説明

差動通信装置

【課題】伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わった後に発生するリンギングのプラス側への振幅を、伝送信号のハイレベル未満の所定の波高値に抑制する。
【解決手段】伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことが検出されたときに、第1トランジスタ52及び第2トランジスタ56により、所定時間だけ、2本の伝送線BP,BM間を、高電位伝送線BPから低電位伝送線BMに向かう方向を順方向とするダイオード60を介して接続する。このため、リンギングにより高電位伝送線BPの電位が低電位伝送線BMの電位よりもある程度大きくなると、その電位差がダイオード60の順方向降下電圧を超えた時点で、ダイオード60がオンする。その結果、リンギングのプラス側の波高値をダイオード60の順方向降下電圧に制限することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の伝送線の電位差によって、伝送される信号のレベルをハイレベルとローレベルとのいずれかに切り替える差動通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した差動通信装置の一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1の通信装置は、2本の伝送線間に接続され、抵抗及びコンデンサの直列回路からなる終端部と、他の装置との通信の終了を検出する通信終了検出部を備えている。そして、この通信終了検出部が通信の終了を検出すると、通信の終了から所定時間の間、終端部を介して2本の接続線間を接続する。このようにして、通信終了時に伝送線上で発生するリンギングを抑制できるようにしている。
【0003】
また、特許文献2の通信装置では、2本の伝送線にそれぞれ接続される送信側ECUのプラス側出力端子とマイナス側出力端子との間に、マイナス側出力端子からプラス側出力端子へ向く方向が順方向となるダイオードを配置している。このダイオードにより、マイナス側に振幅する電圧を短絡して抑制し、リンギングを低減させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253498号公報
【特許文献2】特開2006−101430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の通信装置は、抵抗とコンデンサの直列回路からなる終端部を用いてリンギングの抑制を図っているが、このような抵抗とコンデンサの直列回路では、必ずしも、所望の波高値まで、確実にリンギングを抑制することはできないという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の通信装置では、信号の送信がオンからオフに切り替えられた直後に、リンギングが、先にマイナス方向に振幅することに鑑みて、最初のマイナス方向への振幅をダイオードにより抑制する。それにより、結果的に、最初のマイナス方向に続いて発生する、プラス方向の振幅をも抑制しようとしている。しかしながら、単に、リンギングのマイナス方向への振幅をダイオードの順方向降下電圧相当の値に制限しただけでは、プラス方向への振幅を十分に抑制することはできない。引用文献2において、リンギングの振幅の様子が波形図に示されているが、プラス側の振幅は、信号の送信がオンされるときの出力電圧のレベルを超えてしまっている。このように、リンギングのプラス側の振幅が送信信号がオンとなるときの出力電圧のレベルを超えてしまうと、受信側において信号のレベルを誤って検知することにより通信エラーが発生する虞が生じる。
【0007】
なお、特許文献2では、プラス側の振幅を抑制するために、ダイオードに加えて、そのダイオードと並列にツェナーダイオードを設ける例も示されている。しかし、この場合であっても、ツェナーダイオードにより、送信信号がオンとなるときの出力電圧の発生を阻害しないようにする必要があるため、ツェナーダイオードのツェナー電圧は、送信信号がオンとなるときの出力電圧よりも大きく設定される。このため、リンギングのプラス側の振幅を、確実に送信信号がオンとなるときの出力電圧以下に抑制することはできない。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わった後に発生するリンギングのプラス側への振幅を、伝送信号のハイレベル未満の所定の波高値に抑制することが可能な差動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の差動通信装置は、
2本の伝送線の電位差によって、伝送される信号のレベルをハイレベルとローレベルとのいずれかに切り替える差動通信装置であって、
伝送線に接続され、信号を送信する送信回路と信号を受信する受信回路との少なくとも一方と、
送信回路と受信回路との少なくとも一方と並列に、伝送線に接続されたリンギング抑制回路と、を備え、
リンギング抑制回路は、
2本の伝送線を接続する接続線の途中に設けられ、2本の伝送線のうち、ハイレベル信号の伝送時に相対的に高電位となる高電位伝送線から、相対的に低電位となる低電位伝送線に向かう方向を順方向とする第1ダイオードと、
第1ダイオードと直列の関係となるように接続線に設けられたスイッチ回路と、
伝送線において伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出すると、スイッチ回路を予め定めた所定時間だけオンさせる駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、を有することを特徴とする。
【0010】
