説明

帯状材の梱包物及び梱包方法

【課題】複数の帯状材を効率良く略直方体状の箱内に収容する。
【解決手段】長手方向にのびる長尺かつ可撓性を有する帯状材1の複数個が略直方体状の箱に収容された帯状材の梱包物であって、帯状材1は、幅方向の両側に配された一対の側面1aと、長手方向の両端部をなす一対の端面1bと、側面1aと端面1bとで囲まれかつ実質的に平坦な第1の面1cと、この第1の面1cと反対側をなす非平坦の第2の面1dとを有する。そして、長手方向を揃えかつ各々の第1の面1cが実質的に平行となるように第2の面1dを互いに向き合わて重ねた一対の帯状材が、箱内に幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並べられている収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する複数の帯状材を効率良く略直方体状の箱内に収容しかつ輸送中の破損等を防止しうる帯状材の梱包物及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤのトレッド部の内面に、スポンジ材からなる帯状材をタイヤ周方向に沿って貼り付けることにより、走行中のロードノイズを低減する技術が例えば下記特許文献1等で提案されている。空気入りタイヤを大量生産する場合、例えば、帯状材を梱包用の箱に収容し、帯状材の製造工場からタイヤの製造工場まで輸送しなければならない場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−252003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、帯状材が矩形状断面で長手方向にのびるものであれば、容易に積み重ねて箱内に効率良く収容することができる。しかしながら、帯状材が、そのような断面形状でない場合には、箱内への帯状材の梱包効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、長手方向を揃えかつ各々の平坦な第1の面が実質的に平行となるように非平坦な第2の面を互いに向き合わせて重ねた一対の帯状材を、箱内に幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並べて収容することを基本として、帯状材の梱包物を効率良く梱包しつつ輸送中の破損等を防止しうるのに役立つ帯状材の梱包物及び梱包方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、長手方向にのびる長尺かつ可撓性を有する帯状材の複数個が略直方体状の箱に収容された帯状材の梱包物であって、前記帯状材は、幅方向の両側をなす一対の側面と、長手方向の両端部をなす一対の端面と、前記側面と前記端面とで囲まれかつ実質的に平坦な第1の面と、この第1の面と反対側をなす非平坦の第2の面とを有するとともに、長手方向を揃えかつ各々の第1の面が実質的に平行となるように前記第2の面を互いに向き合わせて重ねた一対の帯状材が、前記箱内に幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並べられて収容されていることを特徴とする帯状材の梱包物である。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記帯状材は、スポンジ材からなる本体と、一方の面がこの本体に貼り付けられかつ他方の面が剥離紙で覆われた両面粘着テープとを含み、前記両面粘着テープの剥離紙によって前記第1の面が形成される請求項1記載の帯状材の梱包物である。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記箱と前記帯状材との隙間に、前記帯状材の長手方向及び/又は幅方向の移動量を規制するためのスペーサが配されている請求項1又は2記載の帯状材の梱包物である。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記帯状材は、長さが異なる複数種類を含むとともに、最長の帯状材の本数が帯状材の総数の40%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の帯状材の梱包物である。
