説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】シールドケースの長尺方向における排気装置の近傍部のみならず遠方部においても放電電極の劣化を抑制できる帯電装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電装置20は、電極22、シールドケース21、ダクト部材23及び排気装置24を備える。シールドケース21は、中間転写ベルト41に担持されたトナーに対向する第1開口部211及び第1開口部211の反対側の面に長尺方向91に沿って設けられた第2開口部212を有する。ダクト部材23は、シールドケース21との間にダクト領域231を形成する。排気装置24は、第2開口部212及びダクト領域231を通してシールドケース21内の気体を吸引して排気する。第2開口部212の幅方向92の寸法は、長尺方向91において排気装置24の近傍部213側ほど小さく構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被帯電体に放電して被帯電体を帯電させる帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、被帯電体を帯電させる帯電装置が備えられる。このような帯電装置の中には、放電電極を収容するシールドケースを備え、放電時に発生したオゾン等の不要物による放電電極の劣化を防止するために、シールドケースに開口部を設け、排気装置によってシールドケース内の気体を吸引して排気するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。放電電極が劣化すると、放電ムラが生じて被帯電体の帯電電位が不均一になり、転写ムラ等の転写不良が発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−15945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の帯電装置では、シールドケースの開口部の長尺方向に直交する幅方向の寸法が、長尺方向において一定に構成される。このため、従来の帯電装置では、シールドケース内の気体に対する単位時間当たりの吸引量を表す吸引効率が、排気装置の近傍部ほど高く、排気装置の遠方部ほど低くなる。よって、排気装置の遠方部では、不要物を十分に排気することができず、不要物によって放電電極が劣化しやすい。
【0005】
この発明の目的は、シールドケースの長尺方向における排気装置の近傍部のみならず遠方部においても放電電極の劣化を抑制できる帯電装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の帯電装置は、放電電極、シールドケース、ダクト部材、及び排気装置を備える。放電電極は、被帯電体を帯電させる。シールドケースは、放電電極を収容して被帯電体に対向配置される長尺状のシールドケースであって被帯電体に対向する面に長尺方向に沿って設けられた第1開口部及び第1開口部の反対側の面に長尺方向に沿って設けられた第2開口部を有する。ダクト部材は、第2開口部を覆い、シールドケースとの間にダクト領域を形成する。排気装置は、長尺方向におけるシールドケースの第1端部側に配置され、第2開口部及びダクト領域を通してシールドケース内の気体を吸引して排気する。第2開口部の長尺方向に直交する幅方向の寸法は、長尺方向において第1端部側ほど小さく構成される。
【0007】
この構成では、シールドケース内の気体は、排気装置によって、第2開口部を通してダクト領域へ吸引され、さらにダクト領域から帯電装置の外部へ排気される。排気装置は、シールドケースの長尺方向において第1端部側に配置される。このため、ダクト領域内では、シールドケースの長尺方向において第1端部側ほど排気装置による吸引力が大きい。一方、長尺状の開口部に対して長尺方向について一定の吸引力が作用した場合、開口部を経由して吸引される気体の吸引効率は、幅寸法が小さいほど低く、幅寸法が大きいほど高くなる。よって、第2開口部の幅方向の寸法がシールドケースの長尺方向において第1端部側ほど小さく構成されることで、シールドケース内から第2開口部を経由してダクト領域内へ吸引される気体の吸引効率を、シールドケースの長尺方向について一定化することが可能となる。このため、放電時にシールドケース内で発生したオゾン等の不要物の吸引効率を、排気装置の近傍部のみならず遠方部においても高めることができる。
【0008】
上述の構成において、第2開口部の幅方向の寸法は、長尺方向に対して一定比率で第1端部側の反対側の第2端部側から第1端部側へ小さく構成することができる。これによって、シールドケース内の気体の吸引効率が、長尺方向についてより一定化しやすくなる。
