説明

希釈剤を用いて固形洗剤を吐出する方法

第1固体製品(150)と第2固体製品(160)とを固体製品ディスペンサー(100)を用いて吐出させる方法は、第1固体製品を該ディスペンサーの製品ハウジング(103)内に配置し、第2固体製品を該製品ハウジング内の第1固体製品の上部に配置し、第1および第2固体製品は異なる製品であることを含む。前記ディスペンサーの各サイクルの間に、第1固体製品の一部が、第1固体製品が第2固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで吐出され、次いで該ディスペンサーの各サイクルの間に、第1固体製品の一部と第2固体製品の一部とが、第1固体製品が完全に消耗するまで吐出され、さらに続いて該ディスペンサーの各サイクルの間に、第2固体製品の一部が吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体製品ディスペンサーの製品ハウジング(product housing)内に2種の異なる固体製品を交互に配置することによる固体製品のマガジン装填(magazine loading)と、マガジン装填された固体製品の吐出方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
切りタイル(quarry tile)と呼ばれることもある押出粘土(extruded clay)またはセラミックタイルは、比較的低価格で、耐久性があり、比較的低い多孔性を有するため、レストラン等の施設用および非施設用キッチンにおいて一般に用いられている。切りタイルは天然の粘土から形成され、その組成は約50%が硬質粒子(シリコン)、および残りの50%が軟質粒子(粘土成分)である。陶磁器タイル(clay tile)が焼かれる際、表面下に孔を封入する透水性釉薬(pervious glaze)様の被膜が形成される。この表面の透水性により、これらの孔は、十分に清掃することが極めて難しい各種の汚れを集めて閉じ込める。
【0003】
切りタイルの製造工程の間に、シリカおよび不活性粘土(inert clay)の硬質で微細な突出部からなる天然の表面の凹凸が生成される場合がある。表面のきめ(surface texture)または凹凸は、表面の多孔性と相まって、タイルに最適な静摩擦係数(静止摩擦)を提供する。現代的な切りタイルはスリップ抵抗性を有する傾向があり、一部のタイルは粗粒(grit)の添加、粗粒パターン、または、より粗い表面のきめ等の抗スリップ特性を特徴とする。しかし、抗スリップタイルも時間と共に摩耗し、かつ汚れて、滑りやすく潜在的に危険となる。切りタイルには間もなく、歩行、汚れ、および日常の表面清掃により、すり減り(abrasion)および表面摩耗が生ずる。微細な突出部は研磨され、摩滅し、平坦な表面部分がもたらされる場合がある。これらの摩耗した部分は低い静摩擦係数をもたらし、潜在的に滑りやすい床表面を生成する。さらに、揚げたり、焼いたり、また炒めたりすることによって空中に浮遊する油が生成し、これがタイル上に潜在的に危険な膜を生成する。日常的な清掃にも関わらず、時間と共に汚れおよび油が蓄積することが多く、切りタイルの床は油で飽和して、日常の清掃にも関わらず滑りやすいままであり続ける場合がある。
【0004】
施設および非施設環境において有用な硬表面洗浄剤は多くの形態を取り得る。このような洗浄剤の1例は、希釈により使用溶液を生成した際にpHが中性、酸性、またはアルカリ性であり得る水性洗浄剤である。使用溶液中で中性、酸性、またはアルカリ性の水性洗浄剤は、典型的には、高い割合の水性希釈剤と低い割合の洗浄剤と用いて製剤される。中性pHまたはアルカリ性pHを有する洗浄剤はより新しい油汚れを効果的に除去し、酸性pHを有する洗浄剤は重合油汚れ(polymerized grease soil)を効果的に除去する。食物残渣を含む汚れを洗浄するのに有用な酸性洗浄製剤の1例は、米国特許第6,432,906号に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられたものとする。食物残渣を含む汚れを洗浄するのに有用な塩基性(アルカリ性)洗浄製剤の1例は、米国特許第5,474,698号に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられたものとする。
【0005】
参照により本明細書に組み入れられたものとする米国特許第5,797,986号は、中性から離れたpHを有する第1の洗浄剤を用いて床を洗浄し、続けて補完的なpHを有する第2の洗浄剤を用いる方法を開示している。1局面において、第1の洗浄剤は酸性洗浄剤、第2の洗浄剤は塩基性洗浄剤である。他の1局面においては、第1の洗浄剤は塩基性洗浄剤であり、第2の洗浄剤は酸性洗浄剤である。この方法は最適な洗浄を提供する。
【0006】
