説明

広い色域アナグリフ

4つの原色が、広い色域を有するアナグリフをレンダリングするために用いられてもよい。立体的なペアの第1の画像は、3つの原色においてレンダリングされてもよく、立体的なペアの第2の画像は、第4の原色においてレンダリングされてもよい。視野闘争は、類似の対象に関して第1の画像および第2の画像の明度コントラストの釣り合いをとることによって、アナグリフにおいて回避されてもよい。視野闘争は、視野闘争色座標の値を選択することによって、アナグリフにおいて測定、制御されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
適用なし。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
適用なし。
【0003】
シーケンスリスト、表またはコンピュータプログラムリストのコンパクトディスク添付書類の参照
適用なし。
【0004】
立体画像は、一般的に横方向の透視投影における小さな変化に関係する2つの画像からなる。イネーブル装置を通して見たときに、立体画像は、立体的な深さの認識を提供してもよい。アナグリフは、原色の異なる集合が立体的なペアの第1の画像および第2の画像をレンダリングするために用いられる立体画像である。通常、第1の画像および第2の画像のスペクトルは、あまり重ならない。次に、第1の画像および第2の画像は、2つの補色観察フィルタを用いて選択的に見てもよい。第1の観察フィルタFは、第1の画像を見るために用いられてもよく、第2の観察フィルタFは、第2の画像を見るために用いられてもよい。第1のフィルタは、第1の画像の原色を実質的に透過し、第2の画像の原色を遮断する。第2のフィルタは、第2の画像の原色を実質的に透過し、第1の画像の原色を遮断する。
【0005】
アナグリフは、3つの原色でレンダリングされることが多く、第1の画像は、2つの原色でレンダリングされ、第2の画像は、1つの原色でレンダリングされる。赤色/シアン色のアナグリフにおいて、第1の画像は、緑色および青色の原色でレンダリングされ、第2の画像は、赤色の原色でレンダリングされる。他のタイプのアナグリフは、青色/黄色のアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のアナグリフを含む。本願明細書において、これらのアナグリフは、3色アナグリフと呼ばれる。
【背景技術】
【0006】
アナグリフは、比較的低コストおよびディスプレイデバイスとの広い互換性のために、立体画像を表示するために用いられることがよくある。しかし、従来のアナグリフには、いくつかの公知の欠点がある。第一に、従来のアナグリフは一般的に、カラー観察フィルタを通して見た場合に、減少した色域を呈する。第二に、従来のアナグリフは一般的に、ユーザに不快さをもたらす可能性がある視野闘争を呈する。従来技術は、アナグリフの色域を改善するために多くの方法を含む。従来技術はまた、アナグリフにおける視野闘争を低減するために多くの方法を含む。しかし、これらのアナグリフは依然として、色域を減少させ、視野闘争を呈する。
【0007】
カラーフィルタを通して対象物を見ることは、対象物の観察される色域を減少させる可能性があることは公知である。一般に、1つの原色のみを透過するカラーフィルタは、フィルタを通して色相を十分に認識可能にすることがない可能性がある。たとえば、純粋な赤色の原色においてレンダリングされた画像は、赤色のフィルタを通して見たときに、略グレースケール画像であるように見える可能性がある。
【0008】
他方、2つの原色を透過するフィルタは、2つの原色に関連する色相のみをフィルタを通して認識可能にする可能性がある。両方の原色からなる色相は、フィルタを通して略灰色であるように見える可能性がある。たとえば、シアン色フィルタ(緑色光および青色光を透過する)は、緑色の原色が黄色にどれほど近いかに応じて、青色の色相および緑色の色相のみまたは青色の色相および黄緑色の色相のみをフィルタを通して認識可能にする可能性がある。純粋なシアン色の色相においてレンダリングされる画像は、シアン色フィルタを通して見たときに、略グレースケール画像に見える可能性がある。これらの現象は、純粋なシアン色フィルタおよび純粋な赤色フィルタを通してデジタルカラースペクトルを見ることによって、確認されてもよい。デジタル画像を編集するためのソフトウェアプログラムは、色選択ツールにおいて、適切なデジタルカラースペクトルを提供することがよくある。
【0009】
アナグリフにおける第2の画像は一般的に、グレースケール画像として認識されるため、アナグリフの立体視で観察される色域は一般的に、2つの原色においてレンダリングされる第1の画像の色域に類似している。アナグリフにおける第1の画像は一般的に、第2の画像以上に色認識に寄与する。
【0010】
これらの観察から、青色の色相および黄緑色の色相のみが、赤色/シアン色のアナグリフにおいて認識される可能性がある。しかし、他の色の色相は、従来の赤色/シアン色のアナグリフにおいて可視であることが多い。
【0011】
赤色/シアン色のアナグリフを作成する1つの慣用法は、第1の画像の緑色および青色の原色チャネルを第2の画像の赤色の原色チャネルと結合させることである。この種のアナグリフは、「トゥルーカラー」アナグリフと呼ばれることがよくある。意外にも、赤色の色相およびシアン色の色相は、赤色観察フィルタおよびシアン色観察フィルタを通して見たときに、いくつかのトゥルーカラーアナグリフにおいて認識される可能性がある。言い換えれば、単一のフィルタは赤色の色相またはシアン色の色相を認識可能にしないのに対し、2つのフィルタを通した立体視は、赤色の色相およびシアン色の色相を認識可能にする可能性がある。しかし、赤色の色相およびシアン色の色相は一般的に、大量の視野闘争を伴う。同様の現象は、同様の青色/黄色のトゥルーカラーアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のトゥルーカラーアナグリフにおいて生じる。
【0012】
トゥルーカラーアナグリフは一般的に、快適な観察のためには多すぎる視野闘争を有する。したがって、トゥルーカラーアナグリフにおいて観察されるよりも少ない視野闘争を有するアナグリフを生成するために、従来技術において多くの方法が開発された。より少ない視野闘争を観察するために、アナグリフは、修正色を有する画像から構成されることがよくある。これらの色修正は、アナグリフにおいて観察される視野闘争を低減させる可能性があるが、アナグリフにおいて認識される色相のスペクトルまたは飽和も低減させる可能性がある。本願明細書において、修正色を有し、3つの原色においてレンダリングされるこれらのアナグリフは、部分色アナグリフと呼ばれる。
【0013】
視野闘争を低減することが周知であるアナグリフを構成する前に、立体画像に適用されてもよい種々の編集動作がある。これらは、色相の脱飽和および色相の置換を含む。多くの方法は、画像の局所的な編集を伴い、その結果、編集機能が画像全体を通じて変化する。これらは、アナグリフを作成するためのきわめて労働集約的かつ高価な方法である。従来技術の具体的な方法は、高い視野闘争のパッチが立体視全体に依然として散乱されている間に、立体視における視野闘争の平均的な低減を生じる可能性がある。しかし、従来技術は、立体画像における最初の色成分の任意の寄与に関して、視野闘争を任意に低いレベルまで低減するための方法を提供するわけではない。従来技術は、部分色アナグリフを作成するときに、視野闘争の回避方法の作業理論に欠けている。
【0014】
カラーアナグリフにおいて視野闘争を回避するために必要とされる条件は、従来技術において記載されていない。一般的に、従来技術では、アナグリフにおいて観察される色域と視野闘争のレベルとの間の妥協を考慮している。視野闘争はカラーアナグリフにおいて必然的にある程度存在すると広く信じられている。言い換えれば、すべてのカラーアナグリフは、グレースケール画像より多くの視野闘争を有すると広く信じられている。従来技術の大部分の試みは、低減しているものの、十分な量の視野闘争を許容すると同時に、部分色アナグリフの色域を改善することに向けられている。
【0015】
漏洩観察フィルタを用いることによって、アナグリフの色域を増大させるための方法が従来技術に存在する。部分色アナグリフにおいて認識される色相の範囲は、観察フィルタの一方または両方が、フィルタを通して少量の別の原色を部分的に透過または漏洩できるようにすることによって、ある程度まで拡大される可能性があることは公知である。たとえば、少量の緑色光も透過する赤色フィルタは、暗緑色の色相および不飽和な赤色の色相を赤色フィルタを通して認識可能にする可能性がある。または、少量の赤色光も透過するシアン色フィルタは、暗赤色の色相および不飽和なシアン色の色相をフィルタを通して認識可能にする可能性がある。
【0016】
観察フィルタを通して対向する画像の原色の一部を透過することで、ユーザには立体視におけるゴースト画像または二重像が見える可能性がある。二重像は、立体的なペアを融合させるユーザの能力を低下させる可能性があり、立体視において認識される立体的な深さを低減させる可能性がある。したがって、漏洩フィルタを用いるときには、漏洩によって作成される余分な色相の利点は、より浅い立体的な深さを認識するという欠点と釣り合っていなければならない。
【0017】
赤色/シアン色のアナグリフを見るための従来のシアン色フィルタは、フィルタを通して少量の赤色の原色を漏洩するように設計されることがよくある。これは、シアン色フィルタを通して弱い赤みがかった色相を認識可能にする。しかし、漏洩した赤色の原色は、第1の画像の観察において第2の画像のゴーストを作成する。さらに、第2の画像は、立体視差に起因して、第1の画像からずれていることがよくあるため、第2の画像からの赤色光が、第1の画像の色に正確に寄与するための適切な位置に常にあるとは限らない。青色/黄色のアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のアナグリフを有する漏洩フィルタを用いるときには、同様の欠点が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来技術は、CIE(国際照明委員会)RGBカラーモデルなどの従来のカラーモデルを用いて、漏洩フィルタによって見られるアナグリフにおいて観察される色域を予測するための方法を含む。CIEカラーモデルは、赤色、緑色および青色の原色のために開発された。しかし、色認識は、カラー観察フィルタによって著しく変化することは明白である。たとえば、赤色観察フィルタは、従来のカラーモデルにおいて暗色と見なされる赤色を明るい不飽和色である白色に変化させる可能性がある。したがって、カラーフィルタによって認識可能な色域を予測するために、従来のカラーモデル計算を適用することの意義には問題がある。さらに、アナグリフにおいて認識可能な色域は、視野闘争の量および分布に左右される。実際には、認識される色域における視野闘争の効果は、フィルタを通じた補色を漏洩する効果より高いことがよくある。これは、従来のカラーモデルに基づく色域計算が、従来のアナグリフに適用されるときに、意義が限定されるというさらなる理由でもある。
【0019】
グレースケールアナグリフは、立体画像のグレースケールバージョンから構成されるアナグリフである。第1の画像のグレースケール値が、2つの原色において表示されるのに対して、第2の画像のグレースケール値は、残りの原色において表示される。グレースケールアナグリフは、アナグリフ観察フィルタを通して見たときに、グレースケールのように見える可能性がある。グレースケールアナグリフは、ほとんど認識可能でない視野闘争を有するという利点があるが、カラーの立体視を提供しないという欠点がある。本願明細書において、アナグリフは、特記がない限り、色アナグリフであるものと考える。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一実施形態は、立体画像からアナグリフを作成する方法であって、第1の画像および第2の画像を含む立体画像を含み、第1の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pによって表され、第2の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pによって表され、明度変換データを含む明度変換Gを用いて、座標{P,...,Pを明度座標{Qに変換し、アナグリフの第1の画像が、座標{P,...,Pによって表され、アナグリフの第2の画像が、座標{Qによって表され、それにより、明度コントラストが、アナグリフの第1の画像および第2の画像において釣り合いをとることができる方法について記載する。
【0021】
本発明の別の実施形態は、立体画像からアナグリフを作成する方法であって、第1の画像および第2の画像を含む立体画像を含み、第1の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pによって表され、第2の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pによって表され、投影変換Gを用いて、座標{P,...,Pを2つ以上の色座標{P,...,P‘に投影し、投影変換Gを用いて、座標{P,...,Pを2つ以上の色座標{P,...,P‘に投影し、投影変換Gは、投影データを含み、明度変換Gを用いて、座標{P,...,P‘を明度座標{Q’に変換し、明度変換Gは、明度変換データを含み、アナグリフの第1の画像が、座標{P,...,Pによって表され、アナグリフの第2の画像が、座標{Qによって表され、それにより、明度コントラストが、アナグリフの第1の画像および第2の画像において釣り合いをとることができる方法について記載する。
【0022】
本発明の別の実施形態は、立体画像からアナグリフを作成する方法であって、第1の画像および第2の画像を含む立体画像を含み、第1の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能であり、第2の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能であり、明度変換データを含む明度変換Gを用いて、座標{P,...,Pを明度座標{Q1Bに変換し、闘争データZを含む闘争変換Gを用いて、座標{Q1Bを座標{Qに変換し、アナグリフの第1の画像が、座標{P,...,Pによって表され、アナグリフの第2の画像が、座標{Qによって表され、それにより、釣り合いのとれた明度を有するアナグリフの立体視の色域が、制御された量の視野闘争によって拡張されることができる方法について記載する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、立体画像からアナグリフを作成する方法であって、第1の画像および第2の画像を含む立体画像を含み、第1の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能であり、第2の画像は、2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能であり、マスク画像{M,...,M}を含むマスキング変換Gを用いて、座標{P,...,Pをマスク座標{P1M,...,PmMに変換し、明度変換データを含む明度変換Gを用いて、座標{P1M,...,PmMを明度座標{Qに変換し、アナグリフの第1の画像が、座標{P,...,Pによって表され、アナグリフの第2の画像が、座標{Qによって表され、それにより、明度コントラストが、アナグリフの第1の画像および第2の画像において釣り合いをとることができる方法について記載する。
【0024】
本発明の別の実施形態は、第1の画像および第2の画像を含む立体画像と、3つ以上の原色{P,...,P}を提供するディスプレイ装置と、赤色、緑色および青色の原色を含む原色{P,...,P}と、原色Qのスペクトルと実質的に重ならない原色{P,...,P}のスペクトルと、原色{P,...,P}を用いて第1の画像を表示することと、原色Qを用いて第2の画像を表示することと、を含む方法について記載する。
【0025】
本発明の別の実施形態は、第1のフィルタおよび第2のフィルタを備える立体画像を見るための装置であって、第1のフィルタが3つの原色{P,P,P}のスペクトルと実質的に重なり、第2のフィルタのスペクトルが原色Qのスペクトルと実質的に重なり、第2のフィルタのスペクトルが第1のフィルタのスペクトルルと実質的に重ならない装置について記載する。
【0026】
本発明の別の実施形態は、2つ以上の原色{P,...,P}および原色Qを提供するディスプレイ装置と、原色{P,...,P}を実質的に透過し、原色Qを遮断する第1の観察フィルタFと、原色Qを実質的に透過し、原色{P,...,P}および2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能な画像を遮断する第2の観察フィルタFと、を含む立体画像を表示するための装置を較正し、明度変換データを含む明度変換Gを用いて、座標{P,...,Pを明度座標{Qに変換し、原色{P,...,P}を用いて座標{P,...,Pを表示し、原色Qを用いて明度座標{Qを表示し、第1の観察フィルタFによって原色{P,...,P}における第1の画像を見て、第2の観察フィルタFによって原色Qにおける第1の画像を見て、第1の観察フィルタおよび第2の観察フィルタによって見られる第1の画像の明度コントラストを比較し、新たな明度変換データを選択し、それにより、アナグリフの明度コントラストと釣り合いをとる明度変換データが、ディスプレイ装置用に決定され得る方法について記載する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、アナグリフにおける視野闘争を測定する方法であって、第1の画像および第2の画像を含むアナグリフを含み、第1の画像は、2つ以上の色座標{P,...,P}によって表され、第2の画像は、色座標Qによって表され、明度変換データを含む明度変換Gを用いて、座標{P,...,P}を明度座標Q1Bに変換し、視野闘争Zは、Zの関数Z=G(Z)であり、第1の画像および第2の画像における類似の対象に関してZ=(Q1B−Q)/Q1Bである方法について記載する。
【0028】
