説明

平板ディスプレイパネル及びその駆動方法

【課題】平板ディスプレイパネル及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】相互対向するように離隔されて配されている第1及び第2基板と、第1基板と第2基板との間に介在され、基板間の空間を多数の表示セルに区画する隔壁と、表示セル空間と対面して配され、外部電界によって誘電分極されるように強誘電性物質からなる強誘電体層と、強誘電体層を介して相互反対極性の電界を順次に印加し、強誘電体層に分極反転を誘導し、表示セル空間に電子ビームを放出させる第1電極及び第3電極と、電子ビームによって励起されるように、表示セル内部空間に充填される励起ガスと、表示セル内に塗布された蛍光体層と、を備える平板ディスプレイパネルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板ディスプレイパネル及びその駆動方法に係り、さらに詳細には、低い駆動電圧で発光効率が向上するように強誘電体の電界放出原理が適用されたガス励起発光型の平板ディスプレイパネル及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平板ディスプレイパネルの一種であるプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)は、電気的な放電を利用して画像を形成するディスプレイ素子であって、輝度や視野角など表示性能に優れ、その使用が日増しに増大している。このようなPDPは、電極に印加される直流または交流電圧によって、前記電極間にガス放電がおき、この放電過程で発生する紫外線によって、蛍光体が励起されて可視光が放射される。
【0003】
図1には、このようなPDPの一形態に関する断面構造が示されている。図面を参照すれば、PDPは、相互対向して配された第1基板及び第2基板10,20と、前記基板10,20間に配されて多数の表示セルS’を区画する隔壁14と、を備える。前記第2基板20の内側面には、維持放電を起こす放電維持電極26対が配され、前記放電維持電極26対を埋め込む上誘電体層21が配される。また、前記第1基板10の内側面には、前記放電維持電極26対のうち、一放電維持電極26と補助放電を起こすためのアドレス電極11とが配され、前記アドレス電極11は、下誘電体層12によって埋め込まれている。前記表示セルS’の内部には、放電ガス(図示せず)が充填されている。
【0004】
放電開始電圧以上の交流電圧が印加された放電維持電極26対の間では、放電ガスがイオン化されてプラズマ放電が行われ、この過程で励起されたガス粒子が再び安定化して紫外線が発生する。発生した紫外線は、表示セルS’の内壁に塗布されている蛍光体15によって可視光に変換され、この可視光が第2基板20側に出光して、ユーザが認識できる所定の画像が具現される。
【0005】
このようなプラズマ放電による発光は、主にLCD(Liquid Crystal Display)のバックライトとして使われる平板ランプにも同一に適用されている。しかし、PDP及び平板ランプでは、放電を起こすために内部放電ガスをイオン化させるほどの高いエネルギーが必要となるので、駆動電圧が上昇して発光効率が低下するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低い駆動電圧で発光効率が向上するように強誘電体の電界放出原理を適用したガス励起発光型平板ディスプレイパネル及びその駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の望ましい一実施形態による平板ディスプレイパネルは、相互対向するように離隔されて配されている第1及び第2基板と、前記第1基板と第2基板との間に介在され、前記基板間の空間を多数の表示セルに区画する隔壁と、前記表示セル空間と対面するように配され、外部電界によって誘電分極されるように強誘電性物質からなる強誘電体層と、前記強誘電体層を介して反対極性の電界を順次に印加して前記強誘電体層に分極反転を誘導し、前記表示セル空間に電子ビームを放出させる第1電極及び第3電極と、前記電子ビームによって励起されるように前記表示セルの内部空間に充填される励起ガスと、前記表示セル内に塗布された蛍光体層と、を備える。
【0008】
ここで、前記強誘電体層は、前記第1基板の内側に支持されることが望ましい。
【0009】
望ましくは、前記第1及び第3電極は、前記強誘電体層の上下面にそれぞれ対面接触される。
