説明

布類の欠陥検査のための皺除去装置

【課題】布類に生じている軽度の皺を確実に除去できる布類の欠陥検査のための皺除去装置を提供する。
【解決手段】洗濯済み布類の欠陥を検査するために、その皺を除去する装置であって、布類を投入し搬送する投入コンベア11と、投入コンベアの先端側に配置された検査部20と、検査部を通過した布類を搬送する搬送コンベア25とを具備し、投入コンベアは先端部に可動ロール13を有し、可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により検査部との間に空間Sを形成する可動機構の一部を構成しており、検査部は検査時に布類Wが摺動可能な摺動部18を有するとともに、布類が摺接する皺除去部22をその後側の辺部に有し、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付ける布類加圧手段17を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯済み布類の欠陥を検査するために、その布類に生じている皺を除去する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リネンサプライ業では、契約先から回収した、例えば、タオルやシーツなどの布類を洗濯し、アイロン掛けし、さらに折り畳み、製品として納入するプロセスが繰り返される。このサービスにおいて、布類にシミなどの汚れや破れなどの欠陥があると、品質の低下等の不都合を生じ、ひいては信頼の低下につながることになるので、上記の欠陥のある布類を工程から極力取り除く必要がある。
【0003】
欠陥検査にはカメラが用いられ、現在では相当の効果が得られている。しかし、汚れも破れもないにもかかわらず、欠陥と判断される場合があり、その代表的なものに、布類の表面に生じている皺がある。皺の形態は様々であり、中には残っても問題にならない程度のものや、簡単に取り除ける皺もある。このような軽度の皺でも、検査部分に照射される照明光線によって影が生じるとそれを汚れなどと誤って判断してしまう可能性があり、工程から取り除きまた工程に戻す作業が度重なると、作業性を低下させる問題につながることになる。
【0004】
これに対して、特開2008−7886号はシーツのような大面積の布片を対象として汚れや破れ等の欠陥レベルを検査するために、欠陥布片の一辺の両角部を、布片上辺部を左右に展張させる左右展張装置に保持させることで、当該布片を吊り下げ状態できれいに展張させ得るとしている。そして、欠陥部が複数箇所あっても容易に発見できる(見落としがなくなって検査精度が良好になる)、吊上げ展張布片の背面側から照明光を当てることができるので、吊上げ展張布片の裏面に欠陥部がある場合でも、その欠陥部を透かして見ることができるという効果を主張している。しかし、吊り下げによって展張される皺は限られており、皺を除去し切れないという問題が残り、また、透過光線による検査では、表裏どちらの欠陥か分かり難いという問題もある。
【0005】
【特許文献1】特開2008−7886号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、布類に生じている軽度の皺を確実に除去できる布類の欠陥検査のための皺除去装置を提供することである。また、本発明の他の課題は、二段階の処理が可能であり、それにより表裏両面を検査する場合においても入念に皺を除去し得る布類の欠陥検査のための皺除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は、洗濯済み布類の欠陥を検査するために、その皺を除去する装置として、布類を投入し搬送する投入コンベアと、投入コンベアの先端側に配置された検査部と、検査部を通過した布類を搬送する搬送コンベアとを具備しており、投入コンベアは先端部に可動ロールを有し、可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により検査部との間に空間を形成する可動機構の一部を構成しており、検査部は検査時に布類が摺動可能な摺動部を有するとともに、布類が摺接する皺除去部をその後側の辺部に有しており、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付ける布類加圧手段を有しているという手段を講じたものである。
【0008】
上記布類が摺接する皺除去部は、検査部と裏面検査部の布類が摺動可能な摺動部のそれぞれの後側の辺部に設けられた、摩擦係数の小さい滑り面から成り、かつ、皺除去部の前後に、布類をコンベアに押し付ける押さえ手段をそれぞれ設けることが望ましい。滑り面は、布類の搬送方向前後左右への移動を容易化することで、皺を除去し易くするように作用し、押さえ手段の併用によって、押し付け力に引張力を併用することができるようになるので、皺除去に寄与するところが大きいものとなる。押さえ手段としては、布類を下面から吸引する方法によることも可能であり、ロールに限られない。
