布団乾燥装置
【課題】セッティング及び収納が容易で、かつ、スペースの有効利用が可能な布団乾燥機を提供する。
【解決手段】乾燥時において、フック8が外されて回動自在となると、下段放熱面2、上段放熱面3を折り曲げることができる。さらに、開き止め部材9をロックすることにより、温水式ラジエータ1aは床面13上に山形に位置固定される。これにより壁面設置時に背面側の放熱面上に布団10を置くことができる。さらに、この状態で放熱面に温水を流すことにより、布団10の乾燥を行うことができる。
【解決手段】乾燥時において、フック8が外されて回動自在となると、下段放熱面2、上段放熱面3を折り曲げることができる。さらに、開き止め部材9をロックすることにより、温水式ラジエータ1aは床面13上に山形に位置固定される。これにより壁面設置時に背面側の放熱面上に布団10を置くことができる。さらに、この状態で放熱面に温水を流すことにより、布団10の乾燥を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布団乾燥装置に係り、特に壁面等に設置する暖房用ラジエータを利用する布団乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布団乾燥はベランダなどを利用するいわゆる天日干しによって行うことが一般的であるが、このような布団乾燥は天気の良い日に限られ、また、部屋からベランダまで布団を運ぶのに労作業を要するといった不都合がある。そこで、天気に左右されず必要な時に簡単に布団乾燥可能な乾燥装置の実現が望まれていた。
このような要請に応えるものとして、温風式布団乾燥機が公知である(例えば、特許文献1)。図11はこの方式による布団乾燥機100を示し、通気性を有する乾燥シート102を敷布団104と被り布団105の間に置き、本体101から供給される温風をホース103を介して乾燥シート102から放散することにより、上下の布団を同時に乾燥するものである。
【特許文献1】特開平11−33295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記温風式布団乾燥機は、不使用時には乾燥シート102を折り畳み、伸縮自在のホース103を巻き取って本体101内に収納する構成であるため、セッティング及び収納に手間がかかり、利便性に欠けるという問題がある。また、不使用時に機器収納場所を確保する必要があるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような問題を解決するものであって、セッティング及び収納が容易で、かつ、スペースの有効利用が可能な布団乾燥機を提供する。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る布団乾燥装置は、
(1)壁面等に設置される暖房用ラジエータを利用した布団乾燥装置であって、該ラジエータは、下端部を支点として床面上に倒置可能とする第一の回動手段を備え、かつ、倒置状態において放熱面に布団類を載置可能に構成され、て成ることを特徴とする。
(2)上記(1)において、前記ラジエータは、放熱面の中央に放熱面を折り曲げ可能とする第二の回動手段を、さらに備えて成ることを特徴とする。
(3)上記(1)又は(2)において、前記ラジエータは、温水パイプ群を放熱面とする温水式ラジエータであって、かつ、
前記第一の回動手段及び前記第二の回動手段は、温水流通部の気密を維持しつつ、放熱面を倒置又は折り曲げ可能に構成して成る、ことを特徴とする。
(4)上記(1)〜(3)において、放熱面の反対側に放熱パイプに脱着可能に嵌合し、放熱を抑制するための遮熱パネルを、さらに備えて成ることを特徴とする。
(5)上記(3)又は(4)において、前記ラジエータ下端部に乾燥促進用のファンを、さらに備えて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
上記各発明によれば、布団乾燥時のセッティングが容易で、かつ、特別の収納場所を必要としないという利点がある。
また、従来、冬季以外には用途がなかった暖房用ラジエータについて、通年で有効利用可能になるという効果がある。
また、温水式ラジエータを利用するタイプにあっては、(従来の電気式布団乾燥機(ファン動力を含め700W程度)と比較して、容易に大能力化を図ることができ、乾燥時間の短縮が可能となるという効果がある。
また、断熱シートを付設するタイプにあっては、効率的に温熱を利用することができ、省エネ性向上に資するという効果がある。