上述したように、請求項1に記載の差動通信装置では、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことが検出されたときに、スイッチ回路により、2本の伝送線間を、高電位伝送線から低電位伝送線に向かう方向を順方向とする第1ダイオードを介して接続する。このため、リンギングのプラス側の振幅が大きくなると、つまり、リンギングにより高電位伝送線の電位が低電位伝送線の電位よりもある程度大きくなると、その電位差が第1ダイオードの順方向降下電圧を超えた時点で、第1ダイオードがオンする。その結果、リンギングのプラス側の波高値を第1ダイオードの順方向降下電圧に制限することができる。従って、この第1ダイオードの順方向降下電圧を、伝送信号のハイレベル未満の値に設定しておくことにより、リンギングのプラス側への振幅を、伝送信号のハイレベル未満の所定の波高値に抑制することが可能となる。なお、第1ダイオードの接続は、ハイレベルの信号が伝送されるときに、第1ダイオードが、そのハイレベル信号の発生を阻害することはないよう設定された所定時間に制限されている。
【0011】
請求項2に記載したように、第1ダイオードと並列に接続された第1抵抗を設けることが好ましい。このように第1抵抗を設けることにより、第1ダイオードがオンする以前、つまり、リンギングのマイナス側の振幅が生じているとき及びリンギングのプラス側の振幅が第1ダイオードの順方向降下電圧よりも小さいときには、高電位伝送線と低電位伝送線は、第1抵抗を介して接続される。このため、高電位伝送線と低電位伝送線間に大きな電位差が生じることが抑制され、これによってもリンギングの発生を低減することができる。
【0012】
請求項3に記載したように、第1ダイオードと第1抵抗との第1並列回路と直列の関係となるように接続線に設けられ、低電位伝送線から高電位伝送線に向かう方向を順方向とする第2ダイオードと、当該第2ダイオードと並列に接続された第2抵抗と、からなる第2並列回路を備えても良い。このように構成すると、リンギングのプラス側の振幅を抑制するばかりでなく、マイナス側の振幅も抑制することが可能となり、リンギングの抑制効果を高めることができる。
【0013】
請求項4に記載したように、駆動信号出力回路は、低電位伝送線の電位が高電位伝送線の電位よりも高くなったとき、伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出するものであっても良い。定常的には、低電位伝送線の電位が高電位伝送線の電位よりも高くなることはなく、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わって、リンギングのマイナス側の振幅が発生したとき、低電位伝送線の電位が高電位伝送線の電位よりも高くなるためである。
【0014】
請求項5に記載したように、スイッチ回路は、接続線において直列に設けられた第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有し、
駆動信号出力回路は、
第1スイッチング素子に対して設けられ、第2スイッチング素子とは位相の反転した駆動信号を出力する位相反転回路と、
第2のスイッチング素子に対して設けられ、駆動信号が第2スイッチング素子に達するまでの時間を遅延させる遅延回路と、を有し、
伝送線において伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出する以前は、第1スイッチング素子をオフさせ、第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号を出力し、信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出したときに、第1スイッチング素子をオンさせ、第2スイッチング素子をオフさせる駆動信号に切り替えることが好ましい。
【0015】
このような構成により、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに、遅延回路の遅延時間に相当する時間だけ、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子がともにオンするため、その遅延時間に相当する所定時間だけスイッチ回路をオンすることができる。
【0016】
請求項6に記載したように、駆動信号出力回路は、低電位伝送線の電位と高電位伝送線の電位とを比較して、その比較結果に応じて駆動信号を切り替えるコンパレータ回路を有し、当該コンパレータ回路は、一旦、低電位伝送線の電位が高電位伝送線の電位よりも高くなったと判定すると、高電位伝送線の電位が低電位伝送線の電位よりも所定電圧以上高くならない限り、低電位伝送線の電位が高電位伝送線の電位よりも高いとの判定を維持するものであり、その所定電圧は、第1ダイオードにおける順方向降下電圧より大きい値に設定されることが好ましい。上述したように、コンパレータ回路が、ヒステリシスを有することにより、第1ダイオードによって、リンギングのプラス側の波高値を制限している際に、スイッチ回路がオフしてしまう事態の発生を防ぐことができる。
【0017】
請求項7に記載したように、駆動信号出力回路は、低電位伝送線の電位と高電位伝送線の電位とを比較して、その比較結果に応じて駆動信号を切り替えるコンパレータ回路を有し、当該コンパレータ回路は、低電位伝送線の電位が高電位伝送線の電位よりも高くなったとき、第1スイッチング素子をオンさせ、第2スイッチング素子をオフさせる駆動信号を出力し、一方、高電位伝送線の電位が低電位伝送線の電位よりも高くなったとき、第1スイッチング素子をオフさせ、第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号を出力するものであり、位相反転回路は、第1スイッチング素子をオフさせる駆動信号の伝達を遅延させる機能を備え、位相反転回路による第1スイッチング素子をオフさせる駆動信号の伝達の遅延は、リンギング周期よりも長い時間に設定されると良い。これにより、リンギングの発生時に、リンギングの振幅がマイナス側からプラス側に変化して、コンパレータから出力される駆動信号が切り替わっても、その駆動信号が第1スイッチング素子をオフさせる前に、コンパレータ回路が出力する駆動信号が第1スイッチ素子をオンさせる駆動信号に切り替わる。従って、請求項6の場合と同様に、第1ダイオードによって、リンギングのプラス側の波高値を制限する際に、スイッチ回路がオフしてしまう事態の発生を防ぐことができる。
