説明

巻芯付きロール状物用の紙製軸受台及びこれを用いた梱包体

【課題】段ボールシートなどの板紙を用いて、できる限り少ない材料により、容易に組み立て、解体をすることができる新規な梱包構造を提供する。
【解決手段】一対の支持壁部1における上部中央の切欠き部15,16に、ロール状物両端の巻芯端部b1を挿入することで、ロール状物bが宙吊り状に支持され、その荷重はそれぞれの支持壁部1に分散される。支持壁部1は、一枚の紙製シート基材a’の要所の折曲げで組み立てられ、第一主板面11、左右の第一妻板面12、左右の第一添板面13からなる角筒形状であるから、容易に組み立て可能であると共に、所定の耐荷重強度を有する。複数のシート基材を貼り合せたり多数積層するような必要なく、一枚のシート基材a’の要所の折曲げで容易に組み立て、解体可能な紙製軸受台aにより、ロール状物を宙吊り状に支持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻芯付きロール状物を宙吊り状態で支持して保管、運搬などに供することができる紙製の軸受台と、この軸受台を用いた巻芯付きロール状物の梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、長尺の金属箔や樹脂フィルムなどの製品を、芯材となる巻芯で巻き取ってロール状にした巻芯付きロール状物は、梱包箱などに収容した状態で保管、運搬などすると、表面が箱内面に接触して劣化する虞れがあるので、箱内に宙吊り状態で収容して梱包する必要がある。また、この種ロール状物は、数十〜数百m単位で巻き取られるので、一巻き当たりの重量が20〜100kg程度になり、通常の梱包箱では宙吊り状態に収容することは容易ではない。
【0003】
そこで、旧来においては、例えば特許文献1(特開2002−284281号)の図14に示されるように、木箱に一対の軸受け部を設け、これら軸受け部で巻芯を軸支して、木箱内にロール状物を宙吊り状態に収容していた。
しかし、木箱はそれ自体が重量物であるため、運搬時などに相当の労力が必要となるばかりか、組み立てや解体に手間を要し、コスト高になるなどの問題があった。
このような問題を解決するため、近年においては、巻芯を軸支するための切欠き状の軸受け部を備えた段ボール製の梱包箱が各種提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−284281号公報
【特許文献2】特開2003−54557号公報
【特許文献3】特開2004−26258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来の提案は、梱包箱を段ボール製として木箱による前述の問題などを解消せんとするものであるが、前記したように相当の重量となるロール状物を宙吊り状に軸支するには、軸受け部が形成された支持面に相当の強度が要求される。
そこで従来においては、前記支持面(側板面)を、内側の箱体と外側の箱体からなる内外二重構造としたり、多数枚の段ボールシートを積層して形成したり、支持面が底面(底板)に対し強固に立ち上がるべく嵌合構造を採用するなどしており、多くの材料が必要となるばかりか、組み立て、解体に手間を要し、結果としてコスト高になる問題があり、木箱による欠点を大幅に改善するまでには至らなかった。
【0006】
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、段ボールシートなどの板紙を用いて、できる限り少ない材料により、容易に組み立て、解体をすることができる、新規な巻芯付きロール状物の宙吊り状での梱包構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために、本発明に係る巻芯付きロール状物の軸受台は、
一枚の紙製シート基材(a’)の要所の折曲げで組み立てられ、巻芯に巻回されたロール状物(b)を宙吊り状態で支持する紙製の軸受台(a)であって、
少なくとも、対向状に配される一対の支持壁部(1,1)を備え、それぞれの支持壁部が、
第一主板面(11)と、
該第一主板面の左右側端に連設され該第一主板面と直交するよう折曲げた左右の第一妻板面(12,12)と、