また、乾燥促進用のファンを付設するタイプにあっては、乾燥時間のさらなる短縮化が図れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る布団乾燥装置の実施形態について、図1乃至10を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0007】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る布団乾燥装置1の正面(a)及び側面(b)構成を示す図である。図2は、ヘッダー接続部5の断面詳細構成を示す図である。図3は、布団乾燥装置1の布団乾燥時の形態を示す図である。
図1を参照して、布団乾燥装置1は、下段放熱面2、上段放熱面3、接続部5及び底部ヘッダー6を備え、下端部及び中央部で回動可能な温水式ラジエータ1aにより構成されている。下段放熱面2及び上段放熱面3は、それぞれ両端のヘッダー2a,2b又はヘッダー3a,3bと、両ヘッダー間に介在する放熱パイプ4と、を主要構成とする。温水式ラジエータ1aは、壁面12に一端固定のフック8によりヘッダー3a,3bが掛止されることにより、壁面12に沿って自立可能に構成されている。
【0008】
次に、図2を参照して、ヘッダー2aとヘッダー3aに介在する接続部5の詳細構成について説明する。ヘッダー2a、3aの端部2c、3cはL字状に形成され、その内側面にはOリング5c嵌入のための溝部5dが設けられている。一方、接続部材5aは「コ」の字状に形成されており、両ヘッダーと接続部材5aとは、Oリング5cを介して回動可能に接続されている。また、両ヘッダーと接続部材の外側面はクリップ5dにより締着されている。以上の構成により、下段放熱面2と上段放熱面3とはヘッダー部においてシールが維持され、かつ、互いに独立して回動可能になっている。
また、後述する布団乾燥時の支持のため、ヘッダー2aの片側には開き止め部材9が、対応するヘッダー3aには止め部材9aが取り付けられている。
底部ヘッダー6は、両端の接続部6a、6bと戻り管部6cにより構成され、床面13上に固定されている。底部ヘッダー6と下段放熱面2とは、両端の接続部6a、6bを介して接続されている。図示は省略するが、ヘッダー2a、2bと接続部6a、6bとの接続構造は、ヘッダー2a、3aと接続部5との接続構造と同様であり、シールを維持しつつ下段放熱面2を回動可能に構成されている。
【0009】
接続部6aには温水流入部7aが接続されており、熱源機(図示せず)から供給される温水をヘッダー2aに供給するように構成されている。また、接続部6bには流出部7bが接続されており、ヘッダー3aに戻る温水を熱源機に戻すように構成されている。
以上の構成により、暖房時において流入部7aから供給される温水は、接続部6aを経由してヘッダー2a→接続部5→ヘッダー3aの流路を経て各放熱パイプ4に供給される。放熱後は、ヘッダー3b→接続部5→ヘッダー2b→接続部6bの経路で流出部7bに戻り、最終的に熱源機に戻される。
【0010】
次に図3を参照して、布団乾燥装置1の布団乾燥時の形態について説明する。乾燥時において、フック8が外されて回動自在となると、下段放熱面2、上段放熱面3を折り曲げることができる。さらに、開き止め部材9をロックすることにより、温水式ラジエータ1aは床面13上に山形に位置固定される。これにより壁面設置時に背面側に位置していた放熱面上に布団10を置くことができる。さらに、この状態で放熱面に温水を流すことにより、布団10の乾燥を行うことができる。
なお、本実施形態では暖房用ラジエータとして温水式ラジエータの例を示したが、他の熱源によるラジエータを用いることも可能である。以下の実施形態においても同様である。
また、下段放熱面と上段放熱面との接続について、「コ」の字状接続部を用いる例を示したが、シールが維持される構造であればどのような接続方法であってもよい。
【0011】
(第二の実施形態)
次に図4,5を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る布団乾燥装置20の正面(a)及び側面(b)構成を示す図である。図5は、布団乾燥装置20の布団乾燥時の形態を示す図である。
図4を参照して、布団乾燥装置20は、下端部で前面側に倒置可能な温水式ラジエータ20aにより構成されている。温水式ラジエータ20aは、下部ヘッダー21,上部ヘッダー22、両ヘッダー間に設けられた放熱パイプ群23、及び床面13上に固定された下部ヘッダー21両端の接続部26、27により構成されている。また、温水式ラジエータ20aは、壁面12に一端固定のフック28により上部ヘッダー22が掛止されることにより、壁面12に沿って自立可能に構成されている。下部ヘッダー21と接続部26、27とは、上述の接続部5と同様のシール構造を備えており、シールを維持しつつ温水式ラジエータ20a全体を前面側に回動可能としている。
