幼児用便座および幼児用便器
【課題】 家庭内トイレで幼児用補助便座として使用でき、野外での使用時には携帯用便器として使用できる幼児用便座および幼児用便器を提供することを目的とする。
【解決手段】 幼児用便座(A)は、合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなり、囲壁(B)は、凹入部(6)に挿入される端部(7)を有する囲壁部材(B1、B2、B3、B4)からなり、使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の端部(7)が挿入されることにより、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の上に幼児用便座(A)が載置された形状に組み立てられ、折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされるようにする。
【解決手段】 幼児用便座(A)は、合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなり、囲壁(B)は、凹入部(6)に挿入される端部(7)を有する囲壁部材(B1、B2、B3、B4)からなり、使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の端部(7)が挿入されることにより、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の上に幼児用便座(A)が載置された形状に組み立てられ、折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器上に載置して使用するとともに、屋外に携帯して使用する幼児用便座および幼児用便器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内の洋式トイレでは、便座付きの便器が利用されているが、通常の便座は大人が使用することを前提として設計されているため、幼児が使用するには大きすぎて使いづらい。そのため、幼児用補助便座として、大人用便座に取り付けて使用されるものが市販されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の携帯用便器として、折り畳み可能なダンボール紙製のものが知られている。これらの携帯用便器は、携帯時には小さく折り畳まれている。野外での使用時には、箱状に組み立てることにより、便器本体が形成される。そして、組み立てた便器本体内にビニール袋やポリ袋等の遮水性の収容袋を入れ、さらに、この収容袋の内部に、給水するとゲル化する給水パックを入れて使用する。そして、用済み後に収容袋を密封して廃棄するようにしていた。
【0004】
しかしながら、このような携帯用便器は、ダンボール紙製であるため、機械的強度が不足していた。すなわち、携帯用便器に人体の荷重を掛けると、携帯用便器が変形し、座屈した。そのため、携帯用便器に大きな体重を掛けないようにして使用しなければならなかった。
【0005】
そこで、便器に体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する携帯用合成樹脂製便器が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平07−231861号公報
【特許文献2】特許3371241号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来から幼児用の補助便座が市販されているが、それらは家庭内の洋式トイレ等で大人用の便座に取り付けて用いるものであり、幼児用補助便座を携帯して野外で使用したり、災害時に臨時の幼児用トイレとして使用したりすることは考えられていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、家庭内の洋式トイレで幼児用補助便座として使用でき、家庭内トイレでの保管時や外出の際の携帯時には便座を小さな状態とすることができ、さらに、野外での使用時には、体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する携帯用便器として使用できる幼児用便座および幼児用便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の幼児用便座は、略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなる幼児用便座(A)であって、
4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)のそれぞれの下面には、凹入部(6)が形成され、
使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて略馬蹄形の幼児用便座(A)が組み立てられ、折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされ、大人用の便座に載置して使用するとともに、4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4))が挿入されることにより、幼児用便座(A)付きの便器として使用可能に構成するようにしている。
【0009】
ここで、略馬蹄形とは、長円等の環状形状を基本とし、環状形状の一部分が切れて分離している形状をいう。略馬蹄形は洋式便器の便座として一般的に用いられている便座形状であり、文字通りの馬蹄形とともに、例えば、U字形状、さらには楕円形状や卵型形状の一端を切り欠いた形状等も含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の幼児用便座によれば、折り畳み状態のときには、4つの便座部材は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積となるので、家庭内トイレでの保管時には、小さな状態にして保管することができる。さらに、外出先トイレへの携帯時には、便座のみを小さな状態で携帯することができる。そして、便座は4つの便座部材を連結するヒンジ部を有するので、折り畳み状態から瞬時に組み立てることができる。
また、野外への携帯時には、便座を小さな状態で携帯するとともに囲壁を携帯する。そして、野外での使用時には、囲壁部材の端部が、4つの便座部材の凹入部に挿入されることにより、体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する幼児用便器(おまる)として使用できる。
【0011】
また、本発明の幼児用便座では、便座(A)は、第一板状体(A1)と、第二板状体(A2)と、第三板状体(A3)と、第四板状体(A4)とからなり、第一板状体(A1)と第二板状体(A2)とは第一ヒンジ部(4a)で連結され、第二板状体(A2)と第三板状体(A3)とは第二ヒンジ部(4b)で連結され、第三板状体(A3)と第四板状体(A4)とは第三ヒンジ部(4c)で連結され、第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸は、同一の方向であり、かつ、第二ヒンジ部(4b)の回転軸は、第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸と垂直であるようにしてもよい。
この発明によれば、第一ヒンジ部及び第三ヒンジ部の回転軸は、同一の方向であり、かつ、第二ヒンジ部の回転軸は、第一ヒンジ部及び第三ヒンジ部の回転軸と垂直であるので、平面視で便座の面積の1/4の状態で保管したり、携帯したりすることができる。
【0012】
また、本発明の幼児用便座では、第一ヒンジ部(4a)、第二ヒンジ部(4b)及び第三ヒンジ部(4c)は、使用状態で幼児用便座(A)の下面より突出するように形成され、幼児用便座(A)を大人用の便座に載置したときに3つのヒンジ部(4a、4b、4c)の突出部分が大人用の便座の中央に形成されている開口の周壁に当接することにより、幼児用便座(A)の載置される位置が規制されるようにしてもよい。
【0013】
この発明によれば、大人用便座に載置する際に、第一ヒンジ部、第二ヒンジ部及び第三ヒンジ部の突出部分を大人用便座の開口に挿入することにより、幼児用便座の載置する位置が制限され、幼児用便座を大人用便座上の適切な位置に載置できる。
【0014】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の幼児用便器は、幼児用便座(A)および囲壁(B)からなる幼児用便器であって、幼児用便座(A)は、略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなり、
