設置されているため、太陽光パネル32の受光面32aに積もった雪が塊となって軒先23から玄関15に向けて一気に落下することを抑制できる。このため、屋根13の上に雪が積もっている場合でも、玄関15から建物10内に出入りする住人等の安全性を確保することができる。
【0050】
一対の傾斜屋根部22のうち敷地境界線L側の傾斜屋根部22において、敷地境界線Lに沿って延びるように軒先側の全体に雪止め部材41が設置されているため、太陽光パネル32の受光面32aに積もった雪が塊となって軒先23から隣の敷地に一気に落下することを抑制できる。このため、屋根13の上に雪が積もっている場合でも、隣の敷地の住人を対象として安全性を確保することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
本実施形態では、雪止め部材41が傾斜屋根部22と太陽光パネル32との間に移動可能な構成としている。以下、雪止め部材41を移動可能とする構成について、第1の実施形態との相違点を中心に図3、図4を参照しつつ説明する。図3は傾斜屋根部22の構成を示す断面図、図4は雪止め部材41の移動可能な位置について説明するための図である。なお、図4においては、(a)に雪止め部材41が雪止め位置にある場合の図を示し、(b)雪止め部材41が収納位置にある場合の図を示す。
【0052】
図3に示すように、傾斜屋根部22においては、太陽光パネル32がパネル支持部としてのパネル支持フレーム51により下方から支持されている。パネル支持フレーム51は、金属材料により形成された長尺材であり、屋根面22aに沿って傾斜屋根部22の傾斜方向に延びるように配置されている。パネル支持フレーム51は、パネル支持台35に代えて支持瓦27aの突出部37の上面に載置されており、ビス等の固定具により支持瓦27a及び垂木25に対して固定されている。この場合、パネル支持フレーム51は、傾斜屋根部22の傾斜方向において複数の支持瓦27aに架け渡された状態となっている。
【0053】
太陽光パネル32は、パネル支持フレーム51の上に載置されており、ビス等の固定具によりパネル支持フレーム51に対して固定されている。この場合、パネル支持フレーム51は太陽光パネル32よりも軒先側に突出していない。つまり、傾斜屋根部22において太陽光パネル32よりも軒先側の部分が太陽光パネル32の設置可能位置とはされていない。
【0054】
第1の実施形態と同様に、雪止め部材41は屋根面22aに沿って延びた状態で太陽光パネル32の軒先側に配置されており、雪止め部材41の上面は太陽光パネル32の受光面32aに比べて屋根面22aに対する高さ位置が低くされている。雪止め部材41は、太陽光パネル32一対の雪止め支持フレーム53により支持されている。一対の雪止め支持フレーム53はそれぞれアルミニウム等の金属材料により長尺状に形成されており、雪止め部材41を挟んで平行に延びるように配置されている。一対の雪止め支持フレーム53は、屋根面22aに沿って傾斜屋根部22の傾斜方向に延びている。各雪止め支持フレーム53においては、それぞれの一端が雪止め部材41よりも太陽光パネル32側(棟側)に突出しており、その突出部分がパネル支持フレーム51により支持されている。なお、雪止め支持フレーム53がスライド支持部材に相当する。
【0055】
雪止め支持フレーム53は、傾斜屋根部22の傾斜方向にスライド移動可能な状態でパネル支持フレーム51に対して取り付けられている。パネル支持フレーム51には、その長手方向に沿って延びるレール部55が設けられており、雪止め支持フレーム53はそのレール部55と係合した状態でそのレール部55に沿ってスライド移動する。傾斜屋根部22と太陽光パネル32との間には隙間空間が形成されており、その隙間空間は雪止め部材41を収納可能な収納スペースとされている。この場合、雪止め支持フレーム53が軒先23とは反対側(棟側)に向けてスライド移動することで、その雪止め支持フレーム53と共に雪止め部材41が前記収納スペースに収納される。
【0056】
図4(a)に示すように、雪止め部材41が太陽光パネル32よりも軒先側にある場合、雪止め部材41は雪止め機能を発揮できる。この場合の雪止め部材41の位置が雪止め位置に相当する。一方、図4(b)に示すように、雪止め部材41は、屋根面22aに沿ってスライド移動することにより傾斜屋根部22と太陽光パネル32との間に収納される収納位置に移動する。雪止め部材41は収納位置において太陽光パネル32により覆い隠された状態となっている。なお、雪止め部材41の収納位置が非雪止め位置に相当する。
