説明

帯状体及び二重管構造

【課題】本発明は、補強金具と溝部間に生じる隙間を極力小さくし、更生管の施工後における補強金具の腐食の進行を長期化させる新規な帯状体を提供することを目的とする。
【解決手段】補強金具4として、底板部41と、側板部42と、前記底板部41と前記側板部42とがなす角部43を有するものを用い、基板2の片側面長さ方向に沿って並列配置されたリブ3間に生じる溝部5内において、前記角部43を溝部5内に存する一対の溝内角部53の一方に沿って接触させ、前記底板部41を前記溝部5の底面51を構成する基板2に対峙させ、前記側板部42を前記溝部5の内側壁52を構成するリブ3の側面に面接触させた状態で、前記補強金具4を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋状に巻き回されて、隣接する側縁部同士が順次接合されることにより管状に製管される帯状体、及びこの帯状体が既設管の管路内に配置された二重管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水管路、上水管路、農業用水路、ガス管路などの既設管を更生する方法として、帯状体を螺旋状に巻き回し、螺旋状に巻き回された帯状体の一側縁部を隣接する帯状体の他側縁部に順次接合することにより更生管を製管し、前記更生管を製管しながら、或いは製管後の前記更生管を既設管の管路内に配置し、更に前記更生管の外面と前記既設管の内面との間に生じる間隙に裏込め材を充填する方法が提案されている。
【0003】
又、更生管の強度を向上させるために、前記帯状体として、長尺帯状の基板の片側面(更生管として製管された際に、更生管の外側面となる側の面)の長さ方向に沿って複数本のリブを並列配置し、更に、隣り合うリブ‐リブ間に生じる溝部内に、リブを補強するための補強金具を固定したものも提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表昭64‐500502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明において用いられている補強金具は、溝部内に固定された際に、補強金具と溝部間に比較的大容積の隙間が生じるものであり、又、係る隙間内に裏込め材を流入させ難いものであった。そのため、更生管の施工後、裏込め材が充填されていない隙間には多量の空気が残存し、この空気に含まれる酸素や水分に晒されることによって、補強金具が腐食して劣化し、更生管の強度を低下させる場合があった。
【0006】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであって、補強金具と溝部間に生じる隙間を極力小さくし、更生管の施工後における補強金具の腐食の進行を長期化させる新規な帯状体及び二重管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の帯状体は、螺旋状に巻き回されて、隣接する側縁部同士が順次接合されることにより管状に製管される帯状体であって、この帯状体は、長尺帯状の基板と、基板の片側面長さ方向に沿って並列配置された複数本のリブと、隣り合うリブ‐リブ間に生じる溝部内に固定されてリブを補強する補強金具とを具備し、前記補強金具は、底板部と、側板部と、底板部と側板部とがなす角部とを有するものであり、前記補強金具が溝部内に固定された状態において、前記底板部が、溝部の底面を構成する基板に対峙し、前記側板部が、溝部の両内側壁を構成する一対のリブの一方に面接触し、前記角部が、溝部内に存する一対の溝内角部の一方に沿って接触するように形成されてなることを特徴とする。
【0008】
即ち、本発明の帯状体は、補強金具を溝部内に固定させるにあたり、補強金具と溝部との間に極力隙間が生じないようにしたものであり、裏込め材の充填後、補強金具においては、空気に対する接触面積が小さくなり、又、補強金具に接触する空気中の酸素や水分の量も少なくなることから、補強金具の腐食の進行が長期化する。
【0009】
なお、本発明において、補強金具を溝部内に固定させる手段としては、更生管の製管時或いは製管後において、補強金具が簡単に脱落しない程度の固定強度を付与するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いた接着手段や溝部内に補強金具を嵌め込む嵌合手段などが用いられる。
【0010】
又、本発明において、「対峙」とは、補強金具の底板部と溝部の底面とを、近接した状態で互いの面同士を突き合わせることを意味し、可能であれば互いの面同士を面接触させることが好ましい。
【0011】
