説明

層状焼成食品練り込み用油脂組成物

【課題】ペストリー、パイ等の層状焼成食品の生地に練り込んで用いることにより、生地製造時の作業性を改善できるとともに、ボリューム感に優れ、層の浮きが良くソフトで軽い食感の層状焼成食品を得ることのできる層状焼成食品練り込み用油脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の層状焼成食品練り込み用油脂組成物は、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれたグリセリン脂肪酸エステルと、レシチンと、アスコルビン酸及び/又はその塩とを油脂組成物中に含み、アスコルビン酸及び/又はその塩の含有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデニッシュペストリー、パイ等の層状焼成食品の改良効果を有する層状焼成食品練り込み用油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デニッシュペストリーやパイ類等の層状焼成食品を製造する際に使用される油脂には、生地に練り込む練り込み用油脂と、生地に包み込んで圧延される折り込み用油脂(ロールイン油脂)があり、これらは併用して用いられている。ペストリー、パイ等の層状焼成食品は、油脂を練り込んだ生地に、折り込み用油脂を包み込んで、折りたたみ・圧延を繰り返すことによって、生地中に薄い油脂層を多数作り、焼成時に薄く広がった油脂の膜が生地間に隙間を形成し、また生地から発生する水蒸気やガスが生地を持ち上げて多層に膨らんだ良質の層構造を有する。油脂の使用量は、練り込み用油脂が対粉3〜10重量%であるのに対し、折り込み用油脂は対粉20〜100重量%であり、使用される量が多く、生地と同様な可塑性と伸展性を持ち、十分薄い安定な層状構造が得られることが要求され、練り込み用油脂以上に出来上がり製品の品質に大きく影響する。そのため、折り込み用油脂には、一般的に、β’結晶の網目構造が液状油を保持する構造によって可塑性範囲が広く、伸展性が良好な、シート状のロールイン用マーガリンが使用されている。従来より、ペストリー、パイ等の層状食品のボリューム向上や食感の改良、生地の折りたたみ・圧延の作業性の向上を図るために、様々な折り込み用油脂の改良が行われてきた。例えば、油脂にグルテンの還元剤や酸化剤等のドウ・コンディショナーを添加して機能性を付与した折り込み用油脂を用いて食感を改良する方法(特許文献1)がある。しかしながら、グルテン還元剤や酸化剤等のドウ・コンディショナーは、ミキシングや発酵等の製パン工程、製パン作業の進行に応じてグルテンに作用するので、ドウ・コンディショナーをロールイン油脂に添加する特許文献1の方法は、生地への作用時間が短く油脂と生地の界面にしか作用しないので作用効率が悪く、焼成食品のボリューム向上には十分な効果が得られないという問題があり、折り込み用油脂の改良だけでは、層状焼成食品の更なるボリュームや食感の改良を図ることが困難であった。このような観点から、生地の改良を目的として、練り込み用油脂を改良する方法としては、生地の練り込み用油脂の構成脂肪酸を特定することによって、生地圧延時の伸展性を向上させて生地の作業性向上や、ペストリー等の食品の食感を改良する方法(特許文献2)等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−45969号公報
【特許文献2】特開2004−305048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特定の脂肪酸組成の油脂のみで焼成品のボリューム向上や食感の改良をしようとする特許文献2の方法では、改良効果に限界があった。本発明は上記従来の問題を解決した層状焼成食品練り込み用油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、
(1)モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれたグリセリン脂肪酸エステルと、レシチンと、アスコルビン酸及び/又はその塩とを油脂中に含み、アスコルビン酸及び/又はその塩の含有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴とする層状焼成食品練り込み用油脂組成物、
(2)モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれたグリセリン脂肪酸エステルと、レシチンとアスコルビン酸及び/又はその塩とを油脂乳化物中に含み、アスコルビン酸及び/又はその塩の含有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴とする層状焼成食品練り込み用油脂組成物、