【0057】
なお、雪止め部材41は、雪止め位置にある場合にスペーサ部材56(図3参照)により傾斜屋根部22から上方に離間した位置にて保持されている。スペーサ部材56は、雪止め部材41や雪止め支持フレーム53に取り付けられており、雪止め部材41の板面に沿って所定間隔で複数並べられている。スペーサ部材56は、柔軟性を有するゴム等の材料により形成されており、屋根面22a(瓦27)に当接した状態でその屋根面22aを傷つけないようになっている。
【0058】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0059】
雪止め部材41が傾斜屋根部22と太陽光パネル32との間の隙間空間に収納されるため、雪止め部材41による雪止めを必要としない夏期等の時期において、雪止め部材41を傾斜屋根部22において上方に露出しない状態とすることができる。これにより、網状体よりなる雪止め部材41にゴミや木葉等が引っ掛かることを抑制できるとともに、露出した状態の雪止め部材41により建物10屋根13の外観が損なわれることを抑制できる。さらに、夏期等において雪止め部材41を傾斜屋根部22から取り外すという作業を行う必要がないため、雪止め部材41の使い勝手を良くすることができる。
【0060】
雪止め部材41を支持する雪止め支持フレーム53がパネル支持フレーム51に対して傾斜屋根部22の傾斜方向に沿ってスライド移動可能とされているため、雪止め部材41を太陽光パネル32と傾斜屋根部22との間に収納する作業を容易化できる。しかも、雪止め支持フレーム53が雪止め部材41と一体的にスライド移動するため、雪止め部材41だけでなく雪止め支持フレーム53をも太陽光パネル32の下側スペースに収納することができる。このため、ゴミや木葉等が雪止め支持フレーム53に引っ掛かることを抑制できるとともに、露出した状態の雪止め支持フレーム53により建物10や屋根13の外観が損なわれることを抑制できる。
【0061】
(第3の実施形態)
本実施形態では、雪止め部材41が太陽光パネル32の受光面32aに重ねて設けられた構成としている。以下、雪止め部材41の支持構成について、第1の実施形態との相違点を中心に図5、図6を参照しつつ説明する。図5は建物の外観を示す斜視図、図6は雪止め部材41の移動可能な位置について説明するための図である。なお、図5及び図6のそれぞれにおいて、(a)に雪止め部材41が雪止め位置にある場合の図を示し、(b)に雪止め部材41が非雪止め位置にある場合の図を示す。
【0062】
図5(a)、図6(a)に示すように、一対の傾斜屋根部22のうちバルコニー16側の傾斜屋根部22においては、雪止め部材41がバルコニー16の上方に配置されている。雪止め部材41は、太陽光パネル32の受光面32a側に配置されており、その受光面32aに沿って延びている。雪止め部材41は、傾斜屋根部22の傾斜方向において軒先側に配置された2つの太陽光パネル32に跨った状態で配置されている。この場合、雪止め部材41において傾斜方向の長さ寸法は、太陽光パネル32の2つ分の長さ寸法とされている。
【0063】
なお、本実施形態のように太陽光パネル32の受光面32aの上に設けられた雪止め部材41がパネル上雪止め部材に相当する。
【0064】
雪止め部材41は、傾斜屋根部22の傾斜方向に並ぶ複数のパネル支持台35のうち軒先側のパネル支持台35により支持されている。そのパネル支持台35には、上方に延びる雪止め支持アーム61が太陽光パネル32の軒先側に設けられている。雪止め部材41は雪止め支持アーム61に対してヒンジ部材により回動可能に軸支されており、その回動軸62は軒先23に沿って延びている。なお、雪止め支持アーム61が移動手段に相当し、雪止め部材41について、太陽光パネル32と重なった状態にある位置が雪止め位置に相当する。
【0065】
雪止め部材41は、雪止め位置にある場合にスペーサ部材63により太陽光パネル32の受光面32aから上方に離間した位置にて保持されている。スペーサ部材63は、雪止め部材41に取り付けられており、雪止め部材41の板面に沿って所定間隔で複数並べられている。スペーサ部材63は、柔軟性を有するゴム等の材料により形成されており、受光面32aに当接した状態でその受光面32aを傷つけないようになっている。
