説明

平面状セルおよびヒートシンクを有する電気エネルギー貯蔵装置

向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、これらの貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、セルをクランプしてスタックにするためのクランピング手段とを備えた電気エネルギー貯蔵装置であって、セルが、摩擦接続によって、スペーサ要素の間の個々の電流導体部分でクランピング手段を用いてクランプされており、スペーサ要素の少なくともいくつかがヒートシンクとして形成されている電気エネルギー貯蔵装置。ヒートシンクは、スタックから横方向に突出しているフィンを有している。別の選択肢としては、ヒートシンクは、軟らかい熱伝導材料によって電流導体に熱接続されている。さらに別の選択肢では、隣接する電流導体の間に、2つのヒートシンクが配置されている。最後の選択肢では、スペーサ要素は、重量を減少させるためのリリーフ孔を備えている。これらの選択肢を組み合わせることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状セルおよびヒートシンクを備えた電気エネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵セルを平らな長方形の貯蔵要素の形態で設計することは知られている。このような電気エネルギー貯蔵セルは、例えば、パウチまたはコーヒーバッグセルと呼ばれている類の、電気エネルギーのための平らな長方形の貯蔵セルの形態のセル(バッテリセル、蓄電池セル、コンデンサ、...)であり、その電気化学的活性部分は、ホイル様外装によって取り囲まれており、このホイル様外装を通って、(電流)導体と呼ばれているシートメタルの形態の電気接続部(極)が案内されている。さらに、ブロックを形成するためにクランプユニットによって結合される、複数のこのような電気エネルギー貯蔵セルから、電気エネルギー貯蔵装置を構成することも知られている。セルの直列または並列電気接続は、隣接するセルの対応する電流導体間の電気接続を確立する導電性接触要素によってもたらされる。通常、セルは、フレーム内に緩く収納して配置されるか、あるいはスタック(「セルブロック」とも呼ばれる)の中にクランプ等によって一体に押し付けて配置され、かつ、適切な手段を使用して、セルの小幅面の上で露出している極が接続される。
【0003】
セルの電気化学的活性部分において発生する熱は、通常、強制対流または自然対流によって排出される。しかし、電力損失が大きい場合、発生する熱が過剰になり、制御が困難になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電気エネルギー貯蔵セルから構成される電気エネルギー貯蔵装置内における電気エネルギー貯蔵セルの熱除去を改善することにある。本発明のさらなる課題は、極力少数の必要な部材を有する電気エネルギー貯蔵装置を提供することにある。本発明のさらなる課題は、セルアセンブリの重量または電気エネルギー貯蔵装置の重量を軽くすることにある。さらなる課題は、多数の平面状貯蔵セルが空間節約方式で、かつ、設置が容易な方法で安定したブロックの中に配置され、また、これらの多数の平面状貯蔵セルが安全に固定され、かつ、高い信頼性で相互接続され、また、効果的に、かつ、高い信頼性でセルおよび導体の廃熱が除去され、その一方でアセンブリの軽い重量が維持される電気エネルギー貯蔵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明のさらなる有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置は、向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、これらの貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備えており、セルは、摩擦接続によって、スペーサ要素の間の個々の電流導体部分でクランピング手段を用いてクランプされ、スペーサ要素の少なくともいくつかはヒートシンクとして設計され、ヒートシンクは、スタックから横方向に突出しているフィンを備えている。
【0007】
セルの電流導体はそれぞれ、摩擦接続によってスペーサ要素の間でクランピング手段を用いてクランプされるため、隣接するセル間の所定の距離が維持され、この所定の距離は、それを調整することができるよう、セルの電気化学的活性部分にはクランピング力は加えられていない。これは、機能的信頼性およびセルの耐久性の点で利点を有しており、その上、セルの平らな面は、したがって例えば低温スタートの際、熱伝達媒体に熱を放出することができ、あるいは場合によっては、熱伝達媒体から熱を受容することもできる。さらに、導体を介したヒートシンクによって周囲と熱を交換することも可能である。この機能は、外側に向かって導かれているフィンによって効果的にサポートされ、フィンは、冷却媒体の、目標を定めた誘導または旋回を可能にすることもできる。
【0008】
