説明

帯電ローラおよびこれを備えた画像形成装置

【課題】継目を有するテープ状のギャップ部材が設定する帯電ギャップによる像担持体の非接触帯電において、ギャップ部材の剥がれを防止して、安定した良好な帯電を行う。
【解決手段】帯電ローラ3aの一端部外周面にテープ状のギャップ部材3eが固定されている。帯電ローラ3aの一端部外周面にはくぼみ3fが形成されている。ギャップ部材3eは、感光体とのニップ部に進入開始する側の一端部3e1の一部がくぼみ3fの面3f1に粘着固定され、この一端部3e1からそれ以外の部分が帯電ローラ3aの外周面3gに巻かれている。くぼみ3fに固定された一端部3e1は帯電ローラ3aの外周面3gより外方に突出しないので感光体に接触しなく、容易に剥がれることはない。帯電ローラ3aの他端部外周面にも同様のくぼみとギャップ部材が左右対称に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端部に巻き付き固定されたテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材で像担持体に対して所定の帯電ギャップが設定されて、像担持体を非接触帯電する帯電ローラおよびこれを備えた、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、像担持体に対して所定の帯電ギャップを置いて、この像担持体を非接触帯電する帯電ローラを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。図11(a)に示すように、この特許文献1に開示の画像形成装置に用いられる帯電ローラaは、芯金bの外周面に導電性を有する弾性部材からなる抵抗層cを設けるとともに、この抵抗層cの両端部外周面に、それぞれ、絶縁性を有するテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材d,eをリング状に巻き付けて固着し、これら一対のギャップ部材d,eを像担持体である感光体ドラムfの外周面に当接させることにより、所定の帯電ギャップGを設定している。その場合、芯金bの両端面からそれぞれ軸方向に同軸に突設された回転軸g,hの各軸受i,jをそれぞれ圧縮スプリングk,mの付勢力で感光体ドラムfの方へ押圧することで、両ギャップ部材d,eを感光体ドラムfの外周面に圧接させている。
【0003】
そして、帯電ローラaが帯電ギャップにより感光体ドラムfを非接触帯電することで、オゾンの発生を抑制することができるとともに、感光体ドラムfに付着しているトナー等の異物が帯電ローラaに付着したり、帯電ローラaの抵抗層c中に含まれる物質が感光体ドラムfに付着したりすることが防止できるので、帯電ローラaによる感光体ドラムfの帯電性能を向上することができる。
【0004】
ところで、テープ状のフィルム部材を帯電ローラに巻き付けたとき、フィルム部材の一端と他端との間に継目が生じる。一方、像担持体の良好な帯電を常時安定して得るためには、帯電ローラaが回転したとき周方向のどの位置でも、帯電ギャップGは常に一定に維持されなければならない。そのためには、テープ状のフィルム部材からなるギャップ部材d,eでは、フィルム部材を帯電ローラaに巻き付けたとき、各フィルム部材の両端(帯電ローラaの周方向における両端)の継目において、これらの両端部が隙間なくかつ上下方向(帯電ローラaの径方向)に重ならないように巻き付ける必要がある。しかしながら、このようにフィルム部材を帯電ローラaに巻き付けるには、フィルム部材の長さを高精度に設定しなければならないばかりでなく、フィルム部材の帯電ローラaへの巻付けも高精度に行わなければならない。このため、フィルム部材の寸法管理をきわめて厳しくする必要があり、生産性が悪いばかりでなく、コストが高いものとなる。
【0005】
このようなことから、帯電ローラの生産性を向上し、コストを低減するために、ギャップ部材を構成するフィルム部材の長さの精度やフィルム部材の帯電ローラaへの巻付け精度をそれほど高くしないと、帯電ローラにほぼ1周巻き付けられたギャップ部材の一端と他端との間の継目において、これら両端に隙間が生じたり、両端部が上下方向に重なったりする状態が生じるのを余儀なくされる。しかし、このような状態が生じると、帯電ローラのこの継目位置部分では、帯電ローラの軸方向においてギャップ部材が存在しない場合やギャップ部材の厚みが変化する場合があり、この継目が像担持体とギャップ部材とのニップ部(当接部)に来ると、帯電ギャップGが変化してしまう。このため、像担持体の良好な帯電を常時安定して得ることができなくなってしまう。
【0006】
そこで、前述の特許文献1に開示の帯電ローラのギャップ部材では、図11(b)および(c)に示すように、ギャップ部材dのフィルム部材の両端d1,d2を斜めにカットするとともに、このフィルム部材を帯電ローラaに巻き付けたとき、斜めにカットされた両端d1,d2の間に隙間sを形成するようにしている。このようにすれば、フィルム部材を帯電ローラaに巻き付けた状態で、帯電ローラaの周方向のどの位置でも帯電ローラaの軸方向にはギャップ部材dが常に存在するので、フィルム部材の寸法管理をそれほど厳しくしなく、継目が存在しても、帯電ギャップGは一定に維持することができる。図示しないが、もう一方のギャップ部材eのフィルム部材についても同様である。
【0007】
