説明

工程改善支援装置、工程改善支援方法、工程改善支援用プログラム、および工程改善支援用プログラムを記録した記録媒体

【課題】熟練者がいなくても、現場作業者が日々生産しながら、最適な生産工程において発生する不良等に対する対策を決定できる、工程改善支援装置を提供する。
【解決手段】工程改善支援装置においては、不良画像、パレート図等を用いて改善が必要な改善対象を特定させ(S43、S34)、不良に対する対策計画を対策リスト生成エンジンに生成させて対策リストを作成する(S46、S37)。特定された不良ごとに、対策が施された複数の改善事例が収集されて、複数の改善事例とその効果とが一覧で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工程改善支援装置、工程改善支援方法、工程改善支援用プログラム、および工程改善支援用プログラムを記録した記録媒体に関し、特に、熟練者がいなくても工程改善や品質維持が可能な工程改善支援装置、工程改善支援方法、工程改善支援用プログラム、および工程改善支援用プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
工程の改善や品質の維持には、知識と経験が必要であるため、熟練者が必要である。しかしながら、近年、工場が海外移転されることが多く熟練者が配置できないことが多い。また、コスト競争力確保のため、熟練者を配置できない場合がある。その結果、熟練者が不足し、工程改善や品質維持が困難になりつつある。このような状態を改善すべく、熟練者がいなくても工程の改善や品質の維持を図るための方策がたとえば、特許第3,818,308号公報(特許文献1)や特許第3,441,111号公報(特許文献2)に記載されている。
【0003】
特許文献1によれば、各工程の撮像画像を用いて不良原因を推定し、調整すべき製造条件を決定し、条件値ごとの複数の不良率から、最適な条件値を決定している。特許文献2によれば、メンテナンス情報を蓄積し、蓄積した情報からルールを作成し、メンテナンス指示を出している。
【特許文献1】特許第3,818,308号公報
【特許文献2】特許第3,441,111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、熟練者がいなくても工程の改善や品質の維持を図るための方策は上記のように行われていた。特許文献1においては、現場で品質情報を収集するための機能がなく、人に任されており、スキル、時間の面で現場作業者にはできないという問題や、事例をまとめる機能がなく、後で活用できないという問題があった。
【0005】
特許文献2によれば、それぞれの事例に対策の有効性を判断して記入されることが前提となっており、有効かどうかをどのように判断するのかというスキルの面の問題がある。また、効果の高さが、効果のあった回数で決められており、一つの改善対策に対する最適な対策を決定することには役立たない。以上より、未経験の不良に対する改善には適していないという問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、熟練者がいなくても、現場作業者が日々生産しながら、最適な生産工程において発生する不良等に対する対策を決定できる、工程改善支援装置、工程改善支援方法、工程改善支援用プログラム、工程改善支援用プログラムを格納した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る、工程改善支援装置は、改善が必要な特定の不具合の入力を受付ける不具合受付け手段と、不具合受付け手段に入力された不具合に対する対策計画を入力する対策計画入力手段と、不具合受付け手段が受付けた不具合ごとに、対策計画入力手段によって入力された改善のための対策が施された複数の改善事例を収集する改善事例収集手段と、複数の改善事例とその効果とを一覧で表示する表示手段とを含む。
【0008】
特定の改善の必要な不具合に対して、複数の改善事例と効果とを一覧で表示するようにしたため、とりあえずいくつかの対策を施してみて、この表示を参照して効果の程度を比較すれば、誰でも簡単に最適な対策を決定できる。
【0009】
その結果、熟練者がいなくても、現場作業者が日々生産しながら、最適な対策を決定できる、工程改善支援装置を提供できる。
【0010】
好ましくは、表示手段に表示された複数の改善事例の中から所望の改善事例を選択させる選択手段を含む。
【0011】
さらに好ましくは、改善が必要な不具合を特定するためのデータを提供する不具合特定データ提供手段を含む。
【0012】
不具合特定データ提供手段は、不具合を特定するための各工程の検査画像またはパレート図を自動作成する手段を含んでもよいし、改善事例収集手段は、対策が施された時の品質情報を、1対策につき1件の事例として収集してもよい。
