巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置
【課題】フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少ない巻き取り式エアーフィルター機構を提供する。
【解決手段】吸気口（図示せず）と排気口（図示せず）を連通する空気通路（図示せず）を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構で、送り出しリール１６と、巻き取りリール１７と、吸気口の近傍でかつ空気通路の途中に配される通気通路部１５と、一端が送り出しリール１６に、他端が巻き取りリール１７にそれぞれ係止されると共に通気通路部１５を横断するフィルター体１８と、巻き取りリール１７を回転駆動する駆動体１９と、フィルター体１８を除塵する除塵体３０とを備え、除塵体３０を通気通路部１５より外方に配したもので、フィルター体１８で捕集された塵埃は、除塵体３０で確実に除去され、除塵体３０が通気通路部１５より外方にあるので、外気の通過が阻害されない。
【解決手段】吸気口（図示せず）と排気口（図示せず）を連通する空気通路（図示せず）を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構で、送り出しリール１６と、巻き取りリール１７と、吸気口の近傍でかつ空気通路の途中に配される通気通路部１５と、一端が送り出しリール１６に、他端が巻き取りリール１７にそれぞれ係止されると共に通気通路部１５を横断するフィルター体１８と、巻き取りリール１７を回転駆動する駆動体１９と、フィルター体１８を除塵する除塵体３０とを備え、除塵体３０を通気通路部１５より外方に配したもので、フィルター体１８で捕集された塵埃は、除塵体３０で確実に除去され、除塵体３０が通気通路部１５より外方にあるので、外気の通過が阻害されない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電子機器等に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構及びそれを用いたプロジェクター装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のこの種の巻き取り式エアーフィルター機構として、送り出しリールと、前記送り出しリールと間を置いて配された巻き取りリールと、一端が前記送り出しリールに係止されると共に巻かれ、他端が前記巻き取りリールに係止されたロール状のエアーフィルターと、巻き取りリールを回転駆動する駆動手段と、エアーフィルターをファンに密接すると共にエアーフィルターの張力を一定にするためのテンショナーを備え、前記エアーフィルターの前記送り出しリールと前記巻き取りリール間に位置する部分を、機器に設けられた空冷用吸気口の前に配置して、機器の運転中に、所定の時間間隔で前記駆動手段に通電して、汚れたエアーフィルターを巻き取りリールに順次巻き取るようにしたものがある（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
又、巻き取り式エアーフィルターを用いたものではないが、機器に設けられた外気取り入れ口に沿って移動可能又は外気取り入れ口上で回転可能に配設したプレフィルターと、前記プレフィルターを移動又は回転させるための駆動メカユニットと、前記プレフィルターに摺接し、付着した粉塵を除去するブラシと、前記プレフィルターより下流側に設けられると共に、前記プレフィルターより粒子径の小さい塵埃を捕集する第２のエアフィルターとから構成され、前記プレフィルターに一定量の粉塵が溜まっていることを、目詰まりセンサーで感知した時、あるいは所定の時間が経った時に、駆動メカユニットでプレフィルターを移動または回転させ、その間にブラシでプレフィルターに付着した埃や粉塵を除去するようにしたものもある（例えば、特許文献２参照）。
【特許文献１】特開平８−１２８４００号公報
【特許文献２】特開２００８−０６５０２１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記特許文献１に記載されたような従来の巻き取り式エアーフィルター機構の構成では、エアーフィルターに付着した塵埃を除去する機構が無く、単に塵埃で目詰まりしたエアーフィルターを巻き取りリールで巻き取るだけなので、エアーフィルターの全長が目詰まりしたときは、エアーフィルターを巻き取りリールごと取り外し、そのエアーフィルターを広げて掃除する必要があり、清掃作業が非常に面倒であった。また、エアフィルターは、巻き取りリール側にのみ移動可能、すなわち一方向にしか使用できないため、長期間の使用は困難で、清掃や、交換頻度が多くなり面倒である、という課題があった。
【０００５】
また、テンショナーが設けられているため、駆動手段の駆動トルクを大きくする必要があり、この為駆動手段の大型化、ひいては機器の大型化を招く、という課題がった。
【０００６】
又、上記第２の引用文献に実施の形態１として記載された従来のフィルターユニットの構成では、ブラシが設けられているので、プレフィルターからの塵埃の除去を確実に行うことができるが、プレフィルターから塵埃を除去するために、プレフィルターを移動させた時に、外気取り入れ口が開放されるので、外気が第２のエアフィルターに直接侵入することになり、塵埃が機器内に直接侵入することが無いものの、第２のエアフィルターが早期に目詰まりする、という課題があった。
【０００７】
また、同特許文献に実施の形態２として記載された従来のフィルターユニットの構成では、プレフィルターを清掃する際に、プレフィルターを回転させるようなっているので、外気取り入れ口が常にプレフィルターで覆われ、第２のエアフィルターが早期に目詰まりすることはないが、ブラシが、プレフィルターの外気通過面に配置されているため、プレフィルターの有効濾過面積が減少され、プレフィルターの目詰まりの時期が早くなり、その結果、除塵回数が多くなって、駆動メカユニットの寿命が短くなる、という課題があった。
【０００８】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少なく、メンテナンスの容易な巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記従来の課題を解決するために、本発明の巻き取り式エアーフィルター機構は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記除塵体を、前記通気通路部より外方に配したもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無く非常に衛生的である。また、除塵体を、フィルター体の通気通路部より外方、すなわち、フィルター体の外気が通過する通気エリア以外に設けているので、除塵体が、外気の通過を阻害することなく、フィルター体の有効活用が可能で、本体のコンパクト化にも役立つ。
【００１０】
さらに、フィルター体で塵埃が所定量捕集されたら、駆動体で巻き取りリールを回転させて、フィルター体を巻き取りリールに、通気通路部の幅の分だけ移動させることにより、汚れのない新鮮なフィルター体が吸気口に配置されるので、目詰まりは確実に解消され外気は通過しやすいものである。
【００１１】
さらに、除塵体によるフィルター体の除塵は、外気が通過する通気通路部の外側で行われるので、除塵体によって捕集された塵埃がフィルター体の目を通過することが防止される。
【００１２】
また、本発明の巻き取り式エアーフィルター機構は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記巻き取りリールに所定長の前記フィルター体が巻き取られた後、前記フィルター体を巻き戻すために前記送り出しリールを回転駆動する巻き戻し駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記フィルター体を前記除塵体で除塵した後、前記フィルター体を巻き戻しさせるもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無いので非常に衛生的である。また、一旦除塵されたフィルター体を、送り出しリール側に、所定長さづつ巻き戻しすることで、フィルター体を往復使用して、フィルター体を長期にわたり有効活用することが出来る。
【００１３】
また、本発明のプロジェクター装置は、吸気口と排気口を有する本体は、光源ランプ等より成る画像表示素子体と、該画像表示素子体からの画像を拡大投射可能に設けられレンズ等より成る投射体と、該投射体や前記画像表示素子体を制御する電子部品等より成る制御体と、前記吸気口から外気を前記本体内に吸引し、内部を冷却した後、前記排気口より排気するための送風機と、請求項１〜４のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構とを備え、前記巻き取り式エアーフィルター機構は、前記本体に着脱自在で、且つ、前記巻き取り式エアーフィルター機構を前記本体に取り付けたときに、前記巻き取り式エアーフィルター機構の通気通路部が、前記吸気口と気密に連通するようにしたもので、エアーフィルター体の除塵が、使用者の手を煩わすこと無く除塵体で確実に行われる。また、エアーフィルター体は常にきれいな状態で維持されるので、エアーフィルター体の部分での空気圧損が少なく、プロジェクター装置内部を効率よく冷却できるので、信頼性に優れたプロジェクター装置を提供することが出来る。
