平坦ではない路面上を走行する車両の騒音/快適性能を予測判定する方法
本発明は、車体及び少なくとも1つの取付け箇所によって車体に連結された路面連結システムを有する車両の乗員室内の騒音/快適性能を予測判定する方法であって、車両が所与の速度で巨視的に粗い走行面を備えた走行媒体上を走行する、方法において、車体のグローバル伝達関数を求めるステップと、車体のアドミタンスを求めるステップと、路面連結システムのインピーダンスを求めるステップと、巨視的に粗い路面上を走行しながら路面連結システムの制止力を求めるステップと、車体のグローバル伝達関数、車体のグローバルアドミタンス、路面連結システムのインピーダンス及び路面連結システムの制止応力を互いに組み合わせて乗員室内の騒音/快適性能(P)の予測を得るステップとを有することを特徴とする方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の粒度格付けの1つ又は2つ以上の凹凸をもつ路面上を走行する車両内部の音響レベル及び振動レベルを予測判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ又は2つ以上の障害物(例えば、マンホールカバー、アスファルトの継目、種々の継ぎ目、砂利等)上を走行する車両の運転手や乗客が感じる不快感には2つの異なる観点がある。第1の観点は、振動性のものであり、車両のフロア、シート及びステアリングホイールの振動として表れる。第2の観点は、音響性のものであり、車両の種々の部品の振動により車両内部で発生する騒音として表れる。車両に乗っている人が感じる不快レベルは、特に、車両のボデーシェル、連結システム(サスペンションシステム)、走行速度及び当然のことながら車道上の障害物の種類によって左右される。
【0003】
当業者には、所与の車両に関して新しい連結システムの騒音/快適性能を評価し、当業者が連結システムを最適化することができる幾つかの方法が知られている。かかる最適化は、実質的に改善された快適性レベルをもたらす連結システムの特性を得ることから成る。
【0004】
例えば、新しい連結システムを搭載した車両の騒音/快適性能を評価すると共に最適化する目的で、当業者は、車両内に振動性及び/又は音響性の不快感を生じさせることが可能な路面又はトラックの一部分上を走行する車両の運転室内の騒音及び振動の測定の実施から成る実験的方法を実施することがあり、路面又はトラックのこの部分は、その表面上に1つ又は2つ以上の凹凸を含む。しかしながら、この方法では、種々の連結システムを評価するのに車両を使用しなければならず、更に、これは、望ましい天候条件下でしか実施できず、それにより場合によっては過度に長時間にわたる車両の不動化時間が生じ、その結果、多数回の反復が必要である場合が多いので、連結システムの微調整段階において過剰コストを招く。さらに、この方法は、時間がかかり且つオペレータにとって面倒であり、しかも大幅な測定値のばらつきを生じがちである。
【0005】
変形例として、欧州特許第0886130(B1)号明細書は、多数の凹凸のある平坦ではない路面上を走行するタイヤ装着車両の運転室内の騒音レベルを予測する方法を記載している。この方法によれば、制止状態の車両の各アクスル(ホイール中心のところ)に、所定方向に沿って差し向けられた荷重(衝撃の形態)を直接加えることにより、タイヤを備えた車両のグローバル伝達関数を決定する。各衝撃について、車両内部での音の記録が行なわれ、この作業は、車両のフロント位置及びリヤ位置並びに各側について連続的に繰り返される。別のステップでは、同一のタイヤが、転動面上に平坦ではない(でこぼこの)路面を模倣した複数の凹凸を備えたフライホイール上で転動する。この試験では、タイヤは、固定軸線に取り付けられ、ホイール中心のところのロックアップ合成荷重(合力)を記録する。最後に、これら測定されたロックアップ荷重を上記のように決定された車両伝達関数を含むモデルの入力として使用され、それにより車両内部の合成騒音レベルが得られる。この方法には欠点がある。特に、タイヤ/ホイール組立体の交換のためには、車両のグローバル伝達関数の決定を繰り返す必要がある。
【0006】
さらに、車両の伝達関数は静止時に行なわれる試行に基づいて確立されるので、一般的に言って静止時の特性とは実質的に異なる走行中のタイヤの機械的特性について全く考慮されない。特に、静止時においてタイヤが動的応力を受けた場合の垂直剛性は、転動中のタイヤが動的応力を受けたときの垂直剛性より大きいことが知られている。
【0007】
もう1つの別法によれば、欧州特許第1200808(B1)号明細書は、連結システムを備えると共に複数の凹凸のある平坦ではない路面上を走行するボデーシェルから成る車両の騒音/快適性能を予測する方法を記載している。この場合、2つのステップが実施される。先ず最初に、連結システムが1つ又は2つ以上の凹凸を示す路面上を走行する状態にある場合、車両の運転室内の音響及び振動測定を実施する。第2の試行では、連結システムを取付け箇所の高さ位置で剛性リグ上に配置する。連結システムは、ステップ番号1に類似した仕方で走行状態にある(加重、圧力、速度)。剛性リグは、連結システムの各取付け箇所の高さ位置でロックアップ荷重を測定するシステムを備えている。この試行中、連結システムの各取付け箇所のところの力及びモーメントの信号を記録する。車両伝達関数を車両内部の音響及び振動レベルと連結システムのロックアップ荷重レベルの比によって決定する。プロトタイプ連結システムを備えた同一のボデーシェルの場合、プロトタイプ連結システムが1つ又は2つ以上の凹凸のあるでこ平坦でない路面上を転動する場合に車両内の音響及び振動レベルを予測することが可能である。プロトタイプの連結システムをこれら取付け箇所の高さ位置で剛性リグ上に配置することにより、プロトタイプ連結システムは、車上(on-vehicle)試行の路面と同一の平坦ではない路面上を転動する。取付け箇所の高さ位置のロックアップ荷重を測定する。車両伝達関数にプロトタイプ連結システムのこれらロックアップ荷重を乗算することにより、でこぼこの路面上を転動するプロトタイプ連結システムを備えたボデーシェルの音響及び振動レベルを評価する。この方法にも、欠点があり、かかる欠点は、異なる構造の連結システムの場合、例えば同一寸法のタイヤの構造の高さ位置では、これら種々の連結システムを備えると共にでこぼこの路面上を走行する同一車両で実施された試行に基づいて得られる騒音レベルとは異なる騒音レベルをもたらす場合がある。
【0008】
特に、基準連結システムについて車両伝達関数を決定する。この基準連結システムは、車両伝達関数に影響を及ぼすそれ自体の機械的挙動を有する。プロトタイプ連結システムは、車両伝達関数に異なる仕方で影響を及ぼす場合のあるそれ自体の機械的挙動を有する。
【0009】
最後に、国際公開第2005/071385(A1)号パンフレットは、単一のタイヤ/ホイール組立体に代表される連結システムとボデーシェルとの間のホイール中心のところの運転荷重を求める方法を記載している。これら運転荷重は、複数の凹凸を示すでこぼこの路面上を転動するこのタイヤ/ホイール組立体を備えた車両の騒音/快適性能を予測することができるようにする新たな車両伝達関数を定める。
【0010】
第1ステップでは、タイヤ/ホイール組立体のロックアップ荷重の測定を複数の凹凸のある平坦ではない路面のあるロールウェイ(rollway )上で実施する。このロールウェイは、車両基準系に対応した3つの互いに垂直な方向においてホイール中心のところのロックアップ荷重を測定するダイナモメトリックハブを備えている。タイヤ/ホイール組立体がでこぼこの路面上を走行すると、この走行の結果として生じるロックアップ荷重をダイナモメトリックハブを介して記録する。
【0011】
しかる後、サスペンションの機能的モデルを決定し、非懸架質量並びに車両基準系の3つの方向における剛性及びダンパによって特徴付ける。
【0012】
従来、この機能的モデルを車両基準系の方向において定め、互いに垂直な方向相互間の連結を無視する。さらに、垂直方向における力だけを考慮に入れる。この機能的モデルのパラメータの識別を車両に関する測定によって実施する。懸架のこの機能的モデルをタイヤのモデルに関連付けることにより、ロックアップ荷重とホイール中心のところの運転荷重との間で切り換えるスイッチング行列(Hp)を求める。タイヤ/ホイール組立体のホイール中心のところの運転荷重の推定は、ステップ1においてスイッチング行列(Hp)にロックアップ荷重を乗算することにより得られる。
【0013】
ステップ3において、タイヤ/ホイール組立体が複数の障害物を示す路面上で転動する状態にあるときに車両の運転室内において音響及び振動測定を実施する。
【0014】
ステップ4において、車両の内部の音響及び振動レベルとタイヤ/ホイール組立体の運転荷重のレベルの比によって新たな車両伝達関数を決定する。
【0015】
プロトタイプタイヤ/ホイール組立体を備えた同一のボデーシェルの場合、このプロトタイプタイヤ/ホイール組立体を備えた車両が数個の凹凸のあるでこぼこの路面上を転動する場合における車両内部の音響及び振動レベルを予測することができる。プロトタイプタイヤ/ホイール組立体をホイール中心の高さ位置で剛性リグ上に配置することにより、タイヤ/ホイール組立体は、車上試行の路面と同一のでこぼこの路面上を転動する。ホイール中心の高さ位置のところのロックアップ荷重を測定する。切り換え行列(Hp)にロックアップ荷重を乗算することにより、ホイール中心のところのタイヤ/ホイール組立体の運転荷重を評価する。車両伝達関数にプロトタイプタイヤ/ホイール組立体のこれら運転荷重を乗算することにより、でこぼこの路面上を走行する車両の音響及び振動レベルを評価する。
【0016】
懸架の機能的モデルの決定は、この方法の欠点のうちの1つである。この機能的モデルは、垂直な方向相互間の連結を前提条件としておらず、パラメータの識別が容易ではない。しかる後、この方法は、車両基準系の3つの直交方向における力だけを考慮に入れており、モーメントも又考慮に入れる必要があることが認識される。
【0017】
定義
以下において、次のように定義する。
‐「騒音/快適性能」は、決定した寸法の少なくとも1つの障害物のある車道(又は、試行手段)上で走行する車両内部で測定可能な振動・音響レベル、即ち、音響レベル及び/又は振動レベルである。
‐「連結システム(サスペンションシステム)」は、車両と車道との間の1つ又は2つ以上の接触表面と車両の1つ又は2つ以上の箇所との相互間の連結(リンク)を保証する車両の1組の要素であり、あらゆる場合において、連結システムは、少なくともタイヤ/ホイール組立体を含む。
‐「タイヤ/ホイール組立体」は、タイヤと、その取付けホイールとから成る組立体である。
‐「ボデーシェル」は、連結システムと補足し合う車両の1組の要素である。
‐「取付け箇所」は、連結システムをボデーシェルに連接する箇所である。
‐「車両基準系」は、右手正規直交基準系であり、この場合、X方向は、リヤからフロントに差し向けられた車両の長手方向に対応し、Z軸は、上方に差し向けられた状態で路面と直交しており、Y方向は、右手基準系を形成するよう他の2つの方向に垂直である。 ‐「車両のグローバル伝達関数」は、2つの部分から成る関数であり、第1の部分は、車両の運転室内の騒音(ノイズ)に関し、第2の部分は、車両のボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところでの励振に関し、同一運転室内の或る所定の箇所のところの振動に関する。
‐「ボデーシェルのグローバル伝達関数」は、2つの部分から成る関数であり、第1の部分は、ボデーシェルの運転室内の騒音に関し、第2の部分は、ボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところでの励振に関し、同一運転室内の或る所定の箇所のところの振動に関する。
‐「ボデーシェルの取付け箇所のところのアドミタンス」は、ボデーシェルの“k”個の取付け箇所の振動レベルをボデーシェル上の“k”個の取付け箇所のところにおける所定の単位外部励振に関連付ける関数であり、並進及び回転加速度をボデーシェルの取付け箇所の高さ位置における荷重及びモーメントに関連付けるのは、せいぜい6k×6k行列であり、この行列は、車両基準系で表わされる。
‐「連結システムの取付け箇所のところのインピーダンス」は、連結システムの“k”個の取付け箇所の荷重及びモーメントのレベルを“k”個の取付け箇所の所定の単位振動励振に関連付ける関数であり、並進及び回転加速度をボデーシェルの取付け箇所の高さ位置における荷重及びモーメントに関連付けるのは、せいぜい6k×6k行列であり、この行列は、車両基準系で表わされる。
‐「取付け箇所のところのロックアップ荷重」は、車両の取付け箇所のところの力及びモーメントであって、連結システムが決定された寸法の少なくとも1つの障害物のある路面上における走行に関連付けられた外部荷重を受けたときにこの取付け箇所の並進及び回転の変位量がゼロであることに起因して生じる力及びモーメントであり、これら荷重は、車両基準系で表わされる。
‐「取付け箇所のところの運転荷重」は、車両の取付け箇所のところの力及びモーメントであって、連結システムが決定された寸法の少なくとも1つの障害物のある路面上における走行に関連付けられた外部荷重を受けたときに車両に関して供用中条件下におけるこの取付け箇所の並進及び回転の変位量に起因して生じる力及びモーメントであり、これら荷重は、車両基準系で表わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許第0886130(B1)号明細書
【特許文献2】欧州特許第1200808(B1)号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/071385(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【0019】
本発明の要旨は、上述の方法の欠点を示さない連結システム(サスペンションシステム)を備えた車両の騒音/快適性能を予測する方法である。
【0020】
この目的を念頭に置いて、ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によってボデーシェルに連接された連結システムを有する車両の運転室内の音響及び/又は振動レベルに対応した騒音/快適性能を予測判定する方法であって、車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐運転室への取付け箇所のところに示されるボデーシェルのグローバル伝達関数(Tbody-shell)を求めるステップと、
