説明

嵌合状態検出構造、嵌合状態検出装置、携帯端末及び嵌合状態検出方法

【課題】被嵌合部と嵌合部との嵌合状態を検知することによって事前に水が浸入するおそれを検知する。
【解決手段】コネクタ48を収容するコネクタ収容凹部45に配設された静電容量センサ50a〜50dと、コネクタ収容凹部45に嵌合するコネクタキャップ41に配設され、コネクタ収容凹部45とコネクタキャップ41との嵌合部位を封止すると共に、静電容量センサ50a〜50dと接触するパッキンゴム42と、を備えた嵌合状態検出構造である。パッキンゴム42との接触状態を検知する静電容量センサ50a〜50dの測定値と、予め定められた第1基準値との比較結果に基づいて、コネクタ収容凹部45及びコネクタキャップ41が嵌合しているか否かを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合状態検出構造、嵌合状態検出装置、携帯端末及び嵌合状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの電子機器の防水構造として、電池収納部を開閉する電池蓋の外周面にパッキンを設け、このパッキンを電池蓋の外周面と電池収納部の内壁面との間で圧縮して封止する構造としたものが知られている。
【0003】
この構造では、電池蓋の外周面のパッキンに、電池収納凹部の内壁面を圧接させることで、水分が浸入することを防止している。
ところが、この構造では、電池蓋の取り付けが不完全であると水分の浸入を防止できず、浸入した水分により、電子機器の内部の電子部品が腐食したり、電子機器自身が損傷したりすることがあった。また、このような防水構造では、パッキンの経時劣化などにより電子機器の内部に水が浸入する場合もある。
【0004】
これに対し、機器の内部に水が浸入した旨を検出するために、水センサにより浸水を検知する基地局装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−197284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この技術によれば、水センサが水分を検知したときにはすでに装置内部に水が浸入していることになるため、水が装置内部へ浸入する前に検知することができない。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、電子機器において、嵌合部と被嵌合部の嵌合状態を検知することによって事前に水が浸入するおそれを検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の嵌合状態検出構造は、
被嵌合部と、
前記被嵌合部に嵌合する嵌合部と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の一方に配設され、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合部位を封止する封止手段と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の他方に配設されると共に、前記封止手段との接触状態に応じた物理量を出力する封止状態検知手段と、
前記物理量に基づいて、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合状態を検出する嵌合状態判定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の嵌合状態検出構造は、
被嵌合部と、
前記被嵌合部に嵌合する嵌合部と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の一方に配設され、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合部位を封止する封止手段と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の他方に配設され、前記封止手段と密着すると共に、前記封止手段との接触状態に応じた物理量を出力する封止状態検知手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の嵌合状態検出装置は、
上記の嵌合状態検出構造を備えた嵌合状態検出装置であって、
前記嵌合状態判定部は、前記封止状態検知手段で検知された物理量の値と、予め定められた第1基準値との比較結果に基づいて、前記被嵌合部及び前記嵌合部が嵌合しているか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
本発明の携帯端末は、
被嵌合部としての収容部と、前記収容部と嵌合する嵌合部としての蓋部と、を備えた携帯端末であって、前記収容部と前記蓋部との嵌合状態を検出するために、上記の嵌合状態検出装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の嵌合状態検出方法は、
被嵌合部及び前記被嵌合部に嵌合する嵌合部の一方に配設され、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合部位を封止する封止手段と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の他方に配設されると共に、前記封止手段との接触状態に応じた物理量を出力する封止状態検知手段と、
前記物理量に基づいて、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合状態を検知する嵌合状態判定部と、
を備えた嵌合部位の嵌合状態検出方法であって、
前記封止状態検知手段が前記物理量を検知する過程と、
前記嵌合状態判定部が、前記物理量と所定の第1基準値とを比較する過程と、
前記嵌合状態判定部が、前記被嵌合部及び前記嵌合部が嵌合しているか否かを判定する過程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、嵌合部と被嵌合部の嵌合状態を検知することによって事前に水が浸入するおそれを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の第1実施形態に係る携帯電話機のコネクタキャップ、コネクタ収容凹部及びその周辺部を拡大して示す斜視図であり、(b)は、(a)の状態における図1のA−A線断面図である。
【図3】(a)は、第1実施形態に係る携帯電話機のコネクタ収容凹部に取り付けられた静電容量センサの平面図であり、(b)は、(a)のC−C線断面図であり、(c)は、静電容量センサとCV変換回路との接続を示す回路図である。
【図4】第1実施形態に係る携帯電話機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、第1実施形態に係る携帯電話機のコネクタキャップが、コネクタ収容凹部に嵌合している状態を示す図1のA−A線断面図であり、(b)は、(a)の状態において静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図である。