また、図11(d)および(e)に示すように、ギャップ部材dのフィルム部材の長さを帯電ローラaの周長より長く設定して、このフィルム部材を帯電ローラaに巻き付けたとき、フィルム部材の一端d1の位置に対して他端d2の位置が帯電ローラaの軸方向にずれるようにしてこの軸方向にラップさせることで、帯電ローラaの周方向のどの位置でも帯電ローラaの軸方向にはギャップ部材dが常に存在するようになる。これにより、同様にフィルム部材の寸法管理をそれほど厳しくしなくても、帯電ギャップGは一定に維持することができる。図示しないが、もう一方のギャップ部材eのフィルム部材についても同様である。
なお説明を省略するが、特許文献1には帯電ローラaの周方向のどの位置でも帯電ローラaの軸方向にはギャップ部材dを常に存在させる他の方法も開示されている。
【特許文献1】特開2001−296723号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、帯電ローラaの外周面にギャップ部材d,eのフィルム部材を単に巻き付けたのでは、ギャップ部材d,eの両端が像担持体との圧接を繰り返していくと、少なくとも一方の端が像担持体から剥がれて捲れ上がるという問題が生じる。特に、ギャップ部材d,eが像担持体fとのニップ部に進入開始する側の一端部がニップ部で像担持体からの圧接力を剥がれる方向に繰り返し受けるので剥がれ易い。また、帯電ローラaが非弾性体の場合、ギャップ部材d,eの剥がれの頻度が高い。
【0009】
このようにギャップ部材d,eの端の捲れが生じると、帯電ローラが回転したときこれらのギャップ部材d,eによる帯電ギャップGが変化して一定に維持されなくなり、像担持体に対して均一で安定した良好な帯電を行うことが難しくなってしまう。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、両端部にそれぞれ固定され、継目を有するテープ状のギャップ部材が像担持体に圧接されることで設定される帯電ギャップによる像担持体の非接触帯電において、長期間にわたってギャップ部材の剥がれを防止して、安定した良好な帯電を行うことのできる帯電ローラおよびこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の帯電ローラは、両端部にそれぞれ、継目を有するテープ状のギャップ部材が固定され、このギャップ部材が像担持体の外周面に圧接されることで前記像担持体と前記帯電ローラとの間に帯電ギャップが設定されるとともに、前記像担持体の回転時に回転することで前記帯電ギャップにより前記像担持体を非接触帯電する帯電ローラにおいて、前記像担持体との当接部に進入開始する側の前記ギャップ部材の一端部を前記像担持体に接触させないギャップ部材端部非接触手段が両端部にそれぞれ設けられていることを特徴としている。
また、請求項2の発明の帯電ローラは、両端部にそれぞれ設けられ前記ギャップ部材端部非接触手段がともにくぼみから形成されており、前記ギャップ部材のそれぞれの一端部の少なくとも一部が前記くぼみに固定されていることを特徴としている。
【0012】
更に、請求項3の発明の帯電ローラは、前記くぼみに固定されている前記ギャップ部材の部分の幅が前記ギャップ部材の他の部分の幅より小さく形成されていることを特徴としている。
更に、請求項4の発明の帯電ローラは、前記くぼみのうち、一端側のくぼみと他端側のくぼみとが互いに周方向に同位置に設けられているか、または互いに周方向に異なる位置に設けられていることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項5の発明の画像形成装置は、静電潜像および現像剤像が形成される像担持体と、この像担持体を非接触で帯電する帯電ローラと、前記像担持体に静電潜像を書き込む書込装置と、前記像担持体の静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、前記像担持体の現像剤像を転写する転写装置とを少なくとも備える画像形成装置において、前記帯電ローラが請求項1ないし4のいずれか1記載の帯電ローラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明の帯電ローラおよびこれを用いた画像形成装置によれば、帯電ローラの周方向のどの位置にもテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材を帯電ローラの軸方向に存在させるとともに、ギャップ部材が像担持体との当接部に進入しても、像担持体との当接部に進入開始する側のギャップ部材の一端部を像担持体にギャップ部材端部非接触手段により接触させないようにしているので、画像形成動作(印字動作)を長期間行っても、ギャップ部材の帯電ローラからの剥がれを防止することができる。特に、帯電ローラをギャップ部材の剥がれの頻度が高い非弾性体で形成した場合、このギャップ部材の剥がれを効果的に防止することができる。したがって、均一な安定した帯電ギャップを長期間にわたって維持させることができ、像担持体の良好な帯電を行うことができる。これにより、高品質の画像を長期間にわたって得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図、図2は図1に示す例の感光体および帯電装置を模式的に示す図である。
【0016】