【0010】
また請求項5記載の発明は、前記箱は、底壁部と上壁部とを有し、かつ、前記帯状材は、前記箱の底壁部及び上壁部の間で、その高さ方向に1〜9%圧縮されて収容されている請求項1乃至4のいずれかに記載の帯状材の梱包物である。
【0011】
また請求項6記載の発明は、長手方向にのびる長尺かつ可撓性を有する帯状材の複数個を略直方体状の箱に収容する帯状材の梱包方法であって、前記帯状材は、幅方向の両側をなす一対の側面と、長手方向の両端部をなす一対の端面と、前記側面と前記端面とで囲まれかつ実質的に平坦な第1の面と、この第1の面と反対側をなす非平坦の第2の面とを有するとともに、前記箱内に、長手方向を揃えかつ各々の第1の面が実質的に平行となるように前記第2の面を互いに向き合わせて重ねた一対の帯状材が幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並ぶように帯状材を収容する工程を含むことを特徴とする帯状材の梱包方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、長手方向を揃えかつ各々の第1の面が実質的に平行となるように第2の面を互いに向き合わせて重ねられた帯状材の対が、箱内に幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並べられて収容される。従って、箱内への帯状材の収容効率が向上する。また、これにより、その輸送コストなどを低減しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、帯状材の全体斜視図が示される。該帯状材1は、可撓性を有し、かつ、長手方向にのびる長尺をなす。
【0014】
該帯状材1は、最も大きい寸法を有する長さLと、それと直交する向きにのびる幅Wと、この幅よりも小さい寸法を有する高さTを有する。即ち、各寸法は、T<W<Lの関係を有する。
【0015】
図2には、帯状材1の長手方向と直角な拡大断面図が示される。本実施形態の帯状材1は、スポンジ材からなる本体2と、両面粘着テープ3とから構成される。前記スポンジ材は、例えば樹脂又はゴムを発泡させた樹脂又はゴムスポンジ材からなり、好ましくはポリウレタンスポンジが望ましい。また、両面粘着テープ3は、一方の面が本体2に接着されかつ他方の面が剥離紙3bによって剥離可能に覆われた粘着面を有する基材3aを含む。本実施形態の剥離紙3bは、例えば厚さが小さい樹脂シートによって構成される。このような帯状材1は、少なくとも本体2が容易に変形できる反面、大きな衝撃や歪を受けると、剥離紙3bが基材3aから剥離して製品価値を損ねるおそれがある。
【0016】
帯状材1は、前記剥離紙3bが剥がされ、その両面粘着テープ3の基材3aが例えば図3に示されるように空気入りタイヤPのトレッド部の内面Piに貼り付けられる。これにより、帯状材1は、走行時におけるタイヤ内腔の空気の振動エネルギーを吸収し、ひいてはロードノイズを低減することができる。従って、帯状材1の各寸法は、上述の目的に従って任意に設定される。本実施形態の帯状材1は、乗用車用の空気入りタイヤに装着されるものとして作られており、概ね1300〜2500mmの長さL、30〜300mmの幅W及び2〜100mmの高さTを有する。
【0017】
また、帯状材1は、図2に示されるように、その幅方向の両側をなす一対の側面1aと、長手方向(長さ方向と同義であり以下同じ。)の両端部をなす一対の端面1bと、前記側面1aと前記端面1bとで囲まれかつ実質的に平坦をなす第1の面1c(この例では図1において下に向けられている)と、この第1の面1cと反対側をなす非平坦の第2の面1dとを有する。
【0018】
図2に示されるように、帯状材1の側面1aは、第1の面1cから高さ方向に実質的に垂直にのびている。また、帯状材1の前記第一の面1cは、前記剥離紙3bによって構成された平坦な面をなす。さらに、帯状材1の端面1bは、図1に示されるように、先端部に向かって高さが漸減するようにテーパ状をなす。本実施形態において、端面1bは、第1の面1cに対してほぼ45度のテーパ角θを有し、かつ、その先端部1b1は約5mm程度の厚さtで垂直になるようにカットされている。これにより、帯状材1の先端部の剛性低下が防止され、例えば製造時、箱詰め時、輸送中又はタイヤへの貼付時において、該先端部の破損を防止しうる。