囲壁(B)は、凹入部(6)に挿入される端部(7)を有する囲壁部材(B1、B2、B3、B4)からなり、使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の端部(7)が挿入されることにより、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の上に幼児用便座(A)が載置された形状に組み立てられ、
折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされるようにしている。
【0015】
本発明の幼児用便器によれば、便座(A)を形成する4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積(使用状態である略馬蹄形に展開したときの約1/4)となるので、小さな状態で保管することができる。そして、便座は4つの便座部材を連結するヒンジ部を有するので、瞬時に組み立てることができる。また、野外への携帯時には、便座を小さな状態で携帯するとともに囲壁を携帯する。そして、野外での使用時には、囲壁部材の端部が、4つの便座部材の凹入部に挿入されることにより、体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する幼児用便器(おまる)として使用できる。
【0016】
また、本発明の幼児用便器では、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の凹入部(6)は、隣接する便座部材間を連結するヒンジ部(4a、4b、4c)を挟んで直線状に並ぶように形成され、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)には、端部(7)を凹入部(6)に挿入したときにヒンジ部(4a、4b、4c)との干渉を避ける切り欠き部(8)が形成されるようにしてもよい。
本発明の幼児用便器によれば、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)には、ヒンジ部(4a、4b、4c)との干渉を避ける切り欠き部(8)が形成されているので、端部(7)を凹入部(6)に挿入したときに、ヒンジ部(4a、4b、4c)を挟んで隣接する便座部材どうしを1つの囲壁部材にて支持することになる。これにより、囲壁部材がヒンジ部の回転を制限することとなり、隣接する便座部材を一定形状のまま支持することができる。
【0017】
また、本発明の幼児用便器では、囲壁(B)は、第一囲壁部材(B1)と、第二囲壁部材(B2)と、第三囲壁部材(B3)と、第四囲壁部材(B4)とからなるとともに、これら4つの囲壁部材がプラスチックダンボール又はダンボール紙で形成され、第一囲壁部材(B1)と第二囲壁部材(B2)との間、第二囲壁部材(B2)と第三囲壁部材(B3)との間、第三囲壁部材(B3)と第四囲壁部材(B4)との間、および第四囲壁部材(B4)と第一囲壁部材(B1)との間がそれぞれ折り畳み可能に接続されてもよい。
本発明の幼児用便器によれば、囲壁(B)は、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成されることにより、幼児の体重が加えられても囲壁(B)は座屈しない程度の強度を持つようにすることができ、また、折り畳み部分(折り目部分)を形成できるので、囲壁(B)を、使用状態のときには、平面視で立体形状(例えば直方体形状)とし、折り畳み状態のときには、平面視で平面形状(例えば長方形平板形状)とすることができる。つまり、囲壁(B)を、非使用時は畳んでおき、必要になったときに瞬時に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の幼児用便座および幼児用便器の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図6は、本発明の幼児用便座の一例を示す図である。図1は、使用状態(展開状態)の便座を示す正面図であり、図2は、図1に示す便座の背面図であり、図3は、図1に示す便座の側面図である。また、図4は、折り畳み状態の便座を示す斜視図であり、図5は、2つ折り状態の便座の背面図である。そして、図6は、図1に示す便座を大人用便座に載置する一例を示す図である。
【0019】
便座Aは、第一板状体A1と、第二板状体A2と、第三板状体A3と、第四板状体A4とからなり、第一板状体A1と第二板状体A2とを連結する第一ヒンジ部4aと、第二板状体A2と第三板状体A3とを連結する第二ヒンジ部4bと、第三板状体A3と第四板状体A4とを連結する第三ヒンジ部4cとにより、馬蹄形状に連結されている。
【0020】
第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4は、合成樹脂で形成される。第一板状体A1と第二板状体A2と第三板状体A3と第四板状体A4とのそれぞれの長手方向の長さは、ほとんど同じであり、かつ、第一板状体A1と第二板状体A2と第三板状体A3と第四板状体A4とのそれぞれの幅方向(長手方向に垂直な方向)の長さも、ほとんど同じである。つまり、第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4は、便座Aをほぼ4等分する。なお、第一板状体A1と第四板状体A4とは、ほぼ鏡像の関係にあり、かつ、第二板状体A2と第三板状体A3とは、ほぼ鏡像の関係にある。
【0021】
また、4つの板状体の上面(幼児が座る面)はほぼ平らであり、展開状態にしたときに4つが同一の馬蹄形状の平面をなすようにしてある。そして、各板状体の下面(便器に接する面)の周縁部に肉厚部11を設けるとともに、下面の内側に平面視でL字状の凸部12、13を平行に2つ形成することにより、平面視でL字状の凹入部6を設けている。なお、肉厚部11の高さと凸部12、13の高さとは、同じにしてある。
さらに、第二板状体A2及び第三板状体A3は、外周側の角部に半円形状の開口を有する係合リング2a、2bを形成してある。
【0022】
第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cは、180度に回動可能としてある。第一ヒンジ部4a及び第三ヒンジ部4cの回転軸は、同一の方向である。また、第二ヒンジ部4bの回転軸は、第一ヒンジ部4a及び第三ヒンジ部4cの回転軸と垂直である。なお、第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cは、第一板状体A1等に一体的に形成された軸受け開口に連結軸が通されることにより、180度で回動自在に構成されたものである。
【0023】
図1に示すように、使用状態(展開状態)のときには、便座Aは、第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4が、4つの上面を一の平面となるようにしてある。また、一の平面の中央には、略長円形状の開口を有する。このとき、第一板状体A1と第四板状体A4との間には、所定の距離(例えば25mm〜30mm)の隙間9が設けられるように形成され、全体として馬蹄形の便座が形成されるようにしている。
また、図3に示すように、展開状態の便座Aは、第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを、下面より下側に突出させてある。
【0024】
さらに、図2に示すように、展開状態の便座Aは、隣接する板状体(A1、A2、A3、A4)のそれぞれの下面に形成されたL字状の凹入部6の位置関係が、ヒンジ部(4a、4b、4c)および隙間9を挟んで、互いに鏡像関係になるようにすることにより、平面視で四角形状となる凹入部6を形成するようにしている。すなわち、隣接する2つの板状体に形成される凹入部6は、ヒンジ部(4a、4b、4c)および隙間9を挟んで、直線状に並ぶように形成してある。このとき、四角形状の凹入部6は、例えば、便座Aの外周よりも少し内側の位置(例えば30mm程度内側寄りの位置)に設けられる。
また、第一ヒンジ部4aと第二ヒンジ部4bと第三ヒンジ部4cにおいて、板状体(A1、A2、A3、A4)の下面よりも突出した部分は、大人用便座の中央の開口に挿入されることにより、大人用便座上で載置位置が規制されるようにしてある。
【0025】
一方、図4に示すように、折り畳み状態のときには、第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4は、互いに重ね合うことにより、便座Aは展開状態での便座Aの面積の1/4の面積となる。このとき、第二板状体A2、第一板状体A1、第四板状体A4、第三板状体A3の順に積層される。よって、係合リング2a、2bを有する第二板状体A2及び第三板状体A3は、外側に配置されるので、トイレの壁等に打ち付けたフックや釘等に係合リング2a、2bを掛けることにより、大人が便器を使用する際に便座Aを吊り下げておくことを可能とする。
