説明

帯電装置および画像形成装置

【課題】帯電装置で、電荷放出部材の清掃手段を用いずに高耐久化を図る。
【解決手段】感光体100上にトナー像を形成する画像形成装置に用いられる帯電装置であって、感光体との対向部に開口を有するケース3内に配置されるチャージワイヤ2から電荷を放出して感光体を帯電するチャージ型帯電装置1において、トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体4を、ケース3の開口を塞ぐように設け、トナーによるチャージワイヤ2の汚染を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、及び、これに採用される帯電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の帯電装置として帯電チャージャや、帯電ローラが広く用いられている。また、画像形成装置では被帯電体の帯電均一性が画像品質に与える影響が大きいため、帯電装置の帯電性能の安定が望まれている。しかし、画像形成装置内部に浮遊するトナー等の汚染物が経時で帯電装置の電荷放出部材であるチャージワイヤやローラに付着してしまい、帯電効率の低下、帯電むらを生じて十分な耐久性が得られないという問題がある。
【0003】
帯電装置の耐久性を向上させるために、電荷放出部材に付着した汚染物を除去するための清掃部材を備え、種々のタイミングで清掃をおこなうよう制御するものが知られている。例えば、特許文献1には画像条件補正時に、特許文献2にはジャム処理時に、特許文献3にはトナー消費量情報に基づくタイミングで、清掃をおこなうよう制御するものがそれぞれ記載されている。
【特許文献1】特開平5-323742号公報
【特許文献2】特開平6-186827号公報
【特許文献3】特開平11-143307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、清掃手段により電荷放出部材の清掃をおこなうものでは、清掃部材や制御部を設ける必要がありコスト高になる。また、汚染物の付着量は画像形成装置の使用条件により異なり、汚染物が付着したときの放電特性は画像形成装置の使用環境により異なる。このため、上記何れのタイミングで清掃しても、画像形成装置の使用条件や使用環境によらず汚染物が放電特性に悪影響を与えないようにできるとは言い切れない。すなわち、汚染物が付着した電荷放出部材の清掃を清掃手段によりおこなうものでは、常に良好な放電特性を維持することは難しい。
【0005】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、電荷放出部材の清掃手段を用いずに、高耐久な帯電装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置に採用される帯電装置であって、被帯電体との対向部に開口を有するケース内に配置される電荷放出部材から電荷を放出して該被帯電体を帯電する帯電装置において、上記開口を塞ぐように上記トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置に採用される帯電装置であって、被帯電体と対向する表面移動可能な電荷放出部材から電荷を放出して該被帯電体と帯電する帯電装置において、上記電荷放出部材表面を囲むように上記トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の帯電装置において、上記多孔質体を通して上記電荷放出部材側から上記被帯電体側に空気を放出する通気手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかの帯電装置において、上記多孔質体と上記被帯電体との間に該被帯電体の帯電電位を制御するための制御電極を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の何れかの帯電装置において、上記多孔質体が放電生成物を吸着する吸着物質を含んでいることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、該像担持体上に潜像を形成する手段と、該像担持体上にトナー像を形成する手段とを備えた画像形成装置において、少なくとも上記像担持体と、上記帯電手段とを一体的に構成し、画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジを採用するものであって、該帯電手段として請求項1乃至5の何れかの帯電装置を採用することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、該像担持体上に潜像を形成する手段と、該像担持体上にトナー像を形成する手段と、該像担持体上のトナー像を該被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記転写手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を採用することを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、画像形成装置内に浮遊するトナーは、トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体を通過できないため、浮遊するトナーが電荷放出部材に到達して電荷放出部材を汚染する虞がない。よって、帯電装置は経時でも安定した帯電性能を有することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、電荷放出部材の清掃手段を用いずに、高耐久な帯電装置及び画像形成装置を得ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を、画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成図である。図1の画像形成装置は、潜像担持体としてのドラム状の感光体100を備えている。感光体100の周囲には、感光体100の回転方向(図1中矢印)に沿って画像形成処理を実行する帯電手段200、書き込み手段(図1では、光路300のみが示されている)、現像手段400、クリーニング手段500が配置されている。これ以外に、現像手段400を通過した感光体100上のトナー像を記録紙などに転写する転写手段700、転写後のトナー像を定着する定着手段800が設けられている。
