説明

帯電防止ラベル、及びラベル付き容器

【課題】 本発明は、低湿度の雰囲気下でも帯電を防止でき、さらに、耐久性に優れた帯電防止ラベルを提供する。
【解決手段】 本発明の帯電防止ラベルは、合成樹脂製のフィルムと、導電性金属酸化物を含む帯電防止層と、最外面に設けられたオーバーコート層と、を有するラベル基材から形成されている。好ましくは、前記帯電防止ラベルは、オーバーコート層を外側にしてラベル基材を丸めることによって、筒状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性に優れた帯電防止ラベル及びラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な容器に、ラベルが装着されている。かかるラベルは、通常、合成樹脂製のフィルムから形成されているが、合成樹脂製のフィルムは、静電気を帯びやすい。
フィルムの帯電を防止するために、フィルム中に界面活性剤を添加したり、或いは、フィルムの表面に界面活性剤を塗布することが行われている。
上記界面活性剤を添加したフィルム又は界面活性剤の層を有するフィルムは、空気中の水蒸気が界面活性剤と結合し、この水分中をフィルム内の静電気が通電することにより、フィルムから生じた静電気を逃がすことができる。
しかしながら、上記フィルム中に界面活性剤を添加する方法では、界面活性剤がブリードし、一方、上記フィルムの表面に界面活性剤を塗布する方法では、界面活性剤が脱落する(流れ落ちる)という問題点がある。
【0003】
特許文献1には、界面活性剤の脱落を防止するため、界面活性剤を含む電子線硬化型塗料を架橋させた帯電防止層を、フィルムの一面に設けた熱収縮性フィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献1の熱収縮性フィルムは、下記のような問題点を有する。
【0004】
上述のように、界面活性剤は、空気中の水蒸気と結合することによって帯電防止効果を発揮する。このため、上記特許文献1の熱収縮性フィルムは、界面活性剤を含む層を、熱収縮性フィルムの表面(フィルムを筒状に形成した場合には、その筒状ラベルの最外面)に設けなければならない。しかしながら、フィルムの表面は、異物などが接触して傷付き易い。このため、界面活性剤の層が破損し易く、更には、フィルム自体が破損するおそれがある。この破損を防止するために、界面活性剤の層の表面に、オーバーコート層を設けることが考えられるが、そうすると、界面活性剤がオーバーコート層によって覆われるため、帯電防止効果を発揮できない。
【0005】
さらに、界面活性剤は、低湿度の雰囲気下では水分と結合し難いので、帯電防止効果を十分に発揮できない。例えば、湿度が低い季節には、上記熱収縮性フィルムの帯電を十分に防止できない。
【0006】
また、特許文献2には、プラスチック容器の外面にシュリンクフィルムが設けられ、前記シュリンクフィルムが、プラスチック容器の外面に接する側に、側鎖にカルボキシル基及び4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む帯電防止層を一体的に有する帯電防止プラスチック容器が開示されている。
かかる帯電防止層を有するシュリンクフィルムは、プラスチック容器内の帯電を防止することができる。
しかしながら、上記特許文献2のシュリンクフィルムも、カルボキシル基及び4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子が水分と結合することによって、帯電を防止すると考えられる。このため、上記特許文献2のシュリンクフィルムは、低湿度の雰囲気下では、帯電防止効果を十分に発揮できない。
さらに、帯電防止層の成分が、上記架橋性共重合体高分子に限定されるため、グラビア印刷でフィルムに塗工することはできても、他の印刷法では良好に塗工できない可能性がある。
【特許文献1】特開平5−57790号公報
【特許文献2】特開2003−72833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、実質的に湿度と関係なく帯電を防止でき、さらに、耐久性に優れた帯電防止ラベル及び該ラベルが装着されたラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の帯電防止ラベルは、合成樹脂製のフィルムと、導電性金属酸化物を含む帯電防止層と、最外面に設けられたオーバーコート層と、を有するラベル基材を有する。
【0009】
上記本発明の帯電防止ラベルは、導電性金属酸化物を含む帯電防止層を有するので、合成樹脂製のフィルムに生じた静電気を該導電性金属酸化物を通じて逃がすことができる。該導電性金属酸化物は、水分が無い状態でもその作用を発揮するので、本発明の帯電防止ラベルは、実質的に湿度と関係なく、帯電し難い。
【0010】
また、上記帯電防止ラベルは、ラベル基材中に帯電防止層を有していれば、ラベル基材の最外面にオーバーコート層を設けても帯電を防止できる。
