説明

平坦ウエブ材料のロール交換用接着テープ

【課題】 従来技術の欠点を有さずそして特に接着剤が接着力を失ったり又は低減したりすることのない高い貯蔵安定性を有する、改善された接着テープを運転中のロール交換のために提供することである。
【解決手段】 この課題は、分離可能な平坦な支持体、該分離可能な支持体の上に配置されている少なくとも1つの接着剤層及び該分離可能な支持体の下に配置されている接着剤層を有する、平坦ウエブ材料のロールの交換用接着テープにおいて、分離可能な支持体と該分離可能な支持体の下の接着剤層との間に、カルシウムイオン(Ca2+)に対して不浸透性である第一のバリヤー層が少なくとも存在することを特徴とする、上記接着テープによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールに巻かれた平坦ウエブ材料、特に紙ロールの交換用接着テープ並びにこの種類のロール交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞工業における平坦ウエブ材料、例えば紙ウエブのロールの交換は今日では殆ど自動的行程で行われている。最初に新しい平坦ウエブロールの一番上側のウエブの端(ロール巻きの“視点”から見て最も上側のウエブの端は行程の“視点”から見て新しい平坦ウエブの初めの部分に相当する)が貼り付けられ、その結果この端はロールから離れない。この目的のために、二つの機能を持つ接着テープがしばしば使用される。その一つはロールの上述の最終的接合に役立ち、もう一つは、新しいロールを斜めに走る古い平坦ウエブに貼り付ける作用をし得る接着面を解放し得るように設計されている。この貼り付け(接合)は、新しいロールが運転中の古い平坦ウエブと実質的に同じ速度に加速され、次いでその速度で解放接着面が古い平坦ウエブの所に搬送されることによって行われる。この貼り付けと同時に新しい平坦ウエブの末端接合部の分割を行い、その結果として古い平坦ウエブをそれに接合された新しい紙ウエブの初めの部分を運転過程で引張りそして擬似連続的な(エンドレスな)平坦ウエブを作業行程、例えば新聞工業の印刷機に送らなければならない。この継ぎ目部分は、後続の行程、例えば印刷済み新聞の裁断の後に、この継ぎ目部分を客の所に届けないために、除去される。
【0003】
前述の如き接合に適する接着テープは従来技術において知られている。例えばそれの上側並びに下側に接着剤が適用されている平坦な分離可能な支持体を有する接着テープが開示されている。前記接着テープは、三層系としての若干広範な製品構造を有する接着テープの代表的なもの分である。この種類の紙継ぎテープは例えばドイツ特許出願公開第19,628,317A号明細書、同第19,830,674A号明細書、同第19,902,179A号明細書、同第19,958,223A号明細書、同第10,058,956A号明細書、同第10,123,981A号明細書、国際特許出願公開第03/20,623A号明細書、同第03/24,850A号明細書、ドイツ特許出願公開第10,210,192A号明細書、同第10,258,667A号明細書、同第10 2004 028,312A号明細書、同第10 2005 051,181A号明細書に記載されている。
【0004】
平坦な分離可能な支持体は、確かに新しいロールを加速するときに一番上側の平坦ウエブの末端が該ロールの上に保持されるが、斜めに走る古い平坦ウエブに貼り付けたとき及びそのときに生じる力のピークのときにこの末端貼り付け部が確実に解放されるように選択される。この目的のためには、分離可能な平坦な紙が適していることがわかっている。このような紙は製造条件によって、製造工程で殆ど避けることができない多くの、特に無機系の充填剤、特に金属イオンを含有している。
【0005】
主要用途が製紙及びその下流の紙加工工業のための製品にある紙継ぎ接着テープに使用される(感圧)接着剤は、充填剤含有紙と接触したときに、しばしばその接着技術的性質に明らかな悪影響をおよぼし、接着力及び初期粘着性(タック)を完全に失うまでに至り得る。この問題は、接着テープを一定時間にわたって保存したときに特に発生する。
【0006】
充填剤含有基体、特に紙はエージングの過程又は外部的影響によって多価金属イオンを放出し得る。特に、紙中又は紙を処理する物質中にしばしば存在するカルシウムイオンによって問題が生じる。何故ならばカルシウムが製紙工業において一般的にますます使用される充填剤及び塗工剤中の共成分であるからである。
【0007】
(感圧)接着剤の性質は特に接着剤中に金属イオンが移動することに特に起因する。架橋を意図するカルボキシル含有及び/又は酸含有共重合体はこの様にして無制御状態で後架橋し得る。この後架橋は流動性にマイナスの影響を及ぼして、凝集性の著しい増加及びこれに付随する初期粘着性の低下を引き起こし、最も不都合な場合には接着力及び粘着性を完全に失うまで進行する。