【0018】
請求項8に記載したように、遅延回路は、複数段のインバータ回路を有し、当該複数段のインバータ回路は、第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号の前段側のインバータ回路から最終段までのインバータ回路への伝達を遅延させる機能を備え、前段側のインバータ回路から最終段までのインバータ回路への、第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号の伝達の遅延は、リンギング周期よりも長い時間に設定されると良い。これにより、リンギングの発生時に、リンギングの振幅がマイナス側からプラス側に変化して、コンパレータから出力される駆動信号が第2スイッチング素子をオンする駆動信号に切り替わっても、最終段のインバータ回路からは第2スイッチング素子をオフさせる駆動信号の出力が維持される。このため、遅延回路の遅延時間が経過した時点で、第2トランジスタをオフすることができる。
【0019】
請求項9に記載したように、駆動信号出力回路は、伝送線においてハイレベルの信号が伝送されたことを検出するハイレベル信号検出回路を備え、当該ハイレベル信号検出回路によってハイレベル信号が伝送されたことが検出された後においてのみ、伝送線において伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出するようにしても良い。このように、ハイレベル信号が伝送されたことを検出した後においてのみ、リンギングを抑制するための回路を動作させることにより、外部からのノイズによる差動電圧の乱れや伝送信号がハイレベルに立ち上がったときのリンギングなどにより、誤ってリンギングを抑制するための回路を動作させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態による差動通信装置が、通信ネットワークに適用された場合の全体構成を示す図である。
【図2】図1における、各送受信ノード30の構成を示す構成図である。
【図3】リンギング抑制回路の回路構成を示す回路図である。
【図4】高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとの電位差に応じて変換するインピーダンス制御回路のインピーダンスを示す特性図である。
【図5】リンギング抑制回路を設けた場合と設けない場合とで、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに発生するリンギングの様子の一例を対比して示す波形図である。
【図6】第2実施形態におけるリンギング抑制回路の回路構成を示す回路図である。
【図7】第2実施形態によるリンギング抑制回路を設けた場合と設けない場合とで、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに発生するリンギングの様子の一例を対比して示す波形図である。
【図8】第3実施形態におけるリンギング抑制回路の回路構成を示す回路図である。
【図9】第3実施形態におけるリンギング抑制回路の変形例による回路構成を示す回路図である。
【図10】第4実施形態におけるリンギング抑制回路の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態による差動通信装置について、図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による差動通信装置が、通信ネットワークに適用された場合の全体構成を示す図である。なお、本実施形態における通信ネットワークは、例えば車両に搭載された複数の車載ECU間において、データをやり取りするために用いることができる。
【0023】
図1に示すように、通信ネットワークにおいては、差動通信装置としての多数の送受信ノード30が設けられている。各送受信ノード30は、ジャンクションコネクタ10及び伝送線20を介して、相互に通信可能に接続されている。そして、複数の送受信ノード30のうち、一の送受信ノード30が送信回路により信号の送信を開始すると、残りの送受信ノード30は受信回路により、ジャンクションコネクタ10及び伝送線20を介して伝送される信号を受信する。
【0024】
図2は、各送受信ノード30の構成を示す構成図である。本実施形態における差動通信装置は、2本の伝送線BP,BMの電位差によって、伝送される信号のレベルをハイレベルとローレベルとのいずれかに切り替えるものである。このため、送信回路32は、図2に示すように、ハイレベル信号の伝送時に相対的に高電位となる高電位伝送線BPの電位を高電位とするか否かを切り替える高電位側MOSトランジスタ(以下、高電位側トランジスタ)34と、ハイレベル信号の伝送時に相対的に低電位となる低電位伝送線BMの電位を低電位とするか否かを切り替える低電位側MOSトランジスタ(以下、低電位側トランジスタ)42とを備えている。伝送信号のレベルをハイレベルとする場合には、高電位側及び低電位側トランジスタ34,42をともにオンし、ローレベルとする場合には、高電位側及び低電位側トランジスタ34,42をともにオフする。高電位側及び低電位側トランジスタ34,42のオン、オフは、データを送信する、図示しないECUによって制御される。
【0025】