図1および図2に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像(現像剤像)が形成される像担持体である感光体2を備えているとともに、この感光体2の周囲に感光体2の回転方向(図1では、時計回り)上流側から、順次、感光体2を非接触帯電する帯電装置3、感光体2に静電潜像を書き込む光書込み装置4、感光体2の静電潜像をトナーで現像する現像装置5、感光体2のトナー像を転写する転写装置6、および感光体2をクリーニングするクリーニング装置7を備えている。
【0017】
この例の感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。そして、感光体2は、その両端面からそれぞれ軸方向に同軸に突設された回転軸2a,2bが図示しない装置本体に軸受を介して回転可能に支持されて設けられている。
【0018】
帯電装置3は感光体2に対して非接触の帯電を行う帯電ローラ3aを備えている。図2に示すように、この帯電ローラ3aは芯金3bを備えており、この芯金3bは導電性を有する、例えば金属シャフト等からなる導電性シャフトとして構成されている。この導電性シャフトとしては、例えばSUM22の表面にNiめっきを施したものを用いることができる。
【0019】
芯金3bの外周面には、導電性塗装材を例えばスプレー塗装で塗装することにより抵抗層3cが形成されている。この抵抗層3cの両端部の外周面には、所定幅で一定膜厚の、例えば粘着テープ等からなるフィルム部材をリング状に巻き付けることによりギャップ部材3d,3eが固定されている。
【0020】
図3(a)および(b)に示すように、帯電ローラ3aの端部外周面におけるギャップ部材3eの固定位置には、芯金3bの外周面の一部が弦方向に平面状に切り欠かれているとともに、この切欠部の表面に抵抗層3cが形成されることで、帯電ローラ3aの外周面からくぼんだくぼみ3fが形成されている。このくぼみ3fは帯電ローラ3aの軸方向から見るとD字形状を有するDカット部とされ、本発明のギャップ部材端部非接触手段を構成している。
【0021】
ギャップ部材3eの両端部3e1,3e2は、ともにそれらの幅が粘着テープの他の部分の幅の2分の1より小さい一定幅に設定されていて、ギャップ部材3eの他の部分との間に、帯電ローラ3aの軸方向に延びる段差3e3,3e4が形成されている。そして、ギャップ部材3eはその一端部3e1の一部がくぼみ3fの弦方向の平らな面3f1に粘着固定されているとともに、この一端部3e1からそれ以外の部分が帯電ローラ3aの横断面円形の外周面3gに矢印で示す帯電ローラ3aの回転方向αと逆回りに1周余り軸方向に位置ずれすることなく巻かれて粘着固定されている。その場合、ギャップ部材3eの他端部3e2はくぼみ3fに位置しなく帯電ローラ3aの外周面3gに粘着固定されている。換言すれば、くぼみ3fの軸方向の寸法はギャップ部材3eの他端部3e2が粘着固定される位置まではくぼみ3fが設けられない大きさに設定されている。したがって、ギャップ部材3eの一端部3e1は、その先端が帯電ローラ3aの回転方向αに向くようになる。
【0022】
ギャップ部材3eが帯電ローラ3aの外周面に固定された状態では、ギャップ部材3eの他端部3e2がくぼみ3fを周方向に超えて、帯電ローラ3aの軸方向にくぼみ3fのない位置まで延設されている。また、ギャップ部材3eの一端部3e1と他端部3e2側の段差3e4との間およびギャップ部材3eの他端部3e2と一端部3e1側の段差3e3との間には、それぞれ周方向に所定の間隙が設けられているとともに、一端部3e1のほとんどの部分と他端部3e2のほとんどの部分とが帯電ローラ3aの軸方向にオーバーラップしている。こうして、ギャップ部材3eは帯電ローラ3aの周方向のどの位置においても帯電ローラ3aの軸方向に必ず存在している。
【0023】
更に、ギャップ部材3eの一端部3e1側でくぼみ3fに位置する部分で一端部3e1の先端から所定長さの大部分の上面3e5は、帯電ローラ3aの外周面3gより内側に位置し、この外周面3gより外方に突出していない。なお、ギャップ部材3eの一端部3e1の上面3e5はこれに限定されることなく外周面3gより外方に突出してもよいが、少なくともギャップ部材3eの外周面より突出しないで、感光体2に接触しないようにしさえすればよい。しかし、一端部3e1の上面3e5を、帯電ローラ3aの外周面3gより外方に突出させないことが感光体2との接触を確実に防止するうえで、好ましい。
【0024】
図示しないが、もう一方のギャップ部材3dは、ギャップ部材3eと左右対称に形成される以外は、まったく同じに形成されている。したがって、一端部3e1に対応するギャップ部材3dの一端部が粘着固定されるくぼみは、一端部3e1のくぼみ3fと周方向に同じ位置に(同じ位相で)設けられている(つまり、両ギャップ部材3d,3eの各一端部は互いに帯電ローラ3aの軸方向にオーバーラップしている。)。
【0025】
帯電ローラ3aは芯金3bの両端面からそれぞれ軸方向に同軸に突設された回転軸3h,3iを備えており、これらの回転軸3h,3iがそれぞれ軸受3j,3kに回転可能に支持されている。そして、前述の従来例と同様に帯電ローラ3aの回転軸3h,3iの軸受3j,3kを介して圧縮スプリング3m,3nの荷重により、帯電ローラ3aが感光体2の方向に押圧されることで、ギャップ部材3d,3eが感光体2の外周面に圧接されている。これにより、抵抗層3cと感光体2との間にフィルム部材の所定膜厚に基づいた所定の帯電ギャップGが設定されている。
【0026】
