説明

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】高周波数の交流電圧を印加した場合にも、振動が生じにくく、安定して感光体を帯電させることのできる帯電部材の提供。
【解決手段】導電性の基体と、導電性の弾性層と、表面層とを有する帯電部材であって、該弾性層は、該基体側から第1ゴム層及び該第1ゴム層に積層される第2ゴム層を有する。該第1ゴム層の固有振動数をfとし、該第2ゴム層の固有振動数をfとしたときの、固有振動数比(f/f)が、2.35以上、10.0以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電部材、これを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置において、ドラム形状の電子写真感光体(以降、「感光体」と略称する。)を安定的に帯電するために、感光体に接触配置した帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳して印加することが行われている。かかる帯電方式の課題の一つとして、感光体と帯電部材との共振により発生する振動音が挙げられる。
【0003】
このような課題に対して、印加する交流電圧の周波数によって共振が生じない固有振動数を有する帯電部材を使用することで振動音の発生を抑える方法が特許文献1に開示されている。ところで、近年、電子写真装置の高画質化および高速化の要請に伴って、帯電部材には、例えば、3000Hz程度の高周波数の交流電圧が印加されるようになってきている。
【0004】
また、感光体の高速回転に伴って、当該感光体を駆動するモータ自体が振動し、また、当該モータの駆動力を伝達するギア等も振動する。このような振動は、帯電音を生じさせるばかりでなく、感光体に接触して配置された帯電部材を振動させ、感光体を所定の電位に安定して帯電させることが困難となり、その結果として、電子写真画像の品位を低下させてしまうことがある。このような状況の下、本発明者らは、帯電部材の振動をより確実に低減させるための技術の開発が必要であるとの認識を持つに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−279578号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい振動・騒音の本」山田伸志著、初版、日刊工業新聞社、2007年3月25日、p.24−25
【非特許文献2】「新版 防振ゴム」戸原春彦、外10名共著、新版、社団法人日本鉄道車両工業会、平成10年10月30日、p.97−99
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、高周波数の交流電圧を印加した場合にも、振動が生じにくく、安定して感光体を帯電させることのできる帯電部材を提供することを課題とする。
【0008】
また、本発明は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様によれば、導電性の基体と、導電性の弾性層と、表面層とを有する帯電部材であって、該弾性層は、該基体側から第1ゴム層及び該第1ゴム層に積層される第2ゴム層を有し、該第1ゴム層の固有振動数をfとし、該第2ゴム層の固有振動数をfとしたときの、固有振動数比(f/f)が、2.35以上、10.0以下である帯電部材が提供される。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、上記の帯電部材と、感光体とが一体化され、電子写真装置本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジが提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、上記の帯電部材と、感光体とを有している電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い周波数の交流電圧を印加した場合であっても振動が生じにくく、感光体を安定して帯電させることができる帯電部材を得ることができる。
【0013】
また、本発明によれば、高品位な電子写真画像の提供に資するプロセスカートリッジを得ることができる。更に、本発明によれば、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る帯電部材の一例を示す側面図である。
【図2】本発明に係る帯電部材の一例を示す側面図である。
【図3】本発明に係る帯電部材の弾性率の測定方法の説明図である。
【図4】本発明に係る帯電部材の電気抵抗の測定方法の説明図である。
【図5】本発明に係る電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明に係る帯電部材の製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図8】帯電部材の弾性層の比重の測定方法の説明図である。
【図9】帯電部材の耐久性の評価方法の説明図である。
【図10】帯電部材に生じる振動の測定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、上記の課題に対して帯電部材に振動吸収能を担持させるべく、種々の振動吸収に関わる技術について検討を行った。
【0016】
非特許文献1の第25頁には、振動伝達率と周波数比(強制振動振動数/固有振動数)との関係を示したグラフが記載されている。そして、このグラフから、周波数比1のときには共振によって振動が最大となること、および周波数比が21/2以上では振動伝達率が漸次減少していくことが分かる。また、同グラフには、周波数比が約2.4〜3のときには振動伝達率が0.5以下となり、このような周波数比の領域が防振の領域であることが記載されている。また、非特許文献2の第97頁、図7.2には、上記非特許文献1の第25頁に記載のグラフと同旨のグラフが記載されている。
【0017】
上記非特許文献1、2から分かるように、ばね等を用いた振動吸収においては、周波数比を少なくとも21/2より大きくすることが必要であり、とくには、3以上とすることが好ましいことが知られている。
【0018】
そこで、本発明者らは、図1に示すような、軸芯体101に第1ゴム層103及び第2ゴム層105からなるゴム層を設けた帯電ローラをモデルとして取り上げた。そして、帯電ローラの表面側の第2ゴム層105を振動源、軸芯体101側の第1ゴム層103を防振ゴムと見做し、帯電ローラ101の外部から第2ゴム層105に伝えられた振動を、第1ゴム層103によって減衰させ、軸芯体101への当該振動の伝達を抑制するために第1ゴム層103に要求される周波数比を求めた。
【0019】
すなわち、非特許文献2の第98頁には式(7.6)として、振動伝達率と振動数比(ω/ω)および減衰比率(C/Cc)との関係を示した下記式(1)が記載されている。
【0020】
【数1】

【0021】
そこで、上記式(1)を用いて振動伝達率が0.5となる振動数比を計算した。ここで、減衰比率(C/Cc)には0.5を代入した。その理由は、帯電部材の弾性層には主にゴムが用いられ、ゴムは通常0.2〜0.3の減衰比率を示すからである。つまり、非特許文献1、2のグラフに示されているように、振動数比が21/2より大きい領域においては、減衰比率が大きいほど振動伝達率が大きくなる。よって、上記式(1)の減衰比率(C/Cc)の項に0.5を代入して求められる振動数比(ω/ω)の値は、第2ゴム層との関係において第1ゴム層を十分に防振ゴムとして機能させるものとなると考えられる。計算の結果、第1ゴム層が有するべき固有振動数は、第2ゴム層の固有振動数の2.35以上となる。
【0022】
次いで、本発明者らは、第1ゴム層の固有振動数を、第2ゴム層の固有振動数の2.35以上とするべく、第1ゴム層および第2ゴム層の材質について検討を行った。その結果、第1ゴム層および第2ゴム層の各々のゴム材料と当該ゴム材料中に含有させる充填剤とを選択することにより、第1ゴム層及び第2ゴム層の固有振動数が上記の関係を有するように調整できることを見出した。本発明は、かかる検討の結果に基づきなされたものである。
【0023】
以下に、本発明に係る帯電部材について詳述する。
【0024】
本発明に係る帯電ローラ200は、図2に示したように、導電性の軸芯体201と、導電性の弾性層203とを有する。弾性層203は、軸芯体201側から順に第1ゴム層203−1と、第1ゴム層203−1上に積層されている第2ゴム層203−2とを有する。そして、第1ゴム層203−1は、その固有振動数(以降、「f」とも記す)が第2ゴム層203−2の固有振動数(以降、「f」とも記す)の2.35以上、10.0以下である。
【0025】
ここで、第1ゴム層および第2ゴム層の固有振動数比(以降、「f/f」とも記す)の下限値を2.35とすることの技術的意義は、先に述べた通り、第1ゴム層に優れた防振機能を担持させ、帯電部材に対して外部から加わる振動が軸芯体に伝わることを抑制することである。
【0026】
一方、上限値を10.0とした理由は、本発明者らの実験の結果、帯電部材のゴム層として実用に耐え得る材料組成の中で、固有振動数比を10.0より大きくすることのできる材料組成が見出せなかったことによる。
【0027】
[軸芯体]
導電性の基体201は、感光体などの被帯電体に所望の電荷を付与する電源を弾性層へ供給する電極として機能し、また、その上に設けられる弾性層203を支持する機能をも有する。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。
【0028】
[弾性層]
弾性層203は、基体側から順に第1ゴム層203−1と、第1ゴム層に接して設けられてなる第2ゴム層203−2との2層を有する。そして、第1ゴム層の固有振動数fに対する第2ゴム層の固有振動数fの固有振動数比(f/f)は、2.35以上、10.0以下である。より好ましくは、3.0以上、8.0以下である。
【0029】
そして、第1ゴム層の固有振動数fおよび第2ゴム層の固有振動数fの各々は、上記の固有振動数比を満たすことを前提として下記の数値範囲内であることが好ましい。
:100Hz以上、600Hz以下、特には、150Hz以上、300Hz以下。
:400Hz以上、1400Hz以下、特には、500Hz以上、1200Hz以下。
【0030】
上記の固有振動数は、ばねの固有振動数を求める下記式(2)を適用して、弾性層の弾性率から求めた値を採用することができる。式(2)中、fは一端を固定したばねの固有振動数、Kはばね定数[N/m]、Mは他端につけた錘の質量[kg]を示す。
【0031】
【数2】