床等の硬表面の清潔さは実質的に改善された摩擦係数(以後「COF」)を特徴とする。約0.4超のCOFは、滑りやすい汚れた表面と比べて実質的に安全性が向上した非スリップ表面を暗示する。摩擦係数(静止摩擦)を増加させ、床の滑りやすさを減少させることにより、危険なアクシデントを減少させることができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1局面は、第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法を提供する。第1固体製品と第2固体製品とが固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置される。第1固体製品および第2固体製品は異なる製品である。第1固体製品が固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置され、第2固体製品が固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内の第1固体製品の上部に配置される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第1固体製品の一部が、第1固体製品が第2固体製品も吐出させうるのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで吐出される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第1固体製品の一部と第2固体製品の一部とが、第1固体製品が完全に消耗するまで吐出される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第2固体製品の一部が吐出される。
【0008】
本発明の他の1局面は、第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法を提供する。第1固体製品と第2固体製品とが固体製品ディスペンサー内の製品ハウジング内に配置される。第1固体製品および第2固体製品は異なる製品である。第1固体製品が固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第2固体製品を製品ハウジング内で第1固体製品の上部に配置させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に第1固体製品が消耗するまで、第1固体製品の一部が吐出される。第2固体製品が固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内で第1固体製品の上部に配置される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第1固体製品の一部が、第1固体製品が第2固体製品も吐出させうるのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで吐出される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第1固体製品の一部と第2固体製品の一部とが、第1固体製品が完全に消耗するまで吐出される。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第2固体製品の一部が吐出される。
【0009】
本発明の他の1局面は、第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法を提供する。第1固体製品と第2固体製品とが固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置される。第1固体製品および第2固体製品は異なる製品である。第1固体製品が製品ハウジング内に配置され、第1固体製品の底部が希釈剤と接触し、第1固体製品の一部が溶解して第1使用溶液を生成する。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、第2固体製品を製品ハウジング内で第1固体製品の上部に配置させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に第1固体製品が消耗するまで、第1固体製品の一部が吐出される。第2固体製品が固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内で第1固体製品の上部に配置され、第1固体製品の底部が希釈剤と接触し、第1固体製品の一部が溶解して第1使用溶液を生成する。第1固体製品の一部が、第1固体製品が第2固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで吐出される。第1固体製品の底部と第2固体製品の底部とが希釈剤と接触し、第1固体製品の一部と第2固体製品の一部とが溶解して第2使用溶液を生成する。第1固体製品の一部と第2固体製品の一部とが、第1固体製品が完全に消耗するまで吐出される。第2固体製品の底部が希釈剤と接触し、第2固体製品の一部が溶解して第3使用溶液を生成する。
【0010】
