説明

帯状ワークの搬送方法、及び帯状ワークの搬送装置

【課題】帯状ワークをロールtoロールで搬送する場合において、該帯状ワークの表面及び裏面における接触不可の領域には何も接触させることなく、できる限り帯状ワークを水平状態に維持しながら搬送できるような帯状ワークの搬送装置を提供する。
【解決手段】帯状ワーク11が加熱炉12の入口付近まで搬送されて来ると、センサ17aが帯状ワーク11に記録されたマークを検出して突起物送り出し機構16へ送信する。突起物送り出し機構16は、検出信号のタイミングでエンドレスワイヤ13の移動と共に突起物15を帯状ワーク11の下面の突起物配置可能領域へ送り出す。また、コントローラ(非図示)の制御によってエンドレスワイヤ13は帯状ワーク11と同じ速度で移動している。従って、帯状ワーク11が加熱炉12の内部を移動している間は、突起物15は帯状ワーク11の突起物配置可能領域を支えているので帯状ワーク11は撓む虞れはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状ワークの搬送方法及び帯状ワークの搬送装置に関するものであり、特に、フレキシブル回路基板(FPC)を形成する帯状フィルム(帯状ワーク)を複数のロール間に渡してコンベア方式で搬送する帯状ワークの搬送方法及び帯状ワークの搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、短冊シート状ワークの片面又は両面に印刷を施して遠赤外線炉などの加熱炉で乾燥させる工程が知られている。例えば、短冊シート状ワークに電子回路を形成したFPCの片面又は両面の所定箇所に絶縁インクによってソルダーレジストを印刷しながら、該FPCを加熱炉に通過させて乾燥を行う方法が知られている。両面に印刷を施す場合、両面同時に印刷する技術が開示されている(例えば特許文献1)。しかし、FPCのように可撓性を有するワークの両面に同時にソルダーレジストの印刷を施すのことは困難である。すなわち、FPCにおける印刷面の反対側の面を平坦な架台で支持しないと、ワークが撓むために印刷位置の精度を確保することができなかったり、FPCの表面に絶縁インクを押し出すためのスキージの押圧のためにFPCの移動方向に寸法変化が生じてしまうことがある。そのため、先ず、第1面に印刷を施してから、常温においてレジストインクのタック性(べたっき)が消失するまで乾燥を行い、その後、第2面に印刷を施してから加熱炉を通過させて乾燥硬化させるという手順で行われている。また、FPCに印刷を施す場合は、短冊シート状に裁断された状態よりも、帯状ワークのままコンベア方式で搬送(以下、『ロールtoロール搬送』という)を行いながら印刷・乾燥の処理を行う方が作業性がよい。従って、FPCの帯状ワークの片面にのみ印刷を施す場合には、FPCを形成する帯状ワークを複数のロール間に渡して印刷と加熱乾燥をロールtoロール搬送しつつ連続で処理を行っている。
【0003】
しかし、FPCの両面に帯状ワークのままロールt oロール搬送を行いながら印刷・乾燥の処理を行う場合には、乾燥処理において問題点が生じる。そこで、帯状のFPC(帯状ワーク)をロールt oロール搬送して両面に印刷・乾燥処理を行う場合を想定した工程とその問題点について、図4ないし図6を用いて具体的に説明する。
【0004】
図4は、ロールtoロール搬送によってFPCの第1面に印刷を施す従来の工程を示す工程図である。また、図5は、図4に示す工程終了後に第1面を裏返して第2面に印刷を施す工程図である。先ず、図4に示すように、巻出しローラ21を時計方向(図の矢印の方向)に回転させて、巻出しローラ21からFPC(帯状ワーク)22を巻き出して行く過程において、FPC22が印刷架台23の上面に来たときに、印刷版24及びスキージ25によってFPC22の第1面にレジストインク26aを印刷する。
【0005】
その後、第1面にレジストインク26aが印刷されたFPC22は、加熱炉27を通過する過程において、常温でタック性が無くなるまで乾燥処理が行われる。このとき、印刷した第1面の反対面(第2面)は未だレジストインクが印刷されていないので、加熱炉27内において第2面をコンベア27aに載置してコンベア27aによる搬送を行うことが可能である。このようにして、加熱炉27を通過させて印刷の乾燥処理が行われたFPC22は、冷却チャンバ28を通過しながら反時計方向(図の矢印方向)に回転する巻取りローラ29に巻き取られる。このとき、FPC22は、レジストインク26aの印刷が施された第1面が巻取りローラ29側に接触しながら巻き取られるが、レジストインク26aは既にタック性が消失するまで乾燥しているので、レジストインク26aが巻取りローラ29やその他の部分に付着するおそれはない。尚、FPC22が巻取りローラ29に巻き取られるまでに充分に冷却される環境にあれば冷却チャンバ28は不要となる。
【0006】
次に、FPC22の第2面を印刷する場合は、図5に示すように、第1面を裏返して印刷を行う。すなわち、図4に示す第1面の印刷・巻取り工程が終了した状態で、図4の巻取りローラ29を図5の巻出しローラ21側に入れ替え、図4の巻出しローラ21を図5の巻取りローラ29側に入れ替えれば、図5に示すようにFPC22の第1面を裏返して第2面を印刷面側にすることができる。
【0007】
