説明

帯電部材、帯電部材の製造方法および電子写真装置

【課題】感光体との間で十分なニップ幅を形成し得るだけの柔軟性を有しつつ、感光体にクリーニング不良を発生させにくい帯電部材の提供。
【解決手段】導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有する帯電部材であって、該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有しており、該領域は、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該弾性層の表面が粗面化されている帯電部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置等に使用される帯電部材、その製造方法ならびに電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体などの被帯電体の接触帯電に用いられる帯電部材には、被帯電体との均一なニップを確保し、被帯電体の傷付きを防止するために、ゴムや熱可塑性エラストマー等を含む弾性層が設けられているのが一般的である。しかし、かかる弾性層の表面には、トナーや外添剤が付着し易い。また、長期にわたって弾性層と感光体とが静止状態で当接した場合、弾性層の当接部分に永久変形が生じることがある。かかる課題に対して、特許文献1には、弾性層の表面に紫外線や電子線等のエネルギー線を照射して表面改質層を設けてなる帯電部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−160355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に係る帯電部材を検討した結果、感光体にクリーニング不良を生じさせることがあった。すなわち、感光体に発生するクリーニング不良とは、本来であれば弾性ブレードによって除去されるべき、感光体の表面の残留トナーが弾性ブレードをすり抜け、次の電子写真画像形成サイクルによって形成された電子写真画像の品位を低下させる現象をいう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、感光体との間で十分なニップ幅を形成し得るだけの柔軟性を有しつつ、感光体にクリーニング不良を生じさせにくい帯電部材およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有する帯電部材であって、該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有しており、該硬化された領域は、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該弾性層の表面が粗面化されている帯電部材が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、上記の帯電部材、および感光体を具備している電子写真装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有し、該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有しており、該硬化された領域は、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該弾性層の表面が粗面化されている帯電部材の製造方法であって、
(1)該支持体上に、該複合粒子を含むゴム層を形成する工程と、
(2)該ゴム層の表面を研摩して該複合粒子の一部分を露出させる工程と、
(3)該工程(2)によって得た、該複合粒子の一部分が露出した該ゴム層の表面に電子線を照射することによって、該ゴム層の表面を硬化させて前記弾性層を形成する工程と、を含む帯電部材の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光体との間で十分なニップ幅を形成し得るだけの柔軟性を有しつつ、クリーニング不良の発生を抑制した帯電部材およびその製造方法を得ることができる。
【0011】
また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】帯電ローラの構成例を示す模式的断面図である。
【図2】帯電部材を有する電子写真装置の概略構成例を示す図である。
【図3】本発明の帯電部材の表面形態の2つの例を示す模式的断面図である。
【図4】ユニバーサル硬さの測定結果の一例を示す図である。
【図5】電子線照射装置の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、上記特許文献1に係る帯電部材にクリーニング不良が発生した原因について検討を重ねた結果、その発生メカニズムを以下のように推定した。
【0014】
図2に帯電部材として帯電ローラを有する電子写真装置の概略構成例を示す。被帯電体としての電子写真感光体(以降、「感光体」と略)21は、導電性支持体21bと、支持体21b上に形成した感光層21aとからなり、ドラム形状を有する。そして、軸21cを中心に図上時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。帯電ローラ10は感光体21に接触配置されて感光体を所定の極性・電位に帯電(一次帯電)する。帯電ローラ10は、芯金11と、芯金11上に形成した弾性層12とからなり、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で感光体21に押圧されており、感光体21の回転駆動に伴い従動回転する。電源23で摺擦電源23aにより、芯金11の所定の直流(DC)バイアスが印加されることで感光体21が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ10で周面が帯電された感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。その静電潜像は、次いで、現像部材25により、トナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段26により不図示の給紙手段部から感光体21の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって感光体21と転写手段26との間の転写部へ搬送された転写材27に順次転写されていく。
【0015】
図2の転写手段26は転写ローラであり、転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで感光体21側のトナー画像が転写材27に転写されていく。表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、不図示の、転写部への再搬送手段へ搬送される。像転写後の感光体21の周面は、クリーニング部材(弾性ブレード)28で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化される。清浄面化された感光体21は次のサイクルの電子写真画像形成プロセスが行われることになる。
【0016】
上記の一連の電子写真画像の形成プロセスにおいて、帯電ローラは感光体とのニップ付近のギャップにおいて放電を生じさせることによって、感光体の表面を帯電している。その際に、帯電ローラの近傍に発生する放電生成物や感光体表面の摩耗粉等が感光体の表面に付着する。そして、それらが、帯電ローラと感光体とのニップにおいて感光体の表面に押し付けられることにより感光体の表面に蓄積されていく。
そして、感光体と弾性ブレードとの摩擦係数が徐々に上昇していく。やがて、感光体と弾性ブレードとの間の高い摩擦係数によって弾性ブレードが振動し始め、感光体の表面の残留トナーが十分に除去できなくなっていく。その結果、次のサイクルの電子写真画像形成プロセスは、表面に残留トナーが付着した感光体に行われることとなる。