【0032】
弾性層のある点に着目すると、式(2)中のMは、単位面積当たりの質量で置き換えることができる。従って、ゴム層の固有振動数は、式(2)中のKに、ゴム層を構成しているゴムの弾性率k、Mにゴム層の単位面積当りの質量、即ち、層厚tと比重σの積を挿入して算出される値fとして、式(3)から求めることができる。ここで、層厚tの単位はmm、比重σの単位はg/cm、弾性率kの単位はPaである。
【0033】
【数3】

【0034】
/fの値を2.35以上、10.0以下とするためには、上記式(3)から、各ゴム層の弾性率、比重および厚さを調整する。具体的には、第2ゴム層について、弾性率を第1ゴム層の弾性率より大きくし、比重と層厚との積を第1ゴム層よりも小さくする。これによって、本発明に係る固有振動数比を満たす弾性層を形成し得る。
【0035】
次に、f/fが上記の数値範囲を満たすような第1ゴム層および第2ゴム層の製造方法について述べる。
【0036】
<ゴムの選択>
第1ゴム層及び第2ゴム層の主たる構成材料であるゴムとしては、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴム等のエラストマーを用いることができる。具体的には、以下のものを例示することができる。合成ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)。クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム等。これらは単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0037】
そして、f/fを調整するためには、第1ゴム層に、第2ゴム層よりも比重の大きいゴムを含有させることが好ましい。以下に、第1ゴム層及び第2ゴム層に含有させることが好ましいゴム材料を挙げる。
第1ゴム層;
エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム及びフッ素ゴムからなる群から選択される1つまたは2つ以上のゴム。
【0038】
第1ゴム層に含有させることが好ましいエピクロルヒドリンゴムの具体例としては以下のものを挙げることができる。
【0039】
エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体及びエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体。
【0040】
これらのうち、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、安定した中抵抗領域の導電性を示し、重合度や組成比を任意に調整することにより、導電性や加工性の制御が容易であることから好ましい。
第2ゴム層;
アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブタジエンゴムからなる群から選択される1つまたは2つ以上のゴム。
【0041】
<フィラーの選択>
ゴム層の比重および弾性率は、ゴム層に含有させるフィラーの種類および量を選択することによって調整することができる。
【0042】
一般にフィラーの含有量を増やすほどゴム層中のゴムの補強効果が高まるため、ゴム層の弾性率は上昇する。また、フィラーとしてゴムの補強効果の高いものを用いることによってもゴム層の弾性率は上昇する。
【0043】
一方、フィラーの体積平均粒径が大きいほど、ゴム層の弾性率は低下する。
従って、フィラーを用いて、f/fの値を大きくする方向に調整する具体的な方法としては下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
【0044】
(1)第2ゴム層中のフィラーの含有量を第1ゴム層中のフィラー含有量よりも多くすること。より好ましくは、第1ゴム層にはフィラーを含有させず、第2ゴム層にのみフィラーを含有させること。
【0045】
具体的には、例えば、第1及び第2ゴム層の両方に、体積平均粒径の等しいカーボンブラックやシリカをフィラーとして含有させる場合においては、第2ゴム層中のフィラー量を、第1ゴム層中のフィラー量に対して質量基準で9〜100倍とすることが挙げられる。
【0046】
各ゴム層に含有させることのできるフィラーとしては、無機化合物の粒子や、有機化合物の粒子が挙げられる。
【0047】
無機化合物の粒子の材料の具体例を以下に挙げる。酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム。ジルコン酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム。ゼオライト、ウオラストナイト、珪藻土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、中空ガラス球、有機金属化合物や、有機金属塩。フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の酸化鉄類や活性炭。
【0048】
有機化合物の粒子を構成する材料の具体例を以下に挙げる。ポリアミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、これらの共重合体や変性物、誘導体等の樹脂。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)。
【0049】
(2)第2ゴム層中に含有させるフィラーとして、第1ゴム層中に含有させるフ.ィラーよりもゴムの補強効果が高いフィラーを用いること。
【0050】
この場合において、ゴムの補強効果が高いフィラーとしては、後述するカーボンブラックやシリカが挙げられる。一方、ゴムの補強効果がカーボンブラックやシリカと比較して相対的に低いフィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0051】
(3)第2ゴム層中の含有させるフィラーの体積平均粒径を、第1ゴム層中に含有させるフィラーのそれよりも小さくすること。
【0052】
具体的には、例えば、第1及び第2ゴム層の両方に、フィラーとしてカーボンブラックを用いる場合においては、第1ゴム層に含有させるカーボンブラックの体積平均粒径を100〜900nmとし、第2ゴム層に含有させるカーボンブラックの体積平均粒径を10〜50nmとすることで第1及び第2ゴム層に、フィラーに由来する有意な弾性率の相対的な差を持たせることが可能である。
【0053】
ところで、弾性層へのフィラーの添加は、上記したように、弾性層の弾性率を上昇させる方向に作用する。すなわち、f/fの値を大きくすることを目的として、第1ゴム層にフィラーを含有させることによって第1ゴム層の比重を第2ゴム層の比重よりも大きくしようとすると、第1ゴム層の弾性率が増加し、上記の目的の達成に不利に作用することとなる。従って、第1ゴム層の比重の調整は、主には、第1ゴム層に含有させるゴム種の適切な選択によって行うことが好ましい。より好ましくは、第1ゴム層にはフィラーを含有させないことが理想的である。
【0054】
一方、第2ゴム層の比重および弾性率の調整は、ゴム材料の選択、フィラー種の選択および添加量の調整によって行うことが好ましい。
【0055】
ここで、第2ゴム層に含有させるフィラーとしては、比重の小さいフィラーを用いることがf/fの値を大きくする上では好ましい。比重の大きなフィラーの使用は、第2ゴム層の弾性率を上昇させる方向には作用するものの、fの値を小さくする方向に作用してしまう。従って、第2ゴム層の弾性率を調整するフィラーとしては、比重の小さなフィラーを用いることが好ましい。
【0056】
このようなフィラーの具体例としては、カーボンブラックやシリカが挙げられる。これらのフィラーは、ゴムを補強する効果が高いため、弾性層の弾性率を飛躍的に上昇させることが可能であり、かつ、比重が2近辺と小さな値を有するため、fをより大きくする方向に調整することが可能である。
【0057】
カーボンブラックとしては、ブラックファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを例示することができる。ファーネスブラックとしては以下のものを例示することができる。SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPF、SRF−HS−HM、SRF−LM、ECF、FEF−HS。サーマルブラックとしては、FT、MTを例示することができる。
【0058】
シリカとしては、四塩化ケイ素を酸素と水素で燃焼して作られる気相法による乾式シリカ、ケイ酸ナトリウムと硫酸等の鉱酸から作られるシリカを微粉砕化、球状処理化した湿式シリカ、コロイダルシリカ、合成ケイ酸塩を用いることができる。
【0059】
<ゴム層の厚さ>
第1および第2ゴム層の弾性率に関して、上記のf/fの関係を満たすことを前提として、各々以下のような数値範囲内にあることが好ましい。
第1ゴム層:3MPa以上、35MPa以下、特には、3MPa以上、7MPa以下。
第2ゴム層:8MPa以上、55MPa以下、特には、14MPa以上、48MPa以下。
【0060】
また、第1および第2ゴム層の弾性率が上記の範囲内にあることを前提として、第2ゴム層の具体的な厚さとしては、200μm以上、1500μm以下、特には、300μm以上、1200μm以下の範囲内とすることが更に好ましい。
【0061】
弾性率が相対的に大きな第2ゴム層の厚みを上記範囲内とすることで、帯電部材と感光体との間に形成されるニップ幅を大きくし得る。そして、第1ゴム層の厚さは、第2ゴム層の厚さの0.75倍以上、14.3倍以下、より好ましくは、1.00倍以上、6.67倍以下とすることが好ましい。
【0062】
第1および第2ゴム層には、上記のf/fの関係を維持することを前提として、上記物質の機能を阻害しない範囲で、硬度を調整する軟化油、可塑剤、その他種々の機能を付与する、老化防止剤、充填剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0063】