【図7】(a)は、第1実施形態に係る携帯電話機のコネクタキャップが、コネクタ収容凹部から外れている状態を示す図1のA−A線断面図であり、(b)は、(a)の状態において静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図であり、(c)は、コネクタ収納凹部を水に浸した場合に静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図である。
【図8】(a)は、第1実施形態に係る携帯電話機のコネクタキャップとコネクタ収納凹部との不完全な嵌合状態を示す図1のA−A線断面図であり、(b)は、(a)の状態において静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図であり、(c)は、コネクタ収納凹部を水に浸した場合に静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図である。
【図9】(a)は、第1実施形態に係る携帯電話機のコネクタキャップとコネクタ収納凹部との不完全な嵌合状態を示す図1のA−A線断面図であり、(b)は、(a)の状態において静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図であり、(c)は、コネクタ収納凹部を水に浸した場合に静電容量センサで検知された静電容量値を示すグラフ図である。
【図10】(a)は、コネクタキャップのパッキンゴムが静電容量センサの対向電極の全体を押圧した状態で密着している状態を示す拡大図であり、(b)は、パッキンゴムが静電容量センサの対向電極の一部を押圧した状態で密着している状態を示す拡大図である。
【図11】第2実施形態に係る嵌合状態検出処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る携帯電話機の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態に係る携帯電話機の記憶部に記憶されている第1〜3基準値及び第1〜3基準値に基づく第1〜3基準範囲を示すグラフである。
【図14】(a)は、第3実施形態に係る携帯電話機の蓋部と電子部品収容部との嵌合状態を示す図1のB−B線断面図であり、(b)は、電子部品収容体の斜視図である。
【図15】荷重センサと静電容量センサとを併用した場合の携帯電話機の図1に示すA−A線断面図である。
【図16】(a)は、携帯電話機の嵌合部分に直接配設された静電容量センサの対向電極の配設状態を示す拡大斜視図であり、(b)は、図1のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を説明する。各種の携帯電話機、電子カメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコンなどの電子機器において本発明を適用することができる。すなわち、以下に記載する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素又は全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0016】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る携帯電話機10は、第1筐体20と第2筐体30とを備え、第1筐体20と第2筐体30とが、ヒンジ部25により開閉可能に連結されている折り畳み式のものである。
【0017】
第1筐体20には、スピーカー21、表示画面22、及びアラーム吹鳴部23が設けられている。また、第2筐体30には、操作部31、マイクロフォン32、バイブレータ部34、及びコネクタ48が設けられている。
【0018】
表示画面22は、第1筐体20の上面中央部に設けられている。表示画面22は、LCD(Liquid crystal display;液晶表示装置)から構成されており、文字、数字、記号、画像等を表示する。スピーカー21は、表示画面22の上部に形成され、各種の音声を出力する。アラーム吹鳴部23は、第1筐体20の右側面に形成され、各種のアラームや着信音等を出力する。
【0019】
操作部31は、第2筐体30の上面中央部に設けられている。操作部31は、複数のボタン及びスイッチから構成されており、文字、数字、記号等が手動で入力される。マイクロフォン32は、操作部31の下方に設けられ、ユーザの音声など外部の音が入力される。バイブレータ部34は、着信時などに振動を起こすことにより、着信などを報知するものである。
【0020】
コネクタ48は、外部の充電ケーブル等と接続するためのものであり、第2筐体30の下側面30bに凹設された直方体状のコネクタ収容凹部45内に収容配置されている。
【0021】
図2に示すように、コネクタ収容凹部45は、下側面30bに設けられた第1の凹部46と、第1の凹部46の開口内に設けられた第2の凹部47と、から構成されている。第1の凹部46および第2の凹部47が有する開口の形状は長方形であり、第1の凹部46の開口の中央に第2の凹部47の開口が配置されている。
【0022】
第2凹部47は、Y軸上(図2(b)の紙面左右方向)に位置し対向して設けられた左右側面47b、47dと、Z軸上(図2(b)の紙面に直交する方向)に位置し対向して設けられた上下側面47a、47cと、を備えている。内側面47a、47b、47c、47dには、それぞれ、静電容量センサ50a、50b、50c、50dが配設されている。
【0023】
図3(a)〜(c)に示すように、静電容量センサ50(静電容量センサ50a〜50d)は、それぞれ、低誘電率の回路基板501上に形成された対向電極502、503を備えている。対向電極502は、複数の櫛歯電極部502aと、この電極が接続された引き出し線502bと、を有し、各櫛歯電極部502aは一定の距離を置いて相互に平行に配設されている。また、対向電極503も、複数の櫛歯電極部503aと、この電極が接続された引き出し線503bと、を有し、各櫛歯電極部503aは一定の距離を置いて相互に平行に配設されている。そして、対向電極502の櫛歯電極部502aと対向電極503の櫛歯電極部503aは、相互に咬合した状態で交互に配置されている。
【0024】
また、対向電極502、503の引き出し線502b、503bの端部は、CV(Capacitance-Voltage)変換回路505に接続されている。CV変換回路505は、対向電極502、503の静電容量差を電圧に変換して、対向電極502、503間の静電容量を検出する。
【0025】
静電容量センサ50a〜50dは、対向電極502、503の各櫛歯電極部502a、503aが、第2凹部47の開口部を形成する面と平行になるように、第2凹部47の内側面に配設される。このため、各櫛歯電極部が延びる方向と、後述するコネクタキャップ41の挿抜方向とが、略直交する。
【0026】