【0009】
また本発明は、洗濯済み布類の欠陥を検査するために、その皺を除去する装置として、布類を投入し搬送する投入コンベアと、投入コンベアの先端側に配置された検査部と、検査部を通過した布類を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの先端側に配置され搬送コンベアを通過した布類を表裏反転させるために中間コンベアとの間に配置された反転ロールと、搬送コンベアの先端側に配置された上記中間コンベアと、中間コンベアの先端側に配置された裏面検査部及び裏面検査部を通過した布類を搬送する搬出コンベアとを具備しており、投入コンベアは先端部に可動ロールを有し、可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により検査部との間に空間を形成する可動機構の一部を構成するとともに、中間コンベアは先端部に中間コンベア可動ロールを有し、中間コンベア可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により裏面検査部との間に空間を形成する可動機構の一部を構成しており、検査部と裏面検査部は検査時に布類が摺動可能な摺動部を有するとともに、布類が摺接する皺除去部をそれぞれの摺動部の直前の辺部にそれぞれ有しており、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間及び裏面検査部と中間コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付ける布類加圧手段を有しているという構成を取ることもできる。この構成は、皺除去処理を、布片の表裏について二段階に行うためのものである。
【0010】
本発明の上記装置は、上記のように、布類に生じている軽度の皺を除去するために、搬送される布類を皺除去部に押し付けるものである。この押し付けにより、布類が皺除去部の形態に倣って修正される。また、布類を皺除去部に押し付けて皺を除去する方式では、布類に作用する押し付け力を容易に変化させることができる。
【0011】
上記布類加圧手段の一つは、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間そして裏面検査部と中間コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付けるために、上記空間部分の布類に対してエアを噴射するエアノズルから成る。エアノズルはそのノズル開口の形態を自由に選択でき、また、配置の変更や移動させることも容易であり、エアの噴射流量ないしはエア噴射位置の設定を変えることにより、最適の効果を得易い。
【0012】
布類加圧手段の他の一つは、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間そして裏面検査部と中間コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付けるために、上記空間部分の布類を下方に吸引する吸引ブロワから成る。この場合、吸引ブロワから空間部分に至る吸引エアの径路を囲み壁等によって密閉し、ロスを減らし気流を安定化することが望ましい。
【0013】
皺除去部の形態は皺除去作用に影響する。本発明の作用は前記のように布類を押し付けて皺除去部に倣わせることにあるので、皺除去部の形態は基本的には平坦な面から成る曲がり角のようなものが望ましいと考えられる。一方、皺の形態には、搬送方向と平行に近いものや直交に近いものなど様々であり、夫々により適した皺除去方法もあるので、経験に照らして自由に決めることができる。なお、本発明はタオル、シーツ等の布類を処理対象としており、また、本発明における皺とはよれや乱れを含むもので、特にタオルの場合にはよれや乱れの方が適切であろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、検査部と投入コンベアとの間に空間を形成し、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付けることで、布類に生じている軽度の皺を確実に除去することができる。なお、軽度の皺とは、皺そのものの大きさではなく、工程上生じたよれや乱れを含む取り除き易い皺のことで、本発明によれば大きな皺でも容易に除去することができる。また、本発明によれば、二段階の処理が可能であり、表裏両面を検査する場合においても入念に皺を除去し得る布類の欠陥検査のための皺除去装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は本発明に係る布類の欠陥検査のための皺除去装置を適用した布類両面検査装置10に関する例であり、11は布類を投入し搬送する投入コンベアを示しており、検査部20の正面投入部に配置されている。この投入コンベア11は、基端部に位置する位置固定の端部ロール12と、先端部に位置し、下方かつ後方へ移動可能に設けられた可動ロール13、その可動ロール13の移動操作のために、上記両ロール12、13間に配置した操作用ロール14及び調整ロール15、そしてそれらに掛け回したベルトから構成されている。