また、帯電装置3は帯電ローラ3aをクリーニングする例えばローラ等からなるクリーニング部材3oを備えている。このクリーニング部材3oは筒状のスポンジから形成されており、このスポンジが一対のギャップ部材3d,3eを含む帯電ローラ3aの外周面に所定の押圧力で当接されている。このクリーニング部材3oは帯電ローラ3aの回転と逆回りに回転可能とされている。そして、この帯電装置3においては、帯電ローラ3aにより感光体2が非接触で一様帯電されるとともに、クリーニング部材3oにより帯電ローラ3aがクリーニングされて帯電ローラ3aに付着するトナーやごみ等の異物が除去される。
【0027】
図2において感光体2の右端側には、感光体2を回転駆動するための感光体駆動ギヤ8が感光体2の回転軸2aに固定されている。また、帯電ローラ3aの右端側の回転軸3iには、帯電ローラ3aを回転駆動するための帯電ローラ駆動ギヤ9が固定されている。そして、図示しないモータの駆動力が感光体2の感光体駆動ギヤ8に伝達されることで感光体2が回転駆動されるとともに、更にモータの駆動力が帯電ローラ駆動ギヤ9に伝達されることで、帯電ローラ3aが回転駆動されるようになっている。
【0028】
光書込み装置4は、例えばレーザ光等により感光体2に静電潜像を書き込む。また、現像装置5は、現像ローラ5a、トナー供給ローラ5bおよびトナー層厚規制部材5cを有している。そして、トナー供給ローラ5bによって現像ローラ5a上に現像剤であるトナーTが供給されるとともに、この現像ローラ5a上のトナーTがトナー層厚規制部材5cによりその厚みを規制されて感光体2の方へ搬送され、搬送されたトナーTで感光体2上の静電潜像が現像されて感光体2上にトナー像が形成される。
【0029】
転写装置6は転写ローラ6aを有し、この転写ローラ6aにより感光体2上にトナー像が転写紙や中間転写媒体等の転写媒体13に転写される。そして、トナー像が転写媒体13である転写紙に転写された場合には、転写紙上のトナー像が図示しない定着装置によって定着され、転写紙に画像が形成され、また、トナー像が転写媒体13である中間転写媒体に転写された場合には、中間転写媒体上のトナー像が更に転写紙に転写された後、転写紙上のトナー像が図示しない定着装置によって定着され、転写紙に画像が形成される。
【0030】
クリーニング装置7は例えばクリーニングブレード等のクリーニング部材7aを有し、このクリーニング部材7aにより感光体2がクリーニングされて、感光体2上の転写残りトナーが除去されかつ回収される。
【0031】
このように構成されたこの例の画像形成装置1においては、図1において感光体2が時計回りに回転すると、帯電ローラ3aは感光体2と逆に反時計回りに回転する。したがって、ギャップ部材3eは、その一端部3e1側の先端から感光体2とギャップ部材3eとのニップ部(当接部)に進入開始するようになる。このとき、一端部3e1がくぼみ3fに位置する部分でその先端から所定長さの大部分の上面3e5が帯電ローラ3aの外周面3gより外方に突出していないので、一端部3e1の先端を含む外周面3gより外方に突出していない部分は、感光体2とギャップ部材3eとのニップ部に進入しても感光体2に接触しない。このため、ギャップ部材3eのこの部分は感光体2から圧接力を受けることはない。そして、帯電ローラ3aの外周面3gより外方に突出したギャップ部材3eの部分がニップ部に進入して感光体2に接触して感光体2から圧接力を受けるようになる。しかし、このようにギャップ部材3eが感光体2から圧接力を受けても、ニップ部を通過した一端部3e1がくぼみ3fの面3f1に固着されているため、ギャップ部材3eが帯電ローラ3aから剥がれるようなことはない。これにより、画像形成装置1による画像形成動作(印字動作)が長期間行われても、ギャップ部材3eがその一端部3e1の先端より帯電ローラ3aから剥がれることはなくなる。このことは、もう一方のギャップ部材3dでも同様である。しかも、帯電ローラ3aの周方向どの位置でもギャップ部材3d,3eが同じ膜厚で存在している。したがって、均一な安定した帯電ギャップGが長期間にわたって維持されるようになり、感光体2の良好な帯電が行われ、高品質の画像が得られるようになる。
【0032】
この例の画像形成装置1によれば、帯電ローラ3aの周方向のどの位置にもフィルム部材からなるギャップ部材3d,3eを帯電ローラ3aの軸方向に存在させるとともに、ギャップ部材3d,3eが感光体2とのニップ部に進入しても、それらの一端部および他端部の所定の部分を感光体2に接触させないようにしているので、画像形成動作(印字動作)を長期間行っても、ギャップ部材3d,3eの帯電ローラ3aからの剥がれを防止することができる。特に、帯電ローラ3aをギャップ部材3d,3eの剥がれの頻度が高い非弾性体で形成した場合、これらのギャップ部材3d,3eの剥がれを効果的に防止することができる。したがって、均一な安定した帯電ギャップGを長期間にわたって維持させることができ、感光体2の良好な帯電を行うことができる。これにより、高品質の画像を長期間にわたって得ることができる。
【0033】
図4は図3と同様の図であり、本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例における帯電ローラとを模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるIVB方向から見た図である。なお、以下の各例の説明において、その例より前の例と同じ構成要素には同じ符号を付すことでその詳細な説明は省略する。
【0034】