第2の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置は、向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、これらの貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備えており、セルは、摩擦接続によってスペーサ要素の間の個々の電流導体部分でクランピング手段によってクランプされ、スペーサ要素の少なくともいくつかはヒートシンクとして設計され、ヒートシンクは、軟らかい熱伝導材料によって電流導体に熱接続されている。この態様によれば、好ましいことにはヒートシンクはフィンを備えている。
【0009】
効果は、第1の態様に略対応している。さらに、とりわけ摩擦接続または形状接続の構造のゆえに電流導体とヒートシンクとの間に隙間が存在している場合、軟らかい熱伝導材料によってそれらの間の熱伝達を改善することができる。
【0010】
第3の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置は、向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状蓄電セルと、これらの貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備えており、セルは、摩擦接続によってスペーサ要素の間の個々の電流導体部分でクランピング手段によってクランプされ、スペーサ要素の少なくともいくつかはヒートシンクとして設計され、2つのヒートシンクは、隣接する電流導体の間に配置されている。この態様によれば、好ましいことにはヒートシンクはフィンを備えている。
【0011】
効果は、第1の態様に略対応している。さらに、導体間に配置されるヒートシンクを2つの部分に分割することによって設置が容易になっている。この特徴は、ヒートシンクが導体の上面および下面にとりわけ対称に配置されていることを意味している。したがって、例えば熱伝導性接着剤等を使用して、対称に配置されたヒートシンクを有する貯蔵セルを前もって取り付けることができる。
【0012】
当該態様では、ヒートシンク上のフィンは、電流導体から遠ざかる方向に、好ましくは積層方向に非対称にオフセットされることが好ましい。この方法によれば、周囲または冷却媒体への伝熱の位置が、電流導体への伝熱の位置から遠ざけられる。2つのヒートシンクの間に中間片が追加配置される場合、2つのヒートシンクのフィンの間に十分な間隔を維持することができる。他方、絶縁中間片を使用する場合、ヒートシンクを介して、隣接する電流導体の望ましくない接触を抑制することができ、あるいは導電性中間片を介してこのような接触を確立することができる。
【0013】
第4の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置は、向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、これらの貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備えており、セルは、摩擦接続によってスペーサ要素の間の個々の電流導体部分でクランピング手段によってクランプされ、スペーサ要素の少なくともいくつかはヒートシンクとして設計され、スペーサ要素は、重量を軽くするためのリリーフ穴を備えている。この態様によれば、好ましいことにはヒートシンクはフィンを備えている。
【0014】
効果は、第1の態様に略対応している。さらに、リリーフ穴により、電気エネルギー貯蔵装置の総重量を軽くすることができる。
【0015】
ヒートシンクが、クランピング手段によって電流導体に圧力を加える圧力面だけではなく、その圧力面に対して積層方向に凹んだ1つまたは複数の自由面を備えている場合、すべての態様において、さらなる重量軽減が可能である。このような自由面は付加的な熱伝達表面を形成する。また、これらの自由面は、スタックの内部と周囲の間の流体連絡を可能にすることができ、それにより熱輸送が改善される。さらに、第4の態様のリリーフ穴がこれらの自由面の中に配置される場合、これらのリリーフ穴は付加的な熱伝達表面を形成する。
【0016】
スペーサ要素は、任意選択で、積層方向において、フィードスルーのため、または、電気的絶縁のために設置され得る。スタック構造の機能、すなわち貯蔵セルのクランプおよび保持、距離の維持、冷却、ならびに相互接続は、したがって1つの部材、および同じ部材によって実施することができ、また、同じ複数の部材によって実現可能である。
【0017】
特に、ヒートシンクは、導電性材料から製造することができ、例えば導電性セラミック材料、導電性複合材料、金属導体材料等から製造することができる。
【0018】
本発明は、リチウムイオン蓄電池にとりわけ有利に適用することができる。
【0019】
本発明の上記および他の特徴、課題および利点は、添付の図面を参照して作成された以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施例として、電気エネルギー貯蔵セルおよび2つのヒートシンクを備えたセルアセンブリの斜視図である。
【図2】図1のセルアセンブリの分解斜視図である。
【図3】図1の「III」の部分の拡大図である。
【図4】図3の矢印「IV」の方向における「III」の部分の、さらなる拡大図である。
【図5】図3の線「V」上の部分断面図中の図4のアセンブリのより詳細な図である。