本発明の他の1局面は、酸性固体製品とアルカリ性固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出する方法を提供する。酸性固体製品とアルカリ性固体製品とが固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置される。酸性固体製品が製品ハウジング内に配置され、酸性固体製品の底部が希釈剤と接触し、酸性固体製品の一部が溶解して酸性使用溶液を生成する。固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、アルカリ性固体製品を製品ハウジング内で酸性固体製品の上部に配置させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に酸性固体製品が消耗するまで、酸性固体製品の一部が吐出される。アルカリ性固体製品が固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内で酸性固体製品の上部に配置される。酸性固体製品の一部が、酸性固体製品がアルカリ性固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで吐出される。酸性固体製品の底部とアルカリ性固体製品の底部とが希釈剤と接触し、酸性固体製品の一部とアルカリ性固体製品の一部とを溶解して中性使用溶液を生成する。酸性固体製品の一部とアルカリ性固体製品の一部とが、酸性固体製品が完全に消耗するまで吐出される。アルカリ性固体製品の底部が希釈剤と接触し、アルカリ性固体製品の一部を溶解してアルカリ性使用溶液を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に含む固体製品ディスペンサーの断面図である。
【図2】図2は、第1固体製品の模式図であって、それが図1に示す固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に位置するような模式図である。
【図3】図3は、部分的に消耗した図2に示す第1固体製品の模式図であって、それが図1に示す固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に位置するような模式図である。
【図4】図4は、部分的に消耗した図1および2に示す第1固体製品、および該第1固体製品の上部に位置する第2固体製品の模式図であって、それらが図1に示す固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に位置するような模式図である。
【図5】図5は、部分的に消耗した図1および2に示す第1固体製品、および該第1固体製品の上部に位置する第2固体製品の模式図であって、それらが図1に示す固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に位置するような模式図である。
【図6】図6は、第1製品が完全に消耗した後の図4および5に示す第2製品の模式図であって、それが図1に示す固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に位置するような模式図である。
【図7】図7は、いくつかの吐出サイクルを通した、酸性固体製品からアルカリ性固体製品へのpHの推移を示すグラフである。
【図8】図8は、酸性製品の平均摩擦係数の測定値を、酸性およびアルカリ性交互製品(alternating acid and alkaline products)のものと比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に2種の異なる固体製品を交互に配置することによる固体製品のマガジン装填と、マガジン装填された固体製品の吐出方法とに関する。
【0013】
ここで用いられる「交互に配置する」とは、1つおき、2つおき、3つおき等を含むがこれらに限定されない所望の順序で少なくとも2種の異なる固体製品を配置することを包含する。少なくとも2種の異なる固体製品を交互に配置する目的は、そこから生成された使用溶液を、該システムの全体的な有効性を増進するための所望のpH範囲を通じて循環させることである。固体製品を交互に配置する厳密な様式は所望の循環の種類に依存する。
【0014】
任意の適した固体製品ディスペンサーを用いてもよい。適した固体製品ディスペンサーの例としては、米国特許第4,426,362;4,687,121;4,690,305;および4,826,661号ならびに米国仮出願第60/795,340号に開示されるもの等が挙げられる。このような固体製品ディスペンサーは当該分野において周知であるため、このような固体製品ディスペンサーがどのように動作するかという一般的な説明のみが議論される。
【0015】
図1に、上部ハウジング部101と下部ハウジング部111とを、上部ハウジング部101と下部ハウジング部111との間で支持される網(screen)等の支持部材102とともに備えた、固体製品ディスペンサー100を示す。上部ハウジング部101は、第1固体製品150と第2固体製品160とがその中に位置する空洞104を備えた製品ハウジング103を具備する。支持部材102は固体製品の底部または吐出される製品を支持する。カバー105は空洞104上に位置し、第1および第2固体製品150および160を保護する。下部ハウジング部111はスプレーノズル113と流体連通した希釈剤注入口112を備える。水等の希釈剤は導管(図示せず)を介して希釈剤流入口112に供給され、次いでスプレーノズル113を介して、支持部材102を通り、第1固体製品150の底部151上へ噴霧される。底部151は固体製品150の底面および側面を含んでいてもよい。第2固体製品160の一部にも希釈剤が噴霧され、第2固体製品160の一部が浸食されてもよい。希釈剤は第1固体製品150の一部、そして恐らく第2固体製品160の一部を浸食して使用溶液を生成し、これが空洞114を通り、使用溶液出口115を通り、出口導管116を通ってモップバケツ(図示せず)または任意の他の適した容器内に流出する。