‐ボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところで表されるボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐取付け箇所のところに示される連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐ボデーシェルのグローバル伝達関数、ボデーシェルのグローバルアドミタンス、連結システムのグローバルインピーダンス、及び連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせるステップとを有することを特徴とする方法が提供される。
【0021】
この方法の利点は、車両を互いに別個独立に検討される2つの別々のコンポーネント、即ち、ボデーシェルと連結システムに分割することにある。その結果、ボデーシェルの特性決定は、任意の連結システムを備えた車両の騒音/快適性能を予測する上で1回だけ実施される必要があるに過ぎない。
【0022】
ボデーシェルのグローバル伝達関数(Tbody-shell)及びボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)は、静止状態にあるときに求められる。有利には、取付け箇所を励振するシステムは、振動ポットから成るのが良い。
【0023】
有利には、ボデーシェルのグローバル伝達関数を求めるために、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐運転室内で先に求められたm個の箇所のところにおける騒音及び振動を記録することができる手段を車両の内部に配置するステップ、
‐連結システムの取付け箇所を、連結システムを備えた車両上のその位置に類似した仕方でボデーシェルに対して位置決めするステップ、ボデーシェルの高さ位置のところの取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって連結システムの取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、車両の運転室内における騒音及び振動を励振された取付け箇所の高さ位置で励振信号と共に記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐運転室の種々の箇所のm個の騒音及び振動信号を右手正規直交基準系における並進又は回転における単位励振に関連付けることにより、ボデーシェルのグローバル伝達関数を得るステップに従ってボデーシェルについて測定を実施する。
【0024】
取付け箇所に接近できない場合、励振を取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加え、取付け箇所のところの荷重を励振箇所のところの荷重に基づいて幾何学的変換によって再計算する。
【0025】
有利には、ボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところに示されるボデーシェルのアドミタンスを求めるため、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐連結システムの取付け箇所を、連結システムを備えた車両上のその位置に類似した仕方でボデーシェルに対して位置決めするステップ、ボデーシェルの高さ位置のところの取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐取付け箇所に、ボデーシェルの取付け箇所の振動レベルを測定することができる振動センサ、例えば加速度計を取り付けるステップ、
‐車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、取付け箇所の高さ位置の励振信号及び取付け箇所の振動応答を記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、
‐車両基準系の種々の方向における取付け箇所の振動応答と励振された取付け箇所の高さ位置のところにおける励振信号の比を取ることにより取付け箇所の高さ位置のところにおけるボデーシェルのアドミタンスを求めるステップに従ってボデーシェルに対して測定を実施する。
【0026】
有利には、取付け箇所の並進及び回転振動応答を記録する。
【0027】
有利には、取付け箇所に接近できない場合、振動センサ、例えば加速度計を取り付け、励振を取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加える。この場合、幾何学的変換により取付け箇所の振動レベルを再計算する。
【0028】
ボデーシェルへの取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンスを求めるため、次のステップ、即ち、
‐連結システムを滑らかな被覆材を備えた装置上の定位置に取り付けるステップ、
‐連結システムを連結システムの剛性と比較して可撓性である連結具により取付け箇所のところに設けられた実験台に機械的に連結するステップ、実験台は、取付け箇所が並進又は回転方向において自由に動くことができるよう連結システムの取付け箇所の変位量並びに力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐先に自由に運動ができる状態のままの方向における取付け箇所の動力学的条件を課すようになった励振システムによって取付け箇所のところに励振を加えるステップ、
‐励振された取付け箇所の変位ベクトル(並進及び回転)の測定及び連結システムの取付け箇所のところの結果として生じる荷重(力及びモーメント)のベクトルの測定を取付け箇所の自由度の組に関し、取付け箇所のところにおける各励振について実施するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐取付け箇所のせいぜい6つの自由度に関し、取付け箇所の力及びモーメントの信号と取付け箇所の振動レベルの比を取ることにより連結システムのインピーダンスを求めるステップに従って連結システムについて測定を実施する。
【0029】
有利には、連結システムを、励振の印加に先立って、車両の転動条件に類似した転動条件下で滑らかな被覆材を備えた装置上の定位置に取り付ける。
【0030】
有利には、励振システムは、取付け箇所の他の自由度を励振させないで、先に自由に運動できる状態のままの方向における取付け箇所の動力学的条件を課すようになっている。
【0031】
好ましくは、取付け箇所の並進及び回転変位量を測定し、励振システムは、振動ポットを有する。
【0032】
取付け箇所の並進自由度を得るために、励振システムは、励振させようと望む方向における取付け箇所の高さ位置に位置決めされた少なくとも1つの振動ポットを有するのが良い。
【0033】
有利には、取付け箇所が接近不能である場合、振動ポットは、適当な取付けにより取付け箇所に対して対称に位置決めされ、これらは、同相で励振される。
【0034】
取付け箇所の回転自由度を得るためには、少なくとも2つの振動ポットを適当な取付けにより取付け箇所に対して対称に位置決めし、少なくとも2つの振動ポットを互いに逆相で励振させることが可能である。
【0035】
取付け箇所のところの連結システムのロックアップ荷重を求めるため、次のステップ、即ち、
‐転動面上に、車上試行に類似した所定の寸法の少なくとも1つの凹凸を有する転動手段上の定位置に連結システムを取り付けるステップ、
‐連結システムを取付け箇所のところに設けられた実験台にしっかりと固定するステップ、実験台は、取付け箇所のところにおける力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐連結システムに車両上の転動条件と同一の転動条件下において転動手段上で応力を加えるステップ、
‐転動中、取付け箇所のところの力及びモーメントの信号を記録するステップ、及び
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ
に従って連結システムについて測定を実施する。
【0036】
連結システムを備えた車両の騒音/快適性能を評価するため、次の演算、即ち、
【数1】
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐Pは、運転室内における車両の快適性能であり、これは、次元m,1の行列であり、mは、運転室内における測定箇所の数である。
‐Tbody-shellは、ボデーシェルのグローバル伝達関数であり、これは、次元m,nの行列である。
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、nは、取付け箇所の所定の励振方向の数である。
‐Ybody-shellは、ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列である。
‐ZSは、連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列である。
‐FSbは、連結システムのロックアップ荷重に対応しており、次元n,1の行列である。
【0037】
車両の騒音/快適性能は、次元m×1の行列の形態を取り、この場合、各行は、振動数ドメインにおける車両の運転室の箇所mのところの振動又は音響応答である。
【0038】
本発明の要旨は又、ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によってボデーシェルに連接された連結システムから成る車両の取付け箇所のところの運転荷重を予測する方法であって、車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐ボデーシェルに対する連結システムの取付け箇所のところに示されるボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐転動中、取付け箇所のところにおける連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐ボデーシェルのグローバルアドミタンス、連結システムのグローバルインピーダンス、及び連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせるステップとを有することを特徴とする方法にある。
【0039】
連結システムを備えた車両の取付け箇所のところの運転荷重を評価するため、次の演算、即ち、
【数2】
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐FSopは、車両の取付け箇所のところの運転荷重に対応し、これは、次元n,1の行列であり、nは、車両の取付け箇所の所定の励振方向の数であり、
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、
‐Ybody-shellは、ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列であり、
‐ZSは、連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列であり、
‐FSbは、連結システムのロックアップ荷重に対応し、次元n,1の行列である。
【0040】
車両の取付け箇所のところの運転荷重は、次元n,1の行列の形態を取り、この場合、各行は、振動数ドメインにおける車両基準系の所定の方向における車両の取付け箇所のところの荷重又はモーメントに対応している。運転荷重の知識により、連結システムを特定のボデーシェルの機械的挙動に関して分類することができる。
【0041】
連結システムは、有利には、タイヤ/ホイール組立体を含む。
【0042】
当然のことながら、実験データに代えて実験による特性決定のシミュレーションにより得られたディジタルデータを用いても良い。
【0043】
図1〜図14を参照して行われる以下の説明において例示の実施形態が与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】リヤアクスル組立体に起因して生じるグローバル伝達関数又はリヤアクスル組立体に起因して生じるボデーシェルのグローバルアドミタンスを得るために定位置に配置された自動車ボデーシェルを示す図である。
【図2(a)】取付け箇所の振動レベルも又測定できるようにする取付け箇所を励振するための装置を示す図である。
【図2(b)】取付け箇所の振動レベルも又測定できるようにする取付け箇所を励振するための装置を示す図である。
【図3】少なくとも1つの取付け箇所の高さ位置でリグに可撓的に取り付けられた連結システムを示す図である。
【図4】図3の取付け部を別の視角から見た図である。
【図5】リグに剛性的に取り付けられた連結システムを示す図である。
【図6】図5の取付け部を別の視角から見た図である。
【図7】取付けホイールに剛性的に取り付けられると共に転動フライホイール上に載っているタイヤを示す図である。
【図8】右後側ホイールの中心と運転室内に左側前の場所に設けられたマイクロホンとの間のボデーシェルの音響伝達関数の一例を示す図であり、グラフ(a)は、振動数ドメインにおける音響伝達の振幅に対応し、グラフ(b)は、この伝達の位相を示す図である。
【図9】左前のホイール中心の高さ位置におけるボデーシェルのアドミタンスを示す図であり、グラフ(a)は、振動数ドメインにおける対数目盛として表わされたアドミタンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、この同一のアドミタンスの位相を示す図である。
【図10】ホイール中心のところのタイヤ/ホイール組立体のインピーダンスを示す図であり、グラフ(a)は、静止状態にあるときに振動数ドメインにおいて表わされたインピーダンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、このインピーダンスの位相を示す図である。
【図11】ホイール中心のところで得られたタイヤ/ホイール組立体のロックアップ荷重に対応し、グラフ(a)は、車両基準系で表わされたX方向におけるロックアップ荷重の自己スペクトルに対応し、グラフ(b)は、この同一のタイヤ/ホイール組立体に関するZ軸荷重の自己スペクトルを表わしている図である。
【図12】右後のホイールだけがロックアップ荷重の測定と同一の巨視的に粗い路面上を80km/hの平均速度で転動している車両に関する振動レベルの比較を表わす図であり、この図は、特定の幾何学的箇所においてZ方向の車両の振動自己スペクトルを示しており、連続線は、本明細書に記載された方法により合成される振動レベルを表わし、破線は、加速度計による直接測定に対応している図である。
【図13】右後のホイールだけがロックアップ荷重の測定と同一の巨視的に粗い路面上を80km/hの平均速度で転動している車両に関する音響レベルの比較を表わす図であり、この図は、右後の場所に位置する車両内部に設けられたマイクロホンの音響スペクトルを示しており、連続線は、本明細書に記載された方法により合成される騒音を表わし、破線は、マイクロホンによる直接測定に対応している図である。