しかしながら、一般的に用いられている帯状体にあっては、リブの自立強度を増すために、リブと基板とがなす溝内角部において、多少の丸みを帯びているものや厚肉部を設けられているものが多く、この場合、前記溝内角部の丸みや厚肉部の嵩によって、補強金具の底板部と溝部の底面とが隔離するため、補強金具の底板部と溝部の底面との間には、わずかながら隙間が生じる。
【0012】
なお、本発明においては、補強金具の底板部と溝部の底面を面接触させるべく、補強金具の角部の形状を、溝内角部の丸みや厚肉部の形状に応じた形状とすることも可能である。又、前記隙間は、裏込め材の充填によって補強金具に圧力が掛かることにより、埋められる場合もある。
【0013】
この点につき、本発明の帯状体においては、補強金具が溝部内に固定された状態において、底板部が一対の溝内角部間で突っ張り支持され得るように、前記底板部の横幅が設定されてなるものを用いることが好ましい。このようにすれば、補強金具の角部に対し、溝内角部に向かう付勢力が付与されて、溝内角部の丸みを押し込んだ状態で補強金具を固定することができることから、補強金具の底板部と溝部の底面との間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0014】
本発明の帯状体において、底板部の端縁部(底板部における、側板部と共有する一辺(角部に沿った一側辺)と対向する他側縁)が接触する溝内角部に、前記端縁部を差し込ませ得る端縁受部が設けられてなるものを用いれば、製管時及び製管後における補強金具の脱落が好適に防止される。
【0015】
又、本発明の帯状体においては、溝部の底面には突起部が設けられてなり、補強金具が前記溝部内に固定された状態において、底板部が前記突起部と溝内角部間で突っ張り支持され得るように、前記底板部の横幅が設定されてなるものを用いることが好ましい。このようにすれば、補強金具の角部に対し、溝内角部に向かう付勢力が付与されて、溝内角部の丸みを押し込んだ状態で補強金具を固定することができることから、補強金具の底板部と溝部の底面との間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0016】
本発明の帯状体において、前記突起部に、底板部の端縁部を差し込ませ得る端縁受部が設けられてなるものを用いれば、製管時及び製管後における補強金具の脱落が好適に防止される。
【0017】
本発明の帯状体においては、補強金具として、底板部と、対向する一対の側板部と、底板部と一対の側板部とがなす一対の角部とを有し、前記補強金具が溝部内に固定された状態において、前記底板部は、溝部の底面を構成する基板に対峙し、前記一対の側板部は、溝部の両内側壁を構成する一対のリブに各々面接触し、前記一対の角部は、溝部内に存する一対の溝内角部に沿って各々接触してなるものを用いる場合もある。
【0018】
本発明の帯状体においては、リブが、その頂部において両側に張り出す笠部を有してなり、補強金具が溝部内に固定された状態において、側板部が前記笠部と溝内角部間で突っ張り支持され得るように、前記側板部の高さが設定されてなるものを用いることが好ましい。このようにすれば、補強金具における角部に対し、溝内角部に向かう付勢力が付与されて、溝内角部の丸みを押し込んだ状態で補強金具を固定することができることから、補強金具の底板部と溝部の底面との間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0019】
本発明の帯状体において、前記笠部に、側板部の上縁部(側板部における、底板部と共有する一辺(角部に沿った一側辺)と対向する他側縁)を差し込ませ得る上縁受部が設けられてなる帯状体を用いれば、製管時及び製管後における補強金具の脱落が好適に防止される。
【0020】
本発明においては、補強金具の底板部に、角部と平行な一ないし複数条の屈曲部が設けられてなり、補強金具が溝部内に固定された状態において、前記屈曲部が開く方向に押し延ばされるものを用いる場合もある。
【0021】
この場合、前記屈曲部が延ばされることによって、補強金具の角部が溝内角部の丸みを押し込むようにすれば、補強金具の底板部と溝部の底面との間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0022】
本発明の二重管構造は、既設管と、既設管の管路内に配置される更生管と、既設管の内面と更生管の外面との間に生じる間隙に充填された裏込め材とを具備する二重管構造であって、前記更生管は、長尺帯状の基板と、基板の片側面長さ方向に沿って並列配置された複数本のリブと、隣り合うリブ‐リブ間に生じる溝部内に固定されてリブを補強する補強金具とを具備する帯状体を螺旋状に巻き回し、螺旋状に巻き回された帯状体の一側縁部を隣接する帯状体の他側縁部に順次接合することにより管状に製管されたものであり、前記補強金具は、底板部と、側板部と、底板部と側板部とがなす角部とを有し、前記底板部が、溝部の底面を構成する基板に対峙し、前記側板部が、溝部の両内側壁を構成する一対のリブの一方に面接触し、前記角部が、溝部内に存する一対の溝内角部の一方に沿って接触した状態で溝部内に固定されてなり、前記裏込め材によって、溝部内に固定された補強金具の露出面が埋伏されてなることを特徴とする。