【0017】
ここで、感光体と弾性ブレードとの間の摩擦係数の上昇は、弾性層を表面層として有する帯電ローラにおいて顕著に現れた。その理由は、弾性層を表面層として有する帯電ローラは、その表面が柔軟であるため、帯電ローラと感光体とのニップ部における接触面積が大きくなり、放電生成物等の摩擦係数の上昇を引き起こす物質(以降、「摩擦係数上昇物質」ともいう)を、感光体表面に、より固着させ易いことによるものと考えられる。
【0018】
そこで、本発明者らは、感光体との間で適度なニップを得るための柔軟性を有するにもかかわらず、感光体の表面に放電生成物を固着させにくい帯電部材を得ることを目的として種々の検討を行った。
【0019】
その結果、電子線の照射によって表面が硬化された領域が形成されており、かつ、この領域によって、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子の、少なくともその一部が表面に露出した状態で支持されており、当該複合粒子によって表面が粗面化されている構成を有する弾性層を表面層として有する帯電部材によって、上記の目的が達成できることを見出した。
【0020】
以下に、本発明に係る帯電部材の実施の形態を説明する。
【0021】
<帯電部材>
本発明に係る帯電部材は、導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有する。また、前記弾性層の表面は、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子により粗面化されている。また、前記弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有している。そして、上記複合粒子のうちの少なくとも一部の粒子について、各粒子の一部分(以下、単に複合粒子の一部分と記載する)が前記弾性層の表面に露出した状態で硬化された領域によって支持されている。
【0022】
帯電部材の形状は適宜選択することができ、ローラ形状やブレード形状等とすることができる。本明細書では、ローラ形状の帯電ローラに着目して説明を行う。
【0023】
なお、硬化された領域は、弾性層の表面全体に形成することができ、本発明の帯電部材が例えば帯電ローラの場合は、弾性層の外周面全体に形成することができる。
【0024】
図1は、本発明に係る、ローラ形状の帯電部材(以降、「帯電ローラ」と略)10の概略断面図である。帯電ローラ10は、導電性の支持体である芯金11と、芯金11上に形成した弾性層12とからなっている。本発明の帯電部材は、電子写真装置用帯電部材、例えば図2に示す電子写真装置の帯電ローラ10等として用いることができる。
【0025】
図3は本発明の帯電部材表面の形態を表す模式図である。本発明の帯電部材の弾性層はシリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子31を含有し、この複合粒子31により表面が粗面化されている。また、弾性層表面は電子線照射による硬化処理がなされており、前記複合粒子31の一部分は弾性層表面に露出すると共に、弾性層の硬化領域13により支持されている。
【0026】
複合粒子31が硬化領域13によって支持されている為、弾性層が感光体等の被帯電体に当接された場合でも、そのニップにおいて、複合粒子が弾性層内に埋没することはない。
【0027】
複合粒子31は、粒子表面が炭素を含む膜に覆われているために弾性層との親和性が高く、さらに多孔質粒子由来の細孔内部に弾性層中のゴム成分が侵入するため、帯電ローラ表面に保持しやすい。これにより、電子写真装置内で使用中に、感光体等の被帯電体と帯電部材との間で摩擦が生じた場合でも、帯電ローラ表面からの粒子の脱落を防ぐことができる。また、複合粒子31は、粒子内部にシリカを含有することで、粒子が硬くなり、砥石などを用いた研摩工程において粒子そのものが研削されにくく、ゴム層(弾性層)表面に存在することができる。
【0028】
結果的に、複合粒子31は、弾性層表面にその一部分を露出した状態で表面の凹凸形状を維持でき、感光体との接触面積を小さくすることができる。それにより、摩擦係数上昇物質を固着させ難くすることで、クリーニング不良が改善できる。
【0029】
なお、本発明の帯電部材では、全ての複合粒子が弾性層の表面にその一部分を露出していても良い。また、図3に示すように、全ての複合粒子31のうちの一部の複合粒子が弾性層表面にその一部分を露出していても良く、弾性層中に表面全体が包含された複合粒子が存在していても良い。
【0030】
(導電性の支持体)
導電性支持体は、その上に設けられる弾性層(通常、導電性弾性層)を支持し、帯電時に必要となる電流を導通させることが可能な電子写真装置の分野で公知の部材から適宜選択して用いることができる。導電性支持体の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅及びニッケル等の金属、これらの金属を含む炭素鋼、ステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金が挙げられる。
【0031】
(弾性層)
弾性層は、ベースポリマーやその架橋物と、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子とを含むことができる。ベースポリマーとしては、帯電部材の実使用温度範囲で弾性層にゴム弾性を持たせることのできる材料が用いられる。ベースポリマーとしては、熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性ゴムが挙げられる。
【0032】
熱硬化性ゴムは、原料ゴムに架橋剤を配合したゴム組成物であることができる。ここで、原料ゴムの具体例を以下に挙げる。天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンホモポリマー(CHC)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(CHR)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(CHR−AGE)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水添物(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)等。
【0033】
また、熱可塑性エラストマーの具体例を以下に挙げる。熱可塑性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー等。
【0034】
また、架橋剤としては、例えば、硫黄、ジクミルペルオキシド、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾキノンジオキシム等を挙げることができる。
【0035】
さらに、弾性層中には、導電剤、充填剤、加工助剤、老化防止剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、分散剤等を含有させることができる。
【0036】
特に断らない限り本明細書においては、弾性層とは、表面層としての弾性層(表面弾性層と称することもある)を意味する。本発明においては、導電性支持体に直接表面弾性層を形成しても良いし、導電性支持体と表面弾性層との間に、他の層(例えば、接着層)を形成しても良い。
【0037】
また、弾性層を多層化すること(表面弾性層の他に弾性層を一層以上有すること)も可能である。ただし、弾性層を多層化する場合は最表面に多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を含有する層(表面弾性層)を形成する必要がある。また、弾性層を多層化する場合は、後述するチューブ状に押出す方法、あるいはクロスヘッドを使用して押出す方法において、多層押出機を使用して各層を同時成形することが好ましい。本発明においては生産工程を簡素化する効果を最大とする為に、弾性層は単一層(表面弾性層のみ)であることが最も好ましい。