下側ヘッダー21内部は、往き側ヘッダー21aと戻り側ヘッダー21bに区画されている。また、放熱パイプ群23は、温水を往き側ヘッダー21aから戻り側ヘッダー21bに流す放熱パイプ群23aと、戻り側ヘッダー21bから往き側ヘッダー21aに流す放熱パイプ群23bにより構成されている。
接続部26、27にはそれぞれ温水流入部24、温水流出部25が接続されており、熱源機(図示せず)から供給される温水を循環可能に構成されている。
以上の構成により、温水通水時において温水流入部24から供給される温水は、接続部26→往き側ヘッダー21a→放熱パイプ群23aの経路で上部ヘッダー22に集められる。ここから放熱パイプ群23bを流下して戻り側ヘッダー21bに集められ、接続部27から流出部25に至り、熱源機に戻される。
【0012】
次に図5を参照して、布団乾燥装置20の布団乾燥時の形態について説明する。温水式ラジエータ20aは、フック28が外されると接続部26、27を支点にして前面側に倒すことにより、床面13上に倒置される。この状態で温水式ラジエータ1aの上部に布団10を載置して、さらに温水を循環させることにより、放熱パイプ群23からの放熱による乾燥を行うことができる。
なお、本実施形態では温水流入部24と流出部25について、両端に分離配置する構成としたが、第一の実施形態の温水式ラジエータ1aと同様に、底部ヘッダー6を設けて両者を集合させる構成とすることもできる。
【0013】
(第三の実施形態)
さらに図6乃至8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る布団乾燥装置30の正面(a)、断面(b)構成を示す図である。図7は、遮熱パネル31の詳細構成を示す図である。図8は、布団乾燥装置30の布団乾燥時の形態を示す図である。
図6を参照して、布団乾燥装置30が上述の布団乾燥装置20と異なる点は、第二の実施形態に係る温水式ラジエータ20aの背面側に、遮熱パネル31を備えていることである。図7を参照して、遮熱パネル31は、表面に熱反射向上のためのアルミシートを貼付した発泡材質の断熱材32を薄板状に形成し、片側表面に複数の縦方向溝部33を備えている。遮熱パネル31の高さは放熱パイプ長よりやや小さく、また、溝部33の外径は放熱パイプ23を嵌合可能に形成されている。このような構成により、暖房時に図6に示すように遮熱パネル31を取り付けることにより、壁面側への放熱を抑制して暖房性能の向上を図ることができる。
また、布団乾燥時においては、図8に示すように遮熱パネル31を床面側に取り付けることにより、床面側への放熱を抑制して布団側への放熱を増やすことができ、省エネ性の向上と乾燥時間のさらなる短縮を図ることができる。
なお、本実施形態では、1つの遮熱パネルを温水式ラジエータ20aの放熱面に取り付ける例を示したが、複数の放熱面を備えた温水式ラジエータ(例えば、第一の実施形態)の各放熱面に取り付ける形態とすることもできる。
【0014】
(第四の実施形態)
さらに図9乃至11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る布団乾燥装置40の正面(a)、断面(b)構成を示す図である。図10は、布団乾燥装置40の布団乾燥時の形態を示す図である。
図9を参照して、布団乾燥装置40が上述の布団乾燥装置1と異なる点は、温水式ラジエータ40aが本体下端部にクロスフロータイプの送風ファン41を備えており、上方に向かって可能としていることである。このような構成により、図10に示すように布団乾燥時にファン41を駆動することにより、布団で囲われた空間42内空気が攪拌される。さらに新鮮空気をも取り入れることができ、乾燥効果を高めることができる。これにより、乾燥時間のさらなる短縮を図ることができる。
【0015】
図11は、温水式ラジエータ40aの2つの放熱面43a、43bを直立させた乾燥形態を示す図である。送風ファン41を2つの放熱面間に移動可能な構成とすることにより、同図のような乾燥形態も可能となる。本形態によれば、図10のタイプと比較して温風の部屋内拡散を減らすことができるため、乾燥効率がより向上する。
【実施例1】
【0016】
以下、温水式ラジエータの乾燥性能を確認するために行った試験の内容について説明する。比較のため、電気式布団乾燥装置についても同様の試験を行った。
(1)試験装置
表1に試験に用いた温水式及び電気式布団乾燥装置の仕様概要を示す。
【表1】
【0017】
(2)試験方法
シングルサイズの敷布団及び掛け布団に60kg(体重想定)の荷重をかけ、さらに200ml(就寝発汗量想定)加湿して16時間放置した後に、試験装置を用いて乾燥した。乾燥中、布団の重量・厚みを経時的に測定した。
(2)試験結果
表2に、乾燥度・復元率が100%になるまでの時間を示す。温水式ラジエータは、布団のほぼ全面に亘って放熱できるため、乾燥効果が高いことが分かる。
【表2】