前述の図3に示す例の帯電ローラ3aでは、帯電ローラ3aの一端部3e1側の段差3e3が帯電ローラ3aの軸方向に延設されているが、図4(a)および(b)に示すようにこの例の帯電ローラ3aでは、帯電ローラ3aの一端部3e1側の段差3e3が一端部3e1の根元から帯電ローラ3aの軸方向に対して他端部3e2方向へ傾斜して延設されている。このように一端部3e1側の段差3e3を一端部3e1の根元から他端部3e2方向へ傾斜させることで、この段差3e3が感光体2とのニップ部に進入してもより一層長期間にわたって剥がれ難くくなる。もう一方のギャップ部材3dも左右対称に形成されるが同様である。
この例の画像形成装置の他の構成および他の作用効果は、前述の図1および図2に示す例のそれらと同じである。
【0035】
図5は図3と同様の図であり、本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例における帯電ローラとを模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVB方向から見た図である。
【0036】
前述の図4に示す例の帯電ローラ3aでは、帯電ローラ3aの一端部3e1の先端が帯電ローラ3aの軸方向にカットされているが、図5(a)および(b)に示すようにこの例の帯電ローラ3aでは、帯電ローラ3aの一端部3e1の先端がくぼみ3fの範囲内で帯電ローラ3aの軸方向に対して斜めにカットされている。その場合、一端部3e1の先端の傾斜方向は、図示例では一端部3e1の右側縁から左側縁に向かうにしたがって他端部3e2方向へ傾斜する方向とされている。しかし、これに限定されるものではなく逆方向に傾斜させることもできる。もう一方のギャップ部材3dも左右対称に形成されるが同様である。
この例の画像形成装置の他の構成、および作用効果は、前述の図1、図2および図4に示す例のそれらと同じである。
【0037】
図6は図3と同様の図であり、本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例における帯電ローラとを模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVIB方向から見た図である。
【0038】
前述の図4に示す例の帯電ローラ3aでは、くぼみ3fが帯電ローラ3aの外周面を弦方向に平面で切り欠いて形成されているが、図6(a)および(b)に示すようにこの例の帯電ローラ3aでは、くぼみ3fが逆截頭円錐台形状に形成されている。そして、一端部3e1の一部がくぼみ3fの底面である平らな面3f1と逆截頭円錐台形状の傾斜面3f2とに粘着固定されている。また、この例の帯電ローラ3aでは、他端部3e2の先端および他端部3e2側の段差3e4も段差3e3と平行またはほぼ並行に形成されている。もう一方のギャップ部材3dもギャップ部材3eと左右対称に形成されるが同様である。
この例の画像形成装置の他の構成、および作用効果は、前述の図1、図2および図4に示す例のそれらと同じである。
【0039】
図7は図3と同様の図であり、本発明の画像形成装置の実施の形態の更に他の例における帯電ローラとを模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVIIB方向から見た図である。
【0040】
前述の図4に示す例の帯電ローラ3aでは、帯電ローラ3aの一端部3e1の先端部がくぼみ3fの面3f1に粘着固定されているが、図7(a)および(b)に示すようにこの例の帯電ローラ3aでは、先端部がくぼみ3fの面3f1に接着剤10で接着固定されている。また、ギャップ部材3eの他の部分は前述の各例と同様に帯電ローラ3aに粘着固定されている。もう一方のギャップ部材3dも左右対称に形成されるが同様である。このように、帯電ローラ3aの一端部3e1の先端部がくぼみ3fの面3f1に接着剤10で接着固定されることで、一端部3e1は帯電ローラ3aにより一層堅固に接着されて剥がれ難くなる。
この例の画像形成装置の他の構成、および作用効果は、前述の図1、図2および図4に示す例のそれらと同じである。
【0041】
なお、前述の図3ないし図5、および図7に示す例の帯電ローラ3aでは、くぼみ3fの一端部3e1接着面が平らな面3f1で形成されているが、本発明はこれに限定されることはなく、図8に示すように一端部3e1が接着される面3f1は中央が凹んだ円弧状面に形成することもできる。図6に示す例の帯電ローラ3aの逆截頭円錐台形状のくぼみ3fの底面である面3f1も同様に円弧状面に形成することができる。
【0042】
また、前述の各例の画像形成装置1では、図2に示すように感光体2の感光体駆動ギヤ8で帯電ローラ駆動ギヤ9を介して帯電ローラ3aを直接回転駆動しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、帯電ローラ3aを感光体2とクリーニング部材3oとの摩擦で回転駆動することもできる。すなわち、図9に示すように、クリーニング部材3oの右端側の回転軸3pに、クリーニング部材3oを回転駆動するためのクリーニング部材駆動ギヤ11が固定される。また、感光体駆動ギヤ8とクリーニング部材駆動ギヤ11は、装置本体に回転可能に支持された中間ギヤ12を介して連結されている。そして、前述のようにモータの駆動力が感光体2の駆動ギヤ8に伝達されることで感光体2が回転駆動されるとともに、更にモータの駆動力が中間ギヤ12を介してクリーニング部材3oの駆動ギヤ11に伝達されることで、クリーニング部材3oが回転駆動される。帯電ローラ3aが感光体2とクリーニング部3oとの間に圧接されていることから、帯電ローラ3aと感光体2およびクリーニング部材3oとの間の摩擦で、帯電ローラ3aが感光体2およびクリーニング部材3oの各回転に連れ回りして回転するようになる。