【0019】
さらに帯状材1の第2の面1dは、帯状材1の長手方向と直角な断面において、実質的に一定の周期C及び振幅Aを有する台形波状で幅方向にのびることにより非平坦面をなす。即ち、第2の面1dは、第1の面1cに沿って幅方向にのびる基準線Bに対して、振幅Aで上下に波打つ。これにより、第2の面1dは、凸部4と凹部5とを幅方向に交互に具える。
【0020】
この実施形態の第2の面1dは、幅方向の中央部に設けられた一つの凹部5と、その両側にそれぞれ設けられかつ凹部5と同一でかつ反転した形状を有する一対の凸部4と、その両外側に設けられた半幅の凹部5とからなり、計2周期の長さの波を持っている。本実施形態では、台形波のコーナ部は、いずれも実質的に同じ曲率半径の円弧で面取されている。そして、帯状材1は、前記端面1bのテーパ状の部分を除いて実質的にこの断面形状で長さ方向にのびている。
【0021】
図4には、帯状材1が収容される箱5の一例が示される。該箱5は、底壁部5aと、該底壁部5aからほぼ垂直に立ち上がりかつ長さ方向にのびる一対の側壁部5bと、前記底壁部5aからほぼ垂直に立ち上がり長さ方向の両端部をなす一対の端壁部5cと、これら底壁部5a、側壁部5b及び端壁部5cが囲む直方体状の収容空間iを閉じる上壁部5dとを含む。
【0022】
前記収容空間iは、帯状材1の長さL、幅W及び高さTよりも大きい長さBL、幅BW及び高さBTを有する実質的に直方体状の空間である。
【0023】
また、上壁部5dは、側壁部5bの上縁に設けられた一対の第1の上壁片5d1と、端壁部5cの上縁に設けられた一対の第2の上壁片5d2とを含み、当初は収容空間iへ荷物を挿入可能に開放される。第1の上壁片5d1は、各々、収容空間iの上面のほぼ半分の面積を有する。そして、収容空間iに帯状材1を収容した後、第2の上壁片5d2、第1の上壁片5d1を順次収容空間i側に向けて折り畳むとともに、第1の上壁片5d1の向き合う端縁同士をガムテープ等で固着することにより収容空間iの上面部を閉塞しうる上壁部5dが形成される。
【0024】
また、箱5は、周知の段ボール箱として構成される。段ボールは、JIS Z0104に定義される片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール及び複々両面段ボールのいずれでも良いが、好ましくは耐荷重が大きい複両面段ボール又は複々両面段ボールが望ましい。また、段ボールの厚さは、好ましくは5mm以上、より好ましくは7mm以上が望ましい。段ボールの厚さは、全国段ボール工業組合連合会が規定する段ボール業界規格T 0004:2000に準拠し、一定の圧力をかけて段ボール試験片の厚さを測定することにより行われる。
【0025】
また、例えばトラック輸送などに際して、梱包済みの箱5を高さ方向に多段積みすることがある。この場合、下方の箱の変形を防止するために、少なくとも最下段に置かれる箱5には、強度が高い複両面段ボール(いわゆるダブルカートン相当)で形成されたものが好ましい一方、荷重があまり作用しない最上段に置かれる箱には、コストの小さい両面段ボール(いわゆるシングルカートン相当)からなる箱を用いることもできる。
【0026】
図5には、帯状材1の梱包方法の例を示す。本実施形態では、一対の帯状材1、1の長手方向がそれぞれ揃えられかつ各々の第1の面1cが実質的に平行となるように第2の面1dを互いに向き合って重ねられる。長手方向が揃えられるとは、帯状材1の長さLが同一の場合、それらの両端面1b(図1に示す)の位置も揃えられるのは言うまでもない。
【0027】
また、第1の面1cは、箱5の底壁部5aと実質的に平行になるように置かれる。さらに、一方の帯状材1の凸部4は、他方の帯状材1の凹部5に嵌まり込むように各々の帯状材1は、第2の面1dの波形が揃えられて重ねられる。これにより、本実施形態の一対の帯状材1は、第2の面1dの凹凸形状に基づいて前記周期Cの約0.5倍の長さで幅方向にずれた状態で重なる。また重ねられた2の帯状材1は、(2×T−A)の高さを具える。このような一対の帯状材1は、凸部4及び凹部5の噛み合いにより、高さ方向に小型化でき箱5への収容効率が高められるとともに、帯状材各々の幅方向の相対移動が抑制されるので、輸送中の位置ずれ等が最小限に抑えられる。また、上述のように帯状材1を重ねることにより、その第2の面1dには、局部的な歪が生じない。従って、箱5から取り出したときに帯状材1の本体2に歪が残存するといった不具合をも防止できる。