【0008】
特別な一つの危険は、新しいロールを加速するときに、確実に保持のには末端接合部の接着力がもはや十分でないことにある。しかしながらこの接合が破断した場合には、最も上側の平坦ウエブが剥がれ、連続法が崩壊してしまうという結果を生じる。このような中断は著しい経費を伴う。
【0009】
それ故に、特に紙加工工業で使用するためには、例えば運転中ロール交換との関係で使用するために、使用すべき接着テープに厳しい総合的要求がある。従ってこれら接着テープは使用期間全体にわたって高い粘着性、良好な凝集性並びに良好な再パルプ化性(パルプ中に導入できる;要するに、(古)紙を再加工するときに、水に溶解するか或いは懸濁したパルプスラリーにすることができる性質;必ずしも、“水溶性”と同義語ではない)を発揮するべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故に本発明の課題は、従来技術の欠点を有さずそして特に接着剤が接着力を失ったり又は低減したりすることのない高い貯蔵安定性を有する、改善された接着テープを運転中のロール交換のために提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1に記載の接着テープによって解決される。従属形式の請求項は本発明の接着テープの有利な実施形態を説明している。
【0012】
従って請求項1は、分離可能な平坦な支持体、該分離可能な支持体の上に配置されている少なくとも1つの接着剤層及び該分離可能な支持体の下に配置されている接着剤層を有する、平坦ウエブ材料のロールの交換用接着テープにおいて、分離可能な支持体と該分離可能な支持体の下の接着剤層との間に、カルシウムイオン(Ca2+)に対して不浸透性である第一のバリヤー層が少なくとも存在することを特徴とする、上記接着テープを説明している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】は分離可能な支持体及びバリヤー層を持つ本発明の接着テープを図示している。
【図2】は分離可能な支持体、バリヤー層及び第二の支持体を持つ本発明の接着テープを図示している。
【図3】は分離可能な支持体及び2つのバリヤー層を持つ本発明の接着テープを図示している。
【図4】は分離可能な支持体、2つのバリヤー層及び第二の支持体を持つ本発明の接着テープを図示している。
【図5a】はロール交換で図2の接着テープを使用する本発明の方法の一つの変法を示す概略図である。
【図5b】はロール交換で図4の接着テープを使用する本発明の方法の一つの変法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0014】
T・・・支持体
,M・・・接着剤層
S1・・・バリヤー層
A、A,A・・・被覆
Z・・・第二の支持体
・・・第三の接着剤層
V・・・距離
11・・・新しいロールの一番上の一巻き
12・・・11の下の一巻き
13・・・平坦ウエブ
K・・・本発明の接着テープ
【発明を実施するための形態】
【0015】
バリヤー層は、無機系成分、特にカルシウムイオンが存在する紙製層と接着剤との直接的接触を避けるのに特に適している。従って、紙の相応するイオン或いは他の妨害成分が接着剤に移動することが防止される。
【0016】
バリヤー層は特に平らで不透過性であり、浸透性を有しているべきでない。特に、層を支持体、特に紙支持体に塗布するのが有利である。該分散物層はその後で乾燥することによって、乾燥した又は十分に乾燥したバリヤー層を得るのが有利である。分散物の塗布後或いは特にそれの乾燥後に接着剤層を塗布することができ、その結果支持体と接着剤との直接的な接触は決して生じない。
【0017】
バリヤー層は、紙継ぎ行程の間にこの複合体系が崩壊する(これは剪断応力が発生したときに、十分な強度でない場合に発生し得る)のを防止するために、支持体層にも接着剤層にも良好に密着していなければならない。それ故にバリヤー層は接着剤の塗布前にコロナ放電処理するのが、要するに電気的に高電圧を負荷するのが有利である。コロナ放電処理はバリヤーへの接着剤の繋留を向上させる。
【0018】
分離可能な支持体と該分離可能な支持体の上の接着剤層との間に、カルシウムイオンに対して不透過性である第二のバリヤー層が存在するのが特に有利である。この層も最初に支持体に塗布しそして有利には乾燥するのが有利である。次いで相応する接着剤層を塗布してもよい。この場合もコロナ放電前処理するのが有利である。有利には、第二のバリヤー層が第一のバリヤー層と同じ組成を有している。
【0019】