本発明は、広い色域を有し、視野闘争を有さないか、またはアナグリフの立体視において制御された量の視野闘争を有するアナグリフ形式において、デジタル立体画像をレンダリングし、表示して見るための、原色および特殊フィルタの使用に関する。
【0029】
本発明の一部の実施形態は、わずかな視野闘争または認識可能でない視野闘争を有するアナグリフを作成して表示するための方法を含む。本発明は、立体的な情報を処理するために、視覚系が用いる色特性を識別する。本願明細書において、この立体的な色特性は、明度コントラストまたは明度と呼ばれる。明度は、画像における明度コントラストのキャリアと考えられてもよい。明度コントラストが、立体視における類似の対象に関して釣り合っている場合には、視野闘争は本質的に存在しない可能があり、十分な立体的な深さ(真の深さ)が、立体視において認識される可能性がある。本願明細書において、釣り合いのとれた明度コントラストを有するアナグリフは、絶対的な明度が左の視野および右の視野において異なっている可能性があったとしても、釣り合いのとれた明度を有すると言われることが時々ある。本願明細書において、釣り合いのとれた明度は、真の深さのアナグリフまたは釣り合いのとれた明度のアナグリフと呼ばれることが時々ある。
【0030】
本発明の一部の実施形態は、4つ以上の原色を用いてアナグリフ画像を作成して表示するための方法を含む。本願明細書において、この種のアナグリフは、5つ以上の原色からなっている可能性があったとしても、4色アナグリフと呼ばれることが時々ある。4色アナグリフの立体視は、第1のフィルタが第1の画像を透過し、第2の画像を遮断し、第2のフィルタが第2の画像を透過し、第1の画像を遮断する観察フィルタを通して見られてもよい。
【0031】
本発明の一部の実施形態は、釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフのほか、釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフを作成して表示するための方法を含む。アナグリフにおける視野闘争が減少されるため、アナグリフの立体視において観察される色域は、第1の観察フィルタを通して見られる第1の画像の色域に対処する可能性がある、したがって、釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフの色域は、第1の画像の2つの原色を関連付けるCIE(国際照明委員会)xy色度図における略一次元の線分であってもよい。釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフの色域は、カラーホイールにおける色相の約半分を含んでもよい。釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフの色域は、第1の画像の3つの原色によって定義されるCIExy色度図におけるニ次元の三角形によって略画定されてもよい。釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフの色域は、カラーホイールの略すべての色相を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】4つの原色の代表的なスペクトルを示す。本発明の異なる種類の4色アナグリフに関する2つの観察フィルタFおよびFのスペクトルも示す。
【図2】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が赤色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が赤色P、緑色Pおよび青色Pの原色においてレンダリングされる。
【図3】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が黄色または橙色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が赤色P、緑色Pおよび青色Pの原色においてレンダリングされる。
【図4】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像がシアン色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が赤色P、緑色Pおよび青色Pの原色においてレンダリングされる。
【図5】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が青色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が黄色または赤色P、緑色Pおよびシアン色Pの原色においてレンダリングされる。
【図6】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が赤色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が緑色Pおよび青色Pの原色においてレンダリングされる。
【図7】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が青色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が赤色Pおよび緑色Pの原色においてレンダリングされる。
【図8】アナグリフに関する色対視野闘争の状態図を示す。
【図9】釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフを作成するために、明度変換Gを較正する方法を示す。
【図10】明度変換Gを用いて釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフを作成するための方法を示す。
【図11】釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフを作成するために、明度変換Gを較正する方法を示す。
【図12】明度変換Gを用いて釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフを作成するための方法を示す。
【図13】明度変換Gおよび選択された視野闘争Zを用いて、制御された量の視野闘争を提供するために、3色アナグリフを作成する修正された方法を示す。
【図14】選択された量の視野闘争を有するアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が赤色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が緑色Pおよび青色Pの原色においてレンダリングされる。
【図15】真の深さのアナグリフの代表的な色域を示し、ここではアナグリフの第2の画像が赤色Qの原色においてレンダリングされ、第1の画像が黄色P、緑色Pおよび青色Pの原色においてレンダリングされる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
4色アナグリフ
本発明の一部の実施形態は、4つ以上の原色を用いてアナグリフを表示するための方法を含む。第1の画像は、3つ以上の独立な原色{P,...,P}においてレンダリングされてもよく、第2の画像は、1つの原色Qにおいてレンダリングされてもよい。本願明細書において、この種のアナグリフは、5つ以上の原色からなっている可能性があったとしても、4色アナグリフと呼ばれる。本願明細書において、特記がない限り、原色{P,...,P}は、独立な原色からなる。非独立な原色は、他の原色の組み合わせと実質的に等価である。たとえば、CMYK印刷用原色において、黒色は、シアン色C、マゼンタ色Mおよび黄色Yの原色の組み合わせから得られてもよいため、黒色Kは、非独立な原色である。減法混色の原色は、加法混色の原色座標に変換されてもよく、本発明の範囲に包含される。非独立な原色もまた、本発明の範囲に包含される。
【0034】
本発明の一部の実施形態において、1対の観察フィルタは、4色アナグリフを見るために提供される。第1の観察フィルタFは、原色{P,...,P}を透過し、原色Qを遮断する。第2の観察フィルタFは、原色Qを透過し、原色{P,...,P}を遮断する。第1の観察フィルタおよび/または第2の観察フィルタに関して、観察フィルタを通して少量の輝度の遮断される原色を漏洩することは、本発明の範囲内にある。
【0035】
本発明の一部の実施形態において、原色Qのスペクトルは、原色{P,...,P}のスペクトルに実質的に重ならない。これは一般的に、アナグリフの第1の画像および第2の画像が第1の色フィルタおよび第2の色フィルタを通してそれぞれ選択的に見られることを可能にする。
【0036】
本発明の一部の実施形態において、原色Qのスペクトルは、原色{P,...,P}のスペクトルの一部と重なっていてもよく、または原色Pのうちの1つのスペクトルに等しくてもよい。この実施形態において、原色{P,...,P}の偏光状態は、原色Qの偏光状態に対して逆であってもよい。次に、偏光フィルタFが原色{P,...,P}の偏光状態を有する光を透過し、偏光フィルタFが原色Qの偏光状態を有する光を透過する場合には、第1の画像および第2の画像は、第1の偏光フィルタFおよび第2の偏光フィルタFを用いて選択的に見られてもよい。
【0037】
本発明の一部の実施形態において、アナグリフの第1の画像および第2の画像は、表面上に重ね合わせられてもよい。本発明の他の実施形態において、第1の領域および第2の領域が重ならない場合には、第1の画像は、第1の表面の第1の領域で表示されてもよく、第2の画像は、第2の表面の第2の領域で表示されてもよい。実施例としては、2つの画像が並んで表示されてもよく、または各目が個別のディスプレイ面を見ることができる場合には、2つの画像が頭部装着型ディスプレイに表示されてもよい。
【0038】
視野闘争がゼロに近づくにつれて、アナグリフの立体視において観察される色域は、第1の観察フィルタを通して見られる第1の画像の色域に対処してもよい。第1のフィルタを通して見られる4色アナグリフの第1の画像の色域は、CIExy色度図においてニ次元の三角形であってもよい。本願明細書において、画像の色域は、画像をレンダリングするために用いられる原色の集合の色域と考えられる。原色の集合の色域は、原色の集合を用いてレンダリングされることができる色の集合である。原色の集合の色域は、CIE色度図に原色のxy色度座標をプロットすることによって示されてもよい。CIE色度図の特性は、色度図において原色を表す点を線分と関連付けることによって示されることができる。色域は、線分によって画定される領域を含む。
【0039】
本発明の一部の実施形態において、アナグリフは、デジタルプロジェクタ、LCDディスプレイおよびCRTディスプレイをはじめとするデジタルディスプレイデバイスによって表示されてもよい。他の実施形態において、アナグリフは、不透明または透明な印刷媒体をはじめとする印刷媒体上に表示されてもよい。
【0040】
図1は、4つの原色を表す重ならないスペクトル102、104、106および108を示す。第1のスペクトル102は、青色の原色であってもよい。第2のスペクトル104は、シアン色または緑色の原色であってもよい。第3のスペクトル106は、緑色、黄色、橙色または赤色の原色であってもよい。第4のスペクトル108は、赤色、または遠赤色の原色であってもよい。原色Qは、本発明の異なる実施形態における4つのスペクトルのいずれかによって表されてもよい。言い換えれば、原色Qは、青色、シアン色、緑色、黄色、橙色、赤色または遠赤色であってもよい。原色{P,P,P}は、他の3つのスペクトルによって表されてもよく、これら他の3つのスペクトルは、赤色、緑色および青色の原色を一般的に含む可能性があるが、黄色、緑色および青色の原色または橙色、緑色および青色の原色または赤色、緑色およびシアン色の原色を含んでもよい。各実施形態の第1の観察フィルタFは、原色{P,P,P}を透過し、第2の観察フィルタFは、原色Qを透過する。
【0041】
本発明の一実施形態において、原色Qは、赤色であってもよい。図1は、プロット118においてフィルタFおよびFの透過スペクトルを示す。赤色の原色Qは、第4のスペクトル108によって表される。原色Pは、赤色、橙色または黄色であってもよく、第3のスペクトル106によって表される。原色Pは、緑色であってもよく、第2のスペクトル104によって表される。原色Pは、青色であってもよく、第1のスペクトル102によって表される。図2は、原色Pが赤色であるCIExy色度図における本実施形態のアナグリフの色域202を示す。アナグリフの色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点P、PおよびPによって形成される三角形によって表されてもよい。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。
【0042】
別の実施形態において、原色Pは、黄色または橙色であってもよい。図15は、原色Pが黄色であるCIExy色度図における本実施形態のアナグリフの色域1502を示す。アナグリフの色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点P,PおよびPによって形成される三角形によって表されてもよい。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。点W’は、第1の観察フィルタを通して見た見かけの白色点の近似位置を表す。この実施形態は、4つ以上の独立なインクスペクトルを含む高忠実度インクで印刷される画像を含んでもよい。たとえば、高忠実度インクとしては、シアン色、マゼンタ色、黄色、緑色および橙色の原色が挙げられ得る。
【0043】
本発明の別の実施形態において、原色Qは、黄色または橙色であってもよい。図1は、プロット116においてフィルタFおよびFの透過スペクトルを示す。黄色または橙色の原色Qは、第3のスペクトル106によって表される。原色Pは、赤色であってもよく、第4のスペクトル108によって表される。原色Pは、緑色であってもよく、第2のスペクトル104によって表される。原色Pは、青色であってもよく、第1のスペクトル102によって表される。図3は、CIExy色度図における本実施形態のアナグリフの色域302を示す。アナグリフの色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点P、PおよびPによって形成される三角形によって表されてもよい。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。
【0044】
本発明の別の実施形態において、原色Qは、シアン色であってもよい。図1は、プロット114においてフィルタFおよびFの透過スペクトルを示す。シアン色の原色Qは、第2のスペクトル104によって表される。原色Pは、赤色であってもよく、第4のスペクトル108によって表される。原色Pは、緑色であってもよく、第3のスペクトル106によって表される。原色Pは、青色であってもよく、第1のスペクトル102によって表される。図4は、CIExy色度図における本実施形態のアナグリフの色域402を示す。アナグリフの色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点P、PおよびPによって形成される三角形によって表されてもよい。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。
【0045】
本発明の別の実施形態において、原色Qは、青色であってもよい。図1は、プロット112においてフィルタFおよびFの透過スペクトルを示す。青色の原色Qは、第1のスペクトル102によって表される。原色Pは、赤色であってもよく、第4のスペクトル108によって表される。原色Pは、緑色であってもよく、第2のスペクトル106によって表される。原色Pは、シアン色であってもよく、第2のスペクトル104によって表される。図5は、CIExy色度図における本実施形態のアナグリフの色域502を示す。アナグリフの色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点P、PおよびPによって形成される三角形によって表されてもよい。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。
【0046】
フィルタFおよびFを通してアナグリフを見るとき、白色点W’は一般的に、アナグリフの色域の中間近くに移動する。白色点におけるシフトは、いくつかの色の飽和および色相に影響を及ぼす。3色アナグリフの場合には、白色点W’は、色域線分の中心に向かってシフトする可能性がある。この場合には、色域の中点付近の色相は、脱飽和であるか、または色が褪せる可能性がある。4色アナグリフの場合には、白色点は、三角形の色域の中心に向かってシフトする可能性がある。白色点におけるこのシフトは、赤色、黄色、緑色、シアン色、青色およびマゼンタ色の色相をはじめとする色相の全スペクトルを、アナグリフの色域において視覚的に認識可能にする可能性がある。
【0047】
3色アナグリフの第1の画像の色域は、一次元の線分であってもよい。図6は、CIExy色度図における視野闘争がない赤色/シアン色のアナグリフの色域602を示す。色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点PおよびPを結ぶ線分である。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。
【0048】
図7は、CIExy色度図における視野闘争がない青色/黄色のアナグリフの色域702を示す。色域は、アナグリフの第1の画像の原色を表す点PおよびPを結ぶ線分である。点Qは、第2の画像の原色を表す。点Wは、従来の白色点を表す。
【0049】
3色アナグリフに関して、白色点は一般的に、色域の線分の中点近くに移動する。図6および図7は、第1の色フィルタを通して見た白色点W’の近似位置を示す。白色点におけるシフトは一般的に、約3つの色相を色域において視覚的に認識可能にする。たとえば、赤色/シアン色のアナグリフの色域は、黄色、部分的な緑色および青色の色相を含んでもよく、場合によっては、白色点にマゼンタ色の色合いを含んでもよい。緑色/マゼンタ色のアナグリフの色域は、赤色および青色の色相を含んでもよく、場合によっては白色点にマゼンタ色の色合いを含んでもよい。青色/黄色のアナグリフの色域は、赤色および緑色の色相を含んでもよく、場合によっては白色点に黄色の色合いを含んでもよい。