図2に戻り、コネクタキャップ41は、ABS樹脂から形成され、四角柱状の嵌合部41bが中央部から突設した平板四角形状のキャップ本体41aと、弾性部材で形成されたベルト状の連結部材41cと、からなり、連結部材41cにより第1凹部46の底面46eに連結されている。
【0027】
キャップ本体41aは、第1凹部46の開口部に嵌合可能とされている。
【0028】
嵌合部41bは、第2凹部47内に−X方向に向けて突設するコネクタ48を収容する凹部41dを備えている。また、嵌合部41bの幅及び高さは、第2凹部47の幅及び高さより僅かに小さく形成されている。また、嵌合部41bの周囲である側面には、パッキンゴム42が係合される溝41eが設けられている。
【0029】
パッキンゴム42は、弾性を有するゴム、具体的にはシリコンゴムからなる。また、パッキンゴム42は、環状の形状をなし、嵌合部41bの周囲に設けられた溝41eに係合されるように形成されており、その断面形状は円形をなしている。よって、パッキンゴム42は、嵌合部41bの周囲に設けられた溝41eに係合される。パッキンゴム42が溝41eに係合されると、パッキンゴム42は嵌合部41bの外周側面より外側へ突出する(図6〜図9参照)。このときの嵌合部41bに係合されたパッキンゴム42の幅及び高さは、第2凹部47の幅及び高さよりわずかに大きくなるように形成されている。
【0030】
パッキンゴム42を溝41eに係合した嵌合部41bが、第2凹部47内に嵌入されると、嵌合部41bがパッキンゴム42を介して第2凹部47に密着した状態で嵌合する。そして、パッキンゴム42は、内側面47a〜47dに配設されている静電容量センサ50a〜50dに押圧された状態で密着する。これにより、第2凹部47内の気密性が保たれる。
【0031】
図4に示すように、制御部101には、スピーカー21、表示画面22、アラーム吹鳴部23、バイブレータ部34、操作部31、マイクロフォン32、コネクタ48、静電容量センサ50(静電容量センサ50a〜50d)、記憶部120、送受信部140が接続されている。そして、制御部101は、バッテリー35から駆動電力が供給され、各部の動作を制御する。記憶部120には、静電容量センサ50により測定された静電容量値と比較される、基準となる静電容量値が記憶されている。送受信部140は、アンテナ24で受信した電波を音声信号に復調し、制御部101は、音声信号をスピーカー21から音声として出力する。また、マイクロフォン32は、入力された音声を音声信号に変換し、制御部101は、送受信部140により音声信号を電波に変調し、アンテナ24から電波として送信する。
【0032】
制御部101には、嵌合状態判定部104と、表示制御部105と、音声出力部106と、バイブレータ制御部107と、が設けられている。
【0033】
嵌合状態判定部104は、記憶部120に格納されている基準値としての静電容量と、静電容量センサ50で検知され、当該嵌合状態判定部104に出力された静電容量とを比較する。
表示制御部105は、表示画面22を制御し、文字、数字、記号、画像等を表示させる。音声出力部106は、アラーム吹鳴部23からアラームや着信音等を出力させる。バイブレータ制御部107は、バイブレータ部34を振動させて、着信等を報知させる。
【0034】
次に、図5〜図10を参照しながら、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合状態の検出方法、及び、コネクタ収容凹部45への水の浸入有無の検出方法について説明する。なお、これらの検出方法は、記憶部120に格納されたプログラムを制御部101が実行することによって実現される。
【0035】
図5及び図6(a)を参照して、まず、各静電容量センサ50a〜50dから、対向電極502、503間の静電容量が検知信号として出力される(ステップS101)。この静電容量は、対向電極502、503間に存在する物質の誘電率に基づいて測定された物理量である。尚、誘電率は、空気、シリコンゴム、水の順に大きくなるので、静電容量の値も、図6(b)等のグラフの縦軸に示すとおり、下から空気、シリコンゴム、水の順に大きくなる。
【0036】
図10(a)に示すように、パッキンゴム42が、対向電極502、503間の全てを押圧している場合には、主として対向電極502、503間に存在するシリコンゴムの誘電率に基づく静電容量が検知され、検知信号として嵌合状態判定部104に出力される。そして、全ての静電容量センサ50a〜50dからシリコンゴムの誘電率に基づく静電容量が検知された場合、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45とが嵌合していると判定する。また、図10(b)に示すように、パッキンゴム42が、対向電極502、503間の全てを押圧していていない場合には、シリコンゴム及び空気の誘電率に基づく静電容量が検知され、検知信号として嵌合状態判定部104に出力される。そして、静電容量センサ50a〜50dの内のいずれかから、シリコンゴム及び空気の誘電率に基づく静電容量が検知された場合、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45とが嵌合していないと判定する。
【0037】
図6(b)を参照して、嵌合状態判定部104は、各静電容量センサ50a〜50dから出力された静電容量の値が、予め記憶部120に記憶されているシリコンゴムの静電容量(以下、「第1基準値」という。)に基づく第1基準範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS102)。第1基準値は、図10(a)に示すように、パッキンゴム42が、対向電極502、503間の全てを押圧している場合に予め測定して得られた値であり、シリコンゴムの材質だけでなく、形状、長さなどを考慮して定められている。また、第1基準範囲は、人の油分等が付着した場合などに生じる測定誤差や各静電容量センサの個体差を考慮して定められており、第1基準値をCとすると、C−ΔC以上C+ΔC以下(ΔC>0)の範囲で表される。
【0038】
ステップS102で、静電容量センサ50a〜50dがそれぞれ検知した静電容量値C50a〜50dが、全て、第1基準範囲内である、つまり、C−ΔC≦C50a〜50d≦C+ΔCとなる場合には、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45に嵌合していると判定する(ステップS103)。具体的には、図6(a)に示すように、コネクタキャップ41が、コネクタ収容凹部45に嵌合している場合、図6(b)に示すように、全ての静電容量センサ50a〜50dから、シリコンゴムの誘電率に基づく静電容量が検知される。そして、ステップS103で、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45に嵌合していると判定し、表示制御部105にその旨の判定信号を出力するとともに、ここでの処理が一旦終了する。
【0039】