【0026】
上記第一板状体、第二板状体、第三板状体及び第四板状体を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記第一ヒンジ部、第二ヒンジ部及び第三ヒンジ部を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0027】
ここで、本発明の幼児用便座を、大人用の便座上に載置して幼児用補助便座として使用する方法の一例について説明する。まず、トイレの壁等に吊り下げられたり、携帯したりしてきた折り畳み状態の便座Aを取り出す(図4参照)。次に、第一板状体A1の上面と第四板状体A4の上面とを分けるように、第二ヒンジ部4bを180度回転させることにより、2つ折り状態の便座Aとする(図5参照)。次に、第一板状体A1の下面と第二板状体A2の下面とを分けるように、第一ヒンジ部4aを180度回転させるとともに、第三板状体A3の下面と第四板状体A4の下面とを分けるように、第三ヒンジ部4cを180度回転させることにより、展開状態の便座Aとする(図1〜3参照)。最後に、展開状態の便座Aを、上面を上にして、第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを大人用便座の開口に挿入することにより、大人用便座に載置する(図6参照)。
【0028】
次に、展開状態の便座を折り畳み状態の便座にする方法の一例を説明する。まず、第一板状体A1の下面と第二板状体A2の下面とを重ね合わせるように、第一ヒンジ部4aを180度回転させるとともに、第三板状体A3の下面と第四板状体A4の下面とを重ね合わせるように、第三ヒンジ部4cを180度回転させることにより、2つ折り状態の便座Aとする(図5参照)。このときヒンジ部4bは隙間9の位置にくる。次に、第一板状体A1の上面と第四板状体A4の上面とを重ね合わせるように、第二ヒンジ部4bを180度回転させることにより、折り畳み状態の便座Aとする。最後に、折り畳み状態の便座Aを、トイレの壁のフックや釘等に吊り下げたり、携帯したりする(図4参照)。
【0029】
(第一実施形態の幼児用便器)
次に、第一実施形態の幼児用便器について説明する。図7〜図9は、幼児用便座と囲壁とからなる幼児用便器の一例を示す図である。図7は、組み立て状態の幼児用便器を示す斜視図であり、図8は、便座と4つの囲壁部材とを分解した状態の幼児用便器を示す分解斜視図であり、図9は、折り畳み状態の囲壁を示す断面図である。
【0030】
幼児用便器は、便座Aと囲壁Bcとからなる。なお、便座Aは、図1〜図6を用いて説明したものと同様である。囲壁Bcは、第一囲壁部材B1cと、第二囲壁部材B2cと、第三囲壁部材B3cと、第四囲壁部材B4cとからなる。これら4つの囲壁部材は、平らな板状体形状を有し、このうち、第一囲壁部材B1cと第三囲壁部材B3cとの長手方向の長さは、馬蹄形の便座Aの長手方向に対応させて、第二囲壁部材B2cと第四囲壁部材B4cとの長手方向の長さより長くしてある。
なお、第一囲壁部材B1cと第三囲壁部材B3c、および第二囲壁部材B2cと第四囲壁部材B4cとは、ほぼ鏡像の関係にある。また、囲壁部材の板状体の厚さは、凹入部6の溝幅とほぼ同じにしてある。また、高さ方向は同じ長さである。
【0031】
第一囲壁部材B1cと第二囲壁部材B2cとは結合され、第二囲壁部材B2cと第三囲壁部材B3cとは結合され、第三囲壁部材B3cと第四囲壁部材B4cとは結合され、第四囲壁部材B4cと第一囲壁部材B1cとは結合されている。また、囲壁Bcは、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成される。つまり、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成することにより、囲壁部材同士の接続部分には、折り曲げ可能に折り目Sを形成しているを付与している。折り目Sはプラスチックダンボールのときは切れ目を形成するようにし、ダンボール紙のときは予め折り曲げておくことで折り目とする。
【0032】
これにより、展開したときに平面視で立体形状である四角形状の囲壁Bが形成される。また、折り畳むことにより、図9に示すように、コンパクトな平面形状で収納し、携帯することができる。よって、折り畳み状態の便座Aおよび囲壁Bcを、自動車等によりキャンプ場等の野外に容易に持ち運ぶことができるようになっている。また、災害時等の緊急用として収納しやすいようにしてある。
【0033】
また、第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c、及び第四囲壁部材B4cの端部7cは、便座Aの凹入部6に挿入できるようにしてある。つまり、端部7cの中央の切り欠き部8cが形成されることにより第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを避けて、凹入部6に挿入できるようにしてある。
なお、第四囲壁部材B4cについては、避けるべきヒンジ部がないので、切り欠き部8cは不要であるが、第二囲壁部材B2cと互換性を持たせるために(第二囲壁部材B2cと第四囲壁部材B4cとが入れ替わることができるようにするため)、これと同じ切り欠き部8cを設けてある。
このようにして、第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c及び第四囲壁部材B4cの端部7cが凹入部6に挿入されることで、便座Aと囲壁Bcとが一体となった便器が形成されることになる。このとき、四角形状の凹入部6は、便座Aの外周よりも少し内側の位置に設けられるので、囲壁Bは、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成されていても、機械的強度を確保している。
【0034】
上記第一囲壁部材、第二囲壁部材、第三囲壁部材及び第四囲壁部材を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂、紙等が挙げられる。
【0035】
ここで、幼児用便器(おまる)として使用する方法の一例について説明する。まず、車等により運んできた折り畳み状態の便座A(図4参照)および囲壁Bc(図9参照)を取り出す。次に、便座Aを展開状態にする。次に、折り畳み状態の囲壁Bcを、平面視で直方体形状となるように、展開状態にする(図8参照)。次に、展開状態の囲壁Bc本体内にビニール袋やポリ袋等の遮水性の収容袋を入れる。次に、下面の凹入部6に第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c及び第四囲壁部材B4cの端部7cを挿入することにより、幼児用便器を組み立てる(図7参照)。
【0036】
このとき、四角形状の囲壁Bcの4つの角の底部に、4つの固定部材を取り付けてもよい。図11は、固定部材の一例の斜視図である。固定部材10は、平面視で、L字形状をするとともに、中央にL字形状の凹部を有する。また、L字形状の凹部の側面の断面は、上部は狭くなるとともに、底部は広くなっている。つまり、囲壁Bcの一の角の底部を凹部に挿入することにより、凹部の上部が広がるので、より固定することができる。さらに、固定部材10の側面の断面は、凹部の底部から下方向に所定の高さを設けるとともに、固定部材10を形成する材料として遮水性を有するものを用いることにより、囲壁B(特にダンボール紙の場合)に水が浸透することを防止することができる。
【0037】
次に、組み立て状態の幼児用便器を折り畳み状態にする方法の一例を説明する。まず、展開状態の便座Aの下面の凹入部6を、第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c及び第四囲壁部材B4cの端部7cから取り外す(図8参照)。次に、収容袋を取り出して廃棄する。次に、囲壁Bも、廃棄する。次に、便座Aについて、既述の手順で折り畳み状態にする。最後に、折り畳み状態の便座Aを、携帯する。
【0038】
(第二実施形態の幼児用便器)
次に、第二実施形態の幼児用便器について説明する。図11〜図13は、幼児用便座と囲壁とからなる幼児用便器の他の一例を示す図である。図11は、組み立て状態の幼児用便器を示す斜視図であり、図12は、便座と4つの囲壁部材とを分解した状態の幼児用便器を示す分解斜視図であり、図13は、折り畳み状態の囲壁を示す側面図である。
【0039】
幼児用便器は、便座Aと囲壁Bとからなる。なお、便座Aは、図1〜図6を用いて説明したものと同様である。囲壁Bは、第一囲壁部材B1と、第二囲壁部材B2と、第三囲壁部材B3と、第四囲壁部材B4とからなる。これら4つの囲壁部材は、平らな板状体形状を有し、このうち、第一囲壁部材B1と第三囲壁部材B3との長手方向の長さは、馬蹄形の便座Aの長手方向に対応させて、第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4との長手方向の長さより長くしてある。