【0028】
そして、図6に示されるように、一対の帯状材1が箱5内に幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並べられて収容される。この実施形態では、図5に示された一対の帯状材1、1を一つのユニットUとし、これが幅方向に5列、かつ、厚さ方向に12段で並べられている。この際、幅方向に並ぶ各帯状材1は、いずれも側面1a、1aを向き合わせて密に配置されるとともに、その上下の面は第1の面1cによって平らになるので、限られた収容空間iに帯状材1が効率良く収容される。
【0029】
箱5への帯状材1の収容工程は、特に限定されない。例えば、帯状材1は、箱5の底側から順番に一つずつ配置されても良いし、あるいは前記ユニットU毎に収容されても良い。さらには、図7に示されるように、箱5の外部で並べられ、かつ1又は複数本の結束バンド6によって束ねられた塊状体10とされ、それを箱5に挿入することでも良い。
【0030】
前記結束バンド6は、帯状材1の長手方向と直交する向きにのび、並べられた帯状材1を一つに束ねることにより、輸送中の振動による箱内での帯状材1の崩れ等をより効果的に防止できる。前記結束バンド6は、例えば紙又は樹脂で作られたリボン状体7からなり、帯状材1を巻回した後、粘着テープ8等で環状に固着される。リボン状体7の材料としては、例えばクラフト紙、ポリラミクラフト(クラフト紙にポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂フィルムをコーティングして強度を高めたもの)、ポリエチレンやポリプロピレンからなる樹脂フィルム等が好適である。
【0031】
また、図8には箱5に収容された帯状材1の梱包物20の平面図が示される。
箱5の収容空間iは、帯状体1の塊状体10よりも大きい内のり寸法を有する。従って、単に塊状体10を収容空間iに配しただけでは、箱5と塊状体10との間に、帯状材1の長手方向及び/又は幅方向の隙間11が形成される。このような梱包物20では、輸送中の振動によって帯状材1が箱5の中で容易に移動し、箱5の内面と衝突を繰り返して剥離紙3bが剥がれ、基材3aの一部が箱内面に接着する等の不具合が生じやすい。これを効果的に防止するために、箱5と塊状体10との隙間11に、帯状材1の長手方向及び/又は幅方向の移動量を規制しうるスペーサ9が配置されることが望ましい。
【0032】
本実施形態では、帯状材1の長手方向の移動量を規制する第1のスペーサ9Aと、帯状材1の幅方向の移動量を規制する第2のスペーサ9Bとが設けられる。
【0033】
前記第1のスペーサ9は、主として段ボールから形成され、図9に示されるように、箱5の前記端壁部5cと平行かつ高さ方向にのびる主部12と、該主部12の両端部で折れ曲がりかつ端壁部5cに向かってのびる一対の支持部13とを含み、平面視がコ字状で形成されている。また、主部12の幅は、箱5の内のりの幅BWとほぼ等しく設定されている。そして、図8に示されるように、第1のスペーサ9Aは、支持部13を側壁部5bに沿わせて配されることにより、帯状材1の箱5内での長手方向の移動量を小さく抑制しうる。好ましくは前記移動量は20mm以下に抑えられるのが望ましい。
【0034】
図9で示した第1のスペーサ9Aの支持部13の長手方向の寸法Bは、箱5の長さBLと収容される帯状材1の長さLとの関係に基づいて、予め好ましい長さに作られても良いし、また、現場で適宜必要な長さにカットして用いられるように少し大きめに作られていても良い。さらに、図9の右側のスペーサ9において仮想線で示されるように、支持部13の端部を例えば中心側に向かって折り曲げることにより、前記長さBを調整自在とすることもできる。この際、前記折り曲げを容易とするくせ付け加工や罫書き線等が支持部13に施されていることが望ましい。
【0035】
