説明

平版印刷版用の乳化型版面洗浄剤

【課題】 画像部に影響を与えることが無く非画像部に対する不感脂化作用に優れ、且つ優れた汚れ除去能力、及び汚れ防止効果を有する乳化型版面洗浄剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 イソパラフィン系炭化水素溶剤、(2)非イオン界面活性剤、(3)アルカリ金属ケイ酸塩、(4)水溶性セルロース誘導体、(5)水、及び(6)下記一般式(I):
【化1】


で表されるホスホニウム化合物を少なくとも含有し、水中油型エマルションを形成して成る平版印刷版用の乳化型版面洗浄剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版の乳化型版面洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平版印刷は、水と油とが反発しあう現象を利用した、平らな版を用いる印刷方式である。平版印刷版は、油であるインキが付着する画像部と、油と反発する水膜が張られた非画像部を備え、版面にインキと水を交互に与えて印刷する。非画像部の親水性が何らかの原因で不足し、局部的に感脂化すると、インキが付着し、「地汚れ」が生じるようになる。非画像部が感脂化する原因としては、平版印刷版の画像部を強化して高耐刷力を付与するためのバーニング処理や、平版印刷版の版面を不感脂化ガムで保護することなく放置するなどの不適切な保存状態などが挙げられる。また、非画像部に傷がついた場合にも、傷の中にインキが入り込み、次第に感脂化されて汚れを発生させる。
【0003】
平版印刷版に発生した地汚れは、版面洗浄剤で版面を処理して、版面のインキを除去するとともに、非画像部の親水性を回復することにより除去することができる。このような版面洗浄剤は多数知られている。例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液からなり、不感脂化作用が極めて高い版面洗浄剤が知られている。しかし、この版面洗浄剤は、アルカリ性であるため、水性アルカリ現像液で現像される感光性平版印刷版に使用すると、画像部の一部が侵されたり、インキの付着性が劣化するという問題があった。
【0004】
シュウ酸を用いた版面洗浄剤も知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この版面洗浄剤は不感脂化力が弱く、金属支持体を腐食する作用が強いため、アルミニウム板を支持体とする通常の感光性平版印刷版(PS版と称されている。)の支持体表面に施されている親水層が破壊され、汚れを引起し易いため金属支持体には適性がない。
【0005】
一般に、印刷中に汚れが発生した場合は先ず、版面のインキを灯油又は炭化水素系溶剤等のインキ洗浄剤で除去し、次いで不感脂化処理剤で処理していた。上記の従来の版面洗浄剤を用いる場合も、先にインキ洗浄剤で版面を洗浄した後に施す必要があるため、従来の版面洗浄剤で処理をするときには処理工程が2工程になり繁雑である。そのため、両機能を統合させた乳化型、即ちインキ洗浄剤作用及び不感脂化作用を兼ね備えた版面洗浄剤が開発されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許3,489,561号明細書
【特許文献2】特開昭52−15702号公報
【特許文献3】特開昭53−2102号公報
【特許文献4】特許第3162890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの乳化型版面洗浄剤は、バーニング処理した平版印刷版に対する汚れ除去力が劣り、又傷汚れなどに対しては不感脂化作用の持続性が不十分であって、印刷の途中でしばしば汚れが再発するという欠点があった。また、印刷を続けていくに従い、印刷版上に印刷用紙に由来するいわゆる紙粉と呼ばれるものが堆積することがある。紙粉が堆積すると、画像部でインキ着肉性が阻害され印刷物の濃度が低下する。この紙粉の成分は、炭酸カルシウムやカオリンクレー、タルク等であり、これらはインキと比較してより親水的な性質を持ち、従来のインキ洗浄剤では洗浄しづらいという欠点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像部に影響を与えることが無く非画像部に対する不感脂化作用に優れ、且つ優れた汚れ除去能力、又は汚れ防止効果を有する乳化型版面洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、下記組成の乳化型版面洗浄剤により上記の諸目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明は、(1)イソパラフィン系炭化水素溶剤、(2)非イオン界面活性剤、(3)アルカリ金属ケイ酸塩、(4)水溶性セルロース誘導体、(5)水、及び(6)下記一般式(I):
【化1】

(式中、Rは、アセトニル、アリル、ブロモメチル、4−カルボキシブチル、3−ブロモプロピル、3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル、4−クロロベンジル、2−クロロベンジル、クロロメチル、シンナミル、シアノメチル、シクロプロピル、2,4−ジクロロベンジル、2−ジメチルアミノ、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチル、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル、4−エトキシベンジル、エトキシカルボニルメチル、フォルミルメチル、2−ヒドロキシベンジル、メトキシカルボニルメチル、メトキシメチル、N−メチル−N−フェニルアミノ、1−ナフチルメチル、4−ニトロベンジル、フェナシル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−トリメチルシリルエチル、3−トリメチルシリル−2−プロピニル、プロパジル、又はビニルを表し、Xはハロゲンを表す。)