上記帯電防止ラベルは、最外面がオーバーコート層によって保護されているので、破損し難く、耐久性に優れている。
上記ラベル基材を、そのオーバーコート層が外側になるように、筒状に形成することによって、最外面にオーバーコート層が位置する筒状の帯電防止ラベルが得られる。
【0011】
上記帯電防止層は、ラベル基材の中間層に設けられていてもよいし、ラベル基材の裏面に設けられていてもよい。
裏面に帯電防止層が設けられたラベル基材を用いる場合、その帯電防止層を内側にして筒状に形成することによって、最内面に帯電防止層が位置する筒状の帯電防止ラベルが得られる。
該筒状の帯電防止ラベルは、これを扁平状にしたときに、帯電防止層の内面同士が接する。このため、扁平筒状のラベルの内面が、ブロッキングを生じ難く、扁平筒状のラベルを確実に筒状に開口させることができる。
【0012】
本発明の別の局面によれば、ラベル付き容器が提供される。
本発明のラベル付き容器は、上記いずれかの筒状の帯電防止ラベルが容器に外嵌装着されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の帯電防止ラベルは、湿度の高低に実質的に関係なく帯電し難い。このため、例えば、冬場においても、埃などが付着し難い。
また、本発明の帯電防止ラベルは、フィルムの表面がオーバーコート層によって保護されているので、耐久性に優れている。このため、比較的薄いフィルムを用いることも可能であり、帯電防止ラベルの製品コストを抑えることができる。
上記ラベル付き容器は、帯電防止ラベルが装着されているので、埃などが付着し難く、外観及び衛生的に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1において、本発明の帯電防止ラベル1は、ラベル基材10を筒状に形成した筒状体を有する。
上記筒状体は、例えば、平面視略長方形状のラベル基材10を筒状に丸め、ラベル基材10の一方の側端部10aを他方の側端部10bの上に重ね合わせ、この重ね合わせ面を接着する(センターシールする)ことによって形成されている。
以下、帯電防止ラベルを筒状に形成したものを、「帯電防止筒状ラベル」と言う場合がある。
【0015】
ラベル基材は、合成樹脂製のフィルムと、導電性金属酸化物を含む帯電防止層と、を有し、さらに、ラベル基材の最外面にオーバーコート層を有する。さらに、ラベル基材は、必要に応じて、デザイン層、デザイン背景層、及び/又はその他の任意の層を、ラベル基材の表面及び/又は裏面、又はラベル基材の中間に、有していてもよい。
【0016】
図2に、ラベル基材の1つの好ましい実施形態を示す。
図2において、ラベル基材10は、合成樹脂製のフィルム2と、そのフィルム2の表面に設けられたオーバーコート層3と、そのフィルム2の裏面に設けられたデザイン層4と、そのデザイン層4の裏面に設けられた、導電性金属酸化物を含む帯電防止層6と、を有する。
【0017】
図3に、ラベル基材の他の好ましい実施形態を示す。
図3において、ラベル基材10は、合成樹脂製のフィルム2と、そのフィルム2の表面に設けられたオーバーコート層3と、そのフィルム2の裏面に設けられたデザイン層4と、そのデザイン層4の裏面に設けられたデザイン背景層5と、そのデザイン背景層5の裏面に設けられた、導電性金属酸化物を含む帯電防止層6と、を有する。
このラベル基材10は、デザイン層4の裏面側にデザイン背景層5が設けられているので、デザイン層4のデザインを良好に表示できる。
【0018】
また、図2に示すラベル基材10は、デザイン背景層が設けられていないが、帯電防止層6を着色することにより、該帯電防止層6をデザイン背景層として利用することもできる。例えば、帯電防止層6に着色剤(例えば、白色顔料)を含有させることにより、帯電防止層6を所望の色彩に着色できる。
なお、図3のラベル基材10の帯電防止層6も、着色されていてもよい。
【0019】
図2及び図3のラベル基材10は、オーバーコート層3を外側にして筒状に形成される。従って、得られた筒状体(帯電防止筒状ラベル)は、その最外面にオーバーコート層3が位置し、且つ、その最内面に帯電防止層6が位置する。
これらの筒状体は、保護層として、最外面にオーバーコート層3を有するので、耐久性に優れている。
さらに、これらの筒状体は、最内面に帯電防止層6を有するので、特に、筒状体の内面における帯電を防止できる。このため、帯電防止筒状ラベルを扁平状にしても、これを確実に筒状に開口させることができる。
【0020】
図4に、ラベル基材の他の好ましい実施形態を示す。
図4において、ラベル基材10は、合成樹脂製のフィルム2と、そのフィルム2の表面に設けられたオーバーコート層3と、そのフィルム2の裏面に設けられたデザイン層4と、そのデザイン層4の裏面に設けられた、導電性金属酸化物を含む帯電防止層6と、その帯電防止層6の裏面に設けられたデザイン背景層5と、を有する。
【0021】