【0038】
弾性層に含有される複合粒子としては、シリカ(SiO)を含む多孔質粒子の表面全体を炭素を含む膜で被覆したものや部分的に被覆したものを挙げることができる。シリカを含む多孔質粒子は、多孔質構造を有しかつシリカを含有する粒子であれば良く、例えば、籾殻や米糠油の搾油後に残る脱脂糠を適宜粉砕したものや、多孔質シリカ粒子を用いることができる。籾殻や脱脂糠は、多孔質構造を有しかつシリカを多く含有しており、適度な温度で燃焼させると、シリカ含有率は90質量%を超えることができる。なお、シリカを含む多孔質粒子や複合粒子として、単一種類を用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0039】
また、上記多孔質粒子は、シリカのみからなることもでき、また、シリカの他にKO、NaO、CaO、MgO、Feを含むことができる。
【0040】
なお、多孔質粒子中のシリカの含有量は、粒子の硬度の観点から80質量%以上とすることが好ましく、95質量%以上とすることがより好ましい。この多孔質粒子中のシリカ含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光光度分析により特定することができる。
【0041】
炭素を含む膜は、有機物(例えば、熱硬化性樹脂、スクロースなどの糖類、石炭ピッチなどのビチューメン類)を炭化させた炭化膜であることができる。なお、この膜中の炭素原子の含有量は、弾性層との親和性の観点から50質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましい。この膜中の炭素含有量は、EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)分析により特定することができる。
【0042】
なお、上記炭素を含む膜は、炭素のみからなることもでき、また、炭素の他に窒素、酸素、ケイ素、硫黄、水素、ナトリウム、カリウム、塩素、臭素、リン、マグネシウム等の元素を含むこともできる。
【0043】
また、炭素を含む膜の厚みは、弾性層との親和性の観点から50nm以上、細孔形状を保つ観点から10μm以下が好ましい。この膜の厚みはTEM(Transmission Electron Microscope)観察により特定することができる。
【0044】
本発明では、例えば、熱硬化性樹脂と、シリカを含む多孔質粒子とを混合し、焼成させることで複合粒子を形成することができる。即ち、複合粒子は、多孔質シリカ粒子の表面や、粉砕した籾殻や脱脂糠の表面を、熱硬化性樹脂で被覆し焼成させた粒子、即ち炭化樹脂膜でシリカを含む多孔質粒子の表面全体が被覆された粒子であることができる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂を挙げることができる。
【0045】
以下に、複合粒子の作製方法を具体的に説明する。
【0046】
原材料(多孔質粒子:例えば籾殻や脱脂糠の粉砕された粉体をメッシュで篩に掛けたもの)にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を、原材料と熱硬化性樹脂の合計質量に対して5〜50質量%添加し、混合する。この熱硬化性樹脂の混合工程では、原材料と熱硬化性樹脂の混入に平行して、水の適量添加や、海藻糊料や澱粉などの繋ぎ剤を適量混合した水溶液を加えてペースト状となるようにする。熱硬化性樹脂と原材料を混合した後、筒型造粒機等の公知の造粒機を使って造粒しながら、60〜80℃まで昇温して揮発分を抜いて乾燥させた上、造粒物を5メッシュで篩に掛け、粒状混合物を得る。
【0047】
その後、800〜1400℃まで昇温させ、粒上混合物を不活性ガス下で焼成、炭化し、焼成物をえる。得られた焼成物を粉砕した後、篩や分級機にかけ、所望の粒径にし、多孔質シリカ粒子の表面が炭素で被覆された複合粒子が得られる。
【0048】
粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(いずれも商品名、ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(商品名、日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(商品名、栗本鉄工所社製);ウルマックス(商品名、日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(商品名、セイシン企業社製);クリプトロン(商品名、川崎重工業社製);ターボミル(商品名、ターボエ業社製);スーパーローター(商品名、日清エンジニアリング社製)が挙げられる。
【0049】
分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(いずれも商品名、セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(商品名、日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(いずれも商品名、ATP)、TSPセパレータ(商品名、ホソカワミクロン社製);エルボージェット(商品名、日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(商品名、日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(商品名、安川商事社製)が挙げられる。
【0050】
粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(商品名、晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(いずれも商品名、徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(商品名、ダルトン社製);ソニクリーン(商品名、新東工業社製);ターボスクリーナー(商品名、ターボエ業社製);ミクロシフター(商品名、槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0051】
本発明に用いる複合粒子の構造は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察とEDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)分析により確認することができる。
【0052】
具体的な方法を以下に示す。まず、作製した複合粒子をエポキシ樹脂中で分散、包埋処理する。次に、クライオシステム(商品名:「REICHERT−NISSEI−FCS」、ライカ社製)によりダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトーム(商品名:「EM−ULTRACUT・S」、ライカ社製)により、薄膜切片を作製する。この時、薄膜切片のサイズは0.2mm×0.7mmとする。その後SEMにより粒子断面の観察を実施し、EDX分析により、解析を行う。
【0053】
・装置:S4700(商品名、株式会社日立製作所製)
・加速電圧:20kV
・倍率:5000倍。
【0054】
上述した方法で作製した複合粒子に対してこの分析を行うと、複合粒子表面に炭素を主成分とする層を有し、内部(例えば、複合粒子の中心部分)にシリカを主成分とする粒子を有することを確認することができる。
【0055】
複合粒子の細孔径は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JEOL LV5910)で観察、画像撮影を実施し、撮影画像を画像解析ソフト(商品名:Image−Pro Plus、プラネトロン社製)を用いて解析することで特定できる。解析は写真撮影時のミクロンバーから単位長さあたりの画素数をキャリブレーションし、写真から無作為に選択した50個の粒子について、画像上の画素数から定方向径を測定する。この時、1つの粒子中の撮影画像上で確認できる細孔について全てカウントする。