【図6】本発明の第2の実施例として、2つの電気エネルギー貯蔵セルならびにヒートシンクおよび絶縁体を備えたセルアセンブリの斜視図である。
【図7】矢印「VII」の方向における図6のセルアセンブリの図である。
【図8】本発明の第3の実施例のヒートシンクを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図中の描写は概略的であり、また、本発明を理解するために重要な特徴を再現することに限定されていることに留意されたい。また、図に示されている寸法および大きさの比率は、単に描写を明確にすることを意図したものにすぎず、本発明を制限する意味で解釈してはならないことに留意されたい。
【0022】
以下、本発明の第1の実施例について、図1ないし図5に基づいて説明する。このとき、図1は、本発明の第1の実施例として、電気エネルギー貯蔵セルおよび2つのヒートシンクを備えたセルアセンブリを斜視図で示したものである。図2は、図1のセルアセンブリの分解斜視図であり、図3は、図1の「III」の部分の拡大図であり、図4は、図3の矢印「IV」の方向における「III」の部分の他の拡大図であり、また、図5は、図3の線「V」上の部分断面図中の図4のアセンブリのより詳細な図である。
【0023】
図1は、電気エネルギー貯蔵セル2および4つのヒートシンク4を備えたアセンブリの斜視図である。
【0024】
図1によれば、ヒートシンク4は、電気エネルギー貯蔵セルの両横に対で配置されている。ヒートシンク4の各々は、中実な部分6と、貯蔵セル2の中実な部分6から離れる方向、つまり外側に向かって突出している3つのフィン8とを備えている。
【0025】
図2は、より明確にするために、図1のアセンブリの分解図を示したものである。
【0026】
図2によれば、貯蔵セル2は、向かい合う平面状電流導体を有する、いわゆる平面状セルまたはパウチセルとして設計されている。より正確には、個々の貯蔵セル2は、活性部分12、シーリングシーム(縁領域)13および2つの電流導体16を備えている。電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための電気化学反応は、活性部分12で生じる。原理的には、任意のタイプの電気化学反応を利用して貯蔵セルを構成することができるが、当該説明は、特に、リチウムイオン蓄電池に関している。リチウムイオン蓄電池には、機械的安定性および熱的経済性ならびに経済的有意性に関する必要から、本発明をとりわけ良好に適用することができる。活性部分12は、2つのホイルによってサンドイッチ様に囲まれており、これらのホイルの突出縁が気体および液体を密閉するように溶接され、いわゆるシーリングシーム14が形成される。正または負の電流導体(セル極)14は、向かい合う貯蔵セル2の2つの小幅面から突出している。
【0027】
ヒートシンク4の中実な部分6は圧力面20を備えている。2つのヒートシンク4のこれらの圧力面20は互いに対向しており、貯蔵セル2の電流導体16のうちの一方を取り囲んでいる。この事実は、図1の導体領域「III」の拡大図である図3、および図3の矢印「IV」の方向である、異なる視点から見たこの領域のさらなる拡大図である図4に、より明確に示されている。
【0028】
図2に戻ると、3つの穴18 (以下、「極穴」18と呼ぶ)が導体16の中に配置されている。これらの極穴18は、ヒートシンク4の中実な部分6の貫通孔10と整列している。セル2の導体16をヒートシンク4の圧力面20の間に堅固にクランプするために使用されるピンまたはタイロッド(詳細には示されていない)が、穴10、18を通って延在している。ハウジング等の部品など、クランピング接続の対応するスラスト軸受も、図には同じく詳細には示されていない。
【0029】
ヒートシンク4によって、フィン8を介した冷却の改善が実現する。冷却は、フィン8に沿った、空気、水または油などの冷却流体の流れによってさらに改善され得る。このとき、ヒートシンク上またはヒートシンクの部品上のフィンは、冷却流体を案内する、あるいは冷却流体を目標を定めて旋回させるために用いられる。ヒートシンク4の中実な部分6は、貯蔵セル2の導体16と接触している。したがって良好な熱伝達が生じ、セル2の内部からヒートシンク4へ熱が極めて効果的に放出される。
【0030】
また、ヒートシンク4を使用して導体16がクランプされ、したがって貯蔵セル2が所定の位置に保持される。ヒートシンク4は、さらに、スペーサとして使用される。すなわち、ヒートシンク4は、セル2と、場合によってはハウジング等との間の所定の距離を保証する。これによりセル2の活性部分12に対する機械的な作用が防止され、このような機械的な作用に起因するセルの内部の電気化学プロセスの妨害が効果的に回避される。同様に、冷却媒体がセル2の周囲全体を流れるようにすることができ、それにより付加的な冷却が保証される。
【0031】
図1ないし図4によるアセンブリのいくつかは、連結する、もしくは積層することができる。したがって、1つのヒートシンク4の後に、さらなるヒートシンク4、さらなるセル2、さらなるヒートシンク4等が続いている。図4は、このような連続を点線で示したものである。フィン8は、導体16に背向する側に向かって片側にのみ配置されていることに留意されたい。図に示されている例では、第1のフィン8は、圧力面20からオフセットされており、一方、最後のフィン8は、圧力面20に向かう合う面22と整列している。複数の積層されたセルアセンブリの場合、2つのフィン8が直接重なり合うのを防止するために、連続する2つの面22の間に中間体24が配置されている。
