説明

屋根上等緑化用植物栽培器及び緑化屋根

【課題】 栽培用土類の散逸を防ぎ、植物の発芽・生育を妨げず、栽培用土類の収容、播種、運搬、屋根上への設置等の作業を大幅に効率化することができる屋根上等緑化用植物栽培器、及び、風による栽培器の離脱が効果的に防がれる緑化屋根。
【解決手段】 箱状体Bの上部の一方の側縁部に対しヒンジ部Hを介して離脱防止体Pを揺動可能に連結する。箱状体B内には栽培用土類Sを収容保持する。箱状体Bの側部の上下中間位置に排水孔を設け、底部に排水部Dを設けない。栽培用土類Sには種子を蒔き、栽培用土類S上は、直交する切れ目C1を互いに独立して満遍なく有する不織布製の被覆体Cにより覆う。被覆体Cは、栽培用土類Sにおける植物の発芽や上方等への生育を妨げない。離脱防止体Pを、ヒンジ部Hを中心として右回りに回動させ、箱状体Bの上部開口部B1に対し閉じて配装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上等緑化用植物栽培器及びその栽培器を用いた緑化屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000−262152号公報(特許文献1)には、「植物栽培用の培地を収容した所定の長さの植物栽培容器が、その長さ方向を屋根折版の流れ方向に向け、折版屋根上面の谷部内に突出してセットされていることを特徴とする折版屋根の緑化システム」の発明が記載されている。しかしながら、この場合、植物栽培容器が屋根上に設置された状態において、容器内の培地が風で散逸する可能性がある。それを防ぐには、別の場所で植物をある程度成長させた後で設置場所に運んで屋根上に設置する必要があった。そのため、運搬及び設置を効率よく行うことができず、多大な労力及びコストを要していた。
【0003】
一方、特開平11−046592号公報(特許文献2)には、「発泡スチロール等の合成樹脂発泡体をもって成形され、内部に客土収容用の中空部を有し、底部に水抜穴を有する栽培容器本体を備え、栽培容器本体の上部開口に施蓋される蓋体を有し、該蓋体は栽培植物に応じて必要な大きさの開口を切断成形自在である植物栽培用容器。」の発明が記載されている。この栽培容器本体の上部開口には蓋体が施蓋されるが、この蓋体は栽培植物に応じて必要な大きさの開口を切断成形するものであるから、例えば屋根に設置した後で植物が発芽したり、多数の植物が万遍なく成長する場合のように成長箇所の予測や限定を行い得ない場合には利用することはできない。
【特許文献1】特開2000−262152号公報
【特許文献2】特開平11−046592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、栽培用土類が箱状体から離脱・散逸するのを防ぐと共に、植物の発芽や上方等への生育を妨げず、屋根上等の緑化に用いる場合に、栽培用土類を収容したり栽培用土類へ種子等を配する作業を、設置現場以外の場所で行なって発芽や生育等の前にそれを運搬し、屋根上等に設置することができるので、製造、運搬、設置等の作業を大幅に効率化することができる屋根上等緑化用植物栽培器、及び、風による栽培器の離脱が効果的に防がれる緑化屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の屋根上等緑化用植物栽培器は、
上部開口部を有し栽培用土類を収容保持するための箱状体と、
箱状体の上部開口部に配装する離脱防止体と、
箱状体に収容された栽培用土類と、
その栽培用土類上を覆うと共に前記栽培用土類における植物の発芽や上方等生育を妨げないシート状又は網状の被覆体を備えてなり、
前記離脱防止体は、箱状体の上部開口部に配装された状態において、被覆体及びその被覆体に被覆された栽培用土類が箱状体から上部開口を介して離脱するのを抑えると共に、前記上部開口部に、植物の発芽や上方等生育を妨げないための複数の開口箇所を形成するものである。
【0006】
工場等において栽培用土類を箱状体内に収容してその栽培用土類に植物の種子や苗等を配するか或いは種子や苗等を予め配した栽培用土類を箱状体内に収容し、その上を、栽培用土類における植物や苗等の発芽や上方等への生育を妨げない被覆体で覆い、更に離脱防止体を箱状体の上部開口部に配装する。これにより、被覆体及びその被覆体に被覆された栽培用土類が箱状体から上部開口を介して離脱・散逸するのを防ぐと共に、箱状体の上部開口部に、植物の発芽や上方等への生育を妨げないための複数の開口箇所を形成することができる。
【0007】