【0016】
可動ロール13は端部ロール12の前方かつそれよりも上位に位置し上り坂の投入部を形成しており、検査部20への移行のためにほぼ水平に配置された副ロール13aを有している。操作用ロール14は可動ロール13と調整ロール15との間に位置しており、その支軸を通した長孔14aの範囲で図外の可動機構により、前後方向へ移動可能に設けられている。16は投入部押さえ手段のロールであり、布類Wを投入コンベア11に投入するときに、布類Wをその一部にてコンベア上面に押し付け、必要な抵抗を与えて搬送力を高めるために設けられている。可動ロール13は可動機構により下方かつ後方へ移動し、その結果、検査部20との間に空間Sが形成される。
【0017】
17は布類加圧手段としてのエア噴射ノズルを示しており、布類Wを下方へ変形させて皺除去部22に押し付けるために空間Sに対して上部に配置されている(図2参照)。図示の例における布類加圧手段17は、図3に示したように、ノズル17aを複数個、エアボックス17bに等間隔で配列して構成され、それがノズル17aが投入コンベア11の幅方向に並ぶように配置されている。ノズル17aとして使用し得るものにはエアの吹き出し形状が円形状のものの他、横長の吹き出し形状を有するものもあり、どちらも使用可能である。また、エアは布類Wに対してその幅方向に出来るだけ線状に噴射することが望ましいので、ノズル17aの配列ピッチは狭い方が良い。
【0018】
投入コンベア11の先端側には前記の検査部20が配置されている。検査部20は、可動ロール13の延長方向前方に位置する摺動部18と、布類Wの上面を照明するために摺動部18を通る垂線を中心にして前後に配置した一対の上部照明19a及び布類Wの下面を照明するために上記垂線上に配置した下部照明19bと、表面用カメラ21とを具備している。表面用カメラ21の光軸は摺動部18を通る垂線とほぼ一致している。なお、上部照明19aは、摺動部18を摺動する布類Wに対してその表面を直接照明し、下部照明19bは裏面を透過照明する。
【0019】
検査部20は、検査時に布類Wが摺動する上記の摺動部18に、布類Wが摺接する皺除去部22をその後側の辺部に有している。本発明では、布類Wが摺動部18を通過する際に皺除去部22に布類Wを押し付け、しごくようにすることで布類Wに生じている皺を除去するものである。布類Wをしごいて皺を除去する効果を高めるために、皺除去部22を角状に形成し、かつ、角状の部分が摩擦係数の小さい滑り面から成るように構成することが望ましい(図2参照)。角状の滑り面は、金属板又は摩擦係数の小さいプラスチックなどを材料に用いて、布類Wが前後方向にも左右方向にも滑り易いように、しかし、布類Wをしごき得るように或る程度は曲面から成る角状に形成し、摺動部18の後側の辺部にほぼ全幅にわたって設けるものとする。
【0020】
検査部20の先には、検査部20を通過した布類Wを搬送する搬送コンベア25が設けられている。搬送コンベア25は、検査部20に至近の位置に設けた後端ロール23と、その前方に配置した前端ロール24、変向ロール26及び中間の調整ロール27、そしてそれらに掛け回したベルトから構成されている。搬送コンベア25の入り口付近には押さえ手段28が上部からベルトを加圧し、端部ロール23との間で布類Wを挟むように設けられており、前述した投入コンベア11の押さえ手段16との間で、布類Wに、必要な抵抗を与えられるように設けられている。29は布類位置検出用のセンサーであり、検査部20の下流、図示の例では押さえ手段28の直後にて布類Wの先端部を検出するように配置されている。押さえ手段28のロールは、搬送コンベア25のほぼ全幅にわたる長さを有し、布類Wの全幅を押さえることができる。
【0021】
図示の例では、搬送コンベア25の先端側に、搬送コンベア25を通過した布類Wを表裏反転させるために、中間コンベア32との間に配置された反転ロール30と、搬送コンベア25の先端側に配置された上記中間コンベア32を具備している。この中間コンベア32の先端側には、後述する裏面検査部40が配置され、さらに裏面検査部40を通過した布類Wを搬送する搬出コンベア43を具備している。
【0022】