【0043】
更に、前述の各例の画像形成装置1では、一対のギャップ部材3d,3eの各くぼみが、帯電ローラ3aの周方向に同じ位置に(同じ位相で)設けられているが、本発明はこれに限定されることはなく、ギャップ部材3d,3eの各くぼみは、帯電ローラ3aの周方向にずれた位置に(異なる位相で)設けることもできる。例えば、図10(a)ないし(c)に示すように、ギャップ部材3dのくぼみ3qとギャップ部材3eのくぼみ3fとが互いに周方向に180°位相がずれた位置に設けられている。なお、図10(a)に示す例の継ぎ目形状は図6に示す例に対応し、図10(b)に示す例の継ぎ目形状は図3に示す例に対応している。また、図10(c)に示す例の継ぎ目形状は、図3に示す例において一端部3e1と段差3e3との境界部および他端部3e2と段差3e4との境界部が、それぞれR部(湾曲部)とされている。
【0044】
このように、ギャップ部材3d,3eの各くぼみ3q,3fが帯電ローラ3aの周方向の位相をずらされて設けられることで、ギャップ部材3d,3eの継ぎ目の影響をより一層抑制できるので、帯電ギャップGを帯電ローラ3aの軸方向に更に効果的に均一にかつ安定して設定することができる。
【0045】
次に、本発明の帯電ローラ3aおよび画像形成装置1が前述の作用効果を得ることができることを実証するために、本発明に属する実施例および本発明に属さない比較例について行った実験について説明する。
実験で用いた実施例および比較例の画像形成装置における帯電ローラの条件および実験結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1において、実験No. 1〜20にそれぞれ用いた感光体2は、いずれも市販されているセイコーエプソン株式会社製のプリンタLP−9000Cの感光体をそのまま使用した。この感光体はアルミニウムの素管の外周面に有機感光体を塗装して感光層を形成した感光体であり、振れ精度が0.01以下のものを選択して用いた。
【0048】
帯電装置3は、前述のプリンタLP−9000Cの帯電装置に代えて、スコロトロン帯電装置を、直径φ11mmの帯電ローラ3aが搭載可能に改造して用いた。
実験No. 1〜10にそれぞれ用いた帯電ローラ3aは導電性塗料塗装型ローラである。この帯電ローラ3aの芯金としてSUM22の表面にNiめっきを施した直径φ11mmの金属シャフトを用い、前述のプリンタLP−9000Cの改造機に搭載できる形状に加工した。更に、実験No. 1〜4、および6〜9では、この金属シャフトの両端部の所定位置にくぼみを形成し、実験No. 5および10では従来と同様にくぼみを形成しなかった。これらの金属シャフトはセンタレス研磨を行って、振れ精度が0.01以下に加工されている。
【0049】
そして、この金属シャフトのくぼみを含む外周面に、導電性酸化スズ(SnO2)とポリウレタン(PU)樹脂とを1:9の重量比(wt比)で混合して、イオン導電材および水内に分散させて得られた塗装液をスプレー塗装して、膜厚20μmの抵抗層を形成した。導電性SnO2は、表2に示す株式会社ジェムコ製のものがあり、それらの詳細は株式会社ジェムコのホームページ(http://www.jemco-mmc.co.jp/corporate/index.html)に掲載されている。
【0050】
【表2】

【0051】
本実施例および本比較例で用いた導電性SnO2は、株式会社ジェムコの商品名「T−1」であり、この「T−1」はスズ−アンチモン系酸化物である。もちろん、本発明では、他の導電性SnO2を用いることができる。また、イオン導電材は導電性塗装材に導電性を持たせるためのものであり、本実施例および本比較例で用いたイオン導電材は「YYP−12」(丸菱油化工業株式会社製)である。なお、実験に使用した前述の塗装液をアルミニウム板に20μmの膜厚で塗装して、体積抵抗率を測定したところ、(1.0〜5.0)×1010Ωcmであった。
【0052】
また、実験No. 11〜20にそれぞれ用いた帯電ローラ3aは導電性熱収縮チューブ被覆型ローラである。この帯電ローラ3aの芯金は前述の導電性塗料塗装型ローラの芯金と同じ金属シャフトを用い、更に実験No. 11〜14、および16〜19では、この金属シャフトの両端部の所定位置にくぼみを形成し、実験No. 15および20では従来と同様にくぼみを形成しなかった。
【0053】
そして、この金属シャフトのくぼみを含む外周面に、市販の導電性熱収縮チューブ(帝人化成製、スーパーテレチューブ)を被せた後、加熱収縮して導電性ローラを作製した。このスーパーテレチューブは、導電性カーボンブラックを導電剤とし、バインダーにはポリエステル樹脂を用い、導電性カーボンブラックの混合比をポリエステル樹脂に対して1:8としている。なお、実験に使用した膜厚20μmの導電性熱収縮チューブを切り開いてアルミ板に被覆し、体積抵抗率を測定したところ、(1.0〜7.0)×1010Ωcmであった。
【0054】