【0016】
第1固体製品150が浸食され、小さくなるにつれて、より大きな割合の第2固体製品160が希釈剤とともに噴射される。ついには、何回かの噴霧サイクルを通して第1固体製品150が完全に吐出され、第2固体製品160だけが残って吐出されることとなる。第1固体製品150が浸食され、小さくなった際に、または第2固体製品160が浸食され、小さくなった際に、新たな第1固体製品150を第2固体製品160の上部に設置してもよい。このように、固体製品が吐出されたら、交互製品が製品ハウジング103内に設置され、製品が補充される。
【0017】
図2〜6では、固体製品150および160がどのように何回かの吐出サイクルを通して吐出されるのかが模式的に説明されている。図2に、第1固体製品150を、それが固体製品ディスペンサー100の製品ハウジング103内に位置するように示す。何回かの吐出サイクル後、第1固体製品150は部分的に消耗して図3に示すようにサイズが小さくなる。第1固体製品150が、他の製品を製品ハウジング103内に配置させ得るのに十分なほど小さくなったら、第2固体製品160を製品ハウジング103内の第1固体製品150の上部に図1および4に示すように配置してもよい。第1固体製品150は図5に示すように消耗し続ける。第1固体製品150がより消耗し、さらに小さくなると、第1固体製品150から第2固体製品160への移行が起こり、両製品が吐出される。模式図に示すように、第1固体製品150の浸食は製品の底面を横切る直線において均一に起こる訳ではない。浸食は不均一であり得、その結果固体製品150および160の両者が実質的に同時に吐出され得る。さらに、ディスペンサーは希釈剤を固体製品150および160の側面上に噴霧し得、その結果固体製品150および160の両者が実質的に同時に吐出される。第1固体製品150が完全に枯渇すると、第2固体製品160が図6のように残る。次いで、第2固体製品160が消耗し、製品ハウジング103内に他の製品を配置することが可能なほど十分に小さくなったら、新たな第1固体製品150が製品ハウジング103内の第2固体製品160の上部に配置される。この製品のローテーションが続く。
【0018】
より小さなサイズの固体製品を製品ハウジング内に配置し、第2固体製品が製品ハウジング内の第1固体製品の上部に配置される前に第1固体製品を部分的に消耗させる必要が無いようにしてもよいと認識される。または、製品ハウジングは両固体製品を受け入れるのに十分な大きさであってもよい。
【0019】
第1固体製品150が酸性洗浄製品である場合、第2固体製品160は好ましくはアルカリ性洗浄製品である。第1固体製品150から第2固体製品160への移行の間、pHは酸性から中性(両固体製品150および160が浸食され、吐出される間)を経てアルカリ性へと変化する。第1固体製品150がアルカリ性洗浄製品である場合、第2固体製品160は好ましくは酸性洗浄製品である。第1固体製品150から第2固体製品160への移行の間、pHはアルカリ性から中性を経て酸性へと変化する。
【0020】
酸性洗浄製品とアルカリ性洗浄製品とがここに記載されているが、化学的性質を交互に入れ替える利点を提供する他の適した製品も用いてもよいと認識される。また、製品ディスペンサー内で2種を超える製品をローテーションさせてもよいと認識される。同一ディスペンサーの製品ハウジング内に配置され得る任意の製品を用いることができる。好ましくは、該製品は互いに化学的に反応しない。好ましくは、該製品はほぼ同じ速度で吐出し、同一のディスペンサー設定、例えば圧力、ノズルの高さ、流速、温度等を利用する。
【0021】
図7に、酸性固体製品から、アルカリ性固体製品を経て、酸性固体製品へ、などのpH推移を70サイクルにわたって示し、各吐出サイクルを充填数によって表す。各充填においては、4ガロンの水を用いて製品の一部を浸食させ、使用溶液を生成した。酸性固体製品を1回目から11回目の充填にわたって吐出し、酸性固体製品とアルカリ性固体製品との両者を12回目から27回目の充填にわたって吐出し、アルカリ性固体製品を28回目から38回目の充填にわたって吐出し、アルカリ性固体製品と酸性固体製品との両者を39回目から49回目の充填にわたって吐出し、再びこのサイクルを開始する。酸性pHからアルカリ性pH(6.00から8.00の範囲のpH)への推移が、総量約40ガロンの水を用いて約10回の充填にわたって生じた。小型または大型の固体製品を用いてよく、また各固体製品が完全に吐出される充填の数は様々であってよい。
【0022】