【発明の効果】
【００１４】
本発明の巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置は、フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少なく、メンテナンスが非常に容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
第１の発明は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記除塵体を、前記通気通路部より外方に配したもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無く非常に衛生的である。また、除塵体を、フィルター体の通気通路部より外方、すなわち、フィルター体の外気が通過する通気エリア以外に設けているので、除塵体が、外気の通過を阻害することなく、フィルター体の有効活用が可能で、本体のコンパクト化にも役立つ。
【００１６】
さらに、フィルター体で塵埃が所定量捕集されたら、駆動体で巻き取りリールを回転させて、フィルター体を巻き取りリールに、通気通路部の幅の分だけ移動させることにより、汚れのない新鮮なフィルター体が吸気口に配置されるので、目詰まりは確実に解消され外気は通過しやすいものである。
【００１７】
さらに、除塵体によるフィルター体の除塵は、外気が通過する通気通路部の外側で行われるので、除塵体によって捕集された塵埃がフィルター体の目を通過することが防止される。
【００１８】
第２の発明は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記巻き取りリールに所定長の前記フィルター体が巻き取られた後、前記フィルター体を巻き戻すために前記送り出しリールを回転駆動する巻き戻し駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記フィルター体を前記除塵体で除塵した後、前記フィルター体を巻き戻しさせるもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無いので非常に衛生的である。また、一旦除塵されたフィルター体を、送り出しリール側に、所定長さづつ巻き戻しすることで、フィルター体を往復使用して、フィルター体を長期にわたり有効活用することが出来る。
【００１９】
第３の発明は、特に、第１又は第２の発明の除塵体により除塵された塵埃を収納する塵埃収納室を有する塵埃収納体を設けたもので、フィルター体から除去された塵埃を塵埃収納体内に貯めておくことができるので、除塵体が動作する都度塵埃を廃棄する必要が無く、メンテナンスが容易である。なお、塵埃収納体を着脱自在に設ければ、適当な時期に塵埃収納体のみを外し、中の塵埃をゴミ箱や袋等に捨て去れば良いもので、容易にしかも衛生的に塵埃を廃棄処理することが出来る。
【００２０】
第４の発明は、特に、第１〜３のいずれか一つの発明の送り出しリールと巻き取りリール間で、且つ、通気通路部の外方に、フィルター体が巻き始めから巻き終わりまでの間、前記フィルター体の前記通気通路部を横断する位置が一定となるよう一対のフィルター支持体を配したもので、フィルター体が巻き取りリールに巻き取られる際、送り出しリールと巻き取りリールのそれぞれの全体の外径寸法が変わっても、一対のフィルター支持体を設けることで、フィルター体が、吸気口に対し傾斜することがなく、常に平行に配置され、吸気口とフィルター体との間に隙間が生じなく、そのシール性が向上する。また、フィルター体の張力も一定に維持することが出来る。
【００２１】
第５の発明は、吸気口と排気口を有する本体は、光源ランプ等より成る画像表示素子体と、該画像表示素子体からの画像を拡大投射可能に設けられレンズ等より成る投射体と、該投射体や前記画像表示素子体を制御する電子部品等より成る制御体と、前記吸気口から外気を前記本体内に吸引し、内部を冷却した後、前記排気口より排気するための送風機と、請求項１〜４のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構とを備え、前記巻き取り式エアーフィルター機構は、前記本体に着脱自在で、且つ、前記巻き取り式エアーフィルター機構を前記本体に取り付けたときに、前記巻き取り式エアーフィルター機構の通気通路部が、前記吸気口と気密に連通するようにしたもので、エアーフィルター体の除塵が、使用者の手を煩わすこと無く除塵体で確実に行われる。また、エアーフィルター体は常にきれいな状態で維持されるので、エアーフィルター体の部分での空気圧損が少なく、プロジェクター装置内部を効率よく冷却できるので、信頼性に優れたプロジェクター装置を提供することが出来る。
【００２２】
第６の発明は、特に、第５の発明の吸気口と排気口間の通過空気の温度又は、圧力を検知するセンサー或いは、運転時間を積算するタイマーを備え、該センサーによる検知結果或いは、タイマーによる積算結果に応じて、駆動体で巻き取りリールを回転させてフィルター体を所定距離移動させるもので、フィルター体が塵埃により目詰まりすると、外気の流れが弱くなり、プロジェクター装置本体内の冷却効果は低減するが、本体内の温度や圧力を検知するセンサーを設けることで、機器の内部温度が高かったり、或いは、機器内の圧力が低く、外気の流れが異常であることを検知したとき、駆動体を駆動して、フィルター体の汚れていない部分を通気通路部まで移動させることで、使用者が自らフィルター体を移動させることなく、異状に対応することが出来、非常に便利である。又、タイマーによる運転時間の積算結果に基づいて、フィルター体の塵埃による目詰まり具合がある程度想定できるので、タイマーによる運転時間の積算結果に応じて、駆動体を駆動して、フィルター体の汚れていない部分を吸気口まで移動させるようにしても同様の効果が得られる。
【００２３】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【００２４】
（実施例１）
【００２５】
図１は、本発明の第１の実施例における巻き取り式エアーフィルター機構を搭載したプロジェクター装置の外観斜視図、図２は、同プロジェクター装置の巻き取り式エアーフィルター機構の取付け部の断面図、図３は、同巻き取り式エアーフィルターの拡大断面図、図４は、同巻き取り式エアーフィルター機構の斜視図である。
【００２６】
図１〜４において、本実施例における巻き取り式エアーフィルター機構１（以下「フィルター機構１」という）を搭載したプロジェクター装置２の本体２ａの前部には、画像を投射する投射レンズを有する投射体３が、一側には、吸気口４が、他側には、排気口５がそれぞれ形成されている。
【００２７】
本体２ａ内部には、投射体３により投射される画像を光学的に処理する多数の電子部品等から成る画像表示素子体６と、電源基板体７と、本体２ａ内の温度や圧力等を検知するセンサー８と、吸気口４と排気口５を連通する空気通路９内に配され、吸気口４から外気を吸引し、画像表示素子体６や電源基板体７などの発熱部品を冷却し、排気口５より排気させるための送風機１０と、画像表示素子体６や送風機１０などを制御する制御体１１等が内装されている。
【００２８】
また、本体２ａの前方乃至上部には、ＬＥＤなどからなり、本体２ａの動作状況等を表示して、使用者に告知する告知部１２が設けられている。
【００２９】
本実施例では、フィルター機構１は、本体２ａの吸気口４が形成された側面に、着脱自在に装着できるようになっている。
【００３０】
次に、本実施例におけるフィルター機構１の構成について詳述する。
【００３１】
フィルター機構１は、対向して設けられ略直方体状のリール収納体１４と、一対のリール収納体１４間に形成された通気通路部１５とを備えている。この通気通路部１５は、フィルター機構１を本体２ａに装着したときに、吸気口４の近傍で、しかも通気通路部１５の途中に、すなわち吸気口４と送風機１０との間に位置すると共に、吸気口４と気密に連通するようになっており、動作時に、吸気口４から流入する外気が通る通路となるものである。
【００３２】
リール収納体１４の一方（図３、４において、右側）に、送り出しリール１６が、他方（図３、４において左側）に巻き取りリール１７がそれぞれ回転自在に支持されている。
【００３３】
１８は、外気に含まれる塵埃を捕集するための細かい通気穴（図示せず）を多数有するフィルター体で、その一端は、前記送り出しリール１６に、他端は、前記巻き取りリール１７にそれぞれ固着されている。本実施例では、フィルター体１８の全長を、少なくとも、前記通気通路部１５の幅の長さの１０倍以上に設定しており、その大半は、あらかじめ、送り出しリール１６に捲回されていて、フィルター体１８の送り出しリール１６と巻き取りリール１７との間に位置する部分は、通気通路部１５を横断するように、しかも気密に配されている。
