説明

嵌合検知構造

【課題】両コネクタの誤嵌合検知を視覚的に行う。
【解決手段】本発明は、入力側コネクタ51と、この入力側コネクタ51に設けられた嵌合凹部55の内部に嵌合可能に設けられその嵌合方向とは交差する方向に電線Wが引き出された電源側コネクタ10との間における嵌合検知構造であって、電線Wの端末に接続された複数の端子金具30と、複数の端子金具30を内部に収容したハウジング20とを備え、嵌合凹部55およびハウジング20において嵌合方向に互いに対向する面をそれぞれ嵌合面20L,20U,55L,55Uとした場合に、この嵌合面20L,20U,55L,55Uは、嵌合方向に延びる段差面20C,55Cを境界として上下二段に分割されている構成としたところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合検知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端子金具が内部に収容されたハウジングを有し、相手側コネクタと嵌合可能なコネクタとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。ハウジングの両側部には、一対のガイドリブが設けられており、相手側ハウジングには、一対のガイドリブが挿入される一対のガイド凹部が設けられている。両コネクタの嵌合に際しては、両ガイドリブが両ガイド凹部に挿入されることで、両コネクタの誤嵌合が規制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−243606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のコネクタでは、両ガイドリブが両ガイド凹部に挿入されることをもって両コネクタの誤嵌合が規制されるようになっているため、両コネクタの嵌合前の状態では正規の嵌合姿勢を視覚的に知ることができない。換言すると、両コネクタを嵌合させてみて、初めて誤嵌合かどうかが判断できるようになっており、誤嵌合であった場合には、再度、両コネクタの嵌合動作を行う必要があることから、両コネクタを一回で正規に嵌合させることができなかった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、両コネクタの誤嵌合検知を視覚的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、相手側コネクタと、この相手側コネクタに設けられた嵌合凹部の内部に嵌合可能に設けられその嵌合方向とは交差する方向に電線が引き出されたコネクタとの間における嵌合検知構造であって、電線の端末に接続された複数の端子金具と、複数の端子金具を内部に収容したハウジングとを備え、嵌合凹部およびハウジングにおいて嵌合方向に互いに対向する面をそれぞれ嵌合面とした場合に、この嵌合面は、嵌合方向に延びる段差面を境界として二段に分割されている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、嵌合面が段差面を境界として二段に分割されているため、嵌合面の段差形状を視認するだけで正規の嵌合姿勢を知ることができる。したがって、両コネクタの誤嵌合検知を視覚的に行うことができ、両コネクタを一回で正規に嵌合させることができる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
複数の端子金具は、いずれも同一形状である構成としてもよい。
このような構成によると、1種類の端子金具を準備すればよく、部品の種類を削減できる。
【0009】
端子金具は全体としてL字状をなし、嵌合方向に延びる接続部と、電線の引き出し方向に延びるバレル部と、からなるL字端子とされている構成としてもよい。
このような構成によると、電線を曲げる必要がなく、L字端子における接続部とバレル部との間を曲げれば済むため、曲げRを小さくすることができる。
【0010】
複数の端子金具から引き出された各電線の引き出し方向は、いずれも同一方向である構成としてもよい。
このような構成によると、各電線の引き出し方向がいずれも同一方向であるため、複数の電線を一箇所に集約することができる。
【0011】
複数の端子金具は、各電線が嵌合方向に積層して配置されるようにしてハウジングの内部に収容されている構成としてもよい。