【図14】図9、図10及び図11に示された量に類似した量を組み合わせることによって得られた運転荷重を示す図であり、この図は、ホイール中心の高さ位置におけるZ方向の荷重の自己スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、乗用車1が示され、この乗用車の左後タイヤ/ホイール組立体が取り外され、これは、ボデーシェル50の定義に対応している。
【0046】
図3及び図4では、左後のタイヤ2は、滑らかな表面被覆材を備えた直径1.6mクラッドのフライホイール3に載っている。フライホイール3を回転させるよう設計された手段(図示せず)が設けられている。
【0047】
図5及び図6では、左後タイヤ2が滑らかなフライホイール3に載っている。幅20mm、高さ10mmの長方形断面のストリップ4がフライホイール3の表面上に横方向に(即ち、フライホイールの回転軸線に平行に)配置されている。フライホイール3を回転させるよう設計された手段(図示せず)が設けられている。
【0048】
図1及び図7により提供される第1の具体例では、連結システムは、ホイール5に取り付けられた左後タイヤ2に限定されている。
【0049】
図3、図4、図5及び図6により提供される第2の具体例では、連結システムは、特に、次の要素、即ち、ホイール5に取り付けられた左後タイヤ2、固定ハブ61及び回転運動可能なハブキャリヤ62を備えたハブ‐キャリヤ/ハブ組立体6、左後ダンパ7、左後ダンパ7の上側取付け部8、左後ばね9、左後ばねの濾波部分10、左後長手方向アーム11、左後長手方向アーム11をボデーシェル50に連結する弾性関節連結部12、左後下側アーム13、左後下側アーム13をボデーシェル50に連結する弾性関節連結部14、左後上側アーム15、左後上側アーム15をボデーシェル50に連結する弾性関節連結部16、左後連結タイロッド28、タイロッド28とボデーシェル50との間の連結を保証する玉継手29を有する。種々の補助部品(ねじ、ナット、玉継手、ころ軸受、弾性関節連結部等)は、図示されていない。
【0050】
車両1は、その運転室内に、特に、次の要素、即ち、
‐車両の運転手の右耳の高さ位置に設けられていて、騒音又は音響レベルを記録するマイクロホン17、及び
‐車両のステアリングホイール(ハンドル)19に取り付けられた3方向加速度計18及び運転手の座席のランナのうちの1つに取り付けられていて、運転室内の振動記録のための3方向加速度計20を備えている。
【0051】
本発明の方法により、選択された速度Vに関し且つ凹凸又は障害物4を備えたフライホイール3上での転動条件下において、車両1の騒音/快適性能を予測することができる。
【0052】
システムの入力を得るため、先ず最初に、図1に示されているように、取付け箇所におけるボデーシェルの伝達関数Tbody-shell及びボデーシェルのアドミタンスYbody-shellの識別が実施される。ボデーシェル50は、可撓性リンク30によってタイヤ/ホイール組立体の取付け箇所の高さ位置に懸架されている。その結果、取付け箇所は、変位及び回転が自由であり、タイヤ/ホイール組立体を備えた車両上のその位置に類似した位置に存在する。
【0053】
図2に示されているように励振を加えると共に取付け箇所の振動レベルを測定するため、励振システム31を用いる。このシステムは、位置決め装置36によって所定の位置及び向きをなして定位置に配置された励振振動ポット33を有する。振動ポットの端部のところに設けられたインピーダンスヘッド32が励振信号を記録する。図2の具体例では、振動ポットの端部32は、固定ハブ61と一線をなして延びる部分310に押し付けられている。励振のこの印加箇所は、タイヤ/ホイール組立体の取付け箇所、即ちホイール中心からオフセットしているが、励振の印加箇所は、取付け箇所に対して良好に定められており、幾何学的変換により、励振箇所のところの荷重に基づいて取付け箇所のところの荷重を再計算することができる。装置36は、取付け箇所が車両の基準系の標準的励振に対応した方向のうちの1つに励振されるよう振動ポットを位置決めする。
【0054】
振動ポットを利用した励振システム31は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲に位置しないよう設計されている。
【0055】
各励振のため、車両の運転室内の騒音及び振動をインピーダンスヘッド32による励振信号の記録の場合と同様に、マイクロホン17及び加速度計18,20によって記録する。
【0056】
次に、一時的データセットを当業者に良く知られているコンピュータソフトウェアによって振動数ドメインに変換し、そして、ボデーシェルの種々の箇所に関する騒音及び振動信号を右手正規直交基準系における並進又は回転に関する単位励振に関連付けることにより、ボデーシェルのグローバル伝達関数Tbody-shellを得る。
【0057】
図8は、車両ボデーシェル50の音響伝達関数Tbody-shellの実験例を示している。この実験例は、車両基準系で表わされたX軸回りのモーメントによって、右後ホイール中心と励振のための左前の場所のところで運転室内に設けられたマイクロホンとの間の音響伝達に対応している。この測定は、静止時に実施される。この特定の場合、ボデーシェルは、AUDI・A4サルーンである。ボデーシェルに対するホイール中心の幾何学的位置は、ホイール中心が車両上に有する幾何学的位置とほぼ同じである。グラフ(a)は、振動数ドメインにおける音響伝達の振幅に対応し、グラフ(b)は、この伝達の位相を表わしている。
【0058】
取付け箇所のところにおけるボデーシェルのアドミタンスYbody-shellを求めるため、図2(a)及び図2(b)に示されているように、例えば加速度計34,35を部分310上に配置することにより上述の装置を補完する。加速度計のこれらの位置は、取付け箇所の高さ位置における振動レベルを再計算することができるようタイヤ/ホイール組立体の取付け箇所(ホイール中心)に対して良好に定められる。
【0059】
上述したように、励振がシステム31によって車両基準系の方向における標準的励振に対応した所定の方向で取付け箇所のところに加えられ、各励振のため、取付け箇所の加速度で表わされた励振信号及び応答を記録し、一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換し、車両基準系の種々の方向における取付け箇所の振動応答と励振された取付け箇所の高さ位置のところの励振信号における並進及び回転加速度の比を取ることによって取付け箇所の高さ位置におけるボデーシェルのアドミタンスYbody-shellを定める。
【0060】
図9(a)及び図9(b)は、車両基準系で表わされたX方向における励振のために左前ホイール中心の高さ位置におけるボデーシェルのアドミタンスYbody-shellの実験例を示している。この測定は、静止時に実施され、ボデーシェルに対するホイール中心の幾何学的位置は、車両上にある。この特定の場合、ボデーシェルは、AUDI・A4サルーンである。グラフ(a)は、振動数ドメインにおける対数目盛として表わされたアドミタンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、この同一のアドミタンスの位相を表す図である。
【0061】
所与の取付け箇所の高さ位置における連結システムのグローバルインピーダンスZSの測定値を得るため、上述の要素を有する連結システムをその取付け箇所によってリグ21に取り付ける。完全連結システムの場合におけるかかる取付けは、図3及び図4に概略的に示されている。タイヤ2は、滑らかな被覆材及び支持体を接触面のところに備えると共に車両1により伝達された加重と同一の加重を受けるフライホイール3上で転動する。
【0062】
図3の平面は、X,Zで示された方向を含む(Y方向は、この図3の平面に垂直であり且つフライホイール3の回転軸線の方向に平行である)。図4の平面は、互いに垂直な方向Y,Zを含む。
【0063】
リグ21は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲内に位置しないよう設計されている。
【0064】
励振された取付け箇所(この場合、左後長手方向アーム11とボデーシェル50を連結するための弾性関節連結部12の取付け箇所)の高さ位置のところで、機械的装置38により、振動ポット39,40により励振をモーメントの観点で加えることができる。装置38は、可撓性リンク37によってリグ21に連結されている。
【0065】
この装置38は、一方において、取付け箇所の変位ベクトル(並進及び回転)を測定する加速度計41,42を備えると共に他方において3つの互いに垂直な方向における荷重及びモーメントをこの取付け箇所のところで記録するロードセル(荷重計)22を備えている。
機械的装置38は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲内に位置しないよう設計されている。
【0066】
リグ21への連結システムの他の5つの取付け箇所の各々のところに、これら取付け箇所のところで3つの互いに垂直な方向における荷重及びモーメントを記録するロードセル23,24,25,26,27が配置されている。
【0067】
連結システムに対する測定は、騒音/快適性能を測定するときに車両1について用いられる速度と同一の速度で実施される。
【0068】
提供される取付け箇所のところの励振により、他の自由度の取付け箇所を励振させないで、運動(Y軸回りの回転)が自由なままの方向における取付け箇所の動力学的条件を課すことができる。
【0069】
操作では、Y軸回りの回転に対応したモーメントを関節連結部12の取付け箇所のところに課し、取付け箇所の対応の変位ベクトル並びに連結システムの1組の取付け箇所の高さ位置のところで結果的に生じる荷重を測定する。
【0070】
各取付け箇所の1組の自由度についてこれらの測定を実施した後(図3及び図4に提供されている適当な取付け部と類似した適当な取付け部によって)、一時的データセットを振動数ドメインに変換し、取付け箇所の力及びモーメントの信号と取付け箇所の変位レベルの比を取ることにより連結システムのインピーダンスを求める。
【0071】
図10(a)及び図10(b)は、タイヤ/ホイール組立体に制限された連結システムの場合にホイール中心のところにおける連結システムのインピーダンスZSの実験例を示している。この実験例は、車両基準系で表わされたY方向における励振に対応している。この特定の場合、この実験例は、サイズ7J16 H2 ET 42の基準8E0 601 025 Cの合金リムに取り付けられていて、3.3バールまでインフレートされるサイズ225/55 R16 95Wのミシュラン・プライマシー(Michelin Primacy)HPタイヤを採用している。グラフ(a)は、振動数ドメインで表わされた静止状態におけるインピーダンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、このインピーダンスの位相を示している。
【0072】
図5及び図6は、リグ21への連結システムの取付け方を示しており、かかる取付け方により、取付け箇所の高さ位置における連結システムのロックアップ荷重の測定値を得ることができる。これら測定は、タイヤ2が障害物4のあるフライホイール3上で転動する状態で実施され、これは、同一の障害物4を備えた同一のフライホイール3上でその連結システムを介して走行する車両1に対する試行と同一である。
【0073】
図5の平面は、X,Zで示された方向を含む(Y方向は、この図5の平面に垂直であり且つフライホイール3の回転軸線の方向に平行である)。図6の平面は、互いに垂直な方向Y,Zを含む。
【0074】
リグ21は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲内に位置しないよう設計されている。
【0075】
リグ21への連結システムの6つの取付け箇所の各々のところに、これら取付け箇所のところで3つの互いに垂直な方向における荷重及びモーメントを記録するロードセル22,23,24,25,26,27が配置されている。
【0076】
連結システムに対する測定は、騒音/快適性能を測定するときに車両1について用いられる速度と同一の速度で実施される。
【0077】
ホイール中心の高さ位置でのみタイヤ/ホイール組立体に対応した連結システムのロックアップ荷重の測定値を得るため、図7は、タイヤ/ホイール組立体がダイナモメトリックハブ43を備えたリグにホイール中心の高さ位置で取り付けられている状態を示している。タイヤ2は、障害物4のあるフライホイール3上で転動する状態で実施され、これは、同一の障害物4を備えた同一のフライホイール3上でそのタイヤ/ホイール組立体によって走行する車両1に対する試行と同一である。
【0078】
当然のことながら、フライホイール型の転動手段について説明した内容は、平らな路面に非常に良く似た転動条件を再現する転動機械(特に、「フラットベルト」機械)について実施されるのが良い。
【0079】
図11は、巨視的に粗い路面、即ち、複数の凹凸又は障害物のある路面上で80km/hの平均速度でロールウェイ上での測定に基づいてホイール中心のところで得られたタイヤ/ホイール組立体のロックアップ荷重に対応している。この特定の場合、これは、サイズ7J16 H2 ET 42の基準8E0 601 025 Cの合金リムに取り付けられていて、3.3バールまでインフレートされるサイズ225/55 R16 95Wのミシュラン・プライマシーHPケーシングから成るタイヤ/ホイール組立体を利用している。グラフ(a)は、車両基準系で表わされたX方向におけるロックアップ荷重の自己スペクトルに対応し、グラフ(b)は、この同一のタイヤ/ホイール組立体に関するZ軸荷重の自己スペクトルを表わしている図である。
【0080】
所与の連結システムに関して運転室内の騒音/快適性能Pの予測を得るために、次のようにボデーシェルのグローバル伝達関数、ボデーシェルのグローバルアドミタンス、連結システムのグローバルインピーダンス及び連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせる。
【0081】
【数3】
【0082】
図12は、右後のホイールだけがロックアップ荷重の測定と同一の巨視的に粗い路面上を80km/hの平均速度で転動している車両に関する振動レベルの比較を表わす図である。この車両は、サイズ7J16 H2 ET 42の基準8E0 601 025 Cの合金リムに取り付けられていて、3.3バールまでインフレートされるサイズ225/55 R16 95Wのミシュラン・プライマシーHPケーシングにより構成されたタイヤ/ホイール組立体を左後に備えている。この図13は、特定の幾何学的箇所のところにおけるZ方向の車両の振動自己スペクトルを示している。
【0083】
破線で表わされた曲線は、加速度計による運転室内の直接測定に対応し、実線で表わされた曲線は、例えば上述したような種々の測定値の組み合わせの結果として得られる予測に対応している。