【0010】
本発明において、望ましくは、前記第1電極及び第3電極は、相互交差する方向に延びる。このとき、各表示セルで、一ラインの第1電極と対をなす二ラインの第3電極が相互交差しうる。ここで、前記第3電極対は、その間に前記強誘電体層が露出されるように所定間隔をおいて相互平行に延びうる。その代案として、各表示セルで、一ラインの第1電極と一ラインの第3電極とが相互交差しうる。または、前記第1電極と交差する第3電極部分に多数の電極ウィンドウや多数の開口ホールが形成されるが、このとき、前記電極ウィンドウは、前記第3電極の長手方向に延びる長孔形状を有しうる。
【0011】
本発明において、望ましくは、前記第2基板側には、前記強誘電体層から放出された電子を加速するために加速電界を形成する第2電極が設けられる。
【0012】
前記強誘電体層から放出された電子は、前記励起ガスを励起させるのに必要なエネルギーよりは高く、前記励起ガスをイオン化させるのに必要なエネルギーよりは低いエネルギーレベルを有することが望ましい。
【0013】
前記蛍光体は、前記第2基板側に支持される。
【0014】
望ましくは、前記第2基板の内側面には、前記強誘電体層から放出された電子を加速するための第2電極が設けられ、前記蛍光体は、前記第2電極を覆うように配される。
【0015】
望ましくは、前記励起ガスは、キセノン(Xe)を含む。
【0016】
一方、本発明の他の側面による平板ディスプレイパネルを駆動するための駆動方法は、前記第1電極と第3電極とに、それぞれ(+)電界及び(−)電界を印加して前記強誘電体層に誘電分極を誘導し、前記強誘電体層の表面に電界放出された電子を蓄積するステップと、前記第1電極と第3電極との間に前記電子蓄積ステップと反対極性の電界を印加して前記強誘電体層に分極反転を誘導し、その表面に蓄積された電子を表示セル空間に放出するステップと、を含む。
【0017】
本発明において、望ましくは、前記電子蓄積ステップと電子放出ステップとの間には、前記第1電極と第3電極とに印加された電界を除去し、前記強誘電体層の残留分極によって蓄積された電子を維持するステップが行われる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の平板ディスプレイパネルによれば、強誘電体の誘電分極特性を利用して発光に必要な励起種を得ることによって、従来のプラズマ放電を利用したディスプレイ方式と比較するとき、低い駆動電圧によって作動可能であり、発光効率が向上しうる。また、従来のプラズマ放電に加えて、前記強誘電体による電界放出原理を混用すれば、放電開始電圧を低下させ、発光輝度を向上させうる。
【0019】
一旦、分極された強誘電体の周囲から外部電界が除去されても、分極状態が維持される強誘電体特有のメモリ特性を活用すれば、発光が行われる表示セルを選択するデータセッティングステップと、全ての表示セルに対する選択動作がなされた以後に、放出電子が表示セルの内部空間に供給されるエミッションステップとが、時差をおいて段階的に行われ、PM方式による駆動方式に非常に有利な構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本明細書に添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態による平板ディスプレイパネルについて詳細に説明する。図2には、本発明の望ましい一実施形態による平板ディスプレイパネルの分解斜視図が示されており、図3には、図2のIII−III線による垂直断面図が示されている。図示された平板ディスプレイパネルは、相互所定間隔をおいて対向して配されている第1及び第2基板110,120と、前記基板110,120間の空間を複数の表示セルSに区画する隔壁114と、を備える。前記第1及び第2基板110,120は、ガラス素材のガラス基板で設けられる。前記基板110,120の間に配された隔壁114は、前記基板110,120と共に複数の表示セルSを区画する。前記隔壁114は、各表示セルS間の電気的・光学的な干渉を防止して、相互独立的な発光領域を構成せしめる。図示された実施形態で、前記隔壁114は、一方向に沿う開放型ストライプパターンで形成されるが、本発明の技術的特徴は、閉鎖型マトリックスパターンを含む多様な隔壁パターンに対して同一に適用される。
【0021】