高電位側トランジスタ34の出力端子は、整流用ダイオード36を介して高電位伝送線BPに接続されている。このため、高電位側トランジスタ34をオンオフすることにより、高電位伝送線BPの電位を高電位とするか否かを切り替えることができる。また、低電位側トランジスタ42の出力端子は、整流用ダイオード40を介して低電位伝送線BMに接続されている。このため、低電位側トランジスタ42をオンオフすることにより、低電位伝送線BMの電位を低電位とするか否かを切り替えることができる。高電位伝送線BPの電位が高電位となり、かつ低電位伝送線BMの電位が低電位となると、両伝送線BP,BM間の電位差が大きくなり、伝送される信号のレベルはハイレベルとなる。
【0026】
高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとは、抵抗38を介して接続されている。このため、高電位側及び低電位側トランジスタ34,42がともにオフされると、高電位伝送線BPの電位と低電位伝送線BMの電位との電位差が小さくなり、伝送される信号のレベルはローレベルとなる。
【0027】
受信回路44は、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとの間に接続されており、他の送受信ノード30の送信回路32から信号が送信されるとき、その信号を受信するものである。すなわち、受信回路44は、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとの電位差を検出して、送信された信号のレベルを検出する。
【0028】
本実施形態の特徴部分に係るリンギング抑制回路46は、送信回路32及び受信回路44と並列となるように、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとの間に設けられている。このリンギング抑制回路46は、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに、伝送線BP,BMのインピーダンス不整合などによって発生する電位差の周期的な変動であるリンギングを抑制するためのものである。なお、リンギング抑制回路46は、すべての送受信ノード30に設けられても良いが、特定の送受信ノード30に対して選択的に設けても良い。
【0029】
次に、図3の回路図に基づき、リンギング抑制回路46の構成を説明する。図3に示すように、リンギング抑制回路46は、高電位伝送線BPの電位と低電位伝送線BMの電位とを比較するコンパレータ回路48を備えている。このコンパレータ回路48は、高電位伝送線BPの電位が低電位伝送線BMの電位よりも高いとき、ハイレベルの信号を出力し、低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高いとき、ローレベルの信号を出力する。
【0030】
ここで、定常的には、低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高くなることはない。ただし、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わってリンギングが発生し、そのリンギングのマイナス側の振幅が発生したとき、過渡的に低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高くなる。従って、コンパレータ回路48の出力信号がハイレベルの信号からローレベルの信号に変化したことは、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わってリンギングが発生したことを意味する。このように、コンパレータ回路48は、リンギングの発生を検出する検出手段として機能する。
【0031】
また、コンパレータ回路48は、一旦、低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高くなったと判定してローレベル信号を出力すると、高電位伝送線BPの電位が低電位伝送線BMの電位よりも所定電圧以上高くならない限り、ローレベル信号の出力を維持する。すなわち、コンパレータ回路48は、高電位伝送線BPの電位と、低電位伝送線BMの電位との高低の比較において、ヒステリシスを有している。このヒステリシスの大きさ(所定電圧の大きさ)は、後述する第1インピーダンス制御回路58のダイオード60の順方向降下電圧より大きい値に設定されている。
【0032】
コンパレータ回路48の出力は、インバータ回路50を介して、第1のスイッチング素子である第1MOSトランジスタ(以下、第1トランジスタ)52のゲートへ与えられるとともに、抵抗54を介して、第2のスイッチング素子である第2MOSトランジスタ(以下、第2トランジスタ)56のゲートへ与えられる。第1トランジスタ52と第2トランジスタ56は、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとを接続する接続線において、直列に配置されている。この第1トランジスタ52及び第2トランジスタ56が、特許請求の範囲におけるスイッチ回路を構成する第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に相当する。
【0033】
コンパレータ回路48からハイレベル信号が出力されているときは、インバータ回路50により、そのレベルが反転されるので、第1トランジスタ52はオフし、第2トランジスタ56だけがオンする。そして、コンパレータ回路48の出力信号がハイレベルからローレベルに変化すると、第1トランジスタ52のゲートにはインバータ回路50によって反転されたハイレベル信号が即座に与えられて、第1トランジスタ52がオンする。一方、第2トランジスタ56のゲートには、コンパレータ回路48からのローレベル信号が、抵抗54の遅延作用により、所定時間遅れて与えられる。このように、抵抗54が特許請求の範囲における遅延回路に相当する。ただし、遅延回路としては、抵抗以外にも、例えばインバータを偶数個直列に接続したものや、いわゆるRC回路やLC回路を用いても良い。
【0034】