その一方、静電容量センサ50a〜50dが検知した静電容量値C50a〜50dの内のいずれかが、第1基準範囲から外れている場合、つまり、C<C−ΔC、或いは、C+ΔC<C(=C50a〜50dの内のいずれか)である場合には、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45から外れていると判定する(ステップS104)。
【0040】
例えば、図7(a)に示すように、コネクタキャップ41が、コネクタ収容凹部45から完全に外れている場合、図7(b)を参照して、静電容量センサ50a〜50dでは、空気の誘電率に基づく静電容量が検知される。また、図8(a)及び図9(a)に示すように、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合が不完全である場合では、一部の静電容量センサ50a〜50dがパッキンゴム42と完全に密着していない状態となっている(図10(b)参照)ため、図8(b)及び図9(b)に示すように、静電容量センサ50a〜50dから、空気及びシリコンゴムの双方の誘電率に基づく静電容量が検知される。
【0041】
そして、表示制御部105は、嵌合状態判定部104から入力された判定信号に基づき、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合が不完全である旨を、表示画面22に所定のアイコン27を表示する(図1参照)ことでユーザに報知する(ステップS105)。
【0042】
次に、嵌合状態判定部104は、静電容量センサ50a〜50dから出力された全ての静電容量値C50a〜50dが、予め記憶部120に記憶されている第1基準範囲から小さい側に外れているかどうかを判定する(ステップS106)。そして、静電容量値C50a〜50dが、第1基準範囲から小さい側に外れている場合、つまり、C50a〜50d<C−ΔCの場合には、ここでの処理が一旦終了する。
【0043】
次いで、嵌合状態判定部104は、静電容量センサ50a〜50dから出力された静電容量値C50a〜50dの内のいずれかが、予め記憶部120に記憶されている第1基準範囲から大きい側に外れているかどうかを判定する(ステップS107)。出力された静電容量の値C50a〜50dの内のいずれかが、第1基準範囲から大きい側に外れている場合、つまり、C+ΔC<C(=C50a〜50dの内のいずれか)の場合には、嵌合状態判定部104は、コネクタ収容凹部45内に水等の異物が浸入したと判定する(ステップS108)。
【0044】
例えば、図7(a)に示すように、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45から外れている状態で、携帯電話機100を水に浸した場合、第2凹部47内に水が浸入する。そして、図7(c)を参照して、静電容量センサ50a〜50dでは、水の誘電率に基づく静電容量値Cが検知される。また、図8(a)及び図9(a)に示すように、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合が不完全である場合にも、第2凹部47内に水が浸入すると、図8(c)及び図9(c)を参照して、水及びシリコンゴムの双方の誘電率に基づく静電容量値Cが検知される。
【0045】
そして、このような場合、ステップS109において、音声出力部106は、アラーム吹鳴部23からアラーム音28(図1参照)を吹鳴させ(ステップS109)、嵌合状態検出処理を終了する。
【0046】
本実施形態によれば、静電容量センサが検知した静電容量値が、シリコンゴムの静電容量に基づく第1基準範囲内にあるかどうかを判定することで、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45に嵌合しているか否かを検出することができる。そのため、水が機器内部へ浸入する前に、水が浸入する危険性を検知することができる。また、静電容量センサが検知した静電容量値が、第1基準範囲から大きい側に外れているかどうかを判定することで、コネクタ収容凹部45に水等の液体が浸入したことを検出することができる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、第1の実施形態の携帯電話機10と共通する構成については、特に説明する場合を除き、同一又は対応する符号を付すなどしてその説明を省略する。
第1実施形態では、シリコンゴムの静電容量値C(第1基準値)が記憶部120に記憶されていたが、本実施形態では、シリコンゴムの静電容量値Cに加え、さらに、空気の静電容量値C(第2基準値)と水の静電容量値C(第3基準値)とが記憶されている。ここで、第2基準範囲は、大気の湿度などによる誤差を考慮して定められている。具体的には、第2基準範囲は、C−ΔC以上C+ΔC以下(ΔC>0)の範囲で表される。同様に、第3基準範囲は、浸入する水に、塩分、界面活性剤などの成分が含まれている場合を考慮して定められている。具体的には、第3基準範囲は、C−ΔC以上C+ΔC以下(ΔC>0)の範囲で表される。
【0048】
次に、図11乃至図13を参照しながら、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合状態の検出方法、及び、コネクタ収容凹部45への水の浸入有無の検出方法について説明する。尚、本実施形態において、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45とが嵌合していない状態及び嵌合が不完全な状態、及びコネクタ収容凹部45へ水が浸入した状態を異常状態とよぶ。
まず、各静電容量センサ50a〜50dから、対向電極502、503間の静電容量が検知信号として出力される(ステップS201)。
【0049】
次に、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、静電容量センサ50a〜50dから出力された全ての静電容量値が、予め記憶部120に記憶されている第1基準範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS202)。
【0050】
ステップS202で、静電容量センサ50a〜50dがそれぞれ検知した静電容量値C50a〜50dが、全て、第1基準範囲内である場合、つまり、C−ΔC≦C50a〜50d≦C+ΔCとなる場合には、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45に嵌合していると判定する(ステップS203)。そして、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、表示制御部105にその旨の判定信号を出力するとともに、ここでの処理が一旦終了する。
【0051】
その一方、静電容量センサ50a〜50dが検知した静電容量値C50a〜50dの内のいずれかが、第1基準範囲から外れている場合、つまり、C<C−ΔC、或いは、C+ΔC<C(=C50a〜50dの内のいずれか)である場合には、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45から外れていると判定する(異常状態)(ステップS204)。
