説明

平坦で曲がり易い郵便物をスタック棚に積み重ねる装置

この発明は、平坦で曲がり易い郵便物を、スタックローラー(8)を備えたスタック棚に立った姿勢で積み重ねる装置に関する。カバーベルトシステム(4,5)の短いベルト(4)のリターンローラー(11)の軸(10)上で、かつその上に、ローラー長に渡って複数の直径を増減させた部分を持つ輪郭付ローラー(1)が有る。輪郭付ローラー(1)に対して、輪郭付ローラー(1)の細くした部分に、郵便物(3)をばね力で押圧する離隔可能な押圧手段が配置されている。こうすることによって、曲がり易い郵便物(3)、特に、開封された雑誌のシートの自由に曲がる長さが低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の上位概念にもとづく平坦で曲がり易い郵便物をスタック棚に積み重ねるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなスタック棚は、例えば、郵便物区分機の区分棚区画の構成部分である。転轍機を備えた運搬区画を通って、郵便物は、宛先に応じて、対応するスタック棚に配分される。郵便物区分機の高い処理能力を達成するためには、郵便物間の間隔(郵便物の隙間)が出来る限り小さくなるようにする。様々な種類の郵便物(例えば、薄く不安定な丈の高い郵便物、開封された雑誌)を積み重ねる場合、郵便物は、運搬区画の最後の挟持位置とスタックローラーとの間のほとんど支えの無い経路を通過するが、その際開封された郵便物が、運搬時の風によって捲れ上がって、それにより積み重ねる際に折り重なったり、破損されたりしないような状態に置かれるべきである。更に、丈の高い不安定な郵便物は、既に積み重ねられている郵便物と衝突しないように安定化されるべきである。
【0003】
従来技術では、短いカバーベルトのリターンローラーとして、所謂波形ローラーを有する積み重ね装置が記載されている(特許文献1)。この波形ローラーは、カバーベルトの幅よりも長く、その端部にそれぞれ一つの膨らみを有する。カバーベルトシステムの連続して移動しているベルトが、郵便物を波形ローラーの中央に対して押し付けて、それにより郵便物の外側部分が、膨らんだ部分上に有るようにしているので、曲がり易い郵便物は、大きく曲げられて、それにより安定化し、その結果郵便物は、スタック棚への片側で案内される経路上で変形しなくなる。即ち、こうすることにより、丈の低い不安定な郵便物に対してだけ、安定化させるための縦の補強を実現することができる。丈が高い不安定な開封された郵便物は、それによって確実に、かつ支障無く積み重ねることはできない。
【特許文献1】欧州特許公開第0127067号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、雑誌などの開封され片側をバインドされた郵便物を、運搬時の風によって捲れ上がることなく、片側で案内する形で確実に、かつ支障無く積み重ねることができる、平坦で曲がり易い郵便物をスタック棚に立った姿勢で積み重ねる装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、この発明にもとづき、請求項1の特徴によって解決される。
【0006】
カバーベルトシステムの短いベルトのリターンローラーの軸上で、かつその上方に、ローラー長に渡って複数の直径を増減させた部分を持つ輪郭付ローラーが有る。この輪郭付ローラーに対して、郵便物を輪郭付ローラーの細くした部分にばね力により押し付ける、離隔可能な押圧手段が配置されており、それによって、曲がり易い郵便物は、補強のための起伏が複数有る輪郭を付けられることとなる。許可された郵便物形状の郵便物の上方の縁が、その時々の郵便物によりカバーされる直径を増減させた部分の中の最も高い部分から、捲れ上がりが起こらない所定の最大限度を超えて突出しないように、輪郭付ローラーの直径を増減させた部分を、ローラー長に渡って、そのように配分する。
【0007】
そうすることによって、例えば、開封された雑誌の曲がり易い複数シートの自由に曲がる長さを短くして、それらが、積み重ねる際に作用する空気抵抗によって捲れ上がらないようにしている。捲れ上がる虞は、特に、シートの輸送方向に対して上方の縁に関係している。
【0008】
この発明の有利な実施形態は、従属請求項で明らかにされている。
【0009】
その場合、押圧手段として、輪郭付ローラーの細くした部分に対して、ばね力により押え付けられる幅の狭い離隔可能な押圧ローラーを配備するのが有利である。
【0010】
押圧手段の別の実施構成では、同じ輪郭を持つ第二の輪郭付ローラーを配置して、一方の輪郭付ローラーの細くした部分が、他方の輪郭付ローラーの細くされていない部分の高さに対応ようにすることができる。
【0011】
押圧手段の押圧力を、強制的な変形によって、柔軟性の無い郵便物が破損されないだけの大きさに選定することも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
引き続き、図面にもとづき、実施例により、この発明を説明する。
【0013】
概観するために、図1では、スタック棚は、完全な形ではなく、機能の説明に必要な構成要素だけを図示している。平坦な郵便物3は、スタック棚では直立した姿勢であり、カバーベルトシステムの二つの駆動されている比較的幅の狭いベルト4,5の間に挟まれて斜めに供給される。スタック棚の入口では、積み重ねる側に有るベルト4は、積み重ねる郵便物3を、この側で開放して、積み重ねることができるように、リターンローラー10を介して引き戻される。そして、郵便物3は、片側を別のベルト5によってスタックローラー8まで案内される。このスタックローラー8において、積み重ねる方向に対して一定の角度で入って来る郵便物3は、スタック9の積み重ねられた郵便物に対して平行な方向に曲げられて、当接用壁面12まで運搬される。新しく積み重ねられた各郵便物3によって、スタック9を支持するスタック支持部13は、スタックローラー8から離れて行き、その結果新しい郵便物3用の場所が再び作り出される。