で表される少なくとも1種のホスホニウム化合物を少なくとも含有し、水中油型エマルションを形成して成る平版印刷版用の乳化型版面洗浄剤を提供する。
本発明は、別の側面で、水溶性セルロース誘導体、アルカリ金属ケイ酸塩、水、及び下記一般式(I):
【化2】

(式中、Rは、アセトニル、アリル、ブロモメチル、4−カルボキシブチル、3−ブロモプロピル、3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル、4−クロロベンジル、2−クロロベンジル、クロロメチル、シンナミル、シアノメチル、シクロプロピル、2,4−ジクロロベンジル、2−ジメチルアミノ、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチル、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル、4−エトキシベンジル、エトキシカルボニルメチル、フォルミルメチル、2−ヒドロキシベンジル、メトキシカルボニルメチル、メトキシメチル、N−メチル−N−フェニルアミノ、1−ナフチルメチル、4−ニトロベンジル、フェナシル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−トリメチルシリルエチル、3−トリメチルシリル−2−プロピニル、プロパジル、又はビニルを表し、Xはハロゲンを表す。)
で表されるホスホニウム化合物を含む水相と、イソパラフィン系炭化水素溶剤及び非イオン界面活性剤を含む油相とを混合し、水中油型エマルションを形成させる工程を少なくとも含む平版印刷版用の乳化型版面洗浄剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像部に影響を与えることが無く非画像部に対する不感脂化作用に優れ、且つ優れた汚れ除去能力、又は汚れ防止効果を有する乳化型版面洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の乳化型版面洗浄剤について、更に詳細に説明する。本発明の乳化型版面洗浄剤は、(1)イソパラフィン系炭化水素溶剤、(2)非イオン界面活性剤、(3)アルカリ金属珪酸塩、(4)水溶性セルロース誘導体、(5)水、及び(6)一般式(I):
【化3】

(式中、Rは、アセトニル、アリル、ブロモメチル、4−カルボキシブチル、3−ブロモプロピル、3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル、4−クロロベンジル、2−クロロベンジル、クロロメチル、シンナミル、シアノメチル、シクロプロピル、2,4−ジクロロベンジル、2−ジメチルアミノ、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチル、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル、4−エトキシベンジル、エトキシカルボニルメチル、フォルミルメチル、2−ヒドロキシベンジル、メトキシカルボニルメチル、メトキシメチル、N−メチル−N−フェニルアミノ、1−ナフチルメチル、4−ニトロベンジル、フェナシル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−トリメチルシリルエチル、3−トリメチルシリル−2−プロピニル、プロパジル、又はビニルを表し、Xは、ハロゲン、好ましくはCl又はBrを表す。)
で表される少なくとも1つのホスホニウム化合物を少なくとも含有し、水中油型エマルションを形成して成る。該乳化型版面洗浄剤は、更に(7)平均粒径10〜2000μmの水難溶解性微粉末セルロースを含有してもよい。該乳化型版面洗浄剤には更に、(8)湿潤剤、(9)腐食防止剤、(10)pH調整剤、(11)防腐剤などを必要に応じて含有させることが出来る。
【0012】
本発明で使用される上記成分(1)イソパラフィン系炭化水素溶剤としては、JIS K 2254による蒸留試験において50%留出する温度が100〜360℃のイソパラフィン系炭化水素溶剤を表す。イソパラフィン系炭化水素は、JIS K 2269による流動点が室温(20℃)より低く、室温では液体状態である。例えば市販品としては、エクソンモービルケミカルのアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、出光興産のIPソルベント1016、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835、日油のNAソルベント、シェルケミカルズジャパンのシェルゾールTG、シェルゾールTK、シェルゾールTM等がある。乳化型版面洗浄剤におけるイソパラフィン系炭化水素溶剤の含有量は、好ましくは10〜30質量%である。より好ましくは、10〜20質量%である。イソパラフィン系炭化水素溶剤には、インキを溶かす作用がある。
【0013】
上記成分(2)非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ヒマシ油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。これら非イオン界面活性剤において、アルキル基は炭素数12〜20が好ましく、脂肪酸の炭素数は4〜22が好ましい。乳化型版面洗浄剤における界面活性剤の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.1〜10質量%である。
【0014】