第2トランジスタ56のゲートに与えられるべきローレベル信号が遅延されている間は、第2トランジスタ56のゲート電位はハイレベルに保たれている。従って、第1トランジスタ52と第2トランジスタ56は、コンパレータ回路48の出力信号がハイレベルからローレベルに切り替わったとき、つまり、リンギングが発生したときに、抵抗54の遅延時間に応じた所定時間だけ、同時にオンする。
【0035】
高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとを接続する接続線には、第1トランジスタ52及び第2トランジスタ56と直列に、第1インピーダンス制御回路58が設けられている。このため、リンギングが発生して、第1トランジスタ52と第2トランジスタ56とが同時にオンしたとき、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとは、第1インピーダンス制御回路58を介して接続される。
【0036】
第1インピーダンス制御回路58は、高電位伝送線BPから低電位伝送線BMへ向かう方向を順方向とするダイオード60と、このダイオード60に対して並列に接続された抵抗62とからなる。従って、リンギングのマイナス側の振幅が生じているとき、つまり低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高いとき、及びリンギングのプラス側の振幅が生じていても、高電位伝送線BPの電位と低電位伝送線BMの電位との電位差が、ダイオード60の順方向降下電圧よりも小さいときには、図4に示すように、第1インピーダンス制御回路58によるインピーダンスは、抵抗62による整合インピーダンスとなる。
【0037】
そして、高電位伝送線BPの電位が、低電位伝送線BMの電位よりも、ダイオード60の順方向降下電圧に相当する電位差以上に高くなると、ダイオード60がオンするので、第1インピーダンス制御回路58のインピーダンスは、0に近い低インピーダンスとなる。このとき、高電位伝送線BPの電位は、図5に示すように、低電位伝送線BMの電位を基準として、ダイオード60の順方向降下電圧分だけ高い値にクランプされる。なお、図5は、本実施形態によるリンギング抑制回路46を設けた場合と設けない場合とで、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに発生するリンギングの様子の一例を対比して示す波形図である。
【0038】
以上のように構成されたリンギンク抑制回路46による作用効果について、説明する。本実施形態によるリンギング抑制回路46では、コンパレータ回路48により、リンギングが発生したことが検出されると、直列に配置された第1及び第2トランジスタ52,56が同時に所定時間だけオンされる。そして、リンギングのプラス側の振幅が大きくなって、第1インピーダンス制御回路58のダイオード60がオンすると、高電位伝送線BPの電位が、ダイオード60の順方向降下電圧に応じた値にクランプされる。その結果、図5に示すように、リンギングのプラス側の波高値をダイオード60の順方向降下電圧に制限することができる。従って、このダイオード60の順方向降下電圧を、ハイレベルの伝送信号を出力する際の電圧値未満の値に設定しておくことにより、リンギングのプラス側への振幅を、ハイレベルの伝送信号の電圧値未満の所定の波高値に抑制することが可能となる。
【0039】
第1インピーダンス制御回路58は、上述したように、伝送信号がハイレベルからローレベルに変化してリンギングが発生したときに、所定時間だけ、高電位伝送線BPと低電位伝送線BM間に接続される。従って、ダイオード60によるリンギングのプラス側の波高値の制限も、ハイレベルの信号が伝送されるときに、ダイオード60が、そのハイレベル信号の発生を阻害することはない時間内に制限されている。
【0040】
さらに、リンギング抑制回路46の第1インピーダンス制御回路58においては、抵抗62が、ダイオード60と並列に接続されている。このように抵抗62を設けることにより、ダイオード60がオンする以前、つまり、リンギングのマイナス側の振幅が生じているとき及びリンギングのプラス側の振幅がダイオード60の順方向降下電圧よりも小さいときには、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとが、抵抗62を介して接続されることになる。このため、抵抗62による整合インピーダンスにより、高電位伝送線BPと低電位伝送線BM間に大きな電位差が生じることが抑制され、これによってもリンギングの発生を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態のリンギング抑制回路46におけるコンパレータ回路48は、一旦、低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高くなってローレベル信号を出力すると、高電位伝送線BPの電位が低電位伝送線BMの電位よりも所定電圧以上高くならない限り、ローレベル信号の出力を維持する。そして、その所定電圧は、ダイオード60における順方向降下電圧より大きい値に設定されている。このため、ダイオード60によって、リンギングのプラス側の波高値を制限している間、第1トランジスタ52をオンさせ続け、かつ所定時間の遅延の後に第2トランジスタ56をオフさせる駆動信号を発生することができる。換言すれば、第1インピーダンス制御回路58のダイオード60によって、リンギングのプラス側の波高値を制限している際に、第1及び第2トランジスタ52,56からなるスイッチ回路がオフしてしまう事態の発生を防ぐことができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による差動通信装置について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、本実施形態におけるリンギング抑制回路46aの構成を示す回路図であり、図7は、そのリンギング抑制回路46aを設けた場合と設けない場合とで、伝送信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったときに発生するリンギングの様子の一例を対比して示す波形図である。