ギャップ部材3d,3eは、帯電ローラ3aの両端部の外周面に膜厚20μmおよび幅5mmのポリエステル樹脂製テープ(寺岡製作所製、テープNo.610K)を用いた。ギャップ部材3d,3eの形状およびくぼみの形状は、実験No. 1および11では図3に示す形状(G形状No. 1)とし、また実験No. 2、7、12、および17では図4に示す形状(G形状No. 2)とし、更に実験No. 3、8、13、および18では図5に示す形状(G形状No. 3)とし、更に実験No. 4、9、14、および19では図6に示す形状(G形状No. 4)とし、更に実験No. 5、10、15、および20では図11に示す形状(G形状No. 5)とし、更に実験No. 6および16では図7に示す形状(G形状No. 6)とした。
【0055】
その場合、G形状No. 1〜3および6では、最大深さが0.5mmとなるようにDカットしてくぼみ3fを形成するとともに、くぼみ3fに固定されるポリエステル樹脂製テープの幅は2mmでかつ長さは4mmに設定した。なお、ポリエステル樹脂製テープの反対側の幅も同様に2mmでかつ長さも同様に4mmである。また、G形状No. 4では、最大深さが0.5mmであり、上面の円の直径がφ4.5mmでかつ下面の円の直径がφ3.0mmであり、これらの円の中心は帯電ローラ3aの端から2.5mmに設定して、逆截頭円錐台形状のくぼみ3fを形成した。くぼみ3fに固定されるポリエステル樹脂製テープの幅は2mmでかつ長さは2.5mmに設定した。更に、G形状No. 5では、ポリエステル樹脂製テープの長手方向に対して45°傾斜するようにカットした。更に、ギャップ部材3d,3eのくぼみ形成位置は、帯電ローラの周方向で同じ位相の位置、帯電ローラの軸方向にオーバーラップする位置とした。
【0056】
そして、ギャップ部材3d,3eの一端部(感光体とギャップ部材との当接部に進入開始する側の端部)をその一端部の先端が帯電ローラの回転方向αに向くようにしてくぼみに固定した後、このギャップ部材3d,3eを帯電ローラの外周面にに1周あまり巻き付け固定した。
【0057】
押圧方式は、圧縮スプリング3m,3nの荷重を帯電ローラ3aの回転軸3h,3iの軸受部3j,3k(ギャップ部材3d,3eから外側10mmの位置)に加えることにより、帯電ローラ3aを押圧した。
【0058】
そのうち、圧縮スプリング3m,3nの荷重(バネ圧)は、実験No. 1、5、7、11、15、および17では200gfであり、また実験No. 2、4、8〜10、12、14、18〜20では500gfであり、更に実験No. 3、6、13、および16では800gfである。
【0059】
更に、図2に示すようにクリーニング部材3oのスポンジで帯電ローラ3を押圧した。その場合、スポンジの押圧力は圧縮スプリング3m,3nの押圧力に比し、きわめて小さい。クリーニング部材3oは、円筒状のウレタン製スポンジ(商品名EPT−51、ブリジストン化成品東京製)を用いた。その場合、ウレタン製スポンジは、その外径がφ10mmで内径がφ5mmであり、帯電ローラ3aに対する当接深さを0.2〜0.7mmの範囲に設定するとともに振れ公差を±0.1に設定した。
【0060】
そのうち、スポンジの当接深さは、実験No. 1、2、10〜12、および20では0.2mmであり、また実験No. 3〜5、9、13〜15、および19では0.5mmであり、更に実験No. 6、7、16、および17では0.7mmであり、更に実験No. 8および18では0.3mmである。
【0061】
更に、感光体2、帯電ローラ3aおよびクリーニング部材3oの駆動方式は、実験No.が奇数の場合では、図2に示す帯電ローラ3aの直接駆動方式であり、実験No.が偶数の場合では、図9に示す帯電ローラ3aの間接駆動方式である。
以上のことから明らかなように、実験No. 1〜4,6〜9、および11〜19が本発明の実施例であり、実験No. 5、10および20が本発明の比較例である。
【0062】
画像形成装置の実験装置のそれ以外の構成(現像装置、転写装置等)は、前述のプリンタLP−9000Cのものを使用した。
画像形成の実験を行うにあたり、感光体2の周速はいずれの実験においても約210mm/secに設定した。また、帯電ローラ3aの印加電圧VC(V)は、いずれの実験においても直流電圧DC成分VDC(V)に交流電圧AC成分VAC(V)を重畳して、
C = VDC + VAC = −650 + (1/2)VPP・sin2πft
(ここで、VPP=800〜1000V、f=1.0〜1.3kHzであり、VACはsin波である。)に設定した。実験は温度23℃で湿度50%の室内環境で、A4の普通紙に25%濃度のハーフトーンのモノクロ印字を10,000枚連続で行った。
【0063】
そして、50枚、100枚、500枚、1,000枚、5,000枚および10,000枚毎に印字物をピックアップして目視観察で判断し、10,000枚印字後にも印字物に異常が認められない場合には良好な帯電であると判断して表1にGで表し、10,000枚に満たない枚数で印字物に異常が認められた場合には不良帯電であると判断して表1にNGで表した。
【0064】
実験No. 1〜4、6〜9、11〜14、および16〜19の各実施例および実験No. 5および15の各比較例の画像形成装置では、いずれもGであり、良好な帯電が得られた評価した。また、実験No. 10の比較例では122枚の印字で印字物に異常が認められ、また実験No. 20の比較例では96枚の印字で印字物に異常が認められ、NGであった。これらの帯電ローラのギャップ部材を精緻に観察したところ、ギャップ部材のテープ先端部が剥がれ捲れていた。このギャップ部材の捲れた部分にトナー等の異物が付着して、捲れた部分による帯電ギャップGが最大40μm(20×2μm)となり、帯電ギャップGを一定値以下に確保することができなくなって異常放電を引き起こしたことが分かった。
