説明

巻き爪矯正具

【課題】本発明は、矯正具本体の弾性復元力の作用による矯正力に頼らず、矯正中の巻き爪を略平状に固定保持し、安静環境で矯正治療を提供できる剛性材または剛性構造で形成された巻き爪矯正具の提供。
【解決手段】人の爪に発症している巻き爪の正面先端部へ取着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、結合部1を介在し上下に配置された上側矯正板2と下側矯正板3は、爪幅方向に長く、且つ該巻き爪の復元力に対して爪形を略平状に固定保持できる硬度に強化された剛性材または剛性構造で形成され、この該上側矯正板2と該下側矯正板3と該結合部1とで断面略コ字状に矯正作用体を形成し、該上側矯正板2と該下側矯正板3が対向し形成する矯正用間隙4へ該巻き爪の正面先端部を挿入することによって、該巻き爪を略平状に固定保持した安静状態で矯正できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き爪を生じた人の爪に取着して、巻き爪を矯正する巻き爪矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き爪とは、その発症例の多くは第一趾爪縁が内側に湾曲し、その変形が進行することで、爪縁部が爪郭といわれる爪溝の軟部組織に刺入し炎症を生じさせ、さらに症状を悪化させると該炎症部の腫脹が劈開を起こし、足を地面に接することができないほどの激痛によって歩行が困難になることさえある。巻き爪は成長し続けるので、早期に施術を講じる必要がある。なお治療には根治治療を目的とした外科的な施術と保存治療の矯正具によるものに大別されるが、巻き爪部を切除する外科的な施術の場合、再発した同じ爪を繰り返し施術すると爪の幅が極端に少なくなったり、また生えなくなったりしてしまうことさえあることから、矯正具によって治療する手段が現在は主流になりつつある。
巻き爪を治療する方法として種々の矯正具が発明されているが、その中でいくつかの矯正具を紹介すると、例えば矯正具本体が弾性材を用い成形され、該材料の性質である弾性復元力によって矯正を行うプレート(例えば、特許文献1参照。)や爪幅方向に長い矯正板と爪係止用のツメを形成することで該矯正具本体の弾性復元力で矯正する矯正具(例えば、特許文献2参照。)、弾性効果を有する形状記憶樹脂材や形状記憶合金を用いたプレート(例えば、特許文献3参照。)、弾性ワイヤーを爪の両側へ引っ掛けて張力を用いた矯正方法(例えば実案文献1参照。)など、巻き爪の湾曲する成長方向に対して、該巻き爪を修復する矯正方向に矯正体の弾性復元力の作用を用いて矯正する矯正具が開示されている。
その他の矯正具の矯正方法は爪縁に取着する手法で、例えば巻き爪を発症している爪縁部の爪先端部から爪根に向かって差込み取着させた矯正具を矯正方向に回転させる矯正法(例えば、特許文献4参照。)は爪床から離れているわずかな爪縁に引っ掛け回転させるため、矯正が働く箇所が小さく矯正力が爪縁に集中することで爪を劈開したり、生爪を剥いだりしやすくなる欠点がある。その他には、両側の爪縁に矯正体のツメを取着させ矯正方向に引っ張る矯正具(例えば、特許文献5参照。)なども開示されている。
【特許文献1】特開平9−253110号公報
【特許文献2】特開2007−244851号公報
【特許文献3】特許第2648735号公報
【特許文献4】特許第3393865号公報
【特許文献5】特許第3530901号公報
【実案文献1】
実案登録第2527125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来の巻き爪用の矯正具、例えば弾性復元力を用いた矯正手段は種々の矯正具の取着方法に違いはあるが、矯正具本体の弾性復元力の作用により巻き爪を徐々に平状へ復元して行く手段は同じであり、常に巻き爪患部の湾曲状の爪へ矯正力が働き変形を求めていることから、巻き爪形状から健常な爪形に修復する手法ではなく、巻き爪の痛みから解放する手段であることは明らかである。この根拠を補強する文献は、青木文彦氏による第45回日本形成外科学会学術集会にて講演発表された内容(2002年4月19日)からも推察できる。