【0052】
次に、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、静電容量センサ50a〜50dから出力された全ての静電容量値が、予め記憶部120に記憶されている第2基準範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS205)。
【0053】
静電容量センサ50a〜50dが検知した静電容量値C50a〜50dが、全て、第2基準範囲内である場合、つまり、C−ΔC≦C50a〜50d≦C+ΔCである場合には、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、コネクタ収容凹部45内には水などの液体が浸入していないと判定する(ステップS206)。
【0054】
そして、表示制御部105は、嵌合状態・水分浸入有無判定部204から入力された判定信号に基づき、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45とが嵌合が不完全である旨を、表示画面22にアイコン27(図1参照)を表示することでユーザに報知する(ステップS207)。そして、ここでの処理が一旦終了する。
【0055】
その一方、静電容量センサ50a〜50dが検知した静電容量値C50a〜50dの内のいずれかが、第2基準範囲から外れている場合、つまり、C<C−ΔC、或いは、C+ΔC<C(=C50a〜50dの内のいずれか)である場合には、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、コネクタ収容凹部45内に水などの液体が浸入している可能性があると判定する(ステップS208)。
【0056】
次に、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、各静電容量センサ50a〜50dから出力された静電容量値が、予め記憶部120に記憶されている第3基準範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS209)。
【0057】
静電容量センサ50a〜50dが検知した静電容量の値C50a〜50dのいずれかが、第3基準範囲内である場合、つまり、C−ΔC≦C(=C50a〜50dの内のいずれか)≦C+ΔCである場合には、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、コネクタ収容凹部45内に水等の液体が浸入したと判定する(異常状態)(ステップS210)。
そして、このような場合、ステップS211において、音声出力部106は、アラーム吹鳴部23からアラーム音28(図1参照)を吹鳴させ(ステップS211)、嵌合状態検出処理は終了する。
【0058】
一方、静電容量センサ50a〜50dが検知した静電容量値C50a〜50dが、いずれも、第3基準範囲から外れている場合、つまり、C50a〜50d<C−ΔC、或いは、C+ΔC<C50a〜50dである場合には、嵌合状態・水分浸入有無判定部204は、コネクタ収容凹部45内に水などの液体が浸入していないと判定する(ステップS206)。
【0059】
そして、表示制御部105は、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45とが嵌合が不完全である旨を、表示画面22にアイコン27(図1参照)を表示することでユーザに報知する(ステップS207)。そして、嵌合状態検出処理は終了する。
【0060】
なお、出力された静電容量値が、図13に示すように、第1基準範囲と第2基準範囲との間の値(領域A)、及び第1基準範囲と第3基準範囲との間の値(領域B)の場合には、さらに、表示制御部105が表示画面22に別のアイコンを表示するか、又は音声出力部106がアラーム吹鳴部23から別のアラーム音を吹鳴させることもできる。これにより、嵌合状態が完全ではないため、水がコネクタ収容凹部45に浸入するおそれがあることをユーザに早期に報知することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、第2基準範囲をC−ΔC以上C+ΔC以下、第3基準範囲をC−ΔC以上C+ΔC以下、と設定したが、このような第2基準範囲の下限C−ΔC及び第3基準範囲の上限C+ΔCを必ずしも設定する必要性はない。
【0062】
本実施形態によれば、検知する対象によって異なる複数の静電容量値が記憶部120に記憶されているので、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合状態を検知する対象ごとに検知することができる。また、予め水の静電容量が記憶部120に記憶されているので、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45との嵌合部位に水が浸入している状態を的確に検知することができる。
【0063】
(第3実施形態)
本発明の技術的思想を、内部に電子部品を内蔵する筐体の嵌合部位に適用することにより、筐体が確実に嵌合しているかを検知することができる。
本実施形態では、携帯電話機10の製造ラインにおいて、蓋部301及び電子部品収容体302に電子部品などの必要部品を取り付け、蓋部301の嵌合部301a〜301dと、電子部品収容体302の側面302a〜302dとを嵌合させ、第2筐体30を組み立てる組立ラインに適用した場合について説明する。以下、第1の実施形態の携帯電話機10と共通する構成については、特に説明する場合を除き、同一又は対応する符号を付すなどしてその説明を省略する。
【0064】
図14(a)は、図1のB−B線断面図を示し、第2筐体30は、電子部品を収容する電子部品収容体302と、電子部品収容体302と嵌合する蓋部301、とから構成されている。蓋部301は、長方形平板状の上面301fと、その下面に形成された平面視長方形の枠型嵌合部301a〜301dを備えている(301b及び301dは図示省略)。そして、枠型嵌合部301a〜301dの周囲には、パッキンゴム42が係合されている。また、図14(b)に示すように、電子部品収容体302は、上面が開放された略直方体状であり、長方形の底面302eと、側面302a〜302dと、からなる。側面302a〜302dには、それぞれ、第1の実施形態と同様に形成された静電容量センサ350a〜350dが配設されている。静電容量センサ350a〜350dは、対向電極502、503の各櫛歯電極部502a、503aが、電子部品収容体302の開口部を形成する面と平行になるように、側面302a〜302dに配設される、このため、各櫛歯電極部が延びる方向と、枠型嵌合部301a〜301dの挿抜方向とが、略直交する。
【0065】