前記第1基板110上には、一方向に沿って平行に延びる多数の第1電極111が配され、一表示セルSごとに一つの第1電極111が配される。前記第1電極111上には、電極111を埋め込む強誘電体層115が配される。ここで、前記強誘電体層115は、強誘電体と常誘電体との間の転移温度が常温以上であるので、常温で強誘電性を有する全ての強誘電体で形成され、例えば、(Pb,La)−(ZrTi)O、(Pb,Bi)−(ZrTi)O、(Pb,La)−(HfTi)O、(Pb,Ba)−(ZrTi)O、(Pb,Sr)−(ZrTi)O、LiTaO、SrTiO、LaTi、LiNbO、(Pb,La)−(MgNbZrTi)O、(Pb,Ba)−(LaNb)O、(SrBa)−Nb、K(Ta,Nb)O、(Sr,Ba,La)−(Nb)、NaTiO、MgTiO、BaTiO、SrZrO、KNbOなどの強誘電体で形成される。前記強誘電体層115上には、前記第1電極111と交差する方向に平行に延びる多数の第3電極113が配されており、各表示セルSごとに所定間隔で平行に延びた一対の第3電極113が配される。すなわち、一つの第1電極111と一対の第3電極113とが相互交差する領域が一表示セルSを構成し、第1電極111と一対の第3電極113、そして、強誘電体層115が重畳される部分で電子ビームEが放出されて発光がなされる。前記一対の第3電極113には、共通された駆動電圧が印加され、このために、対をなす第3電極113は、その端部で相互電気的に連結される。一方、図2の実施形態では、一つの第1電極111と対をなす二つの第3電極113が相互交差しつつ、一つの表示セルSが構成されるが、相互交差する一つの第1電極と一つの第3電極とのみで表示セルが構成される変形も可能であり、本発明の技術的範囲は、一表示セルに対応する電極個数に限定されない。
【0022】
このように、相互交差する第1及び第3電極111,113の配置構造は、ディスプレイパネルのPM(Passive Matrix)駆動を可能にする。前記PM駆動方式では、各表示セルSに対するオン/オフを個別的に制御するために、それぞれの表示セルSごとに制御素子(TFT:Thin Film Transistor)を備えねばならないAM(Active Matrix)方式とは異なり、全ての表示セルSに対するオン/オフを一括的に制御するので、その構成及び駆動方式の側面で簡単であるという長所がある。
【0023】
前記強誘電体層115は、素材特性上、それに接する第1及び第3電極111,113の電気的極性によって誘電分極が誘導され、その結果、外部に露出された強誘電体層115の表面と、それに接した第3電極113との間に高い電界が集中して、強誘電体層115の表面には、電界放出された電子が蓄積される。このように強誘電体層115の表面に電子が蓄積された後、第1及び第3電極111,113の極性を反転させれば、強誘電体層115に分極反転が誘導されつつ、表面に蓄積された電子が電気的な反撥力によって表示セルSの空間に放出される。放出された多数の電子は、一つの電子ビームEを構成する。電子蓄積及び放出原理については、後述する。一方、前記第1電極111と第3電極113との間に印加される電圧によって、放出電子の有するエネルギーレベルが最適化されるが、前記放出電子のエネルギーレベルは、励起ガス130を励起させるのに必要なエネルギーより高く、励起ガス130をイオン化させるのに必要なエネルギーよりは低いことが望ましい。この場合、発光のために、蛍光体125に供給される所定の紫外線Vは、ガス励起を通じて提供され、かつ不要なガスイオン化による無効なエネルギー消耗は減らせる。一方、前記第1電極111及び第3電極113は、電気伝導度に優れた金属電極素材からなり、特に、前記第3電極113は、放出電子を提供するカソード電極として機能するので、小さな仕事関数を有する金属素材からなることが望ましい。
【0024】
前記第2基板120の内側面には、第2電極122が配されている。前記第2電極122は、全ての表示セルSにわたって同じ電圧を供給する共通電極で設けられ、例えば、表示セルSの内部で発生した可視光の透過が許容されるように、前記第2電極122は、透明電極素材であるITO(Indium Tin Oxide)で形成されることもある。その代案として、前記第2電極122は、メッシュ型金属電極で設けられることもある。第1及び第3電極111,113による分極反転を通じて強誘電体層115の表面から表示セルSの空間に放出された電子は、第3電極113と第2電極122との間の電界によって上側の第2基板120側に加速され、加速された電子との衝突によって、表示セルSの内部に充填された励起ガス130が励起される。ここで、第3電極113と第2電極122との間の印加電圧を調節することによって、放出電子の有するエネルギーレベルが調節され、例えば、これらの電極113,122の間に高電圧を印加することによって、励起ガス130がイオン化される放電状態を誘導することもある。一方、図2に示された実施形態で、前記第2電極122は、全体表示セルSに共通的に作用する面電極で構成されたが、これに限定されず、前記第2電極122は、所定間隔をおいて相互分離されるように配列された多数のストライプ電極で構成されることもある。