【0013】
改善事例収集手段は、改善のための対策が施された改善事例ごとに、その不具合の不具合率を検出する不具合率検出手段を含み、表示手段に表示される効果は、不具合率検出手段が検出した不具合率に基づいて表示されてもよいし、改善事例収集手段は、改善のための対策が施された改善事例ごとに、不具合発生箇所の画像を撮像する不具合箇所撮像手段を含み、表示手段に表示される効果は、不具合箇所撮像手段が撮像した画像を含んでもよい。
【0014】
なお、不具合は、基板形式、不良種、部品種のいずれか一つを含んでもよい。
【0015】
この発明の他の局面においては、工程改善支援方法は、改善が必要な特定の不具合の入力を受付けるステップと、不具合に対する対策計画を入力させるステップと、受付けた不具合ごとに、入力された改善のための対策が施された複数の改善事例を収集するステップと、複数の改善事例とその効果とを一覧で表示するステップとを含む。
【0016】
この発明のさらに他の局面においては、工程改善支援用プログラムは上記の工程改善支援方法をコンピュータに実行させる。
【0017】
なお、上記の工程改善支援用プログラムはコンピュータ読み取り可能記録媒体に記録してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明に係る工程改善支援装置10が電子部品実装装置40に適用されたときの全体構成を示すブロック図である。図1を参照して、電子部品実装装置40は、電子部品が実装される基板の流れる上流側から下流側に向かって配列された印刷工程と、マウント工程と、リフロー工程とを含む。各工程間は、コンベヤ、ロボット、その他の搬送装置によって連結されている。各工程には、その工程の処理を行なうための装置が設けられている。
【0019】
印刷工程には、基板のランドにはんだを印刷するための印刷機41と、印刷後の検査を行なう印刷後検査機42とが設けられる。マウント工程には、基板に部品をマウントするためのマウンタ43と、マウント後の検査を行なうマウント後検査機44とが設けられる。リフロー工程には、部品の端子をランドにはんだ付けをするためのリフロー炉45とはんだ付け後の検査を行なうリフロー後検査機46とが設けられる。
【0020】
印刷後検査機42、マウント後検査機44およびリフロー後検査機46は、それぞれ、ネットワーク47を介して工程改善支援装置10に接続されている。
【0021】
印刷後検査機42は、印刷されたはんだの計測値および検査結果などの検査データ、たとえば、印刷面積のデータが、図示のない計測器で計測される。マウンタ43からは、マウンタ43の使用ヘッド、使用ノズルおよび使用フィーダに関する装置情報が、マウント後検査機44からは、マウンタ43によるマウント後の検査データが、リフロー後検査機46からは、リフロー後検査結果を示す検査データが、それぞれ品質分析装置30に入力される。なお、各工程における検査機42,44,46は、センサ等の計測器と、外観等を検査する検査装置と、不良部分の画像(不良画像)や基板イメージを撮像するカメラ等を含み、不良ごとのパレート図作成用のデータ等を品質分析装置30に送信する。
【0022】
したがって、検査機42,44,46は不具合特定データ提供手段、不具合率検出手段、不具合箇所撮像手段として作動する。
【0023】
工程改善支援装置10は事例管理装置20と品質分析装置30とを含む。事例管理装置20は、装置全体を制御する事例管理装置制御部21と、事例管理装置制御部21に接続された事例データベース22と、モニタ23と、キーボード24と、マウス25とを含む。品質分析装置30は、装置全体を制御する品質分析装置制御部31と、品質分析装置制御部31に接続された事例データベース32と、モニタ33と、キーボード34と、マウス35とを含む。
【0024】
事例管理装置20と品質分析装置30も図示のないネットワーク接続機器でネットワーク47を介して相互に接続されており、印刷後検査機42、マウント後検査機44およびリフロー後検査機46は品質分析装置30に接続されている。印刷後検査機42、マウント後検査機44およびリフロー後検査機46からの検査結果データは品質分析装置30に入力されて、電子部品実装装置40の工程の改善が図られる。
【0025】
なお、ここでは工程改善支援装置10は事例管理装置20と品質分析装置30とに分けた場合について説明するが、これを一体化して一つのコンピュータとしてもよい。
【0026】