【0043】
なお、本実施形態の差動通信装置と上述した第1実施形態の差動通信装置とでは、リンギング抑制回路46、46aの構成に一部相違があるのみで、その他は同様に構成される。従って、以下、本実施形態の差動通信装置におけるリンギング抑制回路46aについてのみ説明する。また、本実施形態のリンギング抑制回路46aの説明に際し、上述した第1実施形態におけるリンギング抑制回路46と同じ構成については、同じ参照番号を付すことにより、詳しい説明は省略する。
【0044】
図6に示すように、本実施形態におけるリンギング抑制回路46aでは、高電位伝送線BPと低電位伝送線BMとを接続する接続線において、第1インピーダンス制御回路58と直列の関係となるように、第2インピーダンス制御回路64が設けられている。この第2インピーダンス制御回路64は、低電位伝送線BMから高電位伝送線BPに向かう方向を順方向とするダイオード66と、このダイオード66に対して並列に接続された抵抗68とからなる。
【0045】
このように、第2インピーダンス制御回路64を設けることにより、図7に示すように、リンギングのプラス側の振幅を抑制するばかりでなく、マイナス側の振幅も抑制することが可能となり、リンギングの抑制効果を高めることができる。
【0046】
具体的に説明すると、リンギングのマイナス側の振幅が生じた場合、低電位伝送線BMと高電位伝送線BPとの電位差が第2インピーダンス制御回路64のダイオード66の順方向降下電圧を超える以前は、第1インピーダンス制御回路58の抵抗62と第2インピーダンス制御回路64の抵抗68とを介して、その電位差に応じた電流が低電位伝送線BMから高電位伝送線BPに向かって流れる。従って、抵抗62と抵抗68とによる整合インピーダンスによって、低電位伝送線BMと高電位伝送線BP間に大きな電位差が生じることが抑制され、リンギングの発生を低減することができる。
【0047】
そして、低電位伝送線BMと高電位伝送線BPとの電位差が第2インピーダンス制御回路64のダイオード66の順方向降下電圧を超えると、ダイオード66がオンする。このとき、電流は、第1インピーダンス制御回路58の抵抗62と第2インピーダンス制御回路64のダイオード66を介して流れる。このため、低電位伝送線BMの電位は、高電位伝送線BPの電位を基準として、ダイオード66の順方向降下電圧分と抵抗62の両端電圧分だけ高い値にクランプされる。従って、リンギングのマイナス側の振幅の波高値が、ダイオード66の順方向降下電圧と抵抗62の両端電圧に応じた値に制限される。
【0048】
なお、リンギングのプラス側の振幅を抑制するための構成は、上述した第1実施形態とほぼ同様であるが、高電位伝送線BPから低電位伝送線BMに向かって電流が流れる際に、必ず、第2インピーダンス制御回路64の抵抗68を流れる点が相違する。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による差動通信装置について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の差動通信装置におけるリンギング抑制回路46bの構成を示す回路図である。なお、本実施形態のリンギング抑制回路46bの説明に際し、上述した第1実施形態におけるリンギング抑制回路46と同じ構成については、同じ参照番号を付すことにより、詳しい説明は省略する。
【0050】
図8に示すコンパレータ回路48aは、第1実施形態のコンパレータ回路48と異なり、ヒステリシスを有していない。すなわち、本実施形態のコンパレータ回路48aは、単純に、高電位伝送線BPの電位が低電位伝送線BMの電位よりも高いとき、ハイレベルの信号を出力し、低電位伝送線BMの電位が高電位伝送線BPの電位よりも高いとき、ローレベルの信号を出力するものである。
【0051】
このため、リンギングのプラス側の振幅が生じたときに、コンパレータ回路48aはハイレベル信号を出力する。このハイレベル信号に応じて、第1トランジスタ52がオフしないようにするため、本実施形態では、インバータ回路50aに工夫を凝らしている。すなわち、インバータ回路50aは、CMOSインバータ回路として、pMOS70とnMOS72とから構成され、さらに、nMOS72とアースとの間に抵抗74を設けている。
【0052】
従って、リンギングのプラス側の振幅が生じて、コンパレータ回路48aがハイレベル信号を出力したとき、インバータ回路50aのpMOS70がオフされ、nMOS72がオンされる。このため、第1トランジスタ52のゲートは、nMOS72及び抵抗74を介してアースされる。
【0053】
しかしながら、第1トランジスタ52のゲートがアースされる経路には抵抗74が介在しているので、第1トランジスタ52のゲート電位は、抵抗74の遅延作用によって、即座にアース電位にはならず、所定時間、ハイレベルに保たれる。この所定時間は、抵抗74の抵抗値により、リンギングの周期よりも長い時間に設定される。これにより、リンギングの発生時に、リンギングの振幅がマイナス側からプラス側に変化して、コンパレータからの出力信号がハイレベルに切り替わっても、そのハイレベル信号が第1トランジスタ52をオフさせる前に、コンパレータ回路48aの出力信号がローレベルに切り替わる。
従って、ダイオード60によって、リンギングのプラス側の波高値を制限する必要がある期間に、第1トランジスタ52がオフしてしまう事態の発生を防ぐことができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、コンパレータ回路48aが、最初にリンギングの発生を検出してから、所定時間後に第2トランジスタ56をオフするために、遅延回路54aに関しても工夫を凝らしている。