このようにしてFPC22の第1面を裏返した状態で、前述の図4の場合と同様の工程によって、FPC22が印刷架台23の上面に来たときに、印刷版24及びスキージ25によってFPC22の第2面にレジストインク26bを印刷する。このとき、FPC22の第1面が巻出しローラ21や印刷架台23の上面などに接触するが、第1面に印刷されたレジストインク26aは常温ではタック性がないので、加熱炉27の入口までの工程においては、巻出しローラ21や印刷架台23などに接触してもレジストインク26aがそれらに付着するおそれはない。このようにして、FPC22の第2面にレジストインク26bを印刷する場合は、レジストインク26bが乾燥硬化するまで加熱炉27で加熱・乾燥させる。尚、FPC22の第2面に印刷されたレジストインク26bを加熱炉27で加熱すると、第1面のレジストインク26aにタック性が生じてしまうので、レジストインク26aの印刷が冷却チャンバ28で冷却されるまでは印刷領域に何も接触させることができない。
【0008】
すなわち、FPC22の両面に印刷すること自体は可能であるが、FPC22の第1面を印刷した後に、加熱炉27で第2面の印刷を乾燥硬化させるときに搬送工程に問題が生じる。さらに詳しく述べると、FPC22の第1面と第2面の両面を印刷した後に加熱炉27で乾燥硬化させるときに、加熱によって一時的に第1面のレジストインク26aもタック性を帯びてしまうので、レジストインク26aの印刷領域に何も接触させないようにFPC22を搬送しなければならない。言い換えると、レジストインク26aの印刷が終っている第1面が加熱炉27で加熱されるために該レジストインク26aがタック性を帯びてしまうので、FPC22が加熱炉27を通過する工程から巻取りローラ29に巻き取られる工程までは第1面を非接触状態にしなければならない。すなわち、図5に示すように、加熱炉27内においてはコンベア27aによってFPC22を搬送することはできない。
【0009】
また、FPCを短冊シート状に裁断したワークの状態で印刷を施す場合は、ワークの周囲を支持枠で固定した状態で加熱炉又は乾燥炉へ搬送することで容易に処理することができる。しかし、ロールto路ール搬送する場合は、帯状のFPCに支持枠を取り付けることは極めて困難である。また、第1面を印刷した後では、その後の加熱を行っている間もタック性が消失する程度の加熱乾燥を行えば、第2面の印刷後の乾燥硬化ではコンベアで搬送することもできる。しかし、感光性レジストインクを用いてフォトリソ手法で現像する場合は、熱履歴が異なると現像速度も異なってくるので、表裏のレジストインクに及ぶ熟履歴の差をできるだけ小さくしなければならない。そのため、常温時に第2面を印刷するときに第1面のレジストインクのタック性が消失する最低限の加熱乾燥しか施すことはできない。さらに、レジストインクの流れ出しを抑えるために、FPCを水平に搬送しなければならないことに加えて、熱分布をできるだけ一定に保つために、加熱炉内ではできるだけ撓みを抑えて水平状態を維持しながら、加熱炉の熱源との距離を一定にしつつ搬送させなければならない。
【0010】
また、帯状ワークの両端を挟持手段で挟持しつつ該帯状ワークを搬送するシート移送装置の技術が開示されている(特許文献2)。例えば、帯状ワークがFPCの場合は、通常は帯状ワーク(FPC)の両端部の一定範囲は製品部外であって印刷領域はないので、両端部を挟持手段で挟持しながら搬送することは可能である。しかし、帯状ワークの幅方向の両端を挟持手段で挟持しただけでは帯状ワークの中央部が撓んでしまう。
【0011】
図6は、帯状ワークの幅方向の両端を挟持手段で挟持した状態を示す概念図である。尚、図6は、加熱炉内の断面図で、紙面の表裏の方向が帯状ワークの進行方向を、図の左右が帯状ワークの幅方向となっている。図6に示すように、帯状ワーク(FPC)22の幅方向の両端を挟持手段31a,31bで挟持しながら、該帯状ワーク(FPC)22が加熱炉(図示せず)を通過すると、帯状ワーク(FPC)22の中央部付近で大きく撓みが生じる。その結果、例えば、挟持手段31aに近い位置では、帯状ワーク(FPC)22と加熱炉の上部熱源32aとの距離a1と、帯状ワーク(FPC)22と加熱炉の下部熱源32bとの距離a2との距離はほぼ同じ(a1≒a2)である。しかし、帯状ワーク(FPC)22の中央部付近では、帯状ワーク(FPC)22と加熱炉の上部熱源32aとの距離b1は長く、帯状ワーク(FPC)22と加熱炉の下部熱源32bとの距離b2は短い(b1>b2)である。
【0012】
このように、加熱炉の熱源32a,32bと帯状ワーク(FPC)22との距離にバラツキが生じると、帯状ワーク(FPC)22の幅方向の位置によって熱履歴が変わってしまう。熱履歴が異なると現像速度も異なってくるので、帯状ワーク(FPC)22の幅方向の位置によって現像不足又は現像オーバな状態が生じてしまう。さらに、帯状ワーク(FPC)22の幅方向の中央部付近ではb1>b2であるので、帯状ワーク(FPC)22の第1面の印刷と第2面の印刷で乾燥温度が異なるために、乾燥むらが生じるおそれがある。また、挟持手段31a,31bによって帯状ワーク(FPC)22に張力を与えることは、薄いFPCの場合には歪みが生じたり、帯状ワークに亀裂が生じたりすることもあるので好ましくない。
【0013】
また、気体噴出手段によって帯状ワークを浮上させて非接触の状態で該帯状ワークを搬送する非接触搬送装置の技術も開示されている(特許文献3参照)。しかし、帯状ワークがFPCの場合はスルーホールなどの貫通穴が帯状ワークに多数存在しているため、噴出する気体がワークを通過してしまってFPCを浮上させることができないこともある。また、気体がFPCの貫通穴を透過しても、FPCを浮上させる程度の気体噴出量を維持できる場合であっても、FPCの場合は製品毎に貫通穴の箇所が異なるため、貫通穴が帯状ワークに偏在している場合は帯状ワークの搬送が蛇行してしまったり、局部的に帯状ワークが余計に持ち上げられたりすることがある。このような場合は加熱炉の熱源と帯状ワークとの距離にバラツキが生じてしまうことになり、結果的に、印刷部分に乾燥むらが生じることになる。