上記成分(3)アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ルビジウム、ケイ酸セシウムなどがある。例えば、市販品としては、富士化学のケイ酸ソーダ1号(SiO/NaOモル比2.0〜2.2)、ケイ酸ソーダ2号(SiO/NaOモル比2.4〜2.5)、ケイ酸ソーダ3号(SiO/NaOモル比3.1〜3.3)、ケイ酸ソーダ4号(SiO/NaOモル比3.3〜3.5)、ケイ酸ソーダ5号(SiO/NaOモル比3.6〜3.8)、日産化学工業社製リチウムシリケート45(SiO/LiOモル比4.5)などが挙げられる。乳化型版面洗浄剤におけるアルカリ金属ケイ酸塩の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.5〜5質量%である。アルカリ金属ケイ酸塩を乳化型版面洗浄剤に含有させることにより、非画像部を不感脂化する作用を付与することができる。
【0015】
上記成分(4)水溶性セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム類、カルボキシエチルセルロースナトリウム類、ヒドロキシエチルセルロース類、ヒドロキシプロピルセルロース類、メチルセルロース類、ヒドロキシエチルメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース類などの天然物とその変性体などがある。乳化型版面洗浄剤における水溶性セルロース誘導体の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.5〜20質量%である。
【0016】
一方、本発明の乳化型版面洗浄剤に含有される一般式(I)で表されるホスホニウム化合物としては、アセトニルトリフェニルホスホニウムクロライド、アリルトリフェニルホスホニウムブロマイド、アリルトリフェニルホスホニウムクロライド、(ブロモメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド、4−(カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド、(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウムブロマイド、(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、(2−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、(クロロメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド、シンナミルトリフェニルホスホニウムブロマイド、(シアノメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド、シクロプロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、(2,4−ジクロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、4−エトキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロマイド、(フォルミルメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド、(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロマイド、メトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロマイド、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド、(N−メチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルホスホニウムヨード、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド、(4−ニトロベンジル)トリフェニルホスホニウムブロマイド、フェナンシルトリフェニルホスホニウムブロマイド、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド、(2−トリメチルシリルエチル)トリフェニルホスホニウムヨード、(3−トリメチルシリル−2−プロペニル)トリフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルプロパジルホスホニウムブロマイド、トリフェニルビニルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。これらのホスホニウム化合物は、例えば、東京化成工業社、北興化学工業社から市販されている。乳化型版面洗浄剤における一般式(I)で表されるホスホニウム化合物の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.01〜2質量%である。ホスホニウム化合物は単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。一般式(I)で表されるホスホニウム化合物を含有させることにより、乳化型版面洗浄剤は、画像部に対して影響を与えない(又劣化させない)ものとなる。
【0017】
本発明の乳化型版面洗浄剤は、好ましくは、イソパラフィン系炭化水素溶剤を10〜30質量%、非イオン界面活性剤を0.1〜10質量%、アルカリ金属ケイ酸塩を0.5〜5質量%、水溶性セルロース誘導体を0.5〜20質量%、ホスホニウム化合物を0.01〜2質量%含有し、好ましくは残部が水である。
【0018】