(※1)75分コース運転を2回繰り返し。
(※2)綿のみ温水80℃運転、その他は温水60℃運転。
【実施例2】
【0018】
温水式ラジエータの乾燥性能を確認するために行った試験の内容について説明する。比較のため、電気式布団乾燥機についても同様の試験を行った。
(1)試験装置
実施例1と同一の装置を用いた。
(2)試験方法
上記3タイプの乾燥機を用いて、綿100%の敷布団を乾燥させ、定常状態となった時の布団内部温度を測定した。測定箇所は、布団断面方向につき等間隔に4点(h0、h1、h2、h3)、長さ方向につき4点(a、b、c、d)とした。図12に、各測定ポイントの位置関係を示す。
(3)試験結果
図13は、布団の長さ方向(a、b、c、d)の内部温度平均値を示す図である。温水式ラジエータでは放熱面(ラジエータ)側の布団表面から布団中心部にかけて(以下「布団表層」という)、ダニを死滅させることができる温度である50℃以上にすることができた。これに対して、電気式布団乾燥機については、布団表層部を50℃以上に維持することは困難であった。布団表層は就寝時の汗の影響で含水量も多く、フケ・アカも付き易く、生きたダニが増殖しやすいと言われている。布団を加熱乾燥して含水量を減らすことは、ダニ増殖抑制のみならず、加熱温度によってはダニを死滅させるにも有効と考えられる。50℃以上に加熱できない布団表層にダニが存在すると、ダニは中綿まで逃げ込んでしまうため、なるべく布団の広い範囲を50℃以上に保つことが布団乾燥する上で重要である。温水ラジエータでは、この状態を実現しやすいと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、布団乾燥のみならず、他の被乾燥物の乾燥装置としても広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一の実施形態に係る布団乾燥装置1の構成を示す図である。
【図2】ヘッダー接続部5の断面構成を示す図である。
【図3】布団乾燥装置1の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図4】第一の実施形態に係る布団乾燥装置20の構成を示す図である。
【図5】布団乾燥装置20の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図6】第三の実施形態に係る布団乾燥装置30の構成を示す図である。
【図7】遮熱パネル31の構成を示す図である。
【図8】布団乾燥装置30の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図9】第四の実施形態に係る布団乾燥装置40の構成を示す図である。
【図10】布団乾燥装置40の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図11】布団乾燥装置40の他の布団乾燥形態を示す図である。
【図12】実施例2の布団温度測定箇所を示す図である。
【図13】実施例2の試験結果を示す図である。
【図14】従来の布団乾燥装置100の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1,20,30,40・・・・布団乾燥装置
1a、20a、40a・・・・温水式ラジエータ
2、3・・・・放熱面
2a、2b、3a,3b・・・・ヘッダー
4、23・・・・放熱パイプ
5、6a,6b,26,27・・・・接続部
7a、24・・・・温水流入部
7b、25・・・・温水流出部
8、28・・・・フック
9・・・・開き止め部材
31・・・・遮熱パネル
41・・・・送風ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は布団乾燥装置に係り、特に壁面等に設置する暖房用ラジエータを利用する布団乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布団乾燥はベランダなどを利用するいわゆる天日干しによって行うことが一般的であるが、このような布団乾燥は天気の良い日に限られ、また、部屋からベランダまで布団を運ぶのに労作業を要するといった不都合がある。そこで、天気に左右されず必要な時に簡単に布団乾燥可能な乾燥装置の実現が望まれていた。
このような要請に応えるものとして、温風式布団乾燥機が公知である(例えば、特許文献1)。図11はこの方式による布団乾燥機100を示し、通気性を有する乾燥シート102を敷布団104と被り布団105の間に置き、本体101から供給される温風をホース103を介して乾燥シート102から放散することにより、上下の布団を同時に乾燥するものである。