【００３４】
１９は、巻き取りリール１７の下方に配され、巻き取りリール１７を所定の回転数だけ回転させて、送り出しリール１６に捲回され塵埃が付着してない新鮮なフィルター体１８を、通気通路部１５を横断させながら引き出し、巻き取りリール１７に巻き取るための駆動体である。
【００３５】
２０は、送り出しリール１６の下方に設けられ、送り出しリール１６を回転させて、巻き取りリール１７に巻かれたフィルター体１８を、所定の長さずつ巻き戻すための巻き戻し駆動体である。
【００３６】
２１は、送り出しリール１６と、巻き取りリール１７のそれぞれの内側で、かつ通気通路部１５より外側に回転自在に収納された一対の補助ローラーで、フィルター体１８を支持するフィルター支持体の機能を果たすものである。各補助ローラー２１の上下には、前記フィルター体１８が移動する際に上下動しないようにするためのフランジ状の上下動制限ガイド２１ａが形成され、かつフィルター体１８が巻き取りリール１７に捲回される際、その外径が、徐々に大径に変化しても、吸気口４とフィルター体１８との位置関係が変化して隙間が生じるのを防止するよう、一対の補助ローラー２１の各回転中心を結ぶ線Ｌが、吸気口４と平行に成るように配置されている。
【００３７】
２３は、巻き取りリール１７の近傍に設けられた検知スイッチで、巻き取りリール１７に巻き取られたフィルター体１８が所定の外径になったら、それを検知して、制御体１１に信号を送り、送り出しリール１６を回転させる巻き戻し駆動体２０を動作させるようになっている。
【００３８】
２４は、リール収納体１４の上部開口１４ａを着脱自在に覆う蓋で、フィルター機構１の交換時、フィルター機構１を取り出しやすく、形成されている。
【００３９】
２６は、後方に外気通過口２６ａが形成され、送風機１０を固着し、側面にガイド壁２６ｂを有する送風機取付け体で、ガイド壁２６ｂの上流側端部は通気通路部１５の出口１５ｂに気密に当接している。
【００４０】
２９ａは、除塵体用蓋２９に設けた取っ手である。２８は、塵埃収納体で、塵埃収納体２８内には、フィルター体１８から除塵された塵埃を収納する塵埃収納室２８ｂが形成されている。
【００４１】
塵埃収納室２８ｂの近傍には、フィルター体１８に付着した塵埃を除去する除塵体３０が回転自在に形成され、この除塵体３０は、軸体３０ａと、軟質材からなり、屈曲自在で、軸体３０ａに放射状に形成された多数のブラシ３０ｂより構成され、そのブラシ３０ｂの上下幅は、フィルター体１８の上下幅全域に所定の圧力で当接するよう固着されている。
【００４２】
３１は、フィルター体１８に捕集された塵埃を除塵体３０で除塵する際、除塵体３０に付着した塵埃を除去するための除塵クシで、その先端部は、除塵体３０のブラシ３０ｂに食い込むように配されている。３２は、除塵体３０を回転駆動する駆動体である。
【００４３】
塵埃収納体２８は、透明又は半透明材料で構成されており、塵埃収納室２８ｂ内の塵埃が所定量収納されたら、蓋２４を開いてフィルター機構１を本体２ａから外し、塵埃収納体２８をフィルター機構１から取り外して塵埃をゴミ箱あるいは袋等に捨て去れば良く、塵埃処理が確実にかつ清潔に行なうことが出来る。
【００４４】
以上のように構成された本実施例における巻き取り式エアーフィルター機構と、それを搭載したプロジェクター装置の動作、作用は以下の通りである。
【００４５】
プロジェクター装置の運転時には、送風機１０の運転により、外気が、本体２ａの吸気口４→通気通路部１５→フィルター体１８→通気通路部１５→通気通路部の出口１５ｂ→空気通路９→送風機取付け体２６の外気通過口２６ａを順に経て、本体２ａ内に入り、画像表示素子体６、電源基板体７、制御体１１などの熱を発生させる部品を冷却した後、排気口５より外部に排気される。
【００４６】
外気が、フィルター体１８を通過するときに、その外気に含まれた塵埃は、フィルター体１８で捕集されるので、塵埃が本体２ａ内に入ることが無い。
【００４７】
このようにして、本体２ａを長期間使用していると、フィルター体１８が塵埃で目詰まりし、外気が吸気口４から入り難くなって、本体２ａ内の発熱部品の冷却性能が低下してくるが、本実施例では、本体２ａ内の温度や圧力を検知するセンサー８を設けて、空気の流れが悪くなって本体２ａ内の温度が所定の温度を超えたり、空気が本体２ａ内に入り難くなって、本体２ａ内の空気圧力が所定の値以下になったことを検知すると、制御体１１が、自働的に、駆動体１９を所定時間ないし所定回転運転して、フィルター体１８を、通気通路部１５の幅分だけ、巻き取りリール１７に巻き上げて移動させる。これにより、フィルター体１８のきれいな部分、すなわち塵埃が付着していない部分が、新たに、通気通路部１５を横断し、外気が何の抵抗も無く本体２ａ内に吸引されていく。
【００４８】
また、フィルター体１８の塵埃で目詰まりした部分が、通気通路部１５の幅分だけ、巻き取りリール１７側に移動する間に、駆動体３２にも通電されて、除塵体３０が回転し、除塵体３０のブラシ３０ｂにより、フィルター体１８の上流側面に付着した塵埃が除去され、塵埃収納室２８ｂに落下し、収納される。
【００４９】
本実施例では、フィルター体１８を除塵する際の、フィルター体１８の移動速度と、除塵体３０の回転周速度との間に速度差（例えば、フィルター体１８の移動速度＞除塵体３０の回転周速度、或いはその逆）を設けて、除塵体３０がフィルター体１８を確実に除塵することが出来るようにしている。
【００５０】
また、本実施例では、除塵体３０は、巻き取りリール１７の手前に配されているので、巻き取りリール１７には、フィルター体１８が清掃された後に巻き上げられることになるので、非常に衛生的である。
【００５１】
又、除塵体３０に、フィルター体１８から除去された塵埃が落下せずに残っても、除塵クシ３１で、その塵埃が梳かれるので、除塵体３０に塵埃が堆積し続ける、ということは無い。
【００５２】
本実施例では、フィルター体１８の全長を、通気通路部１５を１０回移動させることが出来るような長さにしているので、上記の清掃動作を１０回繰り返すことが出来る。清掃動作が１０回行われ、巻き取りリール１７の外径が所定の大きさになると、それを検知スイッチ２３が検知し、フィルター体１８が、巻き取りリール１７側に完全に巻き取られた旨を、ブザーやチャイムなどの音で、或いは、告知部１２に表示して、使用者に告知するようにしている。
【００５３】
使用者は、フィルター体１８が、巻き取りリール１７側に完全に巻き取られたことを、ブザーやチャイムなどの音あるいは、告知部１２で認識したら、フィルター機構１を本体２ａから抜き取り、取っ手２９ａをつまんで除塵体用蓋２９を取り外し、塵埃収納室２８ｂ内の塵埃を廃棄する。本実施例では、塵埃収納体２８が、透明又は半透明の材料で形成されているので、外から塵埃収納室２８ｂ内の塵埃の堆積量が確認でき、塵埃の量が少ない場合は、そのままの状態（塵埃を残したまま）で本体２ａに再装着しても良い。
【００５４】
塵埃の廃棄を終え、フィルター機構１を本体２ａに再装着すると、自動的に、巻き取りリール１７側に設けられた図示しないクラッチ機構が動作して、駆動体１９と巻き取りリール１７との機械的連結が開放されると共に、送り出しリール１６側の巻き取り駆動体２０が駆動し、巻き取りリール１７に巻き取られたフィルター体１８が、送り出しリール１６側に巻き戻され、次回の１０回の利用に備えることとなる。
【００５５】
以上のように、本実施例によれば、フィルター体１８で捕集された塵埃は、除塵体３０で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体１８で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無く非常に衛生的である。また、除塵体３０を、フィルター体１８の通気通路部１５より外方、すなわち、フィルター体１８の外気が通過する通気エリア以外に設けているので、除塵体３０が、外気の通過を阻害することなく、フィルター体１８の有効活用が可能で、本体２ａのコンパクト化にも役立つ。
【００５６】
さらに、フィルター体１８で塵埃が所定量捕集されたら、駆動体３０で巻き取りリール１７を回転させて、フィルター体１８を巻き取りリール１７に、通気通路部１５の幅の分だけ移動させることにより、汚れのない新鮮なフィルター体１８が通気通路部１５に配置されるので、目詰まりは確実に解消され外気は通過しやすいものである。
【００５７】
さらに、除塵体３０によるフィルター体１８の除塵は、外気が通過する通気通路部１５の外側で行われるので、除塵体３０によって捕集された塵埃がフィルター体１８の目を通過することが防止される。
【００５８】
また、一旦除塵されたフィルター体１８を、送り出しリール側に、所定長さづつ巻き戻しすることで、フィルター体１８を往復使用して、フィルター体１８を長期にわたり有効活用することが出来る。