【0032】
実践においてとりわけ重要である、複数の貯蔵セル2の直列接続を、導体16の極の位置を交互にし、それらを相互に接続することによって、とりわけ容易に実施することができる。しかし、適切に配置することによって、複数のセル2の並列接続、または複数のセル2の並列接続と直列接続との組合せを実施することも可能である。
【0033】
ヒートシンク4は、金属、セラミック材料、複合材料等の容易に熱を伝達する材料でできている。ヒートシンク4の材料は、いくつかの代替例では、導電特性に関してより詳細に定義することができる。
【0034】
また、ヒートシンク4は同時に、具体的な代替例に基づいて以下で説明するように、電気接触要素として使用することも、あるいは絶縁体として使用することも可能であり、したがって複数のセルを互いに電気的に相互接続するために、また、電力使用機器または電源との電気接触をもたらすために単純な方法で使用される。
【0035】
第1の具体的な代替例では、ヒートシンク4は、容易に電気を伝達する材料から製造される。したがってヒートシンク4を介して、セル2の対応する電流導体16との直接的な電気接続を確立することができる。
【0036】
第2の具体的な代替例では、ヒートシンク4は電気絶縁材料から製造される。この場合、電気接続は異なる方法で確立され、例えば配線またはホイル等を固定することによって確立されるが、電位を帯びた電流導体16の信頼性の高い電気絶縁が得られる。
【0037】
これらの2つの代替例は、互いに組み合わせることが可能である。図5は図4のアセンブリを示したもので、導体16および2つのヒートシンクの横方向の外部領域は、ヒートシンク4の中実な部分6の貫通孔10を通って延在している平面で切断されている(図3の矢印「V」を参照されたい)。具体的には、異なる材料でできている2つのヒートシンク4、4*が使用されているアセンブリが示されている。図面の下側のヒートシンク4は電気絶縁材料でできており、一方、上側のヒートシンク4*は導電性材料でできている。言い換えると、導体16の一方の側(図面の下側)は、より下方に位置している部材から、絶縁ヒートシンク4によって、電気的に分離され、一方、導体16のもう一方の側(図面の上側)は、導電性ヒートシンク4によって、より上に位置している部材に電気的に接続され得る。
【0038】
図面では見ることができないセル2の左側において、ヒートシンク4、4*の配置が逆に選択されると、つまり絶縁ヒートシンク4が上に位置し、かつ、導電ヒートシンク4*が下に位置するように選択されると、例えば2等分した導電性ハウジングを介して、正極の電位をセル2の一方の平らな面でタップすることができ、また、負極の電位をセル2のもう一方の平らな面でタップすることができる。この方法によれば、2つの絶縁ヒートシンク4または2つの導電ヒートシンク4*のいずれかを、隣接するセル2の導体16の間で交互に配置することによって、複数のセル2の直列接続も容易に実施することができる。この場合、中間体24または(24*)は、当然、それに応じて絶縁体または導電体として設計されることになる。
【0039】
また、図5には、導体16が、シーリングシームを形成している2つのカバーホイル26の間の縁領域14中を、セル2の活性部分に接続されているセル2の内部から突出していることが具体的に示されている。
【0040】
図5には、さらに、図に示されている2つのヒートシンク4の整列している貫通孔10、およびセル2の極穴18を通って延在しているピン28が示されている。このようなピン18は、付属する貫通孔10を個々に備えた合計6個の極穴18の各々に設けられていることに留意されたい。ピン18は、タイロッドとしての役割、あるいはクランピング要素としての役割を果たしており、このピン18により、セル2の導体18がヒートシンク4の圧力面20の間に剛直にクランプされる。ハウジング等の部品などのクランピング接続の対応するスラスト軸受は、同じく図には詳細には示されていないが、必然的に設けられるものである。
【0041】
さらに、ピン18の外径は、貫通孔10の直径および極穴18の直径より小さく、それにより環状エアギャップ30が得られることに留意されたい。別の選択肢または付加的に、絶縁コーティングまたは絶縁スリーブによってピン18を取り囲むことも可能である。
【0042】
第3の具体的な代替例では、ヒートシンク4は導電性が乏しい材料から製造される。この場合、電気接続は異なる方法で確立される。しかし、追加手段によって電流導体16の信頼性の高い電気絶縁を保証しなければならず、例えば絶縁中間体24を使用することができる。この場合、ヒートシンク4の導電性は問題ではなく、むしろ電気特性を考慮することなく熱伝導特性を最適化することができる。
【0043】
図6および図7は、本発明の第2の実施例として、2つの電気エネルギー貯蔵セル2および複数のヒートシンク4ならびにスペーサ32のアセンブリを示したものである。このとき、図6は全体斜視図を示し、また、図7は、図6の矢印「VII」の方向におけるアセンブリの縁側の平面図を示している。貯蔵セル2の構成は、第1の実施例に関連して説明した構成と同じである。
【0044】