【0050】
4色アナグリフの色域はニ次元であってもよいため、4色アナグリフは一般的に、3色アナグリフより大きな色域を有する可能性がある。
【0051】
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフ
視野闘争は、立体的なペアからなる第1の画像および第2の画像における釣り合いのとれていない明度コントラストに関連付けられてもよい。たとえば、赤色の対象物は、赤色フィルタによって比較的明るく見える可能性があり、シアン色フィルタによって比較的暗く見える可能性があるが、立体視において視野闘争を生じる可能性がある。一般的に人間の視覚系は、一方の眼で観察される暗い対象物を他方の眼で観察される明るい対象物と容易に融合することはできない。代わりに、ユーザは本質的に、左眼および右眼が独立に「見て」、立体的な認識がかなり低減するか、またはない複視を経験する。(立体的な認識は、両眼の連携を必要とする。)
同様に、視野闘争が立体視においてどこで観察されたとしても、立体的な認識は、低減される可能性がある。立体視における視野闘争を回避することは、完全な立体的な深さの認識に必要な状態と本質的に同一であることが、本発明の発見である。立体的な深さの認識は、対象物間の関係を観察することに左右されるため、画像の小さな部分における視野闘争は画像の他の部分における立体的な深さの認識もまた著しく低減させる可能性がある。
【0052】
本発明の一部の実施形態は、視野闘争のほとんどないか、または全くないアナグリフを作成するための方法を含む。本発明は、立体的な情報を処理するために、視覚系によって実質的に用いられる色特性を識別する。本願明細書において、この立体的な色特性は、明度コントラストまたは明度と呼ばれる。明度は、画像における明度コントラストのキャリアと考えられてもよい。明度コントラストが、類似の対象に関して両眼において釣り合っている場合には、視野闘争は本質的に立体視に存在しない可能性があり、完全な立体的な深さ(真の深さ)が、立体視において認識される可能性がある。釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法は、3色アナグリフのほか、4色アナグリフに適用されることができる。本願明細書において、釣り合いのとれた明度コントラストを有するアナグリフは、絶対的な明度が左の視野および右の視野において異なっている可能性があったとしても、釣り合いのとれた明度を有すると言われることが時々ある。本願明細書において、釣り合いのとれた明度は、真の深さのアナグリフまたは釣り合いのとれた明度のアナグリフと呼ばれることが時々ある。
【0053】
従来技術において、「明度」なる語は一般的に、光の物理的特性ではなく、光の観察された特性を記述するために用いられる。本発明において、明度はまた、光の観察された特性を記述する。しかし、本発明において、明度は、観察によって決定されることができる視野闘争がないことによって定義される。
【0054】
アナグリフは、第2の画像における輝度より第1の画像において約3〜10倍の輝度を有することがよくある。これは、第2の画像の単一の原色Qが、第1の画像の2つ以上の原色と略同程度の輝度を提供するわけではないことによる。第2の画像が第1の画像の約15〜30%の輝度を有する場合には、第2の画像は、視力の適応のために第1の画像と略同一の輝度であるように見える可能性がある。約15〜30%の第2の画像の低い方の輝度は、アナグリフにおける色域を第1の画像の色域と類似であるようにすることができる。
【0055】
明度がアナグリフにおいて釣り合っている場合には、立体視の色域は、第1の画像の色域と略同一であってもよい。たとえば、明度が釣り合っている場合には、赤色/シアン色のアナグリフの色域は、シアン色フィルタを通して見た第1の画像において観察される色域と略等しくてもよい。同様に、4色アナグリフにおいて観察される色域は、第1の画像の色域に略等しくてもよい。したがって、図2〜図7および図15は、釣り合いのとれた明度の4色アナグリフおよび3色アナグリフの色域を略示している。釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフは一般的に、図6および図7に概略的に示される一次元の色域を有する可能性がある。釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフは一般的に、図2〜図5に概略的に示される二次元の色域を有する可能性がある。
【0056】
原色Qは、立体視における白色を原色Qの色相に向かってシフトさせることが時々ある。このため、原色Qの色相から第1の画像の白色点を遠ざけるようにシフトさせるために、第1の画像の補正色処理を行うことが有益である場合がある。
【0057】
相当の視野闘争を有するアナグリフは一般的に、視野闘争がない場合より大きな色域を有する可能性があるが、深さの認識が低減される。図8は、色対視野闘争の状態図において、従来技術の釣り合いのとれた明度のない3色アナグリフに対する本発明の釣り合いのとれた明度を有するアナグリフの関係を示す。視野闘争がゼロの垂直の線分は、本発明のアナグリフの一部を表す。カラーホイールの色相の約半分が、3色アナグリフにおいて観察される可能性があるため、本発明の釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフは、50%の色点802で描かれる。たとえば、釣り合いのとれた明度を有する赤色/シアン色のアナグリフにおいて、6つの色相から3つの色相、すなわち、(1)青色、(2)不飽和な緑色および(3)黄色に近い色が認識される可能性がある。不明な色相は、(1)赤色、(2)マゼンタ色および(3)シアン色の可能性がある(不飽和なシアン色は認識可能である可能性がある)。本発明の釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフは、色相の全スペクトルを4色アナグリフにおいて観察することができる可能性があるため、100%の色点804で描かれる。
【0058】
図8における色がゼロの点における水平線は、従来技術のグレースケールアナグリフを表す。グレースケール画像は、視覚系が、立体的な深さを認識するために用いる本発明の明度の色特性を決定することを必要とすることなく、略釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成することができる。色アナグリフの明度の釣り合いをとるために、明度コントラストが色の色相、飽和および輝度(または明度コントラスト)にどのように左右されるかを決定することが必要である。グレースケール画像は、明度のみが輝度(または輝度コントラスト)に左右されるため、一定の色相および飽和を有する。輝度(または輝度コントラスト)は、グレースケール画像において略釣り合いがとれている可能性があるため、明度コントラストもまた、自動的に略釣り合いがとれている可能性がある。したがって、図8において、色がゼロ、視野闘争もゼロ(0,0)である点808は、従来技術の最大のグレースケールアナグリフを表す。
【0059】
従来技術の色アナグリフにおいて、色飽和がゼロから増大するにつれて、視野闘争が非ゼロになる。図8において、曲線818は、視野闘争と色域との間の妥協を試みる従来技術のアナグリフの包絡線を概略的に表す。従来技術のトゥルーカラーアナグリフは、100%の色および100%の視野闘争を有する点806(100,100)で描かれる(但し、トゥルーカラーアナグリフは、100%の色を厳密に有していない可能性がある)。たとえば、トゥルーカラーアナグリフにおいて純粋な赤色またはシアン色の色相は、最大の視野闘争を有する。トゥルーカラーアナグリフは、フルカラーを有するものとして記述されることがよくある。
【0060】
立体画像を脱飽和することは通常、トゥルーカラーアナグリフに比べて、アナグリフの立体視における視野闘争を低減させる。従来技術の脱飽和処理は、図8において矢印810によって表される。相当の視野闘争の存在下で色域を最大にしようと試みるか、または視野闘争と色域との間の妥協を追及しようとする従来技術における方法は、図8における矢印814および816によって表されてもよい。
【0061】
図8は、本発明の釣り合いのとれた明度を有するアナグリフと従来技術のアナグリフとの間の差異があるのに対して、従来技術のアナグリフが一般的に、どのように色域/視野闘争状態図において連続体であるかを示す。曲線818と視野闘争がゼロの線との間の領域820は、本発明のさらなる方法を表し、ここではアナグリフにおける視野闘争が一定レベル以下に制限される可能性がある。
【0062】
方法
立体的な深さを処理するために視覚系によって用いられる色特性は、赤色/シアン色のアナグリフにおける視野闘争をさらに低減しようと試みる間に、一連の近時方法を通じて本発明者によって発見された。以下の方法は、概念的には類似であるが、ディスプレイデバイスの非線形性を徐々にうまく考慮している。以下の方法2は、記載した第1の方法であり、ディスプレイデバイスの非線形性を部分的に考慮している。各方法は、視野闘争が方法によって一定のレベル以下に制限される可能性がある場合に、アナグリフにおける視野闘争に関する制御を提供する。本願明細書において、視野闘争が一定のレベル以下に制限されるアナグリフは、釣り合いのとれた明度を有するアナグリフと呼ばれる。
【0063】
第一に、対象におけるエッジが他方の眼より一方の眼でより強いコントラストで観察される場合には、視野闘争がアナグリフにおいて生じることに注目した。すべての対象におけるコントラストの釣り合いをとることは、視野闘争を削除することになると思われる。第二に、立体的な融合は、両眼によって観察される対象物のエッジに著しく左右されることに注目した。ここで、エッジは、画像におけるコントラストの任意のタイプに一般化されてもよい。全対象に関してすべてのエッジが両眼によって検出されるためには、画像におけるすべての明度で釣り合いのとれたコントラストを観察すれば、一見、十分そうである。本願明細書において、第1の視野および第2の視野における釣り合いのとれたコントラストの定義は、立体視における視野闘争を削除する2つの視野における相対的なコントラストである。次に、目的は、視野闘争を削除するために、立体視における左眼および右眼によって観察される全対象において、コントラストの釣り合いをとることであってもよい。完全な深さの認識を得ることは、視野闘争がないことに一見関係するこれらの方法のさらなる利点である。
【0064】
色相の明度は一般的に、明度コントラスの積分である。したがって、本発明は、従来技術の定義とは異なる明度の定義を提供する。本願明細書において、明度は、光の物理的特性ではなく、光の観察された特性である。異なる色相の相対的な明度は、ユーザによる主観的な評価に左右される。相対的な明度は、ユーザごとに変わってもよく、同一のユーザに関して時間の経過と共に変わってもよい。相対的な明度はまた、色のパッチのサイズ、周囲の色およびユーザの視力調節に左右される可能性もある。したがって、以下の方法を実現することは、技能、忍耐、訓練および複数の観察者を必要とすることが時々ある。
【0065】
アナグリフの第1の視野および第2の視野におけるコントラストの比較は、第1のフィルタおよび第2のフィルタそれぞれを通して、第1の画像および第2の画像を一方の眼を用いて間断なく見ることによって実行されてもよい。一方の眼を用いることは、眼の調節および眼の変化という問題の一部を削減する。さらに、テストアナグリフは、立体的な視差がアナグリフ全体を通してゼロであるようにするために、同一の左画像および右画像から準備されてもよい。これはまた、第1の画像と第2の画像との間の対象の変化の問題を解消する。
【0066】
以下に記載される方法の一部は、一定の実験変数の決定を必要とする。これらの変数は、第1の画像および第2の画像が同一であるテストアナグリフに関して決定されてもよい。第1の画像および第2の画像が同一である場合には、色座標は同一であり、第1の画像の色座標と第2の画像の色座標との間を区別する必要はない。方法の説明を簡単にするために、以下の説明では、第1の画像の色座標と第2の画像の色座標との間を時には区別しないことがある。一般に、方法は、一連の色操作を含み、この色操作としては、投影があげられ、アナグリフが構成される前に、両方の画像に適用され得る。次に、釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するために、第2の画像の場合の明度座標が、決定されてもよい。続いて、アナグリフは、修正された第1の画像および修正された第2の画像から決定された明度座標から構成されてもよい。方法の一部は、赤色/シアン色のアナグリフに関して以下に示される。これらの方法を青色/黄色のアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のアナグリフなどの他の3色アナグリフおよび4色アナグリフに適応することは、本発明の範囲内にある。
【0067】
釣り合いのとれた明度のための方法1
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法1において、赤色フィルタおよびシアン色フィルタを通して見たときに、一般的に釣り合いのとれた明度を有する色の色相は、識別されることができる。これは、異なる色のフィルタを通して観察した異なる色相の相対的な明度を比較することを伴ってもよい。異なる色相の明度を比較することは、視野の特性によって複雑化される可能性がある。緑色の色相および赤色の色相などの異なる色相の相対的な明度は、主観的判断に依存する。これらの判断は、ユーザ、周囲の色、周辺光、色パッチのサイズ、眼の色相および輝度の調節に左右される可能性があり、1人のユーザにとっても時間の経過と共に変化する可能性がある。にもかかわらず、赤色/シアン色のアナグリフの場合には、特定のコンピュータモニタに関して、2つの色相、すなわち、一定の黄緑色の色相および一定の青紫の色相は一般的に、赤色フィルタおよびシアン色フィルタの特定のペアを通して観察される明度の釣り合いをとることが決定された。したがって、立体画像における色が、これらの2つの色相の中に投影される場合には、観察される視野闘争は、立体視全体にわたって一定のレベル以下に制限される可能性がある。
【0068】
RGB座標に関して、2つの色相は、以下のように要約されてもよい。
【0069】
R=αG 黄緑色
R=αB 青みがかったマゼンタ色
式中、α<1、α<1は、色相を決定する測定可能な変数であってもよい。一般性を失うことなく議論を簡単にするために、α+α=1と仮定することができる。
【0070】
画像のグレー成分Wを減じることによって、αおよびαは、特定の画像に関してさらなる自由度または精度で最適化されてもよい。また、以下で説明される色投影ステップは、グレー成分を減じてさらなる自由度で行われてもよい。第一に、3つの色の色相、すなわち、赤色r、緑色gおよび青色bは、以下のように定義することができる。
【0071】
r=R−W、
g=G−W、
b=B−W、
W=min(R,G,B)
である。次に、釣り合いのとれた明度状態は、以下のように記述することができる。
【0072】
r’=αg+αb、
=W+r’、
=W+g、
=W+b
であり、式中、R、GおよびBは、アナグリフの原色座標値であり、r’は初期の画像における元のr座標値を置き換える新たな座標値を表す。上記の明度状態は、釣り合いのとれた明度を有するグレースケール画像(R,G,G)=(W,W,W)の場合を含む。
【0073】
一般に、異なるディスプレイ媒体は、αおよびαの異なる値を有してもよく、これは、異なる観察された色相に相当してもよく、または相当しなくてもよい。1つの特定のCRTコンピュータモニタの場合には、αは約0.9であり、αは約0.4であった。1つの特定のインクジェットプリンタの場合には、αは約0.7であり、αは約0.1であった。αおよびαは、一定の色規格に適合しないディスプレイ媒体に関して著しく変化すると予想されることができる。
【0074】
釣り合いのとれた明度を有する赤色/シアン色のアナグリフの作成において、赤色の色座標Rは、明度座標と置き換えられる。元のR色座標における情報を保持するために、最初に、元のRGB座標を新たなG’座標およびB’座標に投影することが好都合である場合がある。
【0075】
これは、最初に、(r,g,b,W)色座標を新たな(g,b,W)’座標に投影し、次に、(g,b,W)’座標から新たな(r)’色座標を計算し、最後に、アナグリフ(R,G,B)を作成することによって実現されてもよい。
【0076】
赤色/シアン色のアナグリフ
ステップ1:(R,G,B)→(r,g,b,W)
ステップ2:(r,g,b,W)→(g,b,W)
ステップ3:(g,b,W)’→(r)’、尚、r=αg+αb、
ステップ4:(r,g,b,W)→(R,G,B)’、
ステップ5:(R)’(G,B)’→(R,G,B)であり、
式中、iは、第1の画像または第2の画像であってもよい。
【0077】
ステップ2は、r座標における情報を
g’=βg+βr、
b’=βb+βrおよび
W’=βW+β
などの(g’,b’,W)座標に投影する方法によって実現されてもよく、式中、βは、選択可能な変数であってもよい。その他の多くの投影方法が可能であり、本発明の範囲内にある。本願明細書において、βは、投影データと呼ばれる。投影データは、ユーザの好みに応じてユーザによって選択されてもよい。投影データは、初期画像における色相の相対的な明度を投影画像に実質的に変換するように選択されてもよい。
【0078】
ステップ5は、第1の画像および第2の画像のRGB座標からアナグリフをどのように構成するかを示す。ステップ1〜4は、(R)’を得るために、第2の画像の原色に適用されてもよい。ステップ1〜2および4は、(G,B)’を得るために、第1の画像の原色に適用されてもよい。続いて、ステップ5は、RGB座標をアナグリフ(R,G,B)と結合する。
【0079】
この第1の方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0080】