上記成分(7)水難溶解性微粉末セルロースは、チキソトロピー効果があり、好ましくは平均粒径10〜2000μmの水難溶解性微粉末セルロースである。水難溶解性微粉末セルロースの平均粒径は、より好ましくは20〜1000μmである。平均粒径は、レーザ回折散乱法に基づく測定装置により測定できる。本発明の乳化型版面洗浄剤に該水難溶解性微粉末セルロースを含有させると特に画像面の劣化を抑えることが可能である。市販品としては、旭化成ケミカルズのセオラスTG−101(平均粒径40μm)、セオラスPH−101(平均粒径40μm)、セオラスFD−101(平均粒径40μm)、RETTENMAIER社製のVIVAPUR101(平均粒径50μm)、VIVAPUR102(平均粒径100μm)、VITACEL600粉末(繊維長60μm)、ARBOCEL BE 600・10(繊維長18μm)、ARBOCEL B400(繊維長900μm)、日本製紙ケミカルのKCフロックW−50GK(45μm)、KCフロックW−100GK(37μm)、KCフロックW200G(32μm)、KCフロック300G(28μm)、KCフロックW−400G(24μm)などが挙げられる。乳化型版面洗浄剤における好ましくは平均粒径10〜2000μmの水難溶解性微粉末セルロースの含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。水難溶解性微粉末セルロースは、乳化型版面洗浄剤中で、アルミ版面の汚れを除去する為に、画像を傷付けることなくアルミ表面を物理的にこすって、化学的に取れないしつこい汚れを取り除くという作用を有する。
【0019】
上記成分のほか本発明の乳化型版面洗浄剤の効果を損なわないように、湿潤剤、腐食防止剤、pH調整剤、防腐剤を更に添加することができる。
【0020】
乳化型版面洗浄剤に良好な広がり特性を与え、乾燥を抑えて使用適性を良好にする観点から、1種又はそれ以上の湿潤剤も有用である。湿潤剤として好ましい化合物としては、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。乳化型版面洗浄剤における湿潤剤の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.1〜5質量%である。
【0021】
アルミニウム支持体の腐食を有効に低減させる観点から硝酸の金属塩又はアンモニウム塩も有用である。腐食防止剤として好ましい化合物としては、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸ニッケルなどが挙げられる。乳化型版面洗浄剤における腐食防止剤の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.1〜5質量%である。
【0022】
本発明による乳化型版面洗浄剤は、pHが9〜12が好ましく、この範囲で特に性能を発揮する。そのため、このようなpH範囲になるようにpH調整剤を用いてもよい。pH調整剤として好ましい化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸、亜リン酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、酪酸、マレイン酸、ピコリン酸などが挙げられる。乳化型版面洗浄剤におけるpH調整剤の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.1〜5質量%である。
【0023】
本発明による乳化型版面洗浄剤は、水溶性高分子化合物のカビ、バクテリア、酵母菌等による腐敗を抑制するために防腐剤の添加も有用である。防腐剤として好ましい化合物としては、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、フェノール及びその誘導体、イミダゾール誘導体、ホルマリン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、4級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体などが挙げられる。乳化型版面洗浄剤における防腐剤の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は乳化型版面洗浄剤の全質量の0.1〜5質量%である。
【0024】
本発明の乳化型版面洗浄剤は、残余の成分として水を含有する。乳化型版面洗浄剤における水の含有量は、33〜89質量%、好ましくは55〜75質量%、より好ましくは60〜70質量%である。
【0025】
本発明の乳化型版面洗浄剤は、水相と油相とを混合し、水中油型(O/W型)エマルションを形成させる工程により製造することができる。水相は、水溶性セルロース誘導体、アルカリ金属ケイ酸塩、式(I)で表されるホスホニウム化合物、及び水を混合することにより調製できる。水相には、潤滑剤、腐食防止剤、pH調整剤、防腐剤等を更に含有させてもよい。油相は、イソパラフィン系炭化水素溶剤及び非イオン界面活性剤を混合することにより調製できる。油相には、アニオン界面活性剤を更に含有させてもよい。これらの成分の配合量は、乳化型版面洗浄剤における終濃度が、上記した好ましい範囲となる様にする。
水中油型エマルションの形成は、一般的な乳化方法を使用して実施することができる。例えば、水相に油相をゆっくりと滴下して得た分散液をホモジナイザー等により攪拌することにより乳化することができる。油相の滴下速度は、例えば10〜100g/分とする。攪拌条件は、例えば、回転数は5000〜10000r.p.m、時間は10〜30分間、温度は30〜50度とすることができる。
【0026】
本発明の乳化型版面洗浄剤は、製版時又はその後の保存、印刷中その他、製版から印刷までの全ての段階において使用することができ、平版印刷版に発生した原因に基づく地汚れを除去することが出来る。更に、本発明の乳化型版面洗浄剤は、アルカリ金属塩、一般式(I)の化合物が配合されているため、従来の版面洗浄剤と比較して平版印刷版の非画像部の親水層に発生した傷などのために生じる地汚れを防止する作用や、回復した親水性を維持、強化する働きが極めて強力である。本発明の乳化型版面洗浄剤は、従来の乳化型版面洗浄剤にある欠点を克服したものであり、ネガ又はポジのいずれのPS版から作製された平版印刷版にも有用である。即ち、本発明の乳化型版面洗浄剤は、画像に影響を与えない(又劣化させない)ため、特定の版にのみ適性を有するものではなく、一部の版に対しては画像を傷つけたり着肉性を悪化させたり或いは非画像部の親水性を腐食し破壊することがない。また、本発明の乳化型版面洗浄剤は、水難溶解性微粉末セルロースが配合されているため、従来のインキ洗浄剤では除去しづらい印刷版に堆積した紙粉も容易に洗浄し除去することができる。