【0084】
図13は、同一の運転条件下における音響レベルの比較を表わすことにより図12の結果を補足している。この図13は、右後の場所に位置する車両内部のマイクロホンの音響スペクトルを示している。上述したように、破線で表わされた曲線は、マイクロホンによる運転室内の直接測定に対応し、実線で表わされた曲線は、上述したような種々の測定値の組み合わせの結果として得られる予測に対応している。
【0085】
実験で得られた曲線と予測による曲線の類似性により、上述の予測方法の利点の全てが立証される。
【0086】
注目されるべきこととして、公式、即ち、
【数4】
に対応した組み合わせに必要なデータを上述したような実験手段によって得ることができるが、全体的に又は部分的に実験による特性決定のシミュレーションから生じたディジタルデータによっても得ることができる。この特異性により、運転室内における所与の連結システムを備えた所与のボデーシェルの騒音/快適性能を予測するこの方法の利点が促進される。
【0087】
本発明の要旨のうちの1つにより、選択された速度Vに関し且つ凹凸又は障害物4を備えたフライホイール3上での転動条件下において、車両1の取付け箇所のところでの運転荷重を予測することができる。
【0088】
これら運転荷重を得るには、次の公式、即ち、
【数5】
を適用することによりボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところに示されるボデーシェルのアドミタンスYbody-shell、取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンスZS及び取付け箇所のところにおける連結システムのロックアップ荷重FSbを組み合わせるのが良い。
【0089】
図14は、車両の取付け箇所のところにおける運転荷重の例示の予測結果を示している。この曲線は、図9、図10及び図11に提供されている実験結果とほぼ同じ実験結果を組み合わせることによって得られる。この曲線は、ホイール中心の高さ位置におけるZ方向の運転荷重の自己スペクトルを表している。
【0090】
本発明は、図示すると共に説明した具体例には限定されず、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなくかかる具体例の種々の改造が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の粒度格付けの1つ又は2つ以上の凹凸をもつ路面上を走行する車両内部の音響レベル及び振動レベルを予測判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ又は2つ以上の障害物(例えば、マンホールカバー、アスファルトの継目、種々の継ぎ目、砂利等)上を走行する車両の運転手や乗客が感じる不快感には2つの異なる観点がある。第1の観点は、振動性のものであり、車両のフロア、シート及びステアリングホイールの振動として表れる。第2の観点は、音響性のものであり、車両の種々の部品の振動により車両内部で発生する騒音として表れる。車両に乗っている人が感じる不快レベルは、特に、車両のボデーシェル、連結システム(サスペンションシステム)、走行速度及び当然のことながら車道上の障害物の種類によって左右される。
【0003】
当業者には、所与の車両に関して新しい連結システムの騒音/快適性能を評価し、当業者が連結システムを最適化することができる幾つかの方法が知られている。かかる最適化は、実質的に改善された快適性レベルをもたらす連結システムの特性を得ることから成る。
【0004】
例えば、新しい連結システムを搭載した車両の騒音/快適性能を評価すると共に最適化する目的で、当業者は、車両内に振動性及び/又は音響性の不快感を生じさせることが可能な路面又はトラックの一部分上を走行する車両の運転室内の騒音及び振動の測定の実施から成る実験的方法を実施することがあり、路面又はトラックのこの部分は、その表面上に1つ又は2つ以上の凹凸を含む。しかしながら、この方法では、種々の連結システムを評価するのに車両を使用しなければならず、更に、これは、望ましい天候条件下でしか実施できず、それにより場合によっては過度に長時間にわたる車両の不動化時間が生じ、その結果、多数回の反復が必要である場合が多いので、連結システムの微調整段階において過剰コストを招く。さらに、この方法は、時間がかかり且つオペレータにとって面倒であり、しかも大幅な測定値のばらつきを生じがちである。
【0005】
変形例として、欧州特許第0886130(B1)号明細書は、多数の凹凸のある平坦ではない路面上を走行するタイヤ装着車両の運転室内の騒音レベルを予測する方法を記載している。この方法によれば、制止状態の車両の各アクスル(ホイール中心のところ)に、所定方向に沿って差し向けられた荷重(衝撃の形態)を直接加えることにより、タイヤを備えた車両のグローバル伝達関数を決定する。各衝撃について、車両内部での音の記録が行なわれ、この作業は、車両のフロント位置及びリヤ位置並びに各側について連続的に繰り返される。別のステップでは、同一のタイヤが、転動面上に平坦ではない(でこぼこの)路面を模倣した複数の凹凸を備えたフライホイール上で転動する。この試験では、タイヤは、固定軸線に取り付けられ、ホイール中心のところのロックアップ合成荷重(合力)を記録する。最後に、これら測定されたロックアップ荷重を上記のように決定された車両伝達関数を含むモデルの入力として使用され、それにより車両内部の合成騒音レベルが得られる。この方法には欠点がある。特に、タイヤ/ホイール組立体の交換のためには、車両のグローバル伝達関数の決定を繰り返す必要がある。
【0006】
さらに、車両の伝達関数は静止時に行なわれる試行に基づいて確立されるので、一般的に言って静止時の特性とは実質的に異なる走行中のタイヤの機械的特性について全く考慮されない。特に、静止時においてタイヤが動的応力を受けた場合の垂直剛性は、転動中のタイヤが動的応力を受けたときの垂直剛性より大きいことが知られている。
【0007】
もう1つの別法によれば、欧州特許第1200808(B1)号明細書は、連結システムを備えると共に複数の凹凸のある平坦ではない路面上を走行するボデーシェルから成る車両の騒音/快適性能を予測する方法を記載している。この場合、2つのステップが実施される。先ず最初に、連結システムが1つ又は2つ以上の凹凸を示す路面上を走行する状態にある場合、車両の運転室内の音響及び振動測定を実施する。第2の試行では、連結システムを取付け箇所の高さ位置で剛性リグ上に配置する。連結システムは、ステップ番号1に類似した仕方で走行状態にある(加重、圧力、速度)。剛性リグは、連結システムの各取付け箇所の高さ位置でロックアップ荷重を測定するシステムを備えている。この試行中、連結システムの各取付け箇所のところの力及びモーメントの信号を記録する。車両伝達関数を車両内部の音響及び振動レベルと連結システムのロックアップ荷重レベルの比によって決定する。プロトタイプ連結システムを備えた同一のボデーシェルの場合、プロトタイプ連結システムが1つ又は2つ以上の凹凸のあるでこ平坦でない路面上を転動する場合に車両内の音響及び振動レベルを予測することが可能である。プロトタイプの連結システムをこれら取付け箇所の高さ位置で剛性リグ上に配置することにより、プロトタイプ連結システムは、車上(on-vehicle)試行の路面と同一の平坦ではない路面上を転動する。取付け箇所の高さ位置のロックアップ荷重を測定する。車両伝達関数にプロトタイプ連結システムのこれらロックアップ荷重を乗算することにより、でこぼこの路面上を転動するプロトタイプ連結システムを備えたボデーシェルの音響及び振動レベルを評価する。この方法にも、欠点があり、かかる欠点は、異なる構造の連結システムの場合、例えば同一寸法のタイヤの構造の高さ位置では、これら種々の連結システムを備えると共にでこぼこの路面上を走行する同一車両で実施された試行に基づいて得られる騒音レベルとは異なる騒音レベルをもたらす場合がある。
【0008】
特に、基準連結システムについて車両伝達関数を決定する。この基準連結システムは、車両伝達関数に影響を及ぼすそれ自体の機械的挙動を有する。プロトタイプ連結システムは、車両伝達関数に異なる仕方で影響を及ぼす場合のあるそれ自体の機械的挙動を有する。
【0009】
最後に、国際公開第2005/071385(A1)号パンフレットは、単一のタイヤ/ホイール組立体に代表される連結システムとボデーシェルとの間のホイール中心のところの運転荷重を求める方法を記載している。これら運転荷重は、複数の凹凸を示すでこぼこの路面上を転動するこのタイヤ/ホイール組立体を備えた車両の騒音/快適性能を予測することができるようにする新たな車両伝達関数を定める。
【0010】
第1ステップでは、タイヤ/ホイール組立体のロックアップ荷重の測定を複数の凹凸のある平坦ではない路面のあるロールウェイ(rollway )上で実施する。このロールウェイは、車両基準系に対応した3つの互いに垂直な方向においてホイール中心のところのロックアップ荷重を測定するダイナモメトリックハブを備えている。タイヤ/ホイール組立体がでこぼこの路面上を走行すると、この走行の結果として生じるロックアップ荷重をダイナモメトリックハブを介して記録する。
【0011】
しかる後、サスペンションの機能的モデルを決定し、非懸架質量並びに車両基準系の3つの方向における剛性及びダンパによって特徴付ける。
【0012】
従来、この機能的モデルを車両基準系の方向において定め、互いに垂直な方向相互間の連結を無視する。さらに、垂直方向における力だけを考慮に入れる。この機能的モデルのパラメータの識別を車両に関する測定によって実施する。懸架のこの機能的モデルをタイヤのモデルに関連付けることにより、ロックアップ荷重とホイール中心のところの運転荷重との間で切り換えるスイッチング行列(Hp)を求める。タイヤ/ホイール組立体のホイール中心のところの運転荷重の推定は、ステップ1においてスイッチング行列(Hp)にロックアップ荷重を乗算することにより得られる。
【0013】
ステップ3において、タイヤ/ホイール組立体が複数の障害物を示す路面上で転動する状態にあるときに車両の運転室内において音響及び振動測定を実施する。
【0014】
ステップ4において、車両の内部の音響及び振動レベルとタイヤ/ホイール組立体の運転荷重のレベルの比によって新たな車両伝達関数を決定する。
【0015】
プロトタイプタイヤ/ホイール組立体を備えた同一のボデーシェルの場合、このプロトタイプタイヤ/ホイール組立体を備えた車両が数個の凹凸のあるでこぼこの路面上を転動する場合における車両内部の音響及び振動レベルを予測することができる。プロトタイプタイヤ/ホイール組立体をホイール中心の高さ位置で剛性リグ上に配置することにより、タイヤ/ホイール組立体は、車上試行の路面と同一のでこぼこの路面上を転動する。ホイール中心の高さ位置のところのロックアップ荷重を測定する。切り換え行列(Hp)にロックアップ荷重を乗算することにより、ホイール中心のところのタイヤ/ホイール組立体の運転荷重を評価する。車両伝達関数にプロトタイプタイヤ/ホイール組立体のこれら運転荷重を乗算することにより、でこぼこの路面上を走行する車両の音響及び振動レベルを評価する。
【0016】
懸架の機能的モデルの決定は、この方法の欠点のうちの1つである。この機能的モデルは、垂直な方向相互間の連結を前提条件としておらず、パラメータの識別が容易ではない。しかる後、この方法は、車両基準系の3つの直交方向における力だけを考慮に入れており、モーメントも又考慮に入れる必要があることが認識される。
【0017】
定義
以下において、次のように定義する。
‐「騒音/快適性能」は、決定した寸法の少なくとも1つの障害物のある車道(又は、試行手段)上で走行する車両内部で測定可能な振動・音響レベル、即ち、音響レベル及び/又は振動レベルである。
‐「連結システム(サスペンションシステム)」は、車両と車道との間の1つ又は2つ以上の接触表面と車両の1つ又は2つ以上の箇所との相互間の連結(リンク)を保証する車両の1組の要素であり、あらゆる場合において、連結システムは、少なくともタイヤ/ホイール組立体を含む。
‐「タイヤ/ホイール組立体」は、タイヤと、その取付けホイールとから成る組立体である。
‐「ボデーシェル」は、連結システムと補足し合う車両の1組の要素である。
‐「取付け箇所」は、連結システムをボデーシェルに連接する箇所である。
‐「車両基準系」は、右手正規直交基準系であり、この場合、X方向は、リヤからフロントに差し向けられた車両の長手方向に対応し、Z軸は、上方に差し向けられた状態で路面と直交しており、Y方向は、右手基準系を形成するよう他の2つの方向に垂直である。 ‐「車両のグローバル伝達関数」は、2つの部分から成る関数であり、第1の部分は、車両の運転室内の騒音(ノイズ)に関し、第2の部分は、車両のボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところでの励振に関し、同一運転室内の或る所定の箇所のところの振動に関する。
‐「ボデーシェルのグローバル伝達関数」は、2つの部分から成る関数であり、第1の部分は、ボデーシェルの運転室内の騒音に関し、第2の部分は、ボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところでの励振に関し、同一運転室内の或る所定の箇所のところの振動に関する。
‐「ボデーシェルの取付け箇所のところのアドミタンス」は、ボデーシェルの“k”個の取付け箇所の振動レベルをボデーシェル上の“k”個の取付け箇所のところにおける所定の単位外部励振に関連付ける関数であり、並進及び回転加速度をボデーシェルの取付け箇所の高さ位置における荷重及びモーメントに関連付けるのは、せいぜい6k×6k行列であり、この行列は、車両基準系で表わされる。
‐「連結システムの取付け箇所のところのインピーダンス」は、連結システムの“k”個の取付け箇所の荷重及びモーメントのレベルを“k”個の取付け箇所の所定の単位振動励振に関連付ける関数であり、並進及び回転加速度をボデーシェルの取付け箇所の高さ位置における荷重及びモーメントに関連付けるのは、せいぜい6k×6k行列であり、この行列は、車両基準系で表わされる。
‐「取付け箇所のところのロックアップ荷重」は、車両の取付け箇所のところの力及びモーメントであって、連結システムが決定された寸法の少なくとも1つの障害物のある路面上における走行に関連付けられた外部荷重を受けたときにこの取付け箇所の並進及び回転の変位量がゼロであることに起因して生じる力及びモーメントであり、これら荷重は、車両基準系で表わされる。
‐「取付け箇所のところの運転荷重」は、車両の取付け箇所のところの力及びモーメントであって、連結システムが決定された寸法の少なくとも1つの障害物のある路面上における走行に関連付けられた外部荷重を受けたときに車両に関して供用中条件下におけるこの取付け箇所の並進及び回転の変位量に起因して生じる力及びモーメントであり、これら荷重は、車両基準系で表わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許第0886130(B1)号明細書