該それぞれの第一妻板面の外端に連設され前記第一主板面と対向するよう折曲げて該第一主板面の中央まで至る幅を有する左右の第一添板面(13,13)と、
該それぞれの第一添板面の外端に連設され前記第一妻板面と対向するよう折曲げて互いに対向するよう配される左右の第一支柱板面(14,14)と、
前記第一主板面の上部中央に半円形状に形成された一方の第一切欠き部(15)と、
該一方の第一切欠き部と対向状に位置する半円形状の他方の第一切欠き部(16)を構成すべく前記各第一添板面の上部外端に形成された1/4円形状の第一切欠き(16a,16a)と、を備え、
前記各第一支柱板面(14,14)が前記一方及び他方の第一切欠き部(15,16)の間に配設され、これら第一支柱板面で、前記各第一切欠き部に挿入される前記ロール状物両端の巻芯端部(b1,b1)が支持されるよう形成したことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、対向状に配された一対の支持壁部(1,1)における上部中央の切欠き部(15,16、15,16)に、ロール状物両端の巻芯端部(b1,b1)を挿入すれば、一対の支持壁部の間にロール状物(b)が宙吊り状に支持され、ロール状物(b)の荷重はそれぞれの支持壁部に分散される。支持壁部は、一枚の紙製シート基材(a’)の要所の折曲げで組み立てられ、第一主板面(11)、左右の第一妻板面(12,12)、左右の第一添板面(13,13)からなる角筒形状であるから、容易に組み立て可能であると共に、所定の耐荷重強度を有する。さらに、一方及び他方の切欠き部(15,16)の間に位置する左右の第一支柱板面(14,14)が、これら切欠き部(15,16)に挿入された巻芯端部(b1)を支持する構造となる。すなわち、ロール状物の荷重応力が特に集中する箇所に左右の第一支柱板面が立ち上がって補強柱として機能するので、複数のシート基材を貼り合せたり多数積層するような手段を講じる必要なく、一枚のシート基材(a’)の要所の折曲げで組み立てられる支持壁部により、ロール状物を宙吊り状に支持することができる。
【0009】
前記左右の第一妻板面(12,12)は第一主板面(11)の左右側端に折線(11a,11a)を介して折曲げ可能に連設され、左右の第一添板面(13,13)はそれぞれの第一妻板面の外端に折線(12a,12a)を介して折曲げ可能に連設され、左右の第一支柱板面(14,14)はそれぞれの第一添板面の外端に折線(13a,13a)を介して折曲げ自在に連設されることが好ましい。
【0010】
また、前記一対の支持壁部(1,1)の間に配される底板面(3)をさらに備え、前記各支持壁部における前記第一主板面(11)が、前記底板面の左右側端に折線(3a)を介して連設され、前記一対の支持壁部が、前記底板面の左右両端に対向状に立ち上がるよう形成されていることが好ましい。
この場合、底板面(3)によって一対の支持壁部(1,1)が対向状に立ち上がる状態が維持されるので、前記したロール状物の宙吊り状の支持がより確実になされる。
【0011】
前記一対の支持壁部の上面に立ち上がる一対の保持壁部(2,2)をさらに備え、それぞれの保持壁部が、
前記各支持壁部における第一主板面の上端に半切り状折線(11b)を介して連設された第二主板面(21)と、
該第二主板面の左右側端に連設され該第二主板面と直交するよう折曲げた左右の第二妻板面(22,22)と、
該それぞれの第二妻板面の外端に連設され前記第二主板面と対向するよう折曲げて該第二主板面の中央まで至る幅を有する左右の第二添板面(23,23)と、
該それぞれの第二添板面の外端に連設され前記第二妻板面と対向するよう折曲げて互いに対向するよう配される左右の第二支柱板面(24,24)と、
前記第二主板面の下部中央に半円形状に形成された一方の第二切欠き部(25)と、
該一方の第二切欠き部と対向状に位置する半円形状の他方の第二切欠き部(26)を構成すべく前記各第二添板面の下部外端に形成された1/4円形状の第二切欠き(26a,26a)と、を備え、
前記保持壁部を前記半切り状折線(11b)を介して前記支持壁部上に立ち上げた際、前記一方及び他方の第二切欠き部(25,26)がそれぞれ、前記一方及び他方の第一切欠き部(15,16)に挿入された前記巻芯端部(b1)の上半部に被嵌すると共に、