ここで、電子部品実装工程において発生する不具合として実装時に発生する不良を例にあげて説明する。不良としては、不良種別と不良箇所とがあり、不良種別には、ブリッジ(部品の電極間を短絡するようにはんだが付着すること)、濡れ不良(はんだとランド、又は、はんだと部品の電極との接合に不具合があること)、フィレット異常(はんだ量が多すぎたり少なすぎたりして、はんだを断面から見たときの輪郭線がきれいな山型になっていないこと)、および部品無し(部品が存在しないこと)等がある。ここでは、これらの不良を改善するために工程改善支援装置が使用されるものとする。
【0027】
図2は工程改善支援装置10を構成する事例管理装置20においてオペレータ(人)が行う動作内容を示すフローチャートである。図2を参照して、まず、1ロットの生産が終了すると、上記した各検査機からの品質データ(不良データ)を入力して登録する(ステップS11,S12、以下、ステップを省略する)。これは上記検査機42,44,46を用いて自動的に行うのが好ましい。今回生産されたロットが予め定められた改善テーマに関する機種であるか否かを判断し(S13)、改善テーマ機種であれば結果を登録し(S13でYES,S18)、改善度合いを評価する(S19)。この登録は自動的に行われるのが好ましいが、人が登録してもよい。評価において、所定のレベルの改善が見られたか否かによって、改善が完了したか否かを人が判断する(S20)。所定のレベルの改善があれば、改善を完了し(S20でYES)、最終的に実施する対策を決定して、改善テーマを閉じる(S21、S22)。
【0028】
S13で今回のロットが改善テーマの機種でなかったときで(S13でNO)、改善が必要であると判断したときは、新たに改善テーマを作成し、人が原因および対策を分析し、対策として登録する(S14〜S16)。その後、ロットごとに対策を実施してその結果を評価するためにS11へ戻る。なお、S20で改善が完了しなかったときはS17へ移行する。
【0029】
次に、図2に示した人の動作と工程改善支援装置10との関連、および、工程改善支援装置10の制御部21,31が行う動作との関係について図3を参照して説明する。図3はこの場合の人と工程改善支援装置10の制御部21,31の動作を示すフローチャートである。図3の左側に示した人の各動作は図2に示したものとほぼ同様である。図3の右側には人の動作に対応して事例管理装置20の制御部21、または、品質分析装置30の制御部31が行う動作を示す。
【0030】
図3を参照して、S31で1ロットの生産が終了すると、品質データベース32に不良率等を登録する(S32、S41)。改善テーマ機種であれば、結果を登録するが、具体的には、事例管理装置20の事例データベース22の該当改善テーマの対応する対策の事例エントリに、品質データのリンクを登録する(S33、S40,S42)。
【0031】
ここで、この実施の形態においては、大きな不良種を予め定めておき、個々の不良はいずれかの不良種(改善テーマ)に含められるように予め定められているものとする。
【0032】
改善テーマ機種ではないが、人が不良と判断したときは(S33でNO)、新たな改善対象の特定を行う(S34)。これは、具体的には、不良画像、パレート図、基板イメージ等を品質データベース32に登録することによって行う(S43)。したがって、制御部21は不具合受付手段として作動する。
【0033】
図5は改善テーマ管理における事例管理装置20のモニタ23に表示される画面表示例を示す図である。図5(A)は不良種ごとのパレート図(左上)と、不良率(中上)と、不良部分の画像(右上)と、基板画像(左下)を画像された状態を表している。人はこの図を参照して、改善対象を特定する。
【0034】
図5(D)は、不良箇所を特定するために、印刷工程、マウント工程、および、リフロー工程の三工程における検査画像の表示例を示す図である。このように各工程の検査画像を表示することによって画像で不良箇所を特定可能である。
【0035】
改善対象の特定後は、改善テーマを作成する(S35)。具体的には、該当ロットの品質データを品質データベース32から引用し、事例データベース22に改善テーマを作成する(S44)。図5(B)はこの場合の画面表示例を示す図である。人はここで画像や不良の内訳を登録する。
【0036】
図6(A)は、図5(B)に示した複数の事例の拡大図である。図6(A)に示すように、生産工程において生産が終了すれば、その都度、この図に示すように品質情報が品質分析装置30の品質データベース32に登録される。対策が施された複数の事例が、改善テーマ、基板形式、登録日、不良種、部品種、原因、対策、実施ロット、効果の順に一覧表として示されている。図に示すように、同一の改善テーマごとに、それぞれ異なった対策が採られた複数の事例が一覧表で表示される。また、実施ロットの部分をクリックすれば、その実施ロットにおける品質日報が図6(B)に示すように同一画面において表示される。すなわち、対策が施されたときの品質情報は1対策につき1件の事例として登録されるため、個々の対策がわかりやすく管理可能である。