【００５９】
また、フィルター体１８から除去された塵埃を、塵埃収納体２８の塵埃収納室２８ｂ内に貯めておくことができるので、除塵体３０が動作する都度塵埃を廃棄する必要が無く、メンテナンスが容易である。なお、塵埃収納体２８を着脱自在に設ければ、適当な時期に塵埃収納体２８のみを外し、中の塵埃をゴミ箱や袋等に捨て去れば良いもので、容易にしかも衛生的に塵埃を廃棄処理することが出来る。
【００６０】
また、送り出しリール１６と巻き取りリール１７間で、且つ、通気通路部１５の外方に、フィルター体１８が巻き始めから巻き終わりまでの間、前記フィルター体１８の前記通気通路部１５を横断する位置が一定となるよう一対の補助ローラー２１を配したので、フィルター体１８が巻き取りリール１７に巻き取られる際、送り出しリール１６と巻き取りリール１７のそれぞれの全体の外径寸法が変わっても、フィルター体１８が、吸気口４に対し傾斜することがなく、常に平行に配置され、吸気口４とフィルター体１８との間に隙間が生じなく、そのシール性が向上する。また、フィルター体１８の張力も一定に維持することが出来る。
【００６１】
また、上記フィルター機構１をプロジェクター装置２に搭載することにより、フィルター体１８は常にきれいな状態で維持されるので、フィルター体１８の部分での空気圧損が少なく、プロジェクター装置２内部を効率よく冷却でき、信頼性に優れたプロジェクター装置２を提供することが出来る。
【００６２】
また、フィルター体１８が塵埃により目詰まりすると、外気の流れが弱くなり、プロジェクター装置本体内の冷却効果は低減するが、本体２ａ内の温度や圧力を検知するセンサー８を設け、本体２ａの内部温度が高かったり、或いは、本体２ａ内の圧力が低く、外気の流れが異常であることを検知したとき、駆動体１９を駆動して、フィルター体１８の汚れていない部分を通気通路部１５まで移動させることで、使用者が自らフィルター体１８を移動させることなく、自動的に異常に対応することが出来、非常に便利である。
【００６３】
上記実施例では、フィルター体１８の全長を、通気通路部１５を１０回移動させることが出来るような長さにしたが、本体２ａの多少の大型化が許容されるのであれば、フィルター体１８をさらに長くして、より多くの回数で清掃ができるようにしても良く、逆に、フィルター体１８の全長を短くして、フィルター体１８の１回の往路での清掃回数は減るが、本体２ａの小型化を図るようにしても良い。
【００６４】
又、上記実施例では、センサー８が所定の温度や圧力を検知したときに駆動体１９、３２を動作させるようにしたが、それとは別に、手動スイッチ（図示せず）を設けて、使用者が目視でフィルター体１８が汚れていると判断したときに、その手動スイッチを操作して、駆動体１９、３２を動作させるようにしても良い。
【００６５】
また、本体２ａの累積運転時間によって、フィルター体１８の汚れ具合（塵埃の堆積具合）がある程度推定できるので、上記センサー８の代わりに、本体２ａの運転時間を積算するタイマー（図示せず）を備え、その積算結果に応じて、駆動体１９、３２を動作させるようにしても良い。
【００６６】
或いは、光学的手段で、フィルター体１８の汚れ具合（塵埃の堆積具合）を検知するようにし、前記光学的手段が所定の汚れ具合を検知したときに、駆動体１９、３２を動作させるようにしても良い。
【００６７】
また、除塵体３０で取りきれない細かい塵埃がフィルター体１８に次第に堆積してきたときは、蓋２４を開けて、着脱自在のフィルター体１８を取り出して洗ったり或いは、それを交換しても良い。更に、本体２ａの大きさにある程度の余裕があるときは、送り出しリール１６の近傍にも、除塵体を有する塵埃収納体を設けておけば、繰り返し長期間使用できるものである。
【００６８】
又、フィルター機構１が本体２ａに装着されていないとき、或いは、フィルター機構１内にフィルター体１８が装着されていないときは、その旨を、告知部１２で使用者に告知するとともに、本体２ａの運転が出来ないようにすれば、より安全性が確保できる。
【００６９】
なお、上記実施例では、フィルター体１８の送り出しリール１６と巻き取りリール１７との間の部分を、吸気口４に対し常に平行にするために回転自在の補助ローラー２１を用いたが、その代わりに、非回転の壁体、位置決め体、ボス等の固定部材を用いても良い。
【００７０】
また、上記実施例では、送り出しリール１６、巻き取りリール１７、除塵体３０の回転駆動させるために、巻き戻し駆動体２０、駆動体１９、３２と個々に設けたが、送り出しリール１６、巻き取りリール１７、除塵体３０のいずれか一つだけに、或いは、２つだけに駆動体を設けて、他とはベルトやギアなど連結させるようにしても良い。或いは、送り出しリール１６と巻き取りリール１７のいずれか一方に駆動体を設け、他方にコイルバネを内蔵させて、一方を駆動体で回転させてフィルター体１８を巻き上げながら、同時に他方のコイルバネを巻き上げるようにすれば、駆動体をクラッチなどで切り離すだけで、コイルバネの付勢力でフィルター体１８を他方に巻き戻すこともできる。
【００７１】
なお、上記実施例では、塵埃収納体２８の塵埃収納室２８ｂ内の塵埃を廃棄する際、一旦、フィルター機構１をプロジェクター装置２の本体２ａより抜き取り、そしてフィルター機構１から塵埃収納体２８を取り外すようにしたが、本体２ａにフィルター機構１を取り付けた状態で、塵埃収納体２８が取り外せる構成にすれば、塵埃の破棄の都度フィルター機構１を本体２ａから抜き取る必要が無く、使用勝手が更に良くなるものである。
【産業上の利用可能性】
【００７２】
以上のように、本発明の巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置は、フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少なく、メンテナンスが非常に容易なもので、外気を取り入れて内部の発熱部品を冷却するようにした各種電子機器、電気機器に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【００７３】
【図１】本発明の第１の実施例における巻き取り式エアーフィルター機構を搭載したプロジェクター装置の外観斜視図
【図２】同プロジェクター装置の巻き取り式エアーフィルター機構の取付け部の断面図
【図３】同巻き取り式エアーフィルター機構の拡大断面図
【図４】同巻き取り式エアーフィルター機構の斜視図
【符号の説明】
【００７４】
１ 巻き取り式エアーフィルター機構（フィルター機構）
２ プロジェクター装置
４ 吸気口
５ 排気口
１０ 送風機
１４ リール収納部
１５ 通気通路部
１６ 送り出しリール
１７ 巻き取りリール
１８ フィルター体
１９、３２ 駆動体
２１ 補助ローラー（フィルター支持体）
３０ 除塵体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電子機器等に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構及びそれを用いたプロジェクター装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のこの種の巻き取り式エアーフィルター機構として、送り出しリールと、前記送り出しリールと間を置いて配された巻き取りリールと、一端が前記送り出しリールに係止されると共に巻かれ、他端が前記巻き取りリールに係止されたロール状のエアーフィルターと、巻き取りリールを回転駆動する駆動手段と、エアーフィルターをファンに密接すると共にエアーフィルターの張力を一定にするためのテンショナーを備え、前記エアーフィルターの前記送り出しリールと前記巻き取りリール間に位置する部分を、機器に設けられた空冷用吸気口の前に配置して、機器の運転中に、所定の時間間隔で前記駆動手段に通電して、汚れたエアーフィルターを巻き取りリールに順次巻き取るようにしたものがある（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
又、巻き取り式エアーフィルターを用いたものではないが、機器に設けられた外気取り入れ口に沿って移動可能又は外気取り入れ口上で回転可能に配設したプレフィルターと、前記プレフィルターを移動又は回転させるための駆動メカユニットと、前記プレフィルターに摺接し、付着した粉塵を除去するブラシと、前記プレフィルターより下流側に設けられると共に、前記プレフィルターより粒子径の小さい塵埃を捕集する第２のエアフィルターとから構成され、前記プレフィルターに一定量の粉塵が溜まっていることを、目詰まりセンサーで感知した時、あるいは所定の時間が経った時に、駆動メカユニットでプレフィルターを移動または回転させ、その間にブラシでプレフィルターに付着した埃や粉塵を除去するようにしたものもある（例えば、特許文献２参照）。
【特許文献１】特開平８−１２８４００号公報