【実施例1】
【0027】
次に本発明の乳化型版面洗浄剤を、実施例及び比較例をもって更に具体的に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
<水相の調整>
純水644gに水溶性であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1105、ダイセル化学工業社製)20g、硝酸マグネシウム8g、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド1g、水酸化ナトリウム4g、ケイ酸ソーダ2号20g、グリセリン20g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン20gを溶解させpH11.2になるように調製した。また、微粉末セルロース(セオラスTG−101、平均粒径40μm、旭化成ケミカルズ社製)20gを加えて分散した。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光石油化学社製)240gにポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(ニューコール709、日本乳化剤社製)2g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)1gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザー(製品名T25デジタルULTRA−TURRAX、IKA社製)を通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、回転数7000r.p.mで、時間は30分間、温度は40度である。
【0029】
[実施例2]
<水相の調整>
純水644gに水溶性であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1105、ダイセルファインケム社製)20g、硝酸マグネシウム8g、2−カルボキシエチルホスホニウムブロミド1g、水酸化ナトリウム4g、ケイ酸ソーダ2号20g、グリセリン20g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン20gを溶解させpH11.2になるように調製した。また、微粉末セルロース(KCフロックW−50GK、平均粒径45μm、日本製紙ケミカル社製)20gを加えて分散した。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光興産社製)240gにポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(ニューコール709、日本乳化剤社製)2g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)1gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザーを通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、実施例1と同様とした。
【0030】
[実施例3]
<水相の調整>
純水644gに水溶性であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1105、ダイセルファインケム社製)20g、硝酸マグネシウム8g、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド1g、水酸化ナトリウム4g、ケイ酸カリ2号20g、グリセリン20g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン20gを溶解させpH11.2になるように調製した。また、微粉末セルロース(KCフロックW−50GK、平均粒径50μm、旭化成ケミカルズ社製)20gを加えて分散した。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光興産社製)240gにポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(ニューコール709、日本乳化剤社製)2g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)1gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザーを通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、実施例1と同様とした。
【0031】
[実施例4]
<水相の調整>
純水716gに水溶性であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1105、ダイセル化学工業社製)20g、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド1g、ケイ酸ソーダ2号20gを溶解させた。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光石油化学社製)240gにポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(ニューコール709、日本乳化剤社製)2g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)1gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザーを通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、実施例1と同様とした。
