説明

屋根連結具

【課題】相互に隣接する片流れ屋根をT字状に連結できて、しかも屋根の傾斜方向及び相対的屋根高さの相異に対応して、組み換え可能な屋根連結具の提供を目的とする。
【解決手段】屋根連結具は、前後方向に傾斜する一方の屋根の後枠と、左右方向に傾斜し且つ一方の屋根に隣接する他方の屋根の側枠との間に配置するものであり、パネル上端受けと、パネル下端受けと、パネルとを備え、パネル上端受けは、後枠と側枠とのうちの相対的に高い位置にある上方枠に固定してあり、パネル下端受けは、後枠と側枠とのうちの相対的に低い位置にある下方枠に係止してあり、パネルは、側面視略三角形状を成し、上端をパネル上端受けにネジ止めし且つ下端をパネル下端受けにネジ止めして略垂直に配置してあり、パネル下端受けと下方枠との係止部におけるパネル下端受けと下方枠の間に緩衝材を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に隣接する屋根の連結具に関し、特に片側流れ形状の屋根をT字状に連結する屋根連結具に係る。
【背景技術】
【0002】
特開平09−032181号公報及び実用新案登録第2584415号公報には、隣接するアーチ型の屋根同士をT字状に連結する構造を開示するが、この構造は隣接する屋根の梁の高さが同じであるので簡単につなぐことができるが、前後方向に傾斜する片流れ屋根と、それに対して左右方向に傾斜する片流れ屋根との連結の場合には、梁の高さが同じ位置にならず、上記連結構造を適用できない。
そこで、前後方向に傾斜する片流れの屋根に対して左右方向に傾斜する片流れ屋根を連結できる屋根連結具が必要になる。
【0003】
【特許文献1】特開平09−032181号公報
【特許文献2】実用新案登録第2584415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記背景技術に有する技術的課題に鑑みて、相互に隣接する片流れ屋根をT字状に連結できて、しかも屋根の傾斜方向及び相対的屋根高さの相異に対応して、組み換え可能な屋根連結具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る屋根連結具は、前後方向に傾斜する一方の屋根の後枠と、左右方向に傾斜し且つ一方の屋根に隣接する他方の屋根の側枠との間に配置するものであり、パネル上端受けと、パネル下端受けと、パネルとを備え、パネル上端受けは、後枠と側枠とのうちの相対的に高い位置にある上方枠に固定してあり、パネル下端受けは、後枠と側枠とのうちの相対的に低い位置にある下方枠に係止してあり、パネルは、側面視略三角形状を成し、上端をパネル上端受けにネジ止めし且つ下端をパネル下端受けにネジ止めして略垂直に配置してあり、パネル下端受けと下方枠との係止部におけるパネル下端受けと下方枠の間に緩衝材を配置してあることを特徴とする。
この場合にパネル下端受けは、その上面に樋部を有してもよい。
【0006】
ここで前後方向に傾斜する一方の屋根と左右方向に傾斜する他方の屋根との関係は、相互に屋根を連結する屋根連結具に向かって前後方向に傾斜している屋根を「一方の屋根」といい、屋根連結具に沿って左右方向のどちらかに傾斜している屋根を「他方の屋根」と表現する。
また、前後方向に傾斜する屋根の前後両端部に有する屋根枠の内、屋根連結具を固定又は係着する側を後枠といい、左右方向に傾斜する屋根を構成する屋根枠の内、屋根連結具を固定又は係止する側を側枠と表現する。
【0007】
パネルを側面視略三角形状に成しとは、パネルを略垂直に配置した際のパネル平面部に向かって見た方向の形状が略三角形状であることをいう。
【発明の効果】
【0008】
隣接する前後方向に傾斜する片流れ屋根と左右方向に傾斜する片流れ屋根を連結する場合に、相対的な屋根高さと傾斜方向の組み合わせにて4種類の連結パターンがあり得るが、本発明においては、屋根連結具を、パネル上端受けとパネル下端受けとをパネルにネジ止めする三分割にしたことにより、連結する相互の相対的屋根高さ及び傾斜方向に合わせて略三角形状のパネルの上下、左右の向きを替えるだけで、それらの屋根の連結パターンの全てに容易に対応できる。
パネル下端受けと、屋根の下方枠との係止部に緩衝材を設けたことにより、連結部の寸法バラツキや温度変化による変形を吸収できる。
【0009】
請求項2記載の発明においては、パネル下端受けの上面に樋部を設けたことにより、屋根の連結部からの雨水等の排水性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る屋根連結具は、前後方向に傾斜する一方の屋根と、左右方向に傾斜する他方の屋根との各種屋根高さ及び傾斜方向の組み合わせに対応できるが、以下、その代表例について説明する。
図1に示した例は、一方の屋根1の後枠1cの方が、他方の屋根2の側枠2cより低い位置にあり、T字状に連結してある場合である。
