説明

屋根や外壁の下地材

【課題】耐圧縮強度に優れ、通気性と通水性、電蝕予防や断熱層の確保、減音の機能を長期にわたって維持することができる屋根や外壁の下地材を提供する。
【解決手段】合成樹脂フィラメント22を三次元的に絡ませたメッシュマットを素材に用い、このメッシュマットに断面形状が繰り返し形状となる波型、山型、角型凹凸の内から選択される型付けを加圧加熱で施して固定化することによって下地材21とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の屋根や外壁の構築に用いる下地材、更に詳しくは、屋根材と屋根下地構造や外壁材と壁下地構造の間に空間を確保することにより、屋根材や外壁材及びその下地構造を保護すると共に、屋根や外壁に断熱や防音等の機能を付加するために用いる屋根や外壁の下地材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属板製の屋根材や外壁材を用いた屋根や外壁の施工においては、屋根材と屋根下地構造や外壁材と壁下地構造の間に通気性のある下地材を組み込み、空間を確保することにより、結露水を排出して屋根材や外壁材及びその下地構造を保護すると共に、屋根や外壁に断熱や防音等の機能を付加するようにしている。
【0003】
図4は、金属板製の外壁材を用いて施工した外壁の断面構造を示し、支持床梁板1の外面に防湿層2を介して合板等の内側下地板3を重ね、この内側下地板3の外面に一定間隔の配置で垂直の垂木4を配置し、前記垂木4の外側に合板等の外側下地板5を重ね、内外の下地板3と5間の空間に断熱材6を組み込んで外壁下地構造Aを構築し、前記支持床梁板1の内面に内装材7を貼着すると共に、前記外側下地材5の外面に、防水シート8と下地材9を介して金属板製の外壁材10を取付け、外壁Bを形成している。
【0004】
なお、図示省略したが、金属板製の屋根材を用いた屋根においても、上記と同様の下地材9を使用し、屋根下地構造の野地板上に、防水シートと下地材を介して金属板製の屋根材を葺設するようにしている。
【0005】
図5は、上記した外壁や屋根の施工に用いる従来の下地材9を示し、合成樹脂フィラメント11を三次元的に絡ませることによって一定の厚みを有するフラットなメッシュマットに形成されている。
【0006】
上記下地材9は、合成樹脂フィラメント11を三次元的に絡ませたメッシュマットになっているので、通気性と通水性に優れ、金属板製の外壁材や屋根材と下地構造の間に空間を確保することにより、建物内外から発生する結露水を排出し、湿気による劣化から屋根外壁材や屋根材と下地構造を守り、また、金属板製の外壁材や屋根材の電蝕予防や断熱層の確保、雨音等を減音することができるという機能がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の下地材9は、単に合成樹脂フィラメント11を三次元的に絡ませて厚みをもたせたフラットなメッシュマットになっているので、厚み方向の圧縮荷重に対する強度が低く、このため、荷重が加わっていると経時的に厚みが薄くなり、上述した機能が減少することになる。
【0008】
特に、下地材9を金属板製の屋根材を用いた屋根に使用すると、常時屋根材の重量が圧縮荷重として加わることで、短い期間で厚みが薄くなり、また、外熱による軟化によっても厚みが薄くなり、上述した機能が低下することになる。
【0009】
そこで、この発明の課題は、合成樹脂フィラメントを三次元的に絡ませたメッシュマットを用い、耐圧縮強度を向上させることで、通気性と通水性、電蝕予防や断熱層の確保、減音の機能を長期にわたって維持することができる屋根や外壁の下地材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、合成樹脂フィラメントを三次元的に絡ませたメッシュマットを用い、このメッシュマットに断面形状が繰り返し形状となる型付けを施した構成を採用したものである。
【0011】
上記型付けの断面形状が、波型、山型、角型凹凸の内から選択され、この型付けが加熱加圧によって施されている構造とすることができる。
【0012】
ここで、合成樹脂フィラメントは、ポリプロピレンやポリアミドを用い、この合成樹脂フィラメントを三次元的に交差させたり絡ませることにより、所定の厚みを有するフラットなメッシュマットを作成し、このメッシュマットを金型で上下から加圧加熱することで、断面形状が波型、山型、角型凹凸等の繰り返し形状となる型付けを施し、これにより、メッシュマットは押し潰されて合成樹脂フィラメントが溶着し、繰り返し形状が固定化されることで、元のメッシュマットと同程度の厚み寸法を有する断面が繰り返し形状の下地材が得られることになる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、合成樹脂フィラメントを三次元的に絡ませたメッシュマットに断面形状が繰り返し形状となる型付けを施したので、メッシュマットが押し潰されて合成樹脂フィラメントが溶着した断面繰り返し形状が固定化され、合成樹脂フィラメントを三次元的に絡ませたメッシュマットの機能を備えたまま耐圧縮強度を大幅に向上させることができ、屋根や外壁に使用した状態で荷重による圧縮変形の発生が経時的に少なく、使用状態で前記メッシュマットの機能をそのまま長期にわたって維持することができる。
【0014】
また、荷重による圧縮変形の発生が経時的に少ないので、屋根材や壁材の不揃いの発生を軽減することができる。
【0015】