このpH範囲を通じたローテーション(酸性、中性、アルカリ性、中性、酸性・・・)により、改善された洗浄結果がもたらされる。好ましくは、酸性使用溶液は3.00ないし6.00のpHを有し、中性使用溶液は6.00ないし8.00のpHを有し、アルカリ性使用溶液は8.00ないし11.00のpHを有する。酸性pHを有する洗浄製品は効果的に重合油汚れを除去するのに対し、アルカリ性pHを有する洗浄製品は効果的により新しい油汚れを除去する。酸性pHからアルカリ性pHへの推移の間に、中性pHが存在し、これはより新しい油汚れを除去するのに効果的であるが、典型的にはアルカリ性pHほどではない。酸性洗浄製品はアルカリ性洗浄製品によって効果的に除去されない床上の積層を除去し、逆もまた同様である。従って、これらの製品を製品ディスペンサー内で交互に配置することにより、改善された洗浄結果がもたらされる。
【0023】
好ましい酸性洗浄製品には表1に列挙した成分が含まれる。重量パーセントは該組成物の総重量に対する成分の重量である。
【表1】

【0024】
任意の適した酸性洗浄製品を用いてもよいと認識される。用いてもよい酸性洗浄製品の1例が米国特許第6,432,906号に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられたものとする。用いてもよい酸性洗浄製品の他の1例は米国特許出願公開第2005/0197276 A1号に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられたものとする。
【0025】
好ましいアルカリ性洗浄製品は表2に列挙した成分を含む。重量パーセントは該組成物の総重量に対する成分の重量である。
【表2】

【0026】
任意の適したアルカリ性洗浄製品を用いてもよいと認識される。用いてもよいアルカリ性洗浄製品の1例が米国特許出願第___号(M&G整理番号163.2315US01、題名「アルカリ性床洗浄組成物および床を洗浄する方法」)に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられたものとする。用いてもよいアルカリ性洗浄製品の他の1例は米国特許第5,474,698号に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられたものとする。
【0027】
米国特許出願公開第2005/0197276 A1号に開示される酸性固体製品および米国特許出願第___号(M&G整理番号163.2315US01、題名「アルカリ性床洗浄組成物および床を洗浄する方法」)に開示されるアルカリ性固体製品は、ミネソタ州セントポールのEcolab Inc.による、SOLIDSENSE(登録商標)Floor Care A & B productsである。
【0028】
固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内で2種の異なる固体製品を単に交互に配置することには多くの利点がある。1つの利点は、エリアを洗浄するために1工程のみが必要とされ、また製品が使用溶液内に供給されるので、使用溶液がpHの範囲をローテーションして各種汚れを効果的に洗浄することである。他の利点は、1つの製品ディスペンサーのみが必要であり、第1の製品の量が少なくなると第2の製品が製品ハウジング内に配置されることである。言い換えると、製品の選択が不要である。これにより、単に製品を製品ハウジング内に交互に配置し、ディスペンサーを通常の進行に従って使用することだけで使用溶液が自動的に吐出されるため、各洗浄に用いるべき製品の経過を追う必要が無くなる。これらの利点は網羅的なものではなく、当業者にとって多くのさらなる利点が明らかである。
【実施例1】
【0029】
摩擦係数(以後「COF」)を、2つの別々のクイックサービスレストランの場所、場所1および場所2において、フライ鍋、グリル、流し台、およびロビーに隣接した切りタイルの床で測定した。切りタイルの床は、4インチ×8インチのAmerican Olean Q01 Canyon Red切りタイルであった。COFを、3インチ×3インチのNeolite Sensorを備えたBrungraber Mark II Slip−Testerを用いて、ペンシルバニア州West ConshohockenのASTM Internationalによる、Standard Test Method for Using a Portable Inclineable Articulated Strut Slip Tester (PIAST), Designation F 1677 − 96, under ASTM Standardsに従い、測定した。
【0030】
第1の測定値、測定値Aを、ミネソタ州セントポールのEcolab Inc.による酸性洗浄製品、KADET(登録商標) Quarry Tile Floor Cleanerを用いて床を洗浄後に採取した。各床を、製品ラベル上の使用法に従ってモップバケツ内に調製したKADET(登録商標) Quarry Tile Floor Cleanerの使用溶液を用いて洗浄した。使用溶液をモップで床に塗布し、その後モップを用いて床の表面上でブラッシングと撹拌を行った。ゴム雑巾を用いて使用溶液を床排水溝へと導き、次いで床を乾燥させた。第2の測定値、測定値Bを、酸性洗浄製品とアルカリ性洗浄製品とが交互に配置された、ミネソタ州セントポールのEcolab Inc.によるSOLIDSENSE(登録商標) Floor Care A & B productsを用いて、本発明の原理に従って床を洗浄した後に採取した。前記交互洗浄製品を8週間にわたり使用し、4週および8週の時点で測定した。典型的には、1週間あたり1個の固体製品ブロックを使用し、典型的なサイクルによって4週の時点の測定値が採取される前に酸性、アルカリ性、酸性、アルカリ性の使用溶液を通じてローテーションが為され得るようにした。