【0032】
[比較例1]
<水相の調整>
純水583.5gに水溶性大豆多糖類(ソヤガム、不二製油社製)55g、硝酸マグネシウム8g、水酸化ナトリウム4g、ケイ酸カリ2号20g、グリセリン20g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン20gを溶解させpH11.2になるように調製した。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光興産社製)240gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(パイオニンA51G、竹本油脂社製)44g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)5.5gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザーを通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、実施例1と同様とした。
【0033】
[比較例2]
<水相の調整>
純水682.5gに水溶性であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1105、ダイセルファインケミカル社製)20g、硝酸マグネシウム8g、85%リン酸6.5g(関東化学社製)、グリセリン20g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン20gを溶解させpH3になるように調製した。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光興産社製)240gにポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(ニューコール709、日本乳化剤社製)2g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)1gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザーを通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、実施例1と同様とした。
【0034】
[比較例3]
<水相の調整>
純水661.5gに水溶性であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル1105、ダイセルファインケム社製)20g、硝酸マグネシウム8g、2−カルボキシエチルホスホニウムブロミド1g、85%リン酸(関東化学社製)6.5g、グリセリン20g、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン20gを溶解させpH3になるように調製した。また、微粉末セルロース(KCフロックW−50GK、平均粒径45μm、旭化成ケミカルズ社製)20gを加えて分散した。
<油相の調整>
イソパラフィン系炭化水素(IPソルベント2028、出光興産社製)240gにポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(ニューコール709、日本乳化剤社製)2g、モノオレイン酸ソルビタン(パイオニンD935、竹本油脂社製)1gを混ぜて油相を調製した。
次にこの油相の中へ15分間かけてゆっくり水相を滴下し分散液を作製しホモジナイザーを通して乳白色の粘調の乳化型版面洗浄剤を作製した。ホモジナイズの条件は、実施例1と同様とした。
【0035】
表1に、実施例1〜4、比較例1〜3の乳化型版面洗浄剤の組成を示す。
【表1】

【0036】
[平版印刷版の製版]
乳化型版面洗浄剤の評価に用いる平版印刷版は、以下の方法にて製版を行った。
新聞印刷用サーマルネガCTP(JTN−1A、岡本化学社製)を、NEC社製Amzi setterにて、解像度1200dpi、外面ドラム回転数220rpmで照射エネルギー60mJ/cmで露光した。露光後、岡本化学社製現像液(DJN)を4倍希釈し、PK−910 II自動現像機(コダック社製)を用いて30℃、12秒で現像、ガム液処理した。この際、網点濃度計iC plate II(グレタグマクベス社製)を用いてFM Staccato25画像(コダック社製)で設定値50%平網が50.5(±0.5)%を再現していることを確認した。得られた平版印刷版は、各テスト前に水拭きしてガム層を除去してからテストを実施した。
【0037】
[評価]
得られた平版印刷版を、次の1〜4のテスト項目に従って処理した。
1.空気酸化汚れ
平版印刷版を、ガム塗布なしの状態で100℃の乾燥機中に3時間保管した。次いで、作製した平版印刷版の版面を、乳化型版面洗浄剤で15分間処理し、水洗して乾燥させた(←洗浄方法を具体的にご記載ください。)。
2.傷汚れ
引掻き試験機(新東科学社製)を用いてダイヤ針4Rに加重100g又は300gで傷をつけ大気中に1日放置した。その後、乳化型版面洗浄剤で平版印刷版の版面に上記1と同様にして洗浄・乾燥した。
3.オイル汚れ
オレイン酸1gをミネラルスピリット10gに溶解し、これを脱脂綿に浸したものを平版印刷版の版面に塗布してバフドライした。その後、乳化型版面洗浄剤で平版印刷版の版面に上記1と同様にして洗浄・乾燥した。
4.画像部安定性