なお、第一囲壁部材B1と第三囲壁部材B3、および第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4とは、ほぼ鏡像の関係にある。また、囲壁部材の板状体の厚さは、凹入部6の溝幅とほぼ同じにしてある。また、高さ方向は同じ長さである。
【0040】
第二囲壁部材B2は、中央で囲壁部材B2aと囲壁部材B2bとに2分割され、これら2つの囲壁部材B2a、B2b間は、ヒンジ機構で連結されている。同様に、第四囲壁部材B4についても、中央で囲壁部材B4aと囲壁部材B4bとに2分割され、これら2つの囲壁部材B4a、B4b間はヒンジ機構で連結されている。
【0041】
また、4つの囲壁部材B1〜B4は、それぞれの両端がヒンジ機構により、隣接する囲壁部材に連結されており、展開したときに平面視で四角形状の囲壁Bが形成されるようにしてある。また、折り畳むことにより、図13に示すように、コンパクトな形状で収納し、携帯することができるようにしてある。よって、折り畳み状態の便座Aおよび囲壁Bを、自動車等によりキャンプ場等の野外に容易に持ち運ぶことができるようになっている。
【0042】
また、第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3、及び第四囲壁部材B4の端部7は、便座Aの凹入部6に挿入できるようにしてある。つまり、端部7の中央の切り欠き部8が形成されることにより第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを避けて、凹入部6に挿入できるようにしてある。
なお、第四囲壁部材B4については、避けるべきヒンジ部がないので、切り欠き部8は不要であるが、第二囲壁部材B2と互換性を持たせるために(第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4とが入れ替わることができるようにするため)、これと同じ切り欠き部8を設けてある。
このようにして、第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3及び第四囲壁部材B4の端部7が凹入部6に挿入されることで、便座Aと囲壁Bとが一体となった便器が形成されることになる。
【0043】
上記第一囲壁部材、第二囲壁部材、第三囲壁部材及び第四囲壁部材を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0044】
ここで、幼児用便器(おまる)として使用する方法の一例について説明する。まず、車等により運んできた折り畳み状態の便座A(図4参照)および囲壁B(図13参照)を取り出す。次に、便座Aを展開状態にし、下面の凹入部6に第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3及び第四囲壁部材B4の端部7を挿入することにより、幼児用便器を組み立てる(図11参照)。
【0045】
次に、組み立て状態の幼児用便器を折り畳み状態にする方法の一例を説明する。まず、展開状態の便座Aの下面の凹入部6から、第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3及び第四囲壁部材B4の端部7を取り外す(図12参照)。次に、第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4について中央のヒンジ機構で折り畳むことにより、囲壁Bを折り畳み状態にする(図13参照)。便座Aについても、既述の手順で折り畳み状態にする。最後に、折り畳み状態の便座Aおよび囲壁Bを、車等に乗せる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、幼児用補助便座および携帯用便器(おまる)として使用できる幼児用便座および幼児用便器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態である展開状態の便座を示す正面図である。
【図2】図1に示す便座の背面図である。
【図3】図1に示す便座の側面図である。
【図4】折り畳み状態の便座を示す斜視図である。
【図5】2つ折り状態の便座の背面図である。
【図6】図1に示す便座を大人用便座に載置する一例を示す図である。
【図7】組み立て状態の幼児用便器の一例を示す斜視図である。
【図8】便座と4つの囲壁部材を分解した状態の幼児用便器の一例を示す斜視図である。
【図9】折り畳み状態の囲壁の一例を示す断面図である。
【図10】固定部材の一例の斜視図である。
【図11】組み立て状態の幼児用便器の他の一例を示す斜視図である。
【図12】便座と4つの囲壁部材を分解した状態の幼児用便器の他の一例を示す斜視図である。
【図13】折り畳み状態の囲壁の他の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0048】
A 囲壁
B 便座
2 係合リング
4 ヒンジ部
6 凹入部
7 端部凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器上に載置して使用するとともに、屋外に携帯して使用する幼児用便座および幼児用便器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内の洋式トイレでは、便座付きの便器が利用されているが、通常の便座は大人が使用することを前提として設計されているため、幼児が使用するには大きすぎて使いづらい。そのため、幼児用補助便座として、大人用便座に取り付けて使用されるものが市販されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の携帯用便器として、折り畳み可能なダンボール紙製のものが知られている。これらの携帯用便器は、携帯時には小さく折り畳まれている。野外での使用時には、箱状に組み立てることにより、便器本体が形成される。そして、組み立てた便器本体内にビニール袋やポリ袋等の遮水性の収容袋を入れ、さらに、この収容袋の内部に、給水するとゲル化する給水パックを入れて使用する。そして、用済み後に収容袋を密封して廃棄するようにしていた。
【0004】
しかしながら、このような携帯用便器は、ダンボール紙製であるため、機械的強度が不足していた。すなわち、携帯用便器に人体の荷重を掛けると、携帯用便器が変形し、座屈した。そのため、携帯用便器に大きな体重を掛けないようにして使用しなければならなかった。
【0005】
そこで、便器に体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する携帯用合成樹脂製便器が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平07−231861号公報
【特許文献2】特許3371241号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来から幼児用の補助便座が市販されているが、それらは家庭内の洋式トイレ等で大人用の便座に取り付けて用いるものであり、幼児用補助便座を携帯して野外で使用したり、災害時に臨時の幼児用トイレとして使用したりすることは考えられていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、家庭内の洋式トイレで幼児用補助便座として使用でき、家庭内トイレでの保管時や外出の際の携帯時には便座を小さな状態とすることができ、さらに、野外での使用時には、体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する携帯用便器として使用できる幼児用便座および幼児用便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の幼児用便座は、略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなる幼児用便座(A)であって、
4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)のそれぞれの下面には、凹入部(6)が形成され、
使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて略馬蹄形の幼児用便座(A)が組み立てられ、折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされ、大人用の便座に載置して使用するとともに、4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4))が挿入されることにより、幼児用便座(A)付きの便器として使用可能に構成するようにしている。