【0014】
また、帯状ワークを上下面から挟持固定しながら搬送移動に伴って挟持手段も移動させる乾燥装置の技術も開示されている(特許文献4参照)。この技術では帯状ワークのどの位置を挟持するかは特定されていないが、帯状ワークの垂れ下がりや揺れを防止して帯状ワークを搬送することを目的としている。帯状ワークがFPCの場合でも、印刷しない領域(例えば、製品シート列の間など)が帯状ワーク内に存在するため、印刷しない領域を上下面から挟持固定しつつ搬送移動させることは可能である。ここで、効率よく帯状ワークの垂れ下がりや揺れを防止するためには、搬送移動に伴って挟持手段も移動する機構が複数列必要であり、そのうちの少なくとも1列は帯状ワークの中央部付近を挟持する必要がある。しかし、薄いFPCを上下面から挟持固定すると、シワや打痕となるおそれがある。そこで、少なくともシワや打痕が製品部に及ばないようにするためには、製品シート列の間のスクラップ部を狙って挟持しなければならないが、挟持手段の移動速度と帯状ワークの搬送速度を厳密にコントロールしなければ、製品シート列の間のスクラップ部を狙って挟持することは難しい。
【0015】
また、特許文献4では、挟持手段が無端体(金属製ベルト)に着脱可能となっており、非塗工部検出器によって挟持手段が無端体に取り付けられる間隔を制御するようになっている。しかし、無端体の長さは挟持手段の間隔で割り切れる寸法である必要があり、この技術では無端体を交換して長さを変えるか、無端体の張力を調整して対応している。ところが、FPCの場合は、製品の種類が異なると帯状ワークの製品間ピッチが異なるので、生産現場において流れている品目毎に挟持手段の間隔を調整しなければならない。さらに無端体までも交換したり張力を調整したりすると段取り作業が煩雑になってしまう。しかも、電極基材に電極合剤を塗工する場合において「非塗工部を数10mm」にすれば無端体の張力調整でよいかもしれない。しかし、FPCの場合は、回路構成が集積化されていると製品シート列の間は10mm以下の場合もあるので無端体の張力調整では対応することができない。
【特許文献1】特開平1−140794号公報
【特許文献2】特開昭56−61252号公報
【特許文献3】特開2004-284751号公報
【特許文献4】特開平11−138084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、帯状ワークをロールtoロールで搬送する場合において、該帯状ワークの表面及び裏面における接触不可の領域には何も接触させることなく、できる限り帯状ワークを水平状態に維持しながら搬送できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記の目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送方法であって、帯状ワークの搬送方向と同一方向に複数の突起物が移動自在に配置された1列以上のエンドレスワイヤと帯状ワークとを対向させ、両者を同一速度で同一方向へ移動させる第1のステップと、帯状ワークの移動中において、帯状ワークの所定位置に記録されたマークを検出する第2のステップと、マークの検出タイミングに合わせて、エンドレスワイヤに設置された突起物送り出し機構を駆動させ、1個の突起物を移動中の帯状ワークの下面へ送り出す第3のステップと、第3のステップで送り出された突起物を帯状ワークの突起物配置可能領域へ突き当てる第4のステップと、帯状ワークの移動速度と同じ移動速度で突起物を移動させる第5のステップとを含むことを特徴とする帯状ワークの搬送方法を提供する。
【0018】
この方法によれば、帯状ワークとエンドレスワイヤが同速度で同方向へ移動しているとき、帯状ワークに記録されたマークの検出タイミングで、突起物送り出し機構が突起物を帯状ワークの下面へ送り出している。このとき、帯状ワークに記録されたマークの位置から回路パターンが形成されていない突起物配置可能領域の位置までの距離と、突起物送り出し機構から帯状ワークの下面までの位置とは同じであり、且つ、帯状ワークとエンドレスワイヤは同速度で移動しているので、突起物送り出し機構から送り出された突起物は、必然的に帯状ワークの突起物配置可能領域に当接することになる。しかも、帯状ワークと突起物は同速度で移動しているので、例えば、帯状ワークが加熱炉内を移動している間は、突起物が帯状ワークの適正な位置を当接しているので、加熱炉内において帯状ワークが撓むおそれはない。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送方法であって、帯状ワークの搬送方向と同一方向に複数の突起物が移動自在に配置された1列以上のリニアモータと帯状ワークとを対向させ、両者を同一速度で同一方向へ移動させる第1のステップと、帯状ワークの移動中において、リニアモータに設置された突起物送り出し機構から、リニアモータに形成されたスロープ部の手前へ送り出された突起物の位置を検出する第2のステップと、第2のステップで送り出された突起物の位置が、帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致するように位置補正を行う第3のステップと、第3のステップで位置補正された突起物をスロープ部に通過させ、突起物を帯状ワークの突起物配置可能領域へ当接させる第4のステップと、帯状ワークの移動速度と同じ移動速度で突起物を移動させる第5のステップとを含むことを特徴とする帯状ワークの搬送方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、帯状ワークとリニアモータが同速度で同方向へ移動しているとき、リニアモータに設置された突起物送り出し機構からスロープ部の手前へ突起物を送り出している。