嵌め込み式樹脂製タイル
【課題】連結が簡単でしかも外れにくく、短時間で敷設ができ、自動車等の重量物の通行にも十分耐えられて、また簡単に撤去できて再使用が可能であり、焼却廃棄処理することもできる嵌め込み式樹脂製タイルを提供することを課題とする。
【解決手段】接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面をテーパーにして、しっかり固定することと、接続用嵌合凸部が接続用嵌合凹部を下から上に抜けないような構造にすることによって重量物の通行に十分耐えられるだけの接続強度を得、また嵌め込み式樹脂製タイルを構成する材料としてポリ乳酸樹脂を主体としても、重量物の通行でき、植物度の向上した非塩ビ性の樹脂製タイルが得られることを見出し本発明に到達した。
【解決手段】接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面をテーパーにして、しっかり固定することと、接続用嵌合凸部が接続用嵌合凹部を下から上に抜けないような構造にすることによって重量物の通行に十分耐えられるだけの接続強度を得、また嵌め込み式樹脂製タイルを構成する材料としてポリ乳酸樹脂を主体としても、重量物の通行でき、植物度の向上した非塩ビ性の樹脂製タイルが得られることを見出し本発明に到達した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、連結が簡単でしかも外れにくく、短時間で敷設ができ、自動車等の重量物の通行にも十分耐えられて、また簡単に撤去できて再使用が可能であり、焼却廃棄処理することもできる嵌め込み式樹脂製タイルに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に嵌め込み式樹脂製タイルは、連結が簡単で短時間で敷設できることから、家庭用から商業ビル等の屋内外の通路やフロアーに多く使われている。またその多くは、加工性の良い塩ビ製の樹脂タイルであることが多い。しかしながら、従来の嵌め込み式樹脂製タイルは、使用中に連結部が外れやすく、自動車等の重量物の通行に十分耐えられるようなものは提案されていなかった。また、使用済み塩ビ製樹脂タイルは、焼却すると有毒ガスを発生することから、未だにリサイクルされずに産業廃棄物として埋め立て処分されているのが現状である。
【０００３】
特許文献１においては、連結部に引っ掛けの付いたフック部材を設置し、外れにくいように連結させているが重量物が通行するには強度が弱すぎて、使用できないものであった。
【０００４】
特許文献２においては、樹脂製タイルの気温変化による収縮と膨張を考慮し、連結部をタイル本体から一部切り離した離脱部を形成し、樹脂製タイルの収縮と膨張を吸収する樹脂製タイルが提案されているが、重量物が通行するには弱すぎて、自動車等の通行のできるものではなかった。
【０００５】
特許文献３においては、プラスチックファスナーを利用した例が開示されているが、施工に時間を要し、また、加工が複雑であったりしてあまり使用されていない。
【特許文献１】特開平１０−２９５５２７号公報
【特許文献２】実公平７−５４４４５号公報
【特許文献３】実開平６−４４４８１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、重量物通行用の非塩ビ性の樹脂製タイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面をテーパーにして、しっかり固定することと、接続用嵌合凸部が接続用嵌合凹部を下から上に抜けないような構造にすることによって重量物の通行に十分耐えられるだけの接続強度を得、また嵌め込み式樹脂製タイルを構成する材料としてポリ乳酸樹脂を主体とすることによって、重量物の通行できる非塩ビ性の樹脂製タイルが得られることを見出し本発明に到達した。上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【０００８】
［１］方形のタイル板本体と、このタイル板本体の周縁部の隣接する二辺の外側に接続用嵌合凸部を設け、他の隣接する二辺の内側に接続用嵌合凹部を設けた嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記接続用嵌合凹部に接続する次のタイル板の接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、前記接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように前記接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになって嵌合し、接続したタイル板本体の上面同士の高さが揃って連結することを特徴とする嵌め込み式樹脂製タイル。
【０００９】
［２］前記タイル板本体の上面及び下面は全体としては平面で、上面は滑り止め用の凹凸柄面となっており、下面は水切り用の凹凸溝が彫られており、上面から下面にかけて連続孔の確保されたことを特徴とする前項１に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【００１０】
