説明

岩盤浴装置

【課題】赤外線を輻射する鉱石石板等で発汗して暖まりながら、電磁波や音波による治療乃至健康増進ができる簡便な岩盤浴装置を提供する。
【解決手段】岩盤浴装置1は、寝台11に敷いた鉱石石板及び陶器板の少なくとも何れかの板13にそれを加熱する発熱器12が取り付けられ、電気的な発振信号を生成する信号生成部とその信号を機械的な振動に変換する信号変換器とに接続されて電磁波及び/又は音波を発振する発振器15又は18と磁場発生器との少なくとも何れかが、該寝台11を覆う保温フード14及び/又は該板13に、取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱石製や陶器製の板を敷き詰めた岩盤浴用寝台に横臥し、そこから輻射される赤外線で暖まりつつ、寝台に向けて発振される電磁波や音波で治療する岩盤浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発汗により心身をリフレッシュしたり健康増進を図ったりするのに、近赤外線乃至遠赤外線の熱線を輻射する天然鉱石石板や陶器板を敷き詰めた寝台の上で寝る所謂岩盤浴が、クアハウス等で行われている。
【0003】
このような岩盤浴は、熱いサウナや温泉よりも低温の暖かい板上で長時間かけてゆっくり発汗させるもので、心身に負担がかからず、リラックスできるというものである。岩盤浴を行う装置として、例えば特許文献1に、ヒーターで暖める天然石、人工石又は陶板と、電子静電場発生装置とを併せ持つ装置が、開示されている。
【0004】
また、医薬品によらず治療を行う装置として、例えば特許文献2に、適応症に応じた音波振動を発生させることによって治療効果を得る医療装置が、開示されている。
【0005】
しかし、クアハウスでのリフレッシュ乃至健康増進のための岩盤浴と、病院での音波振動による治療とを同時に行うことができない。両方を行うには、移動のための時間的・場所的制限を受ける。しかも移動の所為で相乗効果も期待できない。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3121645号公報
【特許文献2】特開平9−94301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、赤外線を輻射する鉱石石板等で発汗して暖まりながら、電磁波や音波による治療乃至健康増進ができる簡便な岩盤浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1の岩盤浴装置は、寝台に敷いた鉱石石板及び陶器板の少なくとも何れかの板にそれを加熱する発熱器が取り付けられ、電気的な発振信号を生成する信号生成部とその信号を機械的な振動に変換する信号変換器とに接続されて電磁波及び/又は音波を発振する発振器と磁場発生器との少なくとも何れかが、該寝台を覆う保温フード及び/又は該板に、取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の岩盤浴装置は、請求項1に記載されたもので、前記信号生成器が、発振すべき前記電磁波及び/又は音波の周波数及び/又は強度のデータを記憶したメモリに接続され、そのデータを読み込んでそれに応じて前記信号を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の岩盤浴装置は、請求項1又は2に記載されたもので、前記発振器が、異なる波長の複数の前記電磁波及び/又は音波を調和させて発振することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の岩盤浴装置は、請求項1〜3の何れかに記載されたもので、前記電磁波が、電波、近赤外線、中赤外線、遠赤外線、可視光線、紫外線及び放射線から選ばれる少なくとも何れかであり、前記音波が、可聴音波及び超音波から選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の岩盤浴装置を用いると、赤外線を輻射する鉱石石板等による温熱効果と、特定の周波数の電磁波や音波や磁場による治療効果とを、同時に効率よく得ることができる。特に赤外線輻射による温熱効果は、発汗と共に、皮下深部の体温上昇、末梢血管の拡張による血液循環の促進、血液や末梢細胞での新陳代謝の促進、体液中老廃物や毒素の排出、それに伴う肌の湿潤やダイエットのような美容向上、臓器や組織の活性化、熱ショックタンパクの生成による免疫力の向上をもたらす。また、発振される赤外線と共に特定の周波数の電磁波や音波の発振又は磁場の曝露による治療効果は、患部の治癒・改善、症状緩和、疲労回復、精神安定、リラックス、自律神経機能の調整、成長促進をもたらす。
【0013】
それらの両効果の相乗作用により、遥かに短時間で所期の両効果を奏することができる。赤外線を輻射する鉱石製等の板による温熱だけではそれの所望の効果を得るのに1時間30分を要し、特定の周波数を発振することによる治療だけではそれの所望の効果を得るのに1時間を要するのに対し、本発明の岩盤浴装置を用いると、所望の両効果を共に得るのに僅か30分で済む。
【0014】
そのため、この岩盤浴装置は、従来の装置以上に、病気の治療や予防、健康増進、美容向上の優れた効果を示す。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0015】