本発明の接着テープの特に有利な一つの実施形態においては、分離可能な支持体の上に存在する接着剤層の上に別の支持体(以降、“第二の支持体”と称する)が存在し、その上に再び接着剤層(以降、第三の接着剤層と称する)が存在する。接着テープのこれらの(追加的な)部分によって、斜めに走行する平坦ウエブへの本来の接合が生じる。このような第二の支持体は、紙継ぎ行程の間に生じる張力に特に対応する。従って分離可能な支持体は殆どこの機能を要求されておらず、その結果該支持体は紙継ぎ行程にとって更に良好に適合し得る。
【0020】
分離可能な支持体と第二の支持体との間の固定は、何時でも、要するに紙継ぎ行程でも、接合に十分な強度を保証するために、十分な粘着力がなければならない任意の(分離可能な支持体の上に存在する)接着剤によって達成できる。ここでは感圧接着剤を使用するのが特に有利である。しかしながらこれらは例えば硬化性に生成されていてもよい。
【0021】
第二の支持体にとっては、物理的性質、中でも抗張力が重要である。これは印刷機械又は他の加工機械におけるウエブへの応力より高くあるべきである。特に、比較的に低いウエブへの応力を示す機械の場合には、第二の支持体は比較的薄いものも選択することができる。これは、比較的薄い材料は機械を通るときに比較的に妨害しないので加工行程にとって有利である。
【0022】
第二の支持体は紙で構成されていてもよく、このことは再パルプ化可能な接着テープにとって特に有利である。比較的に高い引裂強度を達成するためには、フィルム(例えばポリマーフィルム、金属箔)を使用することも有利であり得る。
【0023】
第二の支持体が分離可能な支持体より幅広である場合が特に有利である。この場合には、分離可能な支持体と2つの接着剤層よりなる系(請求項1の対象に相当する。本発明を説明するために“アンダー貼り付き接着テープ”とも称する)は中心に配置されておらずに、代わりに第二の支持体の一つの辺縁の方に配置されている。第一の実施形態においては、アンダー貼り付き接着テープの長手辺縁の一つ及び第二の支持体の長手辺縁の一つが同一平面上に配置されていてもよい。特にアンダー貼り付き接着テープは第二の支持体の長手辺縁の一つから距離(v)だけ下げて配置されている。運転中のロール交換において本発明を使用するためには、アンダー貼り付け接着テープを15mmまで、好ましくは0.5〜7mm、特に好ましくは1.5〜4mm、中でも2〜3.5mmの距離(V)下げられている場合が非常に有利であることがわかっている。
【0024】
実験が示す通り、高速で成功裏に方法を実施するには、分離過程のための力を分離ストリップの分離可能支持体に導入するのが有利である。何故ならばさもないと局所的な無制御な引裂け過程(“引裂”とも称する)がもたらされる。この目的のためには、長手辺縁からの分離ストライプの距離によって規定した、接着テープの突出した区分が力導入補助手段として役立つ。この距離がある程度の大きさを達成している場合には引裂が特に成功裏に回避できる。
【0025】
下げる程度が大きい(特に3.5mmより大きい)場合には、実験でも確認されている通り、紙継ぎ接着テープの突出した前方区分を包み込みそして同様に紙継ぎ行程のときに制御されない挙動を増加させる。
【0026】
接着テープの幅(特に分離可能な支持体の幅或いは存在する場合には第二の支持体の幅によって決まる)は好ましくは30〜120mm、特に好ましくは40〜80mm、中でも50mmである。
【0027】
接着テープの上側に被覆物、特に剥離物質よりなるものが存在していてもよく、これは特に接着テープを取り扱い易くすることを可能とするのに適し、特に接着テープを巻いたときに個々の接着テープ層の間で剥離効果を提供するのに適する。この被覆物は特にシリコーン加工された材料、特にシリコーン加工された紙で構成されている。
【0028】
この被覆物は切断又は所定の破断点、特にミシン目の状態の破断点、切欠き、接着テープの長手方向に伸びる細長い切れ目等によって二つの区域に区分されているか又は分割するのを容易にされていてもよい。
【0029】
場合によって存在する被覆物質における切断部或いは破断点は接着テープの左手の辺縁から20〜40mmの距離に存在していてもよい。
【0030】
バリヤー層を製造するためには、造膜性成分を含む分散物を使用するのが有利である。造膜性成分は、被覆すべき支持体、特に紙の解放孔表面組織中に侵入せず、従って、支持体材料(特に紙)の機械的性質を実質的に変更しないように選択するべきである。紙の性質の本質的変更は、それが支持体機能に必要な強度を失うか又はロール交換のときに必要とされる機能のような紙継ぎ特性を低下させる場合に、特に重大である。
【0031】