【0056】
複合粒子の細孔径は0.5μm以上、特には、1.0μm以上であることが好ましい。細孔径が0.5μm以上であれば、細孔中に、弾性層に用いたベースポリマー等の構成している材料が入り込むことで、ローラ表面上への保持がしやすくなっている。また、複合粒子の細孔径は20μm以下であることが好ましい。
【0057】
弾性層中の複合粒子の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して、1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。1質量部以上であれば、感光体等の被帯電面との接触面積を容易に充分小さくすることができる。5質量部以下であれば、硬度が上昇することで、帯電ローラ表面にトナーや外添剤が付着し易くなることによる耐久画像不良の発生を抑制することが容易となる。
【0058】
本発明に用いる複合粒子は、重量平均粒子径が5μm以上70μm以下であることが好ましい。重量平均粒子径が、5μm以上であれば、感光体等の被帯電面との接触面積を容易に充分小さくすることができる。また、70μm以下であれば、粒子径が大きいことによる感光体等の被帯電面の擦りキズによる画像不良を容易に抑制することができる。
【0059】
なお、複合粒子の重量平均粒子径は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(商品名、シスメックス社製)によって測定した、円相当径の重量平均値を意味する。
【0060】
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として商品名:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料(複合粒子)を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば商品名:「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
【0061】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(商品名、シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、LPF測定モードで、定量カウントモードにて粒子径を計測する。
【0062】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の商品名:「RESEARCH AND TEST PARTICLESLatex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【0063】
なお、後述の実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。
【0064】
本発明では複合粒子によって、弾性層の表面は粗面化されており、粗面化の程度としては、帯電部材表面の十点平均粗さRzが3μm以上30μm以下であることが好ましい。Rzを上記の数値範囲内とすることによって感光体との接触面積が増えることによるクリーニング性の低下、および、表面への汚れの付着を、より確実に抑制することができる。なお、Rzは、JIS B0601:1982に基づいて測定することができる。
【0065】
<帯電部材の製造方法>
本発明に係る帯電部材の製造方法は以下の工程を有する。
(1)導電性の支持体上に、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を含むゴム層を形成する工程。
(2)このゴム層の表面を研摩して複合粒子の一部分を表面に露出させる工程。
(3)工程(2)によって得た、複合粒子の一部分が露出したゴム層の表面に電子線を照射することによって、このゴム層の表面を硬化させて弾性層を形成する工程。
以下に各工程を説明する。
【0066】
(工程1)
まず、導電性の支持体上に、上記複合粒子を含むゴム層を形成する。なお、ゴム層とは、上記複合粒子を含む混合物(ベースポリマーおよび添加剤等を含むことができる)を所定の形状に成形したものであることができる。以下に、工程1の具体例を説明する。
【0067】
まず、弾性層を構成するベースポリマー(熱硬化性ゴムや熱可塑性エラストマー)と複合粒子との混合物を調製する。なお以降、ベースポリマーに熱硬化性ゴムを用いた場合のこの混合物、即ち熱硬化性ゴムの加硫前組成物を未加硫ゴム組成物と称する。続いて、導電性の支持体上に、得られた混合物を所定の形状に成形し、必要に応じて架橋操作等を行い固化し、ゴム層を形成する。以降、熱硬化性ゴムからなり、加硫前の形状を成形したものを未加硫ゴムローラと称し、熱硬化性ゴムの加硫後のローラを加硫ゴムローラと称する。
【0068】
ゴムローラの形成方法としては、以下の例が挙げられる。ゴム組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これに芯金を挿入する方法。ゴム組成物を、クロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、所望の外径の成形体を得る方法。射出成形機を使用して、ゴム組成物を所望の外径の金型内部に注入して成形体を得る方法等である。中でも、クロスヘッド押出機を使用した押出成形法は連続生産が容易で、工程数が少なく、低コストでの製造に適している為、最も好ましい。
【0069】
ゴム材料(ベースポリマー)が熱硬化性ゴムの場合には成形後に加硫を行う。加硫は加熱処理によって行われ、加熱装置としてはギアオーブンによる熱風炉加熱、遠赤外線による過熱加硫、加硫缶による水蒸気加熱などを挙げることができる。中でも熱風炉加熱や遠赤外線過熱などが連続生産可能な為好ましい。
【0070】
(工程2)
続いて、ゴムローラのゴム層表面を研磨処理することによって、ゴム層の表面に複合粒子の一部分を露出させる。複合粒子は粒子内部にシリカを含有しており、硬いため、砥石などを用いた研摩工程において粒子そのものが研削されにくく、ゴム層表面に存在することができる。ゴムローラ表面の研削方法の例としては、砥石をローラの長軸方向に移動して研削するトラバースの研削方式と、ローラを芯金軸を中心に回転させながらローラ長さより幅広の砥石で切り込むプランジカットの研削方式が挙げられる。プランジカットの円筒研削方式はゴムローラの全幅を一度に研削できる利点があり、トラバースの円筒研削方式より加工時間が短くすることができるため、より好ましい。
【0071】
(工程3)
最後に、研摩した後のゴム層の表面(ゴムローラ表面)に電子線を照射して、表面の硬化処理を行い、表面に硬化された領域を有する弾性層を形成する。
【0072】
図5に電子線照射装置の概略図を示す。本発明に用いることのできる電子線照射装置としては、研摩後のゴムローラを回転させながらローラ表面に電子線を照射するものを好適に用いることができる。例えば、図5に示すように、電子線発生部51と照射室52と照射口53とを備えるものである。
【0073】
電子線発生部51は、電子線を発生するターミナル54と、ターミナル54で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管55とを有するものである。また電子線発生部の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、不図示の真空ポンプ等により10−3Pa以上10−6Pa以下の真空に保たれている。不図示の電源によりフィラメント56に電流を通じて加熱するとフィラメント56は熱電子を放出し、この熱電子のうち、ターミナル54を通過したものだけが電子線として有効に取り出される。
【0074】