【特許文献2】欧州特許第1200808(B1)号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/071385(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【0019】
本発明の要旨は、上述の方法の欠点を示さない連結システム(サスペンションシステム)を備えた車両の騒音/快適性能を予測する方法である。
【0020】
この目的を念頭に置いて、ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によってボデーシェルに連接された連結システムを有する車両の運転室内の音響及び/又は振動レベルに対応した騒音/快適性能を予測判定する方法であって、車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐運転室への取付け箇所のところに示されるボデーシェルのグローバル伝達関数(Tbody-shell)を求めるステップと、
‐ボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところで表されるボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐取付け箇所のところに示される連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐ボデーシェルのグローバル伝達関数、ボデーシェルのグローバルアドミタンス、連結システムのグローバルインピーダンス、及び連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせるステップとを有することを特徴とする方法が提供される。
【0021】
この方法の利点は、車両を互いに別個独立に検討される2つの別々のコンポーネント、即ち、ボデーシェルと連結システムに分割することにある。その結果、ボデーシェルの特性決定は、任意の連結システムを備えた車両の騒音/快適性能を予測する上で1回だけ実施される必要があるに過ぎない。
【0022】
ボデーシェルのグローバル伝達関数(Tbody-shell)及びボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)は、静止状態にあるときに求められる。有利には、取付け箇所を励振するシステムは、振動ポットから成るのが良い。
【0023】
有利には、ボデーシェルのグローバル伝達関数を求めるために、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐運転室内で先に求められたm個の箇所のところにおける騒音及び振動を記録することができる手段を車両の内部に配置するステップ、
‐連結システムの取付け箇所を、連結システムを備えた車両上のその位置に類似した仕方でボデーシェルに対して位置決めするステップ、ボデーシェルの高さ位置のところの取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって連結システムの取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、車両の運転室内における騒音及び振動を励振された取付け箇所の高さ位置で励振信号と共に記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐運転室の種々の箇所のm個の騒音及び振動信号を右手正規直交基準系における並進又は回転における単位励振に関連付けることにより、ボデーシェルのグローバル伝達関数を得るステップに従ってボデーシェルについて測定を実施する。
【0024】
取付け箇所に接近できない場合、励振を取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加え、取付け箇所のところの荷重を励振箇所のところの荷重に基づいて幾何学的変換によって再計算する。
【0025】
有利には、ボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところに示されるボデーシェルのアドミタンスを求めるため、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐連結システムの取付け箇所を、連結システムを備えた車両上のその位置に類似した仕方でボデーシェルに対して位置決めするステップ、ボデーシェルの高さ位置のところの取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐取付け箇所に、ボデーシェルの取付け箇所の振動レベルを測定することができる振動センサ、例えば加速度計を取り付けるステップ、
‐車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、取付け箇所の高さ位置の励振信号及び取付け箇所の振動応答を記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、
‐車両基準系の種々の方向における取付け箇所の振動応答と励振された取付け箇所の高さ位置のところにおける励振信号の比を取ることにより取付け箇所の高さ位置のところにおけるボデーシェルのアドミタンスを求めるステップに従ってボデーシェルに対して測定を実施する。
【0026】
有利には、取付け箇所の並進及び回転振動応答を記録する。
【0027】
有利には、取付け箇所に接近できない場合、振動センサ、例えば加速度計を取り付け、励振を取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加える。この場合、幾何学的変換により取付け箇所の振動レベルを再計算する。
【0028】
ボデーシェルへの取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンスを求めるため、次のステップ、即ち、
‐連結システムを滑らかな被覆材を備えた装置上の定位置に取り付けるステップ、
‐連結システムを連結システムの剛性と比較して可撓性である連結具により取付け箇所のところに設けられた実験台に機械的に連結するステップ、実験台は、取付け箇所が並進又は回転方向において自由に動くことができるよう連結システムの取付け箇所の変位量並びに力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐先に自由に運動ができる状態のままの方向における取付け箇所の動力学的条件を課すようになった励振システムによって取付け箇所のところに励振を加えるステップ、
‐励振された取付け箇所の変位ベクトル(並進及び回転)の測定及び連結システムの取付け箇所のところの結果として生じる荷重(力及びモーメント)のベクトルの測定を取付け箇所の自由度の組に関し、取付け箇所のところにおける各励振について実施するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐取付け箇所のせいぜい6つの自由度に関し、取付け箇所の力及びモーメントの信号と取付け箇所の振動レベルの比を取ることにより連結システムのインピーダンスを求めるステップに従って連結システムについて測定を実施する。
【0029】
有利には、連結システムを、励振の印加に先立って、車両の転動条件に類似した転動条件下で滑らかな被覆材を備えた装置上の定位置に取り付ける。
【0030】
有利には、励振システムは、取付け箇所の他の自由度を励振させないで、先に自由に運動できる状態のままの方向における取付け箇所の動力学的条件を課すようになっている。
【0031】
好ましくは、取付け箇所の並進及び回転変位量を測定し、励振システムは、振動ポットを有する。
【0032】
取付け箇所の並進自由度を得るために、励振システムは、励振させようと望む方向における取付け箇所の高さ位置に位置決めされた少なくとも1つの振動ポットを有するのが良い。
【0033】
有利には、取付け箇所が接近不能である場合、振動ポットは、適当な取付けにより取付け箇所に対して対称に位置決めされ、これらは、同相で励振される。
【0034】
取付け箇所の回転自由度を得るためには、少なくとも2つの振動ポットを適当な取付けにより取付け箇所に対して対称に位置決めし、少なくとも2つの振動ポットを互いに逆相で励振させることが可能である。
【0035】
取付け箇所のところの連結システムのロックアップ荷重を求めるため、次のステップ、即ち、
‐転動面上に、車上試行に類似した所定の寸法の少なくとも1つの凹凸を有する転動手段上の定位置に連結システムを取り付けるステップ、
‐連結システムを取付け箇所のところに設けられた実験台にしっかりと固定するステップ、実験台は、取付け箇所のところにおける力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐連結システムに車両上の転動条件と同一の転動条件下において転動手段上で応力を加えるステップ、
‐転動中、取付け箇所のところの力及びモーメントの信号を記録するステップ、及び
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ
に従って連結システムについて測定を実施する。
【0036】
連結システムを備えた車両の騒音/快適性能を評価するため、次の演算、即ち、
【数1】
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐Pは、運転室内における車両の快適性能であり、これは、次元m,1の行列であり、mは、運転室内における測定箇所の数である。
‐Tbody-shellは、ボデーシェルのグローバル伝達関数であり、これは、次元m,nの行列である。
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、nは、取付け箇所の所定の励振方向の数である。
‐Ybody-shellは、ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列である。
‐ZSは、連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列である。
‐FSbは、連結システムのロックアップ荷重に対応しており、次元n,1の行列である。
【0037】
車両の騒音/快適性能は、次元m×1の行列の形態を取り、この場合、各行は、振動数ドメインにおける車両の運転室の箇所mのところの振動又は音響応答である。
【0038】
本発明の要旨は又、ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によってボデーシェルに連接された連結システムから成る車両の取付け箇所のところの運転荷重を予測する方法であって、車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐ボデーシェルに対する連結システムの取付け箇所のところに示されるボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐転動中、取付け箇所のところにおける連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐ボデーシェルのグローバルアドミタンス、連結システムのグローバルインピーダンス、及び連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせるステップとを有することを特徴とする方法にある。
【0039】
連結システムを備えた車両の取付け箇所のところの運転荷重を評価するため、次の演算、即ち、
【数2】
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐FSopは、車両の取付け箇所のところの運転荷重に対応し、これは、次元n,1の行列であり、nは、車両の取付け箇所の所定の励振方向の数であり、
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、
‐Ybody-shellは、ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列であり、
‐ZSは、連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列であり、
‐FSbは、連結システムのロックアップ荷重に対応し、次元n,1の行列である。
【0040】
車両の取付け箇所のところの運転荷重は、次元n,1の行列の形態を取り、この場合、各行は、振動数ドメインにおける車両基準系の所定の方向における車両の取付け箇所のところの荷重又はモーメントに対応している。運転荷重の知識により、連結システムを特定のボデーシェルの機械的挙動に関して分類することができる。
【0041】
連結システムは、有利には、タイヤ/ホイール組立体を含む。
【0042】
当然のことながら、実験データに代えて実験による特性決定のシミュレーションにより得られたディジタルデータを用いても良い。
【0043】
図1〜図14を参照して行われる以下の説明において例示の実施形態が与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】リヤアクスル組立体に起因して生じるグローバル伝達関数又はリヤアクスル組立体に起因して生じるボデーシェルのグローバルアドミタンスを得るために定位置に配置された自動車ボデーシェルを示す図である。
【図2(a)】取付け箇所の振動レベルも又測定できるようにする取付け箇所を励振するための装置を示す図である。
【図2(b)】取付け箇所の振動レベルも又測定できるようにする取付け箇所を励振するための装置を示す図である。
【図3】少なくとも1つの取付け箇所の高さ位置でリグに可撓的に取り付けられた連結システムを示す図である。
【図4】図3の取付け部を別の視角から見た図である。
【図5】リグに剛性的に取り付けられた連結システムを示す図である。
【図6】図5の取付け部を別の視角から見た図である。
【図7】取付けホイールに剛性的に取り付けられると共に転動フライホイール上に載っているタイヤを示す図である。
【図8】右後側ホイールの中心と運転室内に左側前の場所に設けられたマイクロホンとの間のボデーシェルの音響伝達関数の一例を示す図であり、グラフ(a)は、振動数ドメインにおける音響伝達の振幅に対応し、グラフ(b)は、この伝達の位相を示す図である。
【図9】左前のホイール中心の高さ位置におけるボデーシェルのアドミタンスを示す図であり、グラフ(a)は、振動数ドメインにおける対数目盛として表わされたアドミタンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、この同一のアドミタンスの位相を示す図である。