以下、本発明の岩盤浴装置を実施するための好ましい形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明を適用する岩盤浴装置1の使用途中の側面図である図1を参照しながら、説明する。
【0017】
岩盤浴装置1は、寝台11上に、天然鉱石石板13が敷き詰められたものである。石板13の上面から赤外線を輻射させるためにそれを加熱する発熱器12が、石板13の下に埋め込まれている。寝台11の四隅は脚で支えられている。発熱器12に接続されてそれの加熱温度を印加電圧で制御する発熱制御器16が、寝台11の下面に、取り付けられている。発熱器12の下側に、スピーカーである発振器18が石板13に接するように配置されている。発振器18に接続されてそれの発振周波数及び強度を制御する発振制御器17bが、寝台11の下面に、取り付けられている。略半円筒状の内側保温フード14aとそれを取り囲むようにそれよりやや大きな外側保温フード14bとが、寝台11を、覆っている。外側保温フード14bの下端に、スライドできるようにローラー(不図示)が取り付けられている。各保温フード14a・14bの内面天井に、ライトである別な発振器15a・15bが取り付けられている。発振器15a・15bに接続されてそれの発振周波数及び発振強度を制御する発振制御器17aが、寝台11の下面に取り付けられている。内側保温フード14aの下側一端が、開閉可能に、寝台11に軸止されている。なお石板13は、天然鉱石の岩盤から切り出した石板であってもそれの小石を含ませて無機物や有機物で固めた人工板であってもよく、又セラミックス板のような陶器板であってもよい。
【0018】
図2に、発熱制御器16のブロック回路図を示す。
【0019】
発熱制御器16の前面操作部に設けられた加熱温度選択スイッチ21が、電圧制御回路22の入力に接続され、その回路22の出力が発熱器12に接続されている。
【0020】
図3に、発振制御器17aのブロック回路図を示す。
【0021】
発振制御器17aの前面操作部に設けられた発振周波数選択スイッチ31と発振強度選択スイッチ32と調和信号読出スイッチ34とが、制御部33の入力に接続されている。制御部33の出力に接続された信号生成部36に、外付け不揮発メモリである調和信号メモリ35の出力が接続されている。信号生成部36の出力が、信号変換器37を経て発振器15に接続されている。
【0022】
同様に別な発振制御器17bも同様な構成で、スピーカーである発振器18へ繋がっている。このスピーカーに繋がる発振制御器17bを例により具体的に説明する。信号生成部36は、一例として、A/D(アナログ/ディジタル)変換器、D/A(ディジタル/アナログ)変換器および内蔵不揮発性メモリ(何れも不図示)、必要に応じて合波回路で構成される。制御部33の制御に従い、調和信号メモリ35の端子から入力する音の周波数帯域の電気的なアナログ信号(音波信号)をディジタル信号に変換して内蔵不揮発性メモリに記憶し、このディジタル信号をアナログ信号に再生し音波信号を信号変換器37で生成して、発振器18に出力する構成となっている。この場合、信号生成部36は、複数の音波信号(一例として、3種類の信号)を録音再生可能に構成されている。
【0023】
なお、調和信号メモリ35には、疲労回復効果を奏する音波信号、例えば特許文献1に記載されている調和信号の内、疲労回復に効果の有る組合せ、精神安定効果を奏する音波信号、例えばクラシック音楽や美容効果を奏する音波信号、例えば特許文献2に記載されている調和信号の内、美容に効果の有る複数の周波数の組合せ、より具体的には3種類の音波信号が予め書き込まれている。
【0024】
このような調和信号は、患部や筋肉疲労部等の身体2の部位に応じた適当な周波数の複数のディジタル信号を、信号生成部36のD/A変換器でアナログ信号に変換した後、合波回路で一つの調和信号に合成されたものである。
【0025】
調和信号メモリ35は、書換え可能な記録媒体、例えばFD(フレキシブルディスク)、CD(コンパクトディスク)、DVD(ディジタル多用途ディスク)、MO(光磁気ディスク)、フラッシュメモリ、パーソナルコンピュータ内蔵HD(ハードディスク)であってもよい。
【0026】
発振器は、一例としてスピーカーであり、電気的な信号を機械的な振動に変換する。すなわち、信号生成部36から出力される電気的な音波信号を機械的な振動に変換して音波振動を発生する。発振器は、電波発振アンテナ、電磁波発振コイル、近赤外線ヒータ、中赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、蛍光灯のようなランプ、紫外線ランプ、診療用のX線・陽子線・中性子線の発生器であってもよい。
【0027】
この岩盤浴装置1は、図1を参照しながら説明すると、次のようにして使用される。
【0028】
保温フード14a・14bが立って開いた寝台11の石板13上に、岩盤浴をする客が仰向けに寝る。保温フード14a・14bを倒す。外側保温フード14bをスライドさせて、この者を囲うように被せる。首乃至肩と外側保温フード14bとの隙間に、タオル等の布(不図示)を掛けて塞ぐ。
【0029】