さらに、送り出された突起物の位置を検出して、その位置が帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致するように位置補正を行っている。そして、突起物の位置補正が終ったところでスロープ部を通過させて、突起物を帯状ワークの下面に当接させている。従って、突起物送り出し機構から送り出された突起物は、確実に帯状ワークの突起物配置可能領域に当接することになる。しかも、帯状ワークと突起物は同速度で移動しているので、例えば、帯状ワークが加熱炉内を移動している間は、突起物が帯状ワークの適正な位置を当接しているので、加熱炉内において帯状ワークが撓むおそれはない。尚、突起物が突起物送り出し機構から送り出されてから突起物の位置補正が行われる前は、スロープ部によってリニアモータと帯状ワークとの距離が隔てられているので、突起物が帯状ワークの不適正な位置(すなわち、突起物配置可能領域以外の位置)に当接するおそれはない。
【0021】
また、請求項3記載の発明は、突起物配置可能領域がスポット状に形成されている場合は、突起物として先端が点状の突起物を用い、突起物配置可能領域が帯状に形成されている場合は、突起物として先端が線状の突起物を用いることを特徴とする請求項1、又は2に記載の帯状ワークの搬送方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、帯状ワークに形成された突起物配置可能領域がスポット状であれば、先端が点状の突起物を用い、帯状ワークに形成された突起物配置可能領域が帯状ワークに形成された回路パターン(製品シート)列の間の絶縁部分のように線状であれば、線状の突起物を用いることができる。このように、突起物配置可能領域の形状に合わせて最適な先端形状をした突起物を用いることができるので、帯状ワークを最適状態で支持することが可能となる。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送装置であって、複数の突起物が移動自在に配置され、突起物を1個ずつ帯状ワークの下面へ送り出す突起物送り出し機構を有し、帯状ワークと対向して該帯状ワークと同速度で同方向へ移動する1列以上のエンドレスワイヤと、帯状ワークの移動中において、帯状ワークの所定位置に記録されたマークを検出するセンサとを備え、突起物送り出し機構が、センサの検出タイミングに合わせて、エンドレスワイヤに設置された1個の突起物を移動中の帯状ワークの下面へ送り出し、突起物を帯状ワークの突起物配置可能領域へ当接させ、且つ、突起物を帯状ワークと同じ移動速度で移動させることを特徴とする帯状ワークの搬送装置を提供する。
【0024】
この構成によれば、帯状ワークと1列以上のエンドレスワイヤが同速度で同方向へ移動しているとき、帯状ワークに記録されたマークの検出タイミングで、突起物送り出し機構が突起物を帯状ワークの下面へ送り出している。従って、突起物送り出し機構から送り出された突起物は、必然的に帯状ワークの突起物配置可能領域に当接することになり、且つ、帯状ワークの移動中においても突起物が帯状ワークの適正な位置を当接しているので、移動中に帯状ワークが撓むおそれはない。
【0025】
また、請求項5記載の発明は、帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送装置であって、スロープ部が形成されると共に複数の突起物が移動自在に配置され、突起物を1個ずつスロープの手前へ送り出す突起物送り出し機構を有し、帯状ワークと対向して帯状ワークと同速度で同方向へ移動する1列以上のリニアモータと、突起物送り出し機構からスロープ部の手前へ送り出された突起物の位置を検出するセンサと、センサの検出した位置情報に基づいて、突起物の位置を帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致させるように位置補正を行うコントローラとを備え、位置補正された突起物を帯状ワークの突起物配置可能領域へ当接させながら、突起物を帯状ワークと同じ移動速度で移動させることを特徴とする帯状ワークの搬送装置を提供する。
【0026】
この構成によれば、帯状ワークと1列以上のリニアモータが同速度で同方向へ移動しているとき、1列以上のリニアモータに設置された突起物送り出し機構からスロープ部の手前へ突起物を送り出している。さらに、送り出された突起物の位置が帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致するように位置補正を行ってから、スロープ部を通過させて突起物を帯状ワークの下面に当接させている。従って、突起物送り出し機構から送り出された突起物は、確実に帯状ワークの突起物配置可能領域に当接し、帯状ワークの移動中においてもその当接位置を保持している。従って、帯状ワークの移動中において該帯状ワークが撓むおそれはない。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の発明によれば、帯状ワークと同速度で移動する1列以上のエンドレスワイヤに設置された突起物送り出し機構が、適正なタイミングで突起物を帯状ワークの下面へ送り出している。そのため、帯状ワークが加熱炉内を移動している間は、突起物が帯状ワークの適正な位置(突起物配置可能領域)を当接しているので、加熱炉内において帯状ワークが撓むおそれはない。
【0028】