【0023】
即ち、本発明の二重管構造は、既設管の管路内に配置される更生管として、前述の本発明の帯状体を用いたものであり、補強金具と溝部との間に生じる隙間が非常に小さく、又、裏込め材によって、溝部内に固定された補強金具の露出面が埋伏されていることから、前記補強金具において空気に対する接触面積が非常に小さく、又、前記補強金具に接触する空気中の酸素や水分の量が極わずかであることから、補強金具の腐食の進行が長期化する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の帯状体は、補強金具を溝部内に固定させるにあたり、前記補強金具と前記溝部との間に極力隙間が生じないようにしたものであり、裏込め材の充填後、前記補強金具においては、空気に対する接触面積が小さくなり、又、前記補強金具に接触する空気中の酸素や水分の量も少なくなることから、補強金具の腐食の進行が長期化する。
【0025】
又、本発明の二重管構造は、既設管の管路内に配置される更生管として、前記本発明の帯状体を用いたものであり、補強金具と溝部との間に生じる隙間が非常に小さく、又、裏込め材によって、溝部内に固定された補強金具の露出面が埋伏されていることから、前記補強金具において空気に対する接触面積が非常に小さく、又、前記補強金具に接触する空気中の酸素や水分の量が極わずかであることから、補強金具の腐食の進行が長期化する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は、実施形態1に係る本発明の帯状体を示す斜視図であり、(b)は、帯状体の接合状態を示す断面図であり、(c)は、溝部(補強金具なし)の断面図である。
【図2】図2(a)は、実施形態1に係る本発明の帯状体に用いられる補強金具を示す斜視図であり、(b)〜(d)は、補強金具を固定する状態を説明する断面図であり、(e)は、製管後に裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図3】図3は、実施形態2に係る本発明の帯状体を示す斜視図である。
【図4】図4(a)は、実施形態2に係る本発明の帯状体に用いられる補強金具を示す斜視図であり、(b)〜(c)は、補強金具を固定する状態を説明する断面図であり、(d)は、製管後、裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図5】図5は、実施形態3に係る本発明の帯状体を示す斜視図である。
【図6】図6(a)は、実施形態3に係る本発明の帯状体に用いられる補強金具を示す斜視図であり、(b)〜(c)は、補強金具を固定する状態を説明する断面図であり、(d)は、製管後、裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図7】図7は、実施形態4に係る本発明の帯状体を示す斜視図である。
【図8】図8(a)は、実施形態4に係る本発明の帯状体に用いられる補強金具を示す斜視図であり、(b)〜(c)は、補強金具を固定する状態を説明する断面図であり、(d)は、製管後、裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図9】図9は、実施形態5に係る本発明の帯状体を示す斜視図である。
【図10】図10(a)は、実施形態5に係る本発明の帯状体に用いられる補強金具を示す斜視図であり、(b)〜(c)は、補強金具を固定する状態を説明する断面図であり、(d)は、製管後、裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態6に係る本発明の帯状体を示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、実施形態6に係る本発明の帯状体に用いられる補強金具を示す斜視図であり、(b)〜(c)は、補強金具を固定する状態を説明する断面図であり、(d)は、製管後、裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図13】図13(a)は、接着によって接合される本発明の帯状体を示す断面図であり、(b)は、帯状体の接合状態を示す断面図である。
【図14】図14(a)は、別体の嵌合材を嵌め込むことによって接合される本発明の帯状体を示す断面図であり、(b)は、帯状体の接合状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
図1及び図2に、本発明の帯状体の一実施形態(実施形態1)を示す。