【特許文献２】特開２００８−０６５０２１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記特許文献１に記載されたような従来の巻き取り式エアーフィルター機構の構成では、エアーフィルターに付着した塵埃を除去する機構が無く、単に塵埃で目詰まりしたエアーフィルターを巻き取りリールで巻き取るだけなので、エアーフィルターの全長が目詰まりしたときは、エアーフィルターを巻き取りリールごと取り外し、そのエアーフィルターを広げて掃除する必要があり、清掃作業が非常に面倒であった。また、エアフィルターは、巻き取りリール側にのみ移動可能、すなわち一方向にしか使用できないため、長期間の使用は困難で、清掃や、交換頻度が多くなり面倒である、という課題があった。
【０００５】
また、テンショナーが設けられているため、駆動手段の駆動トルクを大きくする必要があり、この為駆動手段の大型化、ひいては機器の大型化を招く、という課題がった。
【０００６】
又、上記第２の引用文献に実施の形態１として記載された従来のフィルターユニットの構成では、ブラシが設けられているので、プレフィルターからの塵埃の除去を確実に行うことができるが、プレフィルターから塵埃を除去するために、プレフィルターを移動させた時に、外気取り入れ口が開放されるので、外気が第２のエアフィルターに直接侵入することになり、塵埃が機器内に直接侵入することが無いものの、第２のエアフィルターが早期に目詰まりする、という課題があった。
【０００７】
また、同特許文献に実施の形態２として記載された従来のフィルターユニットの構成では、プレフィルターを清掃する際に、プレフィルターを回転させるようなっているので、外気取り入れ口が常にプレフィルターで覆われ、第２のエアフィルターが早期に目詰まりすることはないが、ブラシが、プレフィルターの外気通過面に配置されているため、プレフィルターの有効濾過面積が減少され、プレフィルターの目詰まりの時期が早くなり、その結果、除塵回数が多くなって、駆動メカユニットの寿命が短くなる、という課題があった。
【０００８】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少なく、メンテナンスの容易な巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記従来の課題を解決するために、本発明の巻き取り式エアーフィルター機構は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記除塵体を、前記通気通路部より外方に配したもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無く非常に衛生的である。また、除塵体を、フィルター体の通気通路部より外方、すなわち、フィルター体の外気が通過する通気エリア以外に設けているので、除塵体が、外気の通過を阻害することなく、フィルター体の有効活用が可能で、本体のコンパクト化にも役立つ。
【００１０】
さらに、フィルター体で塵埃が所定量捕集されたら、駆動体で巻き取りリールを回転させて、フィルター体を巻き取りリールに、通気通路部の幅の分だけ移動させることにより、汚れのない新鮮なフィルター体が吸気口に配置されるので、目詰まりは確実に解消され外気は通過しやすいものである。
【００１１】
さらに、除塵体によるフィルター体の除塵は、外気が通過する通気通路部の外側で行われるので、除塵体によって捕集された塵埃がフィルター体の目を通過することが防止される。
【００１２】
また、本発明の巻き取り式エアーフィルター機構は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記巻き取りリールに所定長の前記フィルター体が巻き取られた後、前記フィルター体を巻き戻すために前記送り出しリールを回転駆動する巻き戻し駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記フィルター体を前記除塵体で除塵した後、前記フィルター体を巻き戻しさせるもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無いので非常に衛生的である。また、一旦除塵されたフィルター体を、送り出しリール側に、所定長さづつ巻き戻しすることで、フィルター体を往復使用して、フィルター体を長期にわたり有効活用することが出来る。
【００１３】
また、本発明のプロジェクター装置は、吸気口と排気口を有する本体は、光源ランプ等より成る画像表示素子体と、該画像表示素子体からの画像を拡大投射可能に設けられレンズ等より成る投射体と、該投射体や前記画像表示素子体を制御する電子部品等より成る制御体と、前記吸気口から外気を前記本体内に吸引し、内部を冷却した後、前記排気口より排気するための送風機と、請求項１〜４のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構とを備え、前記巻き取り式エアーフィルター機構は、前記本体に着脱自在で、且つ、前記巻き取り式エアーフィルター機構を前記本体に取り付けたときに、前記巻き取り式エアーフィルター機構の通気通路部が、前記吸気口と気密に連通するようにしたもので、エアーフィルター体の除塵が、使用者の手を煩わすこと無く除塵体で確実に行われる。また、エアーフィルター体は常にきれいな状態で維持されるので、エアーフィルター体の部分での空気圧損が少なく、プロジェクター装置内部を効率よく冷却できるので、信頼性に優れたプロジェクター装置を提供することが出来る。
【発明の効果】
【００１４】
本発明の巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置は、フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少なく、メンテナンスが非常に容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
第１の発明は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記除塵体を、前記通気通路部より外方に配したもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無く非常に衛生的である。また、除塵体を、フィルター体の通気通路部より外方、すなわち、フィルター体の外気が通過する通気エリア以外に設けているので、除塵体が、外気の通過を阻害することなく、フィルター体の有効活用が可能で、本体のコンパクト化にも役立つ。
【００１６】
さらに、フィルター体で塵埃が所定量捕集されたら、駆動体で巻き取りリールを回転させて、フィルター体を巻き取りリールに、通気通路部の幅の分だけ移動させることにより、汚れのない新鮮なフィルター体が吸気口に配置されるので、目詰まりは確実に解消され外気は通過しやすいものである。
【００１７】
さらに、除塵体によるフィルター体の除塵は、外気が通過する通気通路部の外側で行われるので、除塵体によって捕集された塵埃がフィルター体の目を通過することが防止される。
【００１８】
第２の発明は、外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記巻き取りリールに所定長の前記フィルター体が巻き取られた後、前記フィルター体を巻き戻すために前記送り出しリールを回転駆動する巻き戻し駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記フィルター体を前記除塵体で除塵した後、前記フィルター体を巻き戻しさせるもので、フィルター体で捕集された塵埃は、除塵体で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無いので非常に衛生的である。また、一旦除塵されたフィルター体を、送り出しリール側に、所定長さづつ巻き戻しすることで、フィルター体を往復使用して、フィルター体を長期にわたり有効活用することが出来る。
【００１９】
第３の発明は、特に、第１又は第２の発明の除塵体により除塵された塵埃を収納する塵埃収納室を有する塵埃収納体を設けたもので、フィルター体から除去された塵埃を塵埃収納体内に貯めておくことができるので、除塵体が動作する都度塵埃を廃棄する必要が無く、メンテナンスが容易である。なお、塵埃収納体を着脱自在に設ければ、適当な時期に塵埃収納体のみを外し、中の塵埃をゴミ箱や袋等に捨て去れば良いもので、容易にしかも衛生的に塵埃を廃棄処理することが出来る。
【００２０】
第４の発明は、特に、第１〜３のいずれか一つの発明の送り出しリールと巻き取りリール間で、且つ、通気通路部の外方に、フィルター体が巻き始めから巻き終わりまでの間、前記フィルター体の前記通気通路部を横断する位置が一定となるよう一対のフィルター支持体を配したもので、フィルター体が巻き取りリールに巻き取られる際、送り出しリールと巻き取りリールのそれぞれの全体の外径寸法が変わっても、一対のフィルター支持体を設けることで、フィルター体が、吸気口に対し傾斜することがなく、常に平行に配置され、吸気口とフィルター体との間に隙間が生じなく、そのシール性が向上する。また、フィルター体の張力も一定に維持することが出来る。
【００２１】