このような構成によると、各電線が幅方向(嵌合方向と直交する方向)に並ぶように複数の端子金具を配置しなくてもよく、各電線が嵌合方向に積層して配置されるようにして複数の端子金具をハウジングの内部に収容することができるため、ハウジングの幅方向の寸法を小さくすることができる。したがって、相手側コネクタの幅方向の寸法を大型化させなくてもよい。
【0012】
ハウジングは、各端子金具を収容する複数のキャビティを有しており、各キャビティを仕切る隔壁は、ヒンジを介してハウジングに連結されている構成としてもよい。
このような構成によると、隔壁によって隣り合う一対の端子金具を確実に絶縁することができる。また、隔壁がヒンジを介してハウジングに連結されているため、隔壁の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0013】
嵌合凹部およびハウジングにおいて段差面に連なる側壁部には、嵌合初期における嵌合の案内を行うガイド部がそれぞれ設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、嵌合初期においても、互いのガイド部によって嵌合の案内をすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、両コネクタの誤嵌合検知を視覚的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態における電源側コネクタが電気接続箱に接続された状態を示す斜視図
【図2】第1端子金具を第1キャビティに挿入する前の状態を示した斜視図
【図3】第2端子金具を第2キャビティに挿入する前の状態を示した斜視図
【図4】ハウジングにカバーを装着する前の状態を示した斜視図
【図5】ハウジングにカバーを装着して第2キャビティを閉じた状態を示した斜視図
【図6】電源側コネクタの底面図
【図7】電源側コネクタの正面図
【図8】電源側コネクタの平面図
【図9】電源側コネクタの左側面図
【図10】電源側コネクタの右側面図
【図11】図8におけるA−A線断面図
【図12】電源側コネクタをケース側コネクタに嵌合させる前の状態を示した断面図
【図13】電源側コネクタをケース側コネクタに嵌合させた後の状態を示した断面図
【図14】ケース側コネクタの平面図
【図15】ハウジングの正面図
【図16】第1端子金具を第1キャビティに挿入した後の状態を示した平面図
【図17】カバーの平面図
【図18】カバーの底面図
【図19】カバーの左側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図19の図面を参照しながら説明する。本実施形態における電源側コネクタ(本発明の「コネクタ」の一例)10は、図1に示すように、略箱形をなす電気接続箱50に接続されるコネクタであって、バッテリ(図示せず)から連なる電線Wの端末に接続されている。この電気接続箱50は、車両においてバッテリから供給される電力を種々の車両用電装品に分配・供給するとともに、これら電力供給の切り替え等の制御を行う機能を有している。
【0017】
電気接続箱50は、入力側コネクタ(本発明の「相手側コネクタ」の一例)51、複数のリレー装着部52、ヒューズ装着部53、出力側コネクタ54などを一体に形成したものであって、車体に取り付け固定されるようになっている。入力側コネクタ51には、電源側コネクタ10が嵌合している。また、各リレー装着部52には、リレー60がそれぞれ接続されている。また、ヒューズ装着部53には、ヒューズ61が接続されている。なお、図示はしないものの、出力側コネクタ54には、各車両用電装品に連なる機器側コネクタが嵌合するようになっており、これにより各車両用電装品によって規定された所定の電力が各車両用電装品に供給される。
【0018】
まず、入力側コネクタ51の構成について説明する。入力側コネクタ51は、図12に示すように、上方に開口する形態をなす嵌合凹部55を有している。嵌合凹部55の奥面(下面)は、段差状とされている。嵌合凹部55の奥面には、平板状をなす一対のタブ端子が上方に突出する形態で設けられている。両タブ端子の一方は、上段側の奥面55Uから上方に突出してなる上段側端子56とされ、同他方は、下段側の奥面55Lから上方に突出してなる下段側端子57とされている。上段側の奥面55Uと下段側の奥面55Lは、段差面55Cを介して段差状に連なる形態とされている。なお、両奥面55U,55Lによって、本発明における嵌合凹部55側の嵌合面が構成され、この嵌合面は、段差面55Cを境界として上下二段に分割されている。
【0019】