【特許文献1】特開平11−33295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記温風式布団乾燥機は、不使用時には乾燥シート102を折り畳み、伸縮自在のホース103を巻き取って本体101内に収納する構成であるため、セッティング及び収納に手間がかかり、利便性に欠けるという問題がある。また、不使用時に機器収納場所を確保する必要があるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような問題を解決するものであって、セッティング及び収納が容易で、かつ、スペースの有効利用が可能な布団乾燥機を提供する。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る布団乾燥装置は、
(1)壁面等に設置される暖房用ラジエータを利用した布団乾燥装置であって、該ラジエータは、下端部を支点として床面上に倒置可能とする第一の回動手段を備え、かつ、倒置状態において放熱面に布団類を載置可能に構成され、て成ることを特徴とする。
(2)上記(1)において、前記ラジエータは、放熱面の中央に放熱面を折り曲げ可能とする第二の回動手段を、さらに備えて成ることを特徴とする。
(3)上記(1)又は(2)において、前記ラジエータは、温水パイプ群を放熱面とする温水式ラジエータであって、かつ、
前記第一の回動手段及び前記第二の回動手段は、温水流通部の気密を維持しつつ、放熱面を倒置又は折り曲げ可能に構成して成る、ことを特徴とする。
(4)上記(1)〜(3)において、放熱面の反対側に放熱パイプに脱着可能に嵌合し、放熱を抑制するための遮熱パネルを、さらに備えて成ることを特徴とする。
(5)上記(3)又は(4)において、前記ラジエータ下端部に乾燥促進用のファンを、さらに備えて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
上記各発明によれば、布団乾燥時のセッティングが容易で、かつ、特別の収納場所を必要としないという利点がある。
また、従来、冬季以外には用途がなかった暖房用ラジエータについて、通年で有効利用可能になるという効果がある。
また、温水式ラジエータを利用するタイプにあっては、(従来の電気式布団乾燥機(ファン動力を含め700W程度)と比較して、容易に大能力化を図ることができ、乾燥時間の短縮が可能となるという効果がある。
また、断熱シートを付設するタイプにあっては、効率的に温熱を利用することができ、省エネ性向上に資するという効果がある。
また、乾燥促進用のファンを付設するタイプにあっては、乾燥時間のさらなる短縮化が図れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る布団乾燥装置の実施形態について、図1乃至10を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0007】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る布団乾燥装置1の正面(a)及び側面(b)構成を示す図である。図2は、ヘッダー接続部5の断面詳細構成を示す図である。図3は、布団乾燥装置1の布団乾燥時の形態を示す図である。
図1を参照して、布団乾燥装置1は、下段放熱面2、上段放熱面3、接続部5及び底部ヘッダー6を備え、下端部及び中央部で回動可能な温水式ラジエータ1aにより構成されている。下段放熱面2及び上段放熱面3は、それぞれ両端のヘッダー2a,2b又はヘッダー3a,3bと、両ヘッダー間に介在する放熱パイプ4と、を主要構成とする。温水式ラジエータ1aは、壁面12に一端固定のフック8によりヘッダー3a,3bが掛止されることにより、壁面12に沿って自立可能に構成されている。
【0008】
次に、図2を参照して、ヘッダー2aとヘッダー3aに介在する接続部5の詳細構成について説明する。ヘッダー2a、3aの端部2c、3cはL字状に形成され、その内側面にはOリング5c嵌入のための溝部5dが設けられている。一方、接続部材5aは「コ」の字状に形成されており、両ヘッダーと接続部材5aとは、Oリング5cを介して回動可能に接続されている。また、両ヘッダーと接続部材の外側面はクリップ5dにより締着されている。以上の構成により、下段放熱面2と上段放熱面3とはヘッダー部においてシールが維持され、かつ、互いに独立して回動可能になっている。
また、後述する布団乾燥時の支持のため、ヘッダー2aの片側には開き止め部材9が、対応するヘッダー3aには止め部材9aが取り付けられている。
底部ヘッダー6は、両端の接続部6a、6bと戻り管部6cにより構成され、床面13上に固定されている。底部ヘッダー6と下段放熱面2とは、両端の接続部6a、6bを介して接続されている。図示は省略するが、ヘッダー2a、2bと接続部6a、6bとの接続構造は、ヘッダー2a、3aと接続部5との接続構造と同様であり、シールを維持しつつ下段放熱面2を回動可能に構成されている。