(R,G,B)→(r,g,b,W)→(g,b,W)’→(G,B)
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0081】

(R,G,B)→(r,g,b,W)→(g,b,W)’→(r,W)’→(R)
式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換である。
【0082】
この方法において、ディスプレイ媒体の非線形性のために、画像に関するαおよびαの最適値は、画像における色の分布に左右される可能性がある。しかし、最適でないαおよびαであっても、視野闘争を低レベルに低減するために用いられることが時々ある。ディスプレイ媒体の非線形性は、以下の方法においてよりよく考慮される。そのため、特定の方法に関してαおよびαの最適値は、画像における色の分布に左右される可能性が少なく、画像における視野闘争がゼロに近づく可能性がある。
【0083】
釣り合いのとれた明度のための方法2
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法2において、ディスプレイデバイスにおける非線形が、ある程度まで考慮されてもよい。最初に、6つの色の色相、すなわち、赤色r、黄色y、緑色g、シアン色c、青色bおよびマゼンタ色mが、以下のように定義されてもよい。
【0084】
y=min(R,G)−W、
c=min(G,B)−W、
m=min(B,R)−W、
r=R−y−m−W、
g=G−y−c−W、
b=B−c−m−W、
W=min(R,G,B)。
【0085】
R座標、G座標およびB座標は、以下のようにこれらの座標から得られることができる。
【0086】
R=W+y+m+r;
G=W+y+c+g;
B=W+c+m+b。
【0087】
釣り合いのとれた明度条件は、以下のように要約されてもよい。
【0088】
y’=αg 黄緑色
m’=αb 青みがかったマゼンタ色
=W+c+y’+m’、
=W+c+g+y’、
=W+m’+b+c。
【0089】
式中、αおよびαは、2つの色相を決定する測定可能な変数であってもよく、R、GおよびBは、アナグリフ画像の原色座標である。c色相をR座標に追加することによって、シアン色の色相cが、アナグリフ画像において存在しない可能性がある(c=0)。また、r色相をR座標に追加しないことによって、赤色の色相rが、アナグリフ画像において存在しない可能性がある(r=0)。
【0090】
上記の方法1の場合のように、異なるディスプレイ媒体は、αおよびαの異なる最適値を有してもよく、これは、異なる観察された色相に相当してもよく、または相当しなくてもよい。1つの特定のCRTコンピュータモニタの場合には、αは約9であり、αは約2であった。1つの特定のインクジェットプリンタの場合には、αは約9であり、αは約0.3であった。αおよびαは、一定の色規格に適合しないディスプレイ媒体に関して著しく変化すると予想されることができる。
【0091】
この第2の方法は、最初に、(r,y,g,c,b,m,W)色座標を新たな(g,c,b,W)’座標に投影し、次に、(g,c,b,W)’座標から新たな(y、m)’色座標を計算し、最後に、アナグリフ(R,G,B)の原色座標を作成することによって実現されてもよい。
【0092】
赤色/シアン色のアナグリフ
ステップ1:(R,G,B)→(r,y,g,c,b,m,W)
ステップ2:(r,y,g,c,b,m,W)→(g,c,b,W)
ステップ3:(g,c,b,W)’→(y,m)’、尚、y=αg、m=αb、
ステップ4:(y,g,c,b,m,W)’→(R,G,B)’、尚、R=W+c+y+m、
ステップ5:(R)’(G,B)’→(R,G,B)であり、
式中、iは、第1の画像または第2の画像であってもよい。
【0093】
ステップ2は、初期のr座標、y座標およびm座標における情報を
b’=βb+βr+βm、
c’=βc、
g’=βg+βy+βrおよび
W’=βW+βr+βy+β10c+β11
などの(g’,b’,W)座標に投影する方法によって実現されてもよく、式中、βは、選択可能な変数であってもよい。その他の多くの投影方法が可能であり、本発明の範囲内にある。本願明細書において、β変数は、投影データと呼ばれる。投影データは、ユーザの好みに応じてユーザによって選択されてもよい。投影データは、初期画像における色相の相対的な明度を投影画像に実質的に変換するように選択されてもよい。
【0094】
この第2の方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0095】