【0009】
ここで、略馬蹄形とは、長円等の環状形状を基本とし、環状形状の一部分が切れて分離している形状をいう。略馬蹄形は洋式便器の便座として一般的に用いられている便座形状であり、文字通りの馬蹄形とともに、例えば、U字形状、さらには楕円形状や卵型形状の一端を切り欠いた形状等も含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の幼児用便座によれば、折り畳み状態のときには、4つの便座部材は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積となるので、家庭内トイレでの保管時には、小さな状態にして保管することができる。さらに、外出先トイレへの携帯時には、便座のみを小さな状態で携帯することができる。そして、便座は4つの便座部材を連結するヒンジ部を有するので、折り畳み状態から瞬時に組み立てることができる。
また、野外への携帯時には、便座を小さな状態で携帯するとともに囲壁を携帯する。そして、野外での使用時には、囲壁部材の端部が、4つの便座部材の凹入部に挿入されることにより、体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する幼児用便器(おまる)として使用できる。
【0011】
また、本発明の幼児用便座では、便座(A)は、第一板状体(A1)と、第二板状体(A2)と、第三板状体(A3)と、第四板状体(A4)とからなり、第一板状体(A1)と第二板状体(A2)とは第一ヒンジ部(4a)で連結され、第二板状体(A2)と第三板状体(A3)とは第二ヒンジ部(4b)で連結され、第三板状体(A3)と第四板状体(A4)とは第三ヒンジ部(4c)で連結され、第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸は、同一の方向であり、かつ、第二ヒンジ部(4b)の回転軸は、第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸と垂直であるようにしてもよい。
この発明によれば、第一ヒンジ部及び第三ヒンジ部の回転軸は、同一の方向であり、かつ、第二ヒンジ部の回転軸は、第一ヒンジ部及び第三ヒンジ部の回転軸と垂直であるので、平面視で便座の面積の1/4の状態で保管したり、携帯したりすることができる。
【0012】
また、本発明の幼児用便座では、第一ヒンジ部(4a)、第二ヒンジ部(4b)及び第三ヒンジ部(4c)は、使用状態で幼児用便座(A)の下面より突出するように形成され、幼児用便座(A)を大人用の便座に載置したときに3つのヒンジ部(4a、4b、4c)の突出部分が大人用の便座の中央に形成されている開口の周壁に当接することにより、幼児用便座(A)の載置される位置が規制されるようにしてもよい。
【0013】
この発明によれば、大人用便座に載置する際に、第一ヒンジ部、第二ヒンジ部及び第三ヒンジ部の突出部分を大人用便座の開口に挿入することにより、幼児用便座の載置する位置が制限され、幼児用便座を大人用便座上の適切な位置に載置できる。
【0014】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の幼児用便器は、幼児用便座(A)および囲壁(B)からなる幼児用便器であって、幼児用便座(A)は、略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなり、
囲壁(B)は、凹入部(6)に挿入される端部(7)を有する囲壁部材(B1、B2、B3、B4)からなり、使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の端部(7)が挿入されることにより、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の上に幼児用便座(A)が載置された形状に組み立てられ、
折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされるようにしている。
【0015】
本発明の幼児用便器によれば、便座(A)を形成する4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積(使用状態である略馬蹄形に展開したときの約1/4)となるので、小さな状態で保管することができる。そして、便座は4つの便座部材を連結するヒンジ部を有するので、瞬時に組み立てることができる。また、野外への携帯時には、便座を小さな状態で携帯するとともに囲壁を携帯する。そして、野外での使用時には、囲壁部材の端部が、4つの便座部材の凹入部に挿入されることにより、体重が掛けられても変形したり座屈したりすることのない機械的強度を有する幼児用便器(おまる)として使用できる。
【0016】
また、本発明の幼児用便器では、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の凹入部(6)は、隣接する便座部材間を連結するヒンジ部(4a、4b、4c)を挟んで直線状に並ぶように形成され、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)には、端部(7)を凹入部(6)に挿入したときにヒンジ部(4a、4b、4c)との干渉を避ける切り欠き部(8)が形成されるようにしてもよい。
本発明の幼児用便器によれば、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)には、ヒンジ部(4a、4b、4c)との干渉を避ける切り欠き部(8)が形成されているので、端部(7)を凹入部(6)に挿入したときに、ヒンジ部(4a、4b、4c)を挟んで隣接する便座部材どうしを1つの囲壁部材にて支持することになる。これにより、囲壁部材がヒンジ部の回転を制限することとなり、隣接する便座部材を一定形状のまま支持することができる。
【0017】
また、本発明の幼児用便器では、囲壁(B)は、第一囲壁部材(B1)と、第二囲壁部材(B2)と、第三囲壁部材(B3)と、第四囲壁部材(B4)とからなるとともに、これら4つの囲壁部材がプラスチックダンボール又はダンボール紙で形成され、第一囲壁部材(B1)と第二囲壁部材(B2)との間、第二囲壁部材(B2)と第三囲壁部材(B3)との間、第三囲壁部材(B3)と第四囲壁部材(B4)との間、および第四囲壁部材(B4)と第一囲壁部材(B1)との間がそれぞれ折り畳み可能に接続されてもよい。
本発明の幼児用便器によれば、囲壁(B)は、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成されることにより、幼児の体重が加えられても囲壁(B)は座屈しない程度の強度を持つようにすることができ、また、折り畳み部分(折り目部分)を形成できるので、囲壁(B)を、使用状態のときには、平面視で立体形状(例えば直方体形状)とし、折り畳み状態のときには、平面視で平面形状(例えば長方形平板形状)とすることができる。つまり、囲壁(B)を、非使用時は畳んでおき、必要になったときに瞬時に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の幼児用便座および幼児用便器の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図6は、本発明の幼児用便座の一例を示す図である。図1は、使用状態(展開状態)の便座を示す正面図であり、図2は、図1に示す便座の背面図であり、図3は、図1に示す便座の側面図である。また、図4は、折り畳み状態の便座を示す斜視図であり、図5は、2つ折り状態の便座の背面図である。そして、図6は、図1に示す便座を大人用便座に載置する一例を示す図である。
【0019】
便座Aは、第一板状体A1と、第二板状体A2と、第三板状体A3と、第四板状体A4とからなり、第一板状体A1と第二板状体A2とを連結する第一ヒンジ部4aと、第二板状体A2と第三板状体A3とを連結する第二ヒンジ部4bと、第三板状体A3と第四板状体A4とを連結する第三ヒンジ部4cとにより、馬蹄形状に連結されている。
【0020】
第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4は、合成樹脂で形成される。第一板状体A1と第二板状体A2と第三板状体A3と第四板状体A4とのそれぞれの長手方向の長さは、ほとんど同じであり、かつ、第一板状体A1と第二板状体A2と第三板状体A3と第四板状体A4とのそれぞれの幅方向(長手方向に垂直な方向)の長さも、ほとんど同じである。つまり、第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4は、便座Aをほぼ4等分する。なお、第一板状体A1と第四板状体A4とは、ほぼ鏡像の関係にあり、かつ、第二板状体A2と第三板状体A3とは、ほぼ鏡像の関係にある。