前記一方及び他方の第二切欠き部(25,26)の間に配設された前記それぞれの第二支柱板面(24,24)が、前記それぞれの第一支柱板面(14,14)の延長線上に位置し、これら上下の各支柱板面で補強柱(5)を形成することが好ましい。
【0012】
この場合、前述した支持壁部(1)と同等の効果を有する保持壁部(2)が、支持壁部(1)の上面に立ち上げ可能となる。すなわち、保持壁部は、一枚の紙製シート基材(a’)の要所の折曲げで組み立てられ、第二主板面(21)、左右の第二妻板面(22,22)、左右の第二添板面(23,23)からなる角筒形状で、且つ一方及び他方の切欠き部(25,26)の間に位置する左右の第二支柱板面(24,24)を備えるから、前述した支持壁部(1)と同等の耐荷重強度を有すると共に、容易に組み立てることができる。このような保持壁部が支持壁部上に立ち上がり、第二切欠き部(25,26)が、第一切欠き部(15,16)に挿入された巻芯端部(b1)の上半部に被嵌することで、宙吊り状に支持されたロール状物のずれ、脱落などが防止され、ロール状物をより確実に保持することができる。また、ロール状物の両端に支持壁部と保持壁部が立ち上がり、且つ、ロール状物の巻芯両端の外側に、第一支柱板面(14,14)と第二支柱板面(24,24)からなる補強柱(5)が立ち上がるので、ロール状物を宙吊り状に保持した軸受台(a)を複数積み重ねることが可能になる。
【0013】
前記左右の第二妻板面(22,22)は第二主板面(21)の左右側端に折線(21a,21a)を介して折曲げ可能に連設され、左右の第二添板面(23,23)はそれぞれの第二妻板面の外端に折線(22a,22a)を介して折曲げ可能に連設され、左右の第二支柱板面(24,24)はそれぞれの第二添板面の外端に折線(23a,23a)を介して折曲げ自在に連設されることが好ましい。
【0014】
前記底板面(3)の前後端に、折線(3b,3c)で連設された複数の補強板面(31,32)を折り曲げてなる補強桟(4)を備えると良い。この場合、底板面の強度が増すので支持壁部、保持壁部の起立状態をより確実に維持することができ、ロール状物をより安定して宙吊り状に支持することができる。
【0015】
前記紙製シート基材(a’)が、二層以上、好ましくは三層以上の多層段ボールシートからなると良い。この場合、紙製シート基材が所定の耐荷重強度、折曲げ強度、剛性などを備えるので、前述した効果をより実効あるものとすることができる。
また、前記それぞれの板面の折曲げ状態を維持するための係止片(41,42,45)と、該係止片が差し込まれる係止孔(43,44,46)を有することが好ましい。
【0016】
前記底板面の下面にパレット(6)を敷設してフォークリフトのフォーク挿入空間を形成することが好ましい。
この場合、フォークリフトによる搬送作業が可能になるので、ロール状物が相当の重量物であっても、移送、運搬などを容易に行うことができる。
【0017】
本発明に係る巻芯付きロール状物の梱包体は、前記した軸受台により宙吊り状に支持されたロール状物の周囲をストレッチフィルムで被覆してなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る巻芯付きロール状物の梱包体は、前記した軸受台により宙吊り状に支持されたロール状物の周囲を紙製スリーブで覆ってなることを特徴とする。
スリーブとしては、円筒状、角筒状に形成されたものを用いることができるが、四角筒状のものが好ましい。また、スリーブの上面開口部を開閉自在に塞ぐ蓋部を備えると良い。
【0019】
このような構成の梱包体によれば、軸受台で宙吊り状に支持されたロール状物の周囲をストレッチフィルムやスリーブなどで覆うことで、該ロール状物の劣化、損傷、汚損などを防止し得ると共に、支持壁部、保持壁部の起立状態をより確実に維持することができる。
【0020】
尚、本発明に係る紙製シート基材、スリーブ、パレットは、段ボール、プラスチック段ボール、板紙などの所定の強度を備えた紙材で形成することができ、多層段ボールからなるものが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る軸受台は、一枚の紙製シート基材の要所を折曲げて組み立てられ、ロール状物両端の巻芯端部が挿入される切欠き部の下方に、該巻芯端部を支持する支柱板面を有し、この支柱板面で巻芯付きロール状物を宙吊り状に支持して保管、運搬などに供することができる。よって、組み立てが容易であって低コストで提供できると共に、構造上非常に強く、ロール状物をしっかりと宙吊り状に支持することができる。さらに、解体も容易なため、使用後は扁平状に展開して搬送、保管などができる。