図6および図7によれば、2つの貯蔵セル2は、積層されたアセンブリの中に配置されている。このアセンブリは直列接続用として選択されており、したがって一方のセル2の正極(導体)は、もう一方のセルの負極と向かい合っている。セル2の一方の側面(図7の右側)の電流導体は、ヒートシンク4'によって互いに離間しており、また、セル2のもう一方側面(図7の左側)の電流導体は、スペーサ32によって互いに離間している。いずれの場合にもヒートシンク4'には積層方向においてスペーサ32が続いており、また、スペーサ32にはヒートシンク4'が続いている。
【0045】
当該実施例のヒートシンク4'は導電性材料から製造されており、一方、スペーサ32は電気絶縁材料から製造されている。したがって上で説明したパターンに従って、複数の貯蔵セル2のより長い列での直列接続が実現する。
【0046】
当該実施例の場合、隣接する貯蔵セル2の電流導体の間には、それぞれヒートシンク4'またはスペーサ32が1つしか配置されていない。第1の実施例の場合と同様、中間片24を省略することができる。つまり、所定の数の貯蔵セル2を有するアセンブリの場合、第1の実施例と比較して部材数が少なくなり、したがってそれに応じて取り付けが容易になる。第1の実施例とは逆に、フィン8は、積層方向に関して対称的に、ヒートシンク4'に形成されている。
【0047】
当該実施例の一変型例では、ヒートシンク4'は電気絶縁材料から製造され、一方、スペーサ32は導電性材料から製造される。
【0048】
当該実施例または当該一変型例のさらなる変型例では、ヒートシンク4'は、導電性を考慮することなく、熱伝導に関して最適化された材料から製造される。この場合、ヒートシンク4'による電気接続または電気絶縁は、場合によっては他の手段によって実現される。
【0049】
当該実施例の最後の変型例では、スペーサ32もフィンを備えており、したがって同じくヒートシンクとして使用される。
【0050】
図8は、本発明の第3の実施例として、ヒートシンク4"を斜視図で示したものである。
【0051】
当該実施例のヒートシンク4"は、2つの点に関して、第2の実施例のヒートシンク4'とは異なっている。第1に、ヒートシンク4"の厚さが、貫通孔10を直接取り囲んでいる領域を除くすべての領域で減少している。これは、貫通孔10のすぐ周囲の、ピンも貫通する領域に、圧力面20が限定されることを意味している。自由面34は、クランピング接続によって、圧力を印加せずに、残りの領域に形成される。自由面34には、貫通孔10に対して平行に延在している空の孔またはリリーフ穴36は形成されている。リリーフ穴34は、連続的、または、いずれか一方もしくは両方の側に、止まり穴として形成することができる。
【0052】
これらの自由面34ならびにリリーフ穴36は、ヒートシンク4"の重量を著しく減少させ、かつ、冷却媒体への熱伝達面を拡大する。また、これらの自由面34により、スタックまたは電気エネルギー貯蔵装置の中に配置されている貯蔵セル間の領域(詳細には示されていない)と、当該スタックの周囲との間で冷却媒体を交換することができ、したがって熱輸送がさらに改善される。
【0053】
以上、本発明について、重要な特徴に関して、具体的な実施例を参照して説明したが、本発明は当該実施例に限定されず、特許請求の範囲によって規定された程度および範囲内で修正を加えることができ、また、拡張することができることを理解されたい。
【0054】
実施例で図示し、かつ、説明したすべてのヒートシンクおよびスペーサは、セルブロックをクランプし、セルブロックを構成するために単独で使用されるか、あるいは対応する凹所内部のフレーム様部材(詳細には示されていない)の中に受容され得る。その場合、このようなフレーム要素は、外側に向かう幾何学的に閉じられたブロックを形成し、構造の安定化に寄与する。また、このようなフレームは、一方の側にのみ、ヒートシンクを受容するための凹部を有するが、もう一方の側では、当該フレーム自身が、第2の実施例におけるアセンブリと同様、スペーサとして用いられる。
【0055】
すべての実施例は、ヒートシンク中に導入される特別な接触要素を介して、導体16間、もしくは導体16との間で電気接続が行われるように変更を加えることができる。このとき、これらの特別な接触要素は、例えばピン28を補足的に取り囲むスリーブであってもよい。
【0056】
導体とヒートシンクとの間の熱伝達は、熱伝導性鋳造コンパウンド、接着剤、ペーストまたは弾性熱伝導性ホイルによって改善することができる。この方法によれば、導体とヒートシンクの間の、摩擦接続もしくは形状接続によって生じ得る隙間を埋めることができる。
【0057】
実施例におけるフィン6の数は3つに限定されない。所望の冷却作用および距離に応じて、もっと少ない、あるいはもっと多いフィンを設けることも可能である。特に、第1の実施例のアセンブリが複数積層される場合、例えば2つのフィンのみを有する、より薄肉のヒートシンクを用いることが有意義であり得る。なぜなら、図に示されているような、3つのフィン8を備えたヒートシンク4は、隣接する貯蔵セル2間の距離を比較的大きくすることになるからである。
【0058】
セル2を、セルブロック内において半径方向に心出しするため、あるいはスペーサ要素に関して心出しするための心出し装置を設けても良い。このような心出し装置は、スペーサ要素および導体内の、例えば通過ピンおよび通過孔、または他の手段によって実現可能である。