【0028】
図1(a)に示すように、この帯状体1は、長尺帯状の基板2と、基板2の片側面長さ方向に沿って並列配置された複数本のリブ3と、隣り合うリブ‐リブ間に生じる溝部5の内の一つに固定されて、リブ3を補強する補強金具4とを具備する。
【0029】
前記基板2は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート及びポリエステル等の合成樹脂を単独又は適宜混合したものを素材として、押し出し成形などの加工手段により長尺帯状に形成されたものである。なお、前記基板2は、必要に応じてその表面或いは内部がガラス繊維等で補強される。
【0030】
本実施形態1においては、この基板2の一側縁部に雌型21を設ける一方で、他側縁部に雄型22を設けており、螺旋状に巻き回された際に、前記雌型22に前記雄型22を順次嵌め込むことにより更生管が製管されるように構成されている(図1(b)参照)。なお、製管時の接合構造としては、このような構成のものに限られるものではなく、図13に示すように、基板2の一側縁部に段落ち部25を設け、螺旋状に巻き回された際に前記段落ち部25に他側縁部を重ねて接着することにより更生管が製管される構成のものや、図14に示すように、基板2の両側縁部に係合部23を設け、螺旋状に巻き回された際に隣接する前記係合部23に、別体の嵌合材24を嵌め込むことにより更生管が製管される構成のものを用いても良い。
【0031】
前記リブ3は、前記基板2の片側面長さ方向に沿って複数本並列配置されることによって、製管後の更生管の強度を向上させるものであり、本実施形態1において前記リブ3は、前記基板2を成形する際に、一体的に成形される。
【0032】
本実施形態1においては、このリブ3として、その頂部において両側に向かって拡張する笠部31を有する断面視T字状のものが採用されている。なお、このリブ3としては、断面視T字状のものに限られず、前記笠部31のない断面視I字状のものを用いても良い。又、必要に応じてリブ3内に金属板を埋設することによってその強度を向上したものを用いても良い。
【0033】
図1(c)に示すように、前記リブ3を前記基板2の片側面長さ方向に沿って複数本並列配置することにより、隣り合うリブ‐リブ間には溝部5が生じる。即ち、この溝部5は、隣り合う一対のリブ3の間に挟まれた基板2によって構成された底面51と、隣り合う一対のリブ3の各側面によって構成された一対の内側壁52(52a、52b)と、一対の溝内角部53(53a、53b)とを有する。なお、前記一対の溝内角部53(53a、53b)は、補強金具4が固定されていない状態において、丸みを帯びている。
【0034】
前記補強金具4は、前記溝部5内に固定されて、前記リブ3を補強するものである。この補強金具4は、鋼板、ステンレス板、或いはアルミニウム板等の金属板をロールフォーミング加工などの加工手段を用いて屈曲することによって、図2(a)に示すように、底板部41と、側板部42と、底板部41と側板部42とがなす角部43とが形成されたものであり、断面視L字状の形状を有する。なお、図中44は、前記底板部41の端縁部であり、45は、前記側板部の上縁部である。
【0035】
本実施形態1において、前記補強金具4は、溝部5の長さ方向に沿って連続的に配置されるが、溝部5の長さ方向に沿って、適当な間隔を空けて定点的に配置しても良い。又、本実施形態1においては、帯状体1における複数の溝部5の内の一つに対してのみ補強金具4を固定しているが、各溝部5に補強金具4をそれぞれ固定しても良い。更に、帯状体1が螺旋状に巻き回された際に、補強金具4が基板2の曲面に追随し易くするために、側板部42には、適当な間隔を空けて切り欠きを設けても良い。
【0036】
図2(b)〜(c)に、この補強金具4を溝部5へ固定させる状態を示す。
【0037】
本実施形態1においては、溝部5内に向かって、補強金具4を底板部41側から挿入し、溝内角部53aに補強金具4の端縁部44を接触させる(図2(b)及び(c)参照)。
【0038】
次いで、ローラ等の押圧手段(図示せず)を用いて、補強金具4の底板部41を溝部5内の底面51に向かって押し込むことにより、角部43を溝内角部53bに添って接触させる。これによって、底板部41を溝部5の底面51に対峙させると共に、側板部42を溝部5における内側壁52bに面接触させる(図2(d)参照)。なお、この際、接着剤等の接着手段を併用しても良い。
【0039】
ここで、本実施形態1において、前記補強金具4の側板部42における高さ(角部43から上端縁45までの距離)につき、笠部31の下面と溝部5の底面51間の間隔と同等ないし若干長くなるように設定すれば、溝部5内に補強金具4が固定された際に、前記補強金具4の側板部42は、笠部31と溝内角部53bとの間で突っ張り支持される。
【0040】