また、請求項2記載の発明によれば、帯状ワークと同速度で同方向へ移動している1列以上のリニアモータに設置された突起物送り出し機構が、スロープ部の手前へ突起物を送り出したとき、送り出された突起物の位置が帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致するように位置補正を行っている。従って、突起物がスロープ部を通過したときには、突起物は確実に帯状ワークの突起物配置可能領域に当接することになる。従って、帯状ワークが加熱炉内を移動している間は、突起物が帯状ワークの適正な位置を当接しているので、加熱炉内において帯状ワークが撓むおそれはない。
【0029】
また、請求項3記載の発明によれば、突起物配置可能領域の形状に合わせて最適な先端形状をした突起物を用いているので、請求項1又は2記載の効果に加えて、帯状ワークを最適な状態で支持することが可能となる。
【0030】
また、請求項4記載の発明によれば、帯状ワークが加熱炉内を移動している間は、突起物が帯状ワークの適正な位置(突起物配置可能領域)を当接しているので、加熱炉内において帯状ワークが撓むおそれはない。
【0031】
また、請求項5記載の発明によれば、突起物送り出し機構から送り出された突起物が突起物配置可能領域に当接するように補正しているので、帯状ワークが加熱炉内を移動している間は、突起物が帯状ワークの適正な位置を当接しているため、加熱炉内において帯状ワークが撓むおそれはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、帯状ワークをロールtoロールで搬送する場合において、該帯状ワークの表面及び裏面における接触不可の領域には何も接触させることなく、できる限り帯状ワークを水平状態に維持しながら搬送できるようにするという目的を達成するために、帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送方法であって、帯状ワークの搬送方向と同一方向に複数の突起物が移動自在に配置された1列以上のエンドレスワイヤと帯状ワークとを対向させ、両者を同一速度で同一方向へ移動させる第1のステップと、帯状ワークの移動中において、帯状ワークの所定位置に記録されたマークを検出する第2のステップと、マークの検出タイミングに合わせて、1列以上のエンドレスワイヤに設置された突起物送り出し機構を駆動させて、1個の突起物を移動中の帯状ワークの下面へ送り出す第3のステップと、第3のステップで送り出された突起物を帯状ワークの突起物配置可能領域へ突き当てる第4のステップと、帯状ワークの移動速度と同じ移動速度で突起物を移動させる第5のステップとを含むことを特徴とする帯状ワークの搬送方法を提供することによって実現した。
【実施例1】
【0033】
以下、図1乃至図3を用いて、本発明に係る帯状ワークの搬送方法及び帯状ワークの搬送装置の好適な実施例の幾つかについて詳述する。図1は、本発明に係る帯状ワークでFPCを形成したときの部分平面図である。図1に示すように、帯状ワーク1にはFPCの製品シート列が形成されている。この図では、帯状ワーク1の一部にFPCの製品シート2と製品シート3が連続して配列されている状態を示しているが、実際には多数の製品シートがそれぞれ連続して配列されている。製品シート2には回路パターン2aが形成されていて、該回路パターン2aの一部にはレジストインクの印刷領域2b、2cが形成されている。また、製品シート3にも回路パターン3aが形成されていて、該回路パターン3aの一部にはレジストインクの印刷領域3b、3cが形成されている。尚、一般的には、製品シート2の回路パターン2a及び印刷領域2b、2cと、製品シート3の回路パターン3a及び印刷領域3b、3cは同じパターンである。
【0034】
ここで、製品シート2の印刷領域2b、2cは、回路パターン2aの所定部分に半田付けを行うときに、半田付けに必要なランド以外のパターンなどに半田が付かないように、絶縁インクであるレジストインクによって印刷(又はマスキング)を施す領域である。製品シート3の印刷領域3b、3cについても同様である。
【0035】
また、帯状ワーク1における製品シート2と製品シート3の間の製品シート列間4は、回路パターン2a、3aが形成されていない絶縁領域であって突起物配置可能領域Aとして利用される。さらに、回路パターン2aにおける回路印刷領域隙間2d、2eも回路パターンが形成されていない絶縁領域であるので突起物配置可能領域Bとして利用される。また、回路パターン3aにおける回路印刷領域隙間3d、3eも回路パターンが形成されていない絶縁領域であるので突起物配置可能領域Bとして利用される。さらに、帯状ワーク1における幅方向の両端部分の帯状ワーク端部5a、5bは全ての回路パターンが形成されていないので、狭持物配置可能領域Cとして利用される。
【0036】
図1のように構成された帯状ワーク1を搬送移動させる場合は、帯状ワーク1の表面又は裏面の少なくとも一面に回路パターンが形成(印刷)されていない製品シート列間4の突起物配置可能領域A、及び回路パターン2aの回路印刷領域隙間2d、2eと回路パターン3aの回路印刷領域隙間3d、3eの突起物配置可能領域Bの全て又は一部を突起物(図示せず)で支えることによって帯状ワーク1の撓みを補正し、且つ帯状ワーク1の搬送移動に伴って該突起物を同じ速度で移動させる。このとき、突起物の配置個数や配置パターンは、帯状ワーク1の撓み量が最も少なくなるように、突起物配置可能領域A、Bの配置パターンに合わせて所望の間隔で該突起物を配置することが望ましい。
【0037】
また、製品シート列間4の突起物配置可能領域Aであれば、「線」で支持する突起物を用い、回路パターン2aの回路印刷領域隙間2d、2e及び回路パターン3aの回路印刷領域隙間3d、3eの突起物配置可能領域Bであれば、「点」で支持する突起物を用いて支持する。そして、これらの突起物の他端を1列以上のエンドレスワイヤ又はレールで支持しながら、帯状ワーク1の搬送移動に伴って突起物を同じ速度で移動させる。