そして、電子線の加速電圧により加速管55内の加速空間で加速された後、照射口箔57を突き抜け、照射口53の下方の照射室52内を搬送される研摩後のゴムローラ58に照射される。研摩後のゴムローラ58に電子線を照射する場合には、照射室52の内部は窒素雰囲気とすることができる。また、研摩後のゴムローラ58はローラ回転用部材59で回転させて照射室内を搬送手段により、図5において左側から右側に移動する。尚、電子線発生部51及び照射室52の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、不図示の鉛遮蔽が施されている。
【0075】
照射口箔57は金属箔からなり、電子線発生部内の真空雰囲気と照射室内の空気雰囲気とを仕切るものであり、また照射口箔57を介して照射室内に電子線を取り出すものである。上述したように、ローラの照射に電子線を応用する場合には、ローラが電子線を照射される照射室52の内部は窒素雰囲気とすることができる。よって、電子線発生部51と照射室52との境界に設ける照射口箔57は、ピンホールがなく、電子線発生部内の真空雰囲気を十分維持できる機械的強度があり、電子線が透過しやすいことが望ましい。
【0076】
その為、照射口箔57は比重が小さく、肉厚の薄い金属が望ましく、通常、アルミニウムやチタン箔が使用される。電子線による効果処理条件は電子線の加速電圧と線量によって決定される。加速電圧は硬化処理深さ(硬化処理厚さ、または硬化領域の厚みとも呼ぶ)に影響し、本発明に用いる加速電圧の条件としては、低エネルギー領域である40kV以上300kV以下が好ましい。40kV以上であれば、本発明の効果を得る為の充分な硬化処理深さを容易に得ることができる。また、300kV以下とすることで、電子線照射装置が大型化して装置コストが増大する事を特に抑えることができる。さらに好ましい加速電圧の条件としては80kV以上150kV以下である。
【0077】
電子線照射における電子線の線量は、下記式(1)で定義される。
D = (K・I)/V ・・・・・・ (1)
ここで、Dは線量(kGy)、Kは装置定数、Iは電子電流(mA)、Vは処理スピード(m/min)である。装置定数Kは、装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標である。装置定数Kは一定の加速電圧の条件で、電子電流と処理スピードを変えて線量を測定することによって求めることができる。電子線の線量測定は、線量測定用フィルムをローラ表面に貼り付け、これを実際に電子線照射装置で処理し、ローラ表面の測定用フィルムをフィルム線量計により測定することができる。その際、線量測定用フィルムは商品名:FWT−60、フィルム線量計は商品名:FWT−92D型(いずれもFar West Technology社製)を使用することができる。
【0078】
本発明に用いる電子線の線量は30kGy以上3000kGy以下が好ましい。30kGy以上であれば本発明の効果を得る為に充分な表面硬度を容易に得ることができる。また、3000kGy以下とすることで、電子線照射装置が大型化すること、または処理時間が増大することによる製造コストの増大を特に抑えることができる。さらに好ましい電子線量の条件としては200kGy以上2000kGy以下である。
【0079】
本発明において弾性層表面に露出している複合粒子は電子線により硬化された領域によって支持されている。
【0080】
図3には本発明の帯電ローラ表面の形態を模式図として表しているが、(a)は硬化領域の厚みが厚い場合を、(b)は硬化領域の厚みが薄い場合を示している。
【0081】
この硬化領域の厚みについては特に規定されるものではないが、使用する複合粒子の重量平均粒子径の0.5倍以上であって、かつ、200μm以下であることが好ましい。
【0082】
硬化領域の厚みを、複合粒子の重量平均粒子径の0.5倍以上とすることによって、帯電部材の表面に露出している複合粒子が、感光体とのニップにおいて弾性層内に埋没することをより確実に抑制することができる。
【0083】
また、硬化領域の厚みを200μm以下とすることで、帯電部材の内部硬度が高くなることによる感光体とのニップの幅が過度に狭くなることを抑制することができる。
【0084】
前述したように、電子線による硬化処理深さは加速電圧によって変化する。また一般的に、被照射物質の密度によっても電子線の透過深さが異なることが知られている。そのため、実際の硬化処理深さを確認する方法としてはユニバーサル硬度計を使用した表面硬度の測定を挙げることができる。
【0085】
ユニバーサル硬度とは、圧子を、荷重をかけながら測定対象物に押し込むことにより求められる物性値であり、(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の表面積)(N/mm)として求められる。このユニバーサル硬度の測定は、例えば、Fischer社製超微小硬度計H−100V(商品名)等の硬度測定装置を用いて行うことが可能である。この測定装置では、四角錘などの圧子を、所定の比較的小さい試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、所定の押し込み深さに達した時点でその押し込み深さから圧子が接触している表面積を求め、上記式よりユニバーサル硬度を求めるものである。つまり、定荷重測定条件で圧子を被測定物に押し込んだ際に、押し込まれた深さに対するそのときの応力をユニバーサル硬度として定義するものである。
【0086】
図4にはユニバーサル硬さの測定結果の一例を示す。グラフの横軸は押し込み深さ(μm)であり、縦軸は硬度(N/mm)である。図4より、押し込み深さに対する硬度変化が小さく、直線領域である横軸150μm以上200μm以下の測定領域から外挿される直線と測定曲線とのずれが生じる点の横軸値を硬化領域13の厚みとして定義することが出来る。なお、図4の測定例の硬化領域の厚みは50μmである。
【0087】
また、このような、ローラ表面から例えば10μm以上の深さの硬化領域を一層の弾性層中に作製できることが、電子線処理の特徴である。
【0088】
電子線照射を行った帯電ローラは、通常、弾性層の内部が柔らかく、弾性層表面のみに帯電ローラの半径方向に硬度の傾斜がある(具体的には、弾性層表面が最も硬く、弾性層内部に近づくに連れて柔らかくなる)硬化領域が形成される。この帯電ローラをユニバーサル硬度計で測定すると、図4のような測定結果が得られる。即ち、帯電部材の弾性層が電子線の照射によって硬化された領域を有していることは、ユニバーサル硬度計により確認することができる。
【実施例】
【0089】
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を用いた。
【0090】
<複合粒子No.1〜4の調製>
本発明に係る、シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を以下の方法により作製した。
【0091】
まず、原材料として、脱脂糠を70メッシュで篩に掛けたものを用意した。これに、フェノール樹脂(商品名:GA−1364A、DIC社製)を、原材料とフェノール樹脂との合計質量に対して25質量%となるように添加し、混合した。
【0092】
その後、温度90℃に加熱し、造粒して、5メッシュの篩に掛け、粒状混合物を得た。
【0093】
この粒状混合物をロータリーチューブファーネスにて、窒素ガス下で焼成した。なお、焼成は、室温(約25℃)から500℃までは、1℃/分の割合で昇温した。そして、500℃で1時間静置し、次いで、温度900℃までは、2℃/分の割合で昇温させた。そして、900℃で2時間静置した。その後、室温に冷却し、焼成物を得た。ここで、900℃から室温までの冷却は、2℃/分の割合で行った。
【0094】
得られた焼成物を気流分級手段を備えた粉砕機を用いて粉砕および分級を行って、下記表1に示す重量平均粒子径、および、細孔径を有する複合粒子No.1〜4を得た。
【0095】
【表1】