【0010】
帯電手段200としてはチャージャ型帯電装置を用いる。図2は、チャージャ型帯電装置1の概略構成図である。チャージャ型帯電装置1は、感光体100との対向する側に開口を有するケース3内に電荷放出部材としてチャージワイヤ2を設け、さらに、感光体100と対向する開口を塞ぐように多孔質体4を設けている。チャージワイヤ2としては、径60μmのタングステンワイヤを用いている。また、ケース3としては、絶縁性のアクリル樹脂、ABS樹脂などの一般的な樹脂が使用できる。また、多孔質体4としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、超高分子ポリエチレンなどの樹脂が使用できる。多孔質体4の孔径は、後述するトナー粒径よりも小さい0.1〜2μmであり、多孔質体4の厚みは0.1mmとした。多孔質体4として他に、ポリテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニールエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、等のフッ素系樹脂やポリエチレン、ポリプロピレン等ポリオレフィン樹脂、セルロース、セルロースアセテート、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、芳香族ポリアミ等のアミド系樹脂、ガラス繊維、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の焼結体などセラミック系材料が使用できる。特にトナーと反応しにくいPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、超高分子ポリエチレンの樹脂が好適である。
【0011】
また、チャージャ型帯電装置1にエアーポンプ6により空気を導入する。エアーポンプ6としては、ダイヤフラム式エアーポンプを使用することができる。この他にも、スクリュポンプ、ブロアポンプを使用することもちろん可能であるが、小型化、軽量化が容易なダイヤフラム式エアーポンプが望ましい。このチャージャ型帯電装置1では、ケース3がエアーポンプ6より導入された空気の空気室の役割を果たすため、ケース3内では導入された空気の脈動が無くなり均一に行き渡るようになる。そして、多孔質体4を通してケース3内から外に一様に空気を放出するようになる。エアーポンプ6によりチャージャ型帯電装置1のケース3内に導入する空気の流量は、0.5NL/min以上であれば、チャージャ型帯電装置1全体に均一に空気を行き渡らせることができる。
【0012】
このチャージャ型帯電装置1において、トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体4は、チャージワイヤ2から放出する電荷を通過させるが、画像形成装置内に浮遊するトナーを通過させることはできない。よって、浮遊するトナーがチャージワイヤ2に到達して汚染する虞がなく、チャージャ型帯電装置1は経時でも安定した帯電性能を得ることができる。
【0013】
なお、画像形成装置内には、トナー以外にも、壊れたトナー微粉、トナーから遊離した添加剤、紙粉等が浮遊しており、チャージワイヤ2を汚染する可能性がある。これらの大きさが、多孔質体4の孔径0.1〜2μmよりも大きい場合は、トナーと同様に多孔質体4を通過することができないため、チャージワイヤ2に到達して汚染する虞がない。
【0014】
さらに、エアーポンプ6によりケース3内から多孔質体4を通して空気を放出することにより、多孔質体4の孔径よりも小さい、壊れたトナー微粉、トナーから遊離した添加剤、紙粉等までも、ケース3内に進入し難くする。これにより、チャージワイヤ2が汚染される虞をさらに小さくする。また、空気を放出することにより、多孔質体4の目詰まりを防止して、高耐久化を図る。
【0015】
また、多孔質体4の厚みのバラツキや、 使用環境の変化によって、多孔質体4を通過する電荷の量が変化して感光体100の帯電電位が変動する虞がある。そこで、多孔質体4の感光体100側に制御電極としてのグリッド電極5を設ける。このグリッド電極5により、電荷量の変動を制御することによって、感光体100の帯電電位をより安定させることができる。
【0016】
さらに、多孔質体4に、樹脂成分に粉砕した活性炭等の吸着物質を含ませることによって、チャージワイヤ2の電荷放出により電荷とともに発生する、オゾン、NOxなどの放電生成物を吸収するフィルタの役割を有するようにする。多孔質体4は、それ自体で放電生成物との接触確立を増やし触媒の役目をするのでフィルタの役割を有するが、吸着物質を含ませることによって、さらにその効果を向上させることができる。これにより、チャージャ型帯電装置1から発生するオゾン、NOxなどの放電生成物を外部に放出しないようにすることができる。
【0017】
チャージャ型帯電装置1による感光体100の具体的な帯電条件としては、チャージワイヤ2に−5.6KVの電圧を印加して、グリッド電極5に−550V印加することによって、感光体100を−500Vに帯電する。
【0018】