【0021】
また、4つの板状体の上面(幼児が座る面)はほぼ平らであり、展開状態にしたときに4つが同一の馬蹄形状の平面をなすようにしてある。そして、各板状体の下面(便器に接する面)の周縁部に肉厚部11を設けるとともに、下面の内側に平面視でL字状の凸部12、13を平行に2つ形成することにより、平面視でL字状の凹入部6を設けている。なお、肉厚部11の高さと凸部12、13の高さとは、同じにしてある。
さらに、第二板状体A2及び第三板状体A3は、外周側の角部に半円形状の開口を有する係合リング2a、2bを形成してある。
【0022】
第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cは、180度に回動可能としてある。第一ヒンジ部4a及び第三ヒンジ部4cの回転軸は、同一の方向である。また、第二ヒンジ部4bの回転軸は、第一ヒンジ部4a及び第三ヒンジ部4cの回転軸と垂直である。なお、第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cは、第一板状体A1等に一体的に形成された軸受け開口に連結軸が通されることにより、180度で回動自在に構成されたものである。
【0023】
図1に示すように、使用状態(展開状態)のときには、便座Aは、第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4が、4つの上面を一の平面となるようにしてある。また、一の平面の中央には、略長円形状の開口を有する。このとき、第一板状体A1と第四板状体A4との間には、所定の距離(例えば25mm〜30mm)の隙間9が設けられるように形成され、全体として馬蹄形の便座が形成されるようにしている。
また、図3に示すように、展開状態の便座Aは、第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを、下面より下側に突出させてある。
【0024】
さらに、図2に示すように、展開状態の便座Aは、隣接する板状体(A1、A2、A3、A4)のそれぞれの下面に形成されたL字状の凹入部6の位置関係が、ヒンジ部(4a、4b、4c)および隙間9を挟んで、互いに鏡像関係になるようにすることにより、平面視で四角形状となる凹入部6を形成するようにしている。すなわち、隣接する2つの板状体に形成される凹入部6は、ヒンジ部(4a、4b、4c)および隙間9を挟んで、直線状に並ぶように形成してある。このとき、四角形状の凹入部6は、例えば、便座Aの外周よりも少し内側の位置(例えば30mm程度内側寄りの位置)に設けられる。
また、第一ヒンジ部4aと第二ヒンジ部4bと第三ヒンジ部4cにおいて、板状体(A1、A2、A3、A4)の下面よりも突出した部分は、大人用便座の中央の開口に挿入されることにより、大人用便座上で載置位置が規制されるようにしてある。
【0025】
一方、図4に示すように、折り畳み状態のときには、第一板状体A1、第二板状体A2、第三板状体A3及び第四板状体A4は、互いに重ね合うことにより、便座Aは展開状態での便座Aの面積の1/4の面積となる。このとき、第二板状体A2、第一板状体A1、第四板状体A4、第三板状体A3の順に積層される。よって、係合リング2a、2bを有する第二板状体A2及び第三板状体A3は、外側に配置されるので、トイレの壁等に打ち付けたフックや釘等に係合リング2a、2bを掛けることにより、大人が便器を使用する際に便座Aを吊り下げておくことを可能とする。
【0026】
上記第一板状体、第二板状体、第三板状体及び第四板状体を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記第一ヒンジ部、第二ヒンジ部及び第三ヒンジ部を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0027】
ここで、本発明の幼児用便座を、大人用の便座上に載置して幼児用補助便座として使用する方法の一例について説明する。まず、トイレの壁等に吊り下げられたり、携帯したりしてきた折り畳み状態の便座Aを取り出す(図4参照)。次に、第一板状体A1の上面と第四板状体A4の上面とを分けるように、第二ヒンジ部4bを180度回転させることにより、2つ折り状態の便座Aとする(図5参照)。次に、第一板状体A1の下面と第二板状体A2の下面とを分けるように、第一ヒンジ部4aを180度回転させるとともに、第三板状体A3の下面と第四板状体A4の下面とを分けるように、第三ヒンジ部4cを180度回転させることにより、展開状態の便座Aとする(図1〜3参照)。最後に、展開状態の便座Aを、上面を上にして、第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを大人用便座の開口に挿入することにより、大人用便座に載置する(図6参照)。
【0028】
次に、展開状態の便座を折り畳み状態の便座にする方法の一例を説明する。まず、第一板状体A1の下面と第二板状体A2の下面とを重ね合わせるように、第一ヒンジ部4aを180度回転させるとともに、第三板状体A3の下面と第四板状体A4の下面とを重ね合わせるように、第三ヒンジ部4cを180度回転させることにより、2つ折り状態の便座Aとする(図5参照)。このときヒンジ部4bは隙間9の位置にくる。次に、第一板状体A1の上面と第四板状体A4の上面とを重ね合わせるように、第二ヒンジ部4bを180度回転させることにより、折り畳み状態の便座Aとする。最後に、折り畳み状態の便座Aを、トイレの壁のフックや釘等に吊り下げたり、携帯したりする(図4参照)。
【0029】
(第一実施形態の幼児用便器)
次に、第一実施形態の幼児用便器について説明する。図7〜図9は、幼児用便座と囲壁とからなる幼児用便器の一例を示す図である。図7は、組み立て状態の幼児用便器を示す斜視図であり、図8は、便座と4つの囲壁部材とを分解した状態の幼児用便器を示す分解斜視図であり、図9は、折り畳み状態の囲壁を示す断面図である。
【0030】
幼児用便器は、便座Aと囲壁Bcとからなる。なお、便座Aは、図1〜図6を用いて説明したものと同様である。囲壁Bcは、第一囲壁部材B1cと、第二囲壁部材B2cと、第三囲壁部材B3cと、第四囲壁部材B4cとからなる。これら4つの囲壁部材は、平らな板状体形状を有し、このうち、第一囲壁部材B1cと第三囲壁部材B3cとの長手方向の長さは、馬蹄形の便座Aの長手方向に対応させて、第二囲壁部材B2cと第四囲壁部材B4cとの長手方向の長さより長くしてある。
なお、第一囲壁部材B1cと第三囲壁部材B3c、および第二囲壁部材B2cと第四囲壁部材B4cとは、ほぼ鏡像の関係にある。また、囲壁部材の板状体の厚さは、凹入部6の溝幅とほぼ同じにしてある。また、高さ方向は同じ長さである。
【0031】
第一囲壁部材B1cと第二囲壁部材B2cとは結合され、第二囲壁部材B2cと第三囲壁部材B3cとは結合され、第三囲壁部材B3cと第四囲壁部材B4cとは結合され、第四囲壁部材B4cと第一囲壁部材B1cとは結合されている。また、囲壁Bcは、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成される。つまり、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成することにより、囲壁部材同士の接続部分には、折り曲げ可能に折り目Sを形成しているを付与している。折り目Sはプラスチックダンボールのときは切れ目を形成するようにし、ダンボール紙のときは予め折り曲げておくことで折り目とする。
【0032】
これにより、展開したときに平面視で立体形状である四角形状の囲壁Bが形成される。また、折り畳むことにより、図9に示すように、コンパクトな平面形状で収納し、携帯することができる。よって、折り畳み状態の便座Aおよび囲壁Bcを、自動車等によりキャンプ場等の野外に容易に持ち運ぶことができるようになっている。また、災害時等の緊急用として収納しやすいようにしてある。
【0033】
また、第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c、及び第四囲壁部材B4cの端部7cは、便座Aの凹入部6に挿入できるようにしてある。つまり、端部7cの中央の切り欠き部8cが形成されることにより第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを避けて、凹入部6に挿入できるようにしてある。
なお、第四囲壁部材B4cについては、避けるべきヒンジ部がないので、切り欠き部8cは不要であるが、第二囲壁部材B2cと互換性を持たせるために(第二囲壁部材B2cと第四囲壁部材B4cとが入れ替わることができるようにするため)、これと同じ切り欠き部8cを設けてある。