［３］前記嵌め込み式樹脂製タイルは、高圧処理をした熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする前項１または２に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【００１１】
［４］前記嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだオレフィン系熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする前項１〜３のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【００１２】
［５］前記嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂／ポリ乳酸樹脂の質量比が２０／８０〜９５／５の範囲である前項１〜４のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【発明の効果】
【００１３】
［１］の発明では、隣り合う嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになって嵌合しているので、しっかりとした接合方法となり、重量物が通行しても、接続が緩んだり、反ったりして外れることのない接合方法とすることができる。また、隣り合う嵌め込み式樹脂製タイルを嵌合したとき、接続したタイル板本体の上面同士の高さが丁度揃って連結するので、接続面に段差ができることなく強力な接合力の嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。
【００１４】
［２］の発明では、前記タイル板本体の上面及び下面は全体としては平面で、上面は滑り止め用の凹凸柄面となっているので、滑り止め効果を得ることができる。また、下面には水切り用の凹凸溝が彫られているので、床面に流れ込んだ水等を流すことができ、床面の下地処理をしなくてもそのまま床面に置くだけで敷設できる。また、上面から下面にかけて連続孔が確保されているので、上面に水が零れたとしても下面側に流すことができる。
【００１５】
［３］の発明では、嵌め込み式樹脂製タイルは、高圧処理をした熱可塑性樹脂から成るので、車等の重量物の通行に十分耐えることができ、接続が緩んだり、タイル板が反ったりすることがなく、寸法の安定した嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。
【００１６】
［４］の発明では、嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだオレフィン系熱可塑性樹脂から成るので、植物度の向上した嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。また、焼却処理をしても、有害なガスの発生はなく、安全に焼却することができる。
【００１７】
［５］の発明では、嵌め込み式樹脂製タイルは、ポリオレフィン系樹脂／ポリ乳酸樹脂の質量比が２０／８０〜９５／５の範囲であるので、さらに植物度を向上させ、十分な強度を備えた嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。また、焼却処理をしても、有害なガスの発生はなく、発熱量も少なく安全に焼却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、本発明を図１に基づいて詳細に説明する。本発明でいう嵌め込み式樹脂製タイル１は、タイル板本体２と、このタイル板本体の周縁部の隣接する二辺の外側に接続用嵌合凸部３を設け、他の隣接する二辺の内側に接続用嵌合凹部４を設けている。嵌め込んだ状態で接続したタイル板本体の上面同士の高さが丁度揃って連結するように、接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになっている。この時の嵌め込みの硬さは、接続用嵌合凸部を下側にして、プラスチックハンマーで接続用嵌合凹部を軽く叩き込んで接続するのがよい。また、前記接続用嵌合凹部に接続する次のタイル板の接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、前記接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように前記接続用嵌合凹部が蓋の役割をしている。（図１、２参照）
【００１９】
前記接続用嵌合凸部と接続用嵌合凹部の形状は、特に限定しないが図２で示すようにテーパー状に噛み合って接合し、接続したタイル板本体の上面同士の高さが丁度揃って連結するのであればよい。図３は、接続用嵌合凸部を下側にして、プラスチックハンマーで接続用嵌合凹部を軽く叩き込んで接続した嵌め込み式樹脂製タイルを下側から見た斜視図である。接続し終えた嵌め込み式樹脂製タイルの下面同士の高さも丁度揃って連結している。