【0009】
また、第1開口部、電極、第2開口部、及びダクト領域は、前記長尺方向及び前記幅方向にともに直交する方向に沿った一直線上に配置されることが好ましい。第1開口部、電極、第2開口部、及びダクト領域が長尺方向及び幅方向にともに直交する方向に沿った一直線上に配置されることで、シールドケース内からダクト領域へかけて気体が一直線状に流れることが可能となり、放電時に電極の周囲で発生したオゾン等の不要物の吸引効率がより高くなる。
【0010】
この発明の画像形成装置は、被帯電体と、上述のいずれかの帯電装置と、を備え、帯電装置は、被帯電体の下側に配置される。放電時にシールドケース内で発生したオゾン等の不要物は、下側へ出やすいので、帯電装置が被帯電体の下側に配置されることで、不要物の回収が容易になる。
【0011】
上述の画像形成装置において、現像剤像が像担持体から中間転写ベルトへ一次転写され、中間転写ベルトから用紙へ二次転写されるように構成し、被帯電体は、中間転写ベルトに担持された現像剤であるように構成することができる。これによって、二次転写前の現像剤を帯電させる際に、放電時にシールドケース内で発生したオゾン等の不要物の吸引効率を、シールドケースの長尺方向における排気装置の近傍部のみならず遠方部においても高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、シールドケースの長尺方向における排気装置に対する近傍部のみならず遠方部においても放電電極の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態に係る帯電装置を備えた画像形成装置の概略の構成を示す正面断面図である。
【図2】帯電装置及び中間転写ユニットを示す正面断面図である。
【図3】帯電装置の側面断面図である。
【図4】帯電装置の正面断面図である。
【図5】(A)は、実施形態に係る帯電装置の底面断面図であり、(B)は比較例に係る帯電装置の底面断面図である。
【図6】シールドケースの排気装置側の端面からの距離と第2開口部における風速との関係についての実験結果を示す図である。
【図7】(A)〜(D)は、第2開口部の形状のバリエーションを示す図である。
【図8】他の実施形態に係る帯電装置の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置10は、装置本体100、及び自動原稿搬送装置(ADF:AutomaticDocument Feeder)200を備えている。画像形成装置10は、原稿から生成した画像データ又は外部から入力した画像データに基づいて、用紙に単色又は多色の画像を形成する。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等の記録媒体が挙げられる。
【0016】
装置本体100は、画像読取部110、画像形成部120、及び給紙部130を備えている。画像読取部110は、装置本体100の上部に配置されている。
【0017】
画像読取部110は、上面に第1原稿台111及び第2原稿台112を備えている。第1原稿台111及び第2原稿台112の上面は、ADF200によって開閉自在にされている。固定原稿読取モード時に、画像読取部110は、第1原稿台111上に配置された原稿の画像を読み取って画像データを生成する。また、搬送原稿読取モード時に、ADF200は、原稿積載トレイ201に収容された原稿を、第2原稿台112を経由して原稿排出トレイ202へ至るように1枚ずつ搬送し、画像読取部110は、第2原稿台112上を経由する原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0018】
画像形成部120は、露光ユニット3、4個の画像形成ステーション31,32,33,34、中間転写ベルトユニット40、二次転写ローラ50、定着装置70、及び用紙排紙トレイ85を備え、用紙に画像形成処理を行う。
【0019】
中間転写ベルトユニット40は、中間転写ベルト41、駆動ローラ42、従動ローラ43、及びテンションローラを有している。中間転写ベルト41は、駆動ローラ42と従動ローラ43との間に張架されてループ状の移動経路を形成している。
【0020】
画像形成部120は、ブラック、並びに、カラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるシアン、マゼンタ及びイエローの4色の各色相のトナー像(現像剤像)を、画像形成ステーション31,32、33,34において形成する。画像形成ステーション31〜34は、中間転写ベルト41の移動経路に沿って一列に配置されている。画像形成ステーション32〜34は、画像形成ステーション31と実質的に同様に構成されている。