【0038】
また、突起物配置可能領域A、Bを利用して所望の間隔で突起物を配置するためには、帯状ワーク1に形成されたFPC基板の所定の位置に記録されたマークを読み取って、突起物の間隔を設定する。または、エンコーダを用いて帯状ワーク1の送り量を算出し、突起物が、突起物配置可能領域A、Bを利用して所定の間隔で配置されるように配置手段を設ける。尚、前記突起物の搬送機構としては、エンドレスワイヤやリニアモータを1列以上配置させて駆動させることが望ましい。
【0039】
また、突起物だけでは帯状ワーク1を支持できない場合は、帯状ワーク1の両端部である帯状ワーク端部5a、5bの狭持物配置可能領域Cを挟持し、さらに、帯状ワーク1の表面又は裏面の少なくとも一面に回路パターンが印刷されていない回路印刷領域隙間2d、2e、3d、3e以外の領域を利用し、前記突起物によってそれらの領域の撓みを支え、且つ、該突起物が帯状ワーク1の搬送移動に伴って同じ速度で移動するようにする。このときの支持手段としては、クリップ、ダブルベルト、又は吸着ユニットなどを用いることができる。
【0040】
ここで、ロールtoロールで搬送される帯状ワークの所定箇所を突起物で支持しながら、該突起物を帯状ワークと同じ速度で移動させる場合の具体的な実施例について説明する。図2は、本発明に係る帯状ワークの搬送装置の実施例1の構成を示す概念図である。同図において、帯状ワーク11は、図示しない巻出しローラと巻取りローラの間でロールtoロール搬送されているものとする。尚、帯状ワーク11のロールtoロール搬送については図4、図5で説明した従来技術と同じであるので重複説明は省略する。
【0041】
図2において、図示しないコントローラが、帯状ワーク11の移動速度を検出して、エンドレスワイヤ13の移動速度が帯状ワーク11の移動速度と同じになるようにモータ(図示せず)の回転速度を制御している。従って、帯状ワーク11が加熱炉12の内部で搬送される過程において、エンドレスワイヤ13は、コントローラの制御によって、図示しない2つのモータによってそれぞれ回転駆動するローラ14aとローラ14bのスパン間を帯状ワーク11と同じ速度で移動することになる。図2では、帯状ワーク11とエンドレスワイヤ13の対向する面が図の左方から右方へ同じ速度で移動していることを想定している。
【0042】
また、エンドレスワイヤ13には複数の突起物15が設置されているが、これらの突起物15はエンドレスワイヤ13の位置を自在に移動できるように構成されている。さらに、エンドレスワイヤ13には突起物送り出し機構16が設けられ、該突起物送り出し機構16の動作によって、1個ずつの突起物15が帯状ワーク11の下面側へ送り出されるように構成されている。
【0043】
一方、加熱炉12の入口付近を移動する帯状ワーク11の近傍にはセンサ17aが設置され、該センサ17aは、帯状ワーク11の所定位置に記録されたマーク(図示せず)を検知するように構成されている。このマークは、例えば、帯状ワーク11に形成された個々の製品シート(図1の製品シート2a、3a参照)の所定箇所にエッチングなどによって記録されている。従って、帯状ワーク11が搬送移動すると、センサ17aが製品シートごとにマークを検出して、その検出信号を突起物送り出し機構16へ送信するようになっている。これによって、突起物送り出し機構16は、マークの検出信号の受信タイミングで突起物15を帯状ワーク11の下面側へ送り出すことができる。
【0044】
また、帯状ワーク11の製品シートごとのマークの位置と当該製品シートの突起物配置可能領域A又はB(図1参照)の位置との間の距離は、あらかじめコントローラに記憶されている。一方、コントローラは、帯状ワーク11の移動速度とエンドレスワイヤ13の移動速度が同じになるように制御しているので、突起物送り出し機構16の位置(a点)から突起物15が帯状ワーク11の下面に到達した位置(b点)までの距離を、帯状ワーク11の製品シートごとのマークの位置から当該製品シートの突起物配置可能領域A又はBの位置までの距離と同じにすれば、センサ17aがマークを検出したタイミングで、突起物送り出し機構16が突起物15を送り出せば、当該突起物15は必ず製品シートの突起物配置可能領域A又はBの位置に当接することになる。
【0045】
次に、図2に示す実施例1に係る帯状ワークの搬送装置の動作について説明する。帯状ワーク11がロールtoロール搬送によって加熱炉12の入口付近まで搬送されて来ると、センサ17aが帯状ワーク11の製品シートごとに記録されたマークを検出して、その検出信号をエンドレスワイヤ13の突起物送り出し機構16へ送信する。すると、突起物送り出し機構16は、検出信号の受信タイミングで1個の突起物15を帯状ワーク11の下面まで送り出す。
【0046】
このとき、帯状ワーク11とエンドレスワイヤ13は同じ速度で同じ方向へ移動していると共に、突起物15が突起物送り出し機構16(a)点から帯状ワーク11の下面(b)点まで移動した距離は、センサ17aから製品シートの突起物配置可能領域A又はBまでの距離と同じである。従って、突起物送り出し機構16から送り出された突起物15は、確実に製品シートの突起物配置可能領域A又はBの位置に当接し、且つ、帯状ワーク11と同じ速度で移動する。しかも、センサ17aが移動する帯状ワーク11の製品シートごとに記録されたマークを定期的に検出し、突起物送り出し機構16が突起物15を定期的に送り出しているので、突起物15は、所望の間隔を保ったまま、帯状ワーク11に形成された製品シートの所望の突起物配置可能領域A,Bへ当接された状態で移動することができる。
【0047】