【００２０】
前記タイル板本体２の上面には、滑り止め用の凹凸柄５が付与されているのが好ましい。凹凸柄５としてはどのような柄でも良いが、凹凸の差は１〜３ｍｍあるのが好ましい。また、タイル板本体２の下面には、水切り用溝６が彫られているのが好ましい。水切り用の溝６は、タイル板本体２の下面に入った水が溝によってタイル板本体外へ流れやすくするもので、どのようなものでも良いが例えば、図３に示すようなものが挙げられる。また、タイル板本体２底面に、水切り用の溝が彫られていない全くの平坦ないものでは、床面の僅かな凹凸の影響を受けることになり、タイルを床面に施工する前に下地処理が必要になり好ましくない。
【００２１】
前記タイル板本体２の上面から下面にかけて連続孔７のあることが好ましい。前記連続孔７は、タイル板本体２の上面に零れた水分をタイル板本体２の下面側に流すもので、重量物の荷重に耐えられる形状であればかまわない。例えば、図１、３に示すように貫通する穴をあける形状にしても良い。
【００２２】
前記、嵌め込み式樹脂製タイルは、射出成形機によって熱可塑性樹脂を型枠内に押出して成形するのが好ましい。この時高圧処理された熱可塑性樹脂から成ることが好ましい。高圧処理は、射出成形後に加圧し圧縮成形を施すものである。高圧処理された嵌め込み式樹脂製タイルは、非常に硬く、厚さ８〜１０ｍｍで静加重４００Ｎ／ｃｍ２の荷重でも十分耐えられる強度を得ることができる。
【００２３】
前記、嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだポリオレフィン系樹脂から成ることが好ましい。ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ等の澱粉から得られる乳酸を原料とする生分解性樹脂であり、植物を原料とすることから地球温暖化の要因として考えられる二酸化炭素の削減に有効で、自然の循環サイクルに適合した地球環境にやさしい素材として注目されている。しかしながら、従来のポリ乳酸樹脂は、摩耗し易く、かつ硬く脆いという欠点があり、限られた用途にしか実用化できていなかった。そこで、本発明では、ポリオレフィン系樹脂の性能を確保した上にできうるだけポリ乳酸樹脂を含ませ、植物度を向上させて二酸化炭素発生の削減に寄与する樹脂組成物で嵌め込み式樹脂製タイルを製造するものである。
【００２４】
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を用いるのが好ましい。また、ポリ乳酸樹脂とポリオレフィン系樹脂との混練性を向上するために、相溶化剤を混入するのが好ましい。また、この発明の効果を阻害しないものであれば、艶消し剤、難燃剤、帯電防止剤、消臭剤、抗菌剤、耐熱剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を必要に応じて含有せしめてもかまわない。
【実施例】
【００２５】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。
【００２６】
＜実施例１＞
低密度ポリエチレン６６重量部とポリ乳酸樹脂３０重量部、相溶化剤４重量部をドライブレンドした後、射出成形の材料投入口から投入し、図１〜３で示すような形態の嵌め込み式樹脂製タイルとなる射出成形用の金型に射出成形し、その後高圧処理をして、５０ｃｍ角、厚さ８ｍｍ、８ｋｇ／ｍ２の樹脂製タイルを作成した。次に一日おいて工場通路にこの嵌め込み式樹脂製タイルを順に嵌めこみ、プラスチックハンマーで軽く叩きながら、置き敷き施工した。嵌めこみが完了する時点で、連結が完了し、タイル上面高さも丁度揃って連結した。次に２tリフトでその上を走行してみたが、連結が外れることもなく、ずれたりすることもなく良好であった。
【００２７】
＜実施例２＞
実施例１において、嵌め込み部の形状を図４のように、台形とし各辺はテーパーをつけ丁度嵌りあって接続面が一致するようにした以外は実施例１と同様にして嵌め込み式樹脂製タイルを得た。実施例１と同様に置き敷き施工し、２tリフトで走行試験をしてみたが、床とのフィット性も問題なく、良好であった。
【００２８】
＜比較例１＞
実施例１において、接続用嵌合凸部のテーパー形状を、垂直な面に削って、嵌め込み易くした以外は実施例１と同様にして嵌め込み式樹脂製タイルを得た。置き敷き施工がやり湯すくなり、施工時間も三割短縮できたが、２tリフトで走行試験では連結が簡単に外れてしまい重歩行には適さなかった。
【００２９】
＜比較例２＞
実施例１において、ポリ乳酸樹脂８５重量部、低密度ポリエチレン１１重量部とした以外は実施例１と同様にして嵌め込み式樹脂製タイルを得た。実施例１と同様に置き敷き施工し、２tリフトで走行試験をしてみたが、直ぐに割れてしまった。
【００３０】
＜比較例３＞
実施例１において、高圧処理をしないで樹脂製タイルを作成した。実施例１と同様に置き敷き施工し、２tリフトで走行試験をしてみたが、変形し使えるものではなかった。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】この発明の嵌め込み式樹脂製タイルの一例を示す概略斜視図である。