【0059】
さらなる一変型例では、2つのみ、または4つ以上のタイロッドが両側に使用される。
【0060】
最後の変型例では、タイロッドの代わりに、セルブロックをクランプするための引張りストラップが使用される。
【0061】
実施例では、それぞれ、ヒートシンクまたはスペーサ、または電流導体間に配置される複数のヒートシンクおよび中間片は、本発明の意味の範囲内ではスペーサ要素として理解されたい。
【0062】
実施例および変型例の特徴および説明は、明白または明確に除外されていない限りは、当然、他の実施例および変型例にそれぞれ適用することができる。
【0063】
上記の参照符号リストは、明細書の不可欠な構成要素であることを明確に指摘しておきたい。
【符号の説明】
【0064】
2 貯蔵セル
4、4*、4'、4" ヒートシンク
6 中実な部分
8 フィン
10 貫通孔
12 貯蔵セルの活性部分
14 貯蔵セルのシーリングシーム
16 貯蔵セルの電流導体((+)および(-))
18 貯蔵セルのシーリングシーム中の極穴
20 圧力面
22 反対側の面
24 中間片
26 貯蔵セルのカバーホイル
28 ピンもしくはタイロッド
30 隙間
32 スペーサ
34 ヒートシンク(4")の自由面
36 ヒートシンク(4")のリリーフ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵装置であって、
向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、前記貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、前記セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備え、セルが、摩擦接続によって、スペーサ要素の間の個々の電流導体部分で、前記クランピング手段によってクランプされており、
前記スペーサ要素の少なくともいくつかがヒートシンクとして形成されており、前記ヒートシンクが、前記スタックから横方向に突出しているフィンを備える電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
電気エネルギー貯蔵装置であって、
向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、前記貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、前記セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備え、セルが、摩擦接続によって、スペーサ要素の間の個々の電流導体部分で、前記クランピング手段によってクランプされており、
前記スペーサ要素の少なくともいくつかがヒートシンクとして形成されており、前記ヒートシンクが、軟らかい熱伝導材料によって、前記電流導体に熱接続されている電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクがフィンを備えることを特徴とする請求項2に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
電気エネルギー貯蔵装置であって、
向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、前記貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、前記セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備え、セルが、摩擦接続によって、スペーサ要素の間の個々の電流導体部分で前記クランピング手段によってクランプされており、
前記スペーサ要素の少なくともいくつかがヒートシンクとして形成されており、隣接する電流導体の間に、2つのヒートシンクが配置されている電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
個々のヒートシンクがフィンを備えることを特徴とする請求項4に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
前記ヒートシンク上の前記フィンが積層方向において、前記電流導体から非対称に遠ざかってオフセットされていることを特徴とする請求項5に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
前記2つのヒートシンクの間に中間片が配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
電気エネルギー貯蔵装置であって、
向かい合う平面状電流導体を有する、電気エネルギーを貯蔵、および、放出するための複数の平面状貯蔵セルと、前記貯蔵セル間の所定の距離を維持するための複数のスペーサ要素と、前記セルをクランプしてスタックを形成するためのクランピング手段とを備え、セルが、摩擦接続によって、スペーサ要素の間の個々の電流導体部分で前記クランピング手段によってクランプされており、
前記スペーサ要素の少なくともいくつかがヒートシンクとして形成されており、