また、本発明に係る梱包体は、前記軸受台による効果を奏すると共に、軸受台、スリーブ、パレットの全てを段ボールなどの紙製とした場合、廃棄や再利用も容易であるなど、多くの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例を図1〜図4に基づいて説明する。
本例の梱包体Aは、図1に示すように、紙製の軸受台aにより宙吊り状に支持されたロール状物bの周囲を、段ボールシートからなる四角筒状のスリーブcで覆ってなる。スリーブcの上面開口部は、蓋フラップc1で開閉自在に塞がれるようになっている。
【0023】
軸受台aは、一枚の紙製シート基材a’の要所の折曲げで組み立てられたものであって、底板面3と、該底板面3の左右両側に立ち上がる一対の支持壁部1,1と、それぞれの支持壁部1,1の上面に立ち上がる一対の保持壁部2,2を備え、それぞれの支持壁部1,1の間に、ロール状物bを宙吊り状に支持するようになっている。
【0024】
紙製シート基材a’は、図4に示すように、三層段ボールシートを所定形状に打ち抜くと共に要所に後述する折線などを形成したもので、底板面3の左右両側に、支持壁部1,1を構成するための各板面(第一主板面11,第一妻板面12,12、第一添板面13,13、第一支柱板面14,14)が連設され、それぞれの支持壁部1,1に、保持壁部2,2を構成するための各板面(第二主板面21,第一妻板面22,22、第一添板面23,23、第一支柱板面24,24)が連設されている。
【0025】
底板面3は、梱包体Aの底面部分を構成するもので、ロール状物bを梱包するに十分な大きさの四角形状に形成されている。底板面3の左右側端には折線3a,3aを介して第一主板面11,11が連設され、前後端には折線3b,3b、3c,3cを介して補強板面31,32が連設されている。
第一主板面11は、ロール状物bを宙吊り状に支持可能な大きさの四角形状に形成されており、前記折線3aに沿って立ち上って、後述する他の板面と共に支持壁部1を構成する。補強板面31,32は折線3b,3cに沿って順次内側に折り曲げられ、補強桟4を構成する。
【0026】
第一主板面11の左右側端には、折線11a,11aを介して左右の第一妻板面12,12が連設され、これら第一妻板面12,12は第一主板面11と直交するよう内側に折り曲げられる。
第一妻板面12,12の外端には、折線12aを介して左右の第一添板面13,13が連設され、これら第一添板面13,13は第一主板面11と対向するよう内側に折り曲げられる。第一添板面13は、第一主板面11の中央まで至る幅を有する。
第一添板面13,13の外端には、折線13aを介して左右の第一支柱板面14,14が連設され、これら第一支柱板面14,14は第一妻板面12と対向するよう内側に折り曲げられて互いに対向し、後述する一方及び他方の第一切欠き部15,16の間に配される。
【0027】
第一支柱板面14,14の外端、補強板面32の左右側端には、係止片41、42が形成され、第一主板面11には前記係止片41が差し込まれる係止孔43が形成され、第一添板面13,13には前記係止片42が差し込まれる係止孔44が形成され、これら係止片41,42を対応する係止孔43,44に差し込むことで、前記した各板面11〜14、31、32の折曲げ状態が維持されるようになっている。
【0028】
このようにして、第一主板面11、第一妻板面12,12、第一添板面13,13、第一支柱板面14,14、補強板面31,32を各折線に沿って順次折り曲げ、さらに係止片41,42を係止孔43,44に差し込むことで、支持壁部1,1、補強桟4,4が組み立てられ、支持壁部1の中央に、第一支柱板面14,14が互いに対向して立ち上がる。
【0029】
第一主板面11の上部中央には、ロール状物bの両端に突出する巻芯端部b1の下半部が挿入される、半円形状の一方の第一切欠き部15が形成されている。また、この第一切欠き部15と対向状に位置する半円形状の他方の第一切欠き部16を構成すべく、それぞれの第一添板面13,13の上部外端に、1/4円形状の第一切欠き16a,16aが形成されている。これら第一切欠き部15,16は、前記巻芯端部b1の下半部が挿入される。