図5に、ラベル基材の他の好ましい実施形態を示す。
図5において、ラベル基材10は、合成樹脂製のフィルム2と、そのフィルム2の表面に設けられたオーバーコート層3と、そのフィルム2の裏面に設けられたデザイン層4と、そのデザイン層4の裏面に設けられたデザイン背景層5と、そのデザイン背景層5の裏面に設けられた、導電性金属酸化物を含む帯電防止層6と、その帯電防止層6の裏面に設けられたデザイン背景層5と、を有する。図5では、2層のデザイン背景層5,5が、帯電防止層6を挟んで設けられている。これら2層のデザイン背景層5,5は、同じ色彩に着色されていてもよいし、異なる色彩でもよい(例えば、白色と無色透明など)。
なお、図4又は図5のラベル基材10の帯電防止層6も、着色されていてもよい。
【0022】
図4及び図5のラベル基材10も同様に、オーバーコート層3を外側にして筒状に形成される。従って、得られた筒状体(帯電防止筒状ラベル)は、その最外面にオーバーコート層3が位置し、且つ、その最内面にデザイン背景層5が位置する。
これらの筒状体は、保護層として、最外面にオーバーコート層3を有するので、耐久性に優れている。
さらに、これらの筒状体は、最内面にデザイン背景層5を有するが、その上に帯電防止層6を有するため、扁平状の状態から筒状に開口させることができる。
【0023】
上記各ラベル基材の各フィルムの材質は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系などが挙げられる。特に、本発明のラベル基材の層構成によれば、比較的耐久性の低いポリスチレン系フィルムを使用することもできる。
なお、上記合成樹脂製のフィルムに、他のフィルム(フィルムとは、一般にシートや膜と呼ばれるものを含む)が積層されていてもよい。
特に、酸化防止剤を含むフィルムに、帯電防止剤として界面活性剤を含有又は塗布した場合には、該フィルムが黄変する場合があるが、帯電防止剤として界面活性剤を使用しない本発明の筒状ラベルは、フィルムの黄変を促進させることはない。
【0024】
また、合成樹脂製のフィルムは、熱収縮性を有していてもよいし、或いは、自己伸縮性を有していてもよい。熱収縮性を有するフィルムを用いた場合、上記帯電防止筒状ラベルは、所定温度(例えば、80℃〜100℃)で縮径し得る熱収縮性筒状ラベルとなる。自己伸縮性を有するフィルムを用いた場合、上記帯電防止筒状ラベルは、押し拡げる力を加えることで拡径し、且つ前記力を解除することで元に復元し得るストレッチ筒状ラベルとなる。
【0025】
合成樹脂製のフィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、20μm〜120μmであり、好ましくは20μm〜80μmである。本発明の帯電防止ラベルは、オーバーコート層がラベル基材の最外面に設けられているので、耐久性に優れている。さらに、本発明の帯電防止筒状ラベルは、扁平状の状態から確実に開口させることができる。このため、例えば、厚み20μm〜40μmのような比較的薄いフィルムを用いることも可能である。
【0026】
合成樹脂製のフィルムは、透明又は不透明の何れでもよいが、透明性に優れているものが好ましい。透明性に優れたフィルムは、好ましくは、その全光線透過率が80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
なお、上記透明性に優れたフィルムは、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で着色されていてもよい。
【0027】
上記各ラベル基材の各オーバーコート層は、フィルムなどの表面を保護するための保護層である。オーバーコート層は、例えば、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系などの樹脂成分を含む塗工液を、フィルム上に塗工することによって形成できる。オーバーコート層は、フィルムと同様に、透明性に優れているものが好ましい。
なお、オーバーコート層は、従来公知の印刷法によって形成することもできる。オーバーコート層が印刷法によって形成される場合には、着色剤を含まない印刷インキ(いわゆる、メジウムインキ)が塗工液として用いられる。オーバーコート層は、フィルムの略全体に設けられていてもよいし、或いは、部分的に設けられていてもよい。
オーバーコート層の厚みは、特に限定されなが、通常、0.5μm〜5μmであり、好ましくは1μm〜3μmである。
【0028】
上記各ラベル基材の各デザイン層は、文字や絵柄などの所望のデザインが表示された層である。デザイン層は、多色でデザインが表されていてもよいし、単色でデザインが表されていてもよい。デザイン層の形成方法は、特に限定されず、従来公知の印刷法によって形成できる。該印刷法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、オフセット印刷法などが挙げられる。