(R,G,B)→(r,y,g,c,b,m,W)→(g,c,b,W)’→(y,g,c,b,m,W)’→(G,B)
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0096】

式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換である。
【0097】
この第2の方法は、6つの色の色相が(g,c,b,W)’に独立に投影可能であるようにすることによって、ディスプレイの非線形性をある程度まで考慮する。
【0098】
この第2の方法はまた、青色/黄色のアナグリフに適用されてもよい。青色/黄色のアナグリフに関して、釣り合いのとれた明度条件は、以下のように要約されてもよい。
【0099】
c’=αg 緑がかったシアン色
m’=αr 青みがかったマゼンタ色
=W+r+y+m’、
=W+c’+g+y、
=W+m’+y+c’。
【0100】
式中、αおよびαは、測定可能な変数であってもよく、R、GおよびBは、アナグリフ画像の原色座標である。y’色相をB座標に追加することによって、黄色の色相yが、アナグリフ画像において存在しない可能性がある(y=0)。また、b色相をB座標に追加しないことによって、青色の色相bが、アナグリフ画像において存在しない可能性がある(b=0)。
【0101】
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するためのこの第2の方法はまた、緑色/マゼンタ色のアナグリフに適用されてもよい。緑色/マゼンタ色のアナグリフに関して、釣り合いのとれた明度条件は、以下のように要約されてもよい。
【0102】
c’=αb 緑がかったシアン色
m’=αr 青みがかったマゼンタ色
=W+r+y+m’、
=W+c’+m’+y、
=W+m+b+c’。
【0103】
式中、αおよびαは、測定可能な変数であってもよく、R、GおよびBは、アナグリフ画像の原色座標である。m’色相をG座標に追加することによって、マゼンタ色の色相mが、アナグリフ画像において存在しない可能性がある(m=0)。また、g色相をG座標に追加しないことによって、緑色の色相gが、アナグリフ画像において存在しない可能性がある(g=0)。
【0104】
この第2の方法は、従来技術の色アナグリフにおいて一般的に観察されるよりはるかに少ない視野闘争を結果として生じる可能性がある。しかし、ディスプレイ媒体の非線形性のために、一部の視野闘争は依然として存在する可能性がある。非線形性はさらに、第2の方法を一般化することによって考慮されてもよい。赤色/シアン色のアナグリフの場合には、2つの釣り合いのとれた色相関係は、以下のように一般化されてもよい。
【0105】
y’=H(g) 黄緑色および
m’=H(b) 青みがかったマゼンタ色であり、
およびHは、非線形関数であってもよい。
【0106】
釣り合いのとれた明度のための方法3
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法3において、アナグリフにおける第1の画像および第2の画像の明度に対する各原色の寄与が、共に加えられることができる線形色空間Rがあることが仮定されてもよい。最初に、Rは、以下のように定義されてもよい。
【0107】
=H(R)、
=H(G)、
=H(B)であり、
式中、H、HおよびHは、色座標を線形色座標に変換し、ディスプレイデバイスの特性に左右される非線形プロファイルであってもよい。
【0108】
次に、第1の画像および第2の画像の線形明度Yが、以下のように書かれてもよい。
【0109】
B1=α+α
B2=α
または
B1=α(G)+α(B)、
B2=α(R)であり、
B1およびYB2はそれぞれ、第1の画像および第2の画像の線形明度を表し、α、αおよびαは、測定可能な変数であってもよい。釣り合いのとれた明度条件は、関係YB1〜YB2によって近似されてもよい。次に、Rは、以下のように、GおよびBの関数として書かれてもよい。
【0110】
R=H−1(α(G)+α(B))
式中、Hは、関数であり、α<1およびα<1は、測定可能な定数であってもよい。
【0111】
この第3の方法は、最初に、(R,G,B)原色座標を新たな(G,B)’原色座標に投影し、次に、(G,B)’座標から新たな(R)’原色座標を計算し、最後に、アナグリフ(R,G,B)の原色座標を作成することによって実現されてもよい。
【0112】
赤色/シアン色のアナグリフ
ステップ1:(R,G,B)→(G,B)’、
ステップ2:(G,B)’→(R)’、尚、R=H−1(α(G)+α(B))、
ステップ3:(R)’(G,B)’→(R,G,B)であり、
式中、iは、第1の画像または第2の画像であってもよい。
【0113】
ステップ1は、(R)座標における情報の一部を(G,B)座標に投影する方法によって実現されてもよい。方法1および2は、アナグリフにおいてR座標における情報の一部を保持しようとする投影の実例を示している。方法1の投影または方法2の投影のいずれかが、投影データと共に用いられてもよく、別の投影方法が、投影データと共に用いられてもよい。すべての投影方法は、本発明の範囲内にあることを意図している。投影データは、初期画像における色相の相対的な明度を投影画像に実質的に変換するように選択されてもよい。
【0114】
この第3の方法は一般的に、低レベルの視野闘争を有する3色アナグリフ画像の作成にきわめて成功する可能性がある。関数Hは、以下のように、「ガンマ」関数によって近似されることがよくある。
【0115】
(P)=Pγi
式中、Pは、R、GおよびBの原色であってもよく、γは、測定可能な変数であってもよく、約2.0〜3.0であることがよくある。一般的に、αおよびαの最適値は、色の任意の分布を有する全画像に関して、ほとんど観察可能でない視野闘争を作成する可能性がある。
【0116】
この第3の方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0117】

(R,G,B)→(G,B)’→(G,B)
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0118】

(R,G,B)→(G,B)’→(R)
式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換である。
【0119】
上記の3つのステップは、釣り合いのとれた明度を有する赤色/シアン色のアナグリフを作成する第3の方法である。第1のステップは、画像座標を2つの原色座標に投影する。第2のステップは、第1の画像および第2の画像の明度の釣り合いをとる。第3のステップは、立体的なペアの2つの画像からアナグリフを作成する。釣り合いのとれた明度を有する黄色/青色のアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のアナグリフの作成に関する本発明の類似の方法は、以下の通りである。
【0120】
黄色/青色のアナグリフ
ステップ1:(R,G,B)→(R,G)’、
ステップ2:(R,G)’→(B)’、尚、B=H−1(α(R)+α(G)、
ステップ3:(B)’(R,G)’→(R,G,B)であり、
緑色/マゼンタ色のアナグリフ
ステップ1:(R,G,B)→(R,B)’、
ステップ2:(R,B)’→(G)’、尚、G=H−1(α(R)+α(B))、
ステップ3:(G)’(R,B‘→(R,G,B)である。
【0121】
釣り合いのとれた明度のための方法4
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法4において、{R,G,B}原色における3色アナグリフを作成するための上記の方法3は、{P,P,Q原色におけるアナグリフの作成に一般化される。3色アナグリフの場合の一般的な方法は、以下のように書かれてもよい。
【0122】
3色アナグリフ
ステップ1:(P,P,P→(P,P’、
ステップ2:(P,P’→(Q’、尚、Q=H−1(αP1(P)+αP2(P))、
ステップ3:(Q’ (P,P’→(P,P,Qであり、
式中、iは、第1の画像または第2の画像であり、釣り合いのとれた明度条件は、
=H−1(αP1(P)+αP2(P))であり、
式中、HP1、HP2およびHは、色座標を線形色座標に変換し、ディスプレイデバイスの特性に左右される非線形プロファイルであってもよい。
【0123】
上記の釣り合いのとれた明度条件は、Qが第2の画像の原色であり、{P,...,P}が第1の画像の原色であり、条件が第1の画像および第2の画像における類似の対象に適用されると理解される場合には、釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフの十分な記述である可能性がある。
【0124】
この第4の方法は一般的に、低レベルの視野闘争を有する3色アナグリフ画像の作成にきわめて成功する可能性がある。関数Hは、以下のように、「ガンマ」関数によって近似されることがよくある。
【0125】
(P)=Pγi
式中、γは、測定可能な変数であってもよく、約2.0〜3.0であることがよくある。一般的に、αおよびαの最適値は、色の任意の分布を有する全画像に関して、ほとんど観察可能でない視野闘争を結果として生じる可能性がある。
【0126】
釣り合いのとれた明度を有する3色アナグリフを作成するこの第4の方法は、以下のように書かれてもよい。
【0127】
この第4の方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0128】

(P,P,P→(P,P’→(P,P
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0129】

(P,P,P→(P,P’→(Q
式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換であり、(P,P,Qは、アナグリフの3つの原色座標である。方法1〜3は、異なるG変換およびG変換を用いたこの第4の方法の特殊な事例である。投影変換は、ユーザによって選択されてもよい投影データを含んでもよい。投影データは、初期画像における色相の相対的な明度を投影画像に実質的に変換するように選択されてもよい。
【0130】
釣り合いのとれた明度のための方法5
本発明の方法1〜4における変数αおよびαの最適値は、画像における特定の色相の面積サイズに左右される可能性がある。たとえば、黒色によって包囲されるシアン色の小さなパッチは、黒色によって包囲されるシアン色の大きなパッチより明るくないように見える可能性がある。したがって、パッチサイズの影響を加える方法が、さらにより正確に釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作り出すために用いられてもよい。
【0131】
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法5において、マスク画像が、色のパッチのサイズに対する明度の変動を考慮するために用いられてもよい。説明を簡単にするため、色の「真の」明度は、ユーザの視野の大部分を満たす色の大きなパッチにおいて観察されるその明度であると仮定してもよい。色のパッチのサイズが、削減されると、見かけの明度は、黒色を含む可能性がある色の隣接するパッチによって低減される(または覆われる)可能性がある。
【0132】
各原色は、画像における近傍の他の原色の存在によって覆われる可能性がある。覆われた原色は、各原色に関して定義されてもよい。R、GおよびB色座標は、マスキング変換Gによって、覆われた色座標R、GおよびBに変換されてもよい。たとえば、
=M(R)、
=M(G)および
=M(B)であり、
式中、MR、およびMは、マスキング関数であってもよい。簡単にするため、マスキング関数は、以下のように、係数として近似されてもよい。
【0133】
=MR、
=MGおよび
=MBであり、
式中、MR、およびMは係数である。R、GおよびB座標は、釣り合いのとれた明度条件において用いられてもよい。たとえば、上述した方法3の釣り合いのとれた明度条件は、以下のようになる。
【0134】
=H−1(α(G)+α(B))
または
R=H−1(α(MG)+α(MB))/Mであり、
式中、R、GおよびBは、同一画像の座標であってもよい。
【0135】
異なる原色が互いの明度を低減し、同一の原色がそれ自体の明度を強化する場合には、M係数、M係数およびM係数は、原色間の一定のマスキング相互作用TABを仮定することによって、画像における各点iに関して計算されてもよい。たとえば、赤色/シアン色のアナグリフにおけるGおよびBの原色に関して、
Gi=ΣTGGijGj−Σ(TGBjiBj)および
Bi=ΣTBBijBj−Σ(TBGjiGj)であり、
Rの原色に関して、
Ri=ΣTRRijRjであり、
式中、MRi、MGiおよびMBiは、各点iにおけるマスキング係数である。TABijは、画像中の点iにおけるB原色に対する画像中の点jにおけるA原色の相互作用を表し、和は、画像中のすべての点jに関する。係数TABijは、点iと点jとの間の距離が増大すると、減少するように決定されてもよく、相互作用を局所的な相互作用にする。
【0136】
係数MRi、MGiおよびMBiは、3つのチャネル(M,M,M)を有する明度マスク画像Mを形成してもよい。マスク画像Mは、等しい明度条件を実現するために、第2の画像に関して決定されることを必要とするだけである。画像Mは、第2の画像よりエッジが甘くてもよく、第2の画像より低い解像度で決定されてもよい。
【0137】
本方法のいくつかの実現において、Q原色のマスク画像は、第2の画像において他の原色がないために、一定であるものとして近似されてもよい。たとえば、赤色/シアン色のアナグリフにおいて、M=1が仮定されてもよい。
【0138】
上述したマスク画像を計算する方法は、本質的に例示である。色パッチのサイズへの色の明度の依存性を記述するマスク画像を計算する任意の方法は、本発明の範囲内にある。
【0139】
この第5の方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0140】