【0025】
前記第2電極122は、蛍光体125によって覆われているが、前記蛍光体125は、発光色によって赤色蛍光体125R、緑色蛍光体125G、及び青色蛍光体125Bを含みうる。当該表示セルSは、塗布された蛍光体の種類によって、赤色発光表示セル、緑色発光表示セル、青色発光表示セルに区分される。このように異なる発光色の表示セルSが集まって、画素の最小単位である一ピクセルを構成する。前記蛍光体125は、紫外線Vによって励起されて蛍光体の種類によって固有な色の可視光を放出する。この可視光が第2基板120を通じて外部に出光して所定の画像を構成する。異なる発光色の蛍光体125は、所定パターンを有するブラックマトリックス126によって区分され、前記ブラックマトリックス126は、外光を吸収して高いコントラスト比を維持するように、光吸収率に優れた暗色を帯びることが望ましい。また、前記ブラックマトリックス126は、隣接した発光色間の光学的な干渉による混色を防止する役割も行う。一方、前記蛍光体125は、表示セルSを限定する内壁のどこに形成されても関係なく、その塗布面積を増やすために、第2基板125側と共に、隔壁114の側面にわたって形成されることもある。但し、蛍光体125が第1基板110側に形成される場合には、電子ビームEの放出を妨害しない範囲で制限的に塗布されることが望ましい。
【0026】
前記表示セルSの内部は、大概キセノン(Xe)を含む励起ガス130によって充填される。前記励起ガス130は、放出電子との衝突によって励起状態に遷移され、励起状態から安定した基底状態にエネルギーレベルが低下しつつ、エネルギー差に該当する波長帯の紫外線Vを放出する。このように放出された紫外線Vは、前記蛍光体125によって可視光に変換され、この可視光が外部に放射されて、ユーザが認識できる所定の画像が具現される。
【0027】
図4には、紫外線発生源であるXeのエネルギーレベルが概略的に示されている。図4を参照すれば、Xeをイオン化させるためには、12.13eV以上のエネルギーが必要であり、Xeを励起させるためには、8.28eV以上のエネルギーが必要であるということが分かる。具体的に、Xeを1S5、1S4、1S2状態にそれぞれ励起させるためには、8.28eV、8.45eV、9.57eVのエネルギーが必要になる。このように励起されたXeは、安定化しつつ、約147nmの紫外線を発生させる。そして、励起状態のXeと基底状態のXeとが衝突すれば、エキシマーXe2が生成されるが、このようなエキシマーXe2は、安定化しつつ、約173nmの紫外線を発生させる。結果的に、Xeを励起させて蛍光体に吸収される紫外線を得るためには、約8.28〜12.13eVのエネルギーが要求される。
【0028】
本発明では、ガス粒子を励起させるために、8.28〜12.13eVほどの比較的低いエネルギーのみが要求されるので、ガス放電によるイオン化のために、12.13eV以上の高いエネルギーが要求された従来のPDPよりはるかに低い駆動電圧によって作動される。しかも、従来と同等なレベルの輝度を維持して従来よりも発光効率が向上しうる。
【0029】
本発明では、発光に必要な全ての電子を強誘電体層115を通じて供給することによって、プラズマ放電を起こさずに、ガスイオン化による損失を完全に除去しうる。但し、本発明の変形された構造では、異なる基板110,120側に支持されている第1電極111と第2電極122との間で対向放電が行われつつ、励起ガス130がイオン化されて電子が生成されるとき、前記強誘電体層115を通じて追加的な電子を供給することによって放電開始電圧を低め、輝度を上昇させうる。この場合、前記励起ガス130はまた、放電ガスとしての機能も行う。
【0030】
以下では、図5Aないし図5Cを参照して、前記平板ディスプレイパネルにおける電子放出原理について説明するが、各図面は、順次に進められる電子蓄積ステップ、電子維持ステップ、及び電子放出ステップをそれぞれ説明するためのものである。
【0031】