嵌合凹部55における上段側の奥面55Uの下方には、電流センサ58が収容されている。この電流センサ58は、バッテリを電源とした電源回路に対して電気的に接続され、その電源回路に流れる電流を検出してバッテリの消耗度などを検知するためのものである。本実施形態では嵌合凹部55に電流センサ58が配置されたことに起因して、段差面55Cが形成されている。
【0020】
嵌合凹部55の内面のうち上段側の奥面55Uの周縁から上方に立ち上がる面には、ロック突起59が設けられている。このロック突起59は、図14に示すように、嵌合凹部55の内面のうち前側の壁部55Aに設けられている。ロック突起59の下側には、図12に示すように、前側の壁部55Aを板厚方向に貫通するロック孔59Aが連設されている。このロック孔59Aに後述する係止突起29が嵌り込んでロック突起59と係止することで、両コネクタ10,51が嵌合状態に保持されるようになっている。
【0021】
一方、嵌合凹部55の内面において左右方向に対向して配置された左右一対の壁部55B,55Bには、それぞれガイドリブ62が設けられている。左右両側の壁部55B,55Bは、前側の壁部55Aの左右両側に連結されている。左右両側の壁部55B,55Bに配されたガイドリブ62は、左右方向に対向状態で配されている。
【0022】
各壁部55B,55Bには、前後方向に並設された一対のガイドリブ62,62がそれぞれ配されている。両ガイドリブ62,62は、いずれも上段側の奥面55Uの周縁から上方に延び、嵌合凹部55の上端開口縁にほぼ至る形態とされている。また、図14に示すように、両ガイドリブ62,62の一方は、上段側端子56の近傍に配されており、同他方は、嵌合凹部55の段差面55Cと対応する位置に配されている。
【0023】
また、嵌合凹部55の内面のうち下段側の奥面55Lの周縁から上方に立ち上がる面(段差面55Cに連なる側面)である左右両側の壁部55B,55Bには、左右一対のガイド溝63,63が設けられている。ガイド溝63は、下段側の奥面55Lの周縁から上方に延び、嵌合凹部55の上端開口縁にほぼ至る形態とされている。両ガイド溝63は、左右方向に対向状態で配されている。また、ガイド溝63は、下段側端子57と対応する位置に配されている。
【0024】
次に、電源側コネクタ10の構成について説明する。電源側コネクタ10は、図15および図16に示すように、合成樹脂製のハウジング20を有している。このハウジング20は、図15に示すように、一対の端子金具30を内部に収容する一対のキャビティC,Cが形成された端子収容部21と、各キャビティC,Cを仕切る絶縁性の隔壁22と、この隔壁22を端子収容部21に連結する可撓性のヒンジ23とを備えて構成されている。
【0025】
端子金具30は、図2に示すように、導電性の金属平板をプレス加工することによって形成されている。この端子金具30は全体として略L字状をなすL字端子であって、入力側コネクタ51の端子56,57と接続可能な接続部31と、電線Wの端末に接続されるバレル部32と、接続部31とバレル部32を連結する連結部33とを備えて構成されている。端子金具30は、連結部33において略L字状に直角曲げされている。
【0026】
接続部31は横長方形の角筒状をなし、その内部には、図11に示すように、弾性接触片34が設けられている。この弾性接触片34は、接続部31の前縁から後方へ折り返されることで略山形をなして後方に延出されている。接続部31において弾性接触片34と対向する位置には、一対の接触突部35,35が設けられている。端子金具30を入力側コネクタ51の端子56,57に接続させると、端子56,57が弾性接触片34と両接触突部35,35との間に弾性的に挟持されることで、端子金具30と入力側コネクタ51の端子56,57とが導通可能に接続される。また、連結部33の水平部分における左右両側縁には、一対の抜止片36,36が左右両側に張り出し形成されている。
【0027】
前記した一対のキャビティC,Cは、図11に示すように、一対の端子金具30を上下方向に積層した状態で収容するための上段側キャビティCおよび下段側キャビティCからなる。これら上段側および下段側キャビティCは、垂直方向(上下方向)に延びる垂直部分C1と、この垂直部分C1の上端部から水平方向(後方)に延びる水平部分C2とからなる。垂直部分C1には、接続部31および連結部33の垂直部分が収容され、水平部分C2には、連結部33の水平部分およびバレル部32が収容される。
【0028】