(P,P,P→(P,P’→(P,P
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0141】

式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換であり、Gは、マスキング変換であり、(P,P,Qは、アナグリフの3つの原色座標である。本願明細書において、マスク画像{M,M,M}は、マスキングデータMと呼ばれる。一般に、マスキング変換Gがマスキング関数MおよびMを含む場合には、マスキングデータMは、マスキング関数M,MおよびMに関する変数値を含んでもよい。本願明細書において、GはG変換の一部として概念的には見なしてもよく、G−1はG変換の一部として見なしてもよい。
【0142】
明度マスク画像を用いる本方法は、赤色/シアン色のアナグリフに関して記載されている。明度マスク画像を定義して用いる類似の方法が、青色/黄色のアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のアナグリフに用いられてもよい。これらのさらなる方法は、本発明の範囲内にある。
【0143】
釣り合いのとれた明度のための方法6
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するための本発明の方法6において、上記の方法4が、4色アナグリフに一般化される。
【0144】
第1の画像が、m個の原色{P,...,P}で表示され、第2の画像が、Q原色で表示される場合には、第1の画像および第2の画像の明度YB1およびYB2はそれぞれ、以下のように近似されてもよい。
【0145】
B1=Σα(P)および
B2=HQ1(Q)であり、
式中、HおよびHQ1は、色座標を線形色座標に変換する非線形プロファイルであってもよく、αは測定可能な変数であってもよく、和はm個の原色に関する。釣り合いのとれた明度条件はYB1〜YB2によって与えられ、次に、釣り合いのとれた明度条件は、以下のように、書かれてもよい。
【0146】
=H−1(Σα(P))であり、
式中、HおよびHは、ディスプレイの特性に左右される。HおよびHは、以下のように、「ガンマ」関数によって近似されることがよくある。
【0147】
=(Σαγi1/γ
式中、γおよびγは、測定可能な変数であってもよく、約2.0〜3.0であることがよくある。
【0148】
釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフは、以下のステップを用いて作成されてもよい。
【0149】
4色アナグリフ
ステップ1:(P,...,P→(Q、尚、Q=H−1(Σα(P))、
ステップ2:(P,...,P(Q→(P,...,P,Qであり、
式中、一般的に、αは測定可能な変数であってもよい。ステップ1において、第2の画像座標は、Qを計算するために用いられてもよい。ステップ2において、第1の画像の{P,...,P}座標は、第2の画像のQ座標と組み合わせられて、アナグリフを作成してもよい。
【0150】
釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフを作成する方法は、初期画像が一般的に、より少ない原色を有する中間画像に投影される必要がないため、3色アナグリフに関する方法4より少ないステップで上記において示されている。しかし、投影変換は、初期画像に対して色修正を行うために用いられてもよい。さらに一般的な方法は、以下のように、記載されてもよい。
【0151】
4色アナグリフ
ステップ1:(P,...,P→(P,...,P’、
ステップ2:(P,...,P’→(Q’、尚、Q=H−1(Σα(P))、
ステップ3:(P,...,P’(Q’→(P,...,P,Qである。
【0152】
釣り合いのとれた明度条件Q=H−1(Σα(P))は、Qが第2の画像の原色であり、{P,...,P}が第1の画像の原色であり、条件が第1の画像および第2の画像における類似の対象に適用されると理解される場合には、釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフの十分な記述である可能性がある。
【0153】
釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するためのこの第6の方法は、以下のように書かれてもよい。
【0154】

第1の画像:(P,...,P→(P,...,P’→(P,...,P

第2の画像:(P,...,P→(P,...,P’→(Qであり、
式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換であり、(P,...,P,Qは、アナグリフの4つ以上の原色座標である。投影変換は、ユーザによって選択されてもよい投影データを含んでもよい。投影データは、初期画像における色相の相対的な明度を投影画像に実質的に変換するように選択されてもよい。
【0155】
釣り合いのとれた明度のための方法7
本発明の方法6における変数αおよびαの最適値は、画像における特定の色相の面積サイズに左右される可能性がある。したがって、パッチサイズは、上述した方法5の場合のように、明度マスク画像を用いて考慮されてもよい。
【0156】
釣り合いのとれた明度を有する4色アナグリフを作成するための本発明の方法7において、マスク画像が、色のパッチのサイズに対する明度の変動を考慮するために用いられてもよい。
【0157】
第1の画像が、m個の原色{P,...,P}で表示され、第2の画像が、Q原色で表示される場合には、各原色PおよびQに関して、覆われた原色は、以下のように定義されてもよい。
【0158】
gM=M(P)および
1M=M(Q)であり、
式中、MおよびMは、マスキング関数であってもよい。簡単にするため、マスキング関数は、以下のように、係数として近似されてもよい。
【0159】
gM=Mおよび
1M=Mであり、
式中、MおよびMは、係数であってもよい。PgM座標およびQ1M座標は、等しい明度条件において用いられてもよい。たとえば、上述した方法6の釣り合いのとれた明度条件は、以下のように与えられる。
【0160】
1M=H−1(Σα(PgM))
または
=H−1(Σ(α(M))/M
式中、QおよびPは、同一の画像の座標であってもよく、和は、m個の原色に関する。
【0161】
係数およびM係数は、原色間の一定のマスキング相互作用TABを仮定することによって、画像における各点に関して計算されてもよい。たとえば、{P,...,P}原色に関して、
gi=Σggijgj−ΣΣghijhjであり、
式中、Mgiは、各点iにおけるマスキング係数であってもよい。Tghijは、画像中の点iにおけるP原色に対する画像中の点jにおけるP原色の相互作用を表し、和は、hがgに等しくない場合には、画像中のすべての点jおよび原色Pに関する。係数Tghijは、画像における点iと点jとの間の距離が増大すると、減少するように決定されてもよく、相互作用を局所的な相互作用にする。係数Mgiは、チャネル{M,...,M,M}を有するマスク画像Mまたはマスク画像{M,...,M}および{M}を形成してもよい。マスク画像Mは、等しい明度条件を実現するために、第2の画像に関して決定されることを必要とするだけである。画像Mは一般的に、第2の画像よりエッジが甘くてもよく、第2の画像より低い解像度で決定されてもよい。
【0162】
原色のマスク画像は、以下のように近似されてもよい。
【0163】
Qi=ΣQQij1jであり、
式中、TQQijは、点jにおけるQ原色の明度と点iにおけるQ原色の明度との相互作用である。Q原色のマスク画像は、第2の画像において他の原色がないために、一定であるものとして近似されてもよい。言い換えれば、M=1が仮定されてもよい。したがって、
=H−1(Σα(M))である。
【0164】
上述したマスク画像を計算する方法は、本質的に例示である。色パッチのサイズへの色の明度の依存性を記述し、{P,...,P}座標または{Q}座標においてレンダリングされる第2の画像に関して決定されてもよいマスク画像を計算する任意の方法は、本発明の範囲内にある。
【0165】
この第7の方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0166】

(P,...,P→(P,...,P’→(P,...,P
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0167】

