説明

帯電装置

【課題】 像担持体と対向する先端部が鋸歯形状になった放電電極を用いた帯電装置おいて、像担持体の画像領域において放電を行う帯電用の放電電極に粉塵など付着物が蓄積して放電不良が発生するのを防止し、像担持体の帯電にむらが生じるのを抑制する。
【解決手段】 先端部が鋸歯形状になった放電電極22が、像担持体1と対向するようにして像担持体の画像領域1aから非画像領域1bにかけて設けられた帯電装置2において、像担持体の画像領域において対向する帯電用の放電電極22aと像担持体の非画像領域において対向する集塵用の放電電極22bとの境界近傍に、非画像領域側の端部から集塵用の放電電極に導かれた空気が帯電用の放電電極に導かれるのを抑制する仕切り板26を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機などの画像形成装置において、像担持体の表面を帯電させるのに使用する帯電装置に係り、特に、像担持体と対向する先端部が鋸歯形状になった放電電極を用いた帯電装置において、像担持体の画像領域において放電を行う帯電用の放電電極に付着物が蓄積して、放電不良が発生するのを防止するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機などの画像形成装置においては、一般に、帯電装置により像担持体の表面を帯電させ、このように帯電された像担持体の表面に各種の潜像形成装置により画像情報に応じた露光を行って静電潜像を形成し、現像装置により像担持体の表面に形成された上記の静電潜像の部分にトナーを供給して現像を行うようにしている。
【0003】
そして、このような画像形成装置において、像担持体の表面を帯電させる帯電装置として、近年においては、効率のよい帯電が行えると共にオゾンの発生を抑制できる点から、像担持体と対向する先端部が鋸歯形状になった放電電極を使用した帯電装置が多く利用されている。
【0004】
しかし、上記のように先端部が鋸歯形状になった放電電極の場合、鋸歯形状の先端部分に放電が集中して、放電エネルギーが高くなり、空気中の埃やシリカなどの物質が放電電極の先端部分に結合して徐々に蓄積されたり、また高湿環境においては、空気中に含まれる水分と放電により発生したNOとが反応して生じた硝酸が放電電極の先端部分に付着して錆が発生したり、さらに装置内を浮遊するトナーが放電電極の先端部分に付着したりし、これにより放電不良が生じて、像担持体の帯電にむらが生じ、形成される画像に筋状のノイズが発生するという問題があった。
【0005】
そして、従来においては、コロナ放電装置として、その端部に空気流入防止手段を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
しかし、このように空気流入防止手段を設けた場合においても、粉塵など含む空気が空気流入防止手段を設けた部分以外から流入されるようになり、このように流入された空気に含まれる粉塵などが付着し、依然として、放電不良が生じて、像担持体の帯電にむらが生じ、形成される画像に筋状のノイズが発生するという問題があった。
【0007】
また、上記のように先端部が鋸歯形状になった放電電極を使用した従来の帯電装置において、像担持体の表面を帯電させるための帯電用電極と、空気中の粉塵を捕捉するための集塵用電極とをシールドケース内に収納させ、上記の集塵用電極を帯電用電極よりも空気流路の上流側に設け、この集塵用電極により空気中の粉塵を捕捉して、帯電用電極が汚染されるのを防止するようにしたものや(例えば、特許文献2参照。)、また上記の集塵用電極を帯電用電極とは異なる方向などに放電させて、空気中の粉塵を捕捉させるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
しかし、上記のように集塵用電極を帯電用電極よりも空気流路の上流側に設けた場合においても、像担持体の両端部からこの像担持体と帯電装置との間に流入される空気に含まれる粉塵などを、上記の集塵用電極によって充分に捕捉することが困難であり、捕捉されずに残った粉塵などを含む空気が帯電用電極に導かれ、依然として、この帯電用電極の先端部分に粉塵などが付着して放電不良が生じ、像担持体の帯電にむらが生じるという問題があった。
【0009】
また、上記の特許文献2のものにおいては、帯電用電極よりも空気流路の上流側に複数の集塵用電極を設けて、空気中の粉塵をより多く捕捉させるようにしたものも提案されているが、この場合、部品点数が多くなってコストが高くつくと共に、狭い範囲に複数の放電電極が密集し、これによりシールドケースとの距離が近くなって、リークが発生するなどの問題もあった。
【特許文献1】特開平7−92782号公報
【特許文献2】特開2004−333593号公報
【特許文献3】特開2005−292723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機などの画像形成装置において、像担持体の表面を帯電させるのに使用する帯電装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
特に、本発明においては、像担持体と対向する先端部が鋸歯形状になった放電電極を用いた帯電装置において、像担持体の画像領域において放電を行う帯電用の放電電極に付着物が蓄積して、放電不良が発生するのを確実に防止し、像担持体の帯電にむらが生じるのを抑制して、良好な画像形成が安定して行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明における帯電装置においては、上記のような課題を解決するため、先端部が鋸歯形状になった放電電極が、像担持体と対向するようにして像担持体の画像領域から非画像領域にかけて設けられた帯電装置において、像担持体の画像領域において対向する帯電用の放電電極と像担持体の非画像領域において対向する集塵用の放電電極との境界近傍に、非画像領域側の端部から集塵用の放電電極に導かれた空気が帯電用の放電電極に導かれるのを抑制する仕切り板を設けた。
【0013】