(3)水相中に糖及び/又は糖アルコールを含有する上記(2)の層状焼成食品練り込み用油脂組成物、
(4)油相が融点50℃以上の硬化油を1〜20重量%含む油脂よりなる上記(1)〜(3)のいずれかの層状焼成食品練り込み用油脂組成物、
(5)グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリン脂肪酸有機酸エステルを40重量%以上含有する上記(1)〜(4)のいずれかの層状焼成食品練り込み用油脂組成物、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の層状焼成食品練り込み用油脂組成物は、ペストリー等の生地に練り込むことによって、アスコルビン酸及び/又はその塩を含有しているにもかかわらず生地の作業性が損なわれることがなく、この生地を焼成して得られるペストリー等の層状焼成食品の層の浮きが良く、ボリュームが優れるとともに、ソフトで軽い食感のペストリー等の層状焼成食品を得ることができる等の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の層状焼成食品練り込み用油脂組成物に用いる油脂としては、例えば大豆油、ナタネ油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、ピーナッツ油、オリーブ油、米糠油等の植物油脂、魚油、牛脂、豚脂等の動物油脂、あるいはこれら動植物油脂をエステル交換したエステル交換油、動植物油脂に水素添加した硬化油等が挙げられる。上記油脂は1種もしくは2種以上を混合して用いることができるが、油脂中にこれらの油脂に水素添加した融点50℃以上の硬化油、より好ましくは極度水素添加した融点58℃以上の極度硬化油を1〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%含有していると、焼成時の熱膨張即ち、オーブンスプリング時にクラム中のガス保持が良くなり、得られる焼成食品のボリューム、特に高さを向上することができる。これら油脂の練り込み用油脂組成物中の割合は、35〜98重量%が好ましく、50〜95重量%がより好ましい。
【0008】
本発明の油脂組成物は乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンを含有する。グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれた1種または2種以上が用いられる。モノグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でも良いが、炭素数16〜18の飽和脂肪酸が好ましい。具体的なモノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばモノグリセリンパルミチン酸エステル、モノグリセリンステアリン酸エステル等が挙げられる。グリセリン脂肪酸有機酸エステルは、グリセリンに脂肪酸と有機酸の両方がそれぞれ1個、又は一方が1個、他方が2個エステル結合した構造の化合物で、モノグリセリン脂肪酸エステルと有機酸との反応、油脂と有機酸とのエステル交換、またはグリセリンと有機酸と脂肪酸との反応等により得ることができる。グリセリン有機酸脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16〜18の飽和脂肪酸が好ましい。またグリセリン有機酸脂肪酸エステルの構成有機酸としては例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸、クエン酸等が挙げられるが、コハク酸、ジアセチル酒石酸が好ましい。グリセリン有機酸脂肪酸エステルは、構成有機酸、脂肪酸の種類の異なるものを混合して用いることができる。またポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステルであり、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの重合度は2〜10のものが挙げられるが、重合度4、6、10のものが好ましく、HLBが2〜8のものが好ましい。またポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でも良く、炭素数12〜22のものが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルも使用することができる。