このようにして、第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c及び第四囲壁部材B4cの端部7cが凹入部6に挿入されることで、便座Aと囲壁Bcとが一体となった便器が形成されることになる。このとき、四角形状の凹入部6は、便座Aの外周よりも少し内側の位置に設けられるので、囲壁Bは、プラスチックダンボール又はダンボール紙で形成されていても、機械的強度を確保している。
【0034】
上記第一囲壁部材、第二囲壁部材、第三囲壁部材及び第四囲壁部材を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂、紙等が挙げられる。
【0035】
ここで、幼児用便器(おまる)として使用する方法の一例について説明する。まず、車等により運んできた折り畳み状態の便座A(図4参照)および囲壁Bc(図9参照)を取り出す。次に、便座Aを展開状態にする。次に、折り畳み状態の囲壁Bcを、平面視で直方体形状となるように、展開状態にする(図8参照)。次に、展開状態の囲壁Bc本体内にビニール袋やポリ袋等の遮水性の収容袋を入れる。次に、下面の凹入部6に第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c及び第四囲壁部材B4cの端部7cを挿入することにより、幼児用便器を組み立てる(図7参照)。
【0036】
このとき、四角形状の囲壁Bcの4つの角の底部に、4つの固定部材を取り付けてもよい。図11は、固定部材の一例の斜視図である。固定部材10は、平面視で、L字形状をするとともに、中央にL字形状の凹部を有する。また、L字形状の凹部の側面の断面は、上部は狭くなるとともに、底部は広くなっている。つまり、囲壁Bcの一の角の底部を凹部に挿入することにより、凹部の上部が広がるので、より固定することができる。さらに、固定部材10の側面の断面は、凹部の底部から下方向に所定の高さを設けるとともに、固定部材10を形成する材料として遮水性を有するものを用いることにより、囲壁B(特にダンボール紙の場合)に水が浸透することを防止することができる。
【0037】
次に、組み立て状態の幼児用便器を折り畳み状態にする方法の一例を説明する。まず、展開状態の便座Aの下面の凹入部6を、第一囲壁部材B1c、第二囲壁部材B2c、第三囲壁部材B3c及び第四囲壁部材B4cの端部7cから取り外す(図8参照)。次に、収容袋を取り出して廃棄する。次に、囲壁Bも、廃棄する。次に、便座Aについて、既述の手順で折り畳み状態にする。最後に、折り畳み状態の便座Aを、携帯する。
【0038】
(第二実施形態の幼児用便器)
次に、第二実施形態の幼児用便器について説明する。図11〜図13は、幼児用便座と囲壁とからなる幼児用便器の他の一例を示す図である。図11は、組み立て状態の幼児用便器を示す斜視図であり、図12は、便座と4つの囲壁部材とを分解した状態の幼児用便器を示す分解斜視図であり、図13は、折り畳み状態の囲壁を示す側面図である。
【0039】
幼児用便器は、便座Aと囲壁Bとからなる。なお、便座Aは、図1〜図6を用いて説明したものと同様である。囲壁Bは、第一囲壁部材B1と、第二囲壁部材B2と、第三囲壁部材B3と、第四囲壁部材B4とからなる。これら4つの囲壁部材は、平らな板状体形状を有し、このうち、第一囲壁部材B1と第三囲壁部材B3との長手方向の長さは、馬蹄形の便座Aの長手方向に対応させて、第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4との長手方向の長さより長くしてある。
なお、第一囲壁部材B1と第三囲壁部材B3、および第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4とは、ほぼ鏡像の関係にある。また、囲壁部材の板状体の厚さは、凹入部6の溝幅とほぼ同じにしてある。また、高さ方向は同じ長さである。
【0040】
第二囲壁部材B2は、中央で囲壁部材B2aと囲壁部材B2bとに2分割され、これら2つの囲壁部材B2a、B2b間は、ヒンジ機構で連結されている。同様に、第四囲壁部材B4についても、中央で囲壁部材B4aと囲壁部材B4bとに2分割され、これら2つの囲壁部材B4a、B4b間はヒンジ機構で連結されている。
【0041】
また、4つの囲壁部材B1〜B4は、それぞれの両端がヒンジ機構により、隣接する囲壁部材に連結されており、展開したときに平面視で四角形状の囲壁Bが形成されるようにしてある。また、折り畳むことにより、図13に示すように、コンパクトな形状で収納し、携帯することができるようにしてある。よって、折り畳み状態の便座Aおよび囲壁Bを、自動車等によりキャンプ場等の野外に容易に持ち運ぶことができるようになっている。
【0042】
また、第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3、及び第四囲壁部材B4の端部7は、便座Aの凹入部6に挿入できるようにしてある。つまり、端部7の中央の切り欠き部8が形成されることにより第一ヒンジ部4a、第二ヒンジ部4b及び第三ヒンジ部4cを避けて、凹入部6に挿入できるようにしてある。
なお、第四囲壁部材B4については、避けるべきヒンジ部がないので、切り欠き部8は不要であるが、第二囲壁部材B2と互換性を持たせるために(第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4とが入れ替わることができるようにするため)、これと同じ切り欠き部8を設けてある。
このようにして、第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3及び第四囲壁部材B4の端部7が凹入部6に挿入されることで、便座Aと囲壁Bとが一体となった便器が形成されることになる。
【0043】
上記第一囲壁部材、第二囲壁部材、第三囲壁部材及び第四囲壁部材を形成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0044】
ここで、幼児用便器(おまる)として使用する方法の一例について説明する。まず、車等により運んできた折り畳み状態の便座A(図4参照)および囲壁B(図13参照)を取り出す。次に、便座Aを展開状態にし、下面の凹入部6に第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3及び第四囲壁部材B4の端部7を挿入することにより、幼児用便器を組み立てる(図11参照)。
【0045】
次に、組み立て状態の幼児用便器を折り畳み状態にする方法の一例を説明する。まず、展開状態の便座Aの下面の凹入部6から、第一囲壁部材B1、第二囲壁部材B2、第三囲壁部材B3及び第四囲壁部材B4の端部7を取り外す(図12参照)。次に、第二囲壁部材B2と第四囲壁部材B4について中央のヒンジ機構で折り畳むことにより、囲壁Bを折り畳み状態にする(図13参照)。便座Aについても、既述の手順で折り畳み状態にする。最後に、折り畳み状態の便座Aおよび囲壁Bを、車等に乗せる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、幼児用補助便座および携帯用便器(おまる)として使用できる幼児用便座および幼児用便器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態である展開状態の便座を示す正面図である。
【図2】図1に示す便座の背面図である。
【図3】図1に示す便座の側面図である。
【図4】折り畳み状態の便座を示す斜視図である。
【図5】2つ折り状態の便座の背面図である。
【図6】図1に示す便座を大人用便座に載置する一例を示す図である。
【図7】組み立て状態の幼児用便器の一例を示す斜視図である。
【図8】便座と4つの囲壁部材を分解した状態の幼児用便器の一例を示す斜視図である。
【図9】折り畳み状態の囲壁の一例を示す断面図である。
【図10】固定部材の一例の斜視図である。
【図11】組み立て状態の幼児用便器の他の一例を示す斜視図である。
【図12】便座と4つの囲壁部材を分解した状態の幼児用便器の他の一例を示す斜視図である。
【図13】折り畳み状態の囲壁の他の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0048】
A 囲壁
B 便座
2 係合リング
4 ヒンジ部
6 凹入部
7 端部凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなる幼児用便座(A)であって、
4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)のそれぞれの下面には、凹入部(6)が形成され、