上記反転ロール30は、搬送されて来た布類Wを受け取り表裏反転させるとともに、中間コンベア32に預け渡すもので、そのため前後一対のスプロケット30a、30bに掛け回された、ベルト30cに1個又は複数個設けられている(図示の例の反転ロール30は2個が等間隔で設けられている)。そして、布類Wを受け取る位置では、前記搬送コンベア25の前端ロール24の前方やや下位に位置するように設定されており、その反転ロール30に布類Wが確実に渡るように、渡し部材31を設けているものである。渡し部材31は、搬送コンベア25の前端ロール24のやや後方位置から反転ロール30の上部に向けて、突き出すようにアーム31aに取り付けられており、アーム31aは反転ロール30の通過の際に抵触を回避するタイミングで一時後退可能に設けられている。
【0023】
上記中間コンベア32は、基端部に位置する位置固定の端部ロール33と、先端部に位置し、下方かつ後方へ移動可能に設けられた中間コンベア可動ロール34、その可動ロール34の移動操作のために、上記両ロール33、34間に配置した操作用ロール組35及びそれらに掛け回したベルトから構成されている。上記操作用ロール組35は、前後に並べられた3個のロール配列から成り、中央の操作用ロール36の支軸を通した長孔36aの範囲で、図外の可動機構により上下方向へ移動可能に設けられ、その移動に伴って、中間コンベア可動ロール34が下方かつ後方へ移動可能に設けられており、移動により裏面検査部40との間に空間Sが形成される。なお、中間コンベア可動ロール34は、ほぼ水平に配置された副ロール34aを有している。可動ロール34は可動機構により下方かつ後方へ移動し、その結果、裏面検査部40との間に空間S′が同様に形成される。
【0024】
37は布類加圧手段としてのエア噴射ノズルを示しており、布類Wを下方へ変形させて皺除去部42に押し付けるために空間S′に対して上部に配置されている(図4参照)。中間コンベア32の布類加圧手段37についても、図3に示したのと同じように、ノズル17aを複数個、投入コンベア11の幅方向に配列して構成されているものを使用する。従って、布類Wの幅方向に出来るだけ線状にエアを噴射することが望ましく、かつまた、エアの吹き出し形状が円形状のものや、横長の吹き出し形状を有するノズル17aを使用可能であることも、投入コンベア11に設けた布類加圧手段17の場合と同様である。
【0025】
本発明では、中間コンベア32の先端側に上記の裏面検査部40が配置されている。裏面検査部40は、上記可動ロール34の延長上前方に位置する摺動部38と、布類Wの上面を照明するための上部照明39a及び布類Wの下面を照明する下部照明39bと、裏面用カメラ41とを、前述の表面用の場合と同様に具備している。表面用摺動部18と同様に布類Wが摺動する布類Wに対して上部照明39aによりその表面を直接照明し、下部照明39bにより裏面を透過照明するものである。裏面検査部40は、検査時に布類Wが摺動する上記の摺動部38に、布類Wが摺接する皺除去部42をその後側の辺部に有しており、布類Wが摺動部38を通過する際に皺除去部42に布類Wを押し付け、しごくようにすることで布類Wに生じている皺を除去するものである。
【0026】
裏面検査部40においても、布類Wをしごいて皺を除去する効果を高めるために、皺除去部42を角状に形成し、かつ、角状の部分が摩擦係数の小さい滑り面から成るように構成することが望ましい。よって、前述と同じように角状の滑り面を金属板又は摩擦係数の小さいプラスチックなどの材料を用いて、布類Wが前後方向にも左右方向にも滑り易いように或る程度曲面状に形成し、摺動部38の後側の辺部にほぼ全幅にわたって設けることができる。
【0027】
裏面検査部40の先には、裏面検査部40を通過した布類Wを搬送する前述の搬出コンベア43が設けられている。搬出コンベア43は、裏面検査部40に至近の位置に設けた後端ロール44と、その前方に配置した前端ロール45及び中間の調整ロール46、そしてそれらに掛け回したベルトから構成されている。搬出コンベア42の入り口付近には押さえ手段47が上部からベルトを加圧し、後端ロール44との間で布類Wを挟むように設けられている。この押さえ手段47にもロールを用いており、そのロールは、前段の押さえ手段28のロールと同様に搬出コンベア43のほぼ全幅にわたる長さを有し、布類Wの全幅を押さえることができる。48は布類位置検出用のセンサーであり、裏面検査部40の下流、図示の例では押さえ手段47の直後にて布類Wの先端部を検出するように配置されている。
【0028】
可動ロール13又は後端ロール44の移動により検査部20、40と投入コンベア11又は中間コンベア32との間に空間S、S′が形成されるときに、布類Wを下方へ変形させて皺除去部に押し付けるために、他の一つの布類加圧手段として、空間部分S、S′の布類Wを下方に吸引する吸引ブロワ49を適用することができる(図11参照)。この場合、吸引ブロワ49から空間部分に至る、囲み壁により密閉された吸引エアの径路50を形成し、ロスを減らし気流を安定化することが望ましい。