ここで、上記の帯電装置において、上記の仕切り板を帯電用の放電電極と集塵用の放電電極との境界近傍に設けるにあたり、非画像領域側の端部から集塵用の放電電極に導かれた空気が集塵用の放電電極に近接する帯電用の放電電極に導かれて、この帯電用の放電電極に粉塵などが付着するのをのを一層抑制するため、上記の境界部分よりも集塵用の放電電極側の位置に設けることが好ましい。
【0014】
また、上記の帯電装置において、像担持体を適切に均一に帯電させるようにするため、上記の放電電極の先端側に放電電極に沿ってグリッド電極を設けると共に、上記の放電電極の両側にこの放電電極に沿って安定板を設けることが好ましい。
【0015】
また、上記のように放電電極の先端側に放電電極に沿ってグリッド電極を設ける場合、非画像領域側の端部から導入された空気が集塵用の放電電極に適切に導かれるようにするため、このグリッド電極の開口幅を像担持体の画像領域よりも非画像領域において大きくすることが好ましい。
【0016】
また、非画像領域側の端部から集塵用の放電電極に導かれた空気が帯電用の放電電極に導かれるのを抑制するため、上記の仕切り板と合わせて、この仕切り板の近傍に、集塵用の放電電極に導かれた空気を排出させる通気口を設けるようにし、或いは上記のように集塵用の放電電極に導かれた空気と上記の帯電用の放電電極の部分における空気とを分離させて帯電装置外に案内するダクトを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明における帯電装置においては、上記のように先端部が鋸歯形状になった放電電極を、像担持体と対向するようにして像担持体の画像領域から非画像領域にかけて設けるにあたり、像担持体の画像領域において対向する帯電用の放電電極と像担持体の非画像領域において対向する集塵用の放電電極との境界近傍に仕切り板を設け、この仕切り板により非画像領域側の端部から集塵用の放電電極に導かれた空気が帯電用の放電電極に導かれるのを抑制するようにしたため、非画像領域側の端部から流入された空気に含まれる粉塵などが、像担持体の画像領域において対向する帯電用の放電電極の先端に付着して蓄積するのが防止されるようになる。
【0018】
この結果、この帯電装置においては、像担持体の画像領域において放電を行う帯電用の放電電極において、放電不良が発生するのが防止されて、像担持体の帯電にむらが生じるのが抑制され、良好な画像形成が安定して行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、この発明の実施形態に係る帯電装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る帯電装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0020】
先ず、この発明の実施形態に係る帯電装置を使用する画像形成装置について説明する。
【0021】
この画像形成装置においては、図1に示すように、回転する像担持体1の表面を帯電装置2により帯電させ、このように帯電された像担持体1の表面に潜像形成装置3により画像情報に応じた露光を行って静電潜像を形成し、このように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像装置4によりトナーtを供給してトナー像を形成し、このように像担持体1の表面に形成されたトナー像を転写装置5により記録媒体6に転写させ、このように転写されたトナー像を定着装置(図示せず)により記録媒体6上に定着させるようにしている。
【0022】
また、上記の記録媒体6に転写されずに像担持体1の表面に残ったトナーtをクリーニング装置7により像担持体1の表面から除去し、その後は、上記のようにして画像形成を繰り返して行うようにしている。
【0023】
そして、上記のような画像形成装置においては、上記の帯電装置2によって像担持体1の表面が均一に安定して帯電されないと、画像ノイズの発生のない高品質な画像を得ることが困難になる。
【0024】
次に、上記のような画像形成装置に用いるこの実施形態の帯電装置2について説明する。
【0025】
この実施形態の帯電装置2においては、図1〜図3に示すように、シールドケース21内に、先端部が鋸歯形状になった放電電極22が支持部材23に支持された状態で、その鋸歯形状になった先端部が像担持体1と対向するようにして、像担持体1の画像領域1aから非画像領域1bにかけて設けられている。
【0026】
また、上記の放電電極22の鋸歯形状になった先端部と像担持体1との間にクリッド電極24が放電電極22に沿って設けられると共に、上記の放電電極22の両側のシールドケース21の内面に、この放電電極22の先端よりも像担持体1側に延出した安定板25が放電電極22に沿って設けられている。
【0027】
さらに、この実施形態の帯電装置2においては、上記の放電電極22において、画像が形成される像担持体1の画像領域1aと対向する部分における鋸歯形状になった帯電用の放電電極22aと、画像が形成されない像担持体1の非画像領域1bと対向する部分における鋸歯形状になった集塵用の放電電極22bとの境界位置よりも集塵用の放電電極22b側であって鋸歯間の位置に、この放電電極22とほぼ同じ高さになった仕切り板26が設けられると共に、この仕切り板26の近傍において、上記のシールドケース21の底部に通気口21aが設けられている。なお、上記の仕切り板26を鋸歯間の位置において放電電極22とほぼ同じ高さにしたのは、放電電極22の放電に悪影響を及ぼさないようにするためである。
【0028】
そして、この実施形態の帯電装置2において、図4に示すように、像担持体1の非画像領域1b側の端部から像担持体1と帯電装置2との間に空気が流入されて上記の集塵用の放電電極22bに導かれると、この空気に含まれる粉塵などが上記の集塵用の放電電極22bによって捕捉されると共に、上記の仕切り板26によって上記の空気が帯電用の放電電極22aに導かれるのが抑制され、集塵用の放電電極22bに導かれた空気が上記の通気口21aに導かれ、この帯電装置2のシールドケース21内における空気と一緒になって通気口21aを通して帯電装置2の外に排出されるようになる。