水性ラテックス分散物がバリヤーを製造するのに特に適していることがわかっている。この場合には、ラテックス小滴が分離可能支持体の支持体材料(特に紙)中に侵入しないラテックス分散物を使用するように注意するべきである。何故ならば、さもないと材料を強化し得るし、紙継ぎ行程の安全性がもはや保証できないからである。それ故に非極性のラテックスを使用するのが特に有利である。
【0032】
行程で使用される本発明の接着テープの幾種類かの成分、好ましくは殆どの成分、更に好ましくは全ての成分が再パルプ化できる場合、特に水溶性又は分散性である場合に、紙加工工業で使用するのに特に有利である。有利には同じことが、バリヤー層を製造するために役立つ造膜性成分にも当てはまる。
【0033】
幾つかの例示であるが、ラテックスは有利にはアクリレート(AC)をベースとするもの、カルボキシル化されたアクリレートをベースとするもの(カルボキシル化AC)、変性されたスチレン−ブタジエン−ゴムをベースとするもの(変性SBR)、アクリレート−スチレンをベースとするもの(AC−S)、アクリレート−アクリルニトリルをベースとするもの、ブチルアクリレート−スチレンをベースとするもの(BA−スチレン)及び/又はブチルアクリレート−スチレン−アクリルニトリルをベースとするもの(BA−スチレン−AN)が適し得る。一連の市販の製品が本発明に従い非常に適していることがわかっており、下記の表にそれらを掲載する。しかし本発明はこれらに限定されない。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明のバリヤー層を用いて、バリヤー層の厚みとバリヤー効果との間の良好なバランスを達成することに成功している。バリヤー効果は一般にバリヤー層の厚みに比例して増加するが、接着テープを使用するためには、問題なく連続操作で接着テープを(例えばカレンダー装置に)通すためには接着テープの全体的厚みをできるだけ薄くするのが有利である。
【0036】
バリヤー層は有利には10μmまでの層厚を有するのが有利である。これは水性分散物の場合には10g/mの塗布量に相当する。約5μのバリヤー層厚(5g/mのバリヤーに相当する)が特に有利であることがわかっている。この厚さは、(特に運転中に)ロール交換するために良好に使用することを可能し、バリヤー層を製造するために選択される組成にて優れたバリヤー効果を示すが、それにもかかわらず薄い層を実現することを可能とする。
【0037】
分離可能な支持体は本発明の有利な一つの実施形態においては、相応する力が作用したときに平面的に引き裂かれるワンピース(単層)の支持体である。この接着テープによる接合部は、分離可能な支持体が平面で分離されることによって再び分離される。すなわち、特に実質的に中心で分離し、個々の接着剤層は分離後に残留する、分離した支持体の平らな残留物によって覆われて非接着性状態になる。
【0038】
分離可能な支持体は多層で構成されていてもよく、その場合には支持体層の一つが引き裂き可能である。
【0039】
本発明の明細書において“分離可能”と称する支持体或いは支持体層は、それらに平行に分離可能であるものであり、特に紙継ぎ法における要求に基づいて実質的に分離する支持体である。“実質的に中心での分離”は本発明においては、分離(引き裂き)するときにほぼ同じ厚さの平面支持体残留物が分離(引き裂け)生成物として生じることを意味する。すなわち、明らかに異なる厚さの(平らな)支持体残留物が分離生成物として生じる実質的に非中心での分離(引き裂き)と逆である。特にワンピースの支持体或いは多層支持体の分離可能な支持体層の実質的に中心での分離は、分離生成物が相応する接着剤を確実に多い非接着性状態とすることを特徴としている。非対象的に分離する場合には、これが、薄過ぎる平らな支持体残留物の側で場合によっては保証されない。
【0040】
単層の分離可能支持体或いは分離可能支持体層の平面分離は、支持体或いは支持体層を特に平面的に引き裂くことである。
【0041】
分離可能な支持体としてはあらゆる分離可能な平らな支持体材料が適し、特に容易に分離する紙、厚紙、紙複合体系(例えば転写紙及びサイズ剤処理した紙系)、フィルム複合体系(例えばサイズ剤処理したフィルム系)、ポリマー複合体系(例えば同時押し出し成形されたポリマー複合体系)及びポリマーフリースがある。
【0042】
有利には、かつ、特に第二の支持体が上側に存在する接着テープのためには、抗張力に対応する必要のある支持体よりも分離強度が明らかに小さい分離可能な支持体を使用する。接着テープの主要平面における実際の抗張力に対応する支持体又は支持体層よりも(すなわち第二の支持体よりも)実質的に低い耐引裂伝播性を有する分離可能な支持体を、両方の材料ウエブを互い接合するために使用するのが有利である。従って系の支持体は、主な支持体が崩壊する前に分離する。分離可能な支持体は紙をベースとするのが有利である。この目的のためには例えば以下の紙又は紙複合体が特に適している:
− サイズ処理した高度に圧縮された紙
− 容易に分離可能な紙系、例えば湿潤強度を有していない紙
− クラフト紙(例えば両面が滑らかなクラフト紙、特に55μの厚さ及び65g/cmの坪量のクラフト紙が特に適する)
− 転写紙(分離行程が極めて均一に進行する規定された積層を持つ紙;すなわち、例えば不均一な圧縮の結果として応力ピークが生じない。この紙は壁紙及びフィルターを製造するために使用される。)
− 分離力が接合点の大きさによって決まる分離可能な系;このような系は例えばドイツ特許出願公開第19,841,609A1号明細書に記載されている。
【0043】
接着テープの上側接着剤及び下側接着剤は高い接着力を有しているべきである。特に、それぞれの表面(支持体及び基体)上の感圧接着剤の接着力が分離可能な支持体の分離(引き裂き)のために必要な力より大きい場合が特に有利である。有利な分離可能な支持体は15〜70cN/cm、特に22〜60cN/cm、中でも25〜50cN/cmの分離強度を有しているのが有利である。分離強度及びそれの測定のためにはドイツ特許出願公開第19,902,179A1号明細書を引用する。
【0044】
本発明の接着テープの一つの実施形態は、分離可能な支持体が単層でなく、かつ、平面で分離可能であるが、2つの互いに平面で分けることができる(積層分離可能な)層の状態で形成することによってもたらされる。これは特に紙/紙−積層体又は紙とフィルムとの積層体でもよい。この目的のためには例えば特に紙及び/又はフィルムをベースとする以下の積層体系又は複合体系が適する:
− 転写紙(分離行程が極めて均一に進行する規定された積層を持つ紙;すなわち、例えば不均一な圧縮の結果として応力ピークが生じない。この紙は壁紙及びフィルターを製造するために使用される。)
− 分離力が接合点の大きさによって決まる分離可能な系;このような系は例えばドイツ特許出願公開第19,841,609A1号明細書に記載されている。
【0045】
特に再パルプ化可能な接着テープには二つの紙の積層体が有利である。この種類の紙積層体の例には以下のものがある:
− 規定された方法で一緒にサイズ剤処理され高度に圧縮された紙(特に高い分離強度を持つ紙)。サイジング処理は例えば澱粉、澱粉含有誘導体、メチルセルロースをベースとする壁紙用ペースト(tesa(R)Kleister、製造元:tesa AG、ハンブルグ; Methylan(R)、製造元: Henkel KgaA、デュセルドルフ)又はポリビニルアルコール誘導体をベースとする壁紙用サイジング剤を用いて行うことができる。この種類の積層体系は例えばヨーロッパ特許出願公開第0,757,657A1号明細書に記載されている。
【0046】
積層体はポリマー層と紙との積層体であり、該ポリマーは印刷技術、例えばグラビア印刷、スクリーン印刷等によって適用されるものである。該ポリマーにはここでは硬化性ポリマー材料が適するが、塗布後に溶剤が除去されて層を生じる溶剤含有材料も適し、更に加温状態において軟化し、塗布することができる程度の十分な粘度を使用温度で有するが十分に安定な層として存在するポリマー材料も適する。
【0047】
この様な接着テープによる接合は、分離可能なラミネート支持体の両方の層が平面で互いに引き裂く(層間剥離する)ことで再び分離され、それぞれの接着剤層が分離後に残留する支持体の平面層によって被覆されて非接着状態になる。
【0048】
この様なシステムの中心的思想は、一つの層の内部でなく、二つの互いに分離可能な層の間で、分離可能な支持体の分離工程が行われることを本質としている。従って例えば紙製支持体からは繊維は生じないし、層の分離に必要な力を正確に規定することができる。
【0049】
同様に接着テープを長期間保存することによって層の分割に必要な力の実質的変化が生じてはならない。それ故に、積層された支持体の場合には有利に使用される造膜性成分も同様に、該成分が被覆すべき基体、特に紙の開放孔(多孔質)表面構造に侵入しないように選択するべきである。すなわち、この様な物質の侵入は層間剥離挙動を変化させ得るし、従って分離可能な支持体の安定性も同様に変化する。
【0050】
両方の層の接合の方法は任意にでも又は好ましくは以下に説明するようにでも実施することができる。この場合にも、両方の材料ウエブを互いに接合するために、接着テープの主要面において本来の抗張力を(第二の支持体としても)吸収する支持体又は支持体層よりも明らかに(層間剥離工程に関して)小さい“引き裂き強さ”を有する分離可能な積層支持体を使用するのが有利である。従って分離可能な支持体は、第二の支持体又は積層支持体の一つが、破壊される前に層間剥離し得る。この場合、接着テープは、運転中にロール交換するときに一定の力の作用を超えると層間剥離する少なくとも2つの層で構成されている。
【0051】