同文献では、巻き爪の症状や爪質にもよるが、弾性作用を用いた矯正具の治療期間は早くて2週間、爪基部まで平坦化するのには通常6カ月〜1年を要すると発表されていることからもわかる。即ち、足の親指の爪の長さは略18mmであり、伸びる速度は一日略0.1mmは定説となっていることから、6ヶ月の182日で18.2mm、1年の365日で36.5mmと弾性復元力を用いた矯正治療において完治する期間をみると略新しい爪に生え変わっているのである。なお、別の矯正具では被験者10名に弾性作用の矯正具で治療されたが、早い者で3日程度で効果がみられ、2週間経過時点で略全員巻き爪が解消されたとされているが、個々の巻き爪の症状が不明であるため精度は不明確である(特許文献6参照。)。
【特許文献6】特開2007−244851号公報6頁 段落番号0028
【0004】
また、弾性材もしくは形状記憶材を用いて形成した矯正作用体を湾曲状に変形させて爪甲部へ密着固定、いわゆる矯正作用体全体を固着した場合、この矯正具自体の伸縮変形がない限りは巻き爪の湾曲状は固定され、矯正力は無力な状態になり、湾曲が進行し悪化することも無いが、矯正されることもないと思われる。
【0005】
そこで、本発明は前記事情に基づいて成されたもので、弾性復元力の作用による矯正力を用いず、矯正中の巻き爪を矯正形状で固定保持できる剛性材または剛性構造で矯正作用体を形成することで、安静状態で矯正治療が行える巻き爪矯正具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、爪形を所望の形状で固定するには、先ず爪形を変形できる状態に緩めたら、爪形を所望の形状で保持し、後に爪形を固定化すると、矯正具を外した後もその形状は維持されるのである。これを利用し本発明の巻き爪矯正具により矯正治療を施すのである。
巻き爪の形成に関与しているのは、ポリペプチド側鎖結合の結合組織であることは既知である。第一趾の該ポリペプチド側鎖結合が何らかの原因で歪み、湾曲状に変形したことは、巻き爪の湾曲状が固定化し形成されていたり、該歪みが進行し形状が悪化したりすることからも推察できる。このように、爪の組成に関わるポリペプチド側鎖結合の歪みを除去しないまま矯正治療を行っても、巻き爪の早期再発の蓋然性は高いと思われる。
【0007】
そこで、該ポリペプチド側鎖結合の歪みを取り除き巻き爪の形状を修復するには、変性剤を巻き爪部へ含侵させるかまたは変性が起こる環境下で該ポリペプチド側鎖結合の結合を緩めることで固定化されていた巻き爪形状を解いた後、直ちに巻き爪を修復する爪形即ち略平状の爪形で固定保持された安静環境の状態にし、変性している爪部へ再架橋剤を含侵させるかまたは再架橋が起こる環境下において該ポリペプチド側鎖結合を再架橋することで、巻き爪の湾曲状は略平状へと再固定化し、修復される。この再架橋には平温時で10分から20分で完了するが、他の再架橋の確認方法は反対側の第一趾の爪と同程度の硬度に戻ったことで完了したことが確認できる。この施術の際、爪形が変動するような矯正具を用いて不安定な保持をした場合など、爪形を予期しない形状で固定してしまうことがある。該巻き爪を施術者の所望する矯正形状で固定保持し、安静状態が保てる環境下で矯正治療することが必要である。
【0008】
請求項1の発明の巻き爪矯正具は、人の爪に発症している巻き爪の正面先端部から取着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、結合部を介在し上下に配置された矯正板は、爪幅方向に長く、且つ該巻き爪の復元力に対して爪形を略平状に固定し保持できる硬度に強化された剛性材または剛性構造で形成され、この該矯正板と該結合部とで断面略コ字状に矯正作用体を形成し、上下の該矯正板が対向し形成する矯正用間隙へ該巻き爪の正面先端部を挿入することによって、該巻き爪を矯正する方向へ略平状に固定保持した安静状態で矯正できることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明の巻き爪矯正具は、人の爪に発症している巻き爪の正面先