垂直部分C1には、ランス24が設けられており、このランス24が接続部31に設けられたランスホールに嵌り込んで上下方向に係止することにより、接続部31が垂直部分C1に保持されている。一方、水平部分C2には、連結部33の両抜止片36,36と係止する一対の抜止リブ25,25が設けられている。両抜止片36,36と両抜止リブ25,25が前後方向に係止することにより、連結部33の後方に連なるバレル部32が水平部分C2に保持されている。
【0029】
ハウジング20の前面には、入力側コネクタ51のロック突起59と係止可能な係止突起29を有するロックアーム28が設けられている。両コネクタ10,51を嵌合させると、図13に示すように、ロックアーム28の係止突起29がロック突起59と嵌合方向(上下方向)に係止することにより、両コネクタ10,51が正規の嵌合状態に保持される。このとき、嵌合凹部55の両奥面55L,55Uは、ハウジング20の先端面とほぼ接触しており、このハウジング20の先端面のうち下段側の奥面55Lと嵌合方向(上下方向)に対向する面は下段側の先端面20Lとされ、同ハウジング20の先端面のうち下段側の奥面55Lと嵌合方向(上下方向)に対向する面は、上段側の先端面20Uとされている。また、嵌合凹部55の段差面55Cは、ハウジング20の段差面20Cとほぼ接触状態で嵌合方向と直交する方向(前後方向)に対向している。
【0030】
隔壁22は、図15に示すように、下段側のキャビティCに端子金具30を収容する前の状態では、ヒンジ23を介して端子収容部21の側方に配されている。隔壁22の周縁部には、複数の保持片22Aおよび保持突起21Aが設けられている。一方、下段側キャビティCを構成する端子収容部21には、複数の保持突起21Aおよび保持片22Aが設けられている。ヒンジ23を中心として隔壁22を端子収容部21に組み付けると、各保持片22Aが各保持突起21Aにそれぞれ係止することにより、隔壁22が端子収容部21に保持され、下段側のキャビティCが閉じられて、下段側キャビティCの天井壁を形成するとともに上段側キャビティCの底壁を形成する。
【0031】
下段側のキャビティCに収容された端子金具30付き電線Wは、上段側のキャビティCに収容された端子金具30付き電線Wの下方でかつ後方に配置されている。このため、下段側の先端面20Lは、上段側の先端面20Uよりも下方に突出する形態とされ、両先端面20L,20Uが段差面20Cを境界として上下二段に分割されている。なお、本発明におけるコネクタ側の嵌合面は、両先端面20L,20Uによって構成されている。
【0032】
上段側のキャビティCは、図4に示すように、上方に開口する形態とされており、この開口を塞ぐようにして後述するカバー40が装着されるようになっている。上段側のキャビティCは、前側の端子収容部21(下段側キャビティCの垂直部分C1に段差面20Cを介して隣接する垂直部分C1)と、隔壁22と、隔壁22の両側縁から立ち上がる一対の保護壁26とによって構成されている。端子収容部21(前側の垂直部分C1)の上端開口縁は、両保護壁26,26の上端開口縁と上下方向に揃う高さとされており、かつ両保護壁26,26は上段側キャビティCの水平部分C2の両側壁を形成する。
【0033】
カバー40は合成樹脂製であって、前後方向に長い平板状とされている。このカバー40の周縁部には、複数のロック片41が設けられている。一方、上段側のキャビティCの上端開口縁部には、各ロック片41に係止可能な複数のロック受け部27が設けられている。各ロック片41を各ロック受け部27に対して上下方向に係止させると、カバー40が端子収容部21(前側の垂直部分C1)および両保護壁26,26に保持され、上段側のキャビティCが閉じられる。なお、各ロック片41のいずれか一つは、他のロック片41と異なる形状とされ、このロック片41の形状に対応してロック受け部27が形成されているため、カバー40の誤結防止が図られている。
【0034】
図6に示すように、上段側の先端面20Uには、入力側コネクタ51の各ガイドリブ62が嵌入可能な複数の案内凹部21Bが開設されている。各案内凹部21Bは、図9および図10に示すように、上段側の先端面20Uから上方に延び、端子収容部21の上端開口縁部にほぼ至る形態とされている。
【0035】
一方、下段側の先端面20Lには、入力側コネクタ51の各ガイド溝63に嵌合可能な案内突部21Cが設けられている。各案内突部21Cは、下段側の先端面20Lから上方に延びる形態であって、上段側の先端面20Uの高さ位置と下段側のキャビティCの屈曲部の高さ位置との中間位置に至る形態とされている。したがって、嵌合初期(下段側の先端面20Lが嵌合凹部55に嵌合してから上段側の先端面20Uが嵌合凹部55に嵌合するまでの間)においても、各案内突部21Cが各ガイド溝63に嵌合することで両コネクタ10,51の嵌合を案内することができる。