そのため、屋根上等の緑化に用いる場合に、箱状体への栽培用土類収容、栽培用土類への播種等、被覆体による被覆、離脱防止体配装等の作業を、設置現場以外の場所で行ない、発芽や生育等の前にそれを運搬し、屋根上等に設置することができるので、製造、運搬、設置等の作業を大幅に効率化することができる。
【0008】
本発明の屋根上等緑化用植物栽培器は、上記離脱防止体が、上記箱状体に対しヒンジ部を介して一体的に形成され、前記ヒンジ部を中心とする一方向の回動により箱状体の上部開口部に対する離脱防止体の配装を行ない得るものであり、前記離脱防止体を前記配装状態において保持し得る保持部を備えるものとすることが好ましい。
【0009】
この場合、離脱防止体が箱状体に対しヒンジ部を介して一体的に形成されており、離脱防止体をヒンジ部を中心に一方向に回動させることにより箱状体の上部開口部に配装し得、保持部により離脱防止体を配装状態において保持することができるので、更に作業を効率化することができる。
【0010】
また本発明の屋根上等緑化用植物栽培器は、上記箱状体が、側部の上下中間位置に排水部を備え、底部に排水部を有しないものとすることが好ましい。屋根上等の緑化に用いた場合に、必要な雨水の流下を防ぎつつ余分な雨水を排出することにより、雨水を有効利用することができる。また、設置前に水分を供給した場合における水分保持にも有用である。
【0011】
また本発明の屋根上等緑化用植物栽培器は、箱状体内に、収容した栽培用土類が前記箱状体の傾斜により偏るのを防ぐ移動防止部が1又は2以上設けられたものであることが好ましい。
【0012】
この場合、箱状体内に移動防止部が設けられているので、箱状体が傾斜状態で設置された場合に、傾斜による栽培用土類の移動が防がれ、栽培用土類の下方側への移動により植物栽培に支障が生じることが防がれる。
【0013】
上記屋根上等緑化用植物栽培器は、箱状体の下方から箱状体の側部又は上部を経て箱状体の内部に達する吸水部材を備えたものとすることが好ましい。この場合、箱状体の下方に貯留水や流水等が存在する場合に、吸水部材により箱状体内に水が吸い上げられ、植物の生育に利用される。
【0014】
上記箱状体は、その下方および/または側方に転動体を備えるものであることが好ましい。この場合、屋根上等緑化用植物栽培器を並列状の溝状部を備えてなる屋根における前記溝状部に嵌合させて設置する場合に、箱状体の下方および/または側方に備える転動体により、屋根における溝状部に嵌合させた状態で溝状部内を円滑に移動させることができる。特に、例えば屋根における溝状部の一端部において複数の屋根上等緑化用植物栽培器を順に押し込むことにより、溝状部の他端まで屋根上等緑化用植物栽培器を行き渡らせることも可能となる。
【0015】
また本発明の屋根上等緑化用植物栽培器は、
上部開口部を有し栽培用土類を収容保持するための箱状体と、
箱状体の上部開口部に配装する離脱防止体を備えてなり、
前記離脱防止体は、箱状体の上部開口部に配装された状態において、その上部開口部に、植物の発芽や上方等生育を妨げないための複数の開口箇所を形成するものである。
【0016】
また本発明の緑化屋根は、上記何れかの屋根上等緑化用植物栽培器が、並列状の溝状部を備えてなる屋根における前記溝状部に、箱状体の上部が溝状部の上方に突出しないように嵌合したものである。この場合、箱状体の上部が溝状部の上方に突出しないので、風による屋根上等緑化用植物栽培器自体の離脱が効果的に防がれる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の屋根上等緑化用植物栽培器によれば、栽培用土類が箱状体から離脱・散逸するのを防ぐと共に、植物の発芽や上方等への生育を妨げず、屋根上等の緑化に用いる場合に、栽培用土類を収容したり栽培用土類へ種子等を配する作業を、設置現場以外の場所で行なって発芽や生育等の前にそれを運搬し、屋根上等に設置することができるので、製造、運搬、設置等の作業を大幅に効率化することができる。
【0018】
また本発明の緑化屋根によれば、箱状体の上部が溝状部の上方に突出しないので、風による屋根上等緑化用植物栽培器自体の離脱が効果的に防がれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図面は何れも本発明の実施の形態の一例としての屋根上等緑化用植物栽培器及び緑化屋根に関するものであって、図1は離脱防止体を開いた状態の屋根上等緑化用植物栽培器の斜視図、図2は離脱防止体を閉じて折板屋根の溝状部内に設置した状態の屋根上等緑化用植物栽培器の斜視図、図3は離脱防止体を閉じて折板屋根の溝状部内に設置した状態の屋根上等緑化用植物栽培器の断面図、図4は隣接箱状体同士を連結部材により連結すると共に内部同士を連通した状態の要部断面図である。