デザイン層は、フィルムの略全体に設けられていてもよいし、デザインを表示したい部分にのみ設けられていてもよい。
【0029】
上記各ラベル基材の各デザイン背景層は、デザイン層のデザインを際立たせるために設けられる層である。デザイン背景層は、例えば、白色、銀色、黒色などの所望色に着色されれている。もっとも、デザイン背景層は、透明でもよい。デザイン背景層も、従来公知の印刷法によって形成できる。
デザイン背景層は、少なくともデザイン層に重なる範囲に設けられる。なお、デザイン層が、フィルムの一部分にのみ設けられている場合でも、デザイン背景層が、フィルムの略全体に設けられていてもよい。
【0030】
上記各ラベル基材の各帯電防止層は、合成樹脂製のフィルムなどから発生する静電気を逃がす層である。
帯電防止層に含まれる導電性金属酸化物は、通常、微粒子状である。該微粒子状の導電性金属酸化物は、好ましくはその一次粒子径が700nm以下であり、より好ましくは5nm〜100nmであり、特に好ましくは10nm〜80nmである。
ただし、上記粒子径は、塗工するために用いる樹脂溶液中に測定対象(導電性金属酸化物)を分散させた状態で、動的光散乱式粒度分析計(日機装(株)製、製品名:UPA−EX150)を用いて測定される値である。
【0031】
導電性金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、リンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫などの金属酸化物、及び前記金属酸化物を含む複合材料などが挙げられる。これら導電性金属酸化物の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記複合材料としては、前記金属酸化物を無機物に被覆させた材料(例えば、大塚化学(株)製、商品名:デントールWK。石原産業(株)製、商品名:白色導電性酸化チタンETシリーズ)などが挙げられる。前記無機物としては、チタン酸カリウム繊維、酸化チタン、ガラス繊維などが挙げられる。導電性金属酸化物が、前記複合材料である場合、その複合材料の平均粒子径は、上記の範囲であることが好ましい。
【0032】
上記帯電防止層は、導電性金属酸化物を適当な樹脂溶液中に分散させ、これをフィルム上などに塗工することによって形成できる。前記樹脂溶液の樹脂としては、導電性金属酸化物を固定化できるバインダー作用を有するものであれば特に限定されない。前記樹脂としては、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系などの汎用的な樹脂が挙げられる。また、前記樹脂溶液として、印刷インキを用いることもできる。導電性金属酸化物を印刷インキに配合分散させることにより、上記帯電防止層を、従来公知の印刷法によって容易に形成できる。印刷法は、上記例示の通りである。
この場合、印刷インキは、着色剤を含んでいてもよいし、着色剤を含んでいなくてもよい(いわゆる、メジウムインキ)。着色剤を含む印刷インキに導電性金属酸化物を分散させた場合、所望色(例えば、白色、銀色)などを呈する帯電防止層を形成できる。
【0033】
また、帯電防止層は、金属酸化物の蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによって形成することもできる。
【0034】
導電性金属酸化物の含有量は、特に限定されないが、より優れた帯電防止効果を得るためには、導電性微粒子の量は、多い方が好ましい。
【0035】
なお、図2〜図5に示すように、帯電防止層6がデザイン層4の裏面側に設けられるラベル基材10を用いる場合には、帯電防止層6が白濁化していても、デザインを表示する上で問題はない。特に、図3及び図5に示すように、帯電防止層6がデザイン背景層5の裏面側に設けられるラベル基材10を用いる場合には、帯電防止層6が白濁化していても、デザインを表示する上で全く問題はない。
【0036】
帯電防止層の厚みは、特に限定されず、上記導電性金属酸化物の単位面積当たりの量を考慮しつつ、適宜設定される。
例えば、帯電防止層の厚みは、0.3μm〜5μmであり、好ましくは、0.5μm〜3μmである。
【0037】
上記帯電防止層は、フィルムの略全体に設けられていることが好ましいが、フィルムの一部分に、帯電防止層が設けられていない範囲を有していてもよい。
帯電防止層は、ベタ状(均一な層状)に設けられていることが好ましいが、ベタ状に限られず、帯電防止層の面内に隙間を有するように設けられていてもよい。例えば、帯電防止層を構成する有効成分を、平面視格子状、網掛け状、ストライプ状、ドット状などに塗工することによって、面内に隙間を有する帯電防止層を形成できる。かかる非ベタ状の帯電防止層は、好ましくは、その面積率(有効成分の総面積/(有効成分の総面積+隙間の総面積))が80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0038】