この場合、積層体あるいは二つの支持体層の系の分離強度は、平面で分離するワンピース(単層)支持体の分離強度について上述したような数値を有している。
【0052】
上述の接着テープの長所は、分離系を分離するのに必要な力が常に一定のままであり、その結果、運転中のロール交換が制御された条件のもとで実施することができそして接着テープが間違った作用をすることが回避されることを本質としている。
【0053】
本発明の接着テープの接着剤(分離可能な支持体の下の接着剤、分離可能な支持体の上の接着剤及び/又は第三の接着剤層)は特に感圧接着剤である。個々の層に関して互いに無関係に選択できる、中でもアクリレート(水溶性及び/又は非水溶性)、天然ゴム組成物、合成ゴム組成物、上記の材料の混合物、コポリマー及び/又はブロックコポリマーをベースとする組成物、特にアクリレートをベースとするもの及び/又は天然ゴム及び/又は合成ゴム及び/又はスチレンを使用するのが有利であり得る。特に、分散剤、ホットメルト(ホットメルト加工可能な)接着剤及び/又は溶剤をベースとする接着剤が有利に使用することができる。この場合、接着剤の選択は本発明の接着テープのそれぞれの特定の使用分野(特に運転中のロール交換、静止ロール交換、ロール末端接合等)に関して行う。
【0054】
特にアクリレート接着剤では、支持体層からカルシウムイオンが接着剤層中に移動できるべきでない。
【0055】
特に高い剪断強度の(感圧)接着剤を使用するのが特に有利である。さらに、個々の意図する用途に本発明に従って最適化するために、接着性、例えば粘着性、凝集性、粘性、架橋度等を決める他の可変ファクタも使用される。これは当業者の熟知する方法に従って行うことができる。原則として本発明の構成要件を満足する基本的タイプのあらゆる感圧接着剤を使用することができることがわかっている。
【0056】
接着剤層の通例の厚さは25μm〜100μmである。感圧接着剤層の通例の面積重量は一般に20g/m〜80g/mの範囲内にある。
【0057】
本発明の接着テープの一つの有利な実施形態においては、接着テープには追加的に感知可能な層が存在し及び/又は感知可能な特徴を持つ既に説明した層の少なくとも1つが存在している。これによって、接着テープを紙継ぎ過程の間に適当な感知装置によって感知することができる。特にこれによって紙継ぎ行程を自動的に制御することができる。感知可能な特徴を適切に選択するとき、これによって(有無情報以外の)追加的な情報も伝達することができる。
【0058】
層の感知は好ましくは光学的及び/又は電磁的に行う。例えば層の一つに、機械の走行中に適当なセンサーによって確認できる光学的に感知できるパターンが存在していてもよい。同様に層の一つは電磁的に感知可能なマーク、例えば電磁的センサーによって確認できる金属化部分を有していてもよい。感知性のために、層の少なくとも1つは例えばこの種類の接着テープが貼り付けられた紙ロールを加速するときに該接着テープが感知されそして従って紙継ぎ行程又は接合行程を古いロールのウエブ末端で適切な時点で開始する。さらに、いわゆるレジェクト・ダイバータ(reject diverter)において紙ウエブを更に加工するときに、紙継ぎ部を有する切片を分離するために接着テープが感知される。従って、接着テープは従来技術ではウエブ状の材料のロールに手作業で適用され、ラベルが間違った場所に貼り付けられて、しばしば誤作動をもたらしたラベル又はマークに追加的な機能を与える。従って、接着テープの感知性のために接合の正確な位置を自動的に確認することができそして接合部の切除或いは分離除去を常に正確な位置で自動的に行うことができる。この感知可能な接着テープを用いることで、接着テープの動きがウエブの移動速度に直接的に関連するのでロールの回転速度をベースとする行程にわたっての情報を得ることも可能である。
【0059】
感知可能な層は簡単には金属ホイル、特にアルミニウムである。感知可能な層、例えばアルミニウムホイルは例えば6〜12μmの厚さを有している。同様に感知可能な層が、金属化或いは金属部分の存在する紙製シートであってもよい。層の一つが金属ホイルである場合には、他の層は有利にはアクリレート分散物、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ラテックス、ポリビニルアクリレート(PVA)、ポリビニルクロライド(PVC)の状態で或いはこれらの物質のコポリマーとして形成するのが有利である。これらの物質組合せを用いて上述の耐引裂伝播性は規定したとおり所望の様に調整できる。この場合、接着テープを長時間保存した場合でも、これらの材料の間での接着力が変化しないままなので、この強度値は変化しない。金属ホイル並びに他の層はそれらの外側に感圧接着剤が存在することが予想される。これらの感圧接着剤は水溶性又は水不溶性アクリレート感圧接着剤であるのが有利である。同様に例えば天然及び合成ゴム接着剤も前述の化合物の分散物として使用することができる。