第５の発明は、吸気口と排気口を有する本体は、光源ランプ等より成る画像表示素子体と、該画像表示素子体からの画像を拡大投射可能に設けられレンズ等より成る投射体と、該投射体や前記画像表示素子体を制御する電子部品等より成る制御体と、前記吸気口から外気を前記本体内に吸引し、内部を冷却した後、前記排気口より排気するための送風機と、請求項１〜４のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構とを備え、前記巻き取り式エアーフィルター機構は、前記本体に着脱自在で、且つ、前記巻き取り式エアーフィルター機構を前記本体に取り付けたときに、前記巻き取り式エアーフィルター機構の通気通路部が、前記吸気口と気密に連通するようにしたもので、エアーフィルター体の除塵が、使用者の手を煩わすこと無く除塵体で確実に行われる。また、エアーフィルター体は常にきれいな状態で維持されるので、エアーフィルター体の部分での空気圧損が少なく、プロジェクター装置内部を効率よく冷却できるので、信頼性に優れたプロジェクター装置を提供することが出来る。
【００２２】
第６の発明は、特に、第５の発明の吸気口と排気口間の通過空気の温度又は、圧力を検知するセンサー或いは、運転時間を積算するタイマーを備え、該センサーによる検知結果或いは、タイマーによる積算結果に応じて、駆動体で巻き取りリールを回転させてフィルター体を所定距離移動させるもので、フィルター体が塵埃により目詰まりすると、外気の流れが弱くなり、プロジェクター装置本体内の冷却効果は低減するが、本体内の温度や圧力を検知するセンサーを設けることで、機器の内部温度が高かったり、或いは、機器内の圧力が低く、外気の流れが異常であることを検知したとき、駆動体を駆動して、フィルター体の汚れていない部分を通気通路部まで移動させることで、使用者が自らフィルター体を移動させることなく、異状に対応することが出来、非常に便利である。又、タイマーによる運転時間の積算結果に基づいて、フィルター体の塵埃による目詰まり具合がある程度想定できるので、タイマーによる運転時間の積算結果に応じて、駆動体を駆動して、フィルター体の汚れていない部分を吸気口まで移動させるようにしても同様の効果が得られる。
【００２３】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【００２４】
（実施例１）
【００２５】
図１は、本発明の第１の実施例における巻き取り式エアーフィルター機構を搭載したプロジェクター装置の外観斜視図、図２は、同プロジェクター装置の巻き取り式エアーフィルター機構の取付け部の断面図、図３は、同巻き取り式エアーフィルターの拡大断面図、図４は、同巻き取り式エアーフィルター機構の斜視図である。
【００２６】
図１〜４において、本実施例における巻き取り式エアーフィルター機構１（以下「フィルター機構１」という）を搭載したプロジェクター装置２の本体２ａの前部には、画像を投射する投射レンズを有する投射体３が、一側には、吸気口４が、他側には、排気口５がそれぞれ形成されている。
【００２７】
本体２ａ内部には、投射体３により投射される画像を光学的に処理する多数の電子部品等から成る画像表示素子体６と、電源基板体７と、本体２ａ内の温度や圧力等を検知するセンサー８と、吸気口４と排気口５を連通する空気通路９内に配され、吸気口４から外気を吸引し、画像表示素子体６や電源基板体７などの発熱部品を冷却し、排気口５より排気させるための送風機１０と、画像表示素子体６や送風機１０などを制御する制御体１１等が内装されている。
【００２８】
また、本体２ａの前方乃至上部には、ＬＥＤなどからなり、本体２ａの動作状況等を表示して、使用者に告知する告知部１２が設けられている。
【００２９】
本実施例では、フィルター機構１は、本体２ａの吸気口４が形成された側面に、着脱自在に装着できるようになっている。
【００３０】
次に、本実施例におけるフィルター機構１の構成について詳述する。
【００３１】
フィルター機構１は、対向して設けられ略直方体状のリール収納体１４と、一対のリール収納体１４間に形成された通気通路部１５とを備えている。この通気通路部１５は、フィルター機構１を本体２ａに装着したときに、吸気口４の近傍で、しかも通気通路部１５の途中に、すなわち吸気口４と送風機１０との間に位置すると共に、吸気口４と気密に連通するようになっており、動作時に、吸気口４から流入する外気が通る通路となるものである。
【００３２】
リール収納体１４の一方（図３、４において、右側）に、送り出しリール１６が、他方（図３、４において左側）に巻き取りリール１７がそれぞれ回転自在に支持されている。
【００３３】
１８は、外気に含まれる塵埃を捕集するための細かい通気穴（図示せず）を多数有するフィルター体で、その一端は、前記送り出しリール１６に、他端は、前記巻き取りリール１７にそれぞれ固着されている。本実施例では、フィルター体１８の全長を、少なくとも、前記通気通路部１５の幅の長さの１０倍以上に設定しており、その大半は、あらかじめ、送り出しリール１６に捲回されていて、フィルター体１８の送り出しリール１６と巻き取りリール１７との間に位置する部分は、通気通路部１５を横断するように、しかも気密に配されている。
【００３４】
１９は、巻き取りリール１７の下方に配され、巻き取りリール１７を所定の回転数だけ回転させて、送り出しリール１６に捲回され塵埃が付着してない新鮮なフィルター体１８を、通気通路部１５を横断させながら引き出し、巻き取りリール１７に巻き取るための駆動体である。
【００３５】
２０は、送り出しリール１６の下方に設けられ、送り出しリール１６を回転させて、巻き取りリール１７に巻かれたフィルター体１８を、所定の長さずつ巻き戻すための巻き戻し駆動体である。
【００３６】
２１は、送り出しリール１６と、巻き取りリール１７のそれぞれの内側で、かつ通気通路部１５より外側に回転自在に収納された一対の補助ローラーで、フィルター体１８を支持するフィルター支持体の機能を果たすものである。各補助ローラー２１の上下には、前記フィルター体１８が移動する際に上下動しないようにするためのフランジ状の上下動制限ガイド２１ａが形成され、かつフィルター体１８が巻き取りリール１７に捲回される際、その外径が、徐々に大径に変化しても、吸気口４とフィルター体１８との位置関係が変化して隙間が生じるのを防止するよう、一対の補助ローラー２１の各回転中心を結ぶ線Ｌが、吸気口４と平行に成るように配置されている。
【００３７】
２３は、巻き取りリール１７の近傍に設けられた検知スイッチで、巻き取りリール１７に巻き取られたフィルター体１８が所定の外径になったら、それを検知して、制御体１１に信号を送り、送り出しリール１６を回転させる巻き戻し駆動体２０を動作させるようになっている。
【００３８】
２４は、リール収納体１４の上部開口１４ａを着脱自在に覆う蓋で、フィルター機構１の交換時、フィルター機構１を取り出しやすく、形成されている。
【００３９】
２６は、後方に外気通過口２６ａが形成され、送風機１０を固着し、側面にガイド壁２６ｂを有する送風機取付け体で、ガイド壁２６ｂの上流側端部は通気通路部１５の出口１５ｂに気密に当接している。
【００４０】
２９ａは、除塵体用蓋２９に設けた取っ手である。２８は、塵埃収納体で、塵埃収納体２８内には、フィルター体１８から除塵された塵埃を収納する塵埃収納室２８ｂが形成されている。
【００４１】
塵埃収納室２８ｂの近傍には、フィルター体１８に付着した塵埃を除去する除塵体３０が回転自在に形成され、この除塵体３０は、軸体３０ａと、軟質材からなり、屈曲自在で、軸体３０ａに放射状に形成された多数のブラシ３０ｂより構成され、そのブラシ３０ｂの上下幅は、フィルター体１８の上下幅全域に所定の圧力で当接するよう固着されている。
【００４２】
３１は、フィルター体１８に捕集された塵埃を除塵体３０で除塵する際、除塵体３０に付着した塵埃を除去するための除塵クシで、その先端部は、除塵体３０のブラシ３０ｂに食い込むように配されている。３２は、除塵体３０を回転駆動する駆動体である。
【００４３】
塵埃収納体２８は、透明又は半透明材料で構成されており、塵埃収納室２８ｂ内の塵埃が所定量収納されたら、蓋２４を開いてフィルター機構１を本体２ａから外し、塵埃収納体２８をフィルター機構１から取り外して塵埃をゴミ箱あるいは袋等に捨て去れば良く、塵埃処理が確実にかつ清潔に行なうことが出来る。
【００４４】
以上のように構成された本実施例における巻き取り式エアーフィルター機構と、それを搭載したプロジェクター装置の動作、作用は以下の通りである。
【００４５】
プロジェクター装置の運転時には、送風機１０の運転により、外気が、本体２ａの吸気口４→通気通路部１５→フィルター体１８→通気通路部１５→通気通路部の出口１５ｂ→空気通路９→送風機取付け体２６の外気通過口２６ａを順に経て、本体２ａ内に入り、画像表示素子体６、電源基板体７、制御体１１などの熱を発生させる部品を冷却した後、排気口５より外部に排気される。
【００４６】
外気が、フィルター体１８を通過するときに、その外気に含まれた塵埃は、フィルター体１８で捕集されるので、塵埃が本体２ａ内に入ることが無い。