携帯電話機10の組立ラインにおいて、作業者は、蓋部301及び電子部品収容体302に電子部品などの必要部品を取り付けた後、蓋部301の嵌合部301a〜301dと、電子部品収容体302の側面302a〜302dとを嵌合させ、第2筐体30を組み立てる。このとき、嵌合部301a〜301dは、パッキンゴム42を介して、電子部品収容体302の側面302a〜302dに密着した状態で嵌合する。また、パッキンゴム42は、静電容量センサ350a〜350dに押圧された状態で密着する。
【0066】
その後、組立ラインの最終工程では、製品として出荷する前に、作業者が、携帯電話機10に電池を収納し、各種の作動状態を検査する。本実施形態では、この検査工程において、蓋部301と電子部品収容体302との嵌合状態が検査できる。具体的には、携帯電話機10の電源がオンされると、静電容量センサ350a〜350dが対向電極502、503間の静電容量を検知し、検知信号として出力する。この静電容量値Cが、第1基準範囲(図6(b)参照)内であれば、嵌合状態判定部104は、蓋部301と電子部品収容体302とが嵌合していると判定する。一方、静電容量値が、第1基準範囲から外れている場合、嵌合状態判定部104は、蓋部301と電子部品収容体302とが嵌合していないと判定するとともに、表示制御部105は、表示画面22にアイコンを表示させたり、音声出力部106は、アラーム吹鳴部23にアラーム音を吹鳴させる。
【0067】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記第1〜第3の実施形態では、センサとして静電容量センサを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、静電容量センサと共に、押圧力を検出できる荷重センサを用いてもよい。荷重センサには、金属抵抗歪みセンサを用いることができる。図15に示すように、荷重センサ60a〜60dは、荷重を受けて弾性変形する着力部60a’〜60d’を対向する内側面に向けて、第2凹部47の底部47e側の内側面47a〜47dに配設される。また、静電容量センサ61a〜61dは、対向電極502、503の各櫛歯電極部502a、503aが、第2凹部47の開口部を形成する面と平行になるように、第2凹部47の開口部側の内側面47a〜47dに配設される(加重センサ60a及び静電容量センサ61aは図示省略)。このため、各櫛歯電極部が延びる方向と、コネクタキャップ41の挿抜方向とが、略直交する。
【0069】
荷重センサ60a〜60dは、受けた荷重に比例してセンサ内の金属が伸縮し、抵抗値が変化する。この抵抗変化を電圧に換算することにより歪みを測定する。記憶部120には、着力部60a’〜60d’がパッキンゴム42から荷重を受けているときに出力される歪みの値が予め記憶されている。そして、嵌合状態判定部104は、各荷重センサ60a〜60dから出力された歪みの値が、予め記憶部120に記憶されている歪みに基づく所定の範囲内にあるかどうかを判定する。全てのセンサ60a〜60dから出力された歪みが、所定の範囲内であれば、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45に嵌合していると判定する。一方、センサ60a〜60dのいずれかが所定の範囲内ではない場合には、嵌合状態判定部104は、コネクタキャップ41がコネクタ収容凹部45に嵌合していないと判定するとともに、表示制御部105は、コネクタキャップ41とコネクタ収容凹部45とが嵌合が不完全である旨を、表示画面22にアイコンを表示することでユーザに報知する。
【0070】
また、静電容量センサ61a〜61dから出力される静電容量値により、第2凹部47内に水分が浸入しているか否かを検出することができる。水を検知した場合には、表示制御部105は、表示画面22にアイコンを表示することでユーザに報知する。
【0071】
この変形例によれば、嵌合部と被嵌合部とが嵌合している場合でも、何らかの理由により嵌合部位へ浸入した水を検知し、機器内部へ水が浸入しうる状態を早期に検出することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、静電容量センサ50は、独立した構成部品として構成したが、これに限られず、図16に示すように、静電容量センサ50を携帯電話機10と一体的に構成し、対向電極502、503を、第2凹部47の四つの面47a〜47dに直接形成することも可能である。この構成では、対向電極502、503を形成する基板が不要となるので、静電容量センサ50を実装するスペースを低減させることができる。
【0073】
また、上記実施形態において、封止手段はシリコンゴムからなるパッキンゴムで形成されていたが、これに限定されるものではなく、第2凹部47内の気密性を確保できるものであれば封止手段は他の材料から形成されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態において、嵌合状態検出構造及び嵌合状態検出装置は、携帯電話機に設けられていたが、これに限定されるものではなく、その他の電子機器、例えば、携帯オーディオ機器、ゲーム機等に設けられていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、コネクタキャップはABS樹脂などの硬質な樹脂から形成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、シリコンゴムなどの軟質な樹脂から形成されてもよい。また、上記実施形態において、コネクタキャップ41とパッキンゴム42とは別部材で構成したが、両者はシリコンゴムで一体成型されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態において、パッキンゴムは断面形状が円形に形成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、楕円、半円、四角形、平板状などに形成されていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態において、嵌合部と被嵌合部との嵌合が不完全である場合には、表示画面に所定のアイコンを表示させ、被嵌合部内に水等の液体が浸入した場合には、アラーム吹鳴部からアラーム音を吹鳴させてユーザに報知したが、これに限定されるものではない。例えば、いずれかの場合に、バイブレータ部を振動させてもよい。また、嵌合部と被嵌合部との嵌合が不完全である場合に、アイコンの表示、アラーム音の吹鳴及びバイブレータ部の振動の内、少なくとも1つを用いてユーザに報知することができる。また、被嵌合部内に水等の液体が浸入した場合にも、アイコンの表示、アラーム音の吹鳴及びバイブレータ部の振動の内、少なくとも1つを用いてユーザに報知することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、センサから出力された静電容量値が、シリコンゴムの誘電率に基づいて予め定められた静電容量値を中心にした所定の範囲より下に外れる場合には、コネクタキャップがコネクタ収容凹部に嵌合していないと判定し、表示画面に所定のアイコンを表示していた。しかし、これに限定されるものではない。例えば、予め、シリコンゴムの誘電率に基づいて定められる静電容量値と空気の誘電率に基づいて定められる静電容量値との間に、複数の異なる基準値を段階的に定めておく。そして、センサから出力された静電容量値によって、コネクタキャップが収容凹部から完全に外れているのか、大部分が外れているのか、僅かに外れているのか、嵌合しているのか、などの嵌合状態を各段階ごとに判定し、それに応じて異なるアイコンを表示したり、異なる大きさのアイコンを表示させてユーザに報知してもよい。ただし、嵌合している場合は特別な表示をする必要はない。