【0066】
ここで、雪止め部材41は太陽光パネル32の上に配置されているため、雪止め部材41の上面は、屋根面22aに対して太陽光パネル32の受光面32aよりも高い位置にある。ところが、雪止め部材41は薄型網状とされているため、受光面32aを滑り落ちた雪は、雪止め部材41が太陽光パネル32の軒先23側に配置された構成(第1の実施形態の構成)と同様に、雪止め部材41の上に載り、その雪止め部材41に沿って屋根傾斜方向に沿って比較的広域に薄く広がった状態となる。
【0067】
雪止め部材41は回動軸62を中心に回動することにより、図5(a)、図6(a)に示すように、回動先端側が軒先23から建物本体12の側方へ突出した状態となる庇位置に移行する。雪止め部材41は、庇位置にある場合にバルコニー16を上方から覆っており、バルコニー16の庇としての役割を果たすことになる。なお、雪止め部材41の庇位置が非雪止め位置に相当する。
【0068】
バルコニー16には、バルコニー床65の周縁部を囲むように設けられた手摺り66が立設されており、その手摺り66に対して、庇位置にある雪止め部材41の回動先端側を下方から支持する雪止め支柱69が固定されている。
【0069】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0070】
雪止め部材41は、雪止め位置にある場合に太陽光パネル32の受光面32aに重なった状態とされているため、太陽光パネル32の設置スペースを極力大きくする等の目的から傾斜屋根部22上に雪止め部材41の設置スペースが確保されていなくても、太陽光パネル32の受光面32a上に雪止め機能を付与できる。しかも、雪止め部材41は、太陽光パネル32よりも軒先23側に移動可能とされているため、太陽光パネル32の受光面32aへの太陽光の照射が雪止め部材41により遮られて太陽光パネル32の発電能力が下がるという不都合を回避できる。
【0071】
雪止め部材41が庇位置に移動可能であるため、雪止め部材41による雪止めを必要としない夏期等の時期において、雪止め部材41をバルコニー16の庇として利用することができる。この場合、傾斜屋根部22やバルコニー16に庇専用の部材を設けなくても、バルコニー16への日差しを好適に遮ることができるため、雪止め部材41の使い勝手を良くすることができる。
【0072】
雪止め部材41は回動可能に軸支されているため、雪止め部材41を回動させることで雪止め位置と庇位置とに移動させることができる。この場合、太陽光パネル32の受光面32aに沿ってスライド移動させる場合に比べて、雪止め部材41が太陽光パネル32の受光面32aに接触しにくい。したがって、太陽光パネル32の受光面32a側に雪止め部材41が配置され、さらにその雪止め部材41が移動可能な構成において、雪止め部材41により太陽光パネル32を破損させることを抑制できる。
【0073】
一対の傾斜屋根部22のうちバルコニー16側の傾斜屋根部22において、バルコニー16の上方に雪止め部材41が設置されているため、太陽光パネル32の受光面32aに積もった雪が塊となって軒先23からバルコニー16に向けて一気に落下することを抑制できる。このため、屋根13の上に雪が積もっている場合でも、バルコニー16を使用する住人等の安全性を確保することができる。
【0074】
雪止め部材41が庇位置にある場合、その雪止め部材41は太陽光パネル32よりも軒先23側に配置されていることになるため、庇としての機能に加えて、雪止めとしての機能を発揮することができる。
【0075】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0076】
(1)上記第3の実施形態では、庇位置に移動可能なパネル上雪止め部材としての雪止め部材41が太陽光パネル32に重なる位置に設けられていたが、その雪止め部材41は、図7(a)に示すように、太陽光パネル32よりも軒先側において傾斜屋根部22の屋根面22aと重なる位置に設けられていてもよい。この構成では、雪止め部材41は太陽光パネル32よりも軒先側にて雪止め機能を発揮することになる。
【0077】
また、雪止め部材41は庇位置において、軒先23から下方に延びる状態とされていてもよい。この場合でも、雪止め部材41によりバルコニー16や居室への日差しを遮ることができる。なお、この場合、雪止め部材41の回動軸62は軒先23から側方に離間した位置に配置されていることが好ましい。