【0037】
したがって、人は、必要に応じて詳細を参照しながら、効果を判定できる。この判定結果は、図6(A)の右端欄において、人が○、△、×のように記入する。なお、予め閾値を定めておき、制御部に自動的に効果を入力させるようにしてもよい。
【0038】
検査機で検出された不良データを基に不良原因推定エンジンを用いて不良の原因分析を行い(S45,S36)、対策リスト生成エンジンを用いて対策リストを作成し(S46、S37)、対策を登録する(S38)。具体的には事例データベース22の該当改善テーマに対策の数だけ事例エントリを作成する(S47)。その後、対策を実施する(S39)。したがって、制御部21は対策計画入力手段、および、改善事例収集手段として作動する。
【0039】
ここで、不良原因推定エンジンや対策リスト生成エンジンは、予め、熟練者の知識等に基づいて、特定の不良に対する原因や対策を出力するソフトウエアである。
【0040】
図5(C)は対策リストを作成した状態を示す画面表示例である。図に示すように、対策の数だけ、予め、事例のエントリを作成する。
【0041】
次に、図2のS21で示した対策の決定方法について説明する。図4はこの場合に人が事例管理装置20を用いて不良の対策を決定する場合の処理を示すフローチャートである。左側に人の処理を示し、右側に事例管理装置20における制御部21の行う動作を示す。図4を参照して、人は、事例管理装置20のモニタ23に改善テーマ内の各事例を一覧で表示させ、それを見て対策ごとの改善度合いを評価する(S61,S51)。具体的には、改善テーマ内の各事例に改善の程度を記入する(S62,S52)。したがって、制御部21およびモニタ23は表示手段として作動する。
【0042】
人は改善の程度を参照して、改善が完了したかどうかを判断する(S53)。改善が完了したと判断したときは(S53でYES)、最終的に実施する対策を決定し、改善テーマを閉じる(S55、S56)。なお、事例管理装置20においては、該当改善テーマの更新を停止し、参照のみが可能な状態とする(S63)。したがって、制御部21は選択手段として作動する。
【0043】
S53で人がまだ改善は完了していないと判断したときは、さらに対策を実施する(S54)。
【0044】
次に、図6(B)で説明した品質日報について説明する。図7は品質日報を示す図である。図7を参照して、品質日報は、生産情報(A)と、複数のパレート図(B)と、最多不良種の画像(C)と、不良率の推移曲線(D)とを含む。生産情報は、生産の日付、生産ライン番号、生産機種、生産総数、不良数、不良率を含む。
【0045】
複数のパレート図は不良種別と、最多不良種の部品種別等を含む。なお、この組み合わせは任意である。最多不良種の画像は、不良箇所の工程別画像を含む。不良率の推移は同一機種の過去一月間の不良率の推移を示す。
【0046】
以上のようにこの実施の形態においては、電子部品実装装置において、基板の生産が行われるごとに品質日報が作成されるため、改善がなされようが、なされまいが、行われた対策とその効果とが確実に記録として残される。
【0047】
次に、改善報告書について説明する。図8は改善報告書を示す図である。図8を参照して、改善報告書は不良情報(A)と、不良の画像(B)と、対策結果履歴(C)とを含む。不良情報は不良発生日を含み、基本的に生産情報と同じである。不良の画像は品質日報における最多不良画像と同様である。対策結果履歴は推定原因と、対策案と、対策実施日と、対策結果と、担当者名とを含む。
【0048】
不良情報と不良の画像とは、改善テーマの対象となる生産ロット情報であるため、品質日報から自動的に入力されるようにしてもよい。対策結果履歴はテーマ作成時に推定原因と対策案とをエンジニアが記述してもよいし、原因、対策を決定するエンジンが作成してもよい。また、この対策結果履歴は複数の欄を有し、対策を実施するたびに残りの欄に記入される。
【0049】
次に、品質日報と改善報告書とのリンクについて説明する。図9はこの状態を示す図である。図9を参照して、生産ロットA1によって問題が発生し(A)、これが改善テーマT1として改善報告書が作成されたとする(D)。したがって、改善報告書には生産ロットA1の生産情報A1、品質情報A1、および品質情報の詳細A1が記入される。この後、次回の同一基板機種の生産時に、対策T1−1を実施する。
【0050】
生産ロットA2において、対策T1−1が採用されてその品質日報が作成される(B)。このとき、生産ロットA2の品質日報には、その生産情報として対策T1−1が記録され、その処理後の評価が改善報告書にも、推定原因、対策T1−1が記録される。対策T1−1を実施した生産ロットA2の品質日報が作成されると、改善報告書から参照可能になる。改善前(生産ロットA1)の品質情報と比較し、改善度合いを人が評価して記入する(ここでは×)。