図5Aを参照すれば、前記電子蓄積ステップでは、第1電極111に(+)電界、第3電極113に(−)電界が印加される。このとき、前記電極111,113の間に位置した強誘電体層115は、前記外部電界に順応する方向に分極されつつ、第1電極111に接した強誘電体115の表面は、(−)極性を帯び、第3電極113に接した強誘電体層115の表面は、(+)極性を帯びる。強誘電体層115の内部では、相互反対極性同士に電気的に中和して極性を帯びない。ここで、第3電極113の(−)電界と、これに接した強誘電体115の表面の(+)電界とによって電界が集中しつつ、第3電極113から電子eが放出され、放出された電子eは、強誘電体層115の露出された表面に蓄積される。
【0032】
次いで、図5Bを参照すれば、前記電子維持ステップでは、前記第1及び第3電極111,113の電界が消えても、強誘電体の特徴である残留分極によって強誘電体層115の表面に蓄積された電子eは、消えずに維持される。後述するように、このような強誘電体のメモリ効果を利用して、本ディスプレイパネルは、データセッティング及びエミッションステップが順次に行われる方式で駆動される。
【0033】
次いで、図5Cを参照すれば、前記電子放出ステップでは、最初の電子蓄積ステップと反対電界が第1及び第3電極111,113に印加される。すなわち、前記第1電極111に(−)電界、前記第3電極113に(+)電界が印加されれば、強誘電体の分極反転効果によって、第1電極111に接した表面は(+)極性を帯び、第3電極113に接した表面は(−)極性を帯びる。このとき、強誘電体層115の表面に蓄積された電子eがクーロンの電気的反撥力によって表示セルSの空間に放出される。
【0034】
本ディスプレイパネルの望ましい駆動では、データセッティングステップを通じて発光がなされる表示セルSが選択され、全ての表示セルSに対する選択動作がなされた以後に、放出電子が表示セルSの内部空間に供給されるエミッションステップが行われる。すなわち、データセッティングステップで、選択された表示セルSに対しては、第1及び第3電極111,113に電子蓄積のための電界を印加し、そうでない表示セルSに対しては、電界を印加しない。次いで、全ての第1及び第3電極111,113に電子放出のための電界を印加すれば、選択された表示セルSでは、強誘電体層115の表面に蓄積されていた電子eが放出されつつ、励起ガス130による発光がなされる一方、選択されていない表示セルSには、電子eが蓄積されていないので、発光がなされない。
【0035】
前述した本発明の電子放出メカニズムから分かるように、電子放出は、強誘電体層に加えられる電界の強度に比例して、第1及び第3電極が交差される領域で集中し、放出電子を遮らない領域であって強誘電体層上に重畳される第3電極の境界部分で主に発生する。このような観点から、電子放出の効率性と直結される電極形態に関する多様な変形された構造を考慮する必要がある。
【0036】
図6ないし図8には、第1及び第3電極の変形された構造が示されている。まず、図6を参照すれば、第1基板110上には、一群の第1電極111と、一群の第3電極213とが異なる垂直高さを有する平面上で相互交差して延設されており、前記第1電極111と第3電極213との間には、シート状の強誘電体層115が介在されている。前記第1及び第3電極111,213が交差する領域は、一つの発光単位を構成し、強誘電体層115上に配された隔壁114によって独立的な表示セルSに区画される。このとき、前記隔壁114は、一方向に延びるストライプパターンを取ることができ、各表示セルSは、隣接した隔壁114の間に限定され、一方、第1電極111によって電子放出が制御される十分な電界が及ぶ範囲までと定義される。各第1及び第3電極111,213は、各表示セルSごとに一つずつ割当てられ、両電極111,213間に極性が反転される駆動電圧を印加することにより、それらの交差領域を発光中心として、該当する表示セルSがターンオンされる。
【0037】
一方、図7は、本発明で採用される電極構造のさらに他の変形された形態を示す。図面を参照すれば、第1基板110上に置かれた強誘電体層115の表面側と裏面側とに、それぞれ第3電極313と第1電極111とが配され、両電極111,313は、相互交差して延びている。それぞれの第3電極313は、長手方向に延びる多数の電極ウィンドウ313’の配列を取るフレーム形態を有する。すなわち、前記第3電極313は、第1電極111と交差する領域で多数の電極ウィンドウ313’の配列を有し、非交差部分では、電気伝導度を維持するために同電極の形態を有する。