【図10】ホイール中心のところのタイヤ/ホイール組立体のインピーダンスを示す図であり、グラフ(a)は、静止状態にあるときに振動数ドメインにおいて表わされたインピーダンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、このインピーダンスの位相を示す図である。
【図11】ホイール中心のところで得られたタイヤ/ホイール組立体のロックアップ荷重に対応し、グラフ(a)は、車両基準系で表わされたX方向におけるロックアップ荷重の自己スペクトルに対応し、グラフ(b)は、この同一のタイヤ/ホイール組立体に関するZ軸荷重の自己スペクトルを表わしている図である。
【図12】右後のホイールだけがロックアップ荷重の測定と同一の巨視的に粗い路面上を80km/hの平均速度で転動している車両に関する振動レベルの比較を表わす図であり、この図は、特定の幾何学的箇所においてZ方向の車両の振動自己スペクトルを示しており、連続線は、本明細書に記載された方法により合成される振動レベルを表わし、破線は、加速度計による直接測定に対応している図である。
【図13】右後のホイールだけがロックアップ荷重の測定と同一の巨視的に粗い路面上を80km/hの平均速度で転動している車両に関する音響レベルの比較を表わす図であり、この図は、右後の場所に位置する車両内部に設けられたマイクロホンの音響スペクトルを示しており、連続線は、本明細書に記載された方法により合成される騒音を表わし、破線は、マイクロホンによる直接測定に対応している図である。
【図14】図9、図10及び図11に示された量に類似した量を組み合わせることによって得られた運転荷重を示す図であり、この図は、ホイール中心の高さ位置におけるZ方向の荷重の自己スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、乗用車1が示され、この乗用車の左後タイヤ/ホイール組立体が取り外され、これは、ボデーシェル50の定義に対応している。
【0046】
図3及び図4では、左後のタイヤ2は、滑らかな表面被覆材を備えた直径1.6mクラッドのフライホイール3に載っている。フライホイール3を回転させるよう設計された手段(図示せず)が設けられている。
【0047】
図5及び図6では、左後タイヤ2が滑らかなフライホイール3に載っている。幅20mm、高さ10mmの長方形断面のストリップ4がフライホイール3の表面上に横方向に(即ち、フライホイールの回転軸線に平行に)配置されている。フライホイール3を回転させるよう設計された手段(図示せず)が設けられている。
【0048】
図1及び図7により提供される第1の具体例では、連結システムは、ホイール5に取り付けられた左後タイヤ2に限定されている。
【0049】
図3、図4、図5及び図6により提供される第2の具体例では、連結システムは、特に、次の要素、即ち、ホイール5に取り付けられた左後タイヤ2、固定ハブ61及び回転運動可能なハブキャリヤ62を備えたハブ‐キャリヤ/ハブ組立体6、左後ダンパ7、左後ダンパ7の上側取付け部8、左後ばね9、左後ばねの濾波部分10、左後長手方向アーム11、左後長手方向アーム11をボデーシェル50に連結する弾性関節連結部12、左後下側アーム13、左後下側アーム13をボデーシェル50に連結する弾性関節連結部14、左後上側アーム15、左後上側アーム15をボデーシェル50に連結する弾性関節連結部16、左後連結タイロッド28、タイロッド28とボデーシェル50との間の連結を保証する玉継手29を有する。種々の補助部品(ねじ、ナット、玉継手、ころ軸受、弾性関節連結部等)は、図示されていない。
【0050】
車両1は、その運転室内に、特に、次の要素、即ち、
‐車両の運転手の右耳の高さ位置に設けられていて、騒音又は音響レベルを記録するマイクロホン17、及び
‐車両のステアリングホイール(ハンドル)19に取り付けられた3方向加速度計18及び運転手の座席のランナのうちの1つに取り付けられていて、運転室内の振動記録のための3方向加速度計20を備えている。
【0051】
本発明の方法により、選択された速度Vに関し且つ凹凸又は障害物4を備えたフライホイール3上での転動条件下において、車両1の騒音/快適性能を予測することができる。
【0052】
システムの入力を得るため、先ず最初に、図1に示されているように、取付け箇所におけるボデーシェルの伝達関数Tbody-shell及びボデーシェルのアドミタンスYbody-shellの識別が実施される。ボデーシェル50は、可撓性リンク30によってタイヤ/ホイール組立体の取付け箇所の高さ位置に懸架されている。その結果、取付け箇所は、変位及び回転が自由であり、タイヤ/ホイール組立体を備えた車両上のその位置に類似した位置に存在する。
【0053】
図2に示されているように励振を加えると共に取付け箇所の振動レベルを測定するため、励振システム31を用いる。このシステムは、位置決め装置36によって所定の位置及び向きをなして定位置に配置された励振振動ポット33を有する。振動ポットの端部のところに設けられたインピーダンスヘッド32が励振信号を記録する。図2の具体例では、振動ポットの端部32は、固定ハブ61と一線をなして延びる部分310に押し付けられている。励振のこの印加箇所は、タイヤ/ホイール組立体の取付け箇所、即ちホイール中心からオフセットしているが、励振の印加箇所は、取付け箇所に対して良好に定められており、幾何学的変換により、励振箇所のところの荷重に基づいて取付け箇所のところの荷重を再計算することができる。装置36は、取付け箇所が車両の基準系の標準的励振に対応した方向のうちの1つに励振されるよう振動ポットを位置決めする。
【0054】
振動ポットを利用した励振システム31は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲に位置しないよう設計されている。
【0055】
各励振のため、車両の運転室内の騒音及び振動をインピーダンスヘッド32による励振信号の記録の場合と同様に、マイクロホン17及び加速度計18,20によって記録する。
【0056】
次に、一時的データセットを当業者に良く知られているコンピュータソフトウェアによって振動数ドメインに変換し、そして、ボデーシェルの種々の箇所に関する騒音及び振動信号を右手正規直交基準系における並進又は回転に関する単位励振に関連付けることにより、ボデーシェルのグローバル伝達関数Tbody-shellを得る。
【0057】
図8は、車両ボデーシェル50の音響伝達関数Tbody-shellの実験例を示している。この実験例は、車両基準系で表わされたX軸回りのモーメントによって、右後ホイール中心と励振のための左前の場所のところで運転室内に設けられたマイクロホンとの間の音響伝達に対応している。この測定は、静止時に実施される。この特定の場合、ボデーシェルは、AUDI・A4サルーンである。ボデーシェルに対するホイール中心の幾何学的位置は、ホイール中心が車両上に有する幾何学的位置とほぼ同じである。グラフ(a)は、振動数ドメインにおける音響伝達の振幅に対応し、グラフ(b)は、この伝達の位相を表わしている。
【0058】
取付け箇所のところにおけるボデーシェルのアドミタンスYbody-shellを求めるため、図2(a)及び図2(b)に示されているように、例えば加速度計34,35を部分310上に配置することにより上述の装置を補完する。加速度計のこれらの位置は、取付け箇所の高さ位置における振動レベルを再計算することができるようタイヤ/ホイール組立体の取付け箇所(ホイール中心)に対して良好に定められる。
【0059】
上述したように、励振がシステム31によって車両基準系の方向における標準的励振に対応した所定の方向で取付け箇所のところに加えられ、各励振のため、取付け箇所の加速度で表わされた励振信号及び応答を記録し、一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換し、車両基準系の種々の方向における取付け箇所の振動応答と励振された取付け箇所の高さ位置のところの励振信号における並進及び回転加速度の比を取ることによって取付け箇所の高さ位置におけるボデーシェルのアドミタンスYbody-shellを定める。
【0060】
図9(a)及び図9(b)は、車両基準系で表わされたX方向における励振のために左前ホイール中心の高さ位置におけるボデーシェルのアドミタンスYbody-shellの実験例を示している。この測定は、静止時に実施され、ボデーシェルに対するホイール中心の幾何学的位置は、車両上にある。この特定の場合、ボデーシェルは、AUDI・A4サルーンである。グラフ(a)は、振動数ドメインにおける対数目盛として表わされたアドミタンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、この同一のアドミタンスの位相を表す図である。
【0061】
所与の取付け箇所の高さ位置における連結システムのグローバルインピーダンスZSの測定値を得るため、上述の要素を有する連結システムをその取付け箇所によってリグ21に取り付ける。完全連結システムの場合におけるかかる取付けは、図3及び図4に概略的に示されている。タイヤ2は、滑らかな被覆材及び支持体を接触面のところに備えると共に車両1により伝達された加重と同一の加重を受けるフライホイール3上で転動する。
【0062】
図3の平面は、X,Zで示された方向を含む(Y方向は、この図3の平面に垂直であり且つフライホイール3の回転軸線の方向に平行である)。図4の平面は、互いに垂直な方向Y,Zを含む。
【0063】
リグ21は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲内に位置しないよう設計されている。
【0064】
励振された取付け箇所(この場合、左後長手方向アーム11とボデーシェル50を連結するための弾性関節連結部12の取付け箇所)の高さ位置のところで、機械的装置38により、振動ポット39,40により励振をモーメントの観点で加えることができる。装置38は、可撓性リンク37によってリグ21に連結されている。
【0065】
この装置38は、一方において、取付け箇所の変位ベクトル(並進及び回転)を測定する加速度計41,42を備えると共に他方において3つの互いに垂直な方向における荷重及びモーメントをこの取付け箇所のところで記録するロードセル(荷重計)22を備えている。
機械的装置38は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲内に位置しないよう設計されている。
【0066】
リグ21への連結システムの他の5つの取付け箇所の各々のところに、これら取付け箇所のところで3つの互いに垂直な方向における荷重及びモーメントを記録するロードセル23,24,25,26,27が配置されている。
【0067】
連結システムに対する測定は、騒音/快適性能を測定するときに車両1について用いられる速度と同一の速度で実施される。
【0068】
提供される取付け箇所のところの励振により、他の自由度の取付け箇所を励振させないで、運動(Y軸回りの回転)が自由なままの方向における取付け箇所の動力学的条件を課すことができる。
【0069】
操作では、Y軸回りの回転に対応したモーメントを関節連結部12の取付け箇所のところに課し、取付け箇所の対応の変位ベクトル並びに連結システムの1組の取付け箇所の高さ位置のところで結果的に生じる荷重を測定する。
【0070】
各取付け箇所の1組の自由度についてこれらの測定を実施した後(図3及び図4に提供されている適当な取付け部と類似した適当な取付け部によって)、一時的データセットを振動数ドメインに変換し、取付け箇所の力及びモーメントの信号と取付け箇所の変位レベルの比を取ることにより連結システムのインピーダンスを求める。
【0071】
図10(a)及び図10(b)は、タイヤ/ホイール組立体に制限された連結システムの場合にホイール中心のところにおける連結システムのインピーダンスZSの実験例を示している。この実験例は、車両基準系で表わされたY方向における励振に対応している。この特定の場合、この実験例は、サイズ7J16 H2 ET 42の基準8E0 601 025 Cの合金リムに取り付けられていて、3.3バールまでインフレートされるサイズ225/55 R16 95Wのミシュラン・プライマシー(Michelin Primacy)HPタイヤを採用している。グラフ(a)は、振動数ドメインで表わされた静止状態におけるインピーダンスの振幅に対応し、グラフ(b)は、このインピーダンスの位相を示している。
【0072】
図5及び図6は、リグ21への連結システムの取付け方を示しており、かかる取付け方により、取付け箇所の高さ位置における連結システムのロックアップ荷重の測定値を得ることができる。これら測定は、タイヤ2が障害物4のあるフライホイール3上で転動する状態で実施され、これは、同一の障害物4を備えた同一のフライホイール3上でその連結システムを介して走行する車両1に対する試行と同一である。
【0073】
図5の平面は、X,Zで示された方向を含む(Y方向は、この図5の平面に垂直であり且つフライホイール3の回転軸線の方向に平行である)。図6の平面は、互いに垂直な方向Y,Zを含む。
【0074】
リグ21は、その第1共振振動数が測定の実施される振動数範囲内に位置しないよう設計されている。
【0075】
リグ21への連結システムの6つの取付け箇所の各々のところに、これら取付け箇所のところで3つの互いに垂直な方向における荷重及びモーメントを記録するロードセル22,23,24,25,26,27が配置されている。
【0076】
連結システムに対する測定は、騒音/快適性能を測定するときに車両1について用いられる速度と同一の速度で実施される。
【0077】
ホイール中心の高さ位置でのみタイヤ/ホイール組立体に対応した連結システムのロックアップ荷重の測定値を得るため、図7は、タイヤ/ホイール組立体がダイナモメトリックハブ43を備えたリグにホイール中心の高さ位置で取り付けられている状態を示している。タイヤ2は、障害物4のあるフライホイール3上で転動する状態で実施され、これは、同一の障害物4を備えた同一のフライホイール3上でそのタイヤ/ホイール組立体によって走行する車両1に対する試行と同一である。
【0078】
当然のことながら、フライホイール型の転動手段について説明した内容は、平らな路面に非常に良く似た転動条件を再現する転動機械(特に、「フラットベルト」機械)について実施されるのが良い。
【0079】
図11は、巨視的に粗い路面、即ち、複数の凹凸又は障害物のある路面上で80km/hの平均速度でロールウェイ上での測定に基づいてホイール中心のところで得られたタイヤ/ホイール組立体のロックアップ荷重に対応している。この特定の場合、これは、サイズ7J16 H2 ET 42の基準8E0 601 025 Cの合金リムに取り付けられていて、3.3バールまでインフレートされるサイズ225/55 R16 95Wのミシュラン・プライマシーHPケーシングから成るタイヤ/ホイール組立体を利用している。グラフ(a)は、車両基準系で表わされたX方向におけるロックアップ荷重の自己スペクトルに対応し、グラフ(b)は、この同一のタイヤ/ホイール組立体に関するZ軸荷重の自己スペクトルを表わしている図である。