【図２】図１の嵌め込み式樹脂製タイルの連結部の側面図である。
【図３】図１の嵌め込み式樹脂製タイルを組み立てて下側から見た概略斜視図である。
【図４】この発明の嵌め込み式樹脂製タイルの別の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【００３２】
１…嵌め込み式樹脂製タイル
２…タイル板本体
３…接続用嵌合凸部
４…接続用嵌合凹部
５…滑り止め用の凹凸柄
６…水切り用の凹凸溝
７…連続孔
Ａ Ｂ…嵌め込み式樹脂製タイル
【技術分野】
【０００１】
本発明は、連結が簡単でしかも外れにくく、短時間で敷設ができ、自動車等の重量物の通行にも十分耐えられて、また簡単に撤去できて再使用が可能であり、焼却廃棄処理することもできる嵌め込み式樹脂製タイルに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に嵌め込み式樹脂製タイルは、連結が簡単で短時間で敷設できることから、家庭用から商業ビル等の屋内外の通路やフロアーに多く使われている。またその多くは、加工性の良い塩ビ製の樹脂タイルであることが多い。しかしながら、従来の嵌め込み式樹脂製タイルは、使用中に連結部が外れやすく、自動車等の重量物の通行に十分耐えられるようなものは提案されていなかった。また、使用済み塩ビ製樹脂タイルは、焼却すると有毒ガスを発生することから、未だにリサイクルされずに産業廃棄物として埋め立て処分されているのが現状である。
【０００３】
特許文献１においては、連結部に引っ掛けの付いたフック部材を設置し、外れにくいように連結させているが重量物が通行するには強度が弱すぎて、使用できないものであった。
【０００４】
特許文献２においては、樹脂製タイルの気温変化による収縮と膨張を考慮し、連結部をタイル本体から一部切り離した離脱部を形成し、樹脂製タイルの収縮と膨張を吸収する樹脂製タイルが提案されているが、重量物が通行するには弱すぎて、自動車等の通行のできるものではなかった。
【０００５】
特許文献３においては、プラスチックファスナーを利用した例が開示されているが、施工に時間を要し、また、加工が複雑であったりしてあまり使用されていない。
【特許文献１】特開平１０−２９５５２７号公報
【特許文献２】実公平７−５４４４５号公報
【特許文献３】実開平６−４４４８１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、重量物通行用の非塩ビ性の樹脂製タイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面をテーパーにして、しっかり固定することと、接続用嵌合凸部が接続用嵌合凹部を下から上に抜けないような構造にすることによって重量物の通行に十分耐えられるだけの接続強度を得、また嵌め込み式樹脂製タイルを構成する材料としてポリ乳酸樹脂を主体とすることによって、重量物の通行できる非塩ビ性の樹脂製タイルが得られることを見出し本発明に到達した。上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【０００８】
［１］方形のタイル板本体と、このタイル板本体の周縁部の隣接する二辺の外側に接続用嵌合凸部を設け、他の隣接する二辺の内側に接続用嵌合凹部を設けた嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記接続用嵌合凹部に接続する次のタイル板の接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、前記接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように前記接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになって嵌合し、接続したタイル板本体の上面同士の高さが揃って連結することを特徴とする嵌め込み式樹脂製タイル。
【０００９】
［２］前記タイル板本体の上面及び下面は全体としては平面で、上面は滑り止め用の凹凸柄面となっており、下面は水切り用の凹凸溝が彫られており、上面から下面にかけて連続孔の確保されたことを特徴とする前項１に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【００１０】
［３］前記嵌め込み式樹脂製タイルは、高圧処理をした熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする前項１または２に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【００１１】
［４］前記嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだオレフィン系熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする前項１〜３のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【００１２】