【0038】
第3電極313のストライプ部分313aは、強誘電体層115を広範囲な領域にわたって活性化させることによって、電子放出効率を高めつつも、ストライプ313aの間に形成された電極ウィンドウ313’を通じて強誘電体層115の一部を露出させることによって電子放出を可能にする。すなわち、前記第3電極313のストライプ部分313aは、強誘電体層115上で狭い間隙で離隔されて平行に配列されることによって、強誘電体層115の広範囲な領域にわたって均一に高強度の電界を形成でき、印加された電界に応答して、前記強誘電体層115は、電極ウィンドウ313’を通じて表示セルSに露出された面から電子ビームを放出する。
【0039】
一方、図8は、本発明で採用される電極構造の他の変形された形態を示す。図面を参照すれば、第1基板110上に置かれた強誘電体層115の表面側と裏面側とに、それぞれ第3電極413と第1電極111とが配され、両電極111,413は、相互交差して延びている。そして、両電極111,413が交差する領域には、多数の円形開口ホール413`が形成されている。前記開口ホール413’は、第1及び第3電極111,413間の相互作用によって放出された電子の放出経路を形成するためのものであり、開口ホール413’を除外した他の電極部分413aは、広範囲な領域にわたって強誘電体層115をカバーし、電子放出のための電界を形成する。
【0040】
一方、図6ないし図8では、具体的な電極形態を示しているが、これは、本発明の権利範囲を制限するよりは、本発明に適用される多様な実施形態を例示したと解釈されねばならない。
【0041】
本発明は、図面に示した実施形態を参照して説明されたが、それは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、PDP関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来の平板ディスプレイパネルの一例であって、PDPの垂直断面構造を示す図面である。
【図2】本発明の望ましい一実施形態による平板ディスプレイパネルの分解斜視図である。
【図3】図2に示された平板ディスプレイパネルのIII−III線による垂直断面図である。
【図4】放電ガスに含まれるXeのエネルギーレベルを示すダイヤグラムである。
【図5A】強誘電体層による電子蓄積及び電子放出原理を説明するための図面であって、電子蓄積ステップを示す図面である。
【図5B】強誘電体層による電子蓄積及び電子放出原理を説明するための図面であって、電荷維持ステップを示す図面である。
【図5C】強誘電体層による電子蓄積及び電子放出原理を説明するための図面であって、電子放出ステップを示す図面である。
【図6】本発明の多様な実施形態による平板ディスプレイパネルの分解斜視図である。
【図7】本発明の多様な実施形態による平板ディスプレイパネルの分解斜視図である。
【図8】本発明の多様な実施形態による平板ディスプレイパネルの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
110 第1基板
111 第1電極
113 第3電極
114 隔壁
115 強誘電体層
120 第2基板
122 第2電極
125 蛍光体
125B 青色蛍光体
125R 赤色蛍光体
125G 緑色蛍光体
126 ブラックマトリックス
S 表示セル
E 電子ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互対向するように離隔されて配されている第1及び第2基板と、
前記第1基板と第2基板との間に介在され、前記基板間の空間を多数の表示セルに区画する隔壁と、
前記表示セル空間と対面して配され、外部電界によって誘電分極されるように強誘電性物質からなる強誘電体層と、
前記強誘電体層を介して相互反対極性の電界を順次に印加し、前記強誘電体層に分極反転を誘導し、前記表示セル空間に電子ビームを放出させる第1電極及び第3電極と、
前記電子ビームによって励起されるように、前記表示セル内部空間に充填される励起ガスと、
前記表示セル内に塗布された蛍光体層と、を備える平板ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記強誘電体層は、前記第1基板の内側に支持されることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項3】