例えば、第1及び第2ゴム層に、導電性を付与する導電剤を含有させることができる。導電剤としては、イオン導電剤、電子導電剤の何れも使用することができる。ここで、電子導電剤の添加は、弾性層の固有振動数に影響を与える可能性があるため、導電性の調整には、イオン導電剤を用いることが好ましい。
【0064】
イオン導電剤としては、環境変化に対して抵抗が安定なことから過塩素酸4級アンモニウム塩が好適であり、特に、弾性層のバインダーに極性ゴムを使用する場合は、アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0065】
各ゴム層の体積抵抗率としては、温度23℃/湿度50%RH環境下で10Ω・cm以上10Ω・cm以下とすることが好ましい。各ゴム層の体積抵抗率は、弾性層に使用するすべての材料を厚さ1mmのシートに成型し、両面に金属を蒸着して電極とガード電極を形成して調製した体積抵抗率測定試料を用いて後述する表面層の体積抵抗率測定方法と同様に測定することができる。
【0066】
第1及び第2のゴム層の硬度としては、マイクロ硬度(MD−1型)で70°以下、特には、60°以下とすることが好ましい。なぜなら、帯電部材と感光体との間のニップ幅を確保し、帯電部材を感光体に対して安定に従動回転させることができる。なお、マイクロ硬度(MD−1硬度)は、マイクロゴム硬度計(商品名:MD−1capa、高分子計器株式会社製)を用い、常温常湿(温度23℃/湿度55%RH)の環境中に12時間以上放置した後、10Nのピークホールドモードで測定した測定値を採用できる。
【0067】
本発明に係る弾性層の形成方法としては、バインダーゴム、導電剤、フィラー等を混練して得られた弾性層用材料を押出成形、射出成形する方法を挙げることができる。具体的には、第1ゴム層用材料と第2ゴム層用材料を調製し、押出成形機によりこれらの材料と共に、基体を同時一体的に押出成形し、加硫する方法が挙げられる。複数層を同時一体的に押出成形することにより工数の簡素化が可能になる。
【0068】
他の方法として、基体上に未加硫の第1ゴム層を成形したローラを調製し、別途、第2ゴム層用材料を未加硫のチューブ又はシートに成形し、このチューブ又はシートで被覆した未加硫の第1ゴム層を成形したローラを金型内で加硫する方法が挙げられる。
【0069】
更に、他の方法として、未加硫の第1ゴム層を成形、加硫したローラを作製し、別途、第2ゴム層用材料をチューブ状に成形し、加硫まで終了させてチューブ形状の第2ゴム層を形成する。その後、チューブ形状の第2ゴム層内に空気を流しつつ、第1ゴム層を有するローラを挿入する方法を例示できる。
【0070】
得られた弾性層は必要に応じて研磨加工や、表面処理を行うことができる。研磨加工は、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機を用いて行うことができ、クラウン形状等に形成することができる。表面処理としては、UVや電子線を用いた処理や、化合物を表面に付着、又は含浸させて行う表面改質処理を挙げることができる。
【0071】
[表面層]
本発明に係る帯電部材は、第2ゴム層の外側に、帯電部材の表面への汚れの付着を抑制するために、厚さが1〜50μm程度の表面層を別途設けてもよい。
【0072】
帯電部材は、電気抵抗が、温度23℃/湿度50%RH環境中において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることが、感光体の帯電を良好に行うことができることから好ましい。
【0073】
また、上記帯電部材は、表面の十点平均粗さRzjis(μm)が2≦Rzjis≦100であり、表面の凹凸平均間隔Sm(μm)が15≦Sm≦200であることがより好ましい。表面の十点平均粗さRzjisと、表面の凹凸平均間隔Smの測定法について下記に示す。
【0074】
JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器「SE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて行う。Rzは、帯電部材を無作為に6箇所測定し、その平均値として求めることができる。また、Smは、帯電部材を無作為に6箇所選び、各箇所において10点の凹凸間隔を測定しその平均を求め、6箇所の平均値の平均値として算出することができる。測定条件は以下の通りである。
【0075】
カットオフ値 0.8mm
フィルタ ガウス
予備長さ カットオフ×2
レベリング 直線(全域)
評価長さ 8mm
[電子写真装置]
本発明の電子写真装置は、上記帯電部材と、感光体とを有しているものであればよく、その一例の概略構成を図5に示す。電子写真感光体4(以降、「感光体」ともいう)、上記帯電部材5を有する帯電装置が一体となったプロセスカートリッジ、感光体上に潜像を形成する潜像形成装置、潜像をトナー像とする現像装置、トナー像を紙等の転写材7に転写する転写装置を有する。更に、トナー像を転写後の感光体に残留するトナーを感光体から除去するクリーニングブレード10及び除去したトナーを回収する廃トナー容器14を備えるクリーニング装置、転写材上のトナー像を定着する定着装置9等から構成されている。
【0076】
感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型であり、矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電ローラ5は、交流電源19から印加される電源により所定の電圧にされ、所定の押圧力で当接される感光体の回転に従い従動回転し、感光体を所定の電位に一様に帯電する。潜像形成装置において、例えば、レーザー11を出力するレーザービームスキャナ等の露光装置(図示せず)により、一様に帯電された感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、感光体上に静電潜像が形成される。
【0077】
感光体上の潜像は感光体に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ6により、感光体と同極性のトナーが搬送され反転現像により、静電潜像が現像されトナー像が形成される。感光体上のトナー像は、転写装置において、転写ローラ8と感光体間に給紙システムにより搬送される普通紙等の転写材7に転写される。その後、定着装置9において、加熱ローラ等により転写材7上のトナー像が転写材に定着され、機外に排出され、出力画像を得る。
【0078】
一方、感光体上の残留トナーはクリーニング装置においてクリーニングブレード10によって、機械的に掻き落とされ廃トナー容器14に回収される。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
【0079】
[プロセスカートリッジ]
本発明のプロセスカートリッジは、上記帯電部材と、感光体とが一体化され、電子写真装置本体に着脱可能に構成されているものであればよい。その一例として、図6に示すように、感光体4、帯電ローラ5を有する帯電装置、現像ローラ6とトナー供給ローラ15と現像ブレード13を備えた現像装置、クリーニングブレード10および廃トナー容器14により構成されてなるクリーニング装置等を一体化し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているものを挙げることができる。
【実施例】
【0080】
以下に、本発明の帯電部材を具体的に詳細に説明する。
[製造例1]複合導電性微粒子の作製
シリカ粒子(数平均粒径15nm、体積抵抗率1.8×1012Ω・cm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。このときの攪拌速度は22rpmであった。ここに、カーボンブラック粒子(数平均粒径20nm、体積抵抗率1.0×10Ω・cm、pH8.0)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行った。
このようにしてメチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆したシリカ粒子の表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて温度80℃で60分間乾燥を行い、複合導電性微粒子を得た。このときの攪拌速度は22rpmであった。得られた複合導電性微粒子の数平均粒径が15nmであり、体積抵抗率は1.1×10Ω・cmであった。
【0081】
[製造例2]表面処理酸化チタン粒子の作製
針状ルチル型酸化チタン粒子(数平均粒径15nm、縦:横=3:1、体積抵抗率2.3×1010Ω・cm)1000gに、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシラン110g及び溶媒としてトルエン3000gを配合してスラリーを調製した。このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が数平均粒径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。
【0082】
湿式解砕処理して得たスラリーを、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを除去し、温度120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理した粒子を室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕して、表面処理酸化チタン粒子を得た。
【0083】
[実施例1]
[基体]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性接着剤を塗布、乾燥させた。
[第1ゴム層用材料]
下記表1に記載の材料を、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して未加硫ゴム組成物を調製した。
【0084】
【表1】