【0065】
この実験により、帯電ローラ3による感光体2の非接触帯電において、帯電ローラ3aの感光体2とのニップ部に進入開始する側のギャップ部材3d,3eの一端部3e1を、感光体2に接触させないようにすることで、前述の本発明の作用効果が得られることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の帯電ローラおよびこれを備えた画像形成装置は、両端部に巻き付き固定されたテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材で像担持体に対して所定の帯電ギャップが設定されて、像担持体を非接触帯電する帯電ローラおよびこれを備えた、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す例の画像形成装置に用いられる感光体、帯電ローラおよび帯電ローラのクリーニング部材を模式的に示す図である。
【図3】本発明の帯電ローラの実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるIIIB方向から見た図である。
【図4】本発明の帯電ローラの実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるIVB方向から見た図である。
【図5】本発明の帯電ローラの実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVB方向から見た図である。
【図6】本発明の帯電ローラの実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVIB方向から見た図である。
【図7】本発明の帯電ローラの実施の形態の更に他の例を模式的にかつ部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVIIB方向から見た図である。
【図8】本発明の帯電ローラの変形例を模式的にかつ部分的に示す、図3(b)と同様の図である。
【図9】本発明の画像形成装置の他の例に用いられる感光体、帯電ローラおよび帯電ローラのクリーニング部材を模式的に示す、図2と同様の図である。
【図10】(a)ないし(c)は、それぞれ本発明の帯電ローラのギャップ部材の種々の設置態様を模式的に示す図である。
【図11】(a)は従来の画像形成装置における感光体と帯電ローラを模式的に示す図、(b)は(a)におけるギャップ部材の従来例の部分拡大図、(c)は(b)における左側面図、(d)は(a)におけるギャップ部材の他の従来例の部分拡大図、(e)は(d)における左側面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成装置、2…感光体、3…帯電装置、3a…帯電ローラ、3d,3e…ギャップ部材、3e1…ギャップ部材3eの一端部、3f…くぼみ、3o…クリーニング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部にそれぞれ、継目を有するテープ状のギャップ部材が固定され、このギャップ部材が像担持体の外周面に圧接されることで前記像担持体と前記帯電ローラとの間に帯電ギャップが設定されるとともに、前記像担持体の回転時に回転することで前記帯電ギャップにより前記像担持体を非接触帯電する帯電ローラにおいて、
前記像担持体との当接部に進入開始する側の前記ギャップ部材の一端部を前記像担持体に接触させないギャップ部材端部非接触手段が両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする帯電ローラ。
【請求項2】
両端部にそれぞれ設けられ前記ギャップ部材端部非接触手段はともにくぼみから形成されており、前記ギャップ部材のそれぞれの一端部の少なくとも一部が前記くぼみに固定されていることを特徴とする請求項1記載の帯電ローラ。
【請求項3】
前記くぼみに固定されている前記ギャップ部材の部分の幅が前記ギャップ部材の他の部分の幅より小さく形成されていることを特徴とする請求項2記載の帯電ローラ。
【請求項4】
前記くぼみのうち、一端側のくぼみと他端側のくぼみとが互いに周方向に同位置に設けられているか、または互いに周方向に異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の帯電ローラ。
【請求項5】
静電潜像および現像剤像が形成される像担持体と、この像担持体を非接触で帯電する帯電ローラと、前記像担持体に静電潜像を書き込む書込装置と、前記像担持体の静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、前記像担持体の現像剤像を転写する転写装置とを少なくとも備える画像形成装置において、
前記帯電ローラは請求項1ないし4のいずれか1記載の帯電ローラであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−65114(P2007−65114A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248740(P2005−248740)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】