前記第1及び第3電極は、それぞれ前記強誘電体層の第1基板側表面と表示セル側表面とに対面接触されていることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項4】
前記第1及び第3電極は、相互交差する方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項5】
各表示セルで、一ラインの第1電極と対をなす二ラインの第3電極が相互交差することを特徴とする請求項4に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項6】
前記第3電極対は、その間に前記強誘電体層が露出されるように所定間隔をおいて相互平行に延びることを特徴とする請求項5に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項7】
各表示セルで、一ラインの第1電極と一ラインの第3電極とが相互交差することを特徴とする請求項4に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項8】
前記第1電極と交差する第3電極部分には、多数の電極ウィンドウが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項9】
前記電極ウィンドウは、前記第3電極の長手方向に延びる長孔形状を有することを特徴とする請求項8に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項10】
前記第1電極と交差する第3電極部分には、多数の開口ホールが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項11】
前記強誘電体層は、前記第1基板側に支持され、
前記第2基板側には、前記強誘電体層から放出された電子を加速するために、加速電界を形成する第2電極が設けられることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項12】
前記強誘電体層から放出された電子は、前記励起ガスを励起させるのに必要なエネルギーよりは高く、前記励起ガスをイオン化させるのに必要なエネルギーよりは低いエネルギーレベルを有することを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項13】
前記蛍光体は、前記第2基板側に支持されることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項14】
前記第2基板の内側面には、前記強誘電体層から放出された電子を加速するための第2電極が配され、前記蛍光体は、前記第2電極を覆うように配されることを特徴とする請求項13に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項15】
前記励起ガスは、キセノン(Xe)を含むことを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイパネル。
【請求項16】
請求項1に記載の平板ディスプレイパネルを駆動するための駆動方法であって、
前記第1電極と第3電極とに、それぞれ(+)電界及び(−)電界を印加して前記強誘電体層に誘電分極を誘導し、前記強誘電体層の表面に電界放出された電子を蓄積するステップと、
前記第1電極と第3電極との間に、前記電子蓄積ステップと反対極性の電界を印加して前記強誘電体層に分極反転を誘導し、その表面に蓄積された電子を表示セル空間に放出するステップと、を含む平板ディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項17】
前記電子蓄積ステップと電子放出ステップとの間には、
前記第1電極と第3電極とに印加された電界を除去し、前記強誘電体層の残留分極によって蓄積された電子を維持するステップが行われることを特徴とする請求項16に記載の平板ディスプレイパネルの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−235275(P2008−235275A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72403(P2008−72403)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】