【0085】
次に、上記未加硫ゴム組成物178.5質量部に対して、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部及びテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加し、温度20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、第1ゴム層用材料を得た。
【0086】
[第2ゴム層用材料]
下記表2に記載の材料を、温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練して未加硫ゴム組成物を得た。
【0087】
【表2】

【0088】
次いで、上記未加硫ゴム組成物174質量部に対して、下記表3に記載の材料を加えて温度20℃に冷却した二本ロール機で15分間混練し、第2ゴム層用材料を得た。
【0089】
【表3】

【0090】
[弾性ローラ]
図7に示す、2層同時クロスヘッド押出機を用い、上記基体と共に、第1ゴム層用材料及び第2ゴム層用材料を、基体を中心軸として、第1ゴム層、第2ゴム層の順になるように押出した。尚、図7において、36は基体としての芯金、37は芯金の送りローラ、40はクロスヘッド、38および39はクロスヘッドにゴムを導入する押し出し機であり、41は、周囲が第1ゴム層および第2ゴム層で被覆されてなる芯金を示す。
【0091】
こうして、基体の外周に未加硫の第1ゴム層と第2ゴム層を積層したローラを作製した。押出外径は12.5mmに調整した。第1ゴム層の層厚が2.5mmに、第2ゴム層の層厚が1mmになるよう、クロスヘッド押出機スクリュー部の回転数を調整した。次いで、熱風炉にて、温度160℃で1時間加熱した後、ゴムの両端部を除去し、ゴム長さを224.2mmとした。更に、外径が12mmのローラ形状になるよう第2ゴム層の外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨し、弾性ローラを得た。このローラのクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
【0092】
[表面層用塗布液]
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業株式会社製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分17質量%となるように調整した。この溶液588.24質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対して、下記表4に記載の材料を加え、混合溶液を調製した。
【0093】
【表4】