【００４７】
このようにして、本体２ａを長期間使用していると、フィルター体１８が塵埃で目詰まりし、外気が吸気口４から入り難くなって、本体２ａ内の発熱部品の冷却性能が低下してくるが、本実施例では、本体２ａ内の温度や圧力を検知するセンサー８を設けて、空気の流れが悪くなって本体２ａ内の温度が所定の温度を超えたり、空気が本体２ａ内に入り難くなって、本体２ａ内の空気圧力が所定の値以下になったことを検知すると、制御体１１が、自働的に、駆動体１９を所定時間ないし所定回転運転して、フィルター体１８を、通気通路部１５の幅分だけ、巻き取りリール１７に巻き上げて移動させる。これにより、フィルター体１８のきれいな部分、すなわち塵埃が付着していない部分が、新たに、通気通路部１５を横断し、外気が何の抵抗も無く本体２ａ内に吸引されていく。
【００４８】
また、フィルター体１８の塵埃で目詰まりした部分が、通気通路部１５の幅分だけ、巻き取りリール１７側に移動する間に、駆動体３２にも通電されて、除塵体３０が回転し、除塵体３０のブラシ３０ｂにより、フィルター体１８の上流側面に付着した塵埃が除去され、塵埃収納室２８ｂに落下し、収納される。
【００４９】
本実施例では、フィルター体１８を除塵する際の、フィルター体１８の移動速度と、除塵体３０の回転周速度との間に速度差（例えば、フィルター体１８の移動速度＞除塵体３０の回転周速度、或いはその逆）を設けて、除塵体３０がフィルター体１８を確実に除塵することが出来るようにしている。
【００５０】
また、本実施例では、除塵体３０は、巻き取りリール１７の手前に配されているので、巻き取りリール１７には、フィルター体１８が清掃された後に巻き上げられることになるので、非常に衛生的である。
【００５１】
又、除塵体３０に、フィルター体１８から除去された塵埃が落下せずに残っても、除塵クシ３１で、その塵埃が梳かれるので、除塵体３０に塵埃が堆積し続ける、ということは無い。
【００５２】
本実施例では、フィルター体１８の全長を、通気通路部１５を１０回移動させることが出来るような長さにしているので、上記の清掃動作を１０回繰り返すことが出来る。清掃動作が１０回行われ、巻き取りリール１７の外径が所定の大きさになると、それを検知スイッチ２３が検知し、フィルター体１８が、巻き取りリール１７側に完全に巻き取られた旨を、ブザーやチャイムなどの音で、或いは、告知部１２に表示して、使用者に告知するようにしている。
【００５３】
使用者は、フィルター体１８が、巻き取りリール１７側に完全に巻き取られたことを、ブザーやチャイムなどの音あるいは、告知部１２で認識したら、フィルター機構１を本体２ａから抜き取り、取っ手２９ａをつまんで除塵体用蓋２９を取り外し、塵埃収納室２８ｂ内の塵埃を廃棄する。本実施例では、塵埃収納体２８が、透明又は半透明の材料で形成されているので、外から塵埃収納室２８ｂ内の塵埃の堆積量が確認でき、塵埃の量が少ない場合は、そのままの状態（塵埃を残したまま）で本体２ａに再装着しても良い。
【００５４】
塵埃の廃棄を終え、フィルター機構１を本体２ａに再装着すると、自動的に、巻き取りリール１７側に設けられた図示しないクラッチ機構が動作して、駆動体１９と巻き取りリール１７との機械的連結が開放されると共に、送り出しリール１６側の巻き取り駆動体２０が駆動し、巻き取りリール１７に巻き取られたフィルター体１８が、送り出しリール１６側に巻き戻され、次回の１０回の利用に備えることとなる。
【００５５】
以上のように、本実施例によれば、フィルター体１８で捕集された塵埃は、除塵体３０で確実に除去されるので、使用者は、フィルター体１８で捕集された塵埃をブラシ等で周囲に撒き散ら散らしながら清掃する必要が無く非常に衛生的である。また、除塵体３０を、フィルター体１８の通気通路部１５より外方、すなわち、フィルター体１８の外気が通過する通気エリア以外に設けているので、除塵体３０が、外気の通過を阻害することなく、フィルター体１８の有効活用が可能で、本体２ａのコンパクト化にも役立つ。
【００５６】
さらに、フィルター体１８で塵埃が所定量捕集されたら、駆動体３０で巻き取りリール１７を回転させて、フィルター体１８を巻き取りリール１７に、通気通路部１５の幅の分だけ移動させることにより、汚れのない新鮮なフィルター体１８が通気通路部１５に配置されるので、目詰まりは確実に解消され外気は通過しやすいものである。
【００５７】
さらに、除塵体３０によるフィルター体１８の除塵は、外気が通過する通気通路部１５の外側で行われるので、除塵体３０によって捕集された塵埃がフィルター体１８の目を通過することが防止される。
【００５８】
また、一旦除塵されたフィルター体１８を、送り出しリール側に、所定長さづつ巻き戻しすることで、フィルター体１８を往復使用して、フィルター体１８を長期にわたり有効活用することが出来る。
【００５９】
また、フィルター体１８から除去された塵埃を、塵埃収納体２８の塵埃収納室２８ｂ内に貯めておくことができるので、除塵体３０が動作する都度塵埃を廃棄する必要が無く、メンテナンスが容易である。なお、塵埃収納体２８を着脱自在に設ければ、適当な時期に塵埃収納体２８のみを外し、中の塵埃をゴミ箱や袋等に捨て去れば良いもので、容易にしかも衛生的に塵埃を廃棄処理することが出来る。
【００６０】
また、送り出しリール１６と巻き取りリール１７間で、且つ、通気通路部１５の外方に、フィルター体１８が巻き始めから巻き終わりまでの間、前記フィルター体１８の前記通気通路部１５を横断する位置が一定となるよう一対の補助ローラー２１を配したので、フィルター体１８が巻き取りリール１７に巻き取られる際、送り出しリール１６と巻き取りリール１７のそれぞれの全体の外径寸法が変わっても、フィルター体１８が、吸気口４に対し傾斜することがなく、常に平行に配置され、吸気口４とフィルター体１８との間に隙間が生じなく、そのシール性が向上する。また、フィルター体１８の張力も一定に維持することが出来る。
【００６１】
また、上記フィルター機構１をプロジェクター装置２に搭載することにより、フィルター体１８は常にきれいな状態で維持されるので、フィルター体１８の部分での空気圧損が少なく、プロジェクター装置２内部を効率よく冷却でき、信頼性に優れたプロジェクター装置２を提供することが出来る。
【００６２】
また、フィルター体１８が塵埃により目詰まりすると、外気の流れが弱くなり、プロジェクター装置本体内の冷却効果は低減するが、本体２ａ内の温度や圧力を検知するセンサー８を設け、本体２ａの内部温度が高かったり、或いは、本体２ａ内の圧力が低く、外気の流れが異常であることを検知したとき、駆動体１９を駆動して、フィルター体１８の汚れていない部分を通気通路部１５まで移動させることで、使用者が自らフィルター体１８を移動させることなく、自動的に異常に対応することが出来、非常に便利である。
【００６３】
上記実施例では、フィルター体１８の全長を、通気通路部１５を１０回移動させることが出来るような長さにしたが、本体２ａの多少の大型化が許容されるのであれば、フィルター体１８をさらに長くして、より多くの回数で清掃ができるようにしても良く、逆に、フィルター体１８の全長を短くして、フィルター体１８の１回の往路での清掃回数は減るが、本体２ａの小型化を図るようにしても良い。
【００６４】
又、上記実施例では、センサー８が所定の温度や圧力を検知したときに駆動体１９、３２を動作させるようにしたが、それとは別に、手動スイッチ（図示せず）を設けて、使用者が目視でフィルター体１８が汚れていると判断したときに、その手動スイッチを操作して、駆動体１９、３２を動作させるようにしても良い。
【００６５】
また、本体２ａの累積運転時間によって、フィルター体１８の汚れ具合（塵埃の堆積具合）がある程度推定できるので、上記センサー８の代わりに、本体２ａの運転時間を積算するタイマー（図示せず）を備え、その積算結果に応じて、駆動体１９、３２を動作させるようにしても良い。
【００６６】
或いは、光学的手段で、フィルター体１８の汚れ具合（塵埃の堆積具合）を検知するようにし、前記光学的手段が所定の汚れ具合を検知したときに、駆動体１９、３２を動作させるようにしても良い。
【００６７】
また、除塵体３０で取りきれない細かい塵埃がフィルター体１８に次第に堆積してきたときは、蓋２４を開けて、着脱自在のフィルター体１８を取り出して洗ったり或いは、それを交換しても良い。更に、本体２ａの大きさにある程度の余裕があるときは、送り出しリール１６の近傍にも、除塵体を有する塵埃収納体を設けておけば、繰り返し長期間使用できるものである。
【００６８】
又、フィルター機構１が本体２ａに装着されていないとき、或いは、フィルター機構１内にフィルター体１８が装着されていないときは、その旨を、告知部１２で使用者に告知するとともに、本体２ａの運転が出来ないようにすれば、より安全性が確保できる。
【００６９】
なお、上記実施例では、フィルター体１８の送り出しリール１６と巻き取りリール１７との間の部分を、吸気口４に対し常に平行にするために回転自在の補助ローラー２１を用いたが、その代わりに、非回転の壁体、位置決め体、ボス等の固定部材を用いても良い。
【００７０】