【0055】
具体的には、遅延回路54aとして、2段のインバータ回路と抵抗54とから構成した回路を用いている。そして、1段目のインバータ回路のnMOS78とアースとの間に抵抗80を設けている。
【0056】
従って、リンギングのプラス側の振幅が生じて、コンパレータ回路48aがハイレベル信号を出力したとき、1段目のインバータ回路のpMOS76がオフされ、nMOS78がオンされる。このため、2段目のインバータ回路のpMOS82及びnMOS84のゲートは、nMOS78及び抵抗80を介して接地される。
【0057】
しかしながら、抵抗80の遅延作用によって、2段目のインバータ回路のpMOS82及びnMOS84のゲートの電位は、即座にアース電位にはならず、所定時間、ハイレベルに保たれたままとなる。この所定時間は、抵抗80の抵抗値により、リンギングの周期よりも長い時間に設定される。これにより、リンギングの発生時に、リンギングの振幅がマイナス側からプラス側に変化して、コンパレータ回路48aからの出力信号がハイレベルに切り替わっても、そのハイレベル信号が2段目のインバータの出力を変化させる以前に、コンパレータ回路48aの出力信号がローレベルに切り替わる。
【0058】
この結果、リンギングのマイナス側の振幅が生じて、初めてコンパレータ回路48aの出力信号がローレベルに切り替えられたときから、2段目のインバータ回路の出力は、ローレベルに維持されたままとなる。従って、抵抗54の遅延作用によって決定される所定時間が経過した時点で、第2トランジスタ56はオフすることになる。
【0059】
なお、上述したようなヒステリシス機能を備えていないコンパレータ回路48aは、図9に示すように、pMOSトランジスタ48bと抵抗49によって構成することが可能である。この図9は、上述した第3実施形態によるリンギング抑制回路46bの変形例としてのリンギング抑制回路46cの構成を示す回路図である。
【0060】
また、図8に示した例では、遅延回路54aが2段のインバータ回路を有していたが、そのインバータ回路の段数は2段に制限されるものではなく、複数段であれば良い。この場合、上記抵抗80は、インバータ回路の最終段以外に接続すれば、コンパレータ回路48aからの出力信号のレベルが変化しても、その最終段の出力を維持することができる。
【0061】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による差動通信装置について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態の差動通信装置におけるリンギング抑制回路46dの構成を示す回路図である。なお、本実施形態のリンギング抑制回路46dの説明に際し、上述した第1実施形態におけるリンギング抑制回路46と同じ構成については、同じ参照番号を付すことにより、詳しい説明は省略する。
【0062】
図10に示すリンギング抑制回路46dは、2本の伝送線BP,BMにおいてハイレベルの信号が伝送されたことが検出された後においてのみ、2本の伝送線BP,BMにおいて伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出するようにしたものである。
【0063】
具体的には、本実施形態におけるリンギング抑制回路46dは、図10に示すように、送信回路32及び受信回路44と接続され、送信回路32がハイレベル信号を送信したこと、及び受信回路44がハイレベル信号を受信したことに基づいて、2本の伝送線BP,BMにハイレベル信号が伝送されたことを検出するコントローラ90を備えている。
【0064】
このコントローラ90は、2本の伝送線BP,BMにおいてハイレベル信号が伝送されたことを検出すると、高電位伝送線BPとコンパレータ回路48との間に挿入された第1スイッチ92、及び低電位伝送線BMとコンパレータ回路48との間に挿入された第2スイッチ94をともにオンする。これにより、高電位伝送線BPの電位と低電位伝送線BMの電位とがコンパレータ回路48に入力されるようになり、コンパレータ回路48によりリンギングの発生を検出して、リンギング抑制回路46dを動作させることが可能になる。
【0065】
このように、本実施形態では、2本の伝送線BP,BMにおいてハイレベル信号が伝送されたことを検出した後においてのみ、リンギング抑制回路46dを動作させているので、外部からのノイズによる差動電圧の乱れや伝送信号がハイレベルに立ち上がったときのリンギングなどにより、誤ってリンギングを抑制するための回路を動作させることを防止できる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0067】
例えば、上述した第2実施形態において説明した、第2インピーダンス制御回路64は、第3、第4実施形態において採用しても良い。逆に、第4実施形態において説明した、ハイレベルの伝送信号検出時のみ、リンギング抑制回路を動作させるための構成は、他の実施形態において採用しても良い。
【0068】
また、第1インピーダンス制御回路58は、抵抗のみからなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0069】
10 ジャンクションコネクタ
20 伝送線
30 送受信ノード
32 送信回路
44 受信回路
46 リンギング抑制回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の伝送線の電位差によって、伝送される信号のレベルをハイレベルとローレベルとのいずれかに切り替える差動通信装置であって、
前記伝送線に接続され、前記信号を送信する送信回路と前記信号を受信する受信回路との少なくとも一方と、
前記送信回路と前記受信回路との少なくとも一方と並列に、前記伝送線に接続されたリンギング抑制回路と、を備え、
前記リンギング抑制回路は、