【0051】
さらに生産ロットA2において対策T1−2が施されたときも同様である(C)。なお、このリンクは、事例管理装置20によって行われる。
【0052】
次に、事例データベース22の構造について説明する。図10は事例データベース22の構造を示す図である。(A)は概念図であり、(B)は具体的な構成を示す図である。
【0053】
図10(A)を参照して、改善テーマ作成時には1件の事例がデータベースに追加される。これを親事例と呼ぶ。一つの改善テーマは、複数の事例で構成される。別の対策を実施した事例を登録するときに、1件ずつ事例が親事例をコピーしながら追加される。改善テーマ番号によって、同じ改善テーマかどうかが識別される。改善データベースの項目はテーマごとに共通の項目と事例ごとに個別の項目とが存在する。
【0054】
図10(B)を参照して、事例データベース22は、項目と、編集方法と、選択肢とを含む。項目としては、作業ステータス、原因、対策内容、対策効果、対策結果等を含み、それぞれについて、編集方法としては選択と自由入力とが選択できる。選択の場合の選択肢は選択肢欄に記載されている。項目は、事例ごとに個別のものと、改善テーマごとに共通の項目とが存在する。
【0055】
図11は、親事例に対して追加された事例を含む事例データベースを示す図である。図11に示すように、追加された事例を含む場合は改善テーマ作成時に登録された事例からコピーされて登録される。
【0056】
次に、改善テーマ管理画面について説明する。図12は事例管理装置20のモニタ24に表示された改善テーマ管理画面を示す図である。図12を参照して、改善テーマ管理画面においては、改善テーマの登録、対策追加、対策削除、改善テーマ完了、改善テーマ削除、改善テーマ完了取消、レポート出力、環境設定、データインポートの各ボタンを含むテーマ編集ボタンが表示される。
【0057】
また、改善テーマ管理画面には、作業ステータス、原因、対策内容、対策効果、対策結果、対策日、対策が表示される。
【0058】
次に、上記各ボタンを押したときの動作について説明する。テーマ編集ボタンを押した時の動作は次のとおりである。改善テーマの登録を押すと、新しい改善テーマ番号を持つ事例が1件追加される。対策追加を押すと、選択されている改善テーマと同じ改善テーマ番号を持つ事例が1件追加される。改善テーマごとに共通の項目は、元の事例からコピーされる。対策削除を押すと、選択されている事例を1件削除する。改善テーマ完了を押すと、選択されている改善テーマのステータスを「テーマ完了」とし、そのテーマの全事例を編集不可にする。改善テーマ削除を押すと、選択されている改善テーマの全事例を削除する。改善テーマ完了取消を押すと、完了になった改善テーマのステータスを「対策中」とし、事例を編集可能にする。レポート出力を押すと、選択されている改善テーマの全事例を元に、1枚のレポートを作成する。
【0059】
なお、表の表示を元となる事例(改善テーマ作成時に登録された事例)のみとするか、全事例を表示するかをラジオボタンを操作することにより選択可能である。
【0060】
なお、モニタ上に事例編集画面を表示して、そこで、事例の表示を編集できるようにしてもよいし、事例データベースから所望の項目(画像を含む)を含んだレポートを作成できるようにしてもよい。
【0061】
なお、上記実施の形態においては、工程改善支援装置を、電子部品実装装置に適用した場合について説明したが、これに限らず、複数の工程を経て製品を製造する任意の製造工程における工程の改善に適用してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態においては不具合として、不良種を例にあげて説明したが、これに限らず、基板形式や部品種等であってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態においては、パレート図等を表示して不具合を特定する場合について説明したが、これに限らず、たとえば、不具合を表示する任意のツールを用いてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、不具合に対する対策を対策エンジンを用いて自動的に入力させる場合について説明したが、これに限らず、人(熟練者)が対策を入力するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、工程改善支援装置がその専用装置(コンピュータ)である場合について説明したが、これに限らず、工程改善支援装置を汎用のパソコンとし、上記の動作を全てプログラム化して、パソコンをそのプログラムで作動させるようにしてもよい。この場合、このプログラムは、光ディスクやハードディスクのような記録媒体で提供してもよいし、ネットワークを介して、ネット上のサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0066】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明に係る工程改善支援装置が電子部品実装装置に適用されたときの全体構成を示すブロック図である。
