説明

帯電器、画像形成ユニット、及び画像形成装置

【課題】清掃装置のブラシのグリッド電極22における引っ掛かりを低減する
【解決手段】周縁部分43で一部が欠けた状態で形成されている網目状のパターンにおいて、グリッド電極22で同一の網目状のパターンをZ方向に連続的に出現させるのであれば一義的に決まるであろう開口41の形状の幅a,bが予め定められた大きさを下回るときは、その網目状のパターンは形成しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電器、画像形成ユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、電子写真方式の画像形成装置では、感光体上を帯電する帯電器を備えている。この帯電器は、ワイヤ状の電極と、感光体とワイヤ状の電極との間に配置されるグリッド電極とを備えている。ワイヤ状の電極にはグリッド状の電極より高い電圧が印加され感光体に放電して感光体上を帯電する。グリッド状の電極は感光体上の帯電を全体的に均等化する作用を奏する。グリッド状の電極の上はブラシを備えた清掃装置が移動し、グリッド状の電極の清掃を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2005‐338797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、清掃手段のブラシの第2の電極における引っ掛かりを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、第1の電極と、前記第1の電極より感光体側に配置される網目状の第2の電極と、前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、を備え、前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては当該パターンが前記ブラシの引っ掛かりを防止するように変更されている、帯電器である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、第1の電極と、前記第1の電極より感光体側に配置される網目状の第2の電極と、前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、を備え、前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては前記網目の開口部が予め定められた大きさの幅以上となるように前記パターンが変更されている、帯電器である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、第1の電極と、前記第1の電極より感光体側に配置される網目状の第2の電極と、前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、を備え、前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては前記網目の開口部の周縁形状が予め定めた角度より大きな角度をなすように前記パターンが変更されている、
帯電器である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、感光体と、前記感光体上を帯電する帯電器と、を備え、前記帯電器は、放電を行う第1の電極と、網目状の第2の電極と、前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては当該パターンが前記ブラシの引っ掛かりを防止するように変更されている、画像形成ユニットである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、感光体と、前記感光体上を帯電する帯電器と、前記感光体上の静電潜像にトナーで現像する現像器と、を備え、前記帯電器は、放電を行う第1の電極と、網目状の第2の電極と、前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては当該パターンが前記ブラシの引っ掛かりを防止するように変更されている、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本構成を備えていない場合に比べて、清掃手段のブラシの第2の電極における引っ掛かりを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態である画像形成装置の帯電器の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態である画像形成装置の帯電器の一部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態である画像形成装置グリッド電極の部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【0014】
この画像形成装置1は、電子写真方式で用紙などの印刷媒体上に画像形成する装置であり、感光体ドラム2を備え、この感光体ドラム2の周囲には、帯電器3、現像器4、転写ベルト6、クリーニング装置7、除電器8など、電子写真プロセスで画像形成を行うための各種の装置が配列されている(詳細な説明は省略)。符号9は、図示しない露光装置で感光体ドラム2を露光する露光光である。また、帯電器3と感光体ドラム2とはユニット化がなされていて、画像形成装置1に対して帯電器3と感光体ドラム2とを一体に着脱自在な画像形成ユニット5を構成している。
【0015】
図2は、帯電器3の分解斜視図、図3は、帯電器3の一部の斜視図である。
【0016】
帯電器3は、感光体ドラム2の回転軸方向に沿って設けられる細長状の装置であり、2本のワイヤ状電極(針金状電極)21と、ワイヤ状電極21と感光体ドラム2との間に位置するグリッド電極22と、感光体ドラム2の移動方向と直交する方向に移動して網目状電極22を清掃する清掃装置23と、を備えている。帯電器3の電極短手方向Xは、ワイヤ状電極21に直交する方向であり、感光体ドラム2の移動方向(回転方向)と同じ向きにされている。
【0017】
清掃装置23は、ワイヤ状電極21が配置されている側からグリッド電極22に圧接するブラシ31と、感光体ドラム2の回転軸方向に沿って(すなわちグリッド電極22の電極短手方向Xに沿って)圧接状態でブラシ31をスライド移動させる移動機構32と、を備えており、グリッド電極22に対しブラシ31が電極長手方向Y(感光体ドラム2の回転軸の方向)に沿って摺動することによりグリッド電極22を清掃するようになっている。
【0018】
ワイヤ状電極21にはグリッド電極22より高い電圧が印加され、感光体ドラム2に放電して感光体ドラム2の表面上を帯電する。グリッド電極22は感光体ドラム2上の帯電を全体的に均等化する作用を奏する。グリッド電極22の表面には放電により放電生成物(窒素酸化物)が付着し、これは絶縁性を有する物質で電極性能を損なってしまうために、清掃装置23による清掃が行われる。この清掃作業は、画像形成枚数が千枚〜数千枚程度に達するたびに行われる。