［５］前記嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂／ポリ乳酸樹脂の質量比が２０／８０〜９５／５の範囲である前項１〜４のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【発明の効果】
【００１３】
［１］の発明では、隣り合う嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになって嵌合しているので、しっかりとした接合方法となり、重量物が通行しても、接続が緩んだり、反ったりして外れることのない接合方法とすることができる。また、隣り合う嵌め込み式樹脂製タイルを嵌合したとき、接続したタイル板本体の上面同士の高さが丁度揃って連結するので、接続面に段差ができることなく強力な接合力の嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。
【００１４】
［２］の発明では、前記タイル板本体の上面及び下面は全体としては平面で、上面は滑り止め用の凹凸柄面となっているので、滑り止め効果を得ることができる。また、下面には水切り用の凹凸溝が彫られているので、床面に流れ込んだ水等を流すことができ、床面の下地処理をしなくてもそのまま床面に置くだけで敷設できる。また、上面から下面にかけて連続孔が確保されているので、上面に水が零れたとしても下面側に流すことができる。
【００１５】
［３］の発明では、嵌め込み式樹脂製タイルは、高圧処理をした熱可塑性樹脂から成るので、車等の重量物の通行に十分耐えることができ、接続が緩んだり、タイル板が反ったりすることがなく、寸法の安定した嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。
【００１６】
［４］の発明では、嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだオレフィン系熱可塑性樹脂から成るので、植物度の向上した嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。また、焼却処理をしても、有害なガスの発生はなく、安全に焼却することができる。
【００１７】
［５］の発明では、嵌め込み式樹脂製タイルは、ポリオレフィン系樹脂／ポリ乳酸樹脂の質量比が２０／８０〜９５／５の範囲であるので、さらに植物度を向上させ、十分な強度を備えた嵌め込み式樹脂製タイルとすることができる。また、焼却処理をしても、有害なガスの発生はなく、発熱量も少なく安全に焼却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、本発明を図１に基づいて詳細に説明する。本発明でいう嵌め込み式樹脂製タイル１は、タイル板本体２と、このタイル板本体の周縁部の隣接する二辺の外側に接続用嵌合凸部３を設け、他の隣接する二辺の内側に接続用嵌合凹部４を設けている。嵌め込んだ状態で接続したタイル板本体の上面同士の高さが丁度揃って連結するように、接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになっている。この時の嵌め込みの硬さは、接続用嵌合凸部を下側にして、プラスチックハンマーで接続用嵌合凹部を軽く叩き込んで接続するのがよい。また、前記接続用嵌合凹部に接続する次のタイル板の接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、前記接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように前記接続用嵌合凹部が蓋の役割をしている。（図１、２参照）
【００１９】
前記接続用嵌合凸部と接続用嵌合凹部の形状は、特に限定しないが図２で示すようにテーパー状に噛み合って接合し、接続したタイル板本体の上面同士の高さが丁度揃って連結するのであればよい。図３は、接続用嵌合凸部を下側にして、プラスチックハンマーで接続用嵌合凹部を軽く叩き込んで接続した嵌め込み式樹脂製タイルを下側から見た斜視図である。接続し終えた嵌め込み式樹脂製タイルの下面同士の高さも丁度揃って連結している。
【００２０】
前記タイル板本体２の上面には、滑り止め用の凹凸柄５が付与されているのが好ましい。凹凸柄５としてはどのような柄でも良いが、凹凸の差は１〜３ｍｍあるのが好ましい。また、タイル板本体２の下面には、水切り用溝６が彫られているのが好ましい。水切り用の溝６は、タイル板本体２の下面に入った水が溝によってタイル板本体外へ流れやすくするもので、どのようなものでも良いが例えば、図３に示すようなものが挙げられる。また、タイル板本体２底面に、水切り用の溝が彫られていない全くの平坦ないものでは、床面の僅かな凹凸の影響を受けることになり、タイルを床面に施工する前に下地処理が必要になり好ましくない。
【００２１】