【0029】
上記の構成を有する布類両面検査装置10では、布類Wが投入コンベア11に投入されると、その布類Wは可動ロール13を経て、投入コンベア11の先端側に配置されている検査部20を通って搬送コンベア25へと搬送され、検査部20を通過する間に検査が実行される(図5)。布類Wは押さえ手段28にてコンベア上に押し付けられており、その先端がセンサー29に検知されると、その検知信号により図外の可動機構が作動し、操作用ロール14がその支軸を通した長孔14aの範囲で、前後方向へ移動することに伴い、可動ロール13は可動機構により下方かつ後方へ移動し、その結果、検査部20との間に空間Sが形成される(図6)。それと同時に、布類加圧手段17が作動してノズル17aからエアを空間部分に噴射されるので、布類Wは下方へ押し下げられ、摺動部18を通過する布類Wが皺除去部22の角状の部分に押し付けられて、布類Wはしごくような外力を受け、その結果、布類Wに生じている皺が除去される。布類Wは押さえ手段28等によって押さえ付けられており、その押さえ付け力は、布類Wのずれ動きを防止し、エアの噴射力がそのまま皺除去部22の角状の部分に押し付ける力として作用するので、皺の除去がより効果的に行なわれる。
【0030】
次いで、布類Wは、前進位置にある渡し部材31により搬送コンベア25の前方へその先端W1が出て、反転ロール30から垂れ下がる(図7)。さらに、布類の先端W1が前進する途中で反転ロール30が前進し、布類Wを中間コンベア32の方向へ連行し、それによって、後端W2が中間コンベア32の上面に移し載せられることになる(図8)。図示の例では、反転ロール30を2個装備しているので、反転ベルト30cの1回転で2個の布類Wを反転させることができる。このようにして布類Wの表裏反転が行なわれるが、各動作はセンサー29、48等と連動する所定のプログラムに従って実行される。また、表裏反転した布類Wはそれまでの布類Wの後端W2を先端として裏面検査部40に搬送される。
【0031】
表裏反転した布類Wは中間コンベア可動ロール34を経て、ほぼ水平に配置されている検査部40を通って搬出コンベア43へと搬送され、検査部40を通過する間に検査が実行される(図9)。布類Wは押さえ手段47にてコンベア上に押し付けられており、その先端がセンサー48に検知されると、その検知信号により図外の可動機構が作動し、操作用ロール36がその支軸を通した長孔36aの範囲で、前後方向へ移動することに伴い、可動ロール34は可動機構により下方かつ後方へ移動し、その結果、検査部40との間に空間S′が形成される(図10)。それと同時に、布類Wの表面に対するのと同様に布類加圧手段37が作動し、ノズルからエアが空間部分に噴射されることで、布類Wは下方へ押し下げられ、摺動部38を通過する間、布類Wが皺除去部42の角状の部分に押し付けられ、しごくような外力を受け、その結果、布類Wに生じている皺が除去される。布類Wは押さえ手段47等によって押さえ付けられており、その押さえ付け力は、布類Wのずれ動きを防止し、エアの噴射力がそのまま皺除去部42の角状の部分に押し付ける力として作用するので、皺の除去がより効果的に行なわれる。
【0032】
本発明はこのように構成されているので、布類Wに生じている皺の除去により、検査部分に照射される照明光線によって影が生じるとそれを汚れなどと誤って判断してしまう可能性を解消することができるので、欠陥検査と並行して行うのに適しており、例えばタオルその他の布類Wについて極めて有効である。このため、本発明の皺除去装置を布類の欠陥検査技術に適用することにより、欠陥検査における信頼性を著しく向上することが可能になった。なお、本発明の装置は、例えばシーツのように、タオルよりもやや薄手生地から成る布類Wについても適用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る布類の欠陥検査のための皺除去装置を適用した布類両面検査装置に関する例を示す側面説明図である。
【図2】同上の装置の検査部の要部を拡大して示す説明図である。
【図3】布類加圧手段の一例を示す正面図である。
【図4】同じく検査部の要部を拡大して示す説明図である。
【図5】同じく欠陥検査時の状態を示す側面説明図である。
【図6】同じく皺除去時の状態を示す側面説明図である。
【図7】同上の装置における表裏反転前の状態を示す側面説明図である。
【図8】同じく表裏反転状態を示す側面説明図である。
【図9】同じく裏面欠陥検査時の状態を示す側面説明図である。
【図10】同じく皺除去時の状態を示す側面説明図である。
【図11】同上の装置における衣類加圧手段の他の例を示す側面説明図である。
【符号の説明】
【0034】
10 布類の欠陥検査のための皺除去装置を適用した布類両面検査装置
11 投入コンベア
12 端部ロール
13 可動ロール
14 操作用ロール