【0036】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。まず、電源側コネクタ10の組み付け方法を説明する。図2に示すように、隔壁22が端子収容部21に組み付けられる前の状態において、下段側の端子金具30を下段側のキャビティCに上方から挿入する。すると、ランス24が端子金具30のランスホールに係止することにより、端子金具30が下段側のキャビティCに保持される。そして、ヒンジ23を介して隔壁22を端子収容部21に組み付けると、図3に示すように、各保持片22Aが各保持突起21Aに係止することにより、隔壁22が端子収容部21に保持される。これにより、下段側のキャビティCの上端開口は、隔壁22によって閉じられる。
【0037】
次に、上段側の端子金具30を上段側のキャビティCに上方から挿入する。すると、ランス24が端子金具30のランスホールに係止することにより、端子金具30が上段側のキャビティCに保持される。引き続き、カバー40を端子収容部21および両保護壁26,26に組み付けると、各ロック片41が各ロック受け部27に係止することにより、カバー40が端子収容部21および両保護壁26,26に保持される。これにより、上段側のキャビティCの上端開口は、カバー40によって閉じられる。
【0038】
このとき、上下の両端子金具30,30は、隔壁22によって隔離されているため、絶縁性が確保された状態となっている。また、一対の端子金具30付き電線Wは、上下に積層して配置されているため、電源側コネクタ10を左右方向に小型化することができるとともに、入力側コネクタ51を左右方向に小型化することができる。また、各電線Wがいずれも後方に引き出されているため、これらの電線Wを一箇所に集約することができる。さらに、各端子金具30の連結部33を直角曲げするようにしているから、曲げRを小さくすることができ、電源側コネクタ10を上下方向および前後方向に小型化することができる。
【0039】
こうして、電源側コネクタ10の組み付けが完了した後、この電源側コネクタ10を電気接続箱50の入力側コネクタ51に嵌合させる。ここで、電源側コネクタ10が正規の嵌合姿勢であることを確認するにあたっては、電源側コネクタ10の嵌合面の形状を確認することによって容易に行うことができる。すなわち、本実施形態においては、下段側の先端面20Lが上段側の先端面20Uよりも図示右側に位置していることを視認するだけで、正規の嵌合姿勢であることを容易に検知することができる。
【0040】
仮に、電源側コネクタ10と入力側コネクタ51が誤った姿勢で嵌合が行われたとしても、互いの嵌合面の形状が整合しないため、途中まで嵌合を行ったところで互いの嵌合面が干渉し合って嵌合動作が停止され、誤嵌合であることを検知できる。一方、電源側コネクタ10が入力側コネクタ51に対して正規に嵌合されると、互いの嵌合面の形状が整合するため、互いの嵌合面が当接し合う位置まで嵌合動作が行われる。
【0041】
電源側コネクタ10は、下段側の先端面20Lが上段側の先端面20Uよりも下方に突出しているため、両コネクタ10,51の嵌合初期では、ハウジング20の全周が嵌合凹部55の全周に嵌合しないことになる。しかしながら、各案内突部21Cが各ガイド溝63に嵌合するため、両コネクタ10,51は、正規の嵌合姿勢に矯正される。その後は、各ガイドリブ62が各案内凹部21Bに嵌合するため、より安定した嵌合姿勢で両コネクタ10,51を嵌合させることができる。そして、両コネクタ10,51が正規の嵌合状態に至ると、ロックアーム28の係止突起29がロック孔59Aに嵌り込み、ロック突起59に係止することにより、両コネクタ10,51が正規の嵌合状態に保持される。また、上下の両端子56,57は、両端子金具30,30に導通可能に接続される。
【0042】
以上のように本実施形態によると、両コネクタ10,51の嵌合面を段差形状としたから、目視によって両コネクタ10,51の嵌合開始前に誤嵌合検知を行うことができる。また、電源側コネクタ10に用いる端子として、同一形状の端子金具30を使用しているから、部品の種類を削減することができる。
【0043】
また、各端子金具30付き電線Wを上下方向に積層して配置したから、両コネクタ10,51が左右方向に大型化することを回避できる。さらに、電線Wを曲げるのではなく、端子金具30の連結部33を曲げることで、電線Wを後方に引き出しているから、曲げRを小さくすることができ、両コネクタ10,51の小型化に寄与している。