前記タイル板本体２の上面から下面にかけて連続孔７のあることが好ましい。前記連続孔７は、タイル板本体２の上面に零れた水分をタイル板本体２の下面側に流すもので、重量物の荷重に耐えられる形状であればかまわない。例えば、図１、３に示すように貫通する穴をあける形状にしても良い。
【００２２】
前記、嵌め込み式樹脂製タイルは、射出成形機によって熱可塑性樹脂を型枠内に押出して成形するのが好ましい。この時高圧処理された熱可塑性樹脂から成ることが好ましい。高圧処理は、射出成形後に加圧し圧縮成形を施すものである。高圧処理された嵌め込み式樹脂製タイルは、非常に硬く、厚さ８〜１０ｍｍで静加重４００Ｎ／ｃｍ２の荷重でも十分耐えられる強度を得ることができる。
【００２３】
前記、嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだポリオレフィン系樹脂から成ることが好ましい。ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ等の澱粉から得られる乳酸を原料とする生分解性樹脂であり、植物を原料とすることから地球温暖化の要因として考えられる二酸化炭素の削減に有効で、自然の循環サイクルに適合した地球環境にやさしい素材として注目されている。しかしながら、従来のポリ乳酸樹脂は、摩耗し易く、かつ硬く脆いという欠点があり、限られた用途にしか実用化できていなかった。そこで、本発明では、ポリオレフィン系樹脂の性能を確保した上にできうるだけポリ乳酸樹脂を含ませ、植物度を向上させて二酸化炭素発生の削減に寄与する樹脂組成物で嵌め込み式樹脂製タイルを製造するものである。
【００２４】
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を用いるのが好ましい。また、ポリ乳酸樹脂とポリオレフィン系樹脂との混練性を向上するために、相溶化剤を混入するのが好ましい。また、この発明の効果を阻害しないものであれば、艶消し剤、難燃剤、帯電防止剤、消臭剤、抗菌剤、耐熱剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を必要に応じて含有せしめてもかまわない。
【実施例】
【００２５】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。
【００２６】
＜実施例１＞
低密度ポリエチレン６６重量部とポリ乳酸樹脂３０重量部、相溶化剤４重量部をドライブレンドした後、射出成形の材料投入口から投入し、図１〜３で示すような形態の嵌め込み式樹脂製タイルとなる射出成形用の金型に射出成形し、その後高圧処理をして、５０ｃｍ角、厚さ８ｍｍ、８ｋｇ／ｍ２の樹脂製タイルを作成した。次に一日おいて工場通路にこの嵌め込み式樹脂製タイルを順に嵌めこみ、プラスチックハンマーで軽く叩きながら、置き敷き施工した。嵌めこみが完了する時点で、連結が完了し、タイル上面高さも丁度揃って連結した。次に２tリフトでその上を走行してみたが、連結が外れることもなく、ずれたりすることもなく良好であった。
【００２７】
＜実施例２＞
実施例１において、嵌め込み部の形状を図４のように、台形とし各辺はテーパーをつけ丁度嵌りあって接続面が一致するようにした以外は実施例１と同様にして嵌め込み式樹脂製タイルを得た。実施例１と同様に置き敷き施工し、２tリフトで走行試験をしてみたが、床とのフィット性も問題なく、良好であった。
【００２８】
＜比較例１＞
実施例１において、接続用嵌合凸部のテーパー形状を、垂直な面に削って、嵌め込み易くした以外は実施例１と同様にして嵌め込み式樹脂製タイルを得た。置き敷き施工がやり湯すくなり、施工時間も三割短縮できたが、２tリフトで走行試験では連結が簡単に外れてしまい重歩行には適さなかった。
【００２９】
＜比較例２＞
実施例１において、ポリ乳酸樹脂８５重量部、低密度ポリエチレン１１重量部とした以外は実施例１と同様にして嵌め込み式樹脂製タイルを得た。実施例１と同様に置き敷き施工し、２tリフトで走行試験をしてみたが、直ぐに割れてしまった。
【００３０】
＜比較例３＞
実施例１において、高圧処理をしないで樹脂製タイルを作成した。実施例１と同様に置き敷き施工し、２tリフトで走行試験をしてみたが、変形し使えるものではなかった。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】この発明の嵌め込み式樹脂製タイルの一例を示す概略斜視図である。
【図２】図１の嵌め込み式樹脂製タイルの連結部の側面図である。
【図３】図１の嵌め込み式樹脂製タイルを組み立てて下側から見た概略斜視図である。
【図４】この発明の嵌め込み式樹脂製タイルの別の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【００３２】
１…嵌め込み式樹脂製タイル
２…タイル板本体
３…接続用嵌合凸部
４…接続用嵌合凹部
５…滑り止め用の凹凸柄
６…水切り用の凹凸溝
７…連続孔
Ａ Ｂ…嵌め込み式樹脂製タイル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