【0019】
図4は、グリッド電極22の部分拡大平面図である。
【0020】
グリッド電極22は、帯電器3の長手方向に長い形状にされており、多数の同一の網目状のパターンが一方向(Z方向)に連続的に並んでいる。この網目状のパターンの線幅は例えば0.1mm程度であり、各網目形状の内側は開口41となっている。Z方向はY方向と鋭角をなしており、その理由はグリッド電極22の網目形状に対するブラシ31の当たりを逃がすためである。
【0021】
清掃装置23でグリッド電極22の清掃を行うと、ブラシ31の毛が開口41に挟まってしまい、印刷媒体上に形成する画像に白いスジが発生してしまう恐れがある。そこで、ブラシ31の毛が開口41に挟まってしまうことを防止するため、グリッド電極22で採用されている手段について説明する。
【0022】
前述のとおり、グリッド電極22は、多数の同一の網目状のパターンが一方向(Z方向)に連続的に並んでいる。そして、このような同一のパターンを形成していくと、グリッド電極22の中央寄り部分42では同一の網目状のパターンがきれいに形成される。しかし、グリッド電極22の縦横のサイズは一定のサイズに規定されているため、グリッド電極22の周縁部分43では、1つの網目状のパターンの全体が形成されず、一部が欠けた状態で形成されることになる。
【0023】
このように周縁部分43で一部が欠けた状態で形成されている網目状のパターンは、図4に例示するように複数出現することが通例であるが、その少なくとも一部においては網目状のパターンが変更されている。すなわち、同一の網目状のパターンをZ方向に連続的に出現させるのであれば一義的に決まるであろう開口41の形状を変更している。この形状の変更は、ブラシ31の毛が開口41に挟まってしまうことを防止できるような形状への変更となる。
【0024】
具体的には、まず、周縁部分43で一部が欠けた状態で形成されている網目状のパターンにおいて、グリッド電極22で同一の網目状のパターンをZ方向に連続的に出現させるのであれば一義的に決まるであろう開口41の形状の幅(図4に幅a,bで例示している。ここでの幅は図4の縦方向の幅も横方向の幅も含む。)が予め定められた大きさを下回るときは、その網目状のパターンは形成しない、または、幅を拡大するように形状を変更する。図4に斜線で示した部分41aは、このような場合に該当するため、同一の網目状のパターンをZ方向に連続的に出現させるのであれば開口41が形成されているはずであるが、網目状のパターンが変更して開口41を形成しないようにしている(開口41を形成せず、電極材料で埋まっている)。
【0025】
開口41を形成するかしないかの基準となる幅の具体的な大きさは、ブラシ31の毛の太さ、開口41の形成工程におけるエッチング性能(エッチング性能によっては加工しにくい小さな開口41を形成すると、開口41の周縁にバリが発生しやすく、ここにブラシ31の毛が引っかかりやすい)などの諸条件に応じて決定する。
【0026】
また、周縁部分43において幅が比較的大きくて開口41を形成する場合においても、同一の網目状のパターンをZ方向に連続的に出現させるのであれば開口41の周縁部分の形状に予め定めた角度より小さい角度をなす部分が出現することになる場合は、この部分にアールを形成する、または、縁と連続している辺の角度を変更し、開口41の周縁部分の形状が予め定めた角度より大きな角度をなすようにする(図4の符号44の部分)。これにより、開口41の周縁部分に鋭い鋭角をなす部分がないようにする。
【0027】
予め定めた角度をどの程度の角度にするかも、ブラシ31の毛の太さ、そのほかの諸条件に応じて決定する。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置
3 帯電器
5 画像形成ユニット
21 ワイヤ電極
22 グリッド電極
23 清掃装置
31 ブラシ
41 開口
43 周縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極より感光体側に配置される網目状の第2の電極と、
前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、
を備え、
前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては当該パターンが前記ブラシの引っ掛かりを防止するように変更されている、
帯電器。
【請求項2】
第1の電極と、
前記第1の電極より感光体側に配置される網目状の第2の電極と、
前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、
を備え、
前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては前記網目の開口部が予め定められた大きさの幅以上となるように前記パターンが変更されている、
帯電器。
【請求項3】
第1の電極と、
前記第1の電極より感光体側に配置される網目状の第2の電極と、
前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、
を備え、
前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては前記網目の開口部の周縁形状が予め定めた角度より大きな角度をなすように前記パターンが変更されている、
帯電器。
【請求項4】
感光体と、
前記感光体上を帯電する帯電器と、
を備え、
前記帯電器は、
放電を行う第1の電極と、
網目状の第2の電極と、
前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、
前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては当該パターンが前記ブラシの引っ掛かりを防止するように変更されている、
画像形成ユニット。
【請求項5】
感光体と、
前記感光体上を帯電する帯電器と、
前記感光体上の静電潜像にトナーで現像する現像器と、
を備え、
前記帯電器は、
放電を行う第1の電極と、
網目状の第2の電極と、
前記第2の電極に沿って移動し当該第2の電極をブラシで清掃する清掃手段と、
前記第2の電極は、前記網目状のパターンがある方向に連続して並んでいて、その周縁部分においては当該パターンが前記ブラシの引っ掛かりを防止するように変更されている、
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−59234(P2011−59234A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206816(P2009−206816)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】