【0094】
*:上記ブロックイソシアネート混合物はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物である。なお、HDIとしては、「デュラネートTPA−B80E」(商品名、旭化成工業株式会社製)を用い、IPDIとしては「ベスタナートB1370」(商品名、デグサ・ヒュルス社製)を用いた。また、当該ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としては「NCO/OH=1.0」となる量であった。
【0095】
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液195.6gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて28時間分散した。分散した後、体積平均粒径が10μmのポリメチルメタクリレート樹脂粒子2.55g(アクリルポリオール固形分100質量部に対して、10質量部相当量)を添加した。その後、5分間分散し、ガラスビーズを除去して表面層用塗布液を得た。
【0096】
[帯電ローラ]
上記表面層用塗布液を用いて、作製した弾性ローラに1回ディッピング塗布した。ディッピング塗布は、浸漬時間9秒、ディッピング塗布引き上げは、初期速度20mm/s、最終速度2mm/s、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。その後、常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて温度80℃で1時間、更に温度160℃で1時間乾燥して、弾性層上に表面層を形成した帯電ローラ1を得た。
帯電ローラ1について以下の方法により、第1ゴム層および第2ゴム層の弾性率、層厚、弾性率、および比重を測定した。その結果を表12に示す。また、これらの測定結果を前記式(3)に代入して第1ゴム層および第2ゴム層の固有振動数を算出した。結果を表13に示す。
【0097】
[弾性率]
帯電ローラの表面層をプランジカット式円筒研磨機を用いて研削し、弾性層を表面に露出させ、表面硬度測定装置(商品名:フィッシャースコープH100V、フィッシャーインストルメンツ社製)を用いて、弾性率を測定した。この際、帯電ローラを23℃/50%RH環境に12時間以上放置後、測定を行った。測定位置は、帯電部材200の軸方向については、図3(a)に示すように、弾性層203の軸方向中央部および弾性層の軸方向中央部と弾性層の軸方向両端部との中点との3ヶ所、周方向については、図3(b)に示すように120°毎の3ヶ所の、合計9カ所とした。
【0098】
測定条件は、300mNの荷重で、測定子を1μm/10sの速度で押し込んで行った。また、表面に露出させた各弾性層の表面は、前述した十点平均表面粗さRzjis(μm)で6μm以下に調整した。
【0099】
[層厚]
帯電ローラの断面を、弾性率を測定した各位置において、鋭利な刃物で切り出し、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察し、半径、第2ゴム層の層厚、表面層の層厚を測定し、半径から、第2ゴム層と表面層の合計層厚を減じて第1ゴム層の層厚を求めた。図3に示す9点の測定位置における平均値を算出した。
【0100】
[比重]
帯電ローラから各ゴム層を切断し、空中での重さと、水中での重さを測定して、比重を算出した。切り出した各ゴム層の断片を水中に完全に沈めるために、図8(a)に示すように、試料42に金属の重りをつけた状態で空中の質量W(g)を測定した。次いで図8(b)に示すように、そのままの状態で水中での質量Ww(g)を測定した。同様にして測定した金属の重りの空中の質量WOと水中の質量WwOを測定し、ゴム層の比重(SG)SG=(W−WO)/〔(W−WO)−(Ww−WwO)〕を算出した。WOとWwOとがほとんど同じであったので、WO=WwOとし、SG=(W−W0)/(W−Ww)として算出した。
【0101】
[帯電ローラの振動の測定]
図10に示すように、作製した帯電ローラ5を、その一端に4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で感光体4に当接させ、電子写真感光体4を45mm/secの速度で回転させた。電子写真感光体は、モノクロレーザープリンタ(商品名:aserJet P4515n、日本ヒューレットパッカート社製)用のプロセスカートリッジに使用されているものを取り出して使用した。帯電ローラには、外部から、電圧を印加し、その条件は、交流電圧として、ピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を2930Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。
【0102】
感光体の回転に従動して回転している帯電ローラの振動の大きさ(振幅)を、レーザードップラー振動計(商品名:LV−1710、株式会社小野測器社製)により測定した。測定位置は、帯電部材の長手中央、電子写真感光体との当接位置と逆の位置とした。振動を測定後、周波数解析したところ、5860Hzの振幅が最も大きかった。そこで、5860Hzの振動の大きさ(振幅)を表13に示す。
【0103】
[画像評価]
図6に示すプロセスカートリッジを使用した図5に示す電子写真装置として白黒レーザープリンタ(商品名:LaserJet P4515n、日本ヒューレットパッカート社製)を用意した。外部より、帯電ローラに電圧を印加した。AC+DC帯電方式を採用し、帯電部材に印加する電圧は、交流電圧として、ピーク電圧(Vpp)を1800V、周波数(f)を2930Hz、直流電圧(Vdc)を−600Vとした。画像の解像度を600dpiとして出力した。
【0104】
上記電子写真装置用のプロセスカートリッジを3個用意し、各々のプロセスカートリッジに評価用の帯電ローラを装着した。そして、図9に示したように、一端に4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で帯電ローラ5を感光体4に当接させた。これらのプロセスカートリッジを各々、温度15℃/湿度10%RH環境(環境1)、温度23℃/湿度50%RH環境(環境2)及び温度30℃/湿度80%RH環境(環境3)に24時間置き、各環境に順化させた後、各環境にて、電子写真画像を形成した。
【0105】
電子写真画像の形成は、感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔176ドットの横線画像を36千枚出力した。ここで、当該横線画像の18千枚出力後、24千枚出力後、30千枚出力後、及び36千枚出力後に、ハーフトーン画像を1枚出力した。ハーフトーン画像とは、感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を形成する画像である。こうして得た4枚のハーフトーン画像(以降、ハーフトーン画像No.1〜4)を目視にて観察し、下記の評価1及び評価2を行った。評価1および評価2は、下記表5に記載の基準により行った。
評価1:帯電不良に起因する画像欠陥の有無とその程度の評価。
評価2:感光体の表面に生じた傷に起因する画像欠陥の有無とその程度の評価。
【0106】
なお、電子写真画像の形成工程における帯電ローラの振動は、帯電ローラの表面へのトナー等の固着を促進し、トナー等が表面に固着した帯電ローラは帯電不良を引き起こすことがある。また、電子写真画像の形成工程における帯電ローラの振動は、感光体の表面に傷を生じさせることがある。本画像評価は、帯電ローラの振動抑制効果と、電子写真画像の品位との相関関係を見るためのものである。
【0107】
帯電不良に起因する画像欠陥の代表例としては、ドットや横スジが挙げられる。一方、感光体に生じた傷に起因する画像欠陥の例としては、縦スジが挙げられる。
【0108】
また、上記電子写真装置による電子写真画像の形成は間欠出力モードにて行った。間欠出力モードとは、電子写真画像を2枚出力した後、感光体の回転を3秒かけて停止させるというサイクルを繰り返すモードである。得られた4枚のポチ状画像、横スジ状画像、ガサツキ画像、縦スジ状画像について以下の基準により評価した。結果を表14に示す。
【0109】
【表5】

【0110】
[電気抵抗の測定]
上記の画像評価において、上記「環境2」での電子写真画像の形成に用いた帯電ローラについて、電気抵抗を算出し、電子写真画像の形成に供する前の電気抵抗に対する電気抵抗の変化を評価した。
【0111】
電子写真画像の形成過程において帯電ローラが振動した場合、弾性層に含有されてなる電子導電剤またはイオン導電剤が当該振動によって弾性層内を徐々に移動し、弾性層の電気抵抗が変化する。この評価は、帯電ローラの振動抑制効果と帯電ローラの電気抵抗の経時変化との相関関係を見るために行ったものである。
【0112】
電気抵抗は以下の方法により求めた。図4に示すように、基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33により感光体と同じ曲率の円柱形金属32に、平行になるように支持し(a)、円柱形金属32に当接させる(b)。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させ、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。このとき軸受けの荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secとし、電流計35に流れる電流を測定し、帯電ローラの抵抗を算出する。なお、画像評価に供する前の帯電ローラの電流測定、及び、画像評価に供した後の帯電ローラについての電流測定は、いずれの帯電ローラも、上記「環境2」に24時間置き、当該環境に順化させた後に行った。
【0113】
上記「環境2」は、帯電ローラに対するトナー等の固着、及び、感光体に生じる傷が最も発生しにくい環境である。そのため、電子写真画像の形成による帯電ローラの弾性層の導電性の変化に起因する電気抵抗の変動を評価する上では、上記「環境2」が、最も適切な環境であると考えられるため、評価対象の帯電ローラとしては、上記「環境2」の下で電子写真画像の形成に用いた帯電ローラを採用した。
【0114】
結果を表13に示す。
【0115】
[実施例2]
第1ゴム層の層厚が2.1mmに、第2ゴム層の層厚が1.4mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを作製した。表面層用塗布液を、製造例1の複合導電性微粒子と製造例2の表面処理酸化チタン粒子に変えて、カーボンブラック(#52:三菱化学社製)30質量部を用い、分散機を用いた分散時間を36時間に変更した他は、実施例1と同様にして調製した。その後、実施例1と同様にして帯電ローラ2を調製し、電気抵抗、層厚、弾性率、比重を測定し、固有振動数を算出し、耐久試験について評価を行った。
【0116】
[実施例3]
第1ゴム層用材料において、カーボンブラックを添加せず、第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を100質量部に変更した他は実施例2と同様にして、材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.4mmに、第2ゴム層の層厚が1.1mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した以外は、実施例2と同様にして帯電ローラ3を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0117】
[実施例4]
第1ゴム層の層厚が1.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.25mmになるよう、クロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、外径が9.5mmになるように研磨した。それら以外は実施例3と同様にして帯電ローラ4を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0118】
[実施例5]
第1ゴム層の層厚が2.75mmに、第2ゴム層の層厚が0.75mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例2と同様にして帯電ローラ5を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0119】
[実施例6]
第1ゴム層の層厚が2.6mmに、第2ゴム層の層厚が0.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例2と同様にして帯電ローラ6を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0120】
[実施例7]
第2ゴム層用材料を以下のようにして調製した。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(DN219:日本ゼオン社製)100質量部に対して、表6に示す成分を加えて、温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
【0121】
【表6】