【0021】
箱状体Bは、全体として水平方向(但し、底部を水平面上に載置した場合。)に細長い形状で、長方形状の上部開口部B1を有する箱状をなし、内部及び外形の横断面が、上底の方が下底よりも長い台形状をなす。この箱状体Bは、図2に示すように台形断面の溝状部R1を並列状に備えた屋根Rにおける台形断面の溝状部R1に嵌合する外形を備えるものである。箱状体Bの両外側面には、溝状部R1の内側面に対するがたつきや溝状部R1の内側面の損傷を防ぐために、緩衝材10(例えば発泡プラスチックや発泡ゴム等からなるもの)を設けることが好ましい。がたつき防止は両面粘着テープや接着剤等を用いて防ぐこともでき、溝状部R1が鉄系材料からなる場合は磁石を用いてがたつきを防ぐこともできるが、箱状体Bは、屋根上等緑化用植物栽培器G自体又は屋根Rの保守管理等のために、屋根Rに対し着脱可能なものとすることが好ましい。
【0022】
なお箱状体は、並列状の溝状部(例えば、上方拡開の台形断面、或いは半円又は弓形断面の溝状部)を備えてなる屋根における前記溝状部に嵌合する外形を備えるものとすることが好ましい。この場合、箱状体を、並列状の溝状部を備えてなる屋根における溝状部に嵌合した状態で屋根上に安定的に設置することができる。
【0023】
箱状体Bには栽培用土類Sを収容保持する。栽培用土類Sとしては、衣料廃棄物から得られる繊維製断片を加工した粒状および/または粉状物が好適であるが、それに加えて、或いはそれに代えて、発泡スチロール等のプラスチック材料、クレイボール、鹿沼土、軽石,赤玉土、バ−ミキュライト、パ−ライト、川砂等の通常の材料を用いることができる。
【0024】
箱状体B内には、収容した栽培用土類Sが箱状体Bの傾斜により偏るのを防ぐ移動防止部としての、箱状体Bを横切る仕切板部B2(必ずしも長手方向に対し直交するものであることを要しない)を3箇所(これに限らない)に備える。また仕切板部B2によって、仕切板部B2と箱状体Bの内壁面とにより囲まれた部分毎に培用土類S及び栽培された植物を回収する作業を容易にするので、枯れた苗の取り替えや部分植え替え等を行なう上で有用である。更に、相性のあまり良くない植物同士でも仕切板部B2で分離されているため、根が喧嘩せず共生可能となり、植生の選択肢が大幅に拡がる。なお、このような仕切板部B2は、その両側の部分同士の水の流通を妨げることを防ぐために1又は2以上の透孔や切欠部等を有するものとすることもできる。また水の流通を妨げない移動防止部として、横方向全体にわたる仕切板部B2のような態様ではなく、中央部や側部等の一部を仕切らない壁状部とすることや、1又は2以上の棒状部を設けることもできる。
【0025】
栽培用土類Sには種子が蒔かれ、栽培用土類S上は、直交する切れ目C1を互いに独立して満遍なく有する不織布製の被覆体Cにより覆われている。この被覆体Cは、栽培用土類Sにおける植物や苗等の発芽や上方等への生育を妨げない。このような被覆体Cの例としては、切れ目C1、複数の切れ目が交差した交差切れ目部、又は透孔等の何れか1種又は2種以上を互いに独立して多数有するシート状物や、網状物を挙げることができる。
【0026】
離脱防止体Pは、箱状体Bの上部の一方の側縁部に対しヒンジ部Hを介して揺動可能に連結された状態で、合成樹脂により箱状体Bと一体的に形成されている。離脱防止体Pは、ヒンジ部Hを中心として図1における右回りに回動させることにより、箱状体Bの上部開口部B1に対し閉じる(配装する)ことができる。この状態で、離脱防止体Pは、箱状体Bの上部の他方の側縁部における複数箇所に設けられた嵌合切欠部B3に、離脱防止体Pの対応部に設けられた嵌合突部P1が嵌合することにより、離脱防止体Pが箱状体Bの上部開口部B1に対し閉じた状態(配装状態)において保持される。そのため、作業効率が高い。この例では、これらの嵌合切欠部B3と嵌合突部P1が、離脱防止体Pの対応部に設けられた嵌合突部P1が嵌合することにより、配装状態において保持する保持部を構成しているが、この限りでないことは言うまでもない。また離脱防止体は、箱状体と一体をなすものに限るものではない。また、この例の場合、嵌合切欠部B3と嵌合突部P1の嵌合を解除し、離脱防止体Pを逆向きに回動させることにより、上部開口部B1に対する離脱防止体Pの配装を解除することができるが、必ずしも解除可能であることを要するものではない。
【0027】