また、一方の屋根1の前側1bが後側1aより高く、屋根が屋根連結具10に向けて下方向に片流れに傾斜していて、他方の屋根2は、図1において左側の屋根端2aが右側の屋根端2bより低い左側に下方向に傾斜している場合である。
【0011】
屋根連結具10は、パネル上端受け11とパネル13とパネル下端受け12とに三分割してある。
図1のA−A線断面図を図2に、B−B線断面図を図3にそれぞれ示す。
相対的に高い位置にある他方の屋根2の側枠(上方枠)2cにパネル上端受け11がビス等の固定部材11aを用いて固定してある。
パネル上端受け11は、側枠2cへの取付面とパネル13の上端をネジ止めするための垂下片を有する断面略S字状になっている。
相対的に低い位置にある一方の屋根1の後枠(下方枠)1cにパネル下端受け12を係止してある。
図2、図3に示すように、パネル下端受け12は、断面の略S字状にして後枠への係止部12bと、上面に樋部12aを形成し、係止部12bは、上方が一方の屋根(後枠)側に向けて広がるように傾斜させてあり、後枠側の傾斜面101cと係止するようになっていて、その係止部におけるパネル下端受けと下方枠の間に位置し、パネル下端受けの下面に緩衝材15を接着剤等で取り付けて寸法バラツキ、取付誤差、熱変形等を吸収している。
【0012】
パネル13は、パネル上端受け11とパネル下端受け12とを概ね垂直方向につなぐように配置してあり、パネル面から見た側面視は略三角形状になっていて、図1に示した例では、一方の屋根の後枠1cに沿った辺がほぼ水平で、他方の屋根の側枠2cに沿った辺が斜辺となる略直角三角形状になっている。
図2及び図3に示すように、パネル13のほぼ上端側には上端受け連結孔13aを有し、ほぼ下端側には、下端受け連結孔13bを有していてパネル上端受け11とパネル下端受け12とがそれぞれボルト、ビス等のネジ止め部材14a、14bでネジ止めしてある。
なお、図3に示すように一方の屋根と他方の屋根の高さが接近した部分では、パネル13の上端受け連結孔13aと下端受け連結孔13bとが上下逆転するように連結孔13a、13bの配列をクロスさせることで樋部12aを確保している。
【0013】
図4に示す例は、図1とは逆に、一方の屋根1の後枠1cの方が、他方の屋根2の側枠2cより高い位置にある場合である。
なお、屋根連結具10が分かりやすいように、他方の屋根2を手前側に現してある。
この場合には、他方の屋根2の側枠2cの方が、一方の屋根1の後枠1cよりも相対的に低い位置にあるので、パネル13は、図1の場合とは上下逆になり、パネル上端受け側の辺がほぼ水平でパネル下端受け側の辺が斜辺となるように配置してある。
このように図1の例に対して図4の例は、パネル13を上下逆に配置するだけで、図5及び図6に示すようにパネル上端受け11とパネル下端受け13に図1の例と同様にネジ止めできる。
図7に示す例は、図1の例に対して他方の屋根2の傾斜方向が逆であり、図8に示す例は、図4の例に対して他方の屋根2の傾斜方向が逆であり、これらの場合には、パネル13をそれぞれ図1、図4の例に対して左右逆にするだけで連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る屋根連結具を用いて屋根を連結した例を示す。
【図2】図1のA−A線断面端面図を示す。
【図3】図1のB−B線断面端面図を示す。
【図4】屋根連結の他の実施例を示す。
【図5】図4のA−A線断面端面図を示す。
【図6】図4のB−B線断面端面図を示す。
【図7】図1の例に対して他方の屋根の傾斜方向が左右逆である例を示す。
【図8】図4の例に対して他方の屋根の傾斜方向が左右逆である例を示す。
【符号の説明】
【0015】
1 一方の屋根
2 他方の屋根
10 屋根連結具
11 パネル上端受け
12 パネル下端受け
12a パネル下端受けの樋部
13 パネル
15 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に傾斜する一方の屋根の後枠と、左右方向に傾斜し且つ一方の屋根に隣接する他方の屋根の側枠との間に配置するものであり、パネル上端受けと、パネル下端受けと、パネルとを備え、
パネル上端受けは、後枠と側枠とのうちの相対的に高い位置にある上方枠に固定してあり、
パネル下端受けは、後枠と側枠とのうちの相対的に低い位置にある下方枠に係止してあり、
パネルは、側面視略三角形状を成し、上端をパネル上端受けにネジ止めし且つ下端をパネル下端受けにネジ止めして略垂直に配置してあり、
パネル下端受けと下方枠との係止部におけるパネル下端受けと下方枠の間に緩衝材を配置してあることを特徴とする屋根連結具。
【請求項2】
パネル下端受けは、上面に樋部を有していることを特徴とする請求項1記載の屋根連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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