【0122】
次いで、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部及びテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加し、温度20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、第2ゴム層用材料を準備した。得られた第2ゴム層用材料を用い、第1ゴム層の層厚が2.4mmに、第2ゴム層の層厚が1.1mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例2と同様にして帯電ローラ7を調製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0123】
[実施例8]
第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を45質量部に変更して材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.3mmに、第2ゴム層の層厚が1.2mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例7と同様に帯電ローラ8を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0124】
[実施例9]
第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を95質量部に変更して材料を調製し、第1ゴム層の層厚が1.5mmに、第2ゴム層の層厚が1.0mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は、実施例7と同様にして帯電ローラ9を作製し、各測定及び評価を同様に行った。
【0125】
[実施例10]
第1ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を5質量部に変更して材料を調製した。第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を80質量部に変更し、更にシリカ(R972:日本アエロジル社製、平均粒径16nm)を20質量部を添加して材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例7と同様にして帯電ローラ10を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0126】
[実施例11]
第1ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を1質量部に変更して材料を調製した。第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を50質量部に変更し、シリカ(R972:日本アエロジル社製、平均粒径16nm)を50質量部添加して材料を調製した。第1ゴム層の層厚が1.8mmに、第2ゴム層の層厚が1.7mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例7と同様にして帯電ローラ11を調製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0127】
[実施例12]
第2ゴム層用材料において、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の添加量を50質量部に変更し、スチレンブタジエンゴム(SBR)(JSR1500:JSR社製)50質量部を加えた。カーボンブラックをトーカブラック#5500(東海カーボン社製、数平均粒径25nm)50質量部に変更して材料を調製した。第1ゴム層の層厚が1.8mmに、第2ゴム層の層厚が1.7mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は、実施例2と同様にして帯電ローラ12を調製し、各測定及び評価を同様に行った。
【0128】
[実施例13]
第2ゴム層用材料において、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の添加量を70質量部に変更し、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を30質量部に変更し、カーボンブラックを添加しなかった。これら以外は実施例12と同様にして、第2ゴム層用材料を調製し、帯電ローラ13を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0129】
[実施例14]
第2ゴム層用材料において、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)JSR230SV(JSR社製)50質量部をDN219(日本ゼオン社製)30質量部に変更し、SBRの添加量を70質量部に変更した。これら以外は実施例12と同様にして第2ゴム層用材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例12と同様にして帯電ローラ14を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0130】
[実施例15]
第1ゴム層の層厚が2.8mmに、第2ゴム層の層厚が1.2mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例2と同様にして帯電ローラ15を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0131】
[実施例16]
第1ゴム層の層厚が1.8mmに、第2ゴム層の層厚が1.7mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例2と同様にして帯電ローラ16を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0132】
[実施例17]
第2ゴム層用材料を以下のようにして調製した。スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:JSR1500、JSR社製)100質量部に対して、表7に示す成分を加えて、温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
【0133】
【表7】

【0134】
次いで、架橋剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド4.5質量部を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、第2ゴム層用材料を得た。得られた第2ゴム層用材料を用い、第1ゴム層の層厚が1.5mmに、第2ゴム層の層厚が2.0mmになるよう、クロスヘッド押出機スクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例3と同様にして帯電ローラ17を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0135】
[実施例18]
第1ゴム層用材料において、炭酸カルシウムの添加量を30質量部に変更し、第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を40質量部、シリカの添加量を80質量部に変更して材料を調製した。第1ゴム層の層厚が1.6mmに、第2ゴム層の層厚が1.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例17と同様にして帯電ローラ18を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0136】
[実施例19]
第1ゴム層用材料において、炭酸カルシウムの添加量を30質量部に変更して材料を調製した。第2ゴム層用材料において、SBRに替えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(JSR230SV:JSR社製)を用いた。また、カーボンブラックに替えて四級アンモニウム(アデカサイザーLV70:旭電化工業社製)3質量部、シリカをOX50(日本アエロジル社製、体積平均粒径30nm)100質量部に変更して材料を調製した。第1ゴム層の層厚が1.8mmに、第2ゴム層の層厚が1.7mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。
これら以外は実施例17と同様にして帯電ローラ19を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0137】
[実施例20]
第1ゴム層用材料において、炭酸カルシウムの添加量を130質量部に変更して材料を調製した。第2ゴム層用材料を以下のようにして調製した。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)に替えてEPDM(EPT4045:三井化学社製)を用い、表8に示す成分を加えて、温度80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
【0138】
【表8】

【0139】
次いで、加硫剤として硫黄1質量部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)1質量部及びテトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)1質量部を添加した。温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、第2ゴム層用材料を準備した。得られたゴム層用材料を用い、第1ゴム層の層厚が1.5mmに、第2ゴム層の層厚が2.0mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。また、研磨の際はゴムの剥がれがないように注意して研磨機の回転数を調整した。
これら以外は実施例2と同様にして帯電ローラ20を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0140】
[実施例21]
第1ゴム層の層厚が1.6mmに、第2ゴム層の層厚が1.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例20と同様にして帯電ローラ21を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0141】
[実施例22]
第1ゴム層の層厚が1.4mmに、第2ゴム層の層厚が2.1mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例20と同様にして帯電ローラ22を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0142】
[実施例23]
[基体]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製基体に、プライマーとしてフッ素系樹脂(FC4430:住友スリーエム社製)を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
[弾性層用材料]
ポリオール加硫二元系フッ素ゴム(ダイエルG−755L:ダイキン工業株式会社製)100質量部に対して、下記表9に記載の成分を加えて、温度50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、第1ゴム層用材料を得た。
【0143】
【表9】