【0080】
所与の連結システムに関して運転室内の騒音/快適性能Pの予測を得るために、次のようにボデーシェルのグローバル伝達関数、ボデーシェルのグローバルアドミタンス、連結システムのグローバルインピーダンス及び連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせる。
【0081】
【数3】
【0082】
図12は、右後のホイールだけがロックアップ荷重の測定と同一の巨視的に粗い路面上を80km/hの平均速度で転動している車両に関する振動レベルの比較を表わす図である。この車両は、サイズ7J16 H2 ET 42の基準8E0 601 025 Cの合金リムに取り付けられていて、3.3バールまでインフレートされるサイズ225/55 R16 95Wのミシュラン・プライマシーHPケーシングにより構成されたタイヤ/ホイール組立体を左後に備えている。この図13は、特定の幾何学的箇所のところにおけるZ方向の車両の振動自己スペクトルを示している。
【0083】
破線で表わされた曲線は、加速度計による運転室内の直接測定に対応し、実線で表わされた曲線は、例えば上述したような種々の測定値の組み合わせの結果として得られる予測に対応している。
【0084】
図13は、同一の運転条件下における音響レベルの比較を表わすことにより図12の結果を補足している。この図13は、右後の場所に位置する車両内部のマイクロホンの音響スペクトルを示している。上述したように、破線で表わされた曲線は、マイクロホンによる運転室内の直接測定に対応し、実線で表わされた曲線は、上述したような種々の測定値の組み合わせの結果として得られる予測に対応している。
【0085】
実験で得られた曲線と予測による曲線の類似性により、上述の予測方法の利点の全てが立証される。
【0086】
注目されるべきこととして、公式、即ち、
【数4】
に対応した組み合わせに必要なデータを上述したような実験手段によって得ることができるが、全体的に又は部分的に実験による特性決定のシミュレーションから生じたディジタルデータによっても得ることができる。この特異性により、運転室内における所与の連結システムを備えた所与のボデーシェルの騒音/快適性能を予測するこの方法の利点が促進される。
【0087】
本発明の要旨のうちの1つにより、選択された速度Vに関し且つ凹凸又は障害物4を備えたフライホイール3上での転動条件下において、車両1の取付け箇所のところでの運転荷重を予測することができる。
【0088】
これら運転荷重を得るには、次の公式、即ち、
【数5】
を適用することによりボデーシェルへの連結システムの取付け箇所のところに示されるボデーシェルのアドミタンスYbody-shell、取付け箇所のところに示される連結システムのインピーダンスZS及び取付け箇所のところにおける連結システムのロックアップ荷重FSbを組み合わせるのが良い。
【0089】
図14は、車両の取付け箇所のところにおける運転荷重の例示の予測結果を示している。この曲線は、図9、図10及び図11に提供されている実験結果とほぼ同じ実験結果を組み合わせることによって得られる。この曲線は、ホイール中心の高さ位置におけるZ方向の運転荷重の自己スペクトルを表している。
【0090】
本発明は、図示すると共に説明した具体例には限定されず、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなくかかる具体例の種々の改造が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によって前記ボデーシェルに連接された連結システムを有する車両の運転室内の音響及び/又は振動レベルに対応した騒音/快適性能を予測判定する方法であって、前記車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、前記転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐前記運転室への前記取付け箇所のところに示される前記ボデーシェルのグローバル伝達関数(Tbody-shell)を求めるステップと、
‐前記ボデーシェルへの前記連結システムの取付け箇所のところで表される前記ボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐前記ボデーシェルのグローバル伝達関数、前記ボデーシェルのグローバルアドミタンス、前記連結システムのグローバルインピーダンス、及び前記連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせて前記運転室内の騒音/快適性能(P)の予測を得るステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記ボデーシェルの前記グローバル伝達関数(Tbody-shell)及び前記ボデーシェルの前記アドミタンス(Ybody-shell)は、静止状態にあるときに求められる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ボデーシェルの前記グローバル伝達関数を求めるために、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐前記運転室内で先に求められたm個の箇所のところにおける騒音及び振動を記録することができる手段を前記車両の内部に配置するステップ、
‐前記連結システムの前記取付け箇所を、前記連結システムを備えた前記車両上のその位置に類似した仕方で前記ボデーシェルに対して位置決めするステップ、前記ボデーシェルの高さ位置のところの前記取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐前記車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって前記連結システムの前記取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、前記車両の前記運転室内における騒音及び振動を励振された前記取付け箇所の高さ位置で励振信号と共に記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐前記運転室の種々の箇所に関するm個の騒音及び振動信号を右手正規直交基準系における並進又は回転に関する単位励振に関連付けることにより、前記ボデーシェルのグローバル伝達関数を得るステップに従って前記ボデーシェルについて測定を実施する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記取付け箇所に接近できない場合、励振を前記取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加え、前記取付け箇所のところの荷重を前記励振箇所のところの前記荷重に基づいて幾何学的変換によって再計算する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ボデーシェルへの前記連結システムの前記取付け箇所のところに示される前記ボデーシェルのアドミタンスを求めるため、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐前記連結システムの前記取付け箇所を、前記連結システムを備えた前記車両上のその位置に類似した仕方で前記ボデーシェルに対して位置決めするステップ、前記ボデーシェルの高さ位置のところの前記取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐前記取付け箇所に、前記ボデーシェルの前記取付け箇所の振動レベルを測定することができる振動センサ、例えば加速度計を取り付けるステップ、
‐前記車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって前記取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、前記取付け箇所の高さ位置の励振信号及び取付け箇所の振動応答を記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、
‐前記車両基準系の種々の方向における前記取付け箇所の振動応答と前記励振された取付け箇所の高さ位置のところにおける励振信号の比を取ることにより前記取付け箇所の高さ位置のところにおける前記ボデーシェルのアドミタンスを求めるステップに従って前記ボデーシェルに対して測定を実施する、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記取付け箇所の並進及び回転振動応答を記録する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記取付け箇所に接近できない場合、振動センサ、例えば加速度計を取り付け、励振を前記取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加え、前記取付け箇所のところの荷重を前記励振箇所のところの前記荷重に基づいて幾何学的変換によって再計算する、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
前記ボデーシェルへの前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのインピーダンスを求めるため、次のステップ、即ち、
‐前記連結システムを滑らかな被覆材を備えた装置上の定位置に取り付けるステップ、
‐前記連結システムを前記連結システムの剛性と比較して可撓性である連結具により前記取付け箇所のところに設けられた実験台に機械的に連結するステップ、前記実験台は、前記取付け箇所が並進又は回転方向において自由に動くことができるよう前記連結システムの前記取付け箇所の変位量並びに力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐先に自由に運動ができる状態のままの方向における前記取付け箇所の動力学的条件を課すようになった励振システムによって前記取付け箇所のところに励振を加えるステップ、
‐励振された前記取付け箇所の変位ベクトル(並進及び回転)の測定及び前記連結システムの前記取付け箇所のところの結果として生じる荷重(力及びモーメント)のベクトルの測定を前記取付け箇所の自由度の組に関し、前記取付け箇所のところにおける各励振について実施するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐前記取付け箇所のせいぜい6つの自由度に関し、前記取付け箇所の力及びモーメントの信号と前記取付け箇所の振動レベルの比を取ることにより前記連結システムのインピーダンスを求めるステップに従って前記連結システムについて測定を実施する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記連結システムを、前記励振の印加に先立って、前記車両の転動条件に類似した転動条件下で滑らかな被覆材を備えた前記装置上の定位置に取り付ける、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記励振システムは、前記取付け箇所の他の自由度を励振させないで、先に自由に運動できる状態のままの前記方向における前記取付け箇所の動力学的条件を課すようになっている、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記励振システムは、振動ポットを有する、請求項3〜10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記取付け箇所のところの前記連結システムのロックアップ荷重を求めるため、次のステップ、即ち、
‐転動面上に、車上試行に類似した所定の寸法の少なくとも1つの凹凸を有する転動手段上の定位置に前記連結システムを取り付けるステップ、
‐前記連結システムを前記取付け箇所のところに設けられた実験台にしっかりと固定するステップ、前記実験台は、前記取付け箇所のところにおける力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐前記連結システムに前記車両上の転動条件と同一の転動条件下において前記転動手段上で応力を加えるステップ、
‐転動中、前記取付け箇所のところの前記力及びモーメントの信号を記録するステップ、及び
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ
に従って前記連結システムについて測定を実施する、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
連結システムを備えた前記車両の騒音/快適性能を評価するため、次の演算、即ち、
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐Pは、前記運転室内における前記車両の快適性能であり、これは、次元m,1の行列であり、mは、前記運転室内における測定箇所の数であり、
‐Tbody-shellは、前記ボデーシェルのグローバル伝達関数であり、これは、次元m,nの行列であり、
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、nは、前記取付け箇所の所定の励振方向の数であり、
‐Ybody-shellは、前記ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列であり、
‐ZSは、連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列であり、
‐FSbは、連結システムのロックアップ荷重に対応しており、次元n,1の行列である。
【請求項14】
ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によって前記ボデーシェルに連接された連結システムから成る車両の取付け箇所のところの運転荷重を予測する方法であって、前記車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、前記転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐前記ボデーシェルに対する前記連結システムの取付け箇所のところに示される前記ボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐転動中、前記取付け箇所のところにおける前記連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐前記ボデーシェルのグローバルアドミタンス、前記連結システムのグローバルインピーダンス、及び前記連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせるステップとを有する、方法。