従って、図2に示す実施例1の帯状ワークの搬送装置においては、帯状ワーク11の表面又は裏面でFPCの回路パターンが印刷されていない突起物配置可能領域A、Bを突起物15によって支えて帯状ワーク11の撓みを補正しながら、該突起物15を帯状ワーク11の搬送移動に伴って同じ速度で移動させると共に、所望の間隔で突起物15を配置することで、帯状ワーク11の表面及び裏面における接触不可の領域には何も接触させず、且つ、できる限り水平状態を維持しながら帯状ワーク11を搬送させることができる。
【0048】
また、帯状ワーク11の幅方向の両端部における回路パターンが印刷されていない狭持物配置可能領域C(図1参照)を挟持し、さらに、帯状ワーク11の表面において回路パターンが印刷されていない突起物配置可能領域A、B以外の領域についても突起物15で支持して帯状ワーク11の撓みを補正し、且つ、該突起物15を帯状ワーク11の搬送移動に伴って同じ速度で移動させることで、帯状ワーク11の表面及び裏面における接触不可の領域には何も接触させず、且つ、できる限り水平状態を維持しながら帯状ワーク11を搬送することが可能になる。
【実施例2】
【0049】
図3は、本発明に係る帯状ワークの搬送装置の実施例2の構成を示す概念図である。前述の実施例1ではエンドレスワイヤ13によって突起物15が搬送されたのに対し、実施例2ではリニアモータ18によって突起物15が搬送される。従って、リニアモータ18が帯状ワーク11と同じ速度で移動するように、図示しないコントローラがリニアモータ18の速度制御を行っている。
【0050】
さらに詳しく述べると、帯状ワーク11が加熱炉12の内部で搬送される過程において、図示しないコントローラが、帯状ワーク11の移動速度を検出して、リニアモータ18の移動速度が帯状ワーク11の移動速度と同じになるように、リニアモータ18の速度制御を行っている。尚、図3では、帯状ワーク11とリニアモータ18の対向する面が図の左方から右方へ同じ速度で移動していることを想定している。
【0051】
また、図3に示すように、実施例2における帯状ワークの搬送装置では、複数の突起物15が移動自在にリニアモータ18に設置されている。さらに、リニアモータ18が加熱炉12に進入する直前の部分では、リニアモータ18にスロープ部18aが設けられている。従って、該スロープ部18aの進行方向手前では突起物15と帯状ワーク11とが非接触状態となっていて、該スロープ部18aを通過した位置(すなわち、リニアモータ18が加熱炉12の内部へ侵入した位置)以降では、突起物15と帯状ワーク11とが接触するように構成されている。尚、センサ17bは、実施例1のように帯状ワーク1のマークを検出するのではなく、突起物送り出し機構16によって送り出された突起物15の位置を検出するように構成されている。言い換えると、センサ17bは、突起物送り出し機構から送り出された突起物15の位置を確認して、位置ズレを補正する機能を有している。
【0052】
次に、図3に示す実施例2に係る帯状ワークの搬送装置の動作について説明する。帯状ワーク11がロールtoロール搬送によって加熱炉12の入口の近くまで搬送されて来ると、センサ17bが、突起物送り出し機構16から送り出された突起物15の位置を検出する。すなわち、センサ17bは、リニアモータ18のスロープ部18aの手前で突起物15の位置を検出するが、この位置においては、スロープ部18aによって帯状ワーク11の下面とリニアモータ18の上面との距離が隔てられているので、リニアモータ18に設置された突起物15は帯状ワーク11に接触することはない。
【0053】
一方、図示しないコントローラは、帯状ワーク11に形成された製品シートごとの突起物配置可能領域A,B(図1参照)の位置情報を記憶していて、該コントローラがこの位置情報のタイミングで突起物送り出し機構16を駆動するので、本来であれば、突起物送り出し機構16から送り出された突起物15は製品シートごとの突起物配置可能領域A,Bに当接するはずである。しかし、各種駆動機構の動作タイミングのズレや機構部品のクリアランスなどによって、突起物送り出し機構16から送り出された突起物15は必ずしも製品シートごとの突起物配置可能領域A,Bに当接するとは限らない。そのような位置ズレの状態で突起物15が帯状ワーク11に当接しないようにスロープ部18aが設けられている。
【0054】
従って、突起物送り出し機構16から送り出された突起物15は、先ず、スロープ部18aの手前においてセンサ17bによって位置が確認され、突起物配置可能領域A,Bの位置に対して位置ズレがある場合は、図示しないコントローラの位置補正機構によって突起物15の位置が突起物配置可能領域A,Bの位置に一致するように位置補正を行う。この位置補正は、突起物15がスロープ部18aを通過し終えるまでに完了する。従って、突起物15がスロープ部18aを通過した時点では、突起物15は確実に製品シートごとの突起物配置可能領域A,Bに当接していることになる。
【0055】
このようにして、加熱炉12の内部においては、突起物15は、帯状ワーク11の製品シートごとの突起物配置可能領域A,Bの位置を支持しながら、帯状ワーク11と同じ速度で加熱炉12の内部を移動する。しかも、突起物15は突起物送り出し機構16によって一定間隔で送り出されるので、該突起物15が帯状ワーク11を支持する位置及び間隔は不変である。従って、帯状ワーク11が加熱炉12を移動している間に帯状ワーク11が撓むおそれはない。
【0056】
以上、本発明に係る帯状ワークの搬送方法及び帯状ワークの搬送装置の実施例について説明したが、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る帯状ワークでFPCを形成したときの部分平面図。