【0029】
この結果、像担持体1の画像領域において対向する帯電用の放電電極22aの先端に粉塵などが付着するのが抑制されて、帯電用の放電電極22aにおいて放電不良が発生するのが防止され、像担持体1の画像領域に帯電むらが生じるのが抑制されて、良好な画像形成が安定して行えるようになる。
【0030】
なお、この実施形態における帯電装置2においては、上記のように放電電極22の放電に悪影響を及ぼさないようにするため、仕切り板26を放電電極22とほぼ同じ高さになるようにしたが、集塵用の放電電極22bに導かれた空気が帯電用の放電電極22aに導かれるのをさらに抑制するため、図5に示すように、仕切り板26の高さが放電電極22側から両側のシールドケース21の内面に設けられた安定板25に向けて徐々に高くなるように傾斜させて設けることも可能である。
【0031】
また、像担持体1の非画像領域1b側の端部から像担持体1と帯電装置2との間に流入された空気が上記の集塵用の放電電極22bに導かれやすくするため、図6に示すように、上記のグリッド電極24の開口幅を像担持体1の画像領域1aよりも非画像領域1bにおいて大きくすることが好ましい。
【0032】
また、この実施形態における帯電装置2においては、上記のように仕切り板26の近傍に通気口21aを設け、像担持体1の非画像領域1b側の端部から像担持体1と帯電装置2との間に流入されて集塵用の放電電極22bに導かれた空気を帯電装置2のシールドケース21内における空気と一緒にこの通気口21aを通して帯電装置2の外に排出させるようにしたが、図7に示すように、上記のシールドケース21の底部を開放させると共に、上記のように流入されて集塵用の放電電極22bに導かれた空気と上記の帯電用の放電電極22aの部分における空気とを分離させて帯電装置2の外に案内するダクト27を設け、このダクト27を通してこれらの空気を帯電装置2の外に排出させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る帯電装置を使用する画像形成装置の一例を示した概略説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る帯電装置を像担持体と対向するように配置させた状態を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る帯電装置の縦断面説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る帯電装置を像担持体と対向するように配置させた場合において、帯電装置内における空気の流れを示した概略説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る帯電装置において、仕切り板を変更させた変更例の縦断面説明図である。
【図6】上記の実施形態に係る帯電装置において、グリッド電極の開口幅を像担持体の画像領域よりも非画像領域において大きくした変更例の概略説明図である。
【図7】上記の実施形態に係る帯電装置において、集塵用の放電電極に導かれた空気と帯電用の放電電極の部分における空気とを分離させて帯電装置外に案内するダクトを設けた変更例の概略説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 像担持体
1a 画像領域
1b 非画像領域
2 帯電装置
3 潜像形成装置
4 現像装置
5 転写装置
6 記録媒体
7 クリーニング装置
21 シールドケース
21a 通気口
22 放電電極
22a 帯電用の放電電極
22b 集塵用の放電電極
23 支持部材
24 クリッド電極
25 安定板
26 仕切り板
27 ダクト
t トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が鋸歯形状になった放電電極が、像担持体と対向するようにして像担持体の画像領域から非画像領域にかけて設けられた帯電装置において、像担持体の画像領域において対向する帯電用の放電電極と像担持体の非画像領域において対向する集塵用の放電電極との境界近傍に、非画像領域側の端部から集塵用の放電電極に導かれた空気が帯電用の放電電極に導かれるのを抑制する仕切り板が設けられてなることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電装置において、上記の仕切り板が、帯電用の放電電極と集塵用の放電電極との境界部分よりも集塵用の放電電極側の位置に設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の帯電装置において、上記の放電電極の先端側に放電電極に沿ってグリッド電極が設けられると共に、上記の放電電極の両側にこの放電電極に沿って安定板が設けられてなることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の帯電装置において、上記の放電電極の先端側に設けられるグリッド電極の開口幅が像担持体の画像領域よりも非画像領域において大きくなっていることを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の帯電装置において、上記の仕切り板の近傍に通気口が設けられていることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の帯電装置において、上記の集塵用の放電電極に導かれた空気と上記の帯電用の放電電極の部分における空気とを分離させて帯電装置外に案内するダクトが設けられていることを特徴とする帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−139522(P2008−139522A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325111(P2006−325111)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】