【0096】
〔実施例1〕
下記表2に示す材料を、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いて、充填率70vol%、ブレード回転数30min−1(rpm)で16分間混合してA練りゴム組成物を得た。
【0097】
【表2】

【0098】
次いで、下記の表3に示す材料を、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールにて、A練りゴム組成物と混合した。この時、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpm、ロール間隙2mmで、左右の切り返しを合計20回実施し、その後、ロール間隙を0.5mmとして薄通し10回を行い、弾性層用の未加硫ゴム組成物を得た。
【0099】
【表3】

【0100】
(加硫ゴム層の成形)
直径6mm、長さ244mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部222mmに導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所製)を塗布し、80℃で30分間乾燥した。次に、上記未加硫ゴム組成物を、クロスヘッドを用いた押出成形によって、芯金を中心として同軸状に円筒形に同時に押出し、芯金の外周に未加硫ゴム組成物がコーティングされた直径8.8mmの未加硫ゴムローラを作製した。
【0101】
その際、押出機は、シリンダー直径45mm(Φ45)、L/Dが20の押出機を使用し、押出時の温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。成形した未加硫ゴムローラの未加硫ゴム組成物の層の両端を切断し、未加硫ゴム組成物の層の軸方向幅を226mmとした。
【0102】
その後、電気炉にて160℃で40分間加熱して未加硫ゴム組成物の層を加硫ゴム層とした。続いて、加硫ゴム層の表面をプランジカットの研削方式の研磨機で研磨し、端部直径8.35mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状の複合粒子の一部が露出した加硫ゴム層を有する加硫ゴムローラを得た。
【0103】
(研摩後の加硫ゴム層の表面硬化処理)
得られた研摩後の加硫ゴムローラの表面(加硫ゴム層表面)に電子線を照射して硬化処理を行い、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:150kV、電子電流:35mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmであった。この際、電子線照射装置の加速電圧150kVにおける装置定数は37.8であり、式(1)より算出される線量は1323kGyであった。
【0104】
(硬化処理厚さの測定)
帯電ローラの表面硬度をユニバーサル硬度計にて測定することにより、硬化処理厚さを測定した。測定は超微小硬度計(商品名:H−100V、Fischer社製)を用いて行い、圧子は四角錘型ダイヤモンドを用いた。押し込み速度は下記式(2)の条件である。
dF/dt = 1000mN/240s ・・・・(2)
(上記式(2)中、Fは力、tは時間を表す)
図4に示すように、押し込み深さに対する硬度変化が小さい横軸150μm以上200μm以下の測定領域から外挿される直線と測定曲線とのずれが生じる点の横軸値を硬化領域の厚みとして求めたところ、硬化領域の厚さは90μmであった。
【0105】
(表面粗さの測定)
帯電ローラ(弾性層)表面の十点平均粗さRzを測定した。測定は、日本工業規格(JIS) B0601:1982に基づき、表面粗さ測定器(商品名:サーフコーダーSE3400、小坂研究所社製)を用いて行った。測定には、先端半径2μmのダイヤモンド製接触針を用いた。測定条件は以下の通りとした。
・測定スピード:0.5mm/s、
・カットオフ周波数λc:0.8mm、
・基準長さ:0.8mm、
・評価長さ:8.0mm。
【0106】
測定は帯電ローラ1本当たり、軸方向3点×周方向2点の計6点について各々粗さ曲線を測定してRzの値を算出し、それらの6点のRzの平均値を求めて帯電ローラのRzの値とした。その結果、Rzは5.4μmであった。
【0107】
(画像評価)
評価に用いる電子写真装置として、レーザービームプリンター(商品名:LaserJet P1005 ヒューレット・パッカード製、A4紙縦出力用、クリーニング部材として弾性ブレードを使用)を用意した。当該レーザービームプリンター用のプロセスカートリッジに、上記で作製した帯電ローラを組み込み、上記のレーザ−ビームプリンターに装填した。温度23℃、相対湿度50%の環境下で、ハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)を1枚出力した。これを初期のハーフトーン画像と称する。
【0108】
次に、1枚の電子写真画像を出力した後、電子写真感光体の回転を完全に停止させ、再び画像形成の動作を再開するという間欠的な画像形成動作を繰り返して2000枚の電子写真画像を出力するという耐久試験を行った。このときに出力した画像は、2ドットの横線後に118ドットの余白が繰り返される、罫線状の画像である。次いで、再び、ハーフトーン画像を1枚出力した。これを耐久試験後のハーフトーン画像と称する。そして、得られた2枚のハーフトーン画像について、目視にて、帯電ムラに起因する濃度ムラの有無およびその程度を観察し、以下の基準にて評価した。
【0109】
(評価1)帯電性能(初期、耐久後)の評価
上記で得られた初期および耐久試験後のハーフトーン画像について各々目視にて観察し、帯電ムラに起因する濃度ムラの有無を、下記表4に記載の基準に基づき評価した。これによって、本実施例に係る帯電ローラの初期および耐久試験後の帯電性能を知ることができる。
【0110】
【表4】