【0078】
(2)上記第3の実施形態において、パネル上雪止め部材としての雪止め部材41は、互いに上下に重なった状態となる複数の網状体を有していてもよい。例えば、図7(b)に示すように、雪止め部材41が、2つの網状体71を有し且つ太陽光パネル32の上に設置されている構成とする。雪止め部材41において、2つの網状体71は互いに重なっていない状態に移行可能とされている。具体的には、上下に重なった2つの網状体71のうち上側の網状体71が回動可能に軸支されており、回動することで下側の網状体71の棟側に移動する。この場合、2つの網状体71は屋根傾斜方向に沿って横並びとなり、傾斜屋根部22の上において雪止め部材41による雪止め領域を拡張できる。したがって、屋根13上の積雪が一気に落下すること及び太陽光パネル32による発電環境を早期に回復させることの両方を好適に促進させることができる。
【0079】
なお、雪止め部材41においては、2つの網状体71のうち一方がスライド移動することで雪止め領域が拡張される構成としてもよい。
【0080】
(3)雪止め部材41は、傾斜屋根部22の上において太陽光パネル32よりも軒先側の位置、及び太陽光パネル32の受光面32a上の所定の雪止め位置のそれぞれに設けられていてもよい。例えば、図7(c)に示すように、第1雪止め部材41aが太陽光パネル32よりも軒先側の位置に設けられ、パネル上雪止め部材としての第2雪止め部材41bが太陽光パネル32の受光面32a上に設けられている構成とする。
【0081】
この構成では、第1雪止め部材41a及び第2雪止め部材41bの両方が非雪止め位置に移動可能とされている。非雪止め位置は太陽光パネル32と傾斜屋根部22との間の収納スペース(隙間空間)とされており、雪止め部材41a,41bは収納スペースにおいて上下に重ねた状態で収納されるようになっている。
【0082】
第1雪止め部材41aを収納スペースに移動させる構成としては、第2の実施形態のように、第1雪止め部材41aをパネル支持フレーム51に沿ってスライド移動させる構成が挙げられる。また、第2雪止め部材41bを収納スペースに移動させる構成としては、第3の実施形態のように、第2雪止め部材41bは雪止め支持アーム61により回動可能に軸支され、その回動軸62が屋根面22aに近づく側にスライド移動可能な構成が挙げられる。この場合、第2雪止め部材41bを、回動させることで太陽光パネル32よりも軒先側に移動させ、その状態で回動軸62ごと屋根面22aに近づく側にスライド移動させ、さらに棟側に向けてスライド移動させることで収納スペースに移動させることになる。
【0083】
(4)第3の実施形態では、雪止め部材41の回動軸62が屋根面22aと平行に延びているが、その回動軸62は屋根面22aや太陽光パネル32の受光面32aと直交する方向に延びていてもよい。この構成によれば、雪止め部材41を回動させることで傾斜屋根部22の屋根面22a又は太陽光パネル32の受光面32aに沿って移動させることが可能となる。この構成でも、雪止め部材41を雪止め位置及び非雪止め位置に移動可能とする構成を実現できる。
【0084】
また、第2の実施形態においても、雪止め部材41が屋根面22aに沿って回動移動することで太陽光パネル32と傾斜屋根部22との間の隙間空間に移動する構成としてもよい。
【0085】
(5)第2の実施形態では、雪止め部材41を支持する雪止め支持フレーム53がパネル支持フレーム51に対してスライド移動する構成としたが、雪止め部材41が雪止め支持フレーム53に対してスライド移動する構成としてもよい。この場合、雪止め部材41を収納スペースに移動させた場合に、雪止め支持フレーム53は太陽光パネル32の軒先側に残ることになるが、雪止め支持フレーム53を傾斜屋根部22の支持瓦27a等に対して固定できる。つまり、雪止め支持フレーム53による雪止め部材41の支持強度を高めることができる。また、太陽光パネル32を支持するパネル支持フレーム51が太陽光パネル32よりも軒先23側に突出していてもよい。
【0086】
(6)第3の実施形態では、雪止め部材41が雪止め位置にある場合、その雪止め部材41の全体が太陽光パネル32と重なった状態とされているが、雪止め部材41の一部が太陽光パネル32と重なった状態とされていてもよい。また、雪止め部材41は、全ての太陽光パネル32のそれぞれに対して設けられ、各雪止め部材41が雪止め位置にある場合は全ての太陽光パネル32が雪止め部材41により上方から覆われた状態とされていてもよい。