【0009】
接続部6aには温水流入部7aが接続されており、熱源機(図示せず)から供給される温水をヘッダー2aに供給するように構成されている。また、接続部6bには流出部7bが接続されており、ヘッダー3aに戻る温水を熱源機に戻すように構成されている。
以上の構成により、暖房時において流入部7aから供給される温水は、接続部6aを経由してヘッダー2a→接続部5→ヘッダー3aの流路を経て各放熱パイプ4に供給される。放熱後は、ヘッダー3b→接続部5→ヘッダー2b→接続部6bの経路で流出部7bに戻り、最終的に熱源機に戻される。
【0010】
次に図3を参照して、布団乾燥装置1の布団乾燥時の形態について説明する。乾燥時において、フック8が外されて回動自在となると、下段放熱面2、上段放熱面3を折り曲げることができる。さらに、開き止め部材9をロックすることにより、温水式ラジエータ1aは床面13上に山形に位置固定される。これにより壁面設置時に背面側に位置していた放熱面上に布団10を置くことができる。さらに、この状態で放熱面に温水を流すことにより、布団10の乾燥を行うことができる。
なお、本実施形態では暖房用ラジエータとして温水式ラジエータの例を示したが、他の熱源によるラジエータを用いることも可能である。以下の実施形態においても同様である。
また、下段放熱面と上段放熱面との接続について、「コ」の字状接続部を用いる例を示したが、シールが維持される構造であればどのような接続方法であってもよい。
【0011】
(第二の実施形態)
次に図4,5を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る布団乾燥装置20の正面(a)及び側面(b)構成を示す図である。図5は、布団乾燥装置20の布団乾燥時の形態を示す図である。
図4を参照して、布団乾燥装置20は、下端部で前面側に倒置可能な温水式ラジエータ20aにより構成されている。温水式ラジエータ20aは、下部ヘッダー21,上部ヘッダー22、両ヘッダー間に設けられた放熱パイプ群23、及び床面13上に固定された下部ヘッダー21両端の接続部26、27により構成されている。また、温水式ラジエータ20aは、壁面12に一端固定のフック28により上部ヘッダー22が掛止されることにより、壁面12に沿って自立可能に構成されている。下部ヘッダー21と接続部26、27とは、上述の接続部5と同様のシール構造を備えており、シールを維持しつつ温水式ラジエータ20a全体を前面側に回動可能としている。
下側ヘッダー21内部は、往き側ヘッダー21aと戻り側ヘッダー21bに区画されている。また、放熱パイプ群23は、温水を往き側ヘッダー21aから戻り側ヘッダー21bに流す放熱パイプ群23aと、戻り側ヘッダー21bから往き側ヘッダー21aに流す放熱パイプ群23bにより構成されている。
接続部26、27にはそれぞれ温水流入部24、温水流出部25が接続されており、熱源機(図示せず)から供給される温水を循環可能に構成されている。
以上の構成により、温水通水時において温水流入部24から供給される温水は、接続部26→往き側ヘッダー21a→放熱パイプ群23aの経路で上部ヘッダー22に集められる。ここから放熱パイプ群23bを流下して戻り側ヘッダー21bに集められ、接続部27から流出部25に至り、熱源機に戻される。
【0012】
次に図5を参照して、布団乾燥装置20の布団乾燥時の形態について説明する。温水式ラジエータ20aは、フック28が外されると接続部26、27を支点にして前面側に倒すことにより、床面13上に倒置される。この状態で温水式ラジエータ1aの上部に布団10を載置して、さらに温水を循環させることにより、放熱パイプ群23からの放熱による乾燥を行うことができる。
なお、本実施形態では温水流入部24と流出部25について、両端に分離配置する構成としたが、第一の実施形態の温水式ラジエータ1aと同様に、底部ヘッダー6を設けて両者を集合させる構成とすることもできる。
【0013】
(第三の実施形態)
さらに図6乃至8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る布団乾燥装置30の正面(a)、断面(b)構成を示す図である。図7は、遮熱パネル31の詳細構成を示す図である。図8は、布団乾燥装置30の布団乾燥時の形態を示す図である。
図6を参照して、布団乾燥装置30が上述の布団乾燥装置20と異なる点は、第二の実施形態に係る温水式ラジエータ20aの背面側に、遮熱パネル31を備えていることである。図7を参照して、遮熱パネル31は、表面に熱反射向上のためのアルミシートを貼付した発泡材質の断熱材32を薄板状に形成し、片側表面に複数の縦方向溝部33を備えている。遮熱パネル31の高さは放熱パイプ長よりやや小さく、また、溝部33の外径は放熱パイプ23を嵌合可能に形成されている。このような構成により、暖房時に図6に示すように遮熱パネル31を取り付けることにより、壁面側への放熱を抑制して暖房性能の向上を図ることができる。