次に、帯電手段200としてローラ型帯電装置を用いた変形例を説明する。図3は、ローラ型帯電装置の概略構成図である。図3のローラ型帯電装置7は、電荷放出部材として回転駆動される帯電ローラ8を用い、その表面を囲むように絶縁性の多孔質体9を設け、さらにその周りを囲むように制御電極の機能を有する導電性の多孔質体10を形成したものである。このようなローラ型帯電装置7では、回転しながら電荷を放出する帯電ローラ8と、感光体100との間に常に多孔質体9,10が配置されることになる。このローラ型帯電装置7において、トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体9,10は、帯電ローラ8から放出する電荷を通過させるが、画像形成装置内に浮遊するトナーを通過させることはできない。よって、浮遊するトナーが帯電ローラ8表面に到達して汚染する虞がなく、ローラ型帯電装置2は経時でも安定した帯電性能を得ることができる。
【0019】
また、トナー以外にも、画像形成装置内に浮遊する、壊れたトナー微粉、トナーから遊離した添加剤、紙粉等がのうち、多孔質体9,10の孔径よりも大きいものは、多孔質体9,10を通過することができないため、帯電ローラ8表面に到達して汚染する虞がない。
【0020】
さらに、絶縁性の多孔質体9内にエアーポンプ6より空気を導入し、絶縁性の多孔質体9および導電性の多孔質体10を通して外に空気を放出する。これにより、多孔質体9,10の孔径よりも小さい、壊れたトナー微粉、トナーから遊離した添加剤、紙粉等までも、多孔質体9、10内に進入し難くして、さらに帯電ローラ8が汚染される虞を小さくする。また、空気を放出することにより、多孔質体9,10の目詰まりを防止して、高耐久化を図る。
【0021】
また、画像形成装置の転写手段700として、図2のチャージャ型帯電装置2や図3のローラ型帯電装置7を用いることもできる。図4は、転写手段として上記チャージャ型帯電装置1を採用した画像形成装置の概略構成図である。図4では、トナー像を転写ベルト701に転写する転写手段として図2の構成のチャージャ型帯電装置702を使用している。転写手段は、転写ベルト701の裏面に、トナーとは逆極性の電荷を供給して帯電させ、感光体100上に形成されたトナー像を被転写体上に転写するものである。この転写手段においても、経時で、トナーや紙粉等により電荷放出部材が汚れ、安定した電荷供給ができずに転写特性が低下し、画像品質を劣化させる虞がある。ここで、上述の構成のチャージャ型帯電装置702を採用することにより、多孔質体により浮遊するトナーがチャージャ型帯電装置702のチャージワイヤに到達して汚染する虞がなく、経時でも安定した放電特性を示すことができる。さらに、多孔質体から空気を放出することにより、表面にトナー汚れ、紙粉等が付着するのを防止でき、高耐久化を図る。これにより、転写ベルト701の裏面の電位が安定して、良好な転写特性を得られるようになる。
【0022】
また、図5は、チャージャ型帯電装置2を採用した多色画像形成装置の概略構成図である。この多色画像形成装置では、各色の感光体100Y,M,C,Kと、チャージャ型帯電装置200Y,M,C,Kと、クリーニング手段500Y,M,C,Kとをそれぞれ一体的に形成し、装置本体に脱着可能な感光体ユニットとしている。この感光体ユニットでは、チャージャ型帯電装置200Y,M,C,Kを採用することにより、帯電手段の高耐久化が図られているため、帯電性能が安定し、感光体の寿命まで感光体ユニットを使用でき、感光体ユニットの高耐久化も図ることができる。また、図6は、転写手段としてローラ型帯電装置を採用した多色画像形成装置の概略構成図である。
【0023】
次に、本実施形態の画像形成装置の現像手段400の一例としての一成分現像装置を説明する。なお、現像手段400はこれに限らず、磁気ブラシを感光体に接触させる二成分現像装置でも使用可能である。
【0024】
本実施形態の画像形成装置では、像担持体としてアルミ素管をベースとした剛体のドラム状の感光体100を用いているので、現像手段のトナー担持体は弾性体であるゴム材料で、硬度は10〜70°(JIS−A)の範囲のローラが良好である。また、トナー担持体の直径は10〜30mmが好適であり、本実施形態では直径16mmのものを用いた。また、トナー担持体の表面は適宜あらして粗さRz(十点平均粗さ)を0.1〜4μmとした。ここで、トナー担持体のゴム材料として使用できるものとしてシリコン、ブタジエン、NBR、ヒドリン、EPDM、ウレタンゴム等を挙げることができる。また、接触現像を行うためにトナー担持体の硬度を下げるには、金属薄板を使用した無端状ベルト等も使用可能である。
【0025】
上記トナー担持体の表層コート材料は、シリコン、アクリル、ポリウレタン等の樹脂、ゴムを含有する材料を挙げることができる。また別の材料としては、フッ素を含有する材料を挙げることができる。フッ素を含んだいわゆるテフロン(登録商標)系材料は表面エネルギーが低く、離型性が優れるため、経時におけるトナーフィルミングが極めて発生しにくい。また、上記表層コート材料に用いることができる一般的な樹脂材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニールエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等を挙げることができる。これに導電性を得るために適宜カ−ボンブラック等の導電性材料を含有させることが多い。また、ドーピングしたポリアセチレン、ポリチオフェン等の導電性高分子の樹脂を混ぜて、低抵抗化することも可能である。更に均一にトナー担持体にコートできるように、他の樹脂を混ぜ合わせることもある。電気抵抗に関してはコート層を含めてバルクの体積抵抗率を設定するもので、10〜10Ω・cmに設定できるようにベース層の抵抗と調整を行う。本実施形態で使用するベース層の体積抵抗率は10〜10Ω・cmなので、表層の体積抵抗率は少し高めに設定することがある。
【0026】