又、前記補強金具4の底板部41における横幅(角部43から端縁部44までの距離)につき、隣り合うリブ‐リブ間の間隔と同等ないし若干長くなるように設定すれば、溝部5内に補強金具4が固定された際に、前記補強金具4の底板部41は、一対の溝内角部53(53a、53b)間で突っ張り支持される。
【0041】
このようにして、側板部42及び底板部41がそれぞれ突っ張り支持された状態で、補強金具4を溝部5内に固定させると、補強金具4における角部43には、溝内角部53bに向かう付勢力が生じる。又、底板部41の端縁部44には、溝内角部53aに向かう付勢力が生じる。
【0042】
前述の如く、一対の溝内角部53(53a、53b)は、補強金具4が固定されていない状態で丸みを帯びているが、補強金具4を溝部5内に固定させた際、前記角部43及び端縁部44に生じた付勢力によって、補強金具4の角部43及び底板部41の端縁部44が、各々溝内角部53(53a、53b)の丸みを後退する方向に押し込むことから、補強金具4の底板部41と溝部5の底面51との間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0043】
又、図2(e)に示すように、製管後、既設管の管路内に配置されて裏込め材Fが充填されることによって、補強金具4における底板部41に圧力が掛かることにより、前記隙間は一層小さくなる。
【0044】
これより、裏込め材Fの充填後、前記補強金具4においては、空気に対する接触面積が小さくなり、又、前記補強金具4に接触する空気中の酸素や水分の量も少なくなることから、補強金具4の腐食の進行が長期化する。
【0045】
<実施形態2>
図3及び図4に、本発明の帯状体の一実施形態(実施形態2)を示す。
【0046】
前記実施形態1と比較して、本実施形態2が異なる点は、補強金具4の端縁部44が接触する溝内角部53a側のリブ3に、溝部5内に向かって突出する突条32が形成されていることである。
【0047】
即ち、本実施形態2に係る本発明の帯状体1は、補強金具4を溝部5内に固定するにあたり、補強金具4の底板部41における端縁部44を、前記突条32と、溝部5における底面51との間に生じている隙間(端縁受部)に差し込んでいることから、製管時及び製管後における補強金具4の脱落が好適に防止される。
【0048】
なお、本実施形態2においては、前記突条32を、溝部5の長さ方向に沿って連続的に設けているが、適当な間隔を空けて定点的に配置しても良い。
【0049】
その余は、前記実施形態1に係る本発明の帯状体について説明した事項と同様であり、繰り返しを避けるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
<実施形態3>
図5及び図6に、本発明の帯状体の一実施形態(実施形態3)を示す。
【0051】
前記実施形態1と比較して、本実施形態3が異なる点は、溝部5の底面51に断面視T字状の突起部6が設けられてなり、溝部5内において、一対の断面視L字状の補強金具4(4a、4b)が、前記突起部6を挟んだ状態で固定されていることである。
【0052】
即ち、本実施形態3に係る本発明の帯状体1は、補強金具4(4a、4b)を溝部5内に固定するにあたり、まず、一の補強金具4bが、その端縁部44を突起部6に接触させた状態で固定される。この際、補強金具4bの底板部41が、溝部5の底面51に対峙し、側板部42が、溝部5の内側壁52bに面接触し、角部43が、溝部5の溝内角部53bに沿って接触する。
【0053】
ここで、前記補強金具4bの底板部41が前記突起部6と溝内角部53間で突っ張り支持され得るように、底板部41における横幅の長さを設定すれば、補強金具4bにおける角部43が、溝内角部53bの丸みを後退する方向に押し込むことから、補強金具4bの底板部41と溝部5の底面51との間に生じる隙間が小さくなる。
【0054】
次いで、前記一の補強金具4bと対になる他の補強金具4aが、その端縁部44を突起部6に接触させた状態で固定される。この際、補強金具4aの底板部41が、溝部5の底面51に対峙し、側板部42が、溝部5の内側壁52aに面接触し、角部43が、溝部5の溝内角部53aに沿って接触する。
【0055】
ここで、前記補強金具4aの底板部41が前記突起部6と溝内角部53間で突っ張り支持され得るように、底板部41における横幅の長さを設定すれば、補強金具4aにおける角部43が、溝内角部53aの丸みを後退する方向に押し込むことから、補強金具4aの底板部41と溝部5の底面51との間に生じる隙間が小さくなる。
【0056】
又、本実施形態3においては、一対の補強金具4(4a、4b)は溝部5内に固定された状態で、それぞれ底板部41における端縁部44を、断面視T字状の突起部6と溝部5における底面51との間に生じた隙間(端縁受部)に差し込んでいることから、製管時及び製管後における補強金具4の脱落が好適に防止される。