端部から該巻き爪部へ挟着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、該巻き爪を矯正する方向へ略平状に形成し保持できる挟圧力を発生させる弾性作用を結合部へ具備することによって、爪厚の個体差に対応し、且つ該巻き爪を略平状に固定保持した安静状態で矯正できることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明の巻き爪矯正具は、巻き爪を発症した人の爪の該巻き爪甲部へ取着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、該巻き爪を略平状に矯正する方向で固定し、保持できる硬度に強化された剛性材を用いて爪幅方向に長く形成された矯正板を爪甲部へ取着することによって、該巻き爪を略平状に安静状態で固定保持して矯正できることを特徴とする。
【0011】
前記請求項1および請求項2および請求項3の発明の構成によれば、従来の矯正具の特徴である弾性復元力の作用を用いた矯正手段ではなく、巻き爪を略平状に固定できる剛性材または剛性構造で形成された矯正板または矯正具本体を用いることで該巻き爪を矯正形状で固定し、安静状態を保持することで、爪の形状に関与するポリペプチド側鎖結合の歪みを効果的に修復し、整えることで、爪の復元を充分発揮できる剛性材または剛性構造で矯正用体を形成している。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1および請求項2および請求項3の発明の巻き爪矯正具によれば、従来の弾性材を用いて形成された矯正具の弾性復元力による矯正作用とは異なり、巻き爪の形成に影響を与えていた、爪の組成に関与するポリペプチド側鎖結合の歪みを修復するとともに、矯正治療中に靴や靴下などの外圧により起こる爪の変形を予防するためにも、該巻き爪を矯正形状で固定保持することで安静状態を確保した環境下で矯正治療が行えることを目的とした、矯正作用体の作用を充分発揮できる剛性材または剛性構造で形成される。
【0013】
また、請求項2の発明の巻き爪矯正具によれば、矯正作用体の矯正作用は剛性材または剛性構造により形成された上下の矯正板を該巻き爪の正面先端部へ取着することによって該巻き爪を矯正形状で固定し安静保持を得るのは請求項1と同様であるが、矯正板の結合部に弾性作用を発生させる弾性構造または弾性材を具備することで矯正作用も強化することができ、夫々の巻き爪の症状に対応できる能力が拡大すると共に、矯正具の矯正用間隙の開閉能が得られることで種々の爪厚にも対応が可能となる。また、挟着作業も容易となる。このことにより種々の巻き爪に対し、矯正作用体の作用を充分に発揮できる。
【0014】
また、請求項3の発明の巻き爪矯正具によれば、矯正作用体は剛性材または剛性構造で略板状に形成されている。このため、巻き爪の正面先端部が伸びていないことで請求項1および請求項2の巻き爪矯正具の装着が困難な場合であっても、該矯正作用体を、巻き爪を発症している爪甲部へ接着剤または両面接着テープを用いて固着することで、該巻き爪の爪形を略平状に固定保持できることにより、矯正作用である安静保持の環境状態で爪形を固定できる構造で形成されるので、矯正作用体の作用を充分発揮できる。
【発明を実施するため最良の形態】

【実施例1】
【0015】
本願の請求項1の発明にかかわる第一の実施の形態について、図1ないし図2を参照して説明する。この実施の形態は人の第一趾の爪縁に生じた巻き爪を矯正する矯正具を対象にしている。
【0016】
図2(a)において、21は第一趾の左爪縁に発生した巻き爪、22は正面先端部、23は爪縁部、24は爪郭である。図1は本願発明の第一の実施の形態である巻き爪矯正具Kaを示している。該巻き爪矯正具Kaは挟持用の矯正用間隙4を具備した断面略コの字状を成すもので、この巻き爪矯正具Kaは図2(b)に示すように矯正すべき第一趾に発症した巻き爪21の湾曲した爪幅方向の寸法と爪厚を考慮して該巻き爪矯正具Kaの寸法は決められるが、該巻き爪矯正具Kaは湾曲状の爪幅の略2倍程度、矯正用間隙4は爪厚より+0.1mm〜0.3mm程度広くとると良い。例えば巻き爪矯正具Kaは外寸幅12mm程度、外奥行き5mm程度、外丈3mm程度の断面略コの字状に外形は形成され、結合部1から延びる上側の矯正板2は幅12mm程度、内奥行き4mm程度、厚さ1mm程度の板状で、下側の矯正板3は幅12mm程度、内奥行き4mm程度、厚さ1mm程度の板状で、矯正用間隙4の開口部の高さは1mm程度で夫々は形成されている。