また、布団乾燥時においては、図8に示すように遮熱パネル31を床面側に取り付けることにより、床面側への放熱を抑制して布団側への放熱を増やすことができ、省エネ性の向上と乾燥時間のさらなる短縮を図ることができる。
なお、本実施形態では、1つの遮熱パネルを温水式ラジエータ20aの放熱面に取り付ける例を示したが、複数の放熱面を備えた温水式ラジエータ(例えば、第一の実施形態)の各放熱面に取り付ける形態とすることもできる。
【0014】
(第四の実施形態)
さらに図9乃至11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る布団乾燥装置40の正面(a)、断面(b)構成を示す図である。図10は、布団乾燥装置40の布団乾燥時の形態を示す図である。
図9を参照して、布団乾燥装置40が上述の布団乾燥装置1と異なる点は、温水式ラジエータ40aが本体下端部にクロスフロータイプの送風ファン41を備えており、上方に向かって可能としていることである。このような構成により、図10に示すように布団乾燥時にファン41を駆動することにより、布団で囲われた空間42内空気が攪拌される。さらに新鮮空気をも取り入れることができ、乾燥効果を高めることができる。これにより、乾燥時間のさらなる短縮を図ることができる。
【0015】
図11は、温水式ラジエータ40aの2つの放熱面43a、43bを直立させた乾燥形態を示す図である。送風ファン41を2つの放熱面間に移動可能な構成とすることにより、同図のような乾燥形態も可能となる。本形態によれば、図10のタイプと比較して温風の部屋内拡散を減らすことができるため、乾燥効率がより向上する。
【実施例1】
【0016】
以下、温水式ラジエータの乾燥性能を確認するために行った試験の内容について説明する。比較のため、電気式布団乾燥装置についても同様の試験を行った。
(1)試験装置
表1に試験に用いた温水式及び電気式布団乾燥装置の仕様概要を示す。
【表1】
【0017】
(2)試験方法
シングルサイズの敷布団及び掛け布団に60kg(体重想定)の荷重をかけ、さらに200ml(就寝発汗量想定)加湿して16時間放置した後に、試験装置を用いて乾燥した。乾燥中、布団の重量・厚みを経時的に測定した。
(2)試験結果
表2に、乾燥度・復元率が100%になるまでの時間を示す。温水式ラジエータは、布団のほぼ全面に亘って放熱できるため、乾燥効果が高いことが分かる。
【表2】
(※1)75分コース運転を2回繰り返し。
(※2)綿のみ温水80℃運転、その他は温水60℃運転。
【実施例2】
【0018】
温水式ラジエータの乾燥性能を確認するために行った試験の内容について説明する。比較のため、電気式布団乾燥機についても同様の試験を行った。
(1)試験装置
実施例1と同一の装置を用いた。
(2)試験方法
上記3タイプの乾燥機を用いて、綿100%の敷布団を乾燥させ、定常状態となった時の布団内部温度を測定した。測定箇所は、布団断面方向につき等間隔に4点(h0、h1、h2、h3)、長さ方向につき4点(a、b、c、d)とした。図12に、各測定ポイントの位置関係を示す。
(3)試験結果
図13は、布団の長さ方向(a、b、c、d)の内部温度平均値を示す図である。温水式ラジエータでは放熱面(ラジエータ)側の布団表面から布団中心部にかけて(以下「布団表層」という)、ダニを死滅させることができる温度である50℃以上にすることができた。これに対して、電気式布団乾燥機については、布団表層部を50℃以上に維持することは困難であった。布団表層は就寝時の汗の影響で含水量も多く、フケ・アカも付き易く、生きたダニが増殖しやすいと言われている。布団を加熱乾燥して含水量を減らすことは、ダニ増殖抑制のみならず、加熱温度によってはダニを死滅させるにも有効と考えられる。50℃以上に加熱できない布団表層にダニが存在すると、ダニは中綿まで逃げ込んでしまうため、なるべく布団の広い範囲を50℃以上に保つことが布団乾燥する上で重要である。温水ラジエータでは、この状態を実現しやすいと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、布団乾燥のみならず、他の被乾燥物の乾燥装置としても広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一の実施形態に係る布団乾燥装置1の構成を示す図である。
【図2】ヘッダー接続部5の断面構成を示す図である。
【図3】布団乾燥装置1の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図4】第一の実施形態に係る布団乾燥装置20の構成を示す図である。