前記2本の伝送線を接続する接続線の途中に設けられ、前記2本の伝送線のうち、ハイレベル信号の伝送時に相対的に高電位となる高電位伝送線から、相対的に低電位となる低電位伝送線に向かう方向を順方向とする第1ダイオードと、
前記第1ダイオードと直列の関係となるように前記接続線に設けられたスイッチ回路と、
前記伝送線において伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出すると、前記スイッチ回路を予め定めた所定時間だけオンさせる駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、を有することを特徴とする差動通信装置。
【請求項2】
前記第1ダイオードと並列に接続された第1抵抗を備え、前記接続線には、前記第1ダイオードと前記第1抵抗との第1並列回路が設けられることを特徴とする請求項1に記載の差動通信装置。
【請求項3】
前記第1ダイオードと前記第1抵抗との第1並列回路と直列の関係となるように前記接続線に設けられ、前記低電位伝送線から前記高電位伝送線に向かう方向を順方向とする第2ダイオードと、当該第2ダイオードと並列に接続された第2抵抗と、からなる第2並列回路を備えることを特徴とする請求項2に記載の差動通信装置。
【請求項4】
前記駆動信号出力回路は、前記低電位伝送線の電位が前記高電位伝送線の電位よりも高くなったとき、伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の差動通信装置。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、前記接続線において直列に設けられた第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを有し、
前記駆動信号出力回路は、
前記第1スイッチング素子に対して設けられ、前記第2スイッチング素子とは位相の反転した駆動信号を出力する位相反転回路と、
前記第2のスイッチング素子に対して設けられ、前記駆動信号が前記第2スイッチング素子に達するまでの時間を遅延させる遅延回路と、を有し、
前記伝送線において伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出する以前は、前記第1スイッチング素子をオフさせ、前記第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号を出力し、前記信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出したときに、前記第1スイッチング素子をオンさせ、前記第2スイッチング素子をオフさせる駆動信号に切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の差動通信装置。
【請求項6】
前記駆動信号出力回路は、前記低電位伝送線の電位と前記高電位伝送線の電位とを比較して、その比較結果に応じて前記駆動信号を切り替えるコンパレータ回路を有し、
当該コンパレータ回路は、一旦、前記低電位伝送線の電位が前記高電位伝送線の電位よりも高くなったと判定すると、前記高電位伝送線の電位が前記低電位伝送線の電位よりも所定電圧以上高くならない限り、前記低電位伝送線の電位が前記高電位伝送線の電位よりも高いとの判定を維持するものであり、
前記所定電圧は、前記第1ダイオードにおける順方向降下電圧より大きい値に設定されることを特徴とする請求項5に記載の差動通信装置。
【請求項7】
前記駆動信号出力回路は、前記低電位伝送線の電位と前記高電位伝送線の電位とを比較して、その比較結果に応じて前記駆動信号を切り替えるコンパレータ回路を有し、
当該コンパレータ回路は、前記低電位伝送線の電位が前記高電位伝送線の電位よりも高くなったとき、前記第1スイッチング素子をオンさせ、前記第2スイッチング素子をオフさせる駆動信号を出力し、一方、前記高電位伝送線の電位が前記低電位伝送線の電位よりも高くなったとき、前記第1スイッチング素子をオフさせ、前記第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号を出力するものであり、
前記位相反転回路は、前記第1スイッチング素子をオフさせる駆動信号の伝達を遅延させる機能を備え、
前記位相反転回路による前記第1スイッチング素子をオフさせる駆動信号の伝達の遅延は、リンギング周期よりも長い時間に設定されることを特徴とする請求項5に記載の差動通信装置。
【請求項8】
前記遅延回路は、複数段のインバータ回路を有し、当該複数段のインバータ回路は、前記第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号の前段側のインバータ回路から最終段までのインバータ回路への伝達を遅延させる機能を備え、
前記前段側のインバータ回路から最終段までのインバータ回路への、前記第2スイッチング素子をオンさせる駆動信号の伝達の遅延は、リンギング周期よりも長い時間に設定されることを特徴とする請求項7に記載の差動通信装置。
【請求項9】
前記駆動信号出力回路は、前記伝送線においてハイレベルの信号が伝送されたことを検出するハイレベル信号検出回路を備え、当該ハイレベル信号検出回路によってハイレベル信号が伝送されたことが検出された後においてのみ、前記伝送線において伝送される信号のレベルがハイレベルからローレベルに切り替わったことを検出することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の差動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−244347(P2011−244347A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116612(P2010−116612)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】