【0060】
さらに、感知可能な層自体は支持体の上に塗布されているのが有利であり得る。この場合、感知可能な層は支持体の片面に配置されておりそして関係する感圧接着剤が支持体のもう一方の面に配置されている。この支持体は紙又はフィルムよりなる。該支持体は中でも滑らかで白色の漂白クラフト紙であるのが有利である。
【0061】
本発明の接着テープを図1〜図4によって詳細に説明するが、本発明の思想は記載した実施例によってむやみに限定されるものではない。
図1は分離可能な支持体及びバリヤー層を持つ本発明の接着テープを図示している。
図2は分離可能な支持体、バリヤー層及び第二の支持体を持つ本発明の接着テープを図示している。
図3は分離可能な支持体及び2つのバリヤー層を持つ本発明の接着テープを図示している。
図4は分離可能な支持体、2つのバリヤー層及び第二の支持体を持つ本発明の接着テープを図示している。
【0062】
図1は分離可能な支持体(T)を持つ本発明の接着テープを図示している。分離可能な支持体の上側に接着剤層(M)が存在し、別の接着剤層(M)が分離可能な支持体(M)の下側に存在する。下の接着剤層(M)と支持体層との間にカルシウムイオンに対して不透過性のバリヤー層(S)が存在している。
【0063】
図2は図1に従う接着テープが第二の支持体(Z)を下に接合保持している本発明の接着テープを図示している。第二の支持体(Z)への分離可能な支持体(T)の固定は接着剤(M)によって行われている。第二の支持体(Z)の上側には第三の接着剤層(M)が配置されており、該層はロール交換のときに走行する平坦ウエブへの接合をもたらす。図2には、上の第三の接着剤(M)が有利にはミシン目(P)、切れ目等を有しそしてそれ故に2つの部分被覆(A、A)に分離されている被覆(A)を有していてもよいことが図示されている。
【0064】
下に貼り付いた接着テープの幅(長手辺縁k、k相互の間の広がり)は第二の支持体(Z)の幅(該第二の支持体の長手辺縁z、z相互の間の広がり)よりも狭い。下に貼り付いた接着テープは第二の支持体の下で(幅に対して)中心に配置されておらず、下に貼り付いた接着テープが第二の支持体(Z)の長手辺縁(z)から距離(V)だけ下がって配置されている。
【0065】
図3は図1の実施形態に相応するが、分離可能な支持体(T)と該支持体(T)の上側の接着剤(M)との間に別のバリヤー層(S)が存在している接着テープが図示されている。
【0066】
図4は図3に相応する下に貼り付いた接着テープを有する図2に相応する接着テープを図示している。
【0067】
紙継ぎ法:
更に本発明の対象は、本発明の接着システム又は本発明の接着テープを使用しての運転中ロール交換する方法に関する。
【0068】
図1及び3の一つに相応する接着テープを使用しての本発明の方法の第一の変法(グラフを使って説明していない)の場合には、新しいロールの平坦ウエブの最も上の一巻き(11)(特にそれの末端又はそれの末端領域)を、接着領域から再び分離解放することができる接合を得るのに適する接着剤系(S)によって、最も上の一巻き(11)の下にある平坦ウエブの一巻き(12)に固定し、結果として走行する平坦ウエブ(13)と結合させるのに必要な感圧接着剤部分(M)が解放される。その上でこうして準備された新しいロールを殆ど完全に巻き解かれた交換すべき古いロールに並べて置きそしてこれと実質的に同じ回転速度に加速し、次に古いロールのウエブに対して押し付け、その際に接着テープ(K)の解放状態の粘着剤(M)が実質的に同じウエブ速度で古い平坦ウエブ(13)に貼り付けられ、他方、同時に最も上のウエブ層(一巻きの端層)(11)がその下にある平坦ウエブ層(12)の上で、分離行程の後に接着性領域が露出しないように裂ける。そのときに本発明の接着テープ(K)が使用される。
【0069】
図5a及び5bに図2及び4の一つに相応する接着剤と一緒に概略的に図示するような本発明の方法の一つの変法の場合には(この変法によって本発明の発明思想は不必要に制限されない)、新しいロールの平坦ウエブの一番上の一巻き(11)(特にそれの末端又はそれの末端領域)を、接着領域から再び分離解放することができる接合を得るのに適する、分離可能な支持体(T)を有する少なくとも一つの接着テープ部分を有する接着テープ(K)によって、最も上の一巻き(11)の下にある平坦ウエブの一巻き(12)に固定し、結果として走行する平坦ウエブ(13)と結合させるのに必要な感圧接着剤部分(M)が解放される(図5a参照)。その上でこうして準備された新しいロールを殆ど完全に巻き解かれた交換すべき古いロールに並べて置きそしてこれと実質的に同じ回転速度に加速し、次に古いロールのウエブ(13)に対して押し付け、その際に接着テープ(K)の解放状態の粘着剤(M)が実質的に同じウエブ速度で古い平坦ウエブ(13)に貼り付けられ、他方、同時に最も上のウエブ層(一巻きの端層)(11)とその下にある平坦ウエブ層(12)との接着テープ(K)によって生じる接合が支持体(T)の平面分離によって、該分離行程の後に接着性領域が露出していないように平面分離する。そのときに本発明の接着テープ(K)が使用される(図5b参照)。