【請求項15】
前記連結システムを備えた前記車両の前記取付け箇所のところの運転荷重を評価するため、次の演算、即ち、
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐FSopは、前記車両の前記取付け箇所のところの運転荷重に対応し、これは、次元n,1の行列であり、nは、前記車両の前記取付け箇所の所定の励振方向の数であり、
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、
‐Ybody-shellは、前記ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列であり、
‐ZSは、前記連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列であり、
‐FSbは、前記連結システムのロックアップ荷重に対応し、次元n,1の行列である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記連結システムは、タイヤ/ホイール組立体を含む、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項17】
実験データに代えて実験による特性決定のシミュレーションにより得られたディジタルデータを用いる、請求項1〜16のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項1】
ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によって前記ボデーシェルに連接された連結システムを有する車両の運転室内の音響及び/又は振動レベルに対応した騒音/快適性能を予測判定する方法であって、前記車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、前記転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐前記運転室への前記取付け箇所のところに示される前記ボデーシェルのグローバル伝達関数(Tbody-shell)を求めるステップと、
‐前記ボデーシェルへの前記連結システムの取付け箇所のところで表される前記ボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐前記ボデーシェルのグローバル伝達関数、前記ボデーシェルのグローバルアドミタンス、前記連結システムのグローバルインピーダンス、及び前記連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせて前記運転室内の騒音/快適性能(P)の予測を得るステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記ボデーシェルの前記グローバル伝達関数(Tbody-shell)及び前記ボデーシェルの前記アドミタンス(Ybody-shell)は、静止状態にあるときに求められる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ボデーシェルの前記グローバル伝達関数を求めるために、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐前記運転室内で先に求められたm個の箇所のところにおける騒音及び振動を記録することができる手段を前記車両の内部に配置するステップ、
‐前記連結システムの前記取付け箇所を、前記連結システムを備えた前記車両上のその位置に類似した仕方で前記ボデーシェルに対して位置決めするステップ、前記ボデーシェルの高さ位置のところの前記取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐前記車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって前記連結システムの前記取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、前記車両の前記運転室内における騒音及び振動を励振された前記取付け箇所の高さ位置で励振信号と共に記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐前記運転室の種々の箇所に関するm個の騒音及び振動信号を右手正規直交基準系における並進又は回転に関する単位励振に関連付けることにより、前記ボデーシェルのグローバル伝達関数を得るステップに従って前記ボデーシェルについて測定を実施する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記取付け箇所に接近できない場合、励振を前記取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加え、前記取付け箇所のところの荷重を前記励振箇所のところの前記荷重に基づいて幾何学的変換によって再計算する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ボデーシェルへの前記連結システムの前記取付け箇所のところに示される前記ボデーシェルのアドミタンスを求めるため、静止状態にあるときに、次のステップ、即ち、
‐前記連結システムの前記取付け箇所を、前記連結システムを備えた前記車両上のその位置に類似した仕方で前記ボデーシェルに対して位置決めするステップ、前記ボデーシェルの高さ位置のところの前記取付け箇所は、変位及び回転が自由であると共に可撓性弾性リンクによって懸架され、
‐前記取付け箇所に、前記ボデーシェルの前記取付け箇所の振動レベルを測定することができる振動センサ、例えば加速度計を取り付けるステップ、
‐前記車両の基準系の方向における励振に対応した所定の方向に励振システムによって前記取付け箇所に励振を加えるステップ、
‐各励振について、前記取付け箇所の高さ位置の励振信号及び取付け箇所の振動応答を記録するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、
‐前記車両基準系の種々の方向における前記取付け箇所の振動応答と前記励振された取付け箇所の高さ位置のところにおける励振信号の比を取ることにより前記取付け箇所の高さ位置のところにおける前記ボデーシェルのアドミタンスを求めるステップに従って前記ボデーシェルに対して測定を実施する、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記取付け箇所の並進及び回転振動応答を記録する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記取付け箇所に接近できない場合、振動センサ、例えば加速度計を取り付け、励振を前記取付け箇所に関連して完全に定められた幾何学的箇所のところに加え、前記取付け箇所のところの荷重を前記励振箇所のところの前記荷重に基づいて幾何学的変換によって再計算する、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
前記ボデーシェルへの前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのインピーダンスを求めるため、次のステップ、即ち、
‐前記連結システムを滑らかな被覆材を備えた装置上の定位置に取り付けるステップ、
‐前記連結システムを前記連結システムの剛性と比較して可撓性である連結具により前記取付け箇所のところに設けられた実験台に機械的に連結するステップ、前記実験台は、前記取付け箇所が並進又は回転方向において自由に動くことができるよう前記連結システムの前記取付け箇所の変位量並びに力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐先に自由に運動ができる状態のままの方向における前記取付け箇所の動力学的条件を課すようになった励振システムによって前記取付け箇所のところに励振を加えるステップ、
‐励振された前記取付け箇所の変位ベクトル(並進及び回転)の測定及び前記連結システムの前記取付け箇所のところの結果として生じる荷重(力及びモーメント)のベクトルの測定を前記取付け箇所の自由度の組に関し、前記取付け箇所のところにおける各励振について実施するステップ、
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ、及び
‐前記取付け箇所のせいぜい6つの自由度に関し、前記取付け箇所の力及びモーメントの信号と前記取付け箇所の振動レベルの比を取ることにより前記連結システムのインピーダンスを求めるステップに従って前記連結システムについて測定を実施する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記連結システムを、前記励振の印加に先立って、前記車両の転動条件に類似した転動条件下で滑らかな被覆材を備えた前記装置上の定位置に取り付ける、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記励振システムは、前記取付け箇所の他の自由度を励振させないで、先に自由に運動できる状態のままの前記方向における前記取付け箇所の動力学的条件を課すようになっている、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記励振システムは、振動ポットを有する、請求項3〜10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記取付け箇所のところの前記連結システムのロックアップ荷重を求めるため、次のステップ、即ち、
‐転動面上に、車上試行に類似した所定の寸法の少なくとも1つの凹凸を有する転動手段上の定位置に前記連結システムを取り付けるステップ、
‐前記連結システムを前記取付け箇所のところに設けられた実験台にしっかりと固定するステップ、前記実験台は、前記取付け箇所のところにおける力及びモーメントを測定する手段を備え、
‐前記連結システムに前記車両上の転動条件と同一の転動条件下において前記転動手段上で応力を加えるステップ、
‐転動中、前記取付け箇所のところの前記力及びモーメントの信号を記録するステップ、及び
‐一時的データセットをコンピュータソフトウェアにより振動数ドメインに変換するステップ
に従って前記連結システムについて測定を実施する、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
連結システムを備えた前記車両の騒音/快適性能を評価するため、次の演算、即ち、
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐Pは、前記運転室内における前記車両の快適性能であり、これは、次元m,1の行列であり、mは、前記運転室内における測定箇所の数であり、
‐Tbody-shellは、前記ボデーシェルのグローバル伝達関数であり、これは、次元m,nの行列であり、
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、nは、前記取付け箇所の所定の励振方向の数であり、
‐Ybody-shellは、前記ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列であり、
‐ZSは、連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列であり、
‐FSbは、連結システムのロックアップ荷重に対応しており、次元n,1の行列である。
【請求項14】
ボデーシェル及び少なくとも1つの取付け箇所によって前記ボデーシェルに連接された連結システムから成る車両の取付け箇所のところの運転荷重を予測する方法であって、前記車両が所与の速度Vで転動手段上を走行し、前記転動手段がその転動面に所定寸法の少なくとも1つの凹凸を有する、方法において、
‐前記ボデーシェルに対する前記連結システムの取付け箇所のところに示される前記ボデーシェルのアドミタンス(Ybody-shell)を求めるステップと、
‐前記取付け箇所のところに示される前記連結システムのインピーダンス(ZS)を求めるステップと、
‐転動中、前記取付け箇所のところにおける前記連結システムのロックアップ荷重(FSb)を求めるステップと、
‐前記ボデーシェルのグローバルアドミタンス、前記連結システムのグローバルインピーダンス、及び前記連結システムのロックアップ荷重を互いに組み合わせるステップとを有する、方法。
【請求項15】
前記連結システムを備えた前記車両の前記取付け箇所のところの運転荷重を評価するため、次の演算、即ち、
を実施し、検討対象の各振動数に関し、
‐FSopは、前記車両の前記取付け箇所のところの運転荷重に対応し、これは、次元n,1の行列であり、nは、前記車両の前記取付け箇所の所定の励振方向の数であり、
‐Iは、次元n,nの単位行列であり、
‐Ybody-shellは、前記ボデーシェルのアドミタンスであり、次元nの正方行列であり、
‐ZSは、前記連結システムのインピーダンスであり、次元nの正方行列であり、
‐FSbは、前記連結システムのロックアップ荷重に対応し、次元n,1の行列である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記連結システムは、タイヤ/ホイール組立体を含む、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項17】
実験データに代えて実験による特性決定のシミュレーションにより得られたディジタルデータを用いる、請求項1〜16のうちいずれか一に記載の方法。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−519044(P2011−519044A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506692(P2011−506692)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055144
【国際公開番号】WO2009/133113
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055144
【国際公開番号】WO2009/133113
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
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