上記グリセリン脂肪酸エステルの中でも、モノグリセリン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸有機酸エステルが好ましい。本発明において用いるグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン脂肪酸有機酸エステルを40重量%以上含むことが好ましく、50〜80重量%含むことがより好ましい。グリセリン脂肪酸エステル中にグリセリン脂肪酸有機酸エステルが40重量%以上含有されていると、生地の伸展性が向上して機械耐性に優れる(ロールインの圧延時に生地が損傷されにくい)効果があり、特にモノグリセリン脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸有機酸エステルとを併用した場合、生地の伸展性に加えて生地のべたつきが抑制され作業性が向上するとともに焼成したデニッシュペストリーの食感のソフトさに優れる。
【0009】
一方、レシチンとしては、植物レシチン、卵黄レシチンのいずれも使用できるが、一般的には、大豆レシチンが用いられる。レシチンの種類としては、クルードレシチンの他に、分別レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等のいずれも使用できるが、酵素分解レシチンが好ましい。
【0010】
レシチンは生地の伸展性を改善するとともに、焼成食品の口溶け感を向上する効果がある。またグリセリン脂肪酸エステルは、生地のべた付きを抑制するとともに、焼成食品の老化を抑制してソフトさを長持ちさせる効果があり、グリセリン脂肪酸エステルの中でもグリセリン脂肪酸有機酸エステルは、生地の機械耐性を向上させる効果がある。これらの効果を考慮してグリセリン脂肪酸エステルとレシチンとの配合、さらにはグリセリン脂肪酸エステル中のグリセリン脂肪酸有機酸エステルの配合比を決定すれば良い。グリセリン脂肪酸エステルとレシチンとの割合は、重量比で1:1〜10:1が好ましく、より好ましくは3:1〜6:1である。
【0011】
本発明の練り込み用油脂組成物は、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンの他に、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリソルベート等の他の乳化剤を含んでいても良い。グリセリン脂肪酸エステル及びレシチンの油脂組成物中の含有量は、2〜15重量%が好ましく、特に4〜10重量%が好ましい。またグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンとともに他の乳化剤を併用する場合、全乳化剤の油脂組成物中の含有量を3〜20重量%とすることが好ましい。
【0012】
アスコルビン酸及び/又はその塩としては、アスコルビン酸製剤や、生地に添加した際にアスコルビン酸となるアスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸塩が挙げられ、アスコルビン酸やアスコルビン酸塩は2種以上を併用することができる。アスコルビン酸は小麦粉中の酵素によって酸化されてデヒドロアスコルビン酸となり、デヒドロアスコルビン酸は生地中のグルタチオンの酸化(=プロテアーゼの不活性化)、グルテンのSH基の酸化によってグルテンの三次元網目構造を強化するとともに、ガス保持性を良くする。この結果、窯伸びしたす立ちの良い層状焼成食品を得ることができる。アスコルビン酸及び/又はその塩の油脂組成物中の割合は、0.005〜0.1重量%であるが、0.01〜0.08重量%が好ましい。
【0013】
本発明の層状焼成食品練り込み用油脂組成物は、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、アスコルビン酸及び/又はその塩の必須成分を油脂中に添加した非乳化型の油脂組成物であってもよいが、乳化型の油脂組成物であっても良い。乳化型の場合は、O/W、W/Oのいずれでも良い。乳化型組成物の場合、水相中に糖及び/又は糖アルコールを配合することが好ましい。乳化型の油脂組成物はアスコルビン酸水溶液となり、アスコルビン酸の加水分解が起こり、安定性に問題があるが、水相に糖及び/又は糖アルコールを配合すると乳化型油脂組成物の安定性が向上する。糖としてはブドウ糖、ショ糖、マルトース、トレハロース、水あめ、デキストリン等が、糖アルコールとしてはソルビトール、マルチトール、還元水あめ等が挙げられ、これら糖や糖アルコールは2種以上を混合して用いることができる。糖や糖アルコールは乳化型油脂組成物の水相中に合計で50〜70重量%配合することが好ましい。
【0014】