なお、上記ラベル基材を構成するフィルム、オーバーコート層、デザイン層、デザイン背景層、及び帯電防止層には、必要に応じて、添加剤が適量添加されていてもよい。
添加剤としては、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填材、可塑剤、界面活性剤などが挙げられる。なお、この界面活性剤は、帯電防止剤として添加されるものではなく、溶質の分散、乳化又は可溶化、溶液の消泡などの帯電防止作用以外の作用を目的として添加される。
【0039】
上記帯電防止筒状ラベルは、以下のようにして製造され、使用される。
長尺状のラベル基材を準備し、該長尺状のラベル基材の両側端部を重ね合わせながら、その重ね合わせ面を長手方向に接着していく。これにより、長尺状の筒状体が得られる。得られた長尺状の筒状体は、扁平状に潰された後、ロール状に巻き取られ、保管・流通に供される。得られた扁平長尺状の筒状体のロールは、ラベラー(ラベル装着装置)に装填される。
ラベラーにおいて、扁平長尺状の筒状体は所定長さに切断され、1枚の扁平状の筒状ラベルが形成され、該扁平状の筒状ラベルは筒状に開口された後、容器に外嵌される。
なお、切断機能を有しないラベラーを用いる場合には、ラベラーに装填する前に、扁平長尺状の筒状体を所定長さに切断して、個々の筒状ラベルを作製しておき、この筒状ラベルを扁平状のままで複数枚重ね合わせて、ラベラーに装填する。
【0040】
容器は、特に限定されず、飲料充填容器、食品収納容器、化粧品充填容器、洗剤充填容器、薬品収納容器、化学品収納容器などの任意である。
【0041】
上記帯電防止筒状ラベルが熱収縮性筒状ラベルである場合には、筒状ラベルを容器に外嵌した後、スチームトンネルなどに導いて筒状ラベルを収縮させることにより、筒状ラベルを容器に装着できる。
また、上記帯電防止筒状ラベルが、ストレッチ筒状ラベルである場合には、開口させた筒状ラベルをマンドレルで押し広げて拡径し、容器に外嵌した後、マンドレルを外すことにより、筒状ラベルを容器に装着できる。
【0042】
以上のようにして、帯電防止筒状ラベルと容器とを有する本発明のラベル付き容器が得られる。
得られたラベル付き容器は、帯電防止筒状ラベルに埃などが付着し難く、外観のみならず、衛生的にも優れている。
また、上記ラベル付き容器を製造する際、扁平状の筒状ラベルは、内面同士がブロッキングを生じることなく、良好に筒状に開口する。このため、帯電防止筒状ラベルの容器に対する装着ミスが極めて少なくなり、ラベル付き容器を効率良く製造できる。
【0043】
さらに、上記帯電防止筒状ラベルは、耐久性に優れているので、ラベル基材のフィルムとして比較的薄いものを用いることも可能となる。従って、比較的安価な帯電防止筒状ラベルを提供することもできる。
【0044】
なお、本発明の帯電防止ラベルは、筒状に形成されているものに限定されず、従来公知の各種のラベル態様に適用できる。例えば、本発明の帯電防止ラベルは、感圧粘着剤を介して容器などの被着体に接着されるタックラベル、感熱接着剤を介して容器などの被着体に接着される感熱ラベル、枚葉状にして成形装置に供給されるインモールドラベルなどとして利用してもよい。
さらに、本発明の帯電防止ラベルは、一部分を容器などの被着体から突出させて貼付されるPOPラベル、籤情報などが附随された懸賞ラベルなどとして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】筒状ラベルの1つの実施形態を示す斜視図。
【図2】ラベル基材の1つの実施形態を示す断面図。
【図3】ラベル基材の他の実施形態を示す断面図。
【図4】ラベル基材の更に他の実施形態を示す断面図。
【図5】ラベル基材の更に他の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…帯電防止ラベル、2…フィルム、3…オーバーコート層、4…デザイン層、5…デザイン背景層、6…帯電防止層、10…ラベル基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のフィルムと、導電性金属酸化物を含む帯電防止層と、最外面に設けられたオーバーコート層と、を有するラベル基材を有することを特徴とする帯電防止ラベル。
【請求項2】
前記オーバーコート層を外側にして、前記ラベル基材が筒状に形成されている請求項1に記載の帯電防止ラベル。
【請求項3】
請求項2に記載の帯電防止ラベルが、容器に外嵌装着されているラベル付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−132318(P2010−132318A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310411(P2008−310411)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】