15 調整ロール
16 投入部押さえ手段
17、37 布類加圧手段
18、38 摺動部
19a、39a 上部照明、19b、39b 下部照明
20、40 検査部
21 表面用カメラ、41 裏面用カメラ
22、42 皺除去部
23 後端ロール
24 前端ロール
25 搬送コンベア
26 変向ロール
27 中間ロール
28、47 押さえ手段
29、48 センサー
30 反転ロール
31 渡し部材
32 中間コンベア
33 端部ロール
34 中間コンベア可動ロール
35 操作用ロール組
36 操作用ロール
43 搬出コンベア
44 後端ロール
45 前端ロール
46 調整ロール
49 吸引ブロワ
50 吸引エアの径路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯済み布類の欠陥を検査するために、その皺を除去する装置であって、
布類を投入し搬送する投入コンベアと、投入コンベアの先端側に配置された検査部と、検査部を通過した布類を搬送する搬送コンベアとを具備しており、
投入コンベアは先端部に可動ロールを有し、可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により検査部との間に空間を形成する可動機構の一部を構成しており、
検査部は検査時に布類が摺動可能な摺動部を有するとともに、布類が摺接する皺除去部をその後側の辺部に有しており、
可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付ける布類加圧手段を有している
布類の欠陥検査のための皺除去装置。
【請求項2】
布類が摺接する皺除去部は、検査部と裏面検査部の布類が摺動可能な摺動部のそれぞれの後側の辺部に設けられた、摩擦係数の小さい滑り面から成り、かつ、皺除去部の前後に、布類をコンベアに押し付ける押さえ手段がそれぞれ設けられている請求項1記載の布類の欠陥検査のための皺除去装置。
【請求項3】
洗濯済み布類の欠陥を検査するために、その皺を除去する装置であって、
布類を投入し搬送する投入コンベアと、投入コンベアの先端側に配置された検査部と、検査部を通過した布類を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの先端側に配置され搬送コンベアを通過した布類を表裏反転させるために中間コンベアとの間に配置された反転ロールと、搬送コンベアの先端側に配置された上記中間コンベアと、中間コンベアの先端側に配置された裏面検査部及び裏面検査部を通過した布類を搬送する搬出コンベアとを具備しており、
投入コンベアは先端部に可動ロールを有し、可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により検査部との間に空間を形成する可動機構の一部を構成するとともに、中間コンベアは先端部に中間コンベア可動ロールを有し、中間コンベア可動ロールは下方かつ後方へ移動可能であり移動により裏面検査部との間に空間を形成する可動機構の一部を構成しており、
検査部と裏面検査部は検査時に布類が摺動可能な摺動部を有するとともに、布類が摺接する皺除去部をそれぞれの摺動部の直前の辺部にそれぞれ有しており、
可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間及び裏面検査部と中間コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付ける布類加圧手段を有している
請求項1記載の布類の欠陥検査のための皺除去装置。
【請求項4】
布類加圧手段は、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間そして裏面検査部と中間コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付けるために、上記空間部分の布類に対してエアを噴射するエアノズルから成る請求項1又は3記載の布類の欠陥検査のための皺除去装置。
【請求項5】
布類加圧手段は、可動ロールの上記移動により検査部と投入コンベアとの間そして裏面検査部と中間コンベアとの間に空間が形成されるときに、布類を下方へ変形させて皺除去部に押し付けるために、上記空間部分の布類を下方に吸引する吸引ブロワから成る請求項1又は3記載の布類の欠陥検査のための皺除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−49936(P2013−49936A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189640(P2011−189640)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000201548)
【Fターム(参考)】