【0014】
柔軟性が乏しい開封され片側をバインドされた複数シートの郵便物、例えば、開封された雑誌は、バインドされた側を下にして積み重ねた場合、積み重ね速度が比較的速い時には空気抵抗のために、スタックローラー8への経路上で捲れ上がることとなる。様々な形式の雑誌の自由に曲がる長さを低減して、捲れ上がりを防止するために、リターンローラー11の軸10上で、かつその上に渡って存在する輪郭付ローラー1を用いて(これは、開封された雑誌の場合に付与される)、柔軟性の乏しい郵便物3に横断面の輪郭を持たせる。周知のリターンローラー11は、下方において、膨らみを持っており、そのため、カバーベルトシステムのベルト5によりリターンローラー11に押し付けられている郵便物3は、下方の部分をリターンローラー11によって離れる形で曲げられる。そのため、大きな郵便物3が、安定性を持たなくなるので、波状に直径を増減させた輪郭を持つ輪郭付ローラー1が、リターンローラー11の上に有る。郵便物3が、その高さに渡って、この輪郭の推移に沿わせるようにするためには、郵便物を輪郭付ローラー1の少なくとも細くした領域に押し付けなければならない。
【0015】
ここでは、幅の狭い押圧ローラー7を、輪郭付ローラー1に対して、この細くした領域の高さで、旋回アーム2により回転可能な形に軸止するとともに、旋回アーム2に取り付けたばね6を用いて、輪郭付ローラー1に対して押圧することによって、このことを実現している。こうすることによって、郵便物3は、この輪郭を持つこととなる。この押圧を、輪郭を付けた押圧ローラーを用いて行うことにより実行することもでき、その場合この押圧ローラーの細くした部分は、輪郭付ローラー1の直径が大きい領域の高さに有る。
【0016】
また、輪郭付ローラー1が、細くした部分を幾つ持ち、細くした部分をローラー長のどの位置に配分して置くかは、処理する郵便物の形状の範囲に依存する。開封され片側をバインドされた郵便物3(バインドされた縁が下方に有る場合)が捲れ上がる虞は、特に、前方上側の縁が輸送方向を向いている場合に生じることが分かっているので、波形区間が、郵便物の形状範囲内に有る郵便物3の上方の領域となるように選定して、その結果生じる最大限自由に曲がる長さが、スタックローラー8への経路上で捲れ上がりが起こらない程短くなるようにする。即ち、波形区間は、輪郭付ローラー1の高さ/長さを上回ってはならない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】積み重ね装置とスタック棚の模式図
【図2】二つの押圧ローラーを備えた輪郭付ローラーの側面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦で曲がり易い郵便物を、スタックローラー(8)を備えたスタック棚に立った姿勢で積み重ねるための装置であって、郵便物(3)が、カバーベルトシステム(4,5)を用いて、順番にスタック棚まで両側を案内され、次にスタック棚に片側を案内される形で運搬される装置において、
曲がり易い郵便物(3)の自由に曲がる長さを低減するために、カバーベルトシステム(4,5)の短いベルト(4)のリターンローラー(11)の軸(10)上で、かつその上に、ローラー長に渡って複数の直径を増減させた部分を持つ輪郭付ローラー(1)が有り、輪郭付ローラー(1)に対して、輪郭付ローラー(1)の細くした部分に郵便物(3)をばね力で押圧する離隔可能な押圧手段が配置されており、そして輪郭付ローラー(1)の直径を増減させた部分は、許可された郵便物形状の郵便物(3)の上方の縁が、その時々の郵便物(3)によりカバーされる直径を増減させた部分の中の最も高い部分から、捲れ上がりが起こらない所定の最大限度を超えて突出しないように、ローラー長に渡って配分されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
押圧手段として、輪郭付ローラー(1)の直径を細くした部分に、ばね力により押し付けられる幅の狭い離隔可能な押圧ローラー(7)が配備されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
押圧手段として、一方の輪郭付ローラー(1)の直径を細くした部分が、他方の輪郭付ローラー(1)の細くされていない部分の高さに対応する形で、同じ輪郭を備えた第二の輪郭付ローラー(1)が配置されてことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
当該の押圧手段の押圧力は、柔軟性の無い郵便物(3)が、変形によって破損されないだけの大きさであることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−523812(P2007−523812A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500078(P2007−500078)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000575
【国際公開番号】WO2005/082754
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(591209109)シーメンス アクチェンゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】