前記スペーサ要素が、重量を減少させるためのリリーフ穴を備える電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
前記ヒートシンクがフィンを備えることを特徴とする請求項8に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
前記ヒートシンクが、前記クランピング手段によって前記電流導体に圧力を加える圧力面を備えるとともに、前記圧力面に対して積層方向において凹んだ、1つまたは複数の自由面を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項11】
前記クランピング手段が、前記電流導体およびスペーサ要素中の穴を貫通して延在する複数のタイロッド、好ましくは4つまたは6つのタイロッドを備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項12】
前記タイロッドが電気絶縁材料によって取り囲まれ、あるいは連続的な絶縁スリーブによって取り囲まれていることを特徴とする請求項11に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項13】
前記スペーサ要素のいくつかは、フィードスルーのために、積層方向において設置されており、他のスペーサ要素は、電気絶縁のために、積層方向において設置されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
フィードスルーのために設置された前記スペーサ要素が、導電性材料から製造されていることを特徴とする請求項13に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
フィードスルーのために設置された前記スペーサ要素が、導電性材料から製造された接触要素を有しており、前記接触要素は、個々のスペーサ要素内に受容されていることを特徴とする請求項13に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項16】
前記接触要素はスリーブであり、前記クランピング手段のタイロッドが前記スリーブを貫通して延在することを特徴とする請求項15に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
電気絶縁のために設置された前記スペーサ要素が、電気絶縁材料、好ましくはガラスまたはセラミック材料から製造されていることを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項18】
前記ヒートシンクが、金属、セラミック材料または複合材料などの容易に熱を伝達する材料から製造されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項19】
前記ヒートシンクがフィードスルーのために設置されており、特に伝導性セラミック材料、伝導性複合材料、金属導体材料などの伝導性材料から製造されていることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
前記スペーサ要素がフレームの中に受容されていることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項21】
前記スタックが、好ましくはフレーム様の2つの伝導性圧力端片であって、前記クランピング手段によって前記スタックにクランプされている伝導性圧力端片によって境界が定められていることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項22】
前記圧力端片がそれぞれ最初または最後のセルの電流導体に電気接続されていることを特徴とする請求項21に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項23】
前記貯蔵セルが、前記電流導体の極位置が交互となるように前記スタック内に配置されており、隣接する貯蔵セルの前記電流導体が、前記スタックの一方の側面およびもう一方の側面で交互に、互いに接続されることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項24】
前記貯蔵セルが、その内部で電気化学反応、特にリチウムイオンが関与する電気化学反応が生じる蓄電池であることを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の電気エネルギー貯蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−523652(P2012−523652A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503881(P2012−503881)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001261
【国際公開番号】WO2010/115490
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511173550)リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー (85)
【Fターム(参考)】