【0111】
(評価2)クリーニング不良に起因する画像欠陥の有無の評価
上記耐久試験において出力した2000枚の電子写真画像について、1枚目〜1000枚目の第1群、および、1001枚目から2000枚目の第2群の2つのグループに分け、各群に属する1000枚の電子写真画像について、目視にて、感光体のクリーニング不良に起因する画像欠陥の有無およびその程度を観察し、下記表5に記載の基準に基づき評価した。
【0112】
【表5】

【0113】
〔実施例2〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像の評価を行った。
【0114】
〔実施例3〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0115】
〔実施例4〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を、重量平均粒子径が70μmであり、細孔径が8μmである複合粒子No.2に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0116】
〔実施例5〕
実施例4のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例4と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0117】
〔実施例6〕
実施例4のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を30質量部に変更した以外は、実施例4と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0118】
〔実施例7〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を、重量平均粒子径が103μmであり、細孔径が10μmである複合粒子No.3に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0119】
〔実施例8〕
実施例7のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を30質量部に変更した以外は、実施例7と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0120】
〔実施例9〕
実施例1の原料ゴムであるNBR(商品名:JSR N230SV、JSR社製)をSBR(商品名:Nipol1507、日本ゼオン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0121】
〔実施例10〕
実施例9のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例9と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0122】
〔実施例11〕
実施例9のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を30質量部に変更した以外は、実施例9と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0123】
〔実施例12〕
実施例9のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を、重量平均粒子径が70μmであり、細孔径が8μmである複合粒子No.2に変更した以外は、実施例9と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0124】
〔実施例13〕
実施例12のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例12と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0125】
〔実施例14〕
実施例12のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を30質量部に変更した以外は、実施例12と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0126】
〔実施例15〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した原料ゴムであるNBR(商品名:JSR N230SV、JSR社製)をBR(商品名:BR−1220L、日本ゼオン社製)に変更した。また、未加硫ゴム組成物を得る際に、A練りゴム組成物と混合する材料を、下記の表6に示す材料に変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0127】
【表6】