第1のスペーサ9Aは、帯状材1の塊状体10の長手方向の一方でも良いが、本実施形態では長手方向の両側に配される。これは、次の利点を有する。即ち、図4に示されるように、段ボール箱には、そのコーナ部に、側壁面5bと端壁面5cとを接着剤又はステープル等で固着した高さ方向にのびる継ぎ代5gが設けられる。この継ぎ代5gは剛性が高く、かつ、側壁面1bの内面から段差状に隆起するため、帯状材1がこの継ぎ代5gに接触すると、前記剥離紙3bが剥離され又は本体2が損傷する等のおそれがある。そこで、本実施形態では、前記寸法Bを継ぎ代5gよりも大とした第1のスペーサ9Aを帯状材1の長手方向の両側に配置することによって、帯状材1と継ぎ代5gとの損傷を効果的に防止できる。
【0036】
前記第2のスペーサ9Bも主として段ボールから形成され、例えば図10に示されるように、箱5の側壁部5bと平行な一対の主壁部14と、この主壁部14、14間を継ぐ一対の支持壁部15とを有する平面視が略矩形をなす筒状体で形成される。このような第2のスペーサ9Aは、前記塊状体10の幅方向の少なくとも一方、好ましくは両方に設けられるのが望ましい。さらに、第2のスペーサ9Bは、帯状材1の長手方向に間隔を隔てて2個以上設けられるのが望ましい。
【0037】
また、各スペーサ9A、9Bの帯状材1との接触面には、衝撃吸収材16が設けられることが望ましい。該衝撃吸収材16は、例えば各種のスポンジ材、とりわけウレタンスポンジが望ましい。
【0038】
前記ウレタンスポンジの密度は、好ましくは10kg/m3 以上、より好ましくは15kg/m3 以上が望ましく、また、好ましくは30kg/m3 以下、より好ましくは25kg/m3 以下が望ましい。前記ウレタンスポンジの密度が10kg/m3 未満になると、ウレタンスポンジの変形量が大きくなりすぎ、逆に30kg/m3 超えると、ウレタンスポンジが変形しづらくなり、いずれの場合でも衝撃吸収能力が低下し易い。また、ウレタンスポンジのスペーサ9への固着には、アクリル系接着剤、粘着剤又は両面粘着テープなどが好適である。
【0039】
さらに、前記スペーサ9A、9Bは、いずれも段ボールを含んで構成されたものを示したが、全てがスポンジ材によって形成されても良い。
【0040】
塊状体10は、実質的に同じ長さLを有する帯状材1だけで構成されることが望ましい。しかし、一つの箱5の中に長さLが異なる複数種類の帯状材1を含ませても良い。この場合、最長の帯状材1の本数が、その箱の中の帯状材の総数の40%以上であることが望ましい。もし、最長の帯状材1の割合が40%未満の場合、輸送時に、長さの大きい帯状材1の両端部に応力集中が生じやすくなり、ひいては帯状材1に損傷が生じやすくなる。また、一つの箱5の中に長さが異なる複数種類の帯状材1を含める場合、好ましくは、帯状材1の一方の端面1bを揃えて上述の塊状体に束ねることが望ましい。
【0041】
また、図11(A)、(B)に示されるように、帯状材1は、その高さ方向に1〜9%圧縮されて箱5の中に収容されることが望ましい。ここで、帯状材1の圧縮率は、上壁部1dを閉じる前の自由状態の帯状材の塊状体10の全高さDと、箱5の上壁部を閉じたときの内のり高さBTとから下記式を用いて計算されるものとする。
帯状材の圧縮率(%)={(D−BT)/D}×100
【0042】
このように、高さ方向の圧縮力を与えられた各帯状材1は、箱5の上壁部5dと底壁部5aとの間の圧縮力によって強く保持される。このため、スペーサ9等を用いなくとも、輸送時の帯状材1の箱内での移動を小さく抑制できる点で好ましい。ここで、前記圧縮率が1%未満であると、箱5内での帯状材1を拘束する力が低下しやすく、逆に9%を超えると、圧縮力によって帯状材1が幅方向にばらけて損傷が生じたり、圧縮力を解散した後も帯状材1に歪が残るおそれがあり、いずれも好ましくない。
【0043】
以上のような帯状材1の梱包物20は、上壁部5dを閉じた後、例えばパレット上に複数段積み重ねられ、トラックの荷台へと積み込みされる。そして、所定のタイヤ製造工場へと輸送され、開梱されてタイヤに取り付けられる。
【実施例】
【0044】
図12に示した断面形状を有する帯状材(長さ=1830mm)を直方体の段ボール箱に梱包し、これを10トン積みのトラックにて約400kmを輸送した。輸送後、段ボール箱から帯状材を取りだし、その損傷発生率を調べた。なお、比較例は、図13に示されるように、帯状材を、その第1の面が全て下に向くように梱包された梱包物である。
また、段ボール箱及び損傷発生率の詳細は、次の通りである。
【0045】
段ボール箱の内のり寸法
高さ:320mm
幅:600mm
長さ1990mm
【0046】