【0021】
ブラックの画像形成ステーション31は、感光体ドラム1、帯電器2、現像装置4、一次転写ローラ5、及びクリーニングユニット6を備えている。
【0022】
感光体ドラム1は、像担持体を構成している。帯電器2は、感光体ドラム1の周面を所定の電位に均一に帯電させる。
【0023】
露光ユニット3は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによって変調されたレーザビームのそれぞれを、画像形成ステーション51〜54のそれぞれの感光体ドラム1に照射する。4個の感光体ドラム1のそれぞれの周面には、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0024】
現像装置4は、感光体ドラム1の周面に、画像形成ステーション51〜54のそれぞれの色相のトナー(現像剤)を供給し、静電潜像をトナー像に顕像化する。
【0025】
中間転写ベルト41の外周面は、4個の感光体ドラム1に順に対向する。中間転写ベルト41を挟んで各感光体ドラム1に対向する位置のそれぞれに、一次転写ローラ5が配置されている。中間転写ベルト41と感光体ドラム1とが互いに対向する位置のそれぞれが、一次転写位置である。
【0026】
一次転写ローラ5には、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム1のそれぞれに形成された各色相のトナー像が中間転写ベルト41の外周面に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト41の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0027】
但し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色相の一部のみの画像データが入力された場合は、4個の感光体ドラム1のうち、入力された画像データの色相に対応する一部のみにおいて静電潜像及びトナー像の形成が行われ、一部の色相のトナー像のみが中間転写ベルト41の外周面に一次転写される。
【0028】
クリーニングユニット6は、現像及び一次転写の後における感光体ドラム1の周面に残留したトナーを回収する。
【0029】
一次転写位置のそれぞれにおいて中間転写ベルト41の外周面に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト41の回転によって、中間転写ベルト41と二次転写ローラ50との対向位置である二次転写位置へ搬送される。
【0030】
図2に示すように、中間転写ベルト41の移動方向45において最も下流側に配置された画像形成ステーション31と二次転写位置との間に、二次転写前用の帯電装置20が配置されている。帯電装置20は、非接触型の帯電装置であって、中間転写ベルト41の外周面に近接して配置されている。中間転写ベルト41を挟んで帯電装置20に対向するように、対向ローラ46が配置されている。
【0031】
帯電装置20は、対向ローラ46との間で放電することで、中間転写ベルト41の外周面に担持されたトナーに、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と同極性(例えば、マイナス)の電荷を付与する。これによって、中間転写ベルト41の外周面に担持されたトナーの帯電電位が均一化され、二次転写前のトナーの飛び散りによる転写ムラ等の転写不良が抑制される。
【0032】
給紙部130は、給紙トレイ81、手差しトレイ82、第1用紙搬送路83、及び第2用紙搬送路84を備えている。給紙カセット81及び手差しトレイ82のそれぞれには、用紙が収容される。第1用紙搬送路83は、給紙トレイ81及び手差しトレイ82のそれぞれから二次転写位置及び定着装置70を経由して用紙排紙トレイ85へ至るように形成されている。第2用紙搬送路84は、両面印刷用の用紙搬送路であり、一方の面に画像を形成された用紙が表裏を反転された状態で再び二次転写位置へ搬送されるように形成されている。
【0033】
二次転写ローラ50は、中間転写ベルト41を挟んで駆動ローラ42に所定のニップ圧で圧接している。二次転写ローラ50と中間転写ベルト41とのニップ圧を所定値に維持するために、二次転写ローラ50又は駆動ローラ42のいずれか一方が硬質材料(例えば、金属又は樹脂)で構成され、他方が軟質材料(例えば、弾性ゴム又は発泡性樹脂)で構成される。
【0034】