【0128】
〔実施例16〕
実施例15のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例15と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0129】
〔実施例17〕
実施例15のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を、重量平均粒子径が70μmであり、細孔径が8μmである複合粒子No.2に変更した以外は、実施例15と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0130】
〔実施例18〕
実施例17のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例17と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0131】
〔実施例19〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した原料ゴムであるNBR(商品名:JSR N230SV、JSR社製)をEPDM(商品名:EP33、JSR社製)に変更した。また、未加硫ゴム組成物を得る際に、A練りゴム組成物と混合する材料を、表6に示す材料に変更した。それら以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0132】
〔実施例20〕
実施例19のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例19と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0133】
〔実施例21〕
実施例19のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を、重量平均粒子径が70μmであり、細孔径が8μmである複合粒子No.2に変更した以外は、実施例19と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0134】
〔実施例22〕
実施例21のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を5質量部に変更した以外は、実施例21と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0135】
〔実施例23〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を、重量平均粒子径が1μmであり、細孔径が0.5μmである複合粒子No.4に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0136】
〔実施例24〕
実施例23のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を30質量部に変更した以外は、実施例23と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0137】
〔実施例25〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子の配合部数を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0138】
〔実施例26〕
実施例4の電子線の照射条件を、加速電圧:80kV、電子電流:35mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmに変更した以外は、全て実施例4と同様にして帯電ローラを作製した。この際、電子線照射装置の加速電圧80kVにおける装置定数は20.4であり、式(1)より算出される線量は714kGyであった。実施例1と同様に硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0139】
〔実施例27〕
実施例4の電子線の照射条件を、加速電圧:70kV、電子電流:35mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmに変更した以外は、全て実施例4と同様にして帯電ローラを作製した。この際、電子線照射装置の加速電圧70kVにおける装置定数は17.9であり、式(1)より算出される線量は626.5kGyであった。実施例1と同様に硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0140】
〔比較例1〕
実施例1のA練りゴム組成物に複合粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0141】
〔比較例2〕
実施例1のA練りゴム組成物に使用した複合粒子を不定形シリカ粒子(商品名:BY−001、東ソー・シリカ株式会社製、平均粒径13.3μm)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、硬化処理厚さと表面粗さの測定、画像評価を行った。
【0142】
〔比較例3〕
実施例1において研摩後の加硫ゴムローラ表面に電子線照射を行わない以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを作製した。実施例1と同様に、表面粗さの測定、画像評価を行った。なお、電子線照射を行っていないので、硬化処理厚さはない。
【0143】
以上の実施例と比較例の組成を表6−1〜表6−4にまとめた。また、実施例および比較例に係る帯電ローラの評価結果を表7−1〜7−4に示す。
【0144】
シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子により、ローラ表面を粗面化し、電子線照射によって硬化した実施例では、比較例よりクリーニング不良が良化している。比較例1では、この複合粒子を含まない場合となっている。比較例2では、複合粒子の代わりに、不定形シリカ粒子を添加した例である。比較例3では、電子線照射によって硬化した領域を有さない例となっている。いずれの比較例においても、クリーニング不良のランクは低く、実施例に用いた系の効果を確認できる。
【0145】
これに対して、実施例1〜27は本発明の帯電ローラであり、耐久後の帯電均一性も、クリーニング不良画像ランクもCランク以上で実用上問題の無い良好な画像が得られている。
【0146】
【表7】

【0147】
【表8】

【0148】
【表9】

【0149】
【表10】

【0150】
【表11】

【0151】
【表12】

【0152】
【表13】

【0153】
【表14】

【符号の説明】
【0154】
10 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性層
13 硬化領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有する帯電部材であって、
該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有しており、
該硬化された領域は、
シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該弾性層の表面が粗面化されていることを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記多孔質粒子中のシリカの含有量が、80質量%以上である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記多孔質粒子がシリカのみからなる請求項1または2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記炭素を含む膜における炭素原子の含有量が、50質量%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項5】
前記炭素を含む膜が炭素原子のみからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項6】
前記炭素を含む膜の厚みが、50nm以上、10μm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項7】
前記複合粒子の重量平均粒子径が、5μm以上70μm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項8】
前記複合粒子の細孔径が、0.5μm以上、20μm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項9】
前記弾性層が、熱硬化性ゴムまたは熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項10】
前記硬化された領域の厚みが、前記複合粒子の重量平均粒子径の0.5倍以上であって、かつ、200μm以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の帯電部材。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材、および感光体を具備していることを特徴とする電子写真装置。
【請求項12】
導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有し、
該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有しており、
該硬化された領域は、
シリカを含む多孔質粒子の表面が炭素を含む膜で被覆された複合粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該弾性層の表面が粗面化されている帯電部材の製造方法であって、
(1)該支持体上に、該複合粒子を含むゴム層を形成する工程と、
(2)該ゴム層の表面を研摩して該複合粒子の一部分を露出させる工程と、
(3)該工程(2)によって得た、該複合粒子の一部分が露出した該ゴム層の表面に電子線を照射することによって、該ゴム層の表面を硬化させて該弾性層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする帯電部材の製造方法。
【請求項13】
前記工程(3)における電子線の加速電圧が、40kV以上、300kV以下である請求項12に記載の帯電部材の製造方法。
【請求項14】
前記工程(3)における電子線の線量が、30kGy以上、3000kGy以下である請求項12または13に記載の帯電部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−33236(P2013−33236A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145202(P2012−145202)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】