帯状材の損傷発生率
剥離紙が剥がれている帯状材を損傷とし、損傷した帯状材の本数を箱内の帯状材の合計入り数で除して損傷発生率(%)とした。値が小さい程、良好である。
テストの結果等は表1に示される。
【0047】
【表1】


【0048】
テストの結果、本実施例の梱包物は、いずれも帯状材の損傷発生率を低減していることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態を示す帯状材の斜視図である。
【図2】その拡大断面図である。
【図3】帯状材が取り付けられた空気入りタイヤの断面図である。
【図4】帯状材の梱包に用いられる箱の斜視図である。
【図5】2つの帯状材を重ねた状態を示す側面図である。
【図6】帯状材の梱包状態を示す側面図である。
【図7】帯状材の塊状体を束ねた状態の斜視図である。
【図8】箱に帯状材を梱包した状態を示す平面図である。
【図9】第1のスペーサの一例を示す斜視図である。
【図10】第2のスペーサの一例を示す斜視図である。
【図11】(A)及び(B)は帯状材の圧縮率を説明する断面図である。
【図12】実施例の帯状材の断面寸法を示す断面図である。
【図13】比較例の帯状材の重ね方法を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 帯状材
1a 側面
1b 端面
1c 第1の面
1d 第2の面
2 本体
3 両面粘着テープ
3a 基材
3b 剥離紙
5 箱
5a 底壁部
5d 上壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向にのびる長尺かつ可撓性を有する帯状材の複数個が略直方体状の箱に収容された帯状材の梱包物であって、
前記帯状材は、幅方向の両側をなす一対の側面と、長手方向の両端部をなす一対の端面と、前記側面と前記端面とで囲まれかつ実質的に平坦な第1の面と、この第1の面と反対側をなす非平坦の第2の面とを有するとともに、
長手方向を揃えかつ各々の第1の面が実質的に平行となるように前記第2の面を互いに向き合わせて重ねた一対の帯状材が、前記箱内に幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並べられて収容されていることを特徴とする帯状材の梱包物。
【請求項2】
前記帯状材は、スポンジ材からなる本体と、一方の面がこの本体に貼り付けられかつ他方の面が剥離紙で覆われた両面粘着テープとを含み、前記両面粘着テープの剥離紙によって前記第1の面が形成される請求項1記載の帯状材の梱包物。
【請求項3】
前記箱と前記帯状材との隙間に、前記帯状材の長手方向及び/又は幅方向の移動量を規制するためのスペーサが配されている請求項1又は2記載の帯状材の梱包物。
【請求項4】
前記帯状材は、長さが異なる複数種類を含むとともに、最長の帯状材の本数が帯状材の総数の40%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の帯状材の梱包物。
【請求項5】
前記箱は、底壁部と上壁部とを有し、かつ、前記帯状材は、前記箱の底壁部及び上壁部の間で、その高さ方向に1〜9%圧縮されて収容されている請求項1乃至4のいずれかに記載の帯状材の梱包物。
【請求項6】
長手方向にのびる長尺かつ可撓性を有する帯状材の複数個を略直方体状の箱に収容する帯状材の梱包方法であって、
前記帯状材は、幅方向の両側をなす一対の側面と、長手方向の両端部をなす一対の端面と、前記側面と前記端面とで囲まれかつ実質的に平坦な第1の面と、この第1の面と反対側をなす非平坦の第2の面とを有するとともに、
前記箱内に、長手方向を揃えかつ各々の第1の面が実質的に平行となるように前記第2の面を互いに向き合わせて重ねた一対の帯状材が幅方向及び高さ方向にそれぞれ複数並ぶように帯状材を収容する工程を含むことを特徴とする帯状材の梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−210658(P2007−210658A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34139(P2006−34139)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】