離脱防止体Pは、数個の升目状の小枠部P2を全体に備えた枠状をなし、箱状体Bの上部開口部B1に配装された状態において、被覆体C及びその被覆体Cに被覆された栽培用土類Sが箱状体Bから上部開口を介して離脱するのを抑えると共に、数個の小枠部P2により、上部開口部B1に、植物の発芽や上方等生育を妨げないための複数の開口箇所を形成する。なお、箱状体の上部開口部に配装された状態の離脱防止体における開口箇所は、小枠部により形成するものに限らず、例えば条体を張設して条体と箱状体の縁部又は枠の縁部との間或いは条体同士の間に形成するものとすることもできる。
【0028】
この屋根上等緑化用植物栽培器Gは、工場等において栽培用土類Sを箱状体B内に収容してその栽培用土類Sに植物の種子や苗等を配するか或いは種子や苗等を予め配した栽培用土類Sを箱状体B内に収容し、その上を被覆体Cで覆い、更に離脱防止体Pを箱状体Bの上部開口部B1に配装することにより、植物の発芽や上方等への生育を妨げることなく、被覆体C及びその被覆体Cに被覆された栽培用土類Sが箱状体Bから上部開口を介して離脱・散逸するのを防ぐことができるものとして得られる。屋根上等緑化用植物栽培器Gを屋根R上等の緑化に用いる場合、箱状体Bへの栽培用土類S収容、栽培用土類Sへの播種等、被覆体Cによる被覆、離脱防止体P配装等の作業を、設置現場以外の場所で行ない、発芽や生育等の前にそれを運搬し、屋根R上等に設置することができるので、製造、運搬、設置等の作業を大幅に効率化することができる。
【0029】
図2に示すように屋根上等緑化用植物栽培器Gを折板屋根Rの溝状部R1内に設置した場合、上向き拡開の溝状部R1の両側面に安定的に支持され、而も箱状体Bの上部が溝状部R1の上方に突出しないので、風による屋根上等緑化用植物栽培器G自体の離脱が効果的に防がれる。
【0030】
多数の屋根上等緑化用植物栽培器Gを、各溝状部R1内に隣接縦列状態で又は間隔おきの縦列状態で設置することにより、緑化屋根Rを構成することができる。その場合、パイプ、棒、ワイヤ、網等の箱状体離脱防止材を屋根R等に取付けるにより、各箱状体Bの上部を押えるか又は上方に離脱しようとする箱状体Bを押えるものとして、箱状体Bが溝状部R1から上方に離脱することを防ぐことが好ましい。そのためには、各箱状体Bに、箱状体離脱防止材に連結するための連結用の上方突部T又はその他の連結用の構成を設けることが好ましい。
【0031】
また、屋根上等緑化用植物栽培器Gを隣接縦列状態で設置する場合は、図4に示すように隣接箱状体Bの端壁部同士をクリップ状の連結部材12(連結手段の一例)により挟んで連結することができる。この場合、連結部材により箱状体B同士を複数隣接状態で容易に連結することができるので、効率的に設置作業を行うことができる。
【0032】
更に、図3に示すように、箱状体Bの下方(側方でも可)に転動体W(車輪)を備えるものとすることにより、屋根Rにおける溝状部R1に屋根上等緑化用植物栽培器Gを嵌合させた状態で溝状部R1内を円滑に移動させることができるので、屋根Rにおける溝状部R1の一端部において複数の屋根上等緑化用植物栽培器Gを順に押し込むことにより、溝状部R1の他端まで屋根上等緑化用植物栽培器Gを縦列状態で行き渡らせて配置することができる。
【0033】
箱状体Bは、両側部の上下中間位置に横長透孔状の排水部Dを多数備え、底部に排水部Dを有しないので、屋根R上の緑化において、必要な雨水の流下を防ぎつつ余分な雨水を排出することにより、雨水を有効利用することができる。また、設置前に水分を供給した場合における水分保持にも有用であり、外部と箱状体B内部との間の通気孔としても機能する。なお、排水部Dは上下方向の中央でもよく、それよりも上方でも下方でもよい。
【0034】
また、図3に二点鎖線で示すように、箱状体Bの下方から箱状体Bの側部の排水部Dを介して箱状体Bの内部に達する繊維製帯状の吸水部材14を備えるものとすると、箱状体Bの下方の溝状部R1内に貯留水や流水等が存在する場合に、吸水部材14により箱状体B内に水を吸い上げられ、植物の生育に利用される。
【0035】
また、図4に示すように、箱状体Bの一方の端壁部における上下中間位置に、外方突出の連通用の短突管部16を設け、他方の端壁部における上下中間位置に、箱状体B内突出の連結用の短凹管部18を設けて、隣接箱状体Bにおけるに短突管部16を短凹管部18に内嵌連結することにより、隣接箱状体Bの内部同士を連通させて液体が流通し得るようにすることができる。このように、箱状体Bが複数隣接した状態で箱状体Bの内部同士の間を液体が流通し得るように連通する連通手段を備えるものとすることにより、特に傾斜状態で複数隣接した箱状体Bの内部同士の間を液体が流通し得るように連通手段により連通することにより、余分な水を隣接箱状体Bに排出し、必要な水が隣接箱状体Bに流入することにより、水を有効利用することができる。