【0057】
なお、本実施形態3においては、前記突起部6を、溝部5の長さ方向に沿って連続的に設けているが、適当な間隔を空けて定点的に配置しても良い。
【0058】
その余は、前記実施形態1に係る本発明の帯状体について説明した事項と同様であり、繰り返しを避けるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
<実施形態4>
図7及び図8に、本発明の帯状体の一実施形態(実施形態4)を示す。
【0060】
前記実施形態1と比較して、本実施形態4が異なる点は、図8(a)に示すように、補強金具4として、底板部41と、対向する一対の側板部42(42a、42b)と、底板部41と一対の側板部42(42a、42b)とがなす一対の角部43(43a、43b)とが形成された、溝型鋼形状を有するものが用いられていることである。なお、図中45aは、前記側板部42aの上縁部であり、45bは、前記側板部42bの上縁部である。
【0061】
即ち、本実施形態4に係る本発明の帯状体1における補強金具4は、一対の角部43(43a、43b)を、溝部5内に存する一対の溝内角部53(53a、53b)に沿って各々接触させ、底板部41を前記溝部5の底面51に対峙させ、側板部42(42a、42b)を溝部5の両内側壁52(52a、52b)に各々面接触させた状態で溝部5内に固定される。
【0062】
ここで、前記補強金具4の底板部41が、一対の溝内角部53(53a、53b)間で突っ張り支持され得るように、底板部41における横幅の長さを設定すれば、補強金具4における一対の角部43(43a、43b)が、一対の溝内角部53(53a、53b)の丸みを後退する方向に押し込むことから、補強金具4の底板部41と溝部5の底面51との間に生じる隙間が小さくなる。
【0063】
その余は、前記実施形態1に係る本発明の帯状体と同様であり、繰り返しを避けるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
<実施形態5>
図9及び図10に、本発明の帯状体の一実施形態(実施形態5)を示す。
【0065】
前記実施形態4と比較して、本実施形態5が異なる点は、補強金具4の両側板部42(42a、42b)の上縁部45(45a、45b)が接触する笠部31に、突条32(32a、32b)が形成されていることである。
【0066】
即ち、本実施形態5に係る本発明の帯状体1は、補強金具4を溝部5内に固定した状態で、補強金具4の両側板部42(42a、42b)の上縁部45(45a、45b)を、それぞれ前記突条32(32a、32b)と溝部5の側面51との間に生じている隙間(上縁受部)に差し込んでいることから、製管時及び製管後における補強金具4の脱落が好適に防止される。
【0067】
なお、本実施形態5においては、前記突条32を、溝部5の長さ方向に沿って連続的に設けているが、適当な間隔を空けて定点的に配置しても良い。
【0068】
その余は、前記実施形態4に係る本発明の帯状体と同様であり、繰り返しを避けるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
<実施形態6>
図11及び図12に、本発明の帯状体の一実施形態(実施形態6)を示す。
【0070】
前記実施形態4と比較して、この実施形態6が異なる点は、補強金具4の底板部41が、一対の側板部42(42a、42b)の立ち上がる方向に盛り上がるように、底板部41の長さ方向に沿って、複数条の屈曲部46(46a、46b、46c)を設けたことである。
【0071】
即ち、実施形態6に係る本発明の帯状体1は、補強金具4を溝部5内に固定するにあたり、まず、補強金具4が、その底板部41側から溝部5内に挿入される。
【0072】
次いで、ローラ等の押圧手段(図示せず)により、補強金具4の底板部41を溝部5内の底面51に向かって押し込みながら、底板部41の屈曲部46(46a、46b、46c)を開く方向に押し延ばすことにより、一対の角部43(43a、43b)を、それぞれ溝部5内における一対の溝内角部53(53a、53b)に添って接触させる。これによって、前記底板部41は前記溝部5の底面51に対峙し、一対の側板部42(42a、42b)は前記溝部5の両側面52(52a、52b)に面接触する。
【0073】
この際、前記屈曲部46(46a、46b、46c)が延ばされることによって、補強金具4の一対の角部43(43a、43b)が、それぞれ溝部5内における一対の溝内角部53(53a、53b)の丸みを押し込むように底板部41の横幅を設定すれば、補強金具4の底板部41と溝部5の底面51との間に生じる隙間が小さくなる。
【0074】
又、前記屈曲部46(46a、46b、46c)の長さ方向に沿って薄肉部(ノッチ)を設ければ、底板部41の押し延ばしが容易となる。