本発明の練り込み用油脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤を含有していても良い。酸化防止剤は食品添加物として認められているものであれば、水溶性、油溶性のいずれも使用できる。酸化防止剤としては、例えばトコフェロール、ゴマ油抽出物、カテキン、ルチン等を用いることができるが、トコフェロールが好ましい。
【0015】
本発明の練り込み用油脂組成物は、非乳化型組成物の場合、油脂にグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、アスコルビン酸及び/又はその塩、及び必要に応じて油溶性酸化防止剤を添加して60〜70℃程度で加熱溶融した後、コンビネーター等で20〜30℃程度に急冷混和する等の方法で得ることができる。また乳化型油脂組成物の場合は、油脂にグリセリン脂肪酸エステル、レシチン及び必要に応じて酸化防止剤を添加して60〜70℃程度で加熱溶融し、これに水相としてアスコルビン酸及び/又はその塩と、糖及び/又は糖アルコール、必要に応じて水溶性の乳化剤や酸化防止剤等を含む水溶液を、W/O乳化の場合は油相中に水相を、O/W乳化の場合は水相中に油相を添加、混合して乳化液を作り、コンビネーター等で20〜30℃程度に急冷捏和することにより得ることができる。
【0016】
本発明の練り込み用油脂組成物は、層状焼成食品製造用の生地中への添加量は、3〜15重量%程度であるが、5〜10重量%が好ましい。層状食品としては、例えばイーストを使用したデニッシュペストリーや、イーストを使用しないパフペストリー(パイ)等が挙げられる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜4、比較例1〜3
表1に示す配合の乳化油脂組成物を得た。実施例1、3、4、及び比較例2、3の組成物は、油脂に乳化剤を添加して70℃に加熱溶解して得た油相に、水に70%ソルビトール水溶液、アスコルビン酸を添加して調整した水相を添加し、W/O型に乳化後、コンビネ−ターにて25℃まで急冷捏和して得た。実施例2の組成物は、油脂に乳化剤を添加して70℃に加熱溶解して得た油相に、水にアスコルビン酸を添加して調整した水相を添加し、W/O型に乳化後、実施例1と同様にして得た。また比較例1の組成物は、油脂に乳化剤を添加して70℃に加熱溶解して得た油相に、水に70%ソルビトール水溶液を添加して調整した水相を添加し、W/O型に乳化後、実施例1と同様にして得た。
これらの乳化型油脂組成物を製造後5℃で5日間保管したものを用い、下記の配合のデニッシュペストリー生地を調整した。尚、表1に示す各成分の配合割合は重量部である。
デニッシュペストリー生地配合
強力粉 70重量部
薄力粉 30重量部
砂糖 8重量部
食塩 1.5重量部
脱脂粉乳 3重量部
イースト 4重量部
表1に示す練り込み用油脂組成物 6重量部
水 60重量部
折り込み用油脂(シートマーガリン) 50重量部
【0018】
練り込み用油脂組成物、折り込み用油脂以外の材料を、低速3分、中高速2分混捏後、本発明の練り込み用油脂組成物を投入し、低速2分、中高速2分混捏した。捏上温度は23〜24℃、発酵温度27℃、湿度75%で30分間発酵を行い、−3℃で16時間、オーバーナイトでリタードを取った。この生地1900重量部当たり、シートマーガリン50重量部を用い、3つ折り2回、リタード各40分、更に3つ折りを1回、リタード60分行った後、生地厚4mm、重量50gのクロワッサン型に成形した。成形した生地を35℃、湿度70%のホイロ中で50分熟成させた後、200℃のオーブンで15分焼成してクロワッサンを得た。得られたクロワッサンの性状を表2に示した。
【0019】
【表1】

【0020】
※1 モノグリセリンステアリン酸エステル(理研ビタミン株式会社製:エマルジーMS)
※2 モノグリセリンコハク酸ステアリン酸エステル(理研ビタミン株式会社製:ポエムB−10)
※3 モノグリセリンジアセチル酒石酸ステアリン酸エステル(理研ビタミン株式会社製:ポエムW−10)
※4 辻製油株式会社製:SLP−ペースト
※5 辻製油株式会社製:SLP−ペーストリゾ
※6 第一ファインケミカル株式会社製:ビスコリン
【0021】
【表2】

【0022】
※7 比容積は、焼成したクロワッサンの体積を菜種置換法にて測定し、焼成品の重量で割った。(体積/重量比)
※8 クロワッサンのボリュームは、比容積の値を以下のように5段階で評価した。
5・・6.2以上
4・・5.7〜6.1
3・・5.2〜5.6
2・・4.7〜5.1
1・・4.6以下
【0023】
※9 クロワッサンの形の均整は、縦/横のバランスがとれているか(横に広がるだけでなく、縦の浮きがあるか)を目視で確認し、以下のように5段階で評価した。