【0070】
本発明の方法の一つの変法では、接着テープが走行する平坦ウエブに直角に接合される。本発明の方法の別の有利な一つの変法では接着テープの接合が走行する平坦ウエブに対して30°まで、特に10°までの鋭角でも行うことができる。紙継ぎ法のときに本発明の接着テープ(K)は、新しい平坦ウエブロールの最も上の平坦ウエブ層(11)の末端の直線的に直ぐ下に(又は平坦ウエブの一番上の一巻きの末端から僅かな距離の所に)新しい平坦ウエブのロールに貼り付けて、接着テープ(K)の一部を自由のままとし、他方、分離可能な支持体(T)の下の接着剤(M)をそれの下にある平坦ウエブ層(12)に貼り付けそしてそれ故に一番上のウエブ層(特に一番上のウエブ層の末端)が固定され、その際に場合によっては最初に、場合によっては感圧接着剤(M)の上に存在する被覆物(A)の一部(A)だけを引き剥がすと、紙継ぎ法に必要な感圧接着剤の一部が未だ被覆物(A)で被覆されており、ロールはこの状態では自由接着面を有していない。その後で紙継ぎ法の最終的な準備のために、場合によっては未だ存在する被覆物(A)を除去し、その上でこうして準備された新しいロールを殆ど完全に巻き解かれた交換すべき古いロールに並べて置きそしてこれと実質的に同じ回転速度に加速する。次に新しいロールを古いロールのウエブ(13)に対して押し付け、その際に接着テープ(K)の解放状態の感圧接着剤(M)が実質的に同じウエブ速度で古い平坦ウエブ(13)に貼り付けられ、他方、同時に分離可能支持体(T)が分離され、そのときに最も上の平坦ウエブ層(11)とその下にある平坦ウエブ層(12)との以前に接合されていた領域の両方の面は非接着性のままである。
【0071】
平坦ウエブは特に紙ウエブ及び/又はフィルムウエブ及び/又は繊維材料ウエブ(織製物、編製物、フリース等)が適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能な平坦な支持体、該分離可能な支持体の上に配置されている少なくとも1つの接着剤層及び該分離可能な支持体の下に配置されている接着剤層を有する、平坦ウエブ材料のロールの交換用接着テープにおいて、分離可能な支持体と該分離可能な支持体の下の接着剤層との間に、カルシウムイオン(Ca2+)に対して不浸透性である第一のバリヤー層が少なくとも存在することを特徴とする、上記接着テープ。
【請求項2】
分離可能な支持体が紙製である、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
分離可能な支持体と該分離可能な支持体上の接着剤層との間にカルシウムに対して不浸透性である第二のバリヤー層が存在する、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項4】
分離可能な支持体の下及び/又は上のバリヤー層の少なくとも1つが分散物の塗布及び場合によっては続いての乾燥によって得ることができるものである請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項5】
分散物がラテックス分散物である、請求項4に記載の接着テープ。
【請求項6】
分離可能な支持体の上の接着剤層の上に第二の支持体が存在し、その上に更に第三の接着剤層が存在する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
第二の支持体が分離可能な支持体よりも広い幅を有している、請求項6に記載の接着テープ。
【請求項8】
第二の支持体の長手辺縁部とこれの側にある分離可能な支持体の長手辺縁部との間に15mmまで、好ましくは0.5〜7mm、更に好ましくは1.5〜4mm、なかでも2〜3.5mmの距離(V)が存在する、請求項7に記載の接着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公開番号】特開2009−263669(P2009−263669A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107330(P2009−107330)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】