【0144】
第2ゴム層用材料は、実施例20と同様にして準備した。
【0145】
[帯電ローラ]
図7に示す、2層同時クロスヘッド押出機の1本の押出機のみを用いて、上記基体と共に、第1ゴム層材料を基体を中心軸として押出し、基体の外周に未加硫の第1ゴム層を積層したローラを作製した。押出外径は9mmに調整した。第2ゴム層用材料を、厚さ約2mmのシート状に成型し、前記のローラに巻きつけた。端部を除去して、内径が12.5mmの円筒形キャビティを有する金型に設置して、温度160℃で15分間加熱後、金型から脱型し、更に温度170℃の熱風炉で10分加熱して二次加硫を施した。
【0146】
ゴム長さは、224.2mmとし、外径が12mmのローラ形状になるよう弾性層外周面を、ランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨して弾性ローラを得た。研磨の際はゴムの剥がれないように注意して研磨機の回転数を調整した。この弾性ローラに実施例2と同様にして表面層を形成して帯電ローラ23を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0147】
[実施例24]
第1ゴム層用材料において、炭酸カルシウム及びカーボンブラックに替えて、酸化スズ(S−1:三菱マテリアル電子化成社製、平均粒径30nm)100質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、第1ゴム層用材料を準備した。第2ゴム層用材料において、EPDMに替えてスチレンブタジエンゴム(SBR)(JSR1503:JSR社製)を用い、ステアリン酸亜鉛の添加量を1質量部に変更し、炭酸カルシウム及びパラフィンオイルを用いなかった。
これら以外は実施例20と同様にして、材料を調製した。得られた材料を用い、第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例2と同様にして、帯電ローラ24を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0148】
[実施例25]
第1ゴム層用材料において、酸化スズの添加量を80質量部に変更した以外は、実施例24と同様にして弾性ローラを調製した。以下のように調製した表面層塗布液を用いて、表面層を形成した。ポリビニルブチラールにエタノールを加え、固形分が20質量%となるように調整した。この溶液500質量部(ポリビニルブチラール固形分100質量部)に対して、表10に示す成分を加え、混合溶液を調整した。
【0149】
【表10】

【0150】
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液190.4gを、メディアとしての体積平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散した。分散した後、平均粒径が6μmのポリメチルメタクリレート樹脂粒子を3.2g添加した(ポリビニルブチラール固形分100質量部に対して、10質量部相当量)。これら以外は実施例24と同様にして帯電ローラ25を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0151】
[実施例26]
第1ゴム層用材料において、EPDM(EPT4045:三井化学社製)10質量部添加し、酸化スズの添加量を150質量部に変更して材料を調製した。それ以外は実施例25と同様にして帯電ローラ26を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0152】
[実施例27]
第1ゴム層用材料において、エピクロルヒドリンゴム(EO−EP−AGC三元共重合体の添加量を50質量部に変更し、EPDM(EPT4045:三井化学社製)をアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(DN219:日本ゼオン社製)50質量部に変更し、酸化スズの添加量を170質量部に変更した。これら以外は実施例26と同様にして、材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるようにクロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。
これら以外は実施例26と同様にして帯電ローラ27を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0153】
[実施例28]
第1ゴム層の層厚が2.2mmに、第2ゴム層の層厚が1.3mmになるようにクロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例27と同様にして帯電ローラ28を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0154】
[実施例29]
第2ゴム層用材料において、カーボンブラックをトーカブラック#5500(東海カーボン社製、平均粒径25nm)50質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.5mmに、第2ゴム層の層厚が1.0mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。それ以外は実施例2と同様にして帯電ローラ29を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0155】
[実施例30]
第2ゴム層用材料において、カーボンブラックをトーカブラック#4300(東海カーボン社製、平均粒径25nm)42質量部に変更し、カーボンブラックの添加量を60質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.6mmに、第2ゴム層の層厚が0.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径が12mmになるように調整した。これら以外は実施例2と同様にして帯電ローラ31を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0156】
[実施例31]
第1ゴム層用材料において、炭酸カルシウムの添加量を150質量部に変更し、第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を60質量部に変更した以外は、実施例29と同様にして材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例29と同様にして帯電ローラ32を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0157】
[実施例32]
第2ゴム層用材料において、カーボンブラックの添加量を100質量部に変更した以外は、実施例31と同様にして材料を調製した。第1ゴム層の層厚が2.2mmに、第2ゴム層の層厚が1.3mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例31と同様にして帯電ローラ33を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0158】
[実施例33]
第1ゴム層の層厚が2.5mmに、第2ゴム層の層厚が0.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径が11.8mmになるように調整した。これら以外は実施例32と同様にして帯電ローラ34を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0159】
[実施例34]
第1ゴム層用材料において、エピクロルヒドリンゴムをEO−EP−AGC三元共重合体、EO/EP/AGE=40mol%/56mol%/4mol%に変更し、カーボンブラックを用いない以外は、実施例2と同様にして、第1ゴム層用材料を調製した。第2ゴム層用材料を実施例25と同様にして調製した。第1ゴム層の層厚が2.3mmに、第2ゴム層の層厚が0.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径が11.4mmになるように調整した。
これら以外は実施例25と同様にして帯電ローラ34を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0160】
[実施例35]
第1ゴム層用材料において、カーボンブラック(サーマックスフローフォームN990:カナダCancarb社製、体積平均粒径270nm)を5質量部添加した以外は実施例34と同様にして第1ゴム層用材料を調製した。第2ゴム層用材料を炭酸カルシウムを添加しない以外は実施例2と同様にして調製した。
【0161】
第1ゴム層の層厚が1.7mmに、第2ゴム層の層厚が1.8mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。これら以外は実施例25と同様にして帯電ローラ35を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0162】
[実施例36]
第1ゴム層用材料は、酸化スズをカーボンブラック(トーカブラック#7360SB:東海カーボン社製、体積平均粒径28nm)5質量部に変更した以外は実施例20と同様にして調製した。第2ゴム層用材料は、カーボンブラックの添加量を15質量部に、炭酸カルシウムの添加量を20質量部に変更した以外は、実施例20と同様にして調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.0mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した。研磨の際は、ゴムの剥がれないように注意して研磨機の回転数を調整した。これら以外は実施例35と同様にして帯電ローラ36を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0163】
[実施例37]
第1ゴム層の層厚が3.5mmに、第2ゴム層の層厚が0.9mmになるよう、クロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径が13.8mmになるように調製した。これ以外は実施例36と同様にして帯電ローラ37を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0164】
[実施例38]
第1ゴム層用材料は、酸化スズをカーボンブラック(トーカブラック#7360SB:東海カーボン社製、体積平均粒径:28nm)50質量部に変更した以外は実施例23と同様にして調製した。
【0165】
第2ゴム層材料はシリカを添加せず、カーボンブラックの添加量を50質量部に変更した以外は実施例17と同様にして調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるようにゴムシートの厚さを調整した。これら以外は実施例23と同様にして帯電ローラ38を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0166】
[実施例39]
第1ゴム層の層厚が1.1mmになるように、クロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、第2ゴム層の層厚が1.4mmになるようにゴムシートの厚さを調整し、弾性ローラの外径を10.0mmとなるようにした。それ以外は実施例38と同様にして帯電ローラ39を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0167】
[実施例40]
第1ゴム層の層厚が1.5mmに、第2ゴム層の層厚が2.0mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整した以外は実施例24と同様にして、帯電ローラ40を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0168】
[実施例41]
第1ゴム層用材料を表11に示す物質を混合して調製した。
【0169】
【表11】