5・・バランスが良い
4・・ややバランスが良い
3・・ふつう
2・・ややバランスが悪い
1・・バランスが悪い
【0024】
※10 クロワッサンの内相の状態は、クロワッサンの断面で層の状態(一層が薄く、目開きが良いものが良い。悪いのは一層が厚い、目が詰まってパン目など)を目視で確認し、以下のように5段階で評価した。
5・・良い
4・・やや良い
3・・ふつう
2・・やや悪い
1・・悪い
【0025】
下のように5段階で評価した。
※11 形状の総合評価は、ボリューム、形の均整、内相の状態から総合的に判断し、以下のように5段階で評価した。
5・・かなり効果がみられる
4・・効果がみられる
3・・効果の良否が付け難い
2・・やや効果が劣る
1・・効果が劣る
【0026】
※12 クロワッサンの食感は、パネラー10人による試食で評価した。食感のさくさは、以下のように5段階で評価した。
5・・サクみがある
4・・ややサクみがある
3・・ふつう
2・・ややサクみがない
1・・サクみがない
【0027】
※13 食感のソフトさは、以下のように5段階で評価した。
5・・ソフト
4・・ややソフト
3・・ふつう
2・・ややかたい
1・・かたい
【0028】
※14 食感の口溶けは、以下のように5段階で評価した。
5・・口溶けが良い
4・・やや口溶けが良い
3・・ふつう
2・・やや口溶けが悪い
1・・口溶けが悪い
【0029】
※15 食感の総合評価は、さくさ、ソフトさ、口溶けから総合的に判断し、以下のように5段階で評価した。
5・・かなり効果がみられる
4・・効果がみられる
3・・効果の良否が付け難い
2・・やや効果が劣る
1・・効果が劣る
【0030】
※16 総合評価は、クロワッサンの形状、食感の評価に基づき、以下のように5段階で評価した。
5・・かなり効果がみられる
4・・効果がみられる
3・・効果の良否が付け難い
2・・やや効果が劣る
1・・効果が劣る
【0031】
実施例5
練り込み用油脂組成物として表3に示す配合により、油脂配合に乳化剤、アスコルビン酸を添加し、70℃で加熱溶解した後、コンビネ−ターにて25℃まで急冷捏和して得た非乳化型の油脂組成物を、製造後5℃で5日間保管したものを用いた他は、実施例1〜4と同様にして生地を調製した後、成形、焼成してクロワッサンを得た。得られたクロワッサンの性状を表4に示す。尚、表3に示す各成分の配合割合は重量部である。
【0032】
(表3)

【0033】
(表4)

【0034】
実施例6〜9
練り込み用油脂組成物の経日的な変化(アスコルビン酸の安定性)を確認するため、実施例1〜4の油脂組成物を製造日から60日間5℃で保管したものを用い、実施例1〜4と同様にして生地を調製した後、成形、焼成してクロワッサンを得た。得られたクロワッサンの性状を表5に示す。
【0035】
(表5)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれたグリセリン脂肪酸エステルと、レシチンと、アスコルビン酸及び/又はその塩とを油脂中に含み、アスコルビン酸及び/又はその塩の含有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴とする層状焼成食品練り込み用油脂組成物。
【請求項2】
モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルより選ばれたグリセリン脂肪酸エステルと、レシチンとアスコルビン酸及び/又はその塩とを油脂乳化物中に含み、アスコルビン酸及び/又はその塩の含有量が0.005〜0.1重量%であることを特徴とする層状焼成食品練り込み用油脂組成物。
【請求項3】
水相中に糖及び/又は糖アルコールを含有する請求項2記載の層状焼成食品練り込み用油脂組成物。
【請求項4】
油相が融点50℃以上の硬化油を1〜20重量%含む油脂よりなる請求項1〜3のいずれかに記載の層状焼成食品練り込み用油脂組成物。
【請求項5】
グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリン脂肪酸有機酸エステルを40重量%以上含有する請求項1〜4のいずれかに記載の層状焼成食品練り込み用油脂組成物。

【公開番号】特開2007−174992(P2007−174992A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378171(P2005−378171)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000114318)ミヨシ油脂株式会社 (120)
【Fターム(参考)】