【0079】
また、上記実施形態では、センサから出力された静電容量値が、シリコンゴムの誘電率に基づいて予め定められた静電容量値を中心にした所定の範囲より上に外れる場合には、コネクタ収容凹部に水が浸入したと判定し、アラーム吹鳴部からアラーム音を吹鳴させていた。しかし、これに限定されるものではない。例えば、予め、シリコンゴムの誘電率に基づいて定められる静電容量値と水の誘電率に基づいて定められる静電容量値との間に、複数の異なる基準値を段階的に定めておく。そして、センサから出力された静電容量値によって、コネクタ収容凹部全体に水が浸入しているのか、コネクタ収容凹部の大部分に水が浸入しているのか、コネクタ収容凹部に僅かに水が浸入しているのか、水が浸入していないのか、などの水の浸入状況を各段階ごとに判定し、それに応じて異なる音量のアラームを吹鳴させたり、異なる音色のアラームを吹鳴させてユーザに報知してもよい。ただし、水が浸入していない場合はアラームを吹鳴させる必要はない。
【0080】
また、上記実施形態では、1つのコネクタ収容凹部を有する電子機器について説明したが、これに限られるものではなく、複数のコネクタ収容凹部を有する電子機器であってもよい。その場合は、嵌合が不完全であるコネクタキャップとコネクタ収容凹部とが特定できるようなアイコンを表示画面に表示させてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、嵌合部又は被嵌合部にセンサを設け、嵌合状態を検知することにより、事前に水が浸入するおそれを検知していたが、さらに、携帯端末の筐体の表面に露出するように静電容量センサを設けてもよい。この場合は、嵌合部又は被嵌合部に設けられたセンサが、嵌合部と被嵌合部とが正常に嵌合していると検知しても、露出した静電容量センサが水を検知したときには、電子機器の周囲に水が存在することをユーザに報知するために、表示画面にアイコンを表示させたり、アラーム吹鳴部からアラーム音を吹鳴させることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、被嵌合部に封止状態検知手段としてのセンサを設け、嵌合部に封止手段としてのシリコンゴムを設けたが、これに限定されるものではない。被嵌合部に封止手段を設け、嵌合部に封止状態検知手段を設けてもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、嵌合部と被嵌合部との嵌合が不完全である場合には、表示画面に所定のアイコンを表示させていたが、これに限定されるものではない。例えば、表示画面に文字情報を表示させて、ユーザに報知してもよい。
【符号の説明】
【0084】
20 第1筐体
21 スピーカー
22 表示画面
23 アラーム吹鳴部
30 第2筐体
31 操作部
32 マイクロフォン
34 バイブレータ部
41 コネクタキャップ
42 パッキンゴム
45 コネクタ収容凹部
46 第1凹部
47 第2凹部
48 コネクタ
50 静電容量センサ
50a 静電容量センサ
50b 静電容量センサ
50c 静電容量センサ
50d 静電容量センサ
100 携帯電話機
101 制御部
103 入力受付部
104 嵌合状態判定部
105 表示制御部
106 音声出力部
120 記憶部
140 送受信部
204 嵌合状態・水分浸入有無判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被嵌合部と、
前記被嵌合部に嵌合する嵌合部と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の一方に配設され、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合部位を封止する封止手段と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の他方に配設されると共に、前記封止手段との接触状態に応じた物理量を出力する封止状態検知手段と、
前記物理量に基づいて、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合状態を検出する嵌合状態判定部と、
を備えた嵌合状態検出構造。
【請求項2】
前記封止状態検知手段は、前記被嵌合部の複数箇所に設けられている請求項1に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項3】
前記封止状態検知手段は、静電容量センサ又は荷重センサである請求項1又は2に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項4】
前記センサは、凹部として形成されている前記被嵌合部の内側面に設けられ、前記被嵌合部の開口付近に静電容量センサが、前記被嵌合部の底部側に荷重センサが設けられている請求項3に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項5】
前記静電容量センサは、平行な複数の電極部と、該電極部が接続された引き出し線と、を有する櫛歯状の電極を備え、前記電極部は、嵌合部が被嵌合部に挿抜する方向に対して略直交する方向に延びるように形成されている請求項3又は4に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項6】
前記封止手段は、シリコンゴムから形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項7】
前記封止手段は、平面視環状であって、かつ、その断面形状が、円、楕円、半円、四角形又は平板状である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項8】
前記封止手段及び前記嵌合部は、一体的に成形された成形体である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の嵌合状態検出構造。
【請求項9】
被嵌合部と、
前記被嵌合部に嵌合する嵌合部と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の一方に配設され、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合部位を封止する封止手段と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の他方に配設され、前記封止手段と密着すると共に、前記封止手段との接触状態に応じた物理量を出力する封止状態検知手段と、