更に、メッシュマットの機能をそのまま長期にわたって維持できるので、下地材の機能低下や屋根材や外壁材の不揃いの発生によるメンテナンスを少なくすることができ、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、この発明の下地材21の一例を示し、金属板製の屋根材や外壁材を用いた屋根や外壁の施工において、屋根材と屋根下地構造や外壁材と壁下地構造の間に設けることによって使用される。
【0018】
この下地材21は、合成樹脂フィラメント22を三次元的に絡ませて所定の厚みにしたメッシュマットを素材に用い、このメッシュマットに断面形状が繰り返し形状となる型付けを施して形成されている。
【0019】
上記合成樹脂フィラメント22は、ポリプロピレンやポリアミドを用い、この合成樹脂フィラメント22を三次元的に交差させたり絡ませることにより、図5で示したような従来と同様の厚みを有するフラットなメッシュマットを作成し、このメッシュマットを金型で上下から加圧加熱することで、繰り返し形状となる型付けを施し、この加圧加熱により、メッシュマットを押し潰して合成樹脂フィラメント22を溶着させ、繰り返し形状を固定化することで、元のメッシュマットと同程度の厚み寸法を有する断面繰り返し形状の下地材21が得られる。
【0020】
上記下地材21の固定化された繰り返し形状としては、図3(a)の波型、図3(b)の山型、図3(c)の角型凹凸等を採用することができ、従来と同様のメッシュマットを金型で加圧加熱して合成樹脂フィラメント22を溶着して固定化させることで、下地材21は、薄い板状で波型、山型、角型凹凸等の断面形状を有する構造となり、元のメッシュマットが備えた、通気性と通水性、金属板製の外壁材や屋根材の電蝕予防や断熱層の確保、雨音等を減音することができるという機能を維持したまま、耐圧縮強度が大幅に向上することになる。
【0021】
この発明の下地材21は、上記のような構成であり、図2(a)と(b)は、この発明の下地材21の使用例として、金属板製の外壁材を用いて施工した外壁の断面構造を示し、支持床梁板1の外面に防湿層2を介して合板等の内側下地板3を重ね、この内側下地板3の外面に一定間隔の配置で垂直の垂木4を配置し、この垂木4の外側に合板等の外側下地板5を重ね、内外の下地板3と5間の空間に断熱材6を組み込んで外壁下地構造Aを構築し、前記支持床梁板1の内面に内装材7を貼着すると共に、前記外側下地材5の外面に、防水シート8と下地材21を介して金属板製の外壁材10を取付け、外壁Bを形成している。
【0022】
図2(a)は、内外の下地板3と5間の空間に組み込んだ断熱材6の厚みを薄くして空間23を形成し、また、図2(b)は下地板3と5間の空間に組み込んだ断熱材6を厚くして空間を設けない例を示している。
【0023】
なお、図示省略したが、金属板製の屋根材を用いた屋根においても、この発明の下地材を使用し、屋根下地構造の野地板上に、防水シートと下地材を介して金属板製の屋根材を葺設するようにすることができる。
【0024】
上記のような外壁Bにおいて、外壁下地構造Aと金属板製の外壁材10の間に、この発明の下地材21を組み込むことにより、下地材21はメッシュマットが押し潰されて合成樹脂フィラメントが溶着した断面繰り返し形状になっているので、耐圧縮強度が大幅に向上し、荷重による圧縮変形の発生が経時的に少なく、従って、外壁下地構造Aと外壁材10の間に空間を保つことで、長期にわたって通気性と通水性を確保し、建物内外から発生する結露水を排出し、湿気による劣化から外壁材10や外壁下地構造Aを守り、金属板製の外壁材10の電蝕予防や断熱層の確保、雨音等を減音することができる。
【0025】
また、下地材21は、荷重による圧縮変形の発生が経時的に少ないので、外壁材10の不揃いの発生を軽減し、メンテナンスを少なくすることができる。
【0026】
なお、この発明の下地材21を金属板製の屋根材を用いた屋根に使用しても、上記と同様の効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明に係る下地材の一例を示す斜視図
【図2】(a)はこの発明の下地材を使用した外壁の横断平面図、(b)は同じく外壁の他の例を示す横断平面図
【図3】(a)乃至(c)はこの発明に係る下地材の断面形状の異なった例を線画で示す断面図
【図4】従来の下地材を用いた外壁の横断平面図
【図5】従来の下地材を示す斜視図
【符号の説明】
【0028】
1 支持床梁板
2 防湿層
3 内側下地板
4 垂木
5 外側下地板
6 断熱材
7 内装材
8 防水シート
9 下地材
10 外壁材
11 合成樹脂フィラメント
21 下地材
22 合成樹脂フィラメント
A 外壁下地構造
B 外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィラメントを三次元的に絡ませたメッシュマットを用い、このメッシュマットに断面形状が繰り返し形状となる型付けを施した屋根や外壁の下地材。
【請求項2】
上記型付けの断面形状が、波型、山型、角型凹凸の内から選択され、この型付けが加熱加圧によって施されている請求項1に記載の屋根や外壁の下地材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−247329(P2007−247329A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74661(P2006−74661)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(506092547)日本ジンク株式会社 (1)
【Fターム(参考)】