方形のタイル板本体と、このタイル板本体の周縁部の隣接する二辺の外側に接続用嵌合凸部を設け、他の隣接する二辺の内側に接続用嵌合凹部を設けた嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記接続用嵌合凹部に接続する次のタイル板の接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、前記接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように前記接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになって嵌合し、接続したタイル板本体の上面同士の高さが揃って連結することを特徴とする嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項２】
前記タイル板本体の上面及び下面は全体としては平面で、上面は滑り止め用の凹凸柄面となっており、下面は水切り用の凹凸溝が彫られており、上面から下面にかけて連続孔の確保されたことを特徴とする請求項１に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項３】
前記嵌め込み式樹脂製タイルは、高圧処理をした熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項１または２に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項４】
前記嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだポリオレフィン系樹脂から成ることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項５】
前記嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂／ポリ乳酸樹脂の質量比が２０／８０〜９５／５の範囲である請求項１〜４のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項１】
方形のタイル板本体と、このタイル板本体の周縁部の隣接する二辺の外側に接続用嵌合凸部を設け、他の隣接する二辺の内側に接続用嵌合凹部を設けた嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記接続用嵌合凹部に接続する次のタイル板の接続用嵌合凸部がタイル板本体の下側から嵌め込むようにして接続し、前記接続用嵌合凹部の下側から上側には抜けないように前記接続用嵌合凹部と接続用嵌合凸部の接触面がテーパーになって嵌合し、接続したタイル板本体の上面同士の高さが揃って連結することを特徴とする嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項２】
前記タイル板本体の上面及び下面は全体としては平面で、上面は滑り止め用の凹凸柄面となっており、下面は水切り用の凹凸溝が彫られており、上面から下面にかけて連続孔の確保されたことを特徴とする請求項１に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項３】
前記嵌め込み式樹脂製タイルは、高圧処理をした熱可塑性樹脂から成ることを特徴とする請求項１または２に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項４】
前記嵌め込み式樹脂製タイルは、少なくともポリ乳酸樹脂を含んだポリオレフィン系樹脂から成ることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【請求項５】
前記嵌め込み式樹脂製タイルにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂／ポリ乳酸樹脂の質量比が２０／８０〜９５／５の範囲である請求項１〜４のいずれか１項に記載の嵌め込み式樹脂製タイル。
【図１】
【図３】
【図２】
【図４】
【図３】
【図２】
【図４】
【公開番号】特開２００８−１２１３７２（Ｐ２００８−１２１３７２Ａ）
【公開日】平成２０年５月２９日（２００８．５．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３０９１７７（Ｐ２００６−３０９１７７）
【出願日】平成１８年１１月１５日（２００６．１１．１５）
【出願人】（３９００１４４８７）住江織物株式会社 (294)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年５月２９日（２００８．５．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月１５日（２００６．１１．１５）
【出願人】（３９００１４４８７）住江織物株式会社 (294)
【Ｆターム（参考）】
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