【0030】
前記したそれぞれの第一支柱板面14,14は、これら一方及び他方の第一切欠き部15,16の間に配設され、これら第一支柱板面14,14で、それぞれの第一切欠き部15,16に挿入された前記巻芯端部b1,b1が支持される。
【0031】
第一主板面11,11の上端には、半切り状折線11b,11bを介して第二主板面21,21が連設されている。
第二主板面21は、半切り状折線11bにより、第一主板面11の上面に立ち上がる状態と、第一主板面11の外側に折れ曲がる状態とに変位自在となっており、後述する他の板面と共に保持壁部2を構成する。
【0032】
第二主板面21の左右側端には、折線21a,21aを介して左右の第二妻板面22,22が連設され、これら第二妻板面22,22は第二主板面21と直交するよう内側に折り曲げられる。
第二妻板面22,22の外端には、折線22aを介して左右の第二添板面23,23が連設され、これら第二添板面23,23は第二主板面21と対向するよう内側に折り曲げられる。第二添板面23は、第二主板面21の中央まで至る幅を有する。
第二添板面23,23の外端には、折線23aを介して左右の第二支柱板面24,24が連設され、これら第二支柱板面24,24は第二妻板面22と対向するよう内側に折り曲げられて互いに対向し、後述する一方及び他方の第二切欠き部25,26の間に配される。
【0033】
第二支柱板面24,24の外端には係止片45が形成され、第二主板面21にはこの係止片45が差し込まれる係止孔46が形成され、係止片45を係止孔46に差し込むことで、前記した各板面21〜24の折曲げ状態が維持されるようになっている。
【0034】
このようにして、第二主板面21、第二妻板面22,22、第二添板面23,23、第二支柱板面24,24を各折線に沿って順次折り曲げ、さらに係止片45を係止孔46に差し込むことで、支持壁部2,2が組み立てられ、その中央に、第二支柱板面24,24が互いに対向して立ち上がる。
【0035】
第二主板面21の下部中央には、前記した巻芯端部b1の上半部が挿入される、半円形状の一方の第二切欠き部25が形成されている。また、この第二切欠き部25と対向状に位置する半円形状の他方の第二切欠き部26を構成すべく、それぞれの第二添板面23,23の下部外端に、1/4円形状の第二切欠き26a,26aが形成されている。
【0036】
そして、保持壁部2を、半切り状折線11bに沿って支持壁部1上に立ち上げた際、一方及び他方の第二切欠き部25,26がそれぞれ、支持壁部1の第一切欠き部15,16と合致し、該第一切欠き部15,16に挿入された前記巻芯端部b1の上半部に被嵌する。よって、一対の支持壁部1,1で宙吊り状に支持されたロール状物bのずれ、脱落などが防止され、ロール状物bをより確実に宙吊り状態で保持することができる。
【0037】
さらに、第二支柱板面24,24が、支持壁部1の第一支柱板面14,14の延長線上に位置し、これら上下の各支柱板面14,14、24,24で補強柱5が形成される。
補強柱5は、宙吊り状に支持されたロール状物bの両端に突出する巻芯端部b1,b1を挟むようにしてその上方及び下方に、該巻芯端部b1と直交状に立ち上がるので、ロール状物bの支持がより確実なものになると共に、ロール状物bを宙吊り状に支持した軸受台aを複数積み重ねることが可能になる。
【0038】
底板面3の下面にはパレット6を敷設して、フォークリフトのフォーク挿入空間61を形成し、フォークリフトによる搬送作業を可能としている。パレット6は、紙製、木製、合成樹脂製のものが使用可能であるが、本発明の精神からすれば、紙製のパレットとすることが好ましい。
【0039】
それぞれの支持壁部1,1、保持壁部2,2の起立状態は、スリーブcを被せることでより確実に維持される。またスリーブcは、ロール状物の劣化、損傷、汚損などの防止にも寄与する。スリーブcは、紙製、木製、合成樹脂製のものが使用可能であるが、本発明の精神からすれば、紙製のスリーブとすることが好ましい。
【0040】