給紙部130から給紙された用紙が二次転写位置を経由する際に、二次転写ローラ50に、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の二次転写バイアスが定電圧制御によって印加され、これによって、中間転写ベルト41の外周面に担持されたトナー像が、用紙に二次転写される。
【0035】
トナー像が用紙に転写された後の中間転写ベルト41上に残留したトナーは、中間転写ベルト用クリーニング装置44によって回収される。
【0036】
トナー像が転写された用紙は、定着装置70へ導かれ、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することで加熱及び加圧される。これによって、トナー像が、用紙の表面に堅牢に定着する。トナー像が定着した用紙は、トナー像が定着した面を下にして用紙排紙トレイ85上へ排出される。
【0037】
図3及び図4に示すように、帯電装置20は、中間転写ベルト41の外周面に平行であって中間転写ベルト41の幅方向に長尺となるように配置されている。帯電装置20は、シールドケース21、電極22、ダクト部材23、及び排気装置24を備えている。
【0038】
シールドケース21は、中間転写ベルト41の外周面に下側から対向するように配置されている。シールドケース21は、例えばステンレス製である。シールドケース21は、長尺状であって、中間転写ベルト41の外周面に対向する上面が開口するように断面U字状に形成されている。上面の開口が第1開口部211を構成している。第1開口部211は、シールドケース21の長尺方向91に沿って延びるように設けられている。
【0039】
シールドケース21の長尺方向91の両端部に、ワイヤホルダ25A,25Bが固定されている。ワイヤホルダ25A,25Bは、例えば樹脂製である。シールドケース21は、電極22を収容している。電極22は、ワイヤで構成されている。電極22は、ワイヤホルダ25A,25Bによって、中間転写ベルト41に平行であって長尺方向91に張架されている。電極22は、電圧を印加されることで放電し、中間転写ベルト41の外周面に担持されたトナーの帯電電位を均一化する。
【0040】
シールドケース21の底面即ち第1開口部211の反対側の面には、第2開口部212が設けられている。即ち、第2開口部212は、電極22に対して中間転写ベルト41の反対側に配置されている。第2開口部212は、シールドケース21の長尺方向91に沿って延びるように設けられている。第2開口部212は、一例として、シールドケース21の長尺方向91に直交する幅方向92における中央部に設けられている。中間転写ベルト41、第1開口部211、電極22、第2開口部212、及びダクト領域231は、長尺方向91及び幅方向92にともに直交する方向、即ち被帯電体である中間転写ベルト41に対する離接方向93に沿った一直線上に配置されている。
【0041】
ダクト部材23は、第2開口部212を覆い、シールドケース21との間にダクト領域231を形成するように、シールドケース21に固定されている。ダクト部材23は、長尺方向91においてダクト領域231の一方端を封鎖し、他方端に第3開口部232を有するように構成されている。ダクト部材23は、例えば樹脂製である。
【0042】
排気装置24は、長尺方向91におけるシールドケース21の一方の端部側に配置されている。ダクト領域231の第3開口部232は、排気装置24側に設けられている。
【0043】
排気装置24は、画像形成装置10の外装部材101に対向配置されている。排気装置24と外装部材101との間に、オゾンフィルタ26が配置されている。外装部材101には、排気装置24及びオゾンフィルタ26に対向する位置に、排気口102が設けられている。排気口102は、例えば画像形成装置10の背面に設けられている。
【0044】
排気装置24は、ダクト領域231内の気体を長尺方向91に吸引して画像形成装置10の外部へ排気する。これによって、シールドケース21内の気体が、第2開口部212を通してダクト領域231へ吸引され、さらにダクト領域231からオゾンフィルタ26を介して画像形成装置10の外部へ排気される。このように、排気装置24の気体の吸引方向と第2開口部212の長手方向(長尺方向91)とは同じ方向である。
【0045】
図5(A)に示すように、第2開口部212の長尺方向91に直交する幅方向92の寸法は、長尺方向91において、排気装置24の近傍部213側ほど小さく、遠方部214側ほど大きく構成されている。一例として、第2開口部212の幅方向92の寸法即ち幅寸法は、長尺方向91に対して一定比率で遠方部214側から近傍部213側へ小さくなるように構成されている。一例として、第2開口部212は、二等辺三角形に形成されている。
【0046】