【0044】
その上、各電線Wの引き出し方向を同一にしたから、電線Wの配索スペースを小型化することができる。これらに加えて、両コネクタ10,51の嵌合初期に、各案内突部21C,21Cが各ガイド溝63,63に嵌合するようにしているから、両コネクタ10,51の嵌合動作を案内し、両コネクタ10,51のこじりを防ぐことができる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では同一形状の端子金具30を用いているものの、本発明によると、異なる形状の端子金具を用いてもよい。
(2)上記実施形態では端子金具30の連結部33を直角に曲げているものの、本発明によると、電線Wをほぼ直角に曲げてもよい。
【0046】
(3)上記実施形態では各電線Wを同一方向に引き出しているものの、本発明によると、各電線Wを異なる方向に引き出してもよい。
(4)上記実施形態では各端子金具30を上下方向に積層して配置しているものの、本発明によると、各端子金具30を左右方向に並べて配置してもよい。
【0047】
(5)上記実施形態では端子収容部21と隔壁22がヒンジ23を介して連結されているものの、本発明によると、端子収容部21と隔壁22を別体で形成してもよい。
(6)上記実施形態では嵌合凹部55の内部にガイド溝63とは別にガイドリブ62を設けているものの、本発明によると、ガイドリブ62を設けることなく、ガイド溝63だけで嵌合の案内を行ってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…電源側コネクタ
20…ハウジング
20C…段差面
20L…下段側の先端面(嵌合面)
20U…上段側の先端面(嵌合面)
21C…案内突部(ガイド部)
22…隔壁
23…ヒンジ
30…端子金具
31…接続部
32…バレル部
51…入力側コネクタ(相手側コネクタ)
55…嵌合凹部
55B…左右両側の壁部(段差面に連なる側壁部)
55C…段差面
55L…下段側の奥面(嵌合面)
55U…上段側の奥面(嵌合面)
63…ガイド溝(ガイド部)
C…キャビティ
W…電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと、この相手側コネクタに設けられた嵌合凹部の内部に嵌合可能に設けられその嵌合方向とは交差する方向に電線が引き出されたコネクタとの間における嵌合検知構造であって、
前記電線の端末に接続された複数の端子金具と、
前記複数の端子金具を内部に収容したハウジングとを備え、
前記嵌合凹部および前記ハウジングにおいて前記嵌合方向に互いに対向する面をそれぞれ嵌合面とした場合に、この嵌合面は、前記嵌合方向に延びる段差面を境界として二段に分割されていることを特徴とする嵌合検知構造。
【請求項2】
前記複数の端子金具は、いずれも同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の嵌合検知構造。
【請求項3】
前記端子金具は全体としてL字状をなし、前記嵌合方向に延びる接続部と、前記電線の引き出し方向に延びるバレル部と、からなるL字端子とされていることを特徴とする請求項2に記載の嵌合検知構造。
【請求項4】
前記複数の端子金具から引き出された各電線の引き出し方向は、いずれも同一方向であることを特徴とする請求項3に記載の嵌合検知構造。
【請求項5】
前記複数の端子金具は、前記各電線が前記嵌合方向に積層して配置されるようにして前記ハウジングの内部に収容されていることを特徴とする請求項4に記載の嵌合検知構造。
【請求項6】
前記ハウジングは、各端子金具を収容する複数のキャビティを有しており、各キャビティを仕切る隔壁は、ヒンジを介して前記ハウジングに連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の嵌合検知構造。
【請求項7】
前記嵌合凹部および前記ハウジングにおいて前記段差面に連なる側壁部には、嵌合初期における嵌合の案内を行うガイド部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の嵌合検知構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−26127(P2013−26127A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161964(P2011−161964)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】