以上の構成になる本例の梱包体Aによりロール状物bを梱包する場合、まず、組み立て済みの軸受台aにおいて、それぞれの保持壁部2,2を、半切り状折線11b,11bに沿って折り曲げて外側へ倒し、一対の支持壁部1,1における上部中央の切欠き部15,16を露呈させる。
その状態で、ロール状物bにおける両端の巻芯端部b1,b1を、それぞれの支持壁部1,1の切欠き部15,16、25,26に挿入し、ロール状物bを、一対に支持壁部1,1の間に宙吊り状に支持する。
その後、それぞれの保持壁部2,2を各支持壁部1,1の上に立ち上げ、各保持壁部2,2における切欠き部25,26を、前記巻芯端部b1の上半部に被嵌させる。
さらに、スリーブcを上方から被せて、ロール状物bの周囲を保護すると共に、各支持壁部1,1、保持壁部2,2の起立状態をより確実に維持する。
【0041】
このようにして梱包されたロール状物bは、補強柱5、補強桟4などを備えた構造上非常に強い軸受台aにより、梱包体A内で宙吊り状態に保持され、且つその周囲を蓋付きのスリーブcで覆われているので、表面が劣化、汚損などすることなく、保管、運搬などに供される。
【0042】
使用後の梱包体Aは、軸受台a、スリーブcを扁平状に折畳んで搬送、保管などすることができ、輸送や保管に係るコストを大幅に低減することができる。
軸受台a、スリーブc、パレット6の全てを段ボールなどの紙製とした場合、廃棄や再利用も容易である。
【0043】
以下、本発明に係る紙製軸受台の耐荷重強度について行った試験について説明する。
(実施例)
図1〜図4に示す前述の構成の紙製軸受台aを、二層段ボールシートからなる紙製シート基材a’の要所の折り曲げにより組み立てて実施例とした。この紙製軸受台を、図2に示すように保持壁部2,2を外側に倒して、ロール状物bの巻芯を、支持壁部1,1の半円状の切欠き部15,16、15,16間に掛け渡した。この状態で、段ボール用圧縮試験等に通常用いられる荷重試験機により、前記ロール状物bの巻芯に荷重をかけて、支持壁部1,1の変形状態を測定したところ、最大荷重約8.4kNの時点で、前記切欠き部15,16に圧潰が生じ、ロール状物bの宙吊り状の支持が不安定になることが確認された。
【0044】
(比較例)
実施例と同様の二層段ボールシートを用いて、前述した第一支柱板面14,14を備えない紙製軸受台を作製し比較例とした。この紙製軸受台を用いて、実施例と同一の条件で試験を行ったところ、最大荷重約4.3kNの時点で、前記した切欠き部15,16の箇所に圧潰が生じ、ロール状物bの宙吊り状の支持が不安定になることが確認された。
以上の結果から、本発明に係る紙製軸受台とそれを梱包体の優位性を確認することができた。
【0045】
以上、本発明に係る紙製軸受台と梱包体の実施形態の一例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1における軸受台の斜視図で、保持壁部を倒した状態を示す。
【図3】図2における軸受台を上面側から見た斜視図。
【図4】軸受台を構成する紙製シート基材の展開図。
【符号の説明】
【0047】
a:軸受台
1:支持壁部
11:第一主板面
12:第一妻板面
13:第一添板面
14:第一支柱板面
15,16:第一切欠き部
16a:切欠き
2:保持壁部
21:第二主板面
22:第二妻板面
23:第二添板面
24:第二支柱板面
25,26:第二切欠き部
26a:切欠き
3:底板面
31,32:補強板面
4:補強桟
5:補強柱
6:パレット
b:ロール状物
b1:巻芯端部
c:スリーブ
c1:蓋フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の紙製シート基材の要所の折曲げで組み立てられ、巻芯に巻回されたロール状物を宙吊り状態で支持する軸受台であって、
少なくとも、対向状に配される一対の支持壁部を備え、それぞれの支持壁部が、
第一主板面と、
該第一主板面の左右側端に連設され該第一主板面と直交するよう折曲げた左右の第一妻板面と、
それぞれの第一妻板面の外端に連設され前記第一主板面と対向するよう折曲げて該第一主板面の中央まで至る幅を有する左右の第一添板面と、
それぞれの第一添板面の外端に連設され前記第一妻板面と対向するよう折曲げて互いに対向するよう配される左右の第一支柱板面と、
前記第一主板面の上部中央に半円形状に形成された一方の第一切欠き部と、