先ず、発熱制御器16の前面操作部に設けられた加熱温度選択スイッチ21で、所望の加熱温度を選択すると、その選択信号が電圧制御回路22に入力され、その選択信号に応じて電圧を電圧制御回路22から発熱器12へ出力する。すると発熱器12の電熱線が加熱され、それによって石板13が40〜45℃程度に暖められ、石板13の上面から、近赤外線・中赤外線・遠赤外線、又は石板素材によっては別な電磁波が輻射され、この者を暖める(図2参照)。
【0030】
予め、客の身体2の患部や筋肉疲労部などの部位に応じた適当な周波数の複数のディジタル信号データ、例えば40〜16000Hzの音波の周波数帯域の電気的なアナログ信号をディジタル信号に変換して、調和信号メモリ35であるCDにディジタル信号のデータとして記録しておく。発振制御器17bの前面操作部に設けられたCDドライブにこのCDを入れる。調和信号読出スイッチ34で、所望の調和信号の読出しを選択すると、その選択信号が制御部33から信号生成部36に入力される。それに応じて、調和信号メモリ35から指定のディジタル信号が、読出され、内蔵不揮発性メモリに記憶され、アナログ信号に再生されて、音波信号を生成する。その複数の音波信号を信号変換器37で合波して調和信号にして、スピーカーである発振器18に出力し(図3参照)、調和信号が音波となって石板13を振動させる。なお、調和信号を用いず、単一周波数の音波を発振する場合には、発振周波数選択スイッチ31と発振強度選択スイッチ32とで所望の音波を選択する。
【0031】
一方、発振制御器17aの前面操作部に設けられた発振周波数選択スイッチ31と発振強度選択スイッチ32とで、保温フード14a・14b内のランプである発振器15a・15bで所望の周波数と照射強度とを選択すると、その選択信号が制御部33から信号生成部36に入力される。それに応じて、信号生成部36が、発振器15a・15bから照射すべき光に必要な電圧の信号を出力し、信号変換器37で所要の電圧を印加して、ランプで光を、客の身体2に照射する。なお、調和信号メモリ35から複数の照射周波数の電磁波を発振する場合には、調和信号読出スイッチ34で所望の電磁波の調和信号を選択する。
【0032】
石板13の下に電磁場を発生する磁場発生器(不図示)が取り付けられていてもよい。
【0033】
この岩盤浴装置を用いると、短時間に十分に発汗し、健康増進したり心身を癒したりできる温熱効果を奏し、更に特定の周波数の電磁波や音波の発振又は磁場の曝露による治療効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の岩盤浴装置は、リフレッシュ乃至健康増進のための発汗等の温熱と、電磁波や音波振動による治療や予防とを同時に行うために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用する岩盤浴装置の使用途中を示す側面図である。
【図2】本発明を適用する岩盤浴装置中の発熱制御器のブロック回路図である。
【図3】本発明を適用する岩盤浴装置中の発振制御器のブロック回路図である。
【符号の説明】
【0036】
1は岩盤浴装置、2は身体、11は寝台、12は発熱器、13は石板又は陶器板、14・14a・14bは保温フード、15・15a・15bは発振器、16は発熱制御器、17a・17bは発振制御器、18は発振器、21は加熱温度選択スイッチ、22は電圧制御回路、31は発振周波数選択スイッチ、32は発振強度選択スイッチ、33は制御部、34は調和信号読出スイッチ、35は調和信号メモリ、36は信号生成部、37は信号変換器である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台に敷いた鉱石石板及び陶器板の少なくとも何れかの板にそれを加熱する発熱器が取り付けられ、電気的な発振信号を生成する信号生成部とその信号を機械的な振動に変換する信号変換器とに接続されて電磁波及び/又は音波を発振する発振器と磁場発生器との少なくとも何れかが、該寝台を覆う保温フード及び/又は該板に、取り付けられていることを特徴とする岩盤浴装置。
【請求項2】
前記信号生成器が、発振すべき前記電磁波及び/又は音波の周波数及び/又は強度のデータを記憶したメモリに接続され、そのデータを読み込んでそれに応じて前記信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の岩盤浴装置。
【請求項3】
前記発振器が、異なる波長の複数の前記電磁波及び/又は音波を調和させて発振することを特徴とする請求項1又は2に記載の岩盤浴装置。
【請求項4】
前記電磁波が、電波、近赤外線、中赤外線、遠赤外線、可視光線、紫外線及び放射線から選ばれる少なくとも何れかであり、前記音波が、可聴音波及び超音波から選ばれる少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の岩盤浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−188227(P2008−188227A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25730(P2007−25730)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(505340560)株式会社稲栄研究所 (3)
【Fターム(参考)】