【0017】
この巻き爪矯正具Kaは図2(b)に示すように巻き爪21を略平状で固定し且つ保持できる強度がある剛性材または剛性構造、例えば硬質ポリエチレン系の高分子樹脂材で形成されている。高分子樹脂では、硬質ポリプロピレンやPETなどに代表される熱可塑性樹脂、フェノール樹脂やメラミン樹脂などに代表される熱硬化性樹脂などが挙げられる。また、金属では、Fe、Cu、Ti、Al、SUS、Agなどの1種または2種以上を含んだ合金で形成されてもよい。
【0018】
該巻き爪矯正具Kaを第一趾の巻き爪21に取着し矯正する手法の一例を示すが、これに限定されるものではない。例えば、先ずポリペプチド側鎖結合を変性させるため、少なくとも第一趾を40℃〜45℃の温水に15分程度の時間は浸し、指で該巻き爪21に触って充分柔らかく該ポリペプチド側鎖結合が緩みふやけたことを確認できたら、図2(b)に示すように該巻き爪21の正面先端部22へ巻き爪矯正具Kaを挟着させる。この際、該巻き爪矯正具Kaが容易に外れないように爪や人体に悪影響を与えない接着剤またはテープを用いて固着してもよい。
【0019】
そうすると、該巻き爪21を略平状へ固定できる巻き爪矯正具Kaによって安静状態が確保された環境下で、温水を含侵して変性していた巻き爪21の該ポリペプチド側鎖結合が徐々に乾燥するとともに再結合が進行し、さらに巻き爪21が通常の爪硬度まで乾燥した状態に達した時、巻き爪が発症していた爪の形状は略平状の矯正形状で固定化し、修復される。なお、巻き爪の症状により再架橋の回数や矯正具の装着時間は適宜に増減されてもよい。
【0020】
このように該ポリペプチド側鎖結合が再結合された段階で爪形は固定化されてしまうため、該巻き爪21は略平状の矯正形状でしっかりと固定保持され、安静状態で長時間保持できる矯正治療の環境下で治療をおこなうことで、施術者の所望する修復形状が確保できるのである。だが、矯正時に弾性復元力を常に爪へ働かせる弾性作用の矯正具のように、爪形の変動を強要する不安定な治療法では修復後の爪形を施術者の所望で固定化することは困難である。また、爪が蒸れる原因である高温多湿の環境を提供する靴や靴下などは特に足の爪の該ポリペプチド側鎖結合が変性しやすく、しかも第一趾の爪縁に接触圧力を掛ける締め付けの強い形状の靴や靴下であったりする場合には、該弾性能矯正具ともども変形させて、湾曲状をさらに進行させてしまう場合があるが、該巻き爪矯正具Kaの上下の矯正板2、3は剛性材を用いて形成しているため、巻き爪矯正具Kaに挟着された該巻き爪21は接触圧力にも安静状態は確保され、巻き爪の悪化を促進していた靴や靴下の環境下での該巻き爪矯正具Kaの使用はむしろ該ポリペプチド側鎖結合の再結合による巻き爪の修復を効果的に発揮する働きに利用することができる。
【実施例2】
【0021】
請求項2に関わる第二の実施の形態について、図3(a)、図3(b)を参照して説明する。なお請求項2の発明は、請求項1に記載の巻き爪矯正具の結合部に弾性構造5を具備して成すことを特徴とする。
【0022】
図3(a)は請求項2の形態である巻き爪矯正具Kbの正面図、図3(b)は該巻き爪矯正具Kbの側面図を示している。
該巻き爪矯正具Kbの外観寸法は図1の巻き爪矯正具Kaの形態と同じ部分は同符合とし、且つ同形態に関しては同寸法で形成されている。なお外寸法は例えば外寸幅12mm、奥行き5mm、外丈3mm程度に形成され、その具備された構造は上側矯正板2および下側矯正板3の厚さは各々1mm、矯正用間隙4の開口部の高さは0.5mm、結合部1の板厚を0.5mmと薄くし、さらに略弧形状を形成することにより弾性力を発生する結合部の弾性構造5を成している。材料は硬質ポリプロピレンを使用しているが、巻き爪を少なくとも略平状に固定保持できる剛性を有する材であれば、高分子樹脂材や金属に限られずに、適宜に選択して形成できる。