【図5】布団乾燥装置20の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図6】第三の実施形態に係る布団乾燥装置30の構成を示す図である。
【図7】遮熱パネル31の構成を示す図である。
【図8】布団乾燥装置30の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図9】第四の実施形態に係る布団乾燥装置40の構成を示す図である。
【図10】布団乾燥装置40の布団乾燥時の形態を示す図である。
【図11】布団乾燥装置40の他の布団乾燥形態を示す図である。
【図12】実施例2の布団温度測定箇所を示す図である。
【図13】実施例2の試験結果を示す図である。
【図14】従来の布団乾燥装置100の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1,20,30,40・・・・布団乾燥装置
1a、20a、40a・・・・温水式ラジエータ
2、3・・・・放熱面
2a、2b、3a,3b・・・・ヘッダー
4、23・・・・放熱パイプ
5、6a,6b,26,27・・・・接続部
7a、24・・・・温水流入部
7b、25・・・・温水流出部
8、28・・・・フック
9・・・・開き止め部材
31・・・・遮熱パネル
41・・・・送風ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面等に設置される暖房用ラジエータを利用した布団乾燥装置であって、
該ラジエータは、下端部を支点として床面上に倒置可能とする第一の回動手段を備え、かつ、倒置状態において放熱面に布団類を載置可能に構成され、
て成ることを特徴とする布団乾燥装置。
【請求項2】
前記ラジエータは、放熱面の中央に放熱面を折り曲げ可能とする第二の回動手段を、さらに備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の布団乾燥装置。
【請求項3】
前記ラジエータは、温水パイプ群を放熱面とする温水式ラジエータであって、かつ、
前記第一の回動手段及び前記第二の回動手段は、温水流通部の気密を維持しつつ、放熱面を倒置又は折り曲げ可能に構成して成る、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の布団乾燥装置。
【請求項4】
放熱面の反対側に放熱パイプに脱着可能に嵌合し、放熱を抑制するための遮熱パネルを、さらに備えて成ることを特徴とする請求項1乃至3に記載の布団乾燥装置。
【請求項5】
前記ラジエータ下端部に乾燥促進用のファンを、さらに備えて成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の布団乾燥装置。
【請求項1】
壁面等に設置される暖房用ラジエータを利用した布団乾燥装置であって、
該ラジエータは、下端部を支点として床面上に倒置可能とする第一の回動手段を備え、かつ、倒置状態において放熱面に布団類を載置可能に構成され、
て成ることを特徴とする布団乾燥装置。
【請求項2】
前記ラジエータは、放熱面の中央に放熱面を折り曲げ可能とする第二の回動手段を、さらに備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の布団乾燥装置。
【請求項3】
前記ラジエータは、温水パイプ群を放熱面とする温水式ラジエータであって、かつ、
前記第一の回動手段及び前記第二の回動手段は、温水流通部の気密を維持しつつ、放熱面を倒置又は折り曲げ可能に構成して成る、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の布団乾燥装置。
【請求項4】
放熱面の反対側に放熱パイプに脱着可能に嵌合し、放熱を抑制するための遮熱パネルを、さらに備えて成ることを特徴とする請求項1乃至3に記載の布団乾燥装置。
【請求項5】
前記ラジエータ下端部に乾燥促進用のファンを、さらに備えて成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の布団乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−19437(P2010−19437A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177928(P2008−177928)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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