式中、Gは、投影変換であり、Gは、釣り合いのとれた明度変換であり、Gは、マスキング変換であり、(P,P,Qは、アナグリフの3つの原色座標である。本願明細書において、マスク画像{M,...,M,M}は、マスキングデータMと呼ばれる。一般に、マスキング変換Gがマスキング関数MおよびMを含む場合には、マスキングデータMは、マスキング関数MおよびMに関する変数値を含んでもよい。本願明細書において、GはG変換の一部として概念的には見なしてもよく、G−1はG変換の一部として見なしてもよい。
【0168】
真の深さを有するアナグリフの作成
一般的に、釣り合いのとれた明度を有する本発明のアナグリフは、2つの段階で作成されてもよい。第1の段階は、釣り合いのとれた明度変換Gの変数を決定することに関する。本願明細書において、これらの変数は、明度変換データまたはGデータと呼ばれる。第2の段階は、立体画像ペアから釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するために、Gデータを用いることに関する。理論的には、Gデータは、ディスプレイ装置用に一度決定されることを必要とするだけである。Gデータは、釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するために、格納されて繰返し用いられてもよい。しかし、Gデータの範囲は、ユーザの好みに合わせるために、ユーザによって選択可能であってもよい。第1の画像および第2の画像の相対的な明度は、ユーザによって選択可能であってもよい。第1の画像は、ユーザによって左眼画像または右眼画像として選択可能であってもよい。さらに、投影変換Gは、表示されたアナグリフにおける色分布に影響を及ぼす可能性がある一連の変数を含んでもよい。本願明細書において、これらの変数はGデータと呼ばれる。一般的に、Gデータはユーザによって選択可能であってもよい。本願明細書において、Gデータは、第1の画像および第2の画像の相対的な明度と、左画像または右画像のどちらががアナグリフの第1の画像であるかと、初期の原色をアナグリフの第1の画像の原色に投影する方法とを含んでもよい。
【0169】
一般的に、ソフトウェアは、Gデータを決定するのを助けるために、また釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するために用いられてもよい。ソフトウェアプログラムは、一定のディスプレイ用にGデータを決定するのを助けるツールを提供してもよい。ソフトウェアプログラムは、Gデータを用いて、アナグリフを作成するのを助けるツールを提供してもよい。ソフトウェアプログラムは、Gデータがユーザによって選択可能であることを可能にするツールを提供してもよい。ディスプレイ装置は、ユーザがGデータを決定することを必要とすることなく、釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するために用いられてもよい装置におけるGデータを含んでもよい。ディスプレイ装置は、フルカラーの立体画像から釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成するために、変換Gおよび/またはGを含んでもよい。
【0170】
図9は、3色アナグリフ用のGデータを決定する処理のフローチャートを示す。ディスプレイ装置は、アナグリフの第1の画像を表示するための2つの原色{P,P}およびアナグリフの第2の画像を表示するための{Q}を提供し、{P,P}原色を見るための第1の観察フィルタと、{Q}原色を見るための第2の観察フィルタと、を含む。処理は、以下のステップ、すなわち、(1)提供する画像の座標値を読み出すステップ(902)と、(2)G変換を用いて、画像座標値を{P,P}原色に投影するステップ(904、906)と、(3)初期のGデータを選択するステップ(908)と、(4)GデータおよびG変換を用いて{Q}座標値を計算するステップ(908、910、912)と、(5){P,P}値および{Q}値からアナグリフを作成するステップ(914)と、(6)アナグリフを表示するステップ(916)と、(7)第1のフィルタおよび第2のフィルタを通してアナグリフを見るステップ(918)と、を含み、(8)アナグリフが釣り合いのとれた明度コントラストを有する場合には、Gデータが格納されてもよく(922)、アナグリフを作成するために用いられてもよく(924)、アナグリフが釣り合いのとれた明度コントラストを有しない場合には、Gデータが調整されてもよく(920)、新たな{Q}値が、新たなGデータを用いて計算されてもよい(920、910、912)。
【0171】
図10は、格納されたGデータを用いた3色の釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成して表示する処理のフローチャートを示す。フローチャートは、第1の画像および第2の画像が平行に処理されることを示すが、これらの画像は順次処理されてもよい。処理は、以下のステップ、すなわち、(1)第1の画像座標値を読み出すステップ(1002)と、(2)G変換を用いて第1の画像座標値を{P,P原色に投影するステップ(1004、1006)と、(3)第2の画像座標値を読み出すステップ(1008)と、(4)G変換を用いて第2の画像座標値を{P,P原色に投影するステップ(1010、1012)と、(5)Gデータを読み出すステップと(1014)と、(6)GデータおよびG変換を用いて{Q座標値を計算するステップ(1014、1016、1018)と、(7){P,P座標値および{Q座標値からアナグリフを作成するステップ(1020)と、(8)所望であればアナグリフを表示するステップ(1022、1024)と、を含む。アナグリフ{P,P,Q}はまた、デジタルファイルに格納されてもよい。この処理を行うディスプレイ装置は通常、アナグリフを表示してもよい。この処理を行うソフトウェアプログラムは通常、アナグリフを格納するか、または表示してもよい。
【0172】
図11は、4色アナグリフ用のGデータを決定する処理のフローチャートを示す。ディスプレイ装置は、アナグリフの第1の画像を表示するための3つの原色{P,P,P}およびアナグリフの第2の画像を表示するための原色{Q}を提供し、{P,P,P}原色を見るための第1の観察フィルタと、{Q}原色を見るための第2の観察フィルタと、を含む。処理は、以下のステップ、すなわち、(1)提供すると画像の座標値を読み出すステップ(1102)と、(2)G変換を用いて画像座標値を{P,P,P}原色に投影するステップ(1104、1106)と、(3)初期のGデータを選択するステップ(1108)と、(4)GデータおよびG変換を用いて{Q}座標値を計算するステップ(1108、1110、1112)と、(5){P,P,P}座標値および{Q}座標値からアナグリフを作成するステップ(1114)と、(6)アナグリフを表示するステップ(1116)と、(7)第1のフィルタおよび第2のフィルタを通してアナグリフを見るステップ(1118)とを含み、(8)アナグリフが、釣り合いのとれた明度コントラストを有する場合には、Gデータが格納されてもよく(1122)、アナグリフを作成するために用いられてもよく(1124)、アナグリフが釣り合いのとれた明度コントラストを有しない場合には、Gデータが調整されてもよく(1120)、新たな{Q}値が新たなGデータを用いて計算されてもよい(1120、1110、1112)。
【0173】
図12は、格納されたGデータを用いて4色の釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成して表示する処理のフローチャートを示す。フローチャートは、第1の画像および第2の画像が平行に処理されることを示すが、これらの画像は順次処理されてもよい。処理は、以下のステップ、すなわち、(1)第1の画像座標値を読み出すステップ(1202)と、(2)G変換を用いて第1の画像座標値を{P,P,P原色に投影するステップ(1204、1206)と、(3)第2の画像座標値を読み出すステップ(1208)と、(4)G変換を用いて第2の画像座標値を{P,P,P原色に投影するステップ(1210、1212)と、(5)Gデータを読み出すステップと(1214)と、(6)GデータおよびG変換を用いて{Q座標値を計算するステップ(1214、1216、1218)と、(7){P,P,P座標値および{Q座標値からアナグリフを作成するステップ(1220)と、(8)所望であればアナグリフを表示するステップ(1222、1224)と、を含む。アナグリフ{P,P,P,Q}はまた、デジタルファイルに格納されてもよい。この処理を行うディスプレイ装置は通常、アナグリフを表示してもよい。この処理を行うソフトウェアプログラムは通常、アナグリフを格納するか、または表示してもよい。
【0174】
デジタルファイルは、デジタル画像{P,...,P,Qにおける各画素点jの色座標を表すm+1個の色座標のアレイとして、4つ以上の色値{P,...,P,Q}を有する本発明のアナグリフを格納するために用いられてもよい。あるいは、アナグリフは、座標{P,...,{P,{Qのm+1個のアレイに格納されてもよい。あるいは、アナグリフは、座標{P1j,...,P,{Q}の2つのアレイに格納されてもよい。本発明のデジタルファイルは、従来技術の方法によって圧縮されてもよい。
【0175】
視野闘争の制御
本発明の一部の実施形態において、第1の画像と第2の画像との間の明度コントラストにおける差は、アナグリフ画像における視野闘争の尺度を定義するために用いられてもよい。視野闘争の尺度は、視野闘争をすべての色に関してアナグリフ画像全体にわたって制御可能にする可能性がある。一定の低量の視野闘争は、一部のアナグリフの色域を増大するために用いられてもよい。対照的に従来技術では、アナグリフの一部の領域にわたる視野闘争の削減は、アナグリフの他の領域における高レベルの視野闘争を作成する可能性がある。
【0176】
本願明細書に記載される釣り合いのとれた明度を有するアナグリフを作成する方法は、アナグリフにおいてQの値を決定する方法を提供する。結果として生じるQ値は、アナグリフにおける明度コントラストの釣り合いを正確にとる理想値Q’の近似であってもよい。計算値Qと理想値Q’との間の差は、立体視またはアナグリフの視野闘争Z’の尺度を作成するために用いられてもよい。
【0177】
Z’=|Q−Q’|/Q
式中、(Q−Q’)係数は、視野闘争に比例し、1/Q係数は、正規化係数である。Q’を計算することは、色の明度の正確なモデルを必要とする可能性がある。しかし、Q’はまた、視野闘争を最小化するQ1Bの値を決定するモデルによって近似されてもよい。
【0178】
本発明の一実施形態は、画像における視野闘争を最小限に抑えるために、特定の方法によって計算された値Q1Bからアナグリフにおける実際のQ値における差Q−Q1Bを用いてアナグリフにおける視野闘争Zを測定するための方法を提供する。
【0179】
λ=|Q1B−λQ|/Q1B
式中、λは、QとQ1Bとの間に異なるスケーリングを考慮し得るスケーリング比である。(Q1B−λQ)係数は、視野闘争に比例する可能性がある。1/Q係数は、正規化係数である。一般に、λは、アナグリフ画像にわたって平均値Zλを最小化するために選択されてもよい。または、スケーリング比が既知である場合には、λは、スケーリング比値に設定されてもよい。したがって、Zλの最小値は、視野闘争の尺度Z=MINλ(Zλ)であってもよい。
【0180】
Z=MINλ(|Q1B−λQ|/Q1B
一旦、λが決定されると、Zは、一般性を失うことなく以下のように書かれてもよい。
【0181】
Z=|Q1B−Q|/Q1B
Zは、アナグリフ画像における類似の対象の視野闘争を測定するために用いられてもよい立体画像に特有の色座標である。本願明細書において、Zは、視野闘争座標と呼ばれる。
【0182】
視野闘争座標Zは、従来技術の方法を含むアナグリフを作成する種々の方法を比較するために用いられてもよい。Zを決定するために、釣り合いのとれた明度値Q1Bは、選択された方法によって決定されてもよい。Q1Bが正確に決定されるほど、Zは視野闘争を正確に測定する。第2の画像の{P,...,P座標が既知である場合には、Zは、直接的な手法で決定されてもよい。第2の画像の{P,...,P座標は、第2の画像に関する{Q1Bを計算するために用いられてもよい。続いて、Zは、アナグリフにおいて{Q1Bの値を{Qの値と比較することによって決定されてもよい。第2の画像の{P,...,P座標が既知である場合には、{Q1Bは、第2の画像の類似の対象に関して第1の画像から{P,...,Pの値を用いて計算されてもよい。続いて、Zは、第1の画像に関する{Q1Bの値および第2の画像における{Qの値から決定されてもよい。
【0183】
本発明の視野闘争座標Zは、(1)アナグリフにおける平均視野闘争を決定するために、(2)アナグリフにおける視野闘争の最大値を決定するために、および(3)アナグリフ画像における視野闘争の分布を決定するために用いられてもよい。これらのツールは、ソフトウェアプログラムにおいて提供されてもよい。
【0184】
視野闘争の別の尺度は、
=MINλ((Q1B−λQ)/Q1B)であり、
式中、λは、画像にわたるZの平均規模を最小化するために選択されてもよい。一旦、λが決定されると、Zは、一般性を失うことなく以下のように書かれてもよい。
【0185】
=(Q1B−λQ)/Q1B
は視野闘争座標の符号を含み、Z=|Z|。一般に、視野闘争の尺度Zは、Zの任意の関数であってもよい。
【0186】
Z=G(Z
本発明の一部の実施形態は、選択された量の視野闘争を用いることによって、アナグリフ画像において観察される色域を増大するための方法を提供する。従来技術のアナグリフに関する問題点の1つは、画像にわたって一様である視野闘争を含む可能性があり、一部の色相に関して高レベルの視野闘争を含むことがよくあることである。本発明の一実施形態において、Z座標は、制御された量の視野闘争を有するアナグリフ画像を作成するために用いられてもよい。第一に、方法は、釣り合いのとれた明度のQ1B座標を決定するために用いられてもよい。次に、Zの値は、画像にわたって選択されてもよい。本願明細書において、Zの選択された値は、闘争データまたはZデータと呼ばれる。明度変換Gによって決定されるQ1Bの値は、闘争変換Gを用いて、選択された量の視野闘争を有するアナグリフのQ値に変換されてもよい。Gは、以下のように書かれてもよい。
【0187】
=(1−Z)Q1B
式中、QおよびQ1Bは同一のスケールを有する可能性があるため、λ=1である。闘争データZは、画像の任意の色特性または座標または領域に関するユーザが選択可能な定数またはユーザが選択可能な関数であってもよい。正のZ値は一般的に、第1の画像における色相の観察された飽和を強化する可能性がある。大きな負のZ値は一般的に、Q原色に関連付けられた色相を立体視において観察された色域に加える可能性がある。アナグリフ画像の種々のエリアに色相を加えるために、Zデータは選択的に変更されてもよい。
【0188】
ディスプレイ装置は、闘争データZを含んでもよい。ディスプレイ装置における闘争データZは、ユーザの好みに応じて、ユーザによって範囲から選択されてもよい。同様に、ソフトウェアプログラムも、データZを含んでもよい。ソフトウェアプログラムにおける闘争データZは、ユーザの好みに応じて、ユーザによって範囲から選択されてもよい。
【0189】
本発明の一実施形態は、闘争データZを含む闘争変換Gを用いて、選択された量の視野闘争を有するアナグリフを作成する方法を含む。この方法は、以下のように、第1の画像の変換として書かれてもよい。
【0190】