【実施例3】
【0023】
図4の巻き爪矯正具Kcは請求項3の発明に関わる第三の実施の形態を示している。なお、請求項3の発明は請求項1に記載の巻き爪矯正具の上側矯正板2を単体で使用できる構造で成したことを特徴とする。
該巻き爪矯正具Kcは略板状を成すもので、幅寸法は巻き爪を発症している爪幅寸法を考慮して、例えば幅12mm、奥行き3mm、板厚1.5mm程度の板状で材料は硬質ポリプロピレンを用いて形成し、巻き爪を含む爪甲部へ接着剤を用いて固着できる。
【0024】
なお、材料は硬質ポリプロピレンに限定されず、巻き爪へ固着した際に該巻き爪の湾曲状への復元力より強化され剛性力を有し、略平状に爪形を固定し保持できる弾性剛性材や塑性剛性材または脆性剛性材から選択され、また板厚も材料の剛性力から適宜に選択して形成できる。
【実施例4】
【0025】
図5の巻き爪矯正具Kdは請求項1の第4の実施形態を示している。巻き爪矯正具Kdが具備する矯正用間隙4の挿入口側の左右のいずれか一方または両方の角に装着用開口部6を具備することで、巻き爪21の正面先端部22への取着を容易にする。例えば、開口の寸法は、内側最大開口部の高さ2mm程度で形成しているが、爪厚や巻き爪の湾曲状の形態により適宜に変更してもよい。
【実施例5】
【0026】
図6が示す巻き爪矯正具Keは請求項2の他の実施形態を示している。また、図6(a)は巻き爪矯正具Keの斜視図、図6(b)は巻き爪矯正具Keの側面図である。上側矯正板2および下側矯正板3に具備された軸受け7に嵌入した支軸8と上側矯正板2および下側矯正板3に巻き線スプリング9が介装した弾性構造5を具備した結合部で形成されてもよい。なお、結合部の弾性構造5は、前記のスプリングの他板状を変形加工した弾性材を用いてもよく、設置方法も種々に選択して形成できる。
【実施例6】
【0027】
図7の巻き爪矯正具Kfは請求項3の別の実施形態である。図7が示しているように固着用の接着剤受け溝10を施してもよい。この巻き爪矯正具Kfの外寸法は巻き爪矯正具Kcと同じであるが、接着剤受け溝10の寸法は、幅12mm、奥行き1mm、高さ0.5mmの1本の断面略四角形の溝で形成されているが、その溝の断面形状は半丸型や角型に限定されず、溝の本数は1本または複数本の採用や寸法も適宜に変更してもよい。この接着剤受け溝10は、爪接触面が略平滑状の面を有する矯正具の接着方法の場合、接着剤を矯正具の爪接触面へ直に塗布されて爪甲へ押し付けられるために接着剤が矯正具の外へはみ出して爪を汚して見栄えが悪かったり、薄く延ばされることで接着効果が弱まったりする欠点があったが、巻き爪矯正具Kfは該接着剤受け溝10に接着剤が適量確保できることで、爪甲を汚さず、しかも爪甲への接着力を確保できる効果を得た。また巻き爪矯正具Kfの曲げ剛性を強化する効果も得ている。なおアレルギー等で接着剤の使用が困難な場合には、固着の手段として例えば両面接着テープを該接着剤受け溝10へ貼って爪甲に取着することも可能である。
【実施例7】
【0028】
図8の巻き爪矯正具Kgは請求項3の別の実施形態を示している。また、図8(a)は巻き爪矯正具Kgの正面図、図8(b)は巻き爪矯正具Kgの側面図である。図8が示しているように巻き爪矯正具Kgを爪甲に固着するためのフック11を矯正具の背面部の両端部に設けて、巻き爪の湾曲状への復元力の方向と剛性材で成した矯正具の形状保持力の間で介在する接着剤の接着力の低下により巻き爪爪縁側から剥離がおき、矯正具の端部が浮いてしまうのを防ぐ効果を提供する。フックの寸法だが例えば爪幅方向の外幅は3mm程度、外丈3mm程度、外奥行き3mm程度を矯正板の背面両端部に具備しているが、巻き爪の症状によりフックの数や設置箇所はその効果から鑑みて適宜に変更してもよい。
【0029】