帯電装置20では、排気装置24がシールドケース21の長尺方向91において一方の端部側に配置されているので、ダクト領域231内では長尺方向91において近傍部213側ほど排気装置24による吸引力が大きい。
【0047】
よって、図5(B)に示すように、第2開口部2120の幅寸法が長尺方向91について一定である比較例に係る帯電装置210では、第2開口部2120を経由して吸引される気体の吸引効率は、近傍部213ほど高く、遠方部214ほど低くなる。なお、図5(B)では、説明の便宜上、比較例に係る帯電装置210において、実施例に係る帯電装置20と同様の構成については同じ符号を使用している。
【0048】
一方、長尺方向91における第2開口部212の各箇所に対して一定の吸引力が作用した場合を考えると、第2開口部212を経由して吸引される気体の吸引効率は、第2開口部212の幅寸法が小さいほど低く、幅寸法が大きいほど高くなる。
【0049】
よって、帯電装置20では、第2開口部212の幅寸法が長尺方向91において排気装置24の近傍部213側ほど小さく、遠方部214側ほど大きく構成されることで、シールドケース21内から第2開口部212を経由してダクト領域231内へ吸引される気体の吸引効率を、長尺方向91について一定化することが可能である。このため、放電時にシールドケース21内で発生したオゾン等の不要物の吸引効率を、排気装置24の近傍部213のみならず遠方部214においても高めることができる。したがって、長尺方向91における排気装置24の近傍部213のみならず遠方部214においても電極22の劣化を抑制することができる。
【0050】
また、第2開口部212の幅寸法が、長尺方向91に対して一定比率で遠方部214側から近傍部213側へ小さく構成されることで、シールドケース21内の気体の吸引効率が、長尺方向91についてより一定化しやすくなる。
【0051】
さらに、放電時にシールドケース21内で発生したオゾン等の不要物は下側へ出やすいので、帯電装置20が中間転写ベルト41に担持されたトナー(被帯電体)の下側に配置されていることで、不要物の回収が容易になる。
【0052】
また、第1開口部211、電極22、第2開口部212、及びダクト領域231が、長尺方向91及び幅方向92にともに直交する、中間転写ベルト41に対する離接方向93に沿った一直線上に配置されているので、シールドケース21内からダクト領域231へかけて気体が一直線状に流れることが可能となり、放電時に電極22の周囲で発生したオゾン等の不要物の吸引効率がより高くなる。
【0053】
図6に、シールドケース21の排気装置24側の端面からの距離と第2開口部212における風速との関係についての実験結果を示す。この実験では、実施例に係る帯電装置20、及び比較例に係る帯電装置210のそれぞれについて風速を測定した。
【0054】
この実験で用いた実施例に係る帯電装置20は、次のように構成されている。即ち、図3に示すように、長尺方向91において、シールドケース21の長さL1は、371.5mmである。長尺方向91において、第2開口部212の長さL2は、340mmである。長尺方向91において、シールドケース21の排気装置24側の端面の位置A1から第2開口部212の排気装置24側の端部の位置B1までの長さL3は、15mmである。長尺方向91において、シールドケース21の排気装置24の反対側の端面の位置C1から第2開口部212の排気装置24の反対側の端部の位置D1までの長さL4は、16.5mmである。
【0055】
また、図4に示すように、シールドケース21の幅方向92の外寸法L5は、12.6mmである。ダクト領域231の幅方向92の寸法L6は、13.8mmである。ダクト領域231の高さ方向の最大寸法L7は、11.3mmである。ダクト領域231におけるシールドケース21の底面とダクト部材23の底面との間の空間の高さ方向の寸法L8は、2.7mmである。さらに、図5(A)に示すように、第2開口部212は二等辺三角形に形成され、第2開口部212の遠方部214側端部における幅方向92の寸法L9は、4.0mmである。
【0056】
さらに、排気装置24として、次のようなファンを用いた。即ち、ミネベア株式会社製ファンモータ。外形60mm×60mm、厚さ25mm。最大静圧(標準値)60.3(Pa)、最大風量(標準値)0.75(m/min)、定格電圧(標準値)24(V)、定格電流(標準値)0.1(A)。
【0057】
比較例に係る帯電装置210のシールドケース21は、第2開口部2120の形状を除いて帯電装置20と同様に構成されている。第2開口部2120は長方形に形成され、第2開口部2120の幅方向92の寸法L10は、4.0mmである。
【0058】