【0170】
円筒形キャビティを有する金型に実施例1と同様に調製した基体をセットし、第1ゴム層用材料を注入し、100℃の熱風炉にて30分加熱し、外径が11mmになるよう調整し第1ゴム層を被覆したローラを作製した。
【0171】
また、実施例38と同様に調製した第2ゴム層用材料を厚さ約1mmのシート状に成形した。これら以外は実施例23と同様にして第2ゴム層を調製し、帯電ローラ41を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0172】
[実施例42]
第1ゴム層用材料は、酸化スズの添加量を170質量部に変更した以外は実施例23と同様にして調製した。第2ゴム層材料はSBRに替えてブタジエンゴム(BR)(JSR BR01:JSR社製)に変更し、シリカを添加せず、カーボンブラックの添加量を100質量部に変更した以外は実施例17と同様にして調製した。
【0173】
第1ゴム層の層厚が2.3mmになるよう、クロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、第2ゴム層の層厚が1.2mmになるようにゴムシートの厚さを調整し、弾性ローラの外径が12.0mmになるように調製した。これら以外は実施例23と同様にして帯電ローラ42を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0174】
[実施例43]
第1ゴム層用材料は、酸化スズをカーボンブラック(トーカブラック#7360SB:東海カーボン社製、体積平均粒径:28nm)30質量部に変更した以外は実施例23と同様にして調製した。第2ゴム層材料は実施例42と同様にして調製した。これら以外は実施例41と同様にして帯電ローラ43を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0175】
[実施例44]
第1ゴム層用材料は、カーボンブラックを添加せず、第2ゴム層用材料はカーボンブラックに替えて四級アンモニウム塩(アデカサイザーLV70:旭電化工業社製)を2質量部に用いた以外は、実施例7と同様に調製した。
【0176】
また、第1ゴム層の層厚が2.5mmに、第2ゴム層の層厚が1.0mmになるようにクロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を12mmとした。これら以外は、実施例7と同様にして、帯電ローラ44を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0177】
上記実施例2〜44の測定および算出の結果を表12及び13に示す。また、上記実施例2〜44の画像評価の結果を表14に示す。
【0178】
[比較例1]
第1の弾性層用材料において、カーボンブラック(サーマックスフローフォームN990:カナダCancarb社製、体積平均粒径270nm)を5質量部添加した以外は実施例35と同様にして第1の弾性層用材料を調製した。
【0179】
第2ゴム層用材料については、カーボンブラックの添加量を48質量部に変更した以外は実施例9と同様にして調製した。第1ゴム層の層厚が1.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.6mmになるように、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を10.2mmとした。これら以外は実施例25と同様にして、帯電ローラ45を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0180】
[比較例2]
第1ゴム層用材料はカーボンブラックを添加せずに調製し、第2ゴム層用材料はカーボンブラックに替えて四級アンモニウム塩(アデカサイザーLV70:旭電化工業社製)を2質量部用いた以外は比較例1と同様に調製した。第1ゴム層の層厚が1.5mmに、第2ゴム層の層厚が2.0mmになるように、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を12.0mmとなるようにした。これら以外は比較例1と同様にして帯電ローラ46を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0181】
[比較例3]
第1ゴム層の層厚が1.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.6mmになるよう、クロスヘッド押出機のスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を10.2mmに調製した。これら以外は比較例2と同様にして帯電ローラ47を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0182】
[比較例4]
第1ゴム層用材料にカーボンブラックを添加しない以外は、実施例36と同様に調製した。第2ゴム層用材料については、炭酸カルシウムを添加せず、また、カーボンブラックの添加量を5質量部に変更した以外は実施例36と同様に調製した。第1ゴム層の層厚が1.8mmに、第2ゴム層の層厚が1.7mmになるように、クロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を12.0mmとなるようにした。これら以外は実施例36と同様にして帯電ローラ48を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0183】
[比較例5]
第1ゴム層用材料及び第2ゴム層用材料はカーボンブラックの添加量を20質量部に変更した以外は、比較例4と同様に調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.3mmになるように、クロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を11.6mmに調製した。これら以外は、比較例4と同様にして帯電ローラ49を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0184】
[比較例6]
第1ゴム層用材料について、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックを添加しなかった以外は、比較例1と同様にして調製した。第2ゴム層用材料については、カーボンブラックの添加量を50質量部に変更した以外は比較例5と同様に調製した。第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が3.5mmになるようにクロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を16.0mmに調製した。これら以外は、比較例1と同様にして帯電ローラ50を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0185】
[比較例7]
第1ゴム層用材料および第2ゴム層用材料として、比較例2の第2ゴム層用材料と同じものを調製した。また、第1ゴム層の層厚が2.0mmに、第2ゴム層の層厚が1.5mmになるようにクロスヘッド押出機のダイスとスクリュー部の回転数を調整し、弾性ローラの外径を12.0mmとなるようにした。これら以外は比較例1と同様にして、帯電ローラ51を作製し、各測定及び評価を実施例1と同様に行った。
【0186】
上記比較例1〜7の測定結果および評価結果を表12及び表13に示す。また、上記比較例1〜7の画像評価の結果を表15に示す。
【0187】
【表12】

【0188】
【表13】

【0189】
【表14】

【0190】
【表15】

【符号の説明】
【0191】
4 感光体(被帯電体)
5 帯電ローラ(帯電部材)
6 現像ローラ(現像装置)
7 転写材
9 定着装置
11 レーザー光
201 軸芯体(基体)
203−1 第1ゴム層
203−2 第2ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の基体と、導電性の弾性層と、表面層とを有する帯電部材であって、
該弾性層は、該基体側から第1ゴム層及び該第1ゴム層に積層される第2ゴム層を有し、
該第1ゴム層の固有振動数をfとし、該第2ゴム層の固有振動数をfとしたときの、固有振動数比(f/f)が、2.35以上、10.0以下であることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記fが、400Hz以上、1400Hz以下である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記第1ゴム層及び前記第2ゴム層がフィラーを含有する請求項1又は2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記第1ゴム層がフィラーとして、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛および酸化マグネシウムからなる群から選択される1つまたは2つ以上を含み、
前記第2ゴム層がフィラーとして、カーボンブラックおよびシリカから選択される一方または両方を含む請求項3に記載の帯電部材。
【請求項5】
前記第2ゴム層中のフィラーの体積平均粒径が、前記第1ゴム層中にフィラーの体積平均粒径よりも小さい請求項3又は4に記載の帯電部材。
【請求項6】
前記第1ゴム層が、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム及びフッ素ゴムからなる群から選択される1つまたは2つ以上のゴムを含み、
前記第2ゴム層が、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブタジエンゴムからなる群から選択される1つまたは2つ以上のゴムを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の帯電部材と、感光体とが一体化され、電子写真装置本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の帯電部材と、感光体とを有していることを特徴とする電子写真装置。
【請求項9】
前記帯電部材に交流電圧を印加する手段を有する請求項8に記載の電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−198535(P2012−198535A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52117(P2012−52117)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】