また、本実施形態の画像形成装置で用いるトナーは、高画質画像を実現するために、トナーの体積平均粒径が3〜8μmである。本トナーの重量平均粒径は4〜7μmであり、さらに好ましくは4〜6μmである。重量平均粒径4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすく、人体への影響も懸念される。また重量平均粒径が8μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0027】
トナーの詳細を以下に示す。
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0028】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0029】
顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
【0030】
これらは1種または2種以上を使用することができる。特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本実施形態では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0031】
本実施形態のトナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)している。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本実施形態では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0032】
また、本実施形態におけるトナーには定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0033】
離型剤等の分散性を向上させるなどの目的の為に、添加剤を加えても良い。添加剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でも良い。樹脂は、結晶性ポリエステルを用いても良い。結晶性を有し、分子量分布がシャープでかつその低分子量分の絶対量を可能な限り多くした脂肪族系ポリエステルである。この樹脂はガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙への定着機能を発現する。この結晶性ポリエステル樹脂の使用により、樹脂のTgや分子量を下げ過ぎることなく低温定着化を達成することができる。そのため、Tg低下に伴う保存性の低下はない。また、低分子量化に伴う高すぎる光沢や耐オフセット性の悪化もない。したがってこの結晶性ポリエステル樹脂の導入は、トナーの低温定着性の向上に非常に有効である。
【0034】
また、前述したように本実施形態のトナーは流動性向上剤として無機微粉体をトナー表面に付着または固着させる。この無機微粉体の平均粒径は10〜200nmが適している。10nmより小さい粒径の場合には流動性に効果のある凹凸表面を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には粉体形状がラフになり、トナー形状の問題が生じる。
【0035】
無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物、水酸化物、炭酸化物、硫化物や複合酸化物が挙げられ、これらのうち安全性・安定性等から以下の酸化物を採用する事が多い。特に、酸化珪素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミ(アルミナ、コランダム)の微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により添加剤の表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例はシランカップリング剤で、以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。
【0036】
無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。また、少なくとも樹脂、顔料からなる粉体の表面に電荷制御剤を付着または固着させ、粉体表面形状を小さな周期と大きな周期を持つようにしても良い。その平均粒径は10〜200nmの小さい粒径のものが最適である。10nmより小さい粒径の場合には流動性に効果のある凹凸表面を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には粉体形状がラフになり、トナー形状の問題が生じる。
【0037】
また、本実施形態のトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0038】
また、本評価法は混練り工程や粉砕工程を用いないで作製するスプレードライ法などで作製したトナー、カプセルトナーにも使用できる。
【0039】
以上、本実施形態によれば、感光体100との対向する側に開口を有するケース3内に電荷放出部材としてチャージワイヤ2を設けたチャージャ型帯電装置1において、感光体100と対向する開口を塞ぐように多孔質体4を設けている。このチャージャ型帯電装置1では、多孔質体4はチャージワイヤ2から放出する電荷を通過させるが、画像形成装置内に浮遊するトナーを通過させることはできない。よって、浮遊するトナーがチャージワイヤ2に到達して汚染する虞がなく、チャージャ型帯電装置1は経時でも安定した帯電性能を得ることができる。
また、電荷放出部材として回転駆動される帯電ローラ8を用い、帯電ローラ8表面を囲むように絶縁性の多孔質体9を設け、さらにその周りに制御電極の機能を有する導電性の多孔質体10を形成したローラ型帯電装置7を用いる。このローラ型帯電装置7では、多孔質体9,10は、帯電ローラ8から放出する電荷を通過させるが、画像形成装置内に浮遊するトナーを通過させることはできない。よって、浮遊するトナーが帯電ローラ8表面に到達して汚染する虞がなく、ローラ型帯電装置2は経時でも安定した帯電性能を得ることができる。