【0075】
その余は、前記実施形態4に係る本発明の帯状体と同様であり、繰り返しを避けるため、ここでは説明を省略する。
【符号の説明】
【0076】
1 帯状体
2 基板
3 リブ
4 補強金具
5 溝部
6 突起部
31 笠部
32 突条
41 底板部
42 側板部
43 角部
44 端縁部
45 上縁部
51 底面
52 内側壁
53 溝内角部
F 裏込め材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻き回されて、隣接する側縁部同士が順次接合されることにより管状に製管される帯状体であって、この帯状体は、
長尺帯状の基板と、
基板の片側面長さ方向に沿って並列配置された複数本のリブと、
隣り合うリブ‐リブ間に生じる溝部内に固定されてリブを補強する補強金具とを具備し、
前記補強金具は、底板部と、側板部と、底板部と側板部とがなす角部とを有し、
前記補強金具が溝部内に固定された状態において、
前記底板部が、溝部の底面を構成する基板に対峙し、
前記側板部が、溝部の両内側壁を構成する一対のリブの一方に面接触し、
前記角部が、溝部内に存する一対の溝内角部の一方に沿って接触するように形成されてなることを特徴とする帯状体。
【請求項2】
請求項1に記載の帯状体において、補強金具が溝部内に固定された状態において、底板部が一対の溝内角部間で突っ張り支持され得るように、底板部の横幅が設定されてなる帯状体。
【請求項3】
請求項2に記載の帯状体において、底板部の端縁部が接触する溝内角部には、端縁部を差し込ませ得る端縁受部が設けられてなる帯状体。
【請求項4】
請求項1に記載の帯状体において、溝部の底面には突起部が設けられてなり、補強金具が溝部内に固定された状態において、底板部が前記突起部と溝内角部間で突っ張り支持され得るように、底板部の横幅が設定されてなる帯状体。
【請求項5】
請求項4に記載の帯状体において、突起部には、底板部の端縁部を差し込ませ得る端縁受部が設けられてなる帯状体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の帯状体において、
補強金具は、底板部と、対向する一対の側板部と、底板部と一対の側板部とがなす一対の角部とを有し、
補強金具が溝部内に固定された状態において、
前記底板部は、溝部の底面を構成する基板に対峙し、
前記一対の側板部は、溝部の両内側壁を構成する一対のリブに各々面接触し、
前記一対の角部は、溝部内に存する一対の溝内角部に沿って各々接触してなる帯状体。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の帯状体において、リブが、その頂部において両側に張り出す笠部を有してなり、補強金具が溝部内に固定された状態において、側板部が前記笠部と溝内角部間で突っ張り支持され得るように、側板部の高さが設定されてなる帯状体。
【請求項8】
請求項7に記載の帯状体において、笠部には、側板部の上縁部を差し込ませ得る上縁受部が設けられてなる帯状体。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の帯状体において、底板部には、角部と平行な一ないし複数条の屈曲部が設けられてなり、補強金具が溝部内に固定された状態において、前記屈曲部が開く方向に押し延ばされる帯状体。
【請求項10】
既設管と、
既設管の管路内に配置される更生管と、
既設管の内面と更生管の外面との間に生じる間隙に充填された裏込め材とを具備する二重管構造であって、
前記更生管は、長尺帯状の基板と、基板の片側面長さ方向に沿って並列配置された複数本のリブと、隣り合うリブ‐リブ間に生じる溝部内に固定されてリブを補強する補強金具とを具備する帯状体を螺旋状に巻き回し、螺旋状に巻き回された帯状体の一側縁部を隣接する帯状体の他側縁部に順次接合することにより管状に製管されたものであり、
前記補強金具は、底板部と、側板部と、底板部と側板部とがなす角部とを有し、
前記底板部が、溝部の底面を構成する基板に対峙し、
前記側板部が、溝部の両内側壁を構成する一対のリブの一方に面接触し、
前記角部が、溝部内に存する一対の溝内角部の一方に沿って接触した状態で溝部内に固定されてなり、
前記裏込め材によって、溝部内に固定された補強金具の露出面が埋伏されてなることを特徴とする二重管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−231798(P2011−231798A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100051(P2010−100051)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】