【0031】
切りタイルの調理場の床がデンプンまたはタンパク質食品材料を揚げたことに由来する新しい油で汚れ、一部エリアには重合油も存在し得る、クイックサービスレストランの朝食または昼食用作業の後に、Dirty/Dry測定値を採取した。Dirty/Wet測定値は、こぼれ跡(spill)を模倣するために床を水で濡らす以外はDirty/Dryと同一の環境の下で採取した。Clean/Dry測定値は、典型的な床洗浄手順を用いて、酸性洗浄製品(測定値A)または酸性洗浄製品とアルカリ性洗浄製品との交互製品(測定値B)のいずれかを使用して床を洗浄した後に採取した。Clean/Wet測定値は、こぼれ跡またはモップ掛けの後にまだぬれている状況を模倣するために床を水で濡らす以外はClean/Dryと同一の環境の下で採取した。
【0032】
図8に示すように、COFは、酸性洗浄製品とアルカリ性洗浄製品との交互製品を用いて床が洗浄された後により大きかった。従って、酸性洗浄製品とアルカリ性洗浄製品とを交互に用いることにより、床がより良好な静止摩擦を有し、より滑りにくくなった。
【0033】
上記明細書、実施例およびデータは、本発明の組成物の製造および使用の完全な記載を提供する。本発明の多くの態様を本発明の意図および範囲から逸脱せずに行うことが可能であるため、本発明は以下に添付する請求の範囲内に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法であって、前記第1固体製品と前記第2固体製品とは前記固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置され、前記第1固体製品および前記第2固体製品は異なる製品であり:
a)前記第1固体製品を前記固体製品ディスペンサーの前記製品ハウジング内に配置し;
b)前記第2固体製品を前記固体製品ディスペンサーの前記製品ハウジング内の前記第1固体製品の上部に配置し;
c)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第1固体製品の一部を、前記第1固体製品が前記第2固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで、吐出させ;
d)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第1固体製品の一部と前記第2固体製品の一部とを、前記第1固体製品が完全に消耗するまで、吐出させ;および、
e)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第2固体製品の一部を吐出させる;
ことを含む方法。
【請求項2】
前記第1固体製品が酸性洗浄製品であり、前記第2固体製品がアルカリ性洗浄製品であって、工程1(d)の間に中性pHを有する使用溶液が吐出される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1固体製品がアルカリ性洗浄製品であり、前記第2固体製品が酸性洗浄製品であって、工程1(d)の間に中性pHを有する使用溶液が吐出される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法であって、前記第1固体製品と前記第2固体製品とが前記固体製品ディスペンサー内の製品ハウジング内に配置され、前記第1固体製品および前記第2固体製品は異なる製品であり:
a)前記第1固体製品を前記固体製品ディスペンサーの前記製品ハウジング内に配置し;
b)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第1固体製品の一部を、前記第2固体製品を前記製品ハウジング内で前記第1固体製品の上部に配置させ得るのに十分なほど小さいサイズへと前記第1固体製品が部分的に消耗するまで、吐出させ;
c)前記第2固体製品を前記固体製品ディスペンサーの前記製品ハウジング内で前記第1固体製品の上部に配置し;
d)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第1固体製品の一部を、前記第1固体製品が前記第2固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで、吐出させ;
e)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第1固体製品の一部と前記第2固体製品の一部とを、前記第1固体製品が完全に消耗するまで、吐出させ;および、
f)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第2固体製品の一部を吐出させる;
ことを含む方法。
【請求項5】