【0036】
なお、以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】離脱防止体を開いた状態の屋根上等緑化用植物栽培器の斜視図である。
【図2】離脱防止体を閉じて折板屋根の溝状部内に設置した状態の屋根上等緑化用植物栽培器の斜視図である。
【図3】離脱防止体を閉じて折板屋根の溝状部内に設置した状態の屋根上等緑化用植物栽培器の断面図である。
【図4】隣接箱状体同士を連結部材により連結すると共に内部同士を連通した状態の要部断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 緩衝材
12 連結部材
14 吸水部材
16 短突管部
18 短凹管部
B 箱状体
B1 上部開口部
B2 仕切板部
B3 嵌合切欠部
C 被覆体
C1 切れ目
D 排水部
G 屋根上等緑化用植物栽培器
H ヒンジ部
P 離脱防止体
P1 嵌合突部
P2 小枠部
R 屋根
R1 溝状部
S 栽培用土類
T 上方突部
W 転動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口部を有し栽培用土類を収容保持するための箱状体と、
箱状体の上部開口部に配装する離脱防止体と、
箱状体に収容された栽培用土類と、
その栽培用土類上を覆うと共に前記栽培用土類における植物の発芽や上方等生育を妨げないシート状又は網状の被覆体を備えてなり、
前記離脱防止体は、箱状体の上部開口部に配装された状態において、被覆体及びその被覆体に被覆された栽培用土類が箱状体から上部開口を介して離脱するのを抑えると共に、前記上部開口部に、植物の発芽や上方等生育を妨げないための複数の開口箇所を形成するものである屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項2】
上記離脱防止体が、上記箱状体に対しヒンジ部を介して一体的に形成され、前記ヒンジ部を中心とする一方向の回動により箱状体の上部開口部に対する離脱防止体の配装を行ない得るものであり、前記離脱防止体を前記配装状態において保持し得る保持部を備える請求項1記載の屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項3】
上記箱状体が、側部の上下中間位置に排水部を備え、底部に排水部を有しない請求項1又は2記載の屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項4】
箱状体内に、収容した栽培用土類が前記箱状体の傾斜により偏るのを防ぐ移動防止部が1又は2以上設けられた請求項1乃至3の何れかに記載の屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項5】
箱状体の下方から箱状体の側部又は上部を経て箱状体の内部に達する吸水部材を備えた請求項1乃至4の何れかに記載の屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項6】
上記箱状体が、その下方および/または側方に転動体を備える請求項1乃至5の何れかに記載の屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項7】
上部開口部を有し栽培用土類を収容保持するための箱状体と、
箱状体の上部開口部に配装する離脱防止体を備えてなり、
前記離脱防止体は、箱状体の上部開口部に配装された状態において、その上部開口部に、植物の発芽や上方等生育を妨げないための複数の開口箇所を形成するものである屋根上等緑化用植物栽培器。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れかの屋根上等緑化用植物栽培器が、並列状の溝状部を備えてなる屋根における前記溝状部に、箱状体の上部が溝状部の上方に突出しないように嵌合した緑化屋根。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−75130(P2006−75130A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265615(P2004−265615)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(301050555)アースコンシャス株式会社 (6)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】