また、チャージ型帯電装置1において、エアーポンプ6よりケース3内に空気を導入し、多孔質体4を通してチャージワイヤ2側から感光体100側に空気を放出する。これにより、トナーのみでなく、壊れたトナー微粉、トナーから遊離した添加剤、紙粉等がケース3内に進入し難くして、さらにチャージワイヤ2が汚染される虞を小さくする。また、空気を放出することにより、多孔質体4の目詰まりを防止して、高耐久化を図る。ローラ型帯電装置7において、エアーポンプ6より多孔質体内に空気を導入し、多孔質体を通して帯電ローラ8側から感光体100側に空気を放出することにより、同様の効果が得られる。
また、多孔質体4と感光体100との間にグリッド電極5を設けることにより、電荷量の変動を制御して感光体100の帯電電位をより安定させることができる。
また、多孔質体4に吸着物質を含ませることによって、チャージワイヤ2の電荷放出により電荷とともに発生するオゾン、NOxなどの放電生成物を吸収する。これにより、チャージャ型帯電装置1から発生するオゾン、NOxなどの放電生成物を外部に放出しないようにすることができる。
また、感光体100と、帯電手段200として上記チャージャ型帯電装置1または上記ローラ型帯電装置7とを一体的に構成し、画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジである感光体ユニットとする。この感光体ユニットでは、帯電手段200の高耐久化が図られているため、帯電性能が安定し、感光体100の寿命まで感光体ユニットを使用でき、感光体ユニットの高耐久化も図ることができる。
また、上記チャージャ型帯電装置1または上記ローラ型帯電装置7を転写手段として使用する。これにより、転写手段においても、経時で、トナーや紙粉等により電荷放出部材が汚れ、安定した電荷供給ができずに転写特性が低下し、画像品質を劣化させる虞を抑制し、高耐久化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成図。
【図2】チャージャ型帯電装置の概略構成図。
【図3】ローラ型帯電装置の概略構成図。
【図4】転写手段としてチャージャ型帯電装置を採用した画像形成装置の概略構成図。
【図5】帯電手段としてチャージャ型帯電装置を採用した多色画像形成装置の概略構成図。
【図6】転写手段としてローラ型帯電装置を採用した多色画像形成装置の概略構成図
【符号の説明】
【0041】
1 チャージャ型帯電装置
2 チャージワイヤ
3 ケース
4 多孔質体
5 グリッド電極(制御電極)
6 エアーポンプ
7 ローラ型帯電装置
8 帯電ローラ
9 絶縁性の多孔質体
10 導電性の多孔質体(制御電極)
100 感光体
200 帯電手段
300 露光光
400 現像手段
500 クリーニング手段
501 除電ランプ
600 給紙カセット
700 転写手段
701 転写ベルト
800 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置に採用される帯電装置であって、被帯電体との対向部に開口を有するケース内に配置される電荷放出部材から電荷を放出して該被帯電体を帯電する帯電装置において、
上記開口を塞ぐように上記トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置に採用される帯電装置であって、被帯電体と対向する表面移動可能な電荷放出部材から電荷を放出して該被帯電体と帯電する帯電装置において、
上記電荷放出部材表面を囲むように上記トナーの粒径よりも小さい孔径を有する多孔質体を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の帯電装置において、上記多孔質体を通して上記電荷放出部材側から上記被帯電体側に空気を放出する通気手段を設けたことを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の何れかの帯電装置において、上記多孔質体と上記被帯電体との間に該被帯電体の帯電電位を制御するための制御電極を備えたことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の何れかの帯電装置において、上記多孔質体が放電生成物を吸着する吸着物質を含んでいることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、該像担持体上に潜像を形成する手段と、該像担持体上にトナー像を形成する手段とを備えた画像形成装置において、
少なくとも上記像担持体と、上記帯電手段とを一体的に構成し、画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジを採用するものであって、該帯電手段として請求項1乃至5の何れかの帯電装置を採用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、該像担持体上に潜像を形成する手段と、該像担持体上にトナー像を形成する手段と、該像担持体上のトナー像を該被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記転写手段として、請求項1乃至5の何れかの帯電装置を採用することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101947(P2010−101947A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270808(P2008−270808)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】