説明

平面光源を備えた車両用灯具

【課題】 平面光源を備えた車両用灯具において、光源の分割を不要にし、部品点数を削減し、一つの光源からの光を車両の前後方向に加え側方にも配光する。
【解決手段】 車体1の後部に装着されるリアコンビネーションランプ11において、ハウジング12と透光カバー13との間の灯室14内に、柔軟な帯状発光材料16からなる平面光源15を設置する。帯状発光材料16を長手方向に折り曲げ、平面光源15に車両後方を向く第1発光面18と、車両側方を向く第2発光面19とを互い違いに並設する。一方の発光面からの光が他方の発光面に入射しないように、第1発光面18と第2発光面19のなす角度を鈍角に設定する。帯状発光材料16に、有機発光層をフレキシブルな透明樹脂で封止した有機ELを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟な帯状発光材料からなる平面光源を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具を薄く小型に構成するために、光源に面状発光体を使用する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ハウジングと透光カバーとの間の灯室内に有機EL(エレクトロルミネッセンス)からなる面状発光体を設置し、面状発光体の光を透光カバーに通して車両後方へ出射するリアコンビネーションランプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−133915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用灯具は、光源にガラス封止構造の面状発光体を使用しているため、灯具形状によっては光源を複数に分割する必要があった。例えば、図7に示すような形状の車両用灯具51の場合は、発光面を車体52の後方に向けるために、光源53を3つに分割し、3枚の面状発光体54を段違いに配置する必要があった。
【0005】
このため、面状発光体54を保持するベゼル55、間隔を塞ぐエクステンション56、面状発光体54ごとの電気配線等の部品点数が増える。また、光源53からの光を車体52の側方にも配光しようとすると、後向きの面状発光体54に加え横向きの面状発光体を増設する必要があり、これに伴って部品点数もさらに増加するという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、光源を分割する必要がなく、部品点数を削減できるとともに、一つの光源からの光を車両の前後方向および側方に配光できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は次のような車両用灯具を提供する。
(1)灯具ハウジングと透光カバーとの間の灯室内に、柔軟な帯状発光材料からなる平面光源を設置し、帯状発光材料を長手方向に折り曲げ、平面光源に車両前後方向を向く第1発光面と、車両側方を向く第2発光面とを設けたことを特徴とする車両用灯具。
【0008】
(2)平面光源に第1発光面と第2発光面を互い違いに並設したことを特徴とする車両用灯具。
【0009】
(3)第1発光面と第2発光面のなす角度が鈍角であることを特徴とする車両用灯具。
【0010】
(4)帯状発光材料が有機発光層をフレキシブルな透明樹脂で封止した有機ELであることを特徴とする車両用灯具。
【0011】
(5)第1および第2発光面の少なくとも一つが他の発光面と異なる色の光を発生することを特徴とする車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用灯具は、平面光源に折曲可能な帯状発光材料を用いたので、光源を分割する必要がなく、部品点数を削減できるとともに、一つの光源からの光を車両の前後方向に加え側方にも配光できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1を示す車体後部の斜視図である。
【図2】車体後部のリアコンビネーションランプを示す水平断面図である。
【図3】リアコンビネーションランプの平面光源を示す斜視図である。
【図4】平面光源の帯状発光材料を示す図3のA部拡大図である。
【図5】本発明の実施例2を示す車体前部の斜視図である。
【図6】車体前部のクリアランスランプを示す水平断面図である。
【図7】従来の車両用灯具を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4は、本発明を車体後部のリアコンビネーションランプに具体化した実施例1を示す。図5、図6は、本発明を前照灯下側のクリアランスランプに具体化した実施例2を示す。各実施例において、同一又は類似する部材は図面に同一の符号で示されている。
【実施例1】
【0015】
図1に示すリアコンビネーションランプ11は、車体1の後コーナ部に設置され、平面光源からの光を車両後方(車両前後方向の後側)に加え車両側方にも配光するようになっている。図2に示すように、リアコンビネーションランプ11のハウジング12は車体1の凹所2に取り付けられ、ハウジング12に透光カバー13が装着されている。透光カバー13とハウジング12との間には灯室14が形成され、灯室14内に平面光源15が設置されている。
【0016】
平面光源15は、有機EL製の帯状発光材料16により左右に長く形成され、両端がホルダ17でハウジング12に保持されている。帯状発光材料16は長手方向に数回折り曲げられ、平面光源15に車両後方を向く第1発光面18と、車両側方を向く第2発光面19とが互い違いに並設されている。なお、隣接する発光面からの光が入射しないように、第1および第2発光面18,19のなす角度(θ)は鈍角に設定されている。
【0017】
図3、図4に示すように、有機ELは発光層31に背面電極32、透明電極33、透光基板34を積層して構成されている。透光基板34は、フレキシブルな透明樹脂で形成され、透明樹脂により有機発光層31を封止している。そして、有機発光層31の有機材料を変えることで、あるいは、カラーフィルタを使用することで、帯状発光材料16がバックランプ用の白色光と、テール/ストップランプ用の赤色光と、ターンシグナルランプ用の黄色光とをそれぞれ異なる発光面18,19から発生するようになっている。
【0018】
従って、実施例1のリアコンビネーションランプ11によれば、平面光源15を一枚の帯状発光材料16で形成でき、従来のように光源を分割する必要がなくなり、灯具全体を少数の部品で安価に構成できる。また、帯状発光材料16を車体1の外形に合わせて折り曲げるだけの簡単な方法で、有機ELからの発光を車両後方のみならず車両側方にも配光でき、安全性が向上する。
【実施例2】
【0019】
図5に示す実施例2のクリアランスランプ21は、前照灯3の下側に設置され、平面光源からの光を車両前方(車両前後方向の前側)に加え車両側方にも配光できるようになっている。図6に示すように、クリアランスランプ21は、ハウジング22と透光カバー23との間の灯室24内に平面光源25を装備している。平面光源25は、実施例1と同様、有機EL製の帯状発光材料26により左右に長く形成されている。なお、透光カバー23は車体1の曲面に連続するように湾曲成形されている。
【0020】
帯状発光材料26は長手方向に幾重にも折り曲げられ、平面光源25に車両前方を向く第1発光面28と、車両側方を向く第2発光面29とが互い違いに設けられている。第1および第2発光面28,29は、透光カバー23の曲率に応じた回数、角度、長さで折り曲げられている。従って、実施例2のクリアランスランプ21によれば、車体前部の車両用灯具において、実施例1と同様の作用効果を期待できる。
【0021】
なお、本発明は、上記実施例1,2の車両用灯具に限定されるものではなく、車体前部または後部の標識灯に適用するなど、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 車体
11 リアコンビネーションランプ
21 クリアランスランプ
12,22 ハウジング
13,23 透光カバー
14,24 灯室
15,25 平面光源
16,26 帯状発光体
18,28 第1発光面
19,29 第2発光面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ハウジングと透光カバーとの間の灯室内に、柔軟な帯状発光材料からなる平面光源を設置し、帯状発光材料を長手方向に折り曲げ、平面光源に車両前後方向を向く第1発光面と、車両側方を向く第2発光面とを設けたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記平面光源に第1発光面と第2発光面を互い違いに並設した請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1発光面と第2発光面のなす角度が鈍角である請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記帯状発光材料が有機発光層をフレキシブルな透明樹脂で封止した有機ELである請求項1、2または3記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1および第2発光面の少なくとも一つが他の発光面と異なる色の光を発生する請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−45523(P2013−45523A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180786(P2011−180786)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】