また、上記実施例では、送り出しリール１６、巻き取りリール１７、除塵体３０の回転駆動させるために、巻き戻し駆動体２０、駆動体１９、３２と個々に設けたが、送り出しリール１６、巻き取りリール１７、除塵体３０のいずれか一つだけに、或いは、２つだけに駆動体を設けて、他とはベルトやギアなど連結させるようにしても良い。或いは、送り出しリール１６と巻き取りリール１７のいずれか一方に駆動体を設け、他方にコイルバネを内蔵させて、一方を駆動体で回転させてフィルター体１８を巻き上げながら、同時に他方のコイルバネを巻き上げるようにすれば、駆動体をクラッチなどで切り離すだけで、コイルバネの付勢力でフィルター体１８を他方に巻き戻すこともできる。
【００７１】
なお、上記実施例では、塵埃収納体２８の塵埃収納室２８ｂ内の塵埃を廃棄する際、一旦、フィルター機構１をプロジェクター装置２の本体２ａより抜き取り、そしてフィルター機構１から塵埃収納体２８を取り外すようにしたが、本体２ａにフィルター機構１を取り付けた状態で、塵埃収納体２８が取り外せる構成にすれば、塵埃の破棄の都度フィルター機構１を本体２ａから抜き取る必要が無く、使用勝手が更に良くなるものである。
【産業上の利用可能性】
【００７２】
以上のように、本発明の巻き取り式エアーフィルター機構及びプロジェクター装置は、フィルターの面積を有効に活用しながら、効率よくフィルターの塵埃を除去すると共に、塵埃の排気頻度が少なく、メンテナンスが非常に容易なもので、外気を取り入れて内部の発熱部品を冷却するようにした各種電子機器、電気機器に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【００７３】
【図１】本発明の第１の実施例における巻き取り式エアーフィルター機構を搭載したプロジェクター装置の外観斜視図
【図２】同プロジェクター装置の巻き取り式エアーフィルター機構の取付け部の断面図
【図３】同巻き取り式エアーフィルター機構の拡大断面図
【図４】同巻き取り式エアーフィルター機構の斜視図
【符号の説明】
【００７４】
１ 巻き取り式エアーフィルター機構（フィルター機構）
２ プロジェクター装置
４ 吸気口
５ 排気口
１０ 送風機
１４ リール収納部
１５ 通気通路部
１６ 送り出しリール
１７ 巻き取りリール
１８ フィルター体
１９、３２ 駆動体
２１ 補助ローラー（フィルター支持体）
３０ 除塵体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記除塵体を、前記通気通路部より外方に配したことを特徴とする巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項２】
外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記巻き取りリールに所定長の前記フィルター体が巻き取られた後、前記フィルター体を巻き戻すために前記送り出しリールを回転駆動する巻き戻し駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記フィルター体を前記除塵体で除塵した後、前記フィルター体を巻き戻しさせることを特徴とする巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項３】
除塵体により除塵された塵埃を収納する塵埃収納室を有する塵埃収納体を設けたことを特徴とする請求項１または２に記載の巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項４】
送り出しリールと巻き取りリール間で、且つ、通気通路部の外方に、フィルター体が巻き始めから巻き終わりまでの間、前記フィルター体の前記通気通路部を横断する位置が一定となるよう一対のフィルター支持体を配したことを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項５】
吸気口と排気口を有する本体は、光源ランプ等より成る画像表示素子体と、該画像表示素子体からの画像を拡大投射可能に設けられたレンズ等より成る投射体と、該投射体や前記画像表示素子体を制御する電子部品等より成る制御体と、前記吸気口から外気を前記本体内に吸引し、内部を冷却した後、前記排気口より排気するための送風機と、請求項１〜４のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構とを備え、前記巻き取り式エアーフィルター機構は、前記本体に着脱自在で、且つ、前記巻き取り式エアーフィルター機構を前記本体に取り付けたときに、前記巻き取り式エアーフィルター機構の通気通路部が、前記吸気口と気密に連通するようにしたプロジェクター装置。
【請求項６】
吸気口と排気口間の通過空気の温度又は、圧力を検知するセンサー或いは、運転時間を積算するタイマーを備え、該センサーによる検知結果或いは、タイマーによる積算結果に応じて、駆動体で巻き取りリールを回転させてフィルター体を所定距離移動させることを特徴とする請求項５に記載のプロジェクター装置。
【請求項１】
外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記除塵体を、前記通気通路部より外方に配したことを特徴とする巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項２】
外気を取り入れる吸気口と排気口を連通する空気通路を有する機器に搭載される巻き取り式エアーフィルター機構において、送り出しリールと、前記送り出しリールに対向して設けられた巻き取りリールと、前記吸気口の近傍でかつ前記空気通路の途中に配される通気通路部と、一端が前記送り出しリールに、他端が前記巻き取りリールにそれぞれ係止されると共に前記通気通路部を横断するフィルター体と、前記巻き取りリールを回転駆動して前記フィルター体を移動させる駆動体と、前記巻き取りリールに所定長の前記フィルター体が巻き取られた後、前記フィルター体を巻き戻すために前記送り出しリールを回転駆動する巻き戻し駆動体と、前記フィルター体の上流面に接触し除塵する除塵ブラシ等より成る除塵体とを備え、前記フィルター体を前記除塵体で除塵した後、前記フィルター体を巻き戻しさせることを特徴とする巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項３】
除塵体により除塵された塵埃を収納する塵埃収納室を有する塵埃収納体を設けたことを特徴とする請求項１または２に記載の巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項４】
送り出しリールと巻き取りリール間で、且つ、通気通路部の外方に、フィルター体が巻き始めから巻き終わりまでの間、前記フィルター体の前記通気通路部を横断する位置が一定となるよう一対のフィルター支持体を配したことを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構。
【請求項５】
吸気口と排気口を有する本体は、光源ランプ等より成る画像表示素子体と、該画像表示素子体からの画像を拡大投射可能に設けられたレンズ等より成る投射体と、該投射体や前記画像表示素子体を制御する電子部品等より成る制御体と、前記吸気口から外気を前記本体内に吸引し、内部を冷却した後、前記排気口より排気するための送風機と、請求項１〜４のいずれか１項に記載の巻き取り式エアーフィルター機構とを備え、前記巻き取り式エアーフィルター機構は、前記本体に着脱自在で、且つ、前記巻き取り式エアーフィルター機構を前記本体に取り付けたときに、前記巻き取り式エアーフィルター機構の通気通路部が、前記吸気口と気密に連通するようにしたプロジェクター装置。
【請求項６】
吸気口と排気口間の通過空気の温度又は、圧力を検知するセンサー或いは、運転時間を積算するタイマーを備え、該センサーによる検知結果或いは、タイマーによる積算結果に応じて、駆動体で巻き取りリールを回転させてフィルター体を所定距離移動させることを特徴とする請求項５に記載のプロジェクター装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−５１９０２（Ｐ２０１０−５１９０２Ａ）
【公開日】平成２２年３月１１日（２０１０．３．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２２０５９０（Ｐ２００８−２２０５９０）
【出願日】平成２０年８月２９日（２００８．８．２９）
【出願人】（３９１０４４７９７）株式会社コーワ (283)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年３月１１日（２０１０．３．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年８月２９日（２００８．８．２９）
【出願人】（３９１０４４７９７）株式会社コーワ (283)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]