【図2】本発明に係る帯状ワークの搬送装置の実施例1の構成を示す概念図。
【図3】本発明に係る帯状ワークの搬送装置の実施例2の構成を示す概念図。
【図4】ロールtoロール搬送によってFPCの第1面に印刷を施す従来の工程を示す工程図。
【図5】図4に示す工程終了後に第1面を裏返して第2面に印刷を施す工程図。
【図6】帯状ワークの幅方向の両端を挟持手段で挟持した状態を示す概念図。
【符号の説明】
【0058】
1 帯状ワーク
2、3 製品シート
2a、3a 回路パターン
2b,2c、3b、3c 印刷領域
2d,2e、3d、3e 印刷領域隙間
4 製品シート列間
5a、5b 帯状ワーク端部
A、B 突起物配置可能領域
C 挟持物配置可能領域
11 帯状ワーク
12 加熱炉
13 エンドレスワイヤ
14a、14b ローラ
15 突起物
16 突起物送り出し機構
17a、17b センサ
18 リニアモータ
18a スロープ部
21 巻きしローラ
22 帯状ワーク(FPC)
23 印刷架台
24 印刷版
25 スキージ
26a、26b レジストインク
27 加熱炉
27a コンベア
28 冷却チャンバ
29 巻取りローラ
31a、31b 挟持手段
32a、32b 熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送方法であって、
帯状ワークの搬送方向と同一方向に複数の突起物が移動自在に配置された1列以上のエンドレスワイヤと前記帯状ワークとを対向させ、両者を同一速度で同一方向へ移動させる第1のステップと、
前記帯状ワークの移動中において、該帯状ワークの所定位置に記録されたマークを検出する第2のステップと、
前記マークの検出タイミングに合わせて、前記エンドレスワイヤに設置された突起物送り出し機構を駆動させ、1個の前記突起物を移動中の前記帯状ワークの下面へ送り出す第3のステップと、
前記第3のステップで送り出された前記突起物を前記帯状ワークの突起物配置可能領域へ突き当てる第4のステップと、
前記帯状ワークの移動速度と同じ移動速度で前記突起物を移動させる第5のステップとを含むことを特徴とする帯状ワークの搬送方法。
【請求項2】
帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送方法であって、
帯状ワークの搬送方向と同一方向に複数の突起物が移動自在に配置された1列以上のリニアモータと前記帯状ワークとを対向させ、両者を同一速度で同一方向へ移動させる第1のステップと、
前記帯状ワークの移動中において、前記リニアモータに設置された突起物送り出し機構から、該リニアモータに形成されたスロープ部の手前へ送り出された突起物の位置を検出する第2のステップと、
前記第2のステップで送り出された突起物の位置が、前記帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致するように位置補正を行う第3のステップと、
前記第3のステップで位置補正された突起物を前記スロープ部に通過させ、該突起物を前記帯状ワークの突起物配置可能領域へ当接させる第4のステップと、
前記帯状ワークの移動速度と同じ移動速度で前記突起物を移動させる第5のステップとを含むことを特徴とする帯状ワークの搬送方法。
【請求項3】
上記突起物配置可能領域がスポット状に形成されている場合は、上記突起物として先端が点状の突起物を用い、上記突起物配置可能領域が帯状に形成されている場合は、上記突起物として先端が線状の突起物を用いることを特徴とする請求項1、又は2に記載の帯状ワークの搬送方法。
【請求項4】
帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送装置であって、
複数の突起物が移動自在に配置され、該突起物を1個ずつ前記帯状ワークの下面へ送り出す突起物送り出し機構を有し、前記帯状ワークと対向して該帯状ワークと同速度で同方向へ移動する1列以上のエンドレスワイヤと、
前記帯状ワークの移動中において、該帯状ワークの所定位置に記録されたマークを検出するセンサとを備え、前記突起物送り出し機構が、前記センサの検出タイミングに合わせて、前記エンドレスワイヤに設置された1個の前記突起物を移動中の前記帯状ワークの下面へ送り出し、該突起物を前記帯状ワークの突起物配置可能領域へ当接させ、
且つ、前記突起物を前記帯状ワークと同じ移動速度で移動させることを特徴とする帯状ワークの搬送装置。
【請求項5】
帯状ワークを複数のロール間に渡して搬送する帯状ワークの搬送装置であって、
スロープ部が形成されると共に複数の突起物が移動自在に配置され、該突起物を1個ずつ前記スロープの手前へ送り出す突起物送り出し機構を有し、前記帯状ワークと対向して該帯状ワークと同速度で同方向へ移動する1列以上のリニアモータと、
前記突起物送り出し機構から前記スロープ部の手前へ送り出された前記突起物の位置を検出するセンサと、
前記センサの検出した位置情報に基づいて、前記突起物の位置を前記帯状ワークの突起物配置可能領域の位置と一致させるように位置補正を行うコントローラとを備え、
位置補正された前記突起物を前記帯状ワークの突起物配置可能領域へ当接させながら、該突起物を前記帯状ワークと同じ移動速度で移動させることを特徴とする帯状ワークの搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−100354(P2010−100354A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270722(P2008−270722)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】