なお、本発明は前述した実施の形態には限定されず、巻き爪を略平状の矯正形状で固定することで安静保持できる剛性材または剛性構造を用いて種々変形して実施することができる。例えば、巻き爪を矯正形状で固定し保持できる剛性効果を有する材料としては、金属や高分子樹脂などから選ばれた弾性剛性材、塑性剛性材、脆性剛性材に限定されず、他の材料も対象にできる。また、巻き爪矯正具の形状も前述した実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかる矯正具Kaの構成の一例を示す斜視図である。
【図2】(a)は巻き爪を左側爪縁に発症した第一趾の斜視図。(b)は前記実施形態の巻き爪矯正具Kaを第一趾の巻き爪に装着した状態を示す斜視図。
【図3】本発明にかかる矯正具Kbの構成の一例を示す(a)は正面図(b)は側面図である。
【図4】本発明にかかる矯正具Kcの形態の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施例の別の形態の一例を示す矯正具Kdの斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施例の別の形態の一例を示す矯正具Keの(a)は斜視図(b)は側面図である。
【図7】本発明の第三の実施例の別の形態の一例を示す矯正具Kfの(a)は正面図(b)は側面図である。
【図8】本発明の第三の実施例の別の形態の一例を示す矯正具Kgの(a)は正面図(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0027】
Ka は、本発明にかかる矯正具
Kb は、本発明にかかる矯正具
Kc は、本発明にかかる矯正具
Kd は、矯正具Kaの別の実施形態を表す矯正具
Ke は、矯正具Kbの別の実施形態を表す矯正具
Kf は、矯正具Kcの別の実施形態を表す矯正具
Kg は、矯正具Kcの別の実施形態を表す矯正具
1 は、結合部
2 は、上側矯正板
3 は、下側矯正板
4 は、矯正用間隙
5 は、結合部の弾性構造
6 は、装着用開口部
7 は、軸受け
8 は、支軸
9 は、スプリング
10 は、接着剤受け溝
11 は、フック
21 は、巻き爪
22 は、正面先端部
23 は、爪縁
24 は、爪郭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の爪に発症している巻き爪の正面先端部から取着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、結合部を介在し上下に配置された矯正板は、爪幅方向に長く、且つ該巻き爪の復元力に対して爪形を略平状に固定し保持できる硬度に強化された剛性材または剛性構造で形成され、この該矯正板と該結合部とで断面略コ字状に矯正作用体を形成し、上下の該矯正板が対向し形成する矯正用間隙へ該巻き爪の正面先端部を挿入することによって、該巻き爪を矯正する方向へ略平状に固定保持した安静状態で矯正できることを特徴とする、巻き爪矯正具。
【請求項2】
人の爪に発症している巻き爪の正面先端部へ取着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、矯正用間隙の開閉能を有し、且つ巻き爪を略平状へ成形し保持できる挟圧力を発生する弾性構造を結合部へ具備することによって、種々の爪質の巻き爪を略平状に固定保持した安静状態で矯正できることを特徴とする、請求項1記載の巻き爪矯正具。
【請求項3】
巻き爪を発症した人の爪の爪甲部へ取着して該巻き爪の矯正をする矯正作用体において、該巻き爪を略平状に保持し固定できる硬度に強化された剛性材または剛性構造を用いて爪幅方向に長く形成された矯正板を該巻き爪の爪甲部へ取着することによって、該巻き爪を略平状に固定保持した安静状態で矯正できることを特徴とする、請求項1記載の巻き爪矯正具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−63858(P2010−63858A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262260(P2008−262260)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(500264227)
【Fターム(参考)】