該一方の第一切欠き部と対向状に位置する半円形状の他方の第一切欠き部を構成すべく前記各第一添板面の上部外端に形成された1/4円形状の第一切欠きと、を備え、
前記各第一支柱板面が前記一方及び他方の第一切欠き部の間に配設され、これら第一支柱板面で、前記各第一切欠き部に挿入される前記ロール状物両端の巻芯端部が支持されるよう形成したことを特徴とする紙製軸受台。
【請求項2】
前記一対の支持壁部の間に配される底板面をさらに備え、前記各支持壁部における前記第一主板面が、前記底板面の左右側端に折線を介して連設され、前記一対の支持壁部が、前記底板面の左右両端に対向状に立ち上がるよう形成されていることを特徴とする請求項1記載の紙製軸受台。
【請求項3】
前記一対の支持壁部の上面に立ち上がる一対の保持壁部をさらに備え、それぞれの保持壁部が、
前記各支持壁部における第一主板面の上端に半切り状折線を介して連設された第二主板面と、
該第二主板面の左右側端に連設され該第二主板面と直交するよう折曲げた左右の第二妻板面と、
それぞれの第二妻板面の外端に連設され前記第二主板面と対向するよう折曲げて該第二主板面の中央まで至る幅を有する左右の第二添板面と、
それぞれの第二添板面の外端に連設され前記第二妻板面と対向するよう折曲げて互いに対向するよう配される左右の第二支柱板面と、
前記第二主板面の下部中央に半円形状に形成された一方の第二切欠き部と、
該一方の第二切欠き部と対向状に位置する半円形状の他方の第二切欠き部を構成すべく前記各第二添板面の下部外端に形成された1/4円形状の第二切欠きと、を備え、
前記保持壁部を前記半切り状折線を介して前記支持壁部上に立ち上げた際、前記一方及び他方の第二切欠き部がそれぞれ、前記一方及び他方の第一切欠き部に挿入された前記巻芯端部の上半部に被嵌すると共に、
前記一方及び他方の第二切欠き部の間に配設された前記それぞれの第二支柱板面が、前記それぞれの第一支柱板面の延長線上に位置し、これら上下の各支柱板面で補強柱を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の紙製軸受台。
【請求項4】
前記底板面の前後端に、折線で連設された複数の補強板面を折り曲げてなる補強桟を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紙製軸受台。
【請求項5】
前記それぞれの板面の折曲げ状態を維持するための係止片と、該係止片が差し込まれる係止孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙製軸受台。
【請求項6】
前記紙製シート基材が多層段ボールからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紙製軸受台。
【請求項7】
前記底板面の下面にパレットを敷設してフォークリフトのフォーク挿入空間を形成したことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の紙製軸受台。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の紙製軸受台により宙吊り状に支持されたロール状物の周囲をストレッチフィルムで被覆してなることを特徴とする巻芯付きロール状物の梱包体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の紙製軸受台により宙吊り状に支持されたロール状物の周囲を、紙製スリーブで覆ってなることを特徴とする巻芯付きロール状物の梱包体。
【請求項10】
前記スリーブの上面開口部を開閉自在に塞ぐ蓋部を備えたことを特徴とする請求項9記載の巻芯付きロール状物の梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−7125(P2008−7125A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176512(P2006−176512)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000110332)王子インターパック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】