を備えた嵌合状態検出構造。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の嵌合状態検出構造を備えた嵌合状態検出装置であって、
前記嵌合状態判定部は、前記封止状態検知手段で検知された物理量の値と、予め定められた第1基準値との比較結果に基づいて、前記被嵌合部及び前記嵌合部が嵌合しているか否かを判定する嵌合状態検出装置。
【請求項11】
前記第1基準値を格納した記憶部をさらに備えている請求項10に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項12】
前記第1基準値は、前記被嵌合部と前記嵌合部とを嵌合させた状態で、予め測定して得られた物理量の値である請求項10又は11に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項13】
前記封止状態検知手段にて検知された値が、いずれも前記第1基準値に基づく所定の範囲内であるときに、前記嵌合状態判定部は、前記被嵌合部と前記嵌合部とが嵌合していると判定する請求項10乃至12のいずれか1項に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項14】
前記封止状態検知手段にて検知された値のいずれかが、第1基準値に基づく所定の範囲を大きい側に外れる場合、前記嵌合状態判定部は、前記嵌合部位への水の浸入の有無を判定する請求項10乃至12のいずれか1項に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項15】
前記封止状態検知手段は静電容量センサであり、前記静電容量センサが前記封止手段により押圧されたときに検知された値が、いずれも前記第1基準値に基づく所定の範囲内であるときに、前記嵌合状態判定部は、前記被嵌合部と前記嵌合部とが嵌合していると判定する請求項10乃至12のいずれか1項に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項16】
前記封止状態検知手段は荷重センサであり、前記荷重センサが前記封止手段から荷重を受けたときに検知された値が、いずれも前記第1基準値に基づく所定の範囲内であるときに、前記嵌合状態判定部は、前記被嵌合部と前記嵌合部とが嵌合していると判定する請求項10乃至12のいずれか1項に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項17】
前記嵌合状態判定部は、前記封止状態検知手段にて検知された値と、前記第1基準値とは異なる第2基準値との比較結果に基づいて、前記嵌合部位への水の浸入の有無をさらに判定するように構成されている請求項10乃至12のいずれか1項に記載の嵌合状態検出装置。
【請求項18】
被嵌合部としての収容部と、前記収容部と嵌合する嵌合部としての蓋部と、を備えた携帯端末であって、前記収容部と前記蓋部との嵌合状態を検出するために、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の嵌合状態検出装置を備えた携帯端末。
【請求項19】
前記嵌合状態判定部が前記収容部と前記蓋部とが嵌合していないと判定した場合、その旨をユーザに報知するための報知手段をさらに備えた請求項18に記載の携帯端末。
【請求項20】
前記嵌合状態判定部が前記収容部と前記蓋部とが嵌合していないと判定した場合と、水の浸入を判定した場合とで、異なる報知手段を用いてその旨をユーザに報知する請求項19に記載の携帯端末。
【請求項21】
前記嵌合状態判定部が前記収容部と前記蓋部とが嵌合していないと判定した旨を報知する報知手段として、アイコンを表示する表示部、アラーム音を吹鳴するスピーカー及び振動を発生させるバイブレータの内、少なくとも1つを備えた請求項19に記載の携帯端末。
【請求項22】
前記嵌合状態判定部が前記収容部に水が浸入したと判定した旨を報知する報知手段として、アイコンを表示する表示部、アラーム音を吹鳴するスピーカー及び振動を発生させるバイブレータの内、少なくとも1つを備えた請求項20に記載の携帯端末。
【請求項23】
前記封止状態検知手段で検知された物理量の値と、前記第1基準値を含む段階的に設定された複数の基準値とを比較し、前記表示部にその結果に応じて異なる表示態様で表示させることによりユーザに報知することを特徴とする請求項21に記載の携帯端末。
【請求項24】
前記封止状態検知手段で検知された物理量の値と、前記第1基準値を含む段階的に設定された複数の基準値とを比較し、前記スピーカーにその結果に応じて異なる音量又は音色を吹鳴させることによりユーザに報知することを特徴とする請求項22に記載の携帯端末。
【請求項25】
複数の前記収容部と、それらに嵌合する複数の前記蓋部とを備え、それらの組み合わせのうち、嵌合が不完全な組み合わせを特定する情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項21又は23に記載の携帯端末。
【請求項26】
前記収容部及び前記蓋部は筐体に設けられているとともに、前記筐体の表面には、当該表面に露出した静電容量センサがさらに設けられていることを特徴とする請求項18乃至25のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項27】
請求項9に記載の嵌合状態検出構造を備え、被嵌合部は収容部であり、嵌合部は蓋部であって、前記収容部の内部には接続端子が設けられていることを特徴とする携帯端末。
【請求項28】
被嵌合部及び前記被嵌合部に嵌合する嵌合部の一方に配設され、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合部位を封止する封止手段と、
前記被嵌合部及び前記嵌合部の他方に配設されると共に、前記封止手段との接触状態に応じた物理量を出力する封止状態検知手段と、
前記物理量に基づいて、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合状態を検知する嵌合状態判定部と、
を備えた嵌合部位の嵌合状態検出方法であって、
前記封止状態検知手段が、前記物理量を検知する過程と、
前記嵌合状態判定部が、前記物理量と所定の第1基準値とを比較する過程と、
前記嵌合状態判定部が、前記被嵌合部及び前記嵌合部が嵌合しているか否かを判定する過程と、
を含む嵌合状態検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−228452(P2011−228452A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96321(P2010−96321)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】