【図2】工程改善支援装置を構成する事例管理装置において人が行う動作内容を示すフローチャートである。
【図3】人と工程改善支援装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】人が事例管理装置を用いて不良の対策を決定する場合の処理を示すフローチャートである。
【図5】改善テーマ管理における事例管理装置のモニタに表示される画面表示例を示す図である。
【図6】図5に示した複数の事例の拡大図である。
【図7】品質日報を示す図である。
【図8】改善報告書を示す図である。
【図9】品質日報と改善報告書とのリンクについて説明するための図である。
【図10】事例データベースの構造を示す図である。
【図11】親事例に対して追加された事例を含む事例データベースを示す図である。
【図12】改善テーマ管理画面を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 工程改善支援装置、20 事例管理装置、21,31 制御部、22 事例データベース、23,33 モニタ、24,34 キーボード、25,35 マウス、40 電子部品実装装置、41 印刷機、42 印刷後検査機、43 マウンタ、44 マウント後検査機、45 リフロー炉、46 リフロー後検査機、47 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善が必要な特定の不具合の入力を受付ける不具合受付け手段と、
前記不具合に対する対策計画を入力させる対策計画入力手段と、
前記不具合受付け手段が受付けた不具合ごとに、前記対策計画入力手段によって入力された改善のための対策が施された複数の改善事例を収集する改善事例収集手段と、
前記複数の改善事例とその効果とを一覧で表示する表示手段とを含む、工程改善支援装置。
【請求項2】
表示手段に表示された複数の改善事例の中から所望の改善事例を選択させる選択手段を含む、請求項1に記載の工程改善支援装置。
【請求項3】
前記改善が必要な不具合を特定するためのデータを提供する不具合特定データ提供手段をさらに含む、請求項1または2に記載の工程改善支援装置。
【請求項4】
前記不具合特定データ提供手段は、不具合を特定するための各工程の検査画像またはパレート図を自動作成する手段を含む、請求項3に記載の工程改善支援装置。
【請求項5】
前記改善事例収集手段は、対策が施された時の品質情報を、1対策につき1件の事例として収集する、請求項1から4のいずれかに記載の工程改善支援装置。
【請求項6】
前記改善事例収集手段は、改善のための対策が施された改善事例ごとに、その不具合の不具合率を検出する不具合率検出手段を含み、
前記表示手段に表示される効果は、前記不具合率検出手段が検出した不具合率に基づいて表示される、請求項1から5のいずれかに記載の工程改善支援装置。
【請求項7】
前記改善事例収集手段は、改善のための対策が施された改善事例ごとに、不具合発生箇所の画像を撮像する不具合箇所撮像手段を含み、
前記表示手段に表示される効果は、前記不具合箇所撮像手段が撮像した画像を含む、請求項1から6のいずれかに記載の工程改善支援装置。
【請求項8】
前記不具合は、基板形式、不良種、部品種のいずれか一つを含む、請求項1から7のいずれかに記載の工程改善支援装置。
【請求項9】
改善が必要な特定の不具合の入力を受付けるステップと、
不具合に対する対策計画を入力させるステップと、
受付けた不具合ごとに、入力された改善のための対策が施された複数の改善事例を収集するステップと、
複数の改善事例とその効果とを一覧で表示するステップとを含む、工程改善支援方法。
【請求項10】
請求項9に記載の工程改善支援方法をコンピュータに実行させる、工程改善支援用プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の工程改善支援用プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−134623(P2009−134623A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311274(P2007−311274)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】