また、この実験では、シールドケース21の排気装置24側の端面の位置A1から20mm毎の各位置に風速センサ27を配置して、第2開口部212の各位置における風速を測定した。なお、図3では、説明の便宜上、風速センサ27を1個のみ記載し、他の風速センサの記載を省略している。
【0059】
図6において、白丸(○)で示したように、第2開口部2120の幅寸法が長尺方向91について一定である比較例に係る帯電装置210では、近傍部213側ほど風速が高く、遠方部214では、風速が低くなった。
【0060】
一方、黒四角(■)で示したように、実施例に係る帯電装置20では、排気装置24の遠方部214においても近傍部213と略同じ風速値が測定され、遠方部214において比較例に係る帯電装置210より吸引効率が高くなった。
【0061】
したがって、第2開口部212の幅寸法を近傍部213ほど小さく遠方部214ほど大きくすることで、排気装置24の遠方部214においてもシールドケース21内で発生したオゾン等の不要物に対する吸引効率を高くでき、長尺方向91における排気装置24の近傍部213のみならず遠方部214においても電極22の劣化を抑制できることが分かった。
【0062】
なお、第2開口部212の形状は、図7(A)に示すような二等辺三角形であることに限定されず、図7(B)に示すように直角三角形や、図7(C)に示すように台形に形成した場合でも、シールドケース21内で発生したオゾン等の不要物の吸引効率を、排気装置24の近傍部213のみならず遠方部214においても高めることができる。
【0063】
また、第2開口部212の幅寸法は、長尺方向91に対して一定比率で小さくなることに限定されない。第2開口部212の幅寸法は、長尺方向91において近傍部213ほど小さく遠方部214ほど大きく構成される限りにおいて、図7(D)に示すように、長尺方向91における1又は複数の箇所に段差を形成することもできる。
【0064】
さらに、帯電装置20は、感光体ドラム1の周面を帯電させる帯電器2に適用することもできる。
【0065】
また、図8に示すように、この発明は、鋸歯形状の電極22A、及びグリッド電極28Aを備えた帯電装置20Aに適用することもできる。
【0066】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
10 画像形成装置
20,20A 帯電装置
21 シールドケース
211 第1開口部
212 第2開口部
213 近傍部
214 遠方部
22,22A 電極(放電電極)
23 ダクト部材
231 ダクト領域
24 排気装置
41 中間転写ベルト
91 長尺方向
92 幅方向
93 離接方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電体を帯電させる放電電極と、
前記放電電極を収容して前記被帯電体に対向配置される長尺状のシールドケースであって前記被帯電体に対向する面に長尺方向に沿って設けられた第1開口部及び前記第1開口部の反対側の面に前記長尺方向に沿って設けられた第2開口部を有するシールドケースと、
前記第2開口部を覆い、前記シールドケースとの間にダクト領域を形成するダクト部材と、
前記長尺方向における前記シールドケースの第1端部側に配置され、前記第2開口部及び前記ダクト領域を通して前記シールドケース内の気体を吸引して排気する排気装置と、を備え、
前記第2開口部の前記長尺方向に直交する幅方向の寸法は、前記長尺方向において前記第1端部側ほど小さく構成される帯電装置。
【請求項2】
前記第2開口部の前記幅方向の寸法は、前記長尺方向に対して一定比率で前記第1端部側の反対側の第2端部側から前記第1端部側へ小さく構成される請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記第1開口部、前記電極、前記第2開口部、及び前記ダクト領域は、前記長尺方向及び前記幅方向にともに直交する方向に沿った一直線上に配置される請求項1又は2に記載の帯電装置。
【請求項4】
被帯電体と、
請求項1から3のいずれかに記載の帯電装置と、を備え、
前記帯電装置は、前記被帯電体の下側に配置される、画像形成装置。
【請求項5】
現像剤像が像担持体から中間転写ベルトへ一次転写され、前記中間転写ベルトから用紙へ二次転写される画像形成装置であって、
前記被帯電体は、前記中間転写ベルトに担持された現像剤である、請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−227214(P2011−227214A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95591(P2010−95591)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】