使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて略馬蹄形の幼児用便座(A)が組み立てられ、
折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされ、
大人用の便座に載置して使用するとともに、4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)が挿入されることにより、幼児用便座(A)付きの便器として使用可能に構成したことを特徴とする幼児用便座。
【請求項2】
幼児用便座(A)は、第一板状体(A1)と、第二板状体(A2)と、第三板状体(A3)と、第四板状体(A4)とからなり、
第一板状体(A1)と第二板状体(A2)とは第一ヒンジ部(4a)で連結され、第二板状体(A2)と第三板状体(A3)とは第二ヒンジ部(4b)で連結され、第三板状体(A3)と第四板状体(A4)とは第三ヒンジ部(4c)で連結され、
第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸は、同一の方向であり、かつ、第二ヒンジ部(4b)の回転軸は、第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸と垂直であることを特徴とする請求項1に記載の幼児用便座。
【請求項3】
第一ヒンジ部(4a)、第二ヒンジ部(4b)及び第三ヒンジ部(4c)は、使用状態で幼児用便座(A)の下面より突出するように形成され、
幼児用便座(A)を大人用の便座に載置したときに3つのヒンジ部(4a、4b、4c)の突出部分が大人用の便座の中央に形成されている開口の周壁に当接することにより、幼児用便座(A)の載置される位置が規制されることを特徴とする請求項1に記載の幼児用便座。
【請求項4】
幼児用便座(A)および囲壁(B)からなる幼児用便器であって、
幼児用便座(A)は、略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなり、
囲壁(B)は、凹入部(6)に挿入される端部(7)を有する囲壁部材(B1、B2、B3、B4)からなり、
使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の端部(7)が挿入されることにより、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の上に幼児用便座(A)が載置された形状に組み立てられ、
折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされるようにしたことを特徴とする幼児用便器。
【請求項5】
各便座部材(A1、A2、A3、A4)の凹入部(6)は、隣接する便座部材間を連結するヒンジ部(4a、4b、4c)を挟んで直線状に並ぶように形成され、
囲壁部材(B1、B2、B3、B4)には、端部(7)を凹入部(6)に挿入したときにヒンジ部(4a、4b、4c)との干渉を避ける切り欠き部(8)が形成されることを特徴とする請求項4に記載の幼児用便器。
【請求項6】
囲壁(B)は、第一囲壁部材(B1)と、第二囲壁部材(B2)と、第三囲壁部材(B3)と、第四囲壁部材(B4)とからなるとともに、これら4つの囲壁部材がプラスチックダンボール又はダンボール紙で形成され、
第一囲壁部材(B1)と第二囲壁部材(B2)との間、第二囲壁部材(B2)と第三囲壁部材(B3)との間、第三囲壁部材(B3)と第四囲壁部材(B4)との間、および第四囲壁部材(B4)と第一囲壁部材(B1)との間がそれぞれ折り畳み可能に接続されることを特徴とする請求項4又は5に記載の幼児用便器。
【請求項1】
略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなる幼児用便座(A)であって、
4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)のそれぞれの下面には、凹入部(6)が形成され、
使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて略馬蹄形の幼児用便座(A)が組み立てられ、
折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされ、
大人用の便座に載置して使用するとともに、4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)が挿入されることにより、幼児用便座(A)付きの便器として使用可能に構成したことを特徴とする幼児用便座。
【請求項2】
幼児用便座(A)は、第一板状体(A1)と、第二板状体(A2)と、第三板状体(A3)と、第四板状体(A4)とからなり、
第一板状体(A1)と第二板状体(A2)とは第一ヒンジ部(4a)で連結され、第二板状体(A2)と第三板状体(A3)とは第二ヒンジ部(4b)で連結され、第三板状体(A3)と第四板状体(A4)とは第三ヒンジ部(4c)で連結され、
第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸は、同一の方向であり、かつ、第二ヒンジ部(4b)の回転軸は、第一ヒンジ部(4a)及び第三ヒンジ部(4c)の回転軸と垂直であることを特徴とする請求項1に記載の幼児用便座。
【請求項3】
第一ヒンジ部(4a)、第二ヒンジ部(4b)及び第三ヒンジ部(4c)は、使用状態で幼児用便座(A)の下面より突出するように形成され、
幼児用便座(A)を大人用の便座に載置したときに3つのヒンジ部(4a、4b、4c)の突出部分が大人用の便座の中央に形成されている開口の周壁に当接することにより、幼児用便座(A)の載置される位置が規制されることを特徴とする請求項1に記載の幼児用便座。
【請求項4】
幼児用便座(A)および囲壁(B)からなる幼児用便器であって、
幼児用便座(A)は、略馬蹄形を左右対称に分割しかつ前後に略均等に分割することにより形成される4つの形状をそれぞれの上面形状とする合成樹脂製の4つの便座部材(A1、A2、A3、A4)と、4つの便座部材が略馬蹄形の便座を形成するように便座部材間を連結するヒンジ部(4)とからなり、
囲壁(B)は、凹入部(6)に挿入される端部(7)を有する囲壁部材(B1、B2、B3、B4)からなり、
使用状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに上面どうしが一平面となるように展開されて、各便座部材(A1、A2、A3、A4)の各凹入部(6)に囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の端部(7)が挿入されることにより、囲壁部材(B1、B2、B3、B4)の上に幼児用便座(A)が載置された形状に組み立てられ、
折り畳み状態のときには、各便座部材(A1、A2、A3、A4)は、互いに重ね合うことにより、平面視で1つの便座部材の面積とされるようにしたことを特徴とする幼児用便器。
【請求項5】
各便座部材(A1、A2、A3、A4)の凹入部(6)は、隣接する便座部材間を連結するヒンジ部(4a、4b、4c)を挟んで直線状に並ぶように形成され、
囲壁部材(B1、B2、B3、B4)には、端部(7)を凹入部(6)に挿入したときにヒンジ部(4a、4b、4c)との干渉を避ける切り欠き部(8)が形成されることを特徴とする請求項4に記載の幼児用便器。
【請求項6】
囲壁(B)は、第一囲壁部材(B1)と、第二囲壁部材(B2)と、第三囲壁部材(B3)と、第四囲壁部材(B4)とからなるとともに、これら4つの囲壁部材がプラスチックダンボール又はダンボール紙で形成され、
第一囲壁部材(B1)と第二囲壁部材(B2)との間、第二囲壁部材(B2)と第三囲壁部材(B3)との間、第三囲壁部材(B3)と第四囲壁部材(B4)との間、および第四囲壁部材(B4)と第一囲壁部材(B1)との間がそれぞれ折り畳み可能に接続されることを特徴とする請求項4又は5に記載の幼児用便器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−260029(P2007−260029A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87453(P2006−87453)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(596060594)株式会社サンコー (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(596060594)株式会社サンコー (65)
【Fターム(参考)】
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