(P,...,P→(P,...,P’→(P,...,P
第2の画像の変換は、以下のように書かれてもよい。
【0191】

(P,...,P→(P,...,P’→(Q1B’→(Q
式中、sはmと異なっていてもよく、Gは投影変換であり、Gは釣り合いのとれた明度変換であり、Gはマスキング変換であり、(P,,...,P,Qは、アナグリフのm+1個の原色座標である。本願明細書において、GはG変換およびG−1の一部として概念的には見なしてもよい。
【0192】
図13は、格納されたZデータを用いて、選択された量の視野闘争を有する4色アナグリフを作成して表示する処理のフローチャートを示す。処理は、図12に図示されているが図13には図示されていないステップの一部を含む。処理は、以下のステップ、すなわち、(1)第1の画像座標値を読み出すステップ(1202)と、(2)G変換を用いて第1の画像座標値を{P,P,P原色に投影するステップ(1204、1206)と、(3)第2の画像座標値を読み出すステップ(1208)と、(4)G変換を用いて第2の画像座標値を{P,P,P原色に投影するステップ(1210、1212)と、(5)Gデータを読み出すステップと(1214)と、(6)GデータおよびG変換を用いて{Q1B座標値を計算するステップ(1214、1216、1302)と、(7)視野闘争データを読み出すステップ(1304)と、(8)視野闘争変換Gを用いて{Qを決定するステップと、(9){P,P,P値および{Q値からアナグリフを作成するステップ(1220)と、(8)所望であればアナグリフを表示するステップ(1222、1224)と、を含む。アナグリフ{P,P,P,Q}はまた、デジタルファイルに格納されてもよい。この処理を行うディスプレイ装置は通常、アナグリフを表示してもよい。この処理を行うソフトウェアプログラムは通常、アナグリフを格納するか、または表示してもよい。
【0193】
視野闘争を制御するための本発明の方法は、3色アナグリフの色域を広げるために用いられてもよい。白色点の近くで正のZを用いることは、色相に向かう白色点のシフトによって、脱飽和される可能性がある色相を強化してもよい。たとえば、赤色/シアン色のアナグリフにおいて、シアン色および緑色の色相に関して正のZを用いることは、シアン色の色相の出現およびシアン色の近くで、緑色の色相の増大する飽和を生じる可能性がある。青色の色相または黄色の色相の近くで負のZを用いることは、これらの色相を紫色の色相および橙色の色相にそれぞれシフトさせる可能性がある。
【0194】
図14は、選択された範囲の視野闘争Zを有する赤色/シアン色のアナグリフの色域1406を示す。視野闘争がないZ=0の場合に関する色域は、PおよびPの原色をつなぐ一次元の線分1402として図示されている。選択されたZ(正のZ)の上限は、闘争のない線分1404の緑色およびシアン色の側の曲線1404として図示されている。Zの正の値は、第1の観察フィルタを通して見た見かけの白色点W’からの増大する距離のために、色域において緑色およびシアン色の色相の飽和を増大させるために用いられてもよい。選択されたZ(負のZ)の下限は、闘争のない線分1404の赤色の側の曲線1404として図示されている。負の値またはZは、黄色の色相を改善し、紫色の色相をアナグリフの色域に追加するために用いられてもよい。図14は、アナグリフ画像の色域を拡張するために、正のZおよび負のZの両方を用いる併用効果を示す。同様に、選択された量の視野闘争は、4色アナグリフにおける青色/黄色のアナグリフおよび緑色/マゼンタ色のアナグリフにおいて観察される色域を拡張するために用いられてもよい。
【0195】
本発明の一態様は、アナグリフ画像における視野闘争を測定するための方法を提供するソフトウェアプログラムである。本発明の一態様は、選択された量の視野闘争を有するアナグリフを作成するためのツールを提供するソフトウェアプログラムである。本発明の一態様は、既存のアナグリフの視野闘争を測定するためのツールを提供するソフトウェアプログラムである。本発明の一態様は、Zデータを含むディスプレイ装置である。本発明の一態様は、Zデータがユーザによって範囲から選択されるようにするディスプレイ装置である。
【0196】
減法混色の原色
印刷されたアナグリフ画像に釣り合いのとれた明度条件を適用する際に、明度特性は、減法混色の原色値に関して決定されてもよい。減法混色の原色への明度の依存性は、減法混色の原色値{mP,...,mP}を加法混色の原色値{P,...,P}に変換することによって決定されてもよい。減法混色の原色の数は、加法混色の原色の数とは異なっていてもよい。画像が元来、加法混色の色座標にある場合には、加法混色の色座標値は、減法混色の原色の色域に変換されてもよい。次に、加法混色の原色は、Q原色値を決定するために用いられてもよい。続いて、Q原色値は、減法混色の原色値に変換されてもよい。
【0197】
上述したように、本発明は、ソフトウェア、ディスプレイ装置および特殊フィルタに適用可能であり、視野闘争がないか、または選択可能な量の視野闘争を有する広い色域を有するデジタルアナグリフ画像を作成し、表示して見るために特に有用であると信じられている。本発明は、上述の特定の実施例に限定されるものと考えるべきではなく、添付の請求項に適正に記載されているように、本発明のすべての態様を包含するものと理解すべきである。本発明が適用可能であると考えられる種々の変更、等価な処理のほか、数々の構造は、本明細書の検討をすれば、本発明が関連する当業者には容易に明白であろう。請求項は、そのような変更およびデバイスを包含することを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像からアナグリフを作成する方法であって、
2つ以上の色座標{P,...,Pによって表される第1の画像と、2つ以上の色座標{P,...,Pによって表される第2の画像とを含む立体画像と、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを明度座標{Qに変換することと、
前記座標{P,...,Pによって表されるアナグリフの第1の画像と、
前記座標{Qによって表される前記アナグリフの第2の画像と、
を含み、それにより、明度コントラストが、前記アナグリフの前記第1の画像および前記第2の画像において釣り合いをとることができる方法。
【請求項2】
前記アナグリフは、座標{P,...,P,Qによって表され、前記アナグリフ座標{P,...,P,Qをデジタルファイルに格納することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
原色{P,...,P}および原色Qを提供するディスプレイ装置と、
前記原色{P,...,P}を用いて前記座標{P,...,Pを表示することと、
前記原色Qを用いて前記座標{Qを表示することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記原色{P,...,P}を実質的に透過し、前記原色Qを遮断する第1のフィルタFと、
前記原色Qを実質的に透過し、前記原色{P,...,P}を遮断する第2のフィルタFと、
をさらに含み、
前記アナグリフの前記第1の画像は、前記第1のフィルタFを通して見ることが可能であり、
前記アナグリフの前記第2の画像は、前記第2のフィルタFを通して見ることが可能である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記明度変換Gは、関係
=(Σαγi1/γ
によって実質的に表され、
前記明度変換データは、α、γおよびγの値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記明度変換データは、ユーザによって選択可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
立体画像からアナグリフを作成する方法であって、
2つ以上の色座標{P,...,Pによって表される第1の画像と、2つ以上の色座標{P,...,Pによって表される第2の画像とを含む立体画像と、
投影変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを2つ以上の色座標{P,...,P‘に投影することと、
投影データを含む前記投影変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを2つ以上の色座標{P,...,P‘に投影することと、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P,...,P‘を明度座標{Q’に変換することと、
座標{P,...,Pによって表されるアナグリフの第1の画像と、
座標{Qによって表される前記アナグリフの第2の画像と、
を含み、それにより、明度コントラストが、前記アナグリフの前記第1の画像および前記第2の画像において釣り合いをとることができる方法。
【請求項8】
前記アナグリフは、座標{P,...,P,Qによって表され、前記アナグリフ座標{P,...,P,Qをデジタルファイルに格納することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
原色{P,...,P}および原色Qを提供するディスプレイ装置と、
前記原色{P,...,P}を用いて前記座標{P,...,Pを表示することと、
前記原色Qを用いて前記座標{Qを表示することと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記原色{P,...,P}を実質的に透過し、前記原色Qを遮断する第1の観察フィルタFと、
前記原色Qを実質的に透過し、前記原色{P,...,P}を遮断する第2の観察フィルタFと、
をさらに含み、
前記アナグリフの前記第1の画像は、前記第1のフィルタFを通して見ることが可能であり、
前記アナグリフの前記第2の画像は、前記第2のフィルタFを通して見ることが可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記明度変換Gは、関係
=(Σαγi1/γ
によって実質的に表され、
前記明度変換データは、α、γおよびγの値を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記投影変換Gは、前記座標{P,...,Pにおける色相の相対的な明度を前記座標{P,...,P‘に実質的に変換する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記明度変換データは、ユーザによって選択可能である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
立体画像からアナグリフを作成する方法であって、
2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能な第1の画像と、2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能な第2の画像とを含む立体画像と、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを明度座標{Q1Bに変換することと、
闘争データZを含む闘争変換Gを用いて、前記座標{Q1Bを座標{Qに変換することと、
座標{P,...,Pによって表されるアナグリフの第1の画像と、
座標{Qによって表される前記アナグリフの第2の画像と、
を含み、それにより、釣り合いのとれた明度を有する前記アナグリフの立体視の色域が、制御された量の視野闘争によって拡張されることができる方法。
【請求項15】
前記アナグリフは、座標{P,...,P,Qによって表され、前記アナグリフ座標{P,...,P,Qをデジタルファイルに格納することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
原色{P,...,P}および原色Qを提供するディスプレイ装置と、
前記原色{P,...,P}を用いて前記座標{P,...,Pを表示することと、
前記原色Qを用いて前記座標{Qを表示することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記原色{P,...,P}を実質的に透過し、前記原色Qを遮断する第1の観察フィルタFと、
前記原色Qを実質的に透過し、前記原色{P,...,P}を遮断する第2の観察フィルタFと、
をさらに含み、
前記アナグリフの前記第1の画像は、前記第1のフィルタFを通して見ることが可能であり、
前記アナグリフの前記第2の画像は、前記第2のフィルタFを通して見ることが可能である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記明度変換Gは、関係
=(Σαγi1/γ
によって実質的に表され、
前記明度変換データは、α、γおよびγの値を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記闘争変換Gは、関係
=(1−Z)Q1B
によって実質的に表され、
前記闘争変換データは、Zの値を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記闘争変換データZは、ユーザによって選択可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
立体画像からアナグリフを作成する方法であって、
2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能な第1の画像と、2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能な第2の画像とを含む立体画像と、
マスク画像{M,...,M}を含むマスキング変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pをマスク座標{P1M,...,PmMに変換することと、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P1M,...,PmMを明度座標{Qに変換することと、
座標{P,...,Pによって表されるアナグリフの第1の画像と、
座標{Qによって表される前記アナグリフの第2の画像と、
を含み、それにより、明度コントラストが、前記アナグリフの前記第1の画像および前記第2の画像において釣り合いをとることができる方法。
【請求項22】
前記アナグリフ画像は、座標{P,...,P,Qによって表され、前記アナグリフ座標{P,...,P,Qをデジタルファイルに格納することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
原色{P,...,P}および原色Qを提供するディスプレイ装置と、
前記原色{P,...,P}を用いて前記座標{P,...,Pを表示することと、
前記原色Qを用いて前記座標{Qを表示することと、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記原色{P,...,P}を実質的に透過し、前記原色Qを遮断する第1の観察フィルタFと、
前記原色Qを実質的に透過し、前記原色{P,...,P}を遮断する第2の観察フィルタFと、
をさらに含み、
前記アナグリフの前記第1の画像は、前記第1のフィルタFを通して見ることが可能であり、
前記アナグリフの前記第2の画像は、前記第2のフィルタFを通して見ることが可能である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記明度変換Gは、関係
=(Σαγi1/γ
によって実質的に表され、
前記明度変換データは、α、γおよびγの値を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記マスク画像は、色パッチのサイズへの前記色の明度の依存性を記述し、{P,...,P座標において表される前記第2の画像に関して決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記マスク画像は、ユーザによって選択可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
立体画像を表示する方法であって、
第1の画像および第2の画像を含む立体画像と、
3つ以上の原色{P,...,P}と原色Qとを提供するディスプレイ装置と、
赤色、緑色および青色の原色を含む前記原色{P,...,P}と、
前記原色Qのスペクトルと実質的に重ならない前記原色{P,...,P}のスペクトルと、
前記原色{P,...,P}を用いて前記第1の画像を表示することと、
前記原色Qを用いて前記第2の画像を表示することと、
を含む方法。
【請求項29】
前記第1の画像は、3つ以上の色座標{P,...,Pによって表され、
前記第2の画像は、3つ以上の色座標{P,...,Pによって表され、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを明度座標{Qに変換することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記明度変換Gは、関係
=(Σαγi1/γ
によって実質的に表され、
前記明度変換データは、α、γおよびγの値を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記原色{P,...,P}を実質的に透過し、前記原色Qを遮断する第1の観察フィルタFと、
前記原色Qを実質的に透過し、前記原色{P,...,P}を遮断する第2の観察フィルタFと、
をさらに含み、
前記アナグリフの前記第1の画像は、前記第1のフィルタFを通して見ることが可能であり、
前記アナグリフの前記第2の画像は、前記第2のフィルタFを通して見ることが可能である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記原色Qは遠赤色である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記原色Qは橙色である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記原色Qは黄色である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記原色Qはシアン色である、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記原色Qは青色である、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
立体画像を見るための装置であって、
第1のフィルタと、
第2のフィルタと、
前記第1のフィルタのスペクトルが、3つの原色{P,P,P}のスペクトルに実質的に重なることと、
前記第2のフィルタのスペクトルが、原色Qのスペクトルに実質的に重なることと、
前記第2のフィルタの前記スペクトルが、前記第1のフィルタの前記スペクトルと実質的に重ならないことと、
を含む装置。
【請求項38】
原色Qは、遠赤色であり、
原色Pは、赤色、橙色または黄色であり、
原色Pは、緑色であり、
原色Pは、青色である、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
原色Qは、黄色または橙色であり、
原色Pは、赤色であり、
原色Pは、緑色であり、
原色Pは、青色である、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
原色Qは、シアン色であり、
原色Pは、赤色であり、
原色Pは、緑色であり、
原色Pは、青色である、請求項37に記載の装置。
【請求項41】
原色Qは、青色であり、
原色Pは、赤色であり、
原色Pは、緑色であり、
原色Pは、シアン色である、請求項37に記載の装置。
【請求項42】
立体画像を表示するための装置を較正する方法であって、
2つ以上の原色{P,...,P}および原色Qを提供するディスプレイ装置と、
前記原色{P,...,P}を実質的に透過し、前記原色Qを遮断する第1の観察フィルタFと、
前記原色Qを実質的に透過し、前記原色{P,...,P}を遮断する第2の観察フィルタFと、
2つ以上の色座標{P,...,Pに投影可能な画像と、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを明度座標{Qに変換することと、
前記原色{P,...,P}を用いて前記座標{P,...,Pを表示することと、
前記原色Qを用いて前記座標{Qを表示することと、
前記第1のフィルタFを通して、前記原色{P,...,P}における前記第1の画像を見ることと、
前記第2のフィルタFを通して前記原色Qにおける前記第1の画像を見ることと、
前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタを通して見た前記第1の画像の明度コントラストを比較することと、
新たな明度変換データを選択することと、
を含み、それにより、アナグリフの前記明度コントラストの釣り合いをとる前記明度変換データが、前記ディスプレイ装置用に決定されるようにする方法。
【請求項43】
アナグリフにおける視野闘争を測定する方法であって、
2つ以上の色座標{P,...,P}によって表される第1の画像と、色座標Qによって表される第2の画像とを含むアナグリフと、
明度変換データを含む明度変換Gを用いて、前記座標{P,...,Pを明度座標Q1Bに変換することと、
を含み、
前記視野闘争Zは、Zの関数Z=G(Z)であり、
前記第1の画像および前記第2の画像における類似の対象に関して
=(Q1B−Q)/Q1B
である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−517075(P2010−517075A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546450(P2009−546450)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/000835
【国際公開番号】WO2008/091611
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509199878)
【Fターム(参考)】