【0087】
(7)第3の実施形態では、雪止め部材41が回動することで庇位置に移動する構成としたが、雪止め部材41が軒先側に向けてスライド移動することで庇位置に移動する構成としてもよい。例えば、傾斜屋根部22の上に案内レールが設けられており、その案内レールに沿って雪止め部材41が庇位置までスライド移動する構成とする。この場合、案内レールが移動手段に相当する。
【0088】
(8)太陽光パネル32及び雪止め部材41が設置される屋根13としては、切妻式の他に寄棟式、片流れ式などの屋根が挙げられる。要は、傾斜屋根部22を有し、その傾斜屋根部22に太陽光パネル32及び雪止め部材41が設置されていればよい。
【符号の説明】
【0089】
10…建物、13…屋根、21…棟、22…傾斜屋根部、22a…屋根面、23…軒先、32…太陽光パネル、32a…受光面、35…支持部材としてのパネル支持台、41…雪止め部材及びパネル上雪止め部材としての雪止め部材、51…支持部材としてのパネル支持フレーム、53…スライド支持部材としての雪止め支持フレーム、61…移動手段としての雪止め支持アーム、71…網状体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜した傾斜屋根部を有し、該傾斜屋根部の上に太陽光発電を行うための太陽光パネルが設置されている建物に適用され、
前記太陽光パネルの受光面に積もった雪の滑り落ちを防止する雪止め部材が前記傾斜屋根部の上に設けられており、
前記雪止め部材は、前記太陽光パネルよりも屋根傾斜方向の下側の位置、及び前記太陽光パネルの受光面上の所定の雪止め位置の少なくとも一方に設けられ、前記屋根傾斜方向に沿って延び全体として平板状をなす網状体により構成されていることを特徴とする屋根の雪止め構造。
【請求項2】
前記雪止め部材は、前記太陽光パネルよりも屋根傾斜方向の下側の位置に設けられており、前記傾斜屋根部の上面に対する高さが、前記太陽光パネルの受光面までの高さと同じ又はそれよりも低くされていることを特徴とする請求項1に記載の屋根の雪止め構造。
【請求項3】
前記傾斜屋根部の上にパネル支持用の支持部材が設けられ、複数の前記太陽光パネルは並べられた状態で前記支持部材により支持されており、前記支持部材により前記雪止め部材が支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根の雪止め構造。
【請求項4】
前記傾斜屋根部とその上方の前記太陽光パネルとの間には隙間空間が形成されており、該隙間空間に前記雪止め部材が収納可能とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の屋根の雪止め構造。
【請求項5】
前記雪止め部材をスライド移動させるスライド支持部材を有し、該スライド支持部材により、前記雪止め部材が前記隙間空間に収納された位置と、収納されていない位置とで移動可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の屋根の雪止め構造。
【請求項6】
前記雪止め部材は、前記太陽光パネルの受光面上の前記所定の雪止め位置に設けられたパネル上雪止め部材を有しており、
前記パネル上雪止め部材を、前記所定の雪止め位置から前記太陽光パネルよりも軒先側に移動可能とする移動手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の屋根の雪止め構造。
【請求項7】
前記雪止め部材は、互いに上下に重なった状態となる複数の網状体を有して構成され、該複数の網状体は、前記重なった状態と重なっていない状態とに移行可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の屋根の雪止め構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−246639(P2012−246639A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117550(P2011−117550)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】