FM Staccato 25の1,25,50,75%画像部に乳化型版面洗浄剤を滴下し5、10、15、30分後に脱脂綿でふき取りセロテープ(登録商標)で滴下部の画像部を剥がした。
【0038】
これらの方法により処理した各平版印刷版を用いて印刷を実施し、印刷物の汚れを目視により確認した。乳化型版面洗浄剤の評価結果を表2に示す。評価基準は以下の通りとした。
(評価基準)
1.空気酸化汚れ
A:全く汚れが発生しない、B:僅かに汚れが発生する、C:明確に汚れが発生する
2.傷汚れ
A:全く汚れが発生しない、B:300gでは汚れが発生するが100gでは発生しない、C:傷を付けると汚れが発生する
3.オイル汚れ
A:全く汚れが発生しない、B:僅かに汚れが発生する、C:明確に汚れが発生する
4.画像部安定性
A:全く画像部を侵さない、B:乳化型版面洗浄剤での処理時間が30分では侵されるが15分までは侵されない、C:10分以内で画像部が侵される、D:5分以内で画像部が侵される
【表2】

【0039】
表2に示されるように、乾燥機中で酸化処理した平版印刷版や傷を付けた平版印刷版を、実施例1〜4の乳化型版面洗浄剤で洗浄した場合、印刷物に地汚れが全く発生しなかったことから、本発明の乳化型版面洗浄剤は、空気酸化による地汚れや、版面に発生した傷などのために生じる地汚れを防止する効果に優れることが確認された。
更に、オイル汚れ処理した平版印刷版を、比較例1〜3の乳化型版面洗浄剤で処理しても印刷物に汚れが発生したのに対し、実施例1〜4の乳化型版面洗浄剤で処理すると、汚れが全く発生しなかった。このことから、本発明の乳化型版面洗浄剤は、オイル汚れを効果的に除去し、不感脂化する作用にも優れていることが判明した。また、実施例1〜4の乳化型版面洗浄剤で平版印刷版を30分間処理しても、画像部に影響を与えなかったことから、本発明の乳化型版面洗浄剤は画像部の安定性を損なうことがないことが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)イソパラフィン系炭化水素溶剤、(2)非イオン界面活性剤、(3)アルカリ金属ケイ酸塩、(4)水溶性セルロース誘導体、(5)水、及び(6)下記一般式(I):
【化1】

(式中、Rは、アセトニル、アリル、ブロモメチル、4−カルボキシブチル、3−ブロモプロピル、3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル、4−クロロベンジル、2−クロロベンジル、クロロメチル、シンナミル、シアノメチル、シクロプロピル、2,4−ジクロロベンジル、2−ジメチルアミノ、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチル、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル、4−エトキシベンジル、エトキシカルボニルメチル、フォルミルメチル、2−ヒドロキシベンジル、メトキシカルボニルメチル、メトキシメチル、N−メチル−N−フェニルアミノ、1−ナフチルメチル、4−ニトロベンジル、フェナシル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−トリメチルシリルエチル、3−トリメチルシリル−2−プロピニル、プロパジル、又はビニルを表し、Xはハロゲンを表す。)
で表されるホスホニウム化合物を少なくとも含有し、水中油型エマルションを形成して成る平版印刷版用の乳化型版面洗浄剤。
【請求項2】
前記イソパラフィン系炭化水素溶剤を10〜30質量%、前記非イオン界面活性剤を0.1〜10質量%、前記アルカリ金属ケイ酸塩を0.5〜5質量%、前記水溶性セルロース誘導体を0.5〜20質量%、前記ホスホニウム化合物を0.01〜2質量%含有する請求項1に記載の乳化型版面洗浄剤。
【請求項3】
更に、平均粒径10〜2000μmの水難溶解性微粉末セルロースを0.5〜10質量%含有する乳化型版面洗浄剤。
【請求項4】
水溶性セルロース誘導体、アルカリ金属ケイ酸塩、水、及び下記一般式(I):
【化2】

(式中、Rは、アセトニル、アリル、ブロモメチル、4−カルボキシブチル、3−ブロモプロピル、3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル、4−クロロベンジル、2−クロロベンジル、クロロメチル、シンナミル、シアノメチル、シクロプロピル、2,4−ジクロロベンジル、2−ジメチルアミノ、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチル、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル、4−エトキシベンジル、エトキシカルボニルメチル、フォルミルメチル、2−ヒドロキシベンジル、メトキシカルボニルメチル、メトキシメチル、N−メチル−N−フェニルアミノ、1−ナフチルメチル、4−ニトロベンジル、フェナシル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−トリメチルシリルエチル、3−トリメチルシリル−2−プロピニル、プロパジル、又はビニルを表し、Xはハロゲンを表す。)
で表されるホスホニウム化合物を含む水相と、
イソパラフィン系炭化水素溶剤及び非イオン界面活性剤を含む油相と
を混合し、水中油型エマルションを形成させる工程を少なくとも含む平版印刷版用の乳化型版面洗浄剤の製造方法。


【公開番号】特開2013−52542(P2013−52542A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190740(P2011−190740)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390026435)岡本化学工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】