前記第1固体製品が酸性洗浄製品であり、第2固体製品がアルカリ性洗浄製品であって、工程4(e)の間に中性pHを有する使用溶液が吐出される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1固体製品がアルカリ性洗浄製品であり、第2固体製品が酸性洗浄製品であって、工程4(e)の間に中性pHを有する使用溶液が吐出される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
第1固体製品と第2固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法であって、前記第1固体製品と前記第2固体製品とが前記固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置され、前記第1固体製品および前記第2固体製品は異なる製品であり:
a)前記第1固体製品を前記製品ハウジング内に配置し;
b)前記第1固体製品の底部を希釈剤と接触させ、前記第1固体製品の一部を溶解させて第1使用溶液を生成し;
c)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記第1固体製品の一部を、前記第2固体製品を前記製品ハウジング内で前記第1固体製品の上部に配置させ得るのに十分なほど小さいサイズへと前記第1固体製品が部分的に消耗するまで、吐出させ;
d)前記第2固体製品を前記固体製品ディスペンサーの前記製品ハウジング内で前記第1固体製品の上部に配置し;
e)前記第1固体製品の底部を前記希釈剤と接触させ、前記第1固体製品の一部を溶解して前記第1使用溶液を生成し;
f)前記第1固体製品の一部を、前記第1固体製品が前記第2固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで、吐出させ;
g)前記第1固体製品の底部と前記第2固体製品の底部とを前記希釈剤と接触させ、前記第1固体製品の一部と前記第2固体製品の一部とを溶解して第2使用溶液を生成し、
h)前記第1固体製品の一部と前記第2固体製品の一部とを、前記第1固体製品が完全に消耗するまで、吐出させ;および、
i)前記第2固体製品の底部を前記希釈剤と接触させ、前記第2固体製品の一部を溶解して第3使用溶液を生成する;
ことを含む方法。
【請求項8】
前記第1使用溶液が酸性pHを有し、前記第2使用溶液が中性pHを有し、また前記第3使用溶液がアルカリ性pHを有する請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1使用溶液がアルカリ性pHを有し、前記第2使用溶液が中性pHを有し、また前記第3使用溶液が酸性pHを有する請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記製品が前記希釈剤で噴霧される請求項7記載の方法。
【請求項11】
酸性固体製品とアルカリ性固体製品とを固体製品ディスペンサーを用いて吐出させる方法であって、前記酸性固体製品と前記アルカリ性固体製品とが前記固体製品ディスペンサーの製品ハウジング内に配置され:
a)前記酸性固体製品を前記製品ハウジング内に配置し;
b)前記酸性固体製品の底部を希釈剤と接触させ、前記酸性固体製品の一部を溶解して酸性使用溶液を生成し;
c)前記固体製品ディスペンサーの各サイクルの間に、前記酸性固体製品の一部を、前記アルカリ性固体製品を前記製品ハウジング内で前記酸性固体製品の上部に配置させ得るのに十分なほど小さいサイズへと前記酸性固体製品が部分的に消耗するまで、吐出させ;
d)前記アルカリ性固体製品を前記固体製品ディスペンサーの前記製品ハウジング内で前記酸性固体製品の上部に配置させ;
e)前記酸性固体製品の一部を、前記酸性固体製品が前記アルカリ性固体製品も吐出させ得るのに十分なほど小さいサイズへと部分的に消耗するまで、吐出させ;
f)前記酸性固体製品の底部と前記アルカリ性固体製品の底部とを前記希釈剤と接触させ、前記酸性固体製品の一部と前記アルカリ性固体製品の一部とを溶解して中性使用溶液を生成し;
g)前記酸性固体製品の一部と前記アルカリ性固体製品の一部とを、前記酸性固体製品が完全に消耗するまで、吐出させ;および、
h)前記アルカリ性固体製品の底部を前記希釈剤と接触させ、前記アルカリ性固体製品の一部を溶解してアルカリ性使用溶液を生成する;
ことを含む方法。
【請求項12】
前記酸性使用溶液が3.00ないし6.00のpHを有し、前記中性使用溶液が6.00ないし8.00のpHを有し、前記アルカリ性使用溶液が8.00ないし11.00のpHを有する、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−543677(P2